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2013年12月26日

更に明るい2014年に向けて

今年最後のBlogになります。

昨日12月25日の日経平均は終値ベースで2007年12月11日以来、6年ぶりに16,000円台を回復して引けました。

証券優遇税制が今年で終了することに伴う個人投資家の株式売却も峠を越えた一方、来年初からスタートするNISA(少額投資非課税制度)をきっかけとした、個人投資家の新しいリスクマネー流入期待から、先高期待が高まってきたという事が、市場関係者の中では言われています。

以前にもご紹介した、日経平均を「ドルコスト平均法」で購入したと仮定した際の損益状況も、下記のチャートの様にプラスゾーンへと入ってきました。

chart20131226.JPG


前回のプラスゾーンの終焉は2007年12月でしたから、まさに6年ぶりに中長期投資家を中心に、ポートフォリオに含み益が生じた状態に入ってきたと言える訳で、投資家心理は一気に明るさを取り戻しているようです。

さて、このコラムも今回が今年最後ですので、2014年の株式市場を見通す上でのポイントとなりそうな点を幾つか挙げてみたいと思います。


1.成長戦略の行方と外国人投資家
「アベノミクス」の政策である大幅な金融緩和、大規模な財政出動という一の矢、二の矢はこれまでのところその目的を概ね達してきたと評価されています。

そうした中、2014年の注目点は何と言っても、安倍総理自らが「一丁目一番地」であると従来から言明してきた成長戦略や産業競争力強化に向け、どれだけ具体的な動きが見られるかとなるでしょう。


特に今年歴史的な買い越しとなった外国人投資家はこのポイントを最も重視しているようです。

2008年から始まった米国の量的金融緩和は、そのスピードは別にして、縮小方向へ向かう訳ですから、日本経済、日本企業が本当に成長力を取り戻すことができるのか?は極めて重要です。

ただ、金融政策や財政政策と異なり即効性を期待しにくいものでもあるので、TPPにおける聖域の取扱い、医療や雇用における規制緩和の進展など、「取り組みの真剣度合い」が問われるという事になるでしょう。


2.東アジア各国との関係
一般的に株価が水準を高めていくといわゆる地政学的なリスクが注目されるようになるケースが多いようです。

特に今年は中国、韓国との政治的な融和が進展しない一方で、逆に年後半に入り、中国の防空識別圏設定を始めとして、それぞれの国内事情が、外交関係に影響を及ぼすような事象が見られるようになりました。加えて、12月に入ってからの北朝鮮No.2の粛清・処刑は、東アジア情勢をより複雑なものとすると同時に、大きな打撃にまではならないかとは思いますが、日本の株式市場にとっては嫌な材料です。

と書いていたところで、びっくりしました「靖国参拝」
私も決して国を思う心を持っていないのではありませんが、このタイミングはどうなのかなあ?と思わざるを得ません。
アメリカも困っているのではないかなあ。

3.個人消費の動向
政府も繰り返し言明しているように、アベノミクス成功の条件の一つは「賃上げ」です。

今冬の主要企業のボーナスは、自動車や電機を中心に円安メリットを得て数年ぶりに増加したという調査も見られました。

ただ、これはあくまでも大企業を中心としたものであり、中小企業にはまだその恩恵が及んでいないとも言われています。

また、来年4月からは消費税率が5%から8%に引き上げられるのに加え、来年度の税制改正で、政府・与党は、年収1000万円を超える会社員の給与所得控除を2017年から縮小し、税負担を重くする方針とも伝えられています。

合わせて年収910万円以上の世帯の高校無償化も廃止されるなど、比較的消費性向が高いと思われるこの層の個人消費に対する影響が気になるところです。

この他、NISA開始に伴う個人投資家動向、過熱とも見られるIPO(新規公開株)市場がどこまで続くのか?なども日本の株式市場の行方を見る上で欠かせないポイントかと思います。


ただ、いずれにせよ今年2013年の株式市場は、様々な要因が重なり合いながら、久方ぶりに先行きへの期待を持つことができました。

その明るさを本格的なものにするには、明日の日本を創り出す気概に満ちた企業経営者とそれを真剣に応援する投資家のコンビネーションが不可欠であると思います。


2014年が2013年を上回る実りある年となるように、個人投資家の皆さんも「信頼できる企業」を見出す力を磨いて頂きたいと思います。

今年もありがとうございました。
よいお年をお迎えください。

by 保阪

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:38 | コメント (0)

