ブリッジサロン
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廣島 武 X 保阪 薫
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2013年03月25日

外国企業にも目を向けてみる。

弊社では、個人投資家の皆さんに、いろいろな企業について知ってもらう機会をご提供しようと、個人投資家向けIR説明会「ブリッジサロン」を開催しています。
2000年9月の第1回から12年余りで350回以上の開催実績となっていますが、先日3月2日に開催した「読売ブリッジサロン」において、初めて外国企業に登場していただきました。


その企業の名前は「シンガポール取引所」(以下SGX)。

日本でも今年1月に「日本取引所」が東京証券取引所第1部に上場しましたが、SGXも自らSGXのメインンボードに上場しています(SGXには他に新興市場のキャタリストがあります)。


このBlogも含め、「ブリッジサロン」は、個人投資家の皆さんに幅広く企業を知ってもらうことを目的としていますので、決してSGXを推奨するものではありませんが、SGXには日本企業にはないユニークな点がありますので、皆様にご紹介いたします。


みなさんご存知の通り、シンガポールは人口約520万人、面積は東京23区とほぼ同じという大変小さな国ですが、SGXは、インドネシア、タイ、フィリピンなどこれから高成長が期待されるASEAN諸国に近いという地理的な好条件、英語が公用語のひとつであるという国際性など、シンガポールの独自性を生かし、成長するアジアの経済や企業と世界の投資家をつなぐ「The Asian Gateway(アジアの玄関口)」を標榜しています。


SGXのユニークな点は次の2つです。


1つは、高いROE(株主資本利益率)。

このコラムでは日本企業のROEが米国と比べて低い水準にあり、その改善が日本株の本格的な復活には欠かせないことを繰り返し述べてきました。

一方、リーマンショック直後には、主に米国で、ROE批判が噴出しました。
これは「経営者が株主の期待に応えるために短期的な行動に走り、負債の額を大きくして高いROEを演出した。その結果、経済危機下で企業は負債に耐えられななくなり、破綻が相次いだ」というものでした。


ROEは事業の収益性を示す「売上高利益率」、資産の有効活用の度合いを示す「総資産回転率」、いかに少ない株主資本で総資産を構成するかを示す「財務レバレッジ=自己資本比率の逆数」という3要素を掛け合わせたものです。

つまり、この3要素のすべて、もしくは他が不変の時でもどれか1つを引き上げればROEを上昇させることができるわけです。

そして、最後に挙げた「財務レバレッジ」は、借入など負債を増大させれば、本業の収益性が改善しなくてもROEを上昇させることができる、いわば「打ち出の小槌」のようなものです。

前述の批判はこのことを言っています。


こうした構造を持つROEですが、SGXのROEは12年6月期で37%と大変高く、しかも過去数年間、ほぼ40%近辺で推移しています。
ちなみに37%と言う水準は、東洋経済会社四季報のランキングで見れば、日本企業においてはグリーやカカクコム、ユナイテッドアローズなどを上回り、32位に相当します。


問題のレバレッジですが、同社のレバレッジは約2倍で自己資本比率では約50%です。しかも借入金はありません。

つまり、同社の高いROEは、作られたROEではなく、売上高営業利益率56%、売上高純利益率46%という本業の収益性の高さを反映したものなのです。


2つ目は配当です。

同社は年4回の配当を実施しています。
日本でも06年の新会社法施行で回数に制限なく配当を行うことが可能になりましたが、実際に行っている企業はホンダなど、まだまだ少ないようです。


また、SGXの配当に関する方針もユニークです。
13年6月期の配当政策として、四半期ごとの基本配当4セントを支払うことを予定していますが、これに加えて、毎期の年間配当額については、

 (a)年間の税引き後利益の80%
 (b)一株当たり16セントのうち、いずれか高い方とすることを方針としています。

 12年6月期は、第1四半期、第2四半期、第3四半期は基本配当4セントを実施、最終第4四半期には基本配当4セントに変動配当11セントを加えた15セントの配当を実施して、年間配当額は前年度と同じ27セント/株となり、結果的に配当性向は98.8%となりました。


