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廣島 武 X 保阪 薫
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2013年04月23日

「強気相場の行方」と応援投資

「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく。」


これは、株式相場について述べた数多くの格言の中で、私が一番得心しているもので、ジョン・テンプルトンという米国の投資家の言とされています。

ジョン・テンプルトンは、米国の運用会社「フランクリン テンプルトン インベストメンツ」の創始者で、同社Websiteによると「故Sir ジョン・テンプルトンは最も賢明で高く評価された投資家の一人として知られています。経済誌フォーブスでは、「the dean of global investing (グローバル投資の長)」や「one of the most successful money managers in history(歴史上、最も成功したマネーマネージャーの一人)」として紹介されました。」とある著名投資家ですから、この言葉の意味するところもなるほどと思わされます。


では、これを今回の日本株相場に当てはめて考えてみるとどうなるのでしょうか?


今回相場のスタートである昨年の秋口は、年前半に一旦は1万円を回復した日経平均も、民主党政権に対する失望などから再び低迷局面に入り、ソニー、シャープ、パナソニックといった、かつては日本をリードした企業の苦境が報道され、日本株の先行きに強気な人は殆どいなかったような状況でした。


その意味では、今回の上昇相場は「悲観の中に生まれた」という事が出来るでしょう。


そして現在ですが、「アベノミクス」、「異次元緩和」を背景に、昨年11月の衆議院解散時から約5割上昇と、世界の中でも最も高いパフォーマンスを示す株式市場の一つとなっています。

また、例えば先日のニュースによると、ネット証券会社共同主催の大規模セミナーには4,600人もの個人投資家が参加したとのことで、投資家の相場観は大きく好転し、強気になっています。

ただ一方では、前例のない金融緩和やアベノミクスの実効性に対する疑念の声も各方面から引き続き聞かれていることから、「懐疑の中に育っている」最中といえそうです。


ジョン・テンプルトンの言葉によれば全ての強気相場はいつかは終わりを迎えます。


今回の日本の強気相場がいつまで継続するかは私にはわかりませんが、いつ頃「楽観」に移行し、相場参加者全てが「幸福感」に浸るのかを注意深くウォッチする必要があるかと思います。


さて、今回私が述べたいのは、実は今後の相場観ではなく、個人投資家に皆さんにこういう相場環境の中においてこそ、改めて「応援投資」という考え方を意識していただきたいという事です。


私が最近気になっていることが二つほどあります。


一つは、初めて株式投資をするという若い世代が増えていると耳にすることです。

年金制度の将来性に対する不安により自助努力の必要性が高まっています。

そのために株式投資を行うことは必要なことですし、リスクマネーの供給量が増えることは日本経済の活性化という観点からも強く望まれることであり、若い人達が株式投資に関心を持つことは大いに歓迎すべきことです。

しかしそれには、中長期投資を前提とし、明るく豊かな日本を創り出す企業の成長を応援するという視点が不可欠です。


そうではなく、皆がやっているからとか、短期間で儲かりそうだからといった理由で、競馬や競輪と同じような感覚で株式投資の世界に入ってくるとしたら、その結末は投資家にとっても企業にとっても、そして日本経済にとっても意味の無いものになることは明白です。


もう一つは、現在「応援投資」を行っている投資家の方々が、短期志向、金銭的リターン偏重に転向してしまわないかということです。


やはりこれだけの短期間に個別銘柄によっては株価が2倍、3倍になるのを見てしまうと、「応援投資なんて言っていられない」という心理になってしまう事もあり得るかと思います。


また、あるメディアでは、株式評論家と称する人が「○○株は、私がこの欄で取り上げたために火がついて株価が大きく上昇した。」ということを臆面もなく書いており、ちょっとあきれますが、こうした情報によって投資家の短期志向が増幅されてしまう可能性が高いことに懸念を感じています。


株式投資のスタイルは個人それぞれですから、こうしなければならないと言うつもりはありませんが、投資家が自己責任の下、リスクもリターンも自分が受け入れる株式投資の世界において、投資家は自らの勉強や研鑽の下に企業を選別するというプロセスを大切にするという点だけは外さないでいただきたいと思います。


2つほど気になる点を挙げてみましたが、こうした問題解決のためには、投資家自らはもちろんですが、証券会社や金融機関、そして我々の様な投資家と接点を持つ市場参加者の役割や責任も大きいということを強く感じています。


足元の株式市場は大変好調ですが、日本及び世界が直面している問題が克服されたわけでは決してありませんし、今後も現在では予想もしなかった問題が生じてくることもあり得ます。


そうした様々な課題を解決し、明るく豊かな未来を創り出していくには企業と株主がタッグを組んで前進していかなければならないことに変わりはありません。


このコラムやセミナーなどの機会を通して、「応援投資」という考え方を一人でも多くの方々に理解していただくよう活動していきたいと考えています。


カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 11:30 | コメント (0)

