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廣島 武 X 保阪 薫
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2010年11月26日

MBO、TOBの増大と個人投資家

株式の非上場化が目立ちます。
直近でも、サザビーリーグ、幻冬舎など個人投資家のみなさんにも比較的認知度のある企業が、MBO(経営陣が参加する買収)、TOB(株式公開買い付け)などによって上場廃止の道を選択しています。
MBO、TOBに株式統合や株式交換、経営統合で上場廃止となった企業数は2009年が117社、2010年はやや減少したものの、76社となっています。(いずれも発表ベース。予定も含む。当社調べ)

一方でIPO(新規株式公開)は、ポカリスウェットの大塚製薬をグループに持つ「大塚ホールディングス株式会社(12月15日公開予定)」、化粧品を中心事業とする「株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(12月10日公開予定)」など大型案件も予定されていますが、全体としては引き続き低調です。


年間IPO件数は、2010年11月25日現在で22社の予定と、2009年の19件を上回りはしますが、2000年の203社、2006年の188社と比べると約十分の一という低水準にとどまっています。


株式上場というと、事業を成功させた証としての名誉や、保有株式売却による創業者利益の獲得、社会的信用度の向上、優秀な人材の採用など多くのメリットがあることは皆さんもお解かりかと思いますが、一方で近年はデメリットも強まっているのが事実です。(特に経営者の立場から。)

先日、昨年TOBを実施して非上場となった企業の社長とお話しをする機会があったのですが、やはり「上場維持のためのコストが大きく減ったことが最も大きい」と、明るい声で仰っていました。
ここで言うコストとは、監査法人の報酬、証券取引所に支払う費用、IR費用など、損益計算書に計上される直接のコストはもちろんですが、そのために関わる時間、準備といった目に見えないコストも含まれています。


経営者として、メリットとデメリットを比較考量し、現時点での自社にとってどちらが有利かを選択するわけですが、ある程度事業を成功させ、創業者利益も獲得し、特に大量な資金を調達する必要がなければ(仮に資金需要があってもこの低金利であれば間接金融でも可能です。)、「上場」はコストばかり嵩むという認識になっても仕方がないのかもしれません。


また、未上場企業においても、現在の株式市場に上場して調達できる資金がそれほど多くを望めない状況では、上場後の様々なコストを考えると、上場を目指さないという企業も増えているようです。
もっとも、IPO件数の減少は、この経済環境下で、収益の上で上場基準を満たせないという背景もありますが。

ところで、以上の要因はあくまでも「企業」の立場から見たお話であり、IPO減少、非上場化の進展は、個人投資家にとってどういう意味を持っており、どのように考えればいいのでしょうか?


資本市場の効能として「資金の効率的な再配分」というものがあります。
これは、簡単に言えば、投資家はその時々に、どの企業が将来性があり、どの企業が将来性に乏しいかを見抜いて、保有する資金を証券の売買によって再配分するというものです。
もちろん個々の投資家においては結果的には常に正しい投資判断とはなっていなくても、投資家トータルの判断の結果である「市場」においては、中長期的には経済的、社会的に存在意義のある企業に資金が配分されるというものです。


そうした観点から言えば、個人投資家にとってIPO減少、非上場化の進展は、企業や市場関係者の思いとは異なり、以下のようなプラス面もあるといえそうです。

<プラス面>
全てとは言いませんが、上場している意味のない企業の退場は、投資家にとっては大事な資金を無駄に投資する機会を減らしてくれているかもしれません。


非上場化を選択した企業の中には、私の感想ではありますが、株主や投資家を重視する意識の極めて希薄な企業もありましたし、将来性という観点からは、社会的な役割は終えたと感じられる企業もありました。

そうした企業が退場することは「資金の効率的な再配分」という意味からは大いに歓迎されることといえます。
IPOの減少についても、「日本経済停滞を示すものであり、もっと元気な企業の登場が待たれる」という声が市場関係者からよく聞かれますが、粗製乱造で結果的に投資家が迷惑する企業なら上場しない方がましであることは自明です。


一方でマイナス面に目を向けてみると、結果的にはプラス面の逆写しですが、本来は資本市場をもっと有効に活用し、大きく成長していく可能性のある企業や、現在でも収益、財務両面でも優良な企業がMBOやTOBで非上場化しているのも事実です。(昨年12月に上場廃止したバリオセキュアネットワークスなどは、その代表例かもしれません。)


反対に、どう考えても投資家にとって上場している意義が見出せない企業が上場を維持し、様々な事件に発展していくケースも見受けられます。

IPOについては、明るく豊かな未来造りに貢献する企業が多数登場することが望まれることも事実です。


こうした課題を修正するには、「新陳代謝が正常に機能する株式市場」の実現のために、適正なIPO審査の実施、退場ルールの厳格化など、個人投資家の手の及ばない分野において、市場関係機関がしっかりとした制度構築することが強く望まれます。


同時に個人投資家としては、「無駄な投資機会が減った」くらいに構えて、プラス面を十分に活かす姿勢で株式投資を考えればいいのではないでしょうか?

