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廣島 武 X 保阪 薫
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2010年01月27日

JALの破綻で思うこと

日本航空が会社更生法の適用を受けることとなりました。負債総額2.3兆円は事業会社では過去最大とのことです。また公的資金枠9000億円も用意されるそうです。


今回の倒産が意味するものは、マスコミによると「政官業の持たれ合い構造に終止符」、「透明性の高いシステム構築の必要性」などだそうですが、私が良く解らないのは公的資金を使ってまで再建に取組まなければならない必然性と、一歩譲って日本のロジスティックスに大きな影響が出ることを避けるという必然性を認めたとしても、その必然性を国民に理解させるプロセスがあったのか?という点です。

まあ、こうした問題は時間の経過と共にうやむやになるのが常のようですが、国民は今後の再建の行方もっと関心を持って注視する必要があるのではないかと思います。


さて、今回の件を投資家の観点から考えてみると、いくつか考えさせられる事実を指摘することができます。


昨年11月の当コラムで「経営の質」を見極めることが重要であるということを述べ、そのポイントの一つとして、「取締役の数」をあげました。
日本航空の場合はどうでしょう?
社長1名、副社長3名、常務取締役3名、取締役8名の実に合計15名でした。
もっとも同業の全日空はJALを上回る17名!! 新規参入したスカイマークはグッと減って4名。ちなみにJALと似た、他の「官的企業」を見てみると、東京電力は20名、NTTは12名、JT9名などとなっています。
何人が適正とは断言できませんが、取締役の数と経営の質には高い相関関係があるのではないでしょうか。


また、四季報で日本航空の株主構成を見てみると、2009年9月30日の大株主第5位は日本航空グループ社員持株会で保有株数37,017千株となっています。これが、半年前の2009年3月末は37,302千株、2008年3月末は38,326千株ですから、1年半で130万株減少しています。

従業員の退職が増え、退会したりといった理由もあるかと思いますが、重要なステークホルダーである従業員の気持ちも会社から離れていったと取れるかもしれません。

(余談になりますが、私が大学4回生となって就職活動を開始した頃、もう二十数年前になりますが、複数の先輩から「JALだけはやめておけ。」と忠告されたのを覚えています。当時、JALといえば大学生の就職人気ランキング上位の常連でした。
先輩が「やめておけ」と忠告した理由としては、関連する方もいらっしゃるでしょうからはっきりとは書きにくいのですが、自分の将来を見据えて仕事をするための環境ではない、ということでした。)


さて話は変わりますが、前回の当コラムで今年は企業にとって「より投資家を意識した経営を目指すことを求められる年となる」であり、その意味するところを表すキーワードは、

・公開会社法
・独立役員制度
・コーポレート・ガバナンスの充実
・議決権行使結果の開示

などであるということを書きました。


そこで、過去1年間の適時開示情報から、「議決権行使結果を開示した企業が何社あるか?」を調べてみたところ、22社が、というか22社しか見つけることができませんでした。
日本企業の取組みはまだまだというのが実状です。


そんな中、東証1部上場のシンプレクス・テクノロジーという会社は、今年の1月19日に「過年度(第11 期および第12 期) 定時株主総会における議決権行使の結果に関するお知らせ」というリリースを行い、平成20 年6 月21 日に開催した第11 期定時株主総会、および平成21 年6 月21 日に開催した第12 期定時株主総会における議決権行使結果を開示しています。

同社はこのリリース内で、過年度定時株主総会における議決権行使結果の開示を行う背景について、以下のように述べています。


「当社は、2009 年11 月2 日に上場企業初となる「IR 宣言」を明確に宣言・公表し、IR 活動を経営の重要項目の一つと位置づけ、中長期的な株主満足度を高めることができるIR 活動を実施しております。
このたびの過年度定時株主総会における議決権行使結果の開示も、「開かれたIR の推進」に向けた取り組みの一環として位置づけております。会社の最高意思決定機関である株主総会の透明性を高めていくことで、投資家・株主の皆様からの信頼度を向上させていきたいと考えています。
当社は今期以降も株主総会における議決行使結果の開示を行う方針です。今後も引き続き、株主・投資家の皆様の声に真摯に耳を傾け、対話の内容を経営にフィードバックする双方向性の高いIR を展開し、社会の公器たる役割を果たしてまいります。」


まさに、株主・投資家を意識した経営を推進することを明言しているわけです。

日本企業、日本の株式市場の行く末に対しては悲観的な見方が多数のようですが、こうした取組み、姿勢がより多くの上場企業に広がり、名だけではなく実を伴った経営が行われてくことをきっかけに投資家の信頼が醸成され、例えば「日本企業って、新興国みたいな派手さはないけど、真面目でいいじゃない。」といった評価につながることが、日本企業・日本株が再浮上するための道の一つかもしれないとも思います。

(ちなみに、シンプレクス・テクノロジーの取締役は5名です。)

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 | 16:15 | コメント (0)

