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2011年04月22日

原発問題に対する株主の動き

1年間で一番過ごしやすい季節となってきました。
しかし、福島の原子力発電所事故の処理、復興税の財源を巡る与野党の綱引き、与党内での不協和音などなど問題が山積しています。簡単に片付かないとはわかっているものの、全くすっきりしない日々が続いています。

先週16日、NHKで放送された、ハーバード大のマイケル・サンデル教授が日本、ボストン、上海をつないで対話する「マイケル・サンデル 究極の選択『大震災特別講義〜私たちはどう生きるべきか〜』」を見ました。


原発に関して、飛行機と同じレベルのリスクと認識し、必要性を唱えるアメリカの学生にはあきれました。加えて、それを正面から批判したのが日本の学生ではなく、上海の学生だったところにがっかり。


また、日本のスタジオから、リスクを恐れて思考の進歩を止めてはいけないという意見もありました。
総論ではそうでしょうが、こと原発に関して、特に地震大国である日本において当てはまるのかと考えると、強い違和感を感じました。


さて、震災、復興、原発というキーワードで、企業と株主のあり方をいろいろと考えたり、そのための材料を探していたら、「脱原発株主の会」という活動があることを、恥ずかしながら初めて知りました。

現在日本には北から北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力と10の電力会社があり、原子力発電所は現在53基が建設済みです(各社HPより。廃止措置が認可され運転停止した中部電力浜岡原発第1号機、第2号機を含む。マスコミなどで言われている54基は、現在建設中の東京電力東通原発1号機を含んで数えているのかと思われます)。


10社中、沖縄電力のみが原子力発電所を保有していませんが、ウェブで調べてみると、この沖縄電力を除いた9社全てに対して「株主の立場から電力会社に原発事業の中止・撤退を訴える」活動が行われているようです。


このうち、代表的な「脱原発・東電株主運動」についてブログを閲覧してみましたので、以下紹介します。

【発足】
脱原発・東電株主運動は1989年1月に福島第二原発3号機で起きた再循環ポンプ破損事故を契機に始まりました。
原発に不安を抱く地元福島の住民や関東周辺の市民は、事故原因の究明と再発防止のために、東京電力に情報公開を求めました…中略…会社との対話を進める手段として市民が株主になり、株主総会に参加するようになりました。
(同運動ブログより)


もう20年以上も活動を続けているんですね。
直近のブログによれば、今年も以下のような株主提案を東京電力に対し行っています。

【東京電力第87回定時株主総会 共同株主提案議案】
第1号議案 定款一部変更の件(原子力発電からの撤退)

〇議案内容
○以下の章を新設する。
第*章 原子力発電からの撤退
第*条 我が社は、古い原子力発電所から順に停止・廃炉とする。
第*条 我が社は、原子力発電所の新設・増設は行わない。


○提案の理由
…前略…巨大津波により肝心の炉心冷却ができなくなったのを皮切りに、水素爆発、炉心溶融、使用済み核燃料プール火災、放射線漏洩、住民避難、計画停電等。「想定外」のいい訳は許されない。
放射性廃棄物についても、具体的な処分は進められず、費用がどれだけ莫大になるか不明である。
今回の事故が示したように、原発に頼るとCO2は最終的に増えてしまう。
嘘にぬり固められ、未来の子どもたちに負の遺産を残し、地元に負担を押しつける原発からは即刻撤退すべきである。


2011年3月21日
(同運動ブログより)

加えて以下のように、株主提案への賛同も呼びかけています。


【私たちの議案にご賛同ください】
3月11日より起きた東北関東大震災で被災した方々にお見舞い申し上げます。


私たちは、節電、エネルギーの効率的利用や、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの普及で、原子力発電から撤退できると考えており、東京電力の株主総会に原発の問題について、20年に亘り毎年株主提案を提出しています。
今年の3月で、東電の福島第一原子力発電所1号機は稼働してから40年、当初の設計寿命となりますので、1号機をなんとしても止めなければと考え、今年の株主総会への提案準備を進めてまいりました。しかし、残念ながら3月11日以降、恐れていた原発震災が現実となってしまいました。
…中略…
しかし、嘆いてばかりはいられません。私たちは、今度の総会こそは原発の是非を問うものにしたいと考えております。
うそをつかなければやっていけない、未来の子どもたちに負の遺産を残し、そして地元に負担を押しつける原発からは撤退すべきです。
今年は別紙のような株主提案を用意していますが、総会への提出には株主の皆様のご賛同を必要としています。
悲劇を再び繰り返さないためにも、株主提案議案にご賛同をお願いいたします。


2011年3月21日
脱原発・東電株主運動事務局
(同運動ブログより)


昨年の総会においても、「高速増殖炉からの撤退」に加えて、「スマートグリッド事業の追加」などを提案(東京電力第86回定時株主総会共同株主提案議案)しており、ただ単に原発廃止を訴えるだけではなく、脱原発の先にある東電のあり方についても提案を行っています。

もっとも、2009年4月時点での同会の状況は「提案株主数 314人、株数 30万4300株」ということで、東電の発行済株式総数約16億株のわずかに0.02%に過ぎないごく小規模な株主です。


しかし、賛同者は着実に増加していると思われます。
というのも、2002年6月9日スタートのこのブログ、内容に賛同した場合にブログ読者がクリックする「拍手」の数は、地震以前は多くても5とか8で、ゼロも多かったのですが、地震後のブログには100近い拍手が送られているのです。


