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廣島 武 X 保阪 薫
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2011年10月27日

改めてガバナンスを考える。

オリンパスの行方はどうなるのでしょうか?

今年4月1日に社長に就任し、6月の株主総会で取締役に選任され、代表取締役・社長執行役員に就任したマイケル・ウッドフォード氏の解職が発表されたのが10月14日。


解職に伴う前社長のコメントを受け、同社株は13日終値2,482円から、26日終値1,099円まで、10日あまりの間に約56%の急落となりました。(ザラ場安値は24日の1,012円)
3月の原発事故発生時の東京電力の下げ方には及ばないものの、凄まじい下落ぶりです。


同社が過去実施したM&Aに際しての不適切な買収額の評価、M&A実施に関する実態の不明朗なFA(フィナンシャルアドバイザー)に支払った法外な手数料等、ウッドフォード前社長の指摘した内容が真実であり、更にその巨額な資金がどこに流れたかが明るみに出たとしたら、株価はこんなものでは収まらないような気もします。


オリンパスといえば、「内視鏡の世界シェアでダントツのナンバーワンで、日本を代表する優良企業」というのが私を含めた殆どの人の理解、イメージだろうと思いますので、非常に不可解です。


ただ、今だからという感はありますが、オリンパスが今年3月にCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)のITX株式会社を完全子会社化し上場廃止としたこと、また、それ以前からITXの株式保有を増やしていったことに違和感を覚えたことも事実でした。


現代の企業経営においてM&Aは絶対不可欠といっても良い重要戦略ですから、様々なやり方があるとは思いますが、100%子会社では無かった時点とはいえ、ITXはオリンパスの本業とはほぼ無関係の事業領域にも積極的に投資を行っていたように記憶しています。
親会社オリンパスとのシナジーも謳っていましたが、どれだけ実現していたかはよくわかりません。


また、今回前社長が指摘したM&A案件にも医療部門とは無関係な企業が含まれていたようですし、世界的な優良企業という表の顔とは別の顔を持っていたということになるのでしょうか?


26日には菊川会長の代表権返上も発表され(取締役には留任)、有力経済雑誌には前社長のインタビュー掲載が始まりました。前会長は「不正は一切無い」とコメントしているようですが、これからどんな展開となるのか大変注目されます。


しかし、それ以上に私が大変気になるのは外国人投資家の日本企業に対する評価です。


これより少し前に発覚した大王製紙前会長による巨額借入事件とも合わせて、「やはり日本企業のコーポレート・ガバナンスは遅れている。」という外国人投資家の認識に繋がってしまいかねないことが危惧されます。


このコラムでも何度か取り上げた「ESG投資」。


世界の持続的成長を実現するために、E=環境、S=社会性、G=ガバナンスの3つに力を入れ、社会に貢献する企業に投資しようというコンセプトで、欧米で急速に広まっており、日本でも徐々に浸透しつつある投資スタイルです。


この中で、環境や社会性というのは日本でも以前から比較的すんなりと意識されてきたテーマですが、ガバナンスというポイントは今でこそ重要視されるようになってきたものの、なかなか実感として捉えにくいもののように感じます。


特に、今回のような事件が起きて始めて「ガバナンスが成立していなかった。」とか「やはりガバナンスが大事だ。」という意識が強まるという傾向があり、逆に言えば何も表ざたになるような問題が無いと簡単に緩みがちなのがガバナンスであるともいえるかもしれません。


周囲との調和とか穏便に事を運ぶことを重視する日本人独特の意識に起因するのかもしれませんが、外国人投資家からの信頼を失わないためにも、この点は「日本的経営」の負の部分と認識して、経営者も投資家も厳しく臨んでいく必要があると思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:51 | コメント (0)

2011年10月13日

PBR1倍割れが意味するもの。

日本の主要な株価指数のPBR(株価純資産倍率)は1倍を割っており、個別の上場企業でもおよそ2社に1社がPBR1倍割れという現状です。

 

PBRとは、時価総額(市場での企業評価額)を純資産(総資産から借入金や社債等負債を引いたもの)で割ったものです。


PBRが1倍を割っているという状況は、分母の純資産より分子の時価総額のほうが小さいわけですから、理論的には「その企業の株を株式市場で必要株数買い付けて、株主総会で解散を決議し、全ての資産を会計上の価格で売却し、借金を返済しても利益を得ることができる」という状況です。

企業というのは、寿命がある人間とは違って、永続性が前提です。しかしPBRが1倍割れしているということは、企業のオーナーである株主が「解散した方がメリットがある」もしくは「解散する(寿命が来た)可能性が高い」と判断していると言えます。
こう書くと極端に聞こえるかもしれませんし、一人一人の株主が実際にそう思っているわけではありませんが、理論的にはそうなります。


ではなぜ現在の日本の株式市場において、日本を代表する著名な大企業も含めた多くの企業がPBR1倍割れという、いわば異常な状況にあるのでしょうか?