2013年04月18日

「攻め」と「守り」両面での取り組みが問われるIR活動

「企業の情報開示」と言う観点から、大変注目すべきニュースが、日米両国でありました。

まず日本においては、先月、決算短信のほか、業績の修正や増資、資本提携など、上場企業の重要情報が、公表直前にインターネット上で複数の投資家に閲覧されていたことが判明し問題になりました。

上場企業は東京証券取引所の適時開示システム「TDnet」で重要情報を公表することが義務付けられていますが、タイムリーな情報開示を行う観点から、自社のHPでも同時に掲載するケースが多く見られます。


企業は自社HPへの同時掲載の準備として、公表前に、情報ファイルを外部からの接続が可能なサーバー内の保存先へ移動させたうえで、「TDnet」公表と同時に自社HP上にリンクが表示されるよう、タイマーをかけておくことが多いようです。


問題となった複数の個人投資家は指定したサーバーの更新情報が通知されるソフトを使い、新たなデータが保存されたことを開示前に把握し、過去に重要情報を掲載したページのURLの日付部分などを書き換える方法でアドレスを割り出し、データにアクセスしていたそうで、公表前後の株式売買で数百万円の利益を得たケースもあったと報道されています。


この行為自体は、「職務を通じて公表前の重要情報を得た会社関係者や、会社関係者から情報を得た人物による株売買」であるインサイダー取引に該当するものではなく、同取引を禁止している金融商品取引法違反とはなりませんが、市場の公正をゆがめる行為であるとして、株式市場の番人である証券取引等監視委員会は全ての上場企業に対して情報管理の徹底を呼び掛ける方針だという事です。


これより少し前には、ある大企業が適時開示前に自社のHPに情報を掲載してしまったというケースもありました。

投資家や株主との信頼関係を崩さないためにも、企業は今まで以上にIRや情報開示分野での危機管理の意識を高めることが必要だと感じさせる事件でした。

一方、米国では4月2日にSECが、企業の情報開示にFacebookやTwitterを含むソーシャル・メディアを使用することを認めると発表しました。


そのきっかけは、Netflixという、インターネットを通じてTV番組や映画を提供するNASDAQ上場企業のCEOが、ユーザーの視聴時間が10億時間を超えたことを昨年7月に自分個人のFacebookで公表したことでした。


米国には2000年10月に発効したSECのレギュレーション・フェアディスクロージャー(レギュレーションFD)という規則があります。


これは日本語では「選別的情報開示禁止規則」と訳されるもので、企業は、株価に影響を与える可能性のある重要な情報を特定の株主や投資家のみに選別的に提供してはいけないという規則です。例えば、企業がアナリストやファンドマネージャーを対象としたミーティングを開催し、重要な情報をその出席者のみに提供するような事があると、ミーティングに出席することのできない個人投資家にとっては公平ではありません。


そうした選別的開示を防ぐためにSECは企業に対して、SECに臨時報告書を提出したりプレスリリースを広範に配布するなど、一般の大衆がアクセス可能な方法で情報を開示することを求めています。


Facebookはご存じのとおり、全世界のユーザー数が10億人とも言われる「ソーシャル・メディア」ではありますが、一方で人と人の繋がりが基本ですので、レギュレーションFDが想定しているマスメディアとは性格が異なります。


Netflix社のCEOが20万人のフォローワーを持つ自分のFacebookに自社の今後の成長見通しについてコメントしたことを知ったSECは、「これが選別的開示にあたるのか?あたらないか?」を検討。
その結果、Facebook、Twitterを始めとしたソーシャル・メディアの利用を認めることとしたわけです。


SECは、

「ほとんどのソーシャル・メディアは、アクセスが制限されていたり、投資家が最新情報がどこに掲載されているのかが解らないようなことが無い限りは、投資家とのコミュニケーション手法として完璧に適している。」

「企業には株主とのより良いコミュニケーションを取るための新しい形を探ることを奨励している。」

ともコメントしています。
FacebookやTwitterといったソーシャル・メディアの存在感を一段と高めるニュースと言えるでしょう。

このレギュレーションFDが制定された当時は、インターネットが現在ほど普及していた訳ではなく、そうした環境を前提にしたものではありませんでした。
SECが開示手段としてWebsiteを認めたのも、制定後ですし、時代の変化と共にディスクロージャーのあり方も変わってきているわけです。


日米でほぼ同時期に報じられたこの2つの出来事から言えることは、企業は株主や投資家とのコミュニケーションを通じた信頼関係構築のために、「攻め」と「守り」両面での一段の工夫や取組を行う重要性が益々高まっているという事です。


そうしたIRや情報開示における取り組みの巧拙は、ステークホルダーとの関係強化を通じて企業価値の格差を拡大させることとなるでしょう。


投資家の立場からは、企業選別のプロセスにおいて、企業間における具体的な取り組み方を比較していくことが大事だと考えます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 12:34 | コメント (0)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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