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廣島 武 X 保阪 薫
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2008年11月25日

「ROE」の背景を知ること

企業評価の視点の一つに、「株主の期待にどれだけ応えているのか?」というポイントがあります。
指標としては、配当金、配当性向など様々なものがありますが、企業経営の優秀さを判断する代表的な指標が、「ROE:Return On Equity(株主資本利益率)」です。
算出方法は、当期利益÷株主資本(通常は期首と期末の平均)で、株主から預かった資金をベースに、どれだけの利益を生み出すことができているかを測定するものです。
当然ながらROEが高いということは、効率的な経営が行われている優秀な企業だということができます。

投資家、企業ともに「株主」に対する意識が強い欧米では、以前からROEを重視した経営が行われてきました。
一方、80年代後半のバブル崩壊まで、株式持合いなど「株主重視」の意識が低かった日本においては、ROEは特に重視されず、内部留保優先の経営姿勢の下、株主資本が積み上がり分母が増大し、ROEは低水準にとどまっていました。
ところが90年代以降、日本においても右肩上がり成長の時代の終焉、株式持合いの崩壊とともに「株主重視」、「効率的経営」が志向されるようになり、多くの企業が重要な経営指標としてROEを掲げるようになりました。
東京証券取引所の資料によれば、2008年3月期の全産業ROEは9.31%と、10年前の2.99%から大きく上昇しています。ただ、欧米企業のROEは15−20%程度と高く、日本企業はまだまだそこまでは追いついていないのが現状です。


さて、このROEですが、以下のような式に分解することが出来ます。

ROE=売上高当期利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ

当期利益/株主資本=当期利益/売上高 × 売上高/総資産 × 総資産/株主資本


最後の「総資産/株主資本」は、株主資本比率の逆数であり、総資産に占める負債の比率を表すものでもあるわけで、以前このコラムで触れた「レバレッジ」と同様な考え方となります。(財務レバレッジが高い=負債依存度が高い)


この分解式からROEを向上させるには、
ー益性を向上させる(売上高当期利益率を上げる)
∋饂困慮率性を高める(総資産回転率を上げる)
I藝聴預古戮鮃發瓩襦丙睫灰譽丱譽奪犬鮠紊欧襦
の3つを進めればいいことがわかります。


ちなみに、前述のバブル崩壊後の日本企業のROE上昇の要因は、企業の体力が弱まっていた中、負債返済が進む一方で生産設備や労働力の過剰が解消し、の低下を,両緇困カバーした結果と分析できます。


個別企業を見る場合も、この視点が大変重要です。
つまり、同水準のROEである企業同士を比較したり、ROEが数年前と比べて上昇している企業を分析する際、3つの要因のうちどれが主因となっているかを見極める必要があります。
特にの「財務レバレッジ」は要注意です。


少し難しい話になりますが、企業財務の世界に「MM理論」という企業の資本構成に関する理論があります。フランコ・モジリアーニとマートン・ミラーという学者によるもので、
かなり簡単に言うと、「法人税が存在しないなどある前提の下において、企業価値はその資本構成に影響されない。法人税を考慮した場合は、(有利子負債の調達レート以上の利益を獲得できる限り)負債による資本調達を行った方が、節税効果分、企業価値が高くなる事になる。」
というものです。


しかし、実際には有利子負債依存度が高まると同時に倒産リスクも増大し、この倒産リスクが一定限度を超えると、逆に有利子負債比率の上昇が企業価値の低下を招く局面を迎えることになります。それではどの水準が適正化ということになりますが、一般的な公式は存在せず、各企業の業態やリスクによって変化すると捉えられています。


ROEを高めようと思えば、多額に借入をし、レバレッジを高めれば良いということになりますが、そう単純ではないわけで、高ROE企業もその要因、背景を理解することが大切なのです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 19:04 | コメント (0)

2008年11月08日

東京国立博物館で出会った応援企業

先日、東京国立博物館で開催されている「大琳派展」に行ってきました。
休日ということもあり、混雑が予想されるので9時半の開館を目指し、JR上野駅公園口から入り口まで歩いていくと、もう既に開館を待つ人の列が出来ていました。

