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廣島 武 X 保阪 薫
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2009年11月13日

「経営の質」を見極めるには

前回のコラムでは、「本物の投資家たちからの夢をかなえる贈り物」という本を紹介し、特徴的なコメントを列挙しました。
他にも以下のようなアドバイスが紹介されています。

「優れた企業文化、人材、価値観を持った企業に投資すること。企業にとって最も大切な資産は人材。企業が社員をどう評価しているか、逆に社員が企業についてどう考えているか、経営陣や社員にじっくり聞いてみてください。企業理念が明文化されているなら、それに行動が伴っているかどうかを必ず見極めてください。明確なミッションの実現に向かって、全社員の意思統一がなされている企業を探すことも重要です。」


「多くの企業を研究した結果、私は7つのバリューリーダー企業(価値創造型の企業)を発見しました。売上高、利益率、株価パフォーマンスとも同業他社を凌駕する企業は、7つのバリュー・リーダーシップの原則を共有していることがわかります。
/祐峇愀犬鮟纏襪靴討い襦:成功している企業は社員を大切にすることの重要性を理解しています。社員に対して誠実に接すれば、社員は顧客に丁寧な対応をします。その結果、顧客はリピーターになる可能性が高くなります。
▲繊璽爛錙璽を強化する。:自己の利益を会社の利益に優先させています。
B審曚了餠發鯣颪笋気困房存海鮃圓Α:社員が積極的に企業文化としてこれに取り組んでいます。
ご覿箸箸靴討寮嫻い魏未燭后:事故等が起きた際、単に危機管理対応とすることに終始せず、企業理念に立ち返って意思決定し、素早い対応を行っています。
ゼ己満足を戒める。:成功しても、問題点を洗い出し、解決・改善するための分析を行っています。自己批判精神と改善を求める気概を特徴とする企業文化は、自己満足を打破し、企業を進歩させるうえで非常に重要な役割を果たします。
κ数の分野で抜きんでる。:一つではなく複数の分野で競争すれば競合他社が戦略でコピーするのが難しくなります。
地域社会に貢献する。:地域社会のニーズを理解し、そのニーズと会社の成長を融合させています。
投資家がこれらバリュー・リーダーシップを活用する上で大切なのは、その要素の強弱や高低を的確に判断することです。」


これらのアドバイスから、株式投資を成功させるには投資対象企業の「経営の質」を見極めることが大きなポイントであるということがわかります。


では具体的にどうやって「優れた経営がマネジメントしている企業」であるかを見極めるか?
そのためにはまず、「縦」と「横」という視点を持った比較分析が有効かと思います。
「縦」とは、その企業を過去数年にわたって調べること、「横」とは、他社(同業や場合によっては他業種も)と比較することです。


まず「縦」の分析における主要な項目を考えて見ましょう。

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<ポイント>
「経営者は株主から企業価値向上を追求した企業経営を委任されている」という株式会社の形態から、経営者が株主に対する約束をしっかりと実行できてきたかは当然ながらチェックすべき項目です。
<検証方法>
過去数年間にわたり、期初の業績予想と実績がどれだけ乖離していたかを決算短信、業績予想修正などのリリースでチェックします。
最近はHP上で数年分の決算短信やIRリリースが入手できるケースが殆どです。


下方修正が毎期相次いでいるケースはもちろん問題ですが、気をつけなければいけないのは上方修正です。株式市場におけるインパクトを狙って、初めから堅め、低めの予想を発表する場合も見受けられるからです。そもそも優秀な経営者であれば、売上、コストともに的確な計画を策定するでしょうから、毎期期初予想通りに着地(若干上目で)するのが理想型ともいえるでしょう。
また中期経営計画などを策定している場合は、その進捗状況をチェックすることも重要です。その際は、数字としての結果だけでなく、
・中期経営計画遂行のための施策がなにか?
・その施策を経営者が考えたとおりに実行できたか否か?
も調べる必要があります。