私どもが提唱している「応援投資」とは趣旨が異なりますが、企業と株主の関係性の中において明るく豊かな未来を創り出すという点で共通する部分もありますし、株主が株主の権利のみを主張する運動ではなく、地域、そして日本国民全てという多くのステークホルダーとの共通利益を訴えている点は、大変すばらしいものだと感じます。

東京電力の株価は2007年2月の4350円が2011年4月6日には292円と、下値目途を占う目算のいわゆる「半値八掛け二割引き(68%の下落)」を大きく超える下落となって、同運動の株主にも大きな含み損を発生させてしまっています。


この点がファンとして企業を支える「応援投資」と違って、やや辛いところですが、「単に金銭的なリターンのみを求めるのではなく、企業と株主によって世の中を良い方向に変えていくことも含めたトータル・リターンを追求する」という意味ではこれも「応援投資」と捉えてみたいと考えます。


東京電力の今年の定時株主総会は昨年同様のスケジュールで言えば、6月24日の金曜日と思われます。
大変な会になることが予想されますが、この株主提案に対する経営の回答は、ただ単に「脱原発・東電株主運動」に対する回答ではなく、日本国民全員に対する回答といっても過言ではありません。是非注目していきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 17:14 | コメント (0)

2011年04月08日

「応援投資」と「応援消費」の共通点

震災から1か月になろうとしています。福島の原発の問題を中心にまだまだ安定には程遠い状況ですが、被災した方々も、それを支援する周りの人々も、将来に向けて様々な動きを始めているようです。

1月27日付「行動開始の時を示す「卯」」で今年は「辛卯(しんぼう、かのとう)」」の年で、「行動開始の年」である、と書きました。


実はこれには補足が必要です。

辛卯は、「五行説」をもとにした考え方です。
五行説では「世の中は『木・火・土・金・水』という5つの要素で成り立つ」としています。「金性」の「辛」と「木性」の「卯」の組み合わせは、決して安穏な時期を意味するものではない。
辛卯には、物事が本格的に動きを見せ始めることを意味し、国民各自が相応の覚悟をもって事に当たらなければならない、という意味合いが含まれています(決して震災の後付ではなく、年初にそのようなお話を伺っていました)。


日本が様々な問題を抱えていることは国民全員が意識の濃淡はあるにせよ気付いていたと思いますが、平常時に自らが進んで解決に向けて動き出す機運は残念ながらなかったと思います。


そういう意味では、前回「応援投資で日本の復興を!!」にも述べたように、今回の震災は大変悲しい結果となりましたが、国民が全員で日本が新しい姿に再生するために動き始めるきっかけとなる出来事だ、と捉えることができると思います。


後で振り返ってみたら(何年かかるかはわかりませんが)実際にそうだった、経済だけではなく、文化や日々の暮らし方も含めて、日本が再び活き活きとした国に生まれ変わった、という結果に繋がるようにしなければならないと強く思います。


そんなことを日々考えていると、ネットや新聞、本で「応援消費」という言葉を見かける機会が増えている事に気付きました。

当社では数年前から「応援投資」という考え方を提唱していたこともあり、大変気になって調べてみました。
するとこの「応援消費」、現在のところ2通りの使い方があるようです。


まず1つは、今回の震災で大きな被害を受けた東北地方の復興を応援しようという意味の使われ方です。

Tシャツ、お菓子、音楽などなど、様々な商品やサービスの売上を全額義援金に充てるという取り組み。

今週から目にする機会が急速に増えていますが、日本酒「南部美人」を製造している蔵元(岩手県二戸市)の2代目である久慈浩介さんが 動画共有サイトYouTubeで「東北の酒や名産を消費して、応援してほしい!」と呼びかけ、それに賛同して購入する人が増えているという話に代表されるように、被災した東北地方の産物を積極的に購入することで復興を応援するという動きです。


もう1つの「応援消費」の使われ方は、震災とは離れた、もう少し広い意味を持っています。

「モノを購入する」、「サービスを利用する」という外見部分は通常の消費と変わらないものの、その動機が「機能を求める」だけではなく、その作り手や送り手のポリシー、考え方に共感したから購入するというもので、「モノを介在して人と繋がる」ための消費です。


先の例で言えば、日本酒「南部美人」を購入するのはまずは第1の「応援消費」でしょうが、これをきっかけに「南部美人」の味に魅力を感じ、作り手である久慈浩介さんの酒造りに対する考え方や人柄に共感して継続的な愛飲者になれば、第2の「応援消費」に進んでいくことになります。

こうした「応援消費」による消費者は真のファンであり、ちょっとやそっとでは購入、利用をやめることはないでしょう。

 
このような「応援消費」という考え方は、当社が提唱している「応援投資」と大変共通しています。

まず、「株式」や「購入したときの株価」自体の意味だけでなく、それを介在して企業と繋がることに意味を見出すのが「応援投資」と言い換えられます。
応援投資による株主は、「株価」のファンではなく、企業や経営者のファンですから、短期的な株価の上下には関心がなく、中長期でその企業が成長し、成長の過程で明るく豊かな未来造りに貢献することを願っているわけです。


もう1つ共通することがあると考えます。
それは、供給者と消費者、企業と投資家それぞれが自律的な存在であり、かつ真剣にマーケットに向かっているという前提条件が絶対不可欠であるということです。
お互いが馴れ合いではなく、適度な緊張関係の下に繋がることが「応援」を永続的なものにすることは明らかです。


 このような共通点を持つ2つの行動ですが、「応援投資家」でありかつ「応援消費者」である人達がもっともっと増えていくことが、日本復活の大きなキーポイントとなるのではないでしょうか。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:15 | コメント (0)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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