ブリッジサロン
社長ブログ
廣島 武 X 保阪 薫
カレンダー
2013年09月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30          

« 2013年07月 | メイン | 2013年09月 »

2013年08月29日

企業と投資家の認識ギャップについて

下は過去1年間の日経平均の動きを示した週足チャートです。



grapf20130829.JPG


衆議院の解散2012年11月16日近辺をボトムに上昇し始めた日本株ですが、2013年5月23日をピークとして調整に入り、一旦は参議院選挙の自民・公明の勝利を材料に戻しましたが、7月21日の参議院選挙投開票日近辺を次のピークとして再び調整局面に入ってしまいました。


前回のこのBlogで述べましたが、「アベノミクス」を評価することで始まった今回の相場ですが、まさに今「アベノミクス」は正念場を迎えています。

現政権の、よりダイナミックな政策遂行を期待したいところです。

さて、話は変わりますが、最近企業を訪問した際に感じた「企業と投資家の認識のギャップ」について述べてみたいと思います。


ある東証1部上場企業のケースです。


当社では個別企業についての「機関投資家の株式保有状況」を調べることのできるシステムを使用しています。


このシステムを使うと、例えば「A社株式を国内の某運用会社が運用する投資信託が5万株、海外のアセットマネジメント会社の運用するファンドが2万株保有している。」といった状況を調べることができるのです。

そしてそのファンドがどういう運用スタイルをとっているのかもわかります。

運用スタイルとは、「どういう視点でその企業の株式に注目し投資しているのか?」という意味で、大きく分けて「バリュー(Value)」と「グロース(Growth)」に分けることができます。


「バリュー」とは、本来のその企業の価値から判断して現在の株式が割安になっていると判断できるのでその株に投資するというものです。

投資判断のための代表的な指標としてはPBR(株価純資産倍率)を挙げることができます。


一方「グロース」はこちらもその名の通り、成長性に注目したものです。

現在の事業環境やその企業の競争力などから判断して、EPS(一株当たり利益)がどの程度のスピードで増加していくのかを予想して投資していくものです。

当然現在の株価を基準に判断しますが、多少PERが高くても投資するケースも多いようです。


さて、この東証1部上場企業の時価総額はまだ数百億円という規模ですが、ビジネスを海外展開しているということもあり、海外機関投資家が発行済株式数の20%程度を保有しています。

IR活動も積極的に行っており、「年率20%の成長を目指す」という成長性の高さを常にアピールしています。


ところが、そのシステムを使いファンドの保有状況を調べてみると、ファンドの圧倒的大多数は「バリューファンド」であり、「グロースファンド」は数える程しか投資していませんでした。


つまり、企業側は常日頃成長性をアピールしているのですが、機関投資家はそうした成長性ではなく、現在の企業価値の割安度合い(例えば、実質無借金で時価総額の半分程度の現金を保有など)に着目して投資しているのです。


確かにその企業の場合、中期目標のバーをクリアできなかったことが何度かあったということもあり、企業側の語る成長シナリオに賛同できにくいという要因もあったかもしれません。

この状況をその企業の社長に説明すると、「こちらが考えている自社の姿と投資家の受け止め方はずいぶん違うんだね。」と少し残念そうではありましたが、こうしたギャップを埋めるのがIR活動の意義であるということを、より一層理解されていらっしゃいました。


私からは、こうしたケースでは、企業としては「バリュー株」としての側面を、より分かりやすく投資家に示すことが必要なので、いままでは触れてこなかった「ROE(株主資本利益率)」を目標に掲げることなどをアドバイスしました。

次回の決算説明会などからROE向上策などについて言及することも検討を始めることとなったようです。


今度は別の企業のケースです。


その企業はあるシステムを企業向けに販売しており、今後の市場拡大が大きく期待されています。

社長に事業についてお話を伺った際、私としてはそのシステム導入先企業数の推移について関心があったので質問したところ、ある大手企業への依存が高いためなのか「あまりそうした数字は関心を持ったことがない。」というお答えでした。


投資家としてはそのシステムの競争力の高さや市場の有望性を示す指標として当然知りたい情報であると私は思いますが、その会社の考え方ははそうではなかったようです。


会社のことは会社が一番分かっている訳ですから社長の仰ることのほうが正解なのでしょうが、せっかく将来性が感じられる面白そうなマーケットでビジネスをしているのに投資家に理解されにくいIR姿勢かなと感じました。


業績は堅調なのですが、株価指標面からの評価は今一つという印象で、この点に限らずIR活動にもう少し工夫を加えれば投資家からの評価も高まるのにもったいないというのが私の感想です。


これらのケースに限らず、認識ギャップは多くの企業に存在します。


このギャップが解消されることは、企業にとっては適正な株価形成につながりますし、投資家にとっても誤解を解消する中で、重大な投資チャンスを獲得する可能性があります。
もちろんその反対で、失望に繋がることもあるかもしれません。


ただいずれにせよ、株式投資のパフォーマンス向上のためには、「常に認識ギャップがあるということを知っておくこと」と同時に「投資家自らその認識ギャップを埋めるための行動を取ること」の2つが大変大事だと考えます。


現在ではほとんど全ての企業がIR Websiteに問い合わせコーナーを設置しています。


様々なケースを捉えて自ら積極的に質問し、認識ギャップを埋めるべく努力していただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 17:40 | コメント (0)

検索
社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
Copyright (c) 株式会社インベストメントブリッジ All Rights Reserved. ブリッジサロントップ 会社概要