経営体制、企業理念、経営方針
<ポイント>
事業環境が大きく変動し、先行きの見通しが不透明な世の中ですから、企業そのものも変わらなければいけません。また逆に変わってはいけない部分もあります。
中長期の将来を見据えて事業を展開できる経営者および経営体制なのかをチェックします。
<検証方法>
1.大株主の構成
経営者と株主との間の信頼と適度な緊張の下に、経営者が思い切って経営手腕を振るうことができるのが理想です。大株主が頻繁に変わるケースは、株主の思惑もありますが、経営者が株主に信頼されていないこともあります。
四季報、有価証券報告書などでチェックすることができます。

2.取締役の数
企業の規模にもよりますが、迅速で有効な経営判断を実行していくにはやはり少数精鋭の経営チームであることが重要です。
取締役の数を時系列に調べ、減少していれば「経営革新に本気で取り組んでいる」と考えられるかもしれませんし、逆に合併、統合のためポストを作らなければならなくなっている企業であれば不必要な増員かもしれません。
有価証券報告書や四季報などで確認できます。

3.企業理念や経営方針
創業以来一貫した企業理念や経営方針も重要ですが、新たに企業理念を掲げた企業も注目してみると面白いと思います。
これもHP上でチェックすることができます。
厳しい事業環境下、より競争力を高め差別化を図るために、企業の進むべき道を顧客、従業員、取引先、株主などステークホルダーに対してより明確に示すことは経営者の大変重要な役割です。
新たに掲げた企業理念が「共感できる」ものであれば、「経営の質」を判断する重要な材料となるでしょう。


次回は「横」の分析についても考えてみたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 | 17:40 | コメント (0)

2009年11月05日

面白い本を見つけました。

仕事柄、本屋さんの「株式投資」のコーナーへよく足を運びます。ただ、「◎◎で1億円稼ぐ方法」といった、いわゆるノウハウ本を手に取ることはありません。
あったとしても、「確実に儲かる方法を体得して、そのノウハウを惜しみなく世の中に提供してくれる大変に奇特な人」がどんな素晴らしいご託宣を仰っているのか、少し興味があってパラパラと眺めてみるだけです。


そんな中、カテゴリーとしてはノウハウ本に入るのでしょうが、単なる儲け方の伝授などではなく、多くの個人投資家の皆さんに大変参考になると思われる本に出会いましたので、ご紹介したいと思います。
題名は「本物の投資家たちからの夢をかなえる贈り物」(著:リズ・クラマン、訳:福嶋俊造。エクスナレッジ)です。
(2007年発刊なので新しいわけではありませんが)


この本は、著者の個人のノウハウを提供する本ではなく、CNBC(米国のビジネスニュース専門放送局)で金融ニュースのキャスターを務めてきた著者が、多くの著名投資家や経営者との交流の中で知ることのできた、彼らの投資に成功するためのポリシーや座右の銘を紹介したものです。著者は「彼らが有益だと信じている考え方やアイデアが平明な言葉で語られています。ただし、『必ず成功する方法』を吹聴している投資家は一人もいません。」と書いているように、ウォーレン・バフェットやジム・ロジャース、ドナルド・トランプを含めた64名の投資家や経営者が彼らの経験と実績の中から、個人投資家が留意すべきポイントについて大変わかりやすくアドバイスを述べています。


スペースに限りがありますから全てをご紹介できませんが、私が「ふむふむ」と思ったものを以下、並べて見ます。


「第一のそして最も重要な原則は、株式を発行企業のビジネスと絡めて評価し、その事業内容をありのままにしっかり理解すること。必要以上に過大評価したり、ブローカーや第三者の言うことを鵜呑みにしたりしないことです。ビギナーはまず企業が投資家向けに公開している財務報告書などの書類を熟読しましょう。」
ウォーレン・バフェット
(バークシャー・ハザウェイ CEO)


