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廣島 武 X 保阪 薫
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2012年07月05日

日本航空の再上場について

日本航空が再上場に向けて動きだしています。

2010年1月に会社更生法の適用を申請し、翌月、上場廃止となりましたが、政府支援のもとで経営再建を進め、今年6月に東京証券取引所に上場を申請しました。再上場は9月19日の予定とのことです。



同社のウエブサイトを見ると、2011年度の連結営業利益は2049億円で、2008年度の508億円の営業損失から急速なV字回復を遂げ、過去最高利益を更新。同じ期間に有利子負債も8087億円から2084億円へと大幅に削減されています。


日航が破綻した時、私は「投資家の視点で日航破綻を見ると……」(2010年1月23日)と題したコラムで、「優れた企業の経営の質を見極める一つの視点が取締役の数」だということを書きました。


日航は当時、「社長1人、副社長3人、常務取締役3人、取締役8人」と、実に15人の取締役を抱えていました。

現在は「名誉会長1人、代表取締役会長1人、社長1人、取締役3人」と半分以下になっており、意思決定のスピードは格段に上がったと想像できます。
また、現場の社員の意識に大きな変化があったことも様々なメディアで報じられています。

3年足らずのスピード再上場は、日航自身の努力の賜物であると大いに評価したいところですが、そうとも言えない面があるようです。

業績が急回復した最大の要因は、売上高が2008年度の1兆9511億円から2011年度の1兆2048億円へと4割近い減収となる中で、営業費用が2兆20億円から9998億円に半減したことです。

コスト減少の背景には、大幅な人員削減や路線の廃止、負債圧縮による支払い利息の減少など大幅なリストラがありますが、それだけではありません。

会社更生法適用による航空機の資産価値見直しの特例で減価償却費の負担が減少したことや、黒字をそれまでの欠損金で相殺できる金額の割合が通常は課税所得分の80%であるのに対し、更生法の適用会社は7年目まで100%の相殺が可能という制度により日航単体では2011年度に法人税を払っていないなど、前期の好決算は一時的な特殊事情が大きいということが多方面から指摘されています。


加えて日航は今2013年3月期の連結業績について、売上高は1.2兆円とほぼ横ばいながら、営業利益は前年比27%減少の1500億円、当期純利益も同30%減少の1300億円と予想しています。

燃油費の見通しを厳しめにしているとはいえ、上場直前期が過去最高益という、これまでのIPO(新規株式公開)銘柄で何度か経験した嫌な感じです。


一方で、日航株式の96%を公的ファンドである企業再生支援機構が保有しています。

同機構は日航に3500億円を投資しましたが、再上場時の日航株の時価総額は7000億円に達するとの見方もあります。
同機構は来年1月までに売却する見通しと報じられていますが、同機構の大株主は預金保険機構で、預金保険機構の資本金の99%は政府が出資していますから、日航株への投資は日本国民としては極めて良好な案件だったと言えるかもしれません。


ただ、再上場時に売り出される株式を購入するのは個人投資家が中心となるでしょうが、その際、上場直前期が過去最高利益で、なおかつその利益も更生法適用会社としての特殊事情によるところも大きいという状況をどう考えるべきでしょうか?


また、このスピードとタイミングで再上場に向かう(向かわなければならない?)背景や理由も気になるところです。


せっかく日本国民として良いリターンを得ることができたのに、再上場時に高値でつかまされてしまったのでは何のことやらわかりません。


日本のフラッグシップである日航の復活は大変喜ばしいことですし、相次ぐLCC(格安航空会社)の参入など話題に事欠かない航空業界ですが、個人投資家の皆さんには、ムードに惑わされず、「競争に勝ち残る資質を備えた会社になったか」「応援すべき企業か」という視点で日航の再上場を考えていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 2012年07月05日 18:41

コメント

同感です。100%減資という犠牲の上で成立する、今回の再上場は時期早尚だと思います。せめて90%くらいの減資であったのなら納得できるのですが。これだけ早期に再上場できるのならば可能だったのではないでしょうか。

投稿者 新藤 修次 : 2012年07月11日 23:23

新藤様、コメントありがとうございます。経営や現場の努力もあったのでしょうが、何かスッキリしない再上場ですね。

投稿者 保阪 : 2012年07月12日 15:50

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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