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2010年09月30日

日本の高成長・低配当性向企業をピックアップ

読売新聞東京本社広告局との共催による個人投資家向けIR説明会「読売ブリッジサロン」を8月28日からから先週の9月25日まで計5回開催しました。毎回たくさんの個人投資家の方々にお集まりいただきましたこと、この場をお借りして御礼申し上げます。

読売ブリッジサロンでは、各回冒頭に弊社スタッフによる「株式市場ワンポイントコメント」という時間を設けています。これは、現在株式市場で話題になっていたり、是非個人投資家の皆さんが知っておいた方がいいというポイントについて、15分程度で簡潔にまとめたもので、毎回ご好評を頂いているコーナーです。

第5回目の9月25日は私が「配当について」というお話をさせていただきました。
内容は、このコラムで何度か述べたことです。

・高配当、高配当性向は、株主にとって一般論としては望ましいことである。
・ただし、企業のステージ、特に高い成長を遂げている際は必ずしもそうはいえない。
・そうしたステージに高い配当を要求することは、長期的に見ると企業にとっても、株主にとってもマイナスとなってしまう危険性もある。
・投資家は投資を行う際、「成長」と「配当」どちらを重視する投資なのかをしっかりと意識する必要がある。

資本市場が成熟した米国ではこうした考え方は企業側、投資家側双方に浸透しているようで、投資の教科書にはそうした記述が見られますし、企業側は明確な配当政策によって、そうした考え方をはっきりと行動に表しています。
マイクロソフトは長い間無配を継続していたことで有名ですし、グーグルは現在でも配当を行っていません。

そこで日本企業で、業績は好調ながらも無配もしくは低配当性向によって投資を優先するステージであることを示している企業は何社くらいあるかを、スクリーニングしてみました。


<スクリーニング条件>
・前期実績、今期予想共に、10%以上の増収・営業増益
・予想配当性向 15%以下
・対象は会社四季報掲載の金融機関以外の一般事業会社

参考までに2010年度の予想PERも併記しました。


image100929.JPG


結果として20社がピックアップされました。


20社が多いのか少ないのかは明確な根拠がないのでなんともいえませんが、私個人の感想としては「少ないのかな」と思います。


ただ少ない理由が、日本企業が明確な配当政策を示していないのであれば、今後企業側の意識の変化を期待することもできますが、日本の株式市場自体に成長企業が少ないのだとしたら、根本的な問題でちょっと憂鬱になります。

それはさておき、20社の顔ぶれを見ると、現在の日本を代表する成長企業がいくつも見受けられるようです。
クックパッド、カカクコム、エムスリーなど、PERを見ると既にかなりの評価を受けている企業もありますが、まだまだ低PERの銘柄もあります。詳細を調べてみる価値は十分あるかと思います。

株主として中長期で成長を享受できる企業選びは、株式投資の最大の醍醐味です。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 13:40 | コメント (0)

2010年09月15日

またまた「配当と投資」について

前回は、近年日本企業が投資よりも配当を重視している傾向が強まっており、それが国際競争力の低下につながっている可能性があり、経営者はもっとリスクをとった経営を行うべきだという一橋大学の野間准教授の論文をご紹介しました。

そこで今回は、そうした傾向のある中で、反対に、競争力を向上させ、企業価値を高めるために研究開発投資を継続的に増大させている企業を選び出してみました。


スクリーニング条件は以下の通りです。

「研究開発費(R&D費)を今期予想も含め、3期連続して5%以上増加させている。」


上位30社を、今期のR&D費増加率の高い順に並べました。また、参考のために、株価、時価総額、予想PER、今期営業増益率、配当性向も併記しました。

<list-1100915.JPG


(R&D費は単位:百万円。増加率は%、PERは倍、配当性向は%)


なかなか興味深い顔ぶれが出てきました。


例えば、1位の中央電気工業は、黒鉛に代わると期待されているリチウムイオン電池材料の車載用サンプル商品の製造を手掛け始めています。

2位の石井表記も、プリント基板製造装置メーカー最大手ですが、近年は太陽電池設備にも注力しています。

PERが10倍以下で割安感があるところでは、6位のオーナンバ。
太陽光発電配線ユニットで先行し、米国、欧州、中東など海外展開にも積極的です。


また、24位のシンプレクス・テクノロジーは、以前ご紹介した他のスクリーニングでも良く出てくる成長銘柄の常連ともいえる企業ですが、やはり積極的な投資を継続しています。

配当性向は10%台ですが、株主総会での質問に対して金子社長は以下のように回答しています。


「配当性向については、第2 次中期事業計画中は10%〜15%を想定しています。配当は会社財産の外部流出であり、内部留保とのバランスが重要と考えています。

一株主としての金子の個人的見解は、配当を0 として、再投資にまわしてもらいたいと考えています。というのも、当社はROEが30%を超えている状態なので内部留保を厚くして再投資して成長を加速させることが合理的と考えているためです。

ただし、これはあくまでも個人的見解であり、いろいろな考え方があることは理解しています。多様な株主の皆さまのいろいろな考え方のバランスをとることを念頭に検討した結果が、配当性向10%〜15%であると考えています。