「自分の興味や情熱の対象がはっきりわからなかったら、投資に手を染めてはいけません。私の経験から、興味のない対象に関して新聞や雑誌をいくら熟読しても大きな成功を得ることはできないと断言できます。日常生活の中で興味のある対象に焦点を合わせ、試行錯誤しながら相性のよい企業を特定することです。そしてその企業のアニュアルレポートを熟読してさらに知識を深化させましょう。」
ジム・ロジャース
(投資家。冒険家)


「成功した企業投資に共通する三つの特徴が浮かび上がってきました。まず、健全な市場でビジネスを行っている企業に投資すること。第二に、優れた企業文化、人材、価値観を持った企業に投資すること。第三に、常に自己改革を怠らない企業に投資すること。」
スタンレー・M・バーグマン
(ヘンリー・シャイン社CEO)


「人々がよく犯す過ちは、短期間で儲けようとして株式投資に手を出すことです。短い時間で儲けようとすること自体、株式投資に相容れないのです。」
スコット・ブラック
(デルファイ・マネジメント 社長)


「内容を理解できない投資案件には手を出さないこと。また投資対象企業のトップの資質、過去の業績、中核価値に注目し、信頼に足るかどうか自問してみましょう。」
アート・コリンズ
(メドトロニック CEO)


「投資関連のアドバイスで理想的なものは、自分だけが儲けるのではなく、第三者(社員、投資家、顧客、地域)に真に貢献するプロジェクトへの投資を促すものです。このアドバイスに忠実であれば、成功したときの思い上がった態度や不必要なまでの興奮は抑制され、大きな失敗を未然に防ぎ、最終的には相応の成功を達成する可能性が高まるのです。」
ジム・ハケット
(アナダーコ・ペトロリアム CEO)


「投資について私なりの助言をするとすれば、『業務内容をはじめとして、全体像が把握しやすく、しかも長期的な成長とリーダーシップを重視している企業を物色する』ということを挙げておきましょう。投資先を決定する際は、
・ビジネスモデルや戦略を簡単な文章で表現できるか
・明確な目標と長期的に一貫した戦略を持っているか
・消費者や顧客を常に注視しているか
・業界の主要なサプライパートナーや流通パートナーと長期的に良好な関係を維持しているか
・長期的に会社を牽引できるリーダーを育成しているか」
A・G・ラフリー
(P&G CEO)


「企業価値について確信していることがあります。すなわち、『企業価値は、経営幹部の質や社員の質と直接関係している』ということです。投資家は投資対象の候補に挙がっている企業のリーダーシップの質を注視・分析すべきです。」
アンジェロ・モジロ
(カントリーワイド・フィナンシャル・コーポレーション CEO)


「私は父の教えを忠実に守っています。その教えは以下の通りです。『株式市場で成功する唯一の方法は、優れた幹部が経営している企業に投資することだ。そして、不測の事態に備えて準備を怠るなということだ。』」
トム・ライアン
(CVSコーポレーション CEO)


「株式の銘柄選びの三要素は、ビジネスモデル、収益の将来性、そして最も重要なのがマネジメントの資質です。」
マイルス・ホワイト
(アボット・ラボラトリーズ CEO)


「投資対象となる企業を見極めるポイントは以下の三点に要約できます。
〕イ譴織蝓璽澄爾いるか
⊆匆颪ら大いに嘱望され、必要とされている製品やサービスを提供しているか
将来も長期的に市場を確保していけるか」
ジョー・リー
(ダーデン・レストラン 前会長)


長期投資、分散投資、リスクを知ること、うまい話には裏があること、など投資の基本というべき点に多くの投資家や経営者が触れており、株式投資においてこれらの原則は「真実」と捉えるべきなのだと再度認識しました。


そして、ここに挙げたように多くのメンバーが「経営の質」に言及していることが印象的でした。ざっと数えてみたら、64名中、14名が「経営の質」に触れています。
当たり前ではありますが、まさに「企業は人なり」ということも「真実」であり、株式投資における最重要ポイントの一つということです。