以前にも申しましたが、「他人のお金を他人のために投資するのが仕事」の機関投資家とは違って、「自分のお金を自分のために自分の感性にマッチした企業に、仕事ではなく投資することができる」のが個人投資家の最大のアドバンテージです。

ゆったり構えて応援投資すべき企業探しを心がけていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:18 | コメント (0)

2010年11月12日

「活動的な株主」になる

前回のコラムで、「責任投資原則」をご紹介しました。コラムにも書いたように、6つの原則から成立しています。

 


この原則は、資金運用を受託している機関投資家が負う責任について規定したものではありますが、中でも「(2)私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます」は、個人投資家の株式投資においても是非参考すべきものと考えます。


おさらいですが、「ESG問題」とは、E=Environment(環境)、S=Social(社会)、G=corporate Governance(コーポレートガバナンス、企業統治)の略です。

 責任投資原則の重要なポイントであるESG課題については、企業間を比較するための個別企業における定量的な評価方法が、機関投資家の世界でも未だ確立されているわけではありませんが、そのベースとなる考え方については、個人投資家の皆さんには、特に弊社が提唱している「応援投資」の観点から是非考えてみていただきたいと思います。


 責任投資原則の6つの原則においては、それぞれについて「考えられる実施例」があげてあります。
(2)については、以下のようになっています。

・ 本原則に沿って活動的な(株式)所有方針を検討しそれを開示する。

・ 議決権を行使する、あるいは(もし外部委託されているのであれば)議決権行使方針に準拠しているかを監視する。

・ (直接あるいは外部委託を通してのいずれかの)エンゲージメントの能力を促進する。

・ (株主権利の促進・保護などといった)政策、規則および基準設定の開発・策定に関与する。

・ 長期的視点に立ったESGに配慮した株主決議案を提起する。

・ ESG問題について企業と話し合い働きかけ(エンゲージメント)を持つ。

・ 共同のエンゲージメント・イニシアティブに参画する。

・ ESG関連のエンゲージメントを引き受け、それに関して報告するよう運用マネージャーに依頼する。


ここでいう「活動的」とは、「株主責任を自覚したモノいう投資家」ということを指し、株主責任を意識した責任ある投資家として活動的であることを意味すると補足説明されています。


 株主責任とは本来は受託者責任を負う機関投資家の責任ではありますが、地球規模での持続可能な成長を遂げるための投資家の責任とも捉えられます。アナン事務総長はこの責任投資原則のための会議において参加した多くの機関投資家に対し、「今、世界はあなた方の手の中にあることに気付いていらっしゃいますか?」と問いかけ、機関投資家の責任の大きさを説いたということです。


 また文中の「エンゲージメント」とは本来は契約とか両者間の取り決めといった意味ですが、ここでは、「株式所有者による企業への関与のことを指します。一般的には議決権行使にとどまらないで、そのほかの方法(直接対話など)も含む概念として認識されます」と説明されています。


「考えられる実施例」は機関投資家を想定したものですから、全てを個人投資家が同じように実施するのは難しいものも含まれています。

 しかし、この「考えられる実施例」にもあるように、「明るく豊かな未来造りのために株主としての責任や役割を自覚し、積極的に企業と対話することをこころがける」ことは、応援投資の立場からすれば個人投資家にも十分実施可能です。


具体的には、
・ 企業が発信する様々なメッセージを収集し、ESG要因を含めて明るく豊かな未来造りにどう貢献する企業なのかを知る。


・ 株主総会に出席する。またそれにとどまらず、様々な機会を通じて株主として積極的に企業とのコミュニケーションを図る。


といったことであり、取り立てて難しいものではありません。

 他者からの制約を受けることなく、自分自身の感性で共感できる企業を選択できるという、機関投資家にはない個人投資家特有のメリットを最大限に活かし、自分にとって魅力ある企業を発掘していただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 12:08 | コメント (0)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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