2010年01月12日

より投資家を意識した経営が求められる年

新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。


昨年の前半は金融危機の影響で「これから世界はどうなってしまうのか?」という不安一色でしたが、後半に入ると円高などもありましたが、やや持ち直して1年が終わりました。
(民主党政権の動きを見るとまだまだ安心するのは早そうですが、)今年の株式市場で注目されそうな話題、テーマはいろいろ上げられていますが、「株主になること」という視点から私が最も注目しているのは、企業にとって「より投資家を意識した経営を目指すことを求められる年となる」ということです。

その意味するところを表すキーワードは

・公開会社法
・独立役員制度
・コーポレート・ガバナンスの充実
・議決権行使結果の開示

といったところです。
それぞれのキーワードを簡単に説明します。


<公開会社法>
上場企業を対象に、情報開示や会計監査の強化を促すことを趣旨とした法律で、政府が法制審議会に諮問する方針を固めています。
民主党が昨年7月にまとめた素案が議論のたたき台となるようで、趣旨はヾ覿氾治の強化、⊃堂饉劼了匆饉劼紡个垢訐嫻い筝限の明確化、情報開示の徹底です。
株主のみを重要なステークホルダーと位置づけるのではなく、監査役の一部を従業員代表から選任することなどが争点になりそうです。経営の透明性を高める点を評価する声がある一方で、機動的な経営ができにくくなるなどの声もあります。


<独立役員制度>
上場企業は今年3月末までに社外取締役・社外監査役の中から「独立役員」を1人以上選び届けなければなりません。選任できない場合は罰則の対象となります。(2011年以降)
親会社の業務執行者、主要な取引先、報酬を得ているコンサルタントなど、経営陣と利害関係があっていけません。
ただ、ふさわしい人材を確保するのはなかなか難しそうではあります。


<コーポレート・ガバナンスの充実>
東証は昨年12月「上場会社コーポレート・ガバナンス原則」を改定しました。
主な改定点は、〃弍弔離哀襦璽弉修凌陛犬鬚佞泙─▲魁璽櫂譟璽函Εバナンスをグループ全体で実現する必要性を追加、監査役の機能強化の観点から留意すべき点を追加、「多くの上場会社にとって、株主・投資家等からの信認を確保していく上でふさわしいと考えられるコーポレート・ガバナンスのモデル」3類型を備考として付記。の3点です。
同時に、「上場制度整備の実行計画2009(速やかに実施する事項)」において、コーポレート・ガバナンス体制に関する開示の充実を掲げており、上記の「独立役員」に関しても、独立役員を確保できているか?などをコーポレート・ガバナンス報告書において開示することを義務付けています。


<議決権行使結果の開示>
現在の会社法では賛否の票数の集計、開示は求められていませんが、東証は株主総会での議決権行使結果を開示するよう求めることとしました。
現在でも開示を行っている企業もありますが、まだまだ少数です。
議決権行使結果が開示されれば、企業の考えと株主の考えがどの程度一致、もしくは離れているかがより明瞭になり、企業としては、株主に理解してもらえるような対話を進めていく必要性が益々強まります。


以上4つのキーワードから導き出されるものは、要約すれば「情報開示の強化と経営体制の透明化」ということです。

中でも、情報開示の強化は、企業にとって株主に対する説明責任の強化にとどまらず、より広範な投資家を意識した経営に向わせると考えられます。
例えば議決権行使結果の開示に関して言えば、賛否の数字はあくまでも現在の株主の考えを示したものですが、「役員の選任」、「役員報酬の開示」、「独立役員の選任」といった重要な議案に対しての企業と株主の考え方の遠さ・近さは、まだ株式を保有していない投資家にとっては大変重要な投資判断のための材料となるでしょう。
また、現在の会社法は基本的には「企業と株主」の関係を対象としていますが、前述のように公開会社法では対象とするステークホルダーの範囲を広げており、株主以前の「投資家」もその対象となると考えられます。

このように、今年から企業が義務付けられ、あるいは取組むべき諸制度は、より一段と投資家の視線、投資家との対話を意識した企業活動につながるものになると考えています。
それでは、そうした環境下で個人投資家が行うべきことは何でしょうか?


私は、最も重要なのは企業が開示した情報を、より丹念に読み込んでいく努力になると思います。
現在株式を保有している企業はもちろんのこと、「応援すべき企業候補」に関しても、経営の透明性、ステークホルダーに対する意識などがどの程度高いか?あるいは低いか?を明確に判断しやすくなるはずです。
真剣により多くの投資家にファンになってもらいたいと考えている企業であれば、義務付けにとどまらず質・量両面で積極的な開示を行っていくでしょうから、個人投資家としては他社比較を繰り返し行って、有用な情報を今まで以上にたくさん得ることができるような環境となるでしょう。
逆に、そうした環境を有効に活用できるか否かも、個人投資家個々の意識にかかってくるとも言えそうです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 | 11:03 | コメント (0)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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