さて、それではどうやって「経営の質」を見極めるか?
次回以降はその点について考えてみたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 17:34 | コメント (0)

2009年11月02日

株式公開とIR

今年の新規上場企業数は現時点で40社程度にとどまると言われています。昨年が69社、その前が161社。ピークは200社を超えていたことを考えると、いくら環境が悪いといっても、その変わり様には驚きます。
経済環境が悪く、企業の業績も芳しくないこともありますが、「上場メリット<上場デメリット」というのが、大きな背景です。

こうした環境下、上場するとはどういうことなのか?またIR活動との関係はどうあるべきか?を、改めて考えてみたいと思います。


株式上場の目的は、信用力の向上や優秀な人材確保ということもあるでしょうが、最大のメリットは「資本市場からの資金調達」であるのは言を待たないでしょう。

そして、市場からの直接金融のみならず銀行など金融機関からの間接金融による負債資本コストによる調達も合わせて、より低い資本コスト(株主資本コストと負債資本コストの加重平均。株主資本コストは、株主がその企業に投資するに当たって要求するリターンで、リスクがある分、負債資本コストよりも当然高くなります。またよく誤解されますが、配当金総額のことではありません。)による資金調達が可能になります。そしてこの調達資金による投資の成果として成長を加速させること。

これこそが上場企業としての大きなアドバンテージです。また、M&Aにおいても株式交換という手法では、株券をまさに紙幣同様に利用することも可能になるわけです。


しかし一方で、最近の株式市場においては、MBO(マネジメント・バイアウト)による非上場化という選択をする企業も急速に増加しています。
厳しい企業間競争を勝ち抜くためのドラスティックな戦略の実行には、株主価値の増大が企業の大きな課題となった現在、外部株主・投資家の視線を意識せずにすむ非上場化こそ適切という判断です。
また、やや沈静化した気配はあるものの敵対的TOBの実施、情報開示体制の強化に伴う四半期開示の義務化、内部統制報告書作成など、上場に伴うリスク、負担、コストも急速に増大しています。

こうした諸条件を総合的に勘案して、株式を上場することのプラス・マイナスを真剣に判断することが経営者に求められており、現在は「マイナス>プラス」と判断する経営者が増加しているということになります。


他方、デメリットもあるものの総合的には「プラス>マイナス」と判断し、上場を選択したのであれば、適切かつ積極的なIR活動を通じて常に適正な株価を投資家からの評価として受けることができる体制を構築することは、経営者の極めて重要なミッションであるといえるでしょう。

約9年間にわたり、個人株主作りを中心に数多くの企業のIR活動をお手伝いしてきた立場から見ると、明確な目的意識を持って本質的なIR活動を展開している企業は、着実に増大していると感じます。
IR(Investor Relationship)とは文字通り投資家との真剣な対話を通じた関係構築であり、単純なディスクローズではありません。自社の言いたいことを一方的に伝えるものでもありません。
特に個人投資家に対しては、認知度を向上させるためには業績の好・不調にかかわらず継続的に、わかりやすくメッセージを伝えることが肝要です。

この点をしっかりと理解している企業は、継続的なIR活動を通じて、また解りやすいコンテンツを発信し、共感してくれるファンとしての株主を着実に増やすことに成功しています。
ただ反対に、IRを義務としてしか捉えず、体裁のみ整え、自ら一歩踏み込んだ対話を志向しない企業があることも事実ですが、そうした企業に投資家がシンパシーを持たないのは当然の帰結でしょう。

上場の意義と本質的なIR活動の重要性。経営者はこの二つを改めて真剣に考えなければならない時期に来ています。
同時に個人投資家のみなさんは、その真剣さ度合いをIR活動を様々な角度から見渡すことで吟味し、「これは」と思える企業を発掘していって欲しいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 10:08 | コメント (0)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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