前売り券を買っていなかったので、まず当日券を買わねばならず、やっと買ったものの今度は会場である平成館の前で3列に並んで入場待ちとなり、結局入館するまでに20分くらいはかかったでしょうか。
それでも入ってみれば、混雑時の常套手段で第一展示室からではなく、第二展示室から回ってみると、比較的スムーズにゆったりと各作品に近づくことができました。


東京での「琳派展」を鑑賞したのは、2004年8月に東京国立近代美術館で開催された、「琳派 RIMPA」展以来でした。それ以外に「琳派展」と銘打たないものでも、様々な作品に接することの出来る機会があればなるべく足を運んできましたが、やはり今回も、「琳派」ならではの自由闊達なモチーフ選び、大胆な構図、豊富な色使い、繊細緻密な描写、ちょっとした遊び心、師匠と弟子ではない先達に対する尊敬と思慕の心、などに改めて感じ入ると同時に、こうした素晴らしい作品を直接目にすることが出来る幸せに浸ることができました。


そんないい心持で帰り間際に平成館の1階のガイダンスルームを覗くと、当博物館所蔵の国宝である長谷川等伯筆「松林図屏風」が飾られています。
まさかとは思いましたが、当然のことながら本物ではありません。ですが写真とは明らかに違います。
置いてあったパンフレットの解説を読んでみると、これは「文化財未来継承プロジェクト(綴りプロジェクト)」とい財団法人京都国際文化交流財団が主催し、大手精密機械メーカーが協賛および技術支援を行っているプロジェクトの中の一作品だということでした。


日本の貴重な文化財の中には、明治維新後の不幸な経緯によって海外に流出してしまった名品が多数存在します。
また、国内に残ったものも保存方法の難しさから経年劣化を余儀なくされているものもあります。こうした日本古来の貴重な文化財を限りなくオリジナルに近い形で複製し、後世に継承することを目的とした活動が、同プロジェクトだそうです。
作成された作品を、ただ展覧会で展示するだけではなく、お寺の襖や屏風など、もともとあった場所に展示することにより、オリジナルと同じ「空間再現」を可能にするという意味で、同プロジェクトは従来には無い、非常に高い意義を持つ「代替芸術」であると、考えているそうです。


制作プロセスとして驚いたのは、「入力:高精細デジタル画像データの取得」、「出力:世界最高レベルのプリンティング技術」に次いで、京都西陣の伝統工芸士による「金箔」や、やはり京都で最終仕立ての「表装」が行われている点でした。特に「金箔」においては、経年変化を表現する「古色」と呼ばれる風合いを重視した表現によって、作品の持つ年代も再現するそうです。


同プロジェクトは3年間で国宝・重要文化財を含む15作品以上を制作する計画で、第1期の5作品には上記の「松林図屏風」のほか、「八橋図屏風(尾形光琳筆、メトロポリタン美術館所蔵)」、「洛中洛外図屏風(狩野永徳筆、米沢市上杉美術館所蔵)」などがありますが、
これら作品は社会・文化貢献のみを目的として使用されるため1作品につき1点のみの制作とし、オリジナル所蔵元の社寺、博物館、美術館、学校などへ無償で寄贈されます。


以上が「文化財未来継承プロジェクト(綴りプロジェクト)」の概要ですが、俵屋宗達、本阿弥光悦、尾形光琳などの名品を目にした直後だけに、素直に感嘆しました。
以前の当コラムで触れましたが、「賢明な株主」として必要な4つの行動の第一番として、


「自分も世の中も幸せになる未来を想像しよう!まず自分がどんな未来、世の中を創りたいか、能動的に考えよう。」


というポイントをあげました。
決して同プロジェクトを協賛しているメーカーを推奨しているわけではありませんが、私にとって、そして日本にとって幸せで心豊かな世の中を創るため、こういう企業に是非頑張って欲しいなあと、率直に感じた一日となりました。
こういうことを感じる&感じさせてくれる機会は、みなさんの身の回りに沢山溢れているはずです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 08:17 | コメント (0)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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