もちろん、明らかに寿命が近いと見られる企業もありますが、実質無借金(手元にある現金より借金の方が少ない)の企業や、売上げも利益も着実に成長させることができている企業でさえも「解散したほうがまし」と評価されているのです。


考えられる要因はいくつかありますが、まずは投資家サイドの要因です。


企業(経営者)が考える現在および将来の姿やビジョンを、あくまでも外部者である投資家が完全に理解することは大変難しいと言わざるを得ません。

多くの企業はこの厳しい競争の時代に、全知全能を傾け、様々な戦略・施策を打ち出して生き残りを図っています。


しかし、不確実性の高い現代において、その施策がシナリオ通り実を結ぶかどうかについて、投資家も容易には確信を持てないことも理解できます。


また、そもそも、その企業の認知度が極めて低いために投資家に評価されるステージまで至っていないケースも、新興市場などではよく見受けられます。


ここに企業の実態と投資家の判断の間にギャップが生じて、決して倒産などしそうもない企業でもPBRが1倍を割るという、投資家の過度な低評価につながってしまうというわけです。


こうしたギャップを解消するために、企業にとってはIR活動が重要ですし、証券アナリストの役割もここにあるのです。

同時に企業サイドの要因も考えられます。


投資家が株式を購入するのは、ある期待を持つからです。
ここでは、話をわかりやすくするために、投資家は金銭的リターンのみを求めると仮定します。


株式投資と債券投資の大きな違いは、債券投資では、一般的には国債など安全性が高い債券であれば、満期まで保有すれば必ずある利回りで運用することができるのに対し、株式投資は利益が出るかもしれないし、損失となるかもしれず、債券のような確実性が一切無いことです。


例えば日本の新規発行の国債は現在0.99%の利回りとなっていますが、投資家は不確実性の高い株式に投資する場合は、当然ながらもっと高い利回りとなることを期待して投資します。


この株式の期待利回りは投資家が企業に「期待する」というものですが、逆に企業は株主から資金を調達するにあたってその利回りを「期待されている」ことになり、期待に応えた利回りで株主資本を運用していかなければなりません。


つまり「期待利回りは」、企業にとっては調達した株主資本に対する「資本コスト」でもあるのです。


株式による資金調達は、銀行などからの借入のような利息が無いことからコストがゼロだといわれたり、配当が株主資本に対するコストだといわれることが、ままあります。
しかし、これは大きな間違いです。
株主資本には借入や社債利息とは比較にならないほど高いコストがかかるのです。


では投資家はどれだけのリターンを期待していると考えればいいのでしょうか?


いろいろな考え方があるのですが、現在の不透明な投資環境では、年率8%が株式投資の期待利回りであるとします(株式の期待利回りは企業ごとに異なりますので、話を理解していただくための仮定と考えてください)。


つまり企業は8%以上のリターンを返さなければ投資家の期待に応えていないということになります。


PER(株価収益率)が一定の場合、株主は「配当利回り」プラス「内部成長率」である「総利回り」をリターンとして受け取ることができます。
内部成長率は、ROE(株主資本利益率)×(1−配当性向)で求められます。


そこで、総利回りを株式期待利回りと置きかえ、配当利回りを2%、配当性向を30%と置いてみると、ROE(株主資本利益率)は8.5%と算出されます(小数点第二位以下切り捨て)。


つまり、ROEが8.5%以上であれば株主の期待利回り8%に応えることができていますが、ROEが8.5%以下では期待に反していることになり、売上、利益を着実には伸ばしていても、もしくは赤字でなくてもそこそこの低い利益率で推移している企業は、結果的に株主の期待に応えているとは言い難く、これがPBR1倍割れにつながっているとも考えられます。


そこで四季報CD−ROMで今期予想ROEが8.5%以上である企業が何社あるのか調べてみました。

すると、全上場企業3,596社中1,039社(債務超過など除く)、東証1部で1,667社中485社という寂しい結果となりました。


あくまでもこの前提の下ではありますが、3割の企業しか投資家の期待に応えたリターンを返せていないということになってしまいました。


もちろん、PBR1倍割れの要因は、投資家、企業の要因だけではなく日本の株式市場の制度や、市場に関与する他のプレーヤーに起因するものもあると思います。

ただ残念ながら、前述のような「資本コスト」に対する理解が薄い経営者がいることも事実です。


リターンのみではなく、明るく豊かな未来を創る経営者の志を応援する「応援投資家」の立場からは、志を中長期で応援しつつ、同時に株主の期待に応える施策・アクションをとっているのか、も厳しく見ていく必要があります。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:54 | コメント (0)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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