なお、上記の議論は現在の成長率および資本効率を前提とするものであり、成長が鈍化すれば、それに応じて配当性向も上げるべきと考えています。」(同社HPより


こうした投資と配当についての明確な考え方をしっかりと株主、投資家に伝えている企業は、以外に少ないように感じます。


以上のように、このリストを元に個別で詳しく見ていくと面白そうな銘柄がドンドン見つかりそうです。


混迷した日本の政府が適切な競争力強化策を打ち出し、実行できるかは疑問(個人的には期待していません。)ですが、個別企業においては優秀な経営者が厳しい経営環境にも関わらず、企業価値を高めるために様々なアクションを起こしているということは是非知っておいていただきたいと思います。


また、企業の成長ステージによっては、株主が配当引き上げを要求することが、長期的に見れば企業の成長力を低下させ、結果的には株主がデメリットを受けることが有りうるということも、是非認識しておいてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 19:11 | コメント (0)

2010年09月06日

配当と投資について

数回前の当コラムで、「配当性向について」述べましたが、今回も株主にとって関心の高い「配当」について、企業の行う「投資」との関係について考えてみたいと思います。

企業の成長力が十分高い場合は、本来的には企業が生み出したキャッシュを、配当として外部に流出させるのではなく、設備投資や研究開発投資に回し、さらに成長力を高める方が、企業はもちろん投資家にとっても高いリターンに結びつくこととなります。


反対に企業が成長期を過ぎ、成熟期に入っている場合は、企業としては投資機会・投資額ともに少なくなっていますから、手元に現金を置いておくのではなく、配当や自社株買いによって株主還元を行う方が、株主にとってはメリットが大きくなります。


言い換えれば、「成長を目指し、競争力を高め、企業価値向上のために投資する機会を探しだし、投資を行うことが第一義。もし投資機会が見つからなければ配当で余剰資金を株主に還元する」のが、企業及び経営者の役割と言うことができるでしょう。
株価は企業がコントロールすることはできませんが、「投資」と「配当」は企業経営者にとっては、もっとも重要な意思決定事項であるのです。


そんな中、日経新聞の経済教室において、一橋大学准教授の野間幹晴さんが、日米の企業経営に関する通説について、下記のように大変興味深い指摘をされていました。


(1)「日本企業に比べ米国企業は株主還元を手厚く行っている」という配当政策に関する通説があるが、有配企業(上場企業のうち配当を行っている企業数の比率)は日本がほぼ横ばいなのに対し、米・英・カナダ・ドイツは低下傾向にあり、2009年では日本が86.5%に対し、米国は30.2%と日本が突出している。


(2)「米国企業は短期的・近視眼的な投資を行うのに対して、日本企業は長期的な視点に立って設備投資や研究開発投資を行う」という投資政策に関する通説があるが、1985年から2009年の間に前年より設備投資を減らした企業の比率は、日本は平均47.1%で、米・英・カナダ・ドイツ・フランス・韓国を合わせた7カ国の中で最も高い。研究開発投資についても、同期間で削減した企業の比率は日本が41.5%に対して米国は22.5%で米国の方が低い。

1985年から1989年という日本企業が高い国際競争力を誇っていた期間でも、減らした企業の比率は日本が24.0%で7か国中もっとも高く、米国は14.9%にとどまる。1980年代後半、日本企業は長期的視野に立った投資を行っているから国際競争力が高いと評価されていたが、皮肉にも既に他の国々より研究開発投資を減らす企業が多かった。
90年以降に日本企業が衰退していった一つの原因は、80年代後半から競争力の源泉である研究開発投資を削減していたからだろう。


(3)2000年以降、日本企業において設備投資あるいは研究開発投資総額を配当総額で割った比率は低下している。これは経営者が設備投資や研究開発投資よりも配当に重きを置いてきたことを示唆する。


というように、日本の企業は通説とは違って、投資より配当を優先させている傾向があり、企業価値を高めるためには経営者はリスクをとって投資を行うべきだとの論旨です。


この記事を読み、私も、国際的な競争力を失いつつあるように見える日本企業において、「投資」と「配当」がどんな状況になっているかを概観してみようと思い、四季報CD−ROMで調べてみました。


「設備投資+研究開発投資が、配当総額を上回っている企業」つまり、成長を目指した意思決定を行っている企業といえる企業ですが、


3期前 2,146社
2期前 2,058社
前期  1,886社


と年を追って減少しています。


また、「設備投資+研究開発投資」を3期前に比べて増大させている企業数が616社だったのに対して、配当総額を3期前に比べて増大させている企業数は729社と上回っています。


野間准教授も指摘されているように、経営者の本質的な役割は競争力強化のために、リスクをとって「どこにどれだけの投資を行うか?」を決定することでしょう。
ところが上述した様々なデータからは、実際にはそうした本来的な役割を果たさず、積極的に投資を行っている経営者は思ったより多くない、というのが実状のようです。

もちろんこれは日本企業全体を見た際の傾向であり、個別企業を見れば、株主還元とのバランスをしっかりと考えつつも、競争力強化のためのリスクをとることのできる優秀な経営者もいることでしょう。

投資家として「配当」と「投資(設備投資、研究開発投資)」をどう考えるべきか?、という問いは、なかなか難しい問題ではありますが、個人投資家のみなさんが必ず行うべきアクションは、「配当と投資について経営者がどのように考えているのか?」、また「どれだけ明確なメッセージを語っているか?」を知ることであるのは間違いありません。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 08:47 | コメント (1)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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