配当性向の水準だけ見れば日本にもこれより高い企業はたくさんありますが、多くは利益水準が低下したため結果的に配当性向が高くなったものであり、配当政策として「配当性向 80%以上」という高い目標を掲げている企業は極めて少数だと思います。


日本の個人投資家の皆さんにとっては、外国企業は情報が少なく、言葉の壁もあって、取っ付きにくいかもしれませんが、日本にないユニークな企業があることも事実です。


大きな好奇心と少々の努力によって、外国企業の研究も初めてみてはいかがでしょうか? 
その過程で、日本企業の良さに改めて気付くきっかけになるかもしれません。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:49 | コメント (0)

2013年03月08日

ROEが連続して改善している企業に注目

このコラムではたびたび、投資指標としてのROE(自己資本利益率)の重要性を取り上げました。
資金を託してくれた株主に対して、企業がどれだけのリターンを提供しているのかを見るこの指標は、その企業の収益性、効率性の高さを示す重要なものです。


以前紹介した社団法人「生命保険協会」の調査報告書によると、日本企業のROEは平均6%と、米国企業の15%を大きく下回っています。

現在、アベノミクス期待で株価は堅調ですが、中期的、持続的に株価を上昇させるには、日本企業のROE底上げが不可欠だと思います。


また、ROEは水準も重要ですが、低いROEに甘んじていた企業が様々な取り組みによって収益性や効率性を高め、ROEが上昇した場合、投資家はその変化率に注目するはずです。


そこで今回は、2012年10―12月の決算発表が出そろったところで、ROEの変化率に着目してスクリーニングを行ってみました。

以下が、スクリーニングの条件です。

・今期予想ROEが6%以上
・3期前を基準にすると、今期予想も含め、3期連続してROEが上昇
・今期予想PER(株価収益率)が20倍以下
・今期予想営業増益率が10%以上


日本企業の平均ROEを上回り、連続してROEが改善傾向にある企業で、株価水準にさほど割高感がなく、今期業績も順調な企業群です。

この条件をクリアした企業は全部で81社でしたが、このうち、3期前のROEから今期予想ROEまでの変化率が大きい上位25社を挙げてみました。

grapf130308-1.GIF

*東洋経済会社四季報 CD―ROM版より
ROE変化率は今期予想ROE÷3期前ROE、単位は倍。その他の単位は今期予想および3期前ROEは%、PERRは倍、今期予想営業増益率は%


一方で、前回取り上げたローソンのように、会社自らが具体的にROEの目標を掲げれば、真剣さの度合いも違ってくるでしょう。

決算短信にも目を通してみたのですが、残念なことにROEを目標として掲げている企業は、下記の5社のみでした。

grapf130308-2.GIF


しかもうち2社は「ROEを重視」としているだけで、具体的な数値を掲げているのは、(6754)アンリツ、(7606)ユナイテッドアローズ、(7607)進和の3社のみでした。


ちなみに、このうち、ユナイテッドアローズは、東京証券取引所が「東証が市場開設者としての立場から望ましいと考える企業価値の向上を目指した経営の普及・促進を図るため」という目的で昨年新設した「企業価値向上表彰」で大賞(1社のみ)を受賞した第1号企業です。
ROEをはじめとして投資家の視点を深く組み込んだ企業価値向上の取り組みが評価されています。


アンリツ、岡村製作所、ワールドインテック、ユナイテッドアローズの4社の2年間の株価推移を日経平均と比較してみました。(Web上のチャート作成機能の関係で日経平均を含め5銘柄しか表示できないので、進和は外しました。)


grapf130308-3.GIF


ROEの改善のみが高パフォーマンスの要因とは断言できませんが、どの銘柄も日経平均を大きく上回っています。


前回コラムに取り上げたローソンも含め、ROEが銘柄を選別する上で極めて重要な指標のひとつであることを是非知っていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 09:14 | コメント (0)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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