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廣島 武 X 保阪 薫
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2008年12月19日

配当とROE

先日出席したある企業の決算説明会における質疑応答の際、参加者が「昨今の厳しい環境下、業績動向もかなり不透明ですが配当に関してはどうお考えですか?」と質問しました。

私は「その時点での環境や様々な要因を総合的に判断して決めたいと思います。」といった感じの、曖昧な回答をするのではないかと思ったのですが、社長は一言

「現在の配当額を死守します。」と答えました。減益で次の期も決して楽な環境ではなさそうで、役員賞与もゼロ。裏を返せば厳しい環境でもそれなりの見通しや自信があるということなのでしょう。
経営者のメッセージの重要性を改めて感じました。


ということで今回は株主にとって最大の関心事のひとつである配当について触れてみたいと思います。

配当に関する代表的な指標として頭に浮かぶのは、配当利回り、配当性向などがあります。

配当利回りは、「一株当たり配当額 ÷ 株価」であり、昨今の株安&低金利で長期投資の視点に立てば大変魅力的な銘柄も沢山見受けられます。(もっとも、まずはその企業の財務的安定性と今後の業績動向が前提とはなりますが。)
配当性向は、「一株当たり配当額 ÷ 一株あたり利益」です。


株主から資本を託されている経営者が、1年間の事業活動の結果稼ぎ出した利益からいかほどを株主に還元するかを示し、経営者の株主に対する考え方を表しています。
目標配当性向として明示している企業も多く、30%を掲げているケースが良く見受けられます。ただ何故30%かというと明確な理論的裏づけはなく、内部留保や役員賞与とのバランスで1/3程度というくらいの感覚でしょうか。


配当性向は株主に対する考え方を示す重要な指標ですが、分母である利益額の変動に大きく影響されてしまうという問題があります。安定的に利益が推移している企業やそういう時期は、問題ありませんが、利益が大きくぶれるケースでは目標配当性向を厳格に適用してしまうとあまりにも配当額が変動してしまいます。


そこでその欠点を補うものとして、自社株買いを勘案した「総配当性向」という考え方もあります。
自社株買いは前回触れたROEの向上を通じて株主のために貢献しますが、他にも発行株数の減少による一株当たり利益の押し上げや、株式市場における需給をタイトにすることにより株価への直接的なインパクトも期待できることから、株主還元の重要な施策と位置づけられており、配当額と自社株買いの金額を合計した金額を利益で割ったものが「総配当性向」となります。


もうひとつ、利益変動による影響を避けるために最近使われ始めている指標が「株主資本配当率(DOE:Dividends on Equity)」です。
これは、配当額を株主資本で割ったもので、株主資本は短期では大きく変動することは少ない点に着目したものです。


株主資本配当率を分解してみると、配当額 ÷ 株主資本=(配当額 ÷ 利益) × (利益 ÷ 株主資本) となり、これは「配当性向 × ROE」です。
つまり株主資本配当率の観点からは、高配当性向もしくは高ROEの企業が、株主重視の経営を行っていると見ることができるわけです。


またまたROEが出てきましたが、ROEを意識することが経営者にとっても株主にとってもいかに重要なことかが改めて理解できるのではないでしょうか。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 16:54 | コメント (0)

2008年12月12日

引き続き「ROE」について

前回に引続き、「ROE」を絡めた株価指標の見方について述べたいと思います。


昨今の株式市場の大幅な下落により、結果としてPER、PBRといった伝統的な株価指標が歴史的な低水準となっています。
12月11日(木)時点の株式市場全体を表す指標である日経平均のPER(予想ベース)は14.91倍、PBR(前期基準)は0.99倍、JASDAQ指数のPER(予想ベース)は15.74倍、PBR(前期基準)は0.99倍となっており、特に企業の解散価値と株価の比較であるPBRについては、1倍を割り込んでいます。

個別銘柄で見ても、財務内容に問題がありそうには思えなくても「現時点で会社を清算して、借金を返済した後の残余資産を分配したほうが有利」という水準まで株価が売り込まれている企業が、国際的な大企業に至るまで多数存在していることは、やはり驚くべきことです。


過去に例を見ない経済環境、金融環境ではありますが、割安株投資の一手法として、「PBR1倍割れ」という切り口が中長期の視点では有効であることは、間違っていないと思います。
ただ、PBRが1倍を割れているといっても、企業によってその背景には違いがあることには注意が必要です。


例えばPBRが0.1倍といったように極端に低い場合は、やはり市場はその企業の今後に対して危機的な見通しを発していると考えられますので、割安とは言い難いでしょう。
そうでなく、注意すべきはPBRが0.7倍とか0.8倍とかで、倒産の可能性が極めて小さいケースです。
1倍を割れているので、中長期的には多数の投資家が参加する株式市場であれば、理論的には1倍に近づいていくと考えられます。
しかし、ここで「ROE」が鍵を握り同じ低PBRの企業でも、投資判断に差異が生じてくる可能性があるのです。

PER、PBR、ROEの3者には以下のような関係があります。

PBR=PER × ROE
(時価総額/株主資本=時価総額/純利益 × 純利益/株主資本)

つまりPER=PBR ÷ ROE となります。

同業で、PBRも同じ0.7倍の企業がA社、B社あったとします。
PBRは同じですが、「ROE:効率的な経営を行っている指標」がA社は10%、B社は5%です。
そうするとPERはA社 0.7 ÷ 0.1(10%)=7倍に対し、
B社は 0.7 ÷ 0.05(5%)=14倍となります。
上記のように日経平均のPERが現在約15倍となっています。

投資家は絶対的な割安・割高で判断することもありますが、市場平均や同業他社と比べて相対的な判断も行います。
そうすると、PERの観点からは、B社については市場平均と比較して大幅に安いとは言い難い水準です。仮にPERで市場平均並みまで買ったとしても上値余地はせいぜい7%程度ですし、同業のA社と比べると割高と判断せざるを得ない状況です。


PBRは同水準でも、「ROE」によって株式市場における評価が大きく異なることがお解かりだと思います。
こうした観点から、企業は経営の効率性を高めるとともに、自社株買いなどによってROEの向上を目指しています。
前回触れたように高ROEの背景を分析することを前提として、ROEを高める努力を怠らない企業を探すことは、「株主となる」にあたって絶対に不可欠なポイントです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 18:18 | コメント (0)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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