2013年12月20日

経産省「企業と投資家の望ましい関係構築」プロジェクト

経済産業省では、「持続的成長への競争力とインセンティブ 〜企業と投資家の望ましい関係構築〜」というプロジェクトを現在進行させています。


その趣旨は、日本の株式市場、企業、投資家の現状を踏まえ、「企業が持続的に成長するための競争力強化に向けた課題とそれを支える資本市場のあり方を検討する。」ということで、企業、投資家、市場関係者、相互の対話を通じて日本の経済および企業が競争力を強化するための現在の課題や問題点を明確にし、それらをいかにして乗り越えていくかを議論していくものです。

経産省のページ
http://www.meti.go.jp/press/2013/10/20131016001/20131016001.html

先日、そのシンポジウムが都内で開催され、私も参加してきました。

周りを見渡すと、金融機関、運用会社の方がやはり多数でしたが、当社が開催している個人投資家向け説明会でお見かけする個人投資家の方のお顔も何人かあり、僭越ながらも、皆さん問題意識を持って投資されているんだなあと、改めて感心し、心強いものを感じました。


そのシンポジウムでは、座長の伊藤邦雄一橋大学大学院商学研究科教授の講演やパネルディスカッションなど、大変参考になる情報を沢山得る事が出来たのですが、中でも非常に興味深かったのが、伊藤教授が示したものでした。


それは、「日本企業のほとんどが中期経営計画を策定しているが、達成出来ているのはほんの一握りで。」というものです。

「日本企業」というくくりが曖昧だったり、外国企業の実態を知らないので断定的な判断や比較は困難ですが、少なくとも日本で中長期投資が根付かない理由の一つは、残念ながらここに有ると言わざるを得ないのでしょう。


企業の事は企業しか解らない部分がほとんどですから、この点は投資家としては継続的に企業に達成率を上げていくよう働きかけていくしかないでしょうね。


さて、このプロジェクトは外部の意見も、「エビデンス」という形で募集していましたので、私も経済産業省宛にメールを送ってみました。


以下にその要点をご紹介させて頂きます。


【個人投資家に提唱している応援投資の考え方】

・投資家にとっては、最小のリスクで、キャピタルゲインとインカムゲインを合わせた金銭的リターンを、最大限に高めることが目的なのは間違いない。

・ただ、地球の持続的成長に黄色信号が灯り、また金融危機を機に徹底的にリターンのみを追求する事が疑問視される中、そうした金銭的なリターンの観点のみで企業を見るのではなく、「明るく豊かな未来を創造する事に貢献出来る企業」を選別し、そうした企業を応援する事、株主になる事を誇りと感じられるような企業を選別し投資する事の重要性を理解してもらいたい。

・企業と投資家が手を組んで新しい発明やサービスを生み出し、育て世の中を豊かにするという株式市場における投資家本来の役割や責務を認識して欲しい。

・そのためには個人投資家といえども、直接経営者の話を聞き、対話をし、判断する事が絶対に必要である。証券会社やアナリストの意見も重要だが、最も重要なのは各個人の判断する力や感じる力。

・この「応援投資」を実行出来るのは、実は、パフォーマンス評価が全ての機関投資家ではなく、金銭的パフォーマンスに加えて、上記のような総合的な満足度で評価する事が出来る個人投資家ではないか。

・「応援投資」を行う場合は、株主になったら積極的に対話の場である株主総会に出席して、時には厳しく中長期で企業を見守っていって欲しい。


このように、弊社の基本的な考え方である「応援投資」の概要を説明した上で、このプロジェクトが掲げている14の論点のうち、「個人投資家と企業」という観点から、私が是非述べたいポイントを「エビデンス」として提出しました。


(1)資本効率と経営規律の課題

企業経営における資本コストやROE等の位置づけに関しては、当社の顧客企業が比較的中小規模の上場企業である事も要因かとは思うが、上場企業経営者であっても資本コストやROEに関する理解、認識は残念ながら未だ低い。

また、様々な企業の決算説明会資料の中で、ROEや資本コストに言及する企業は私の知る限り、きわめて少ない。

ただこうした状況は、時価総額が比較的上位の企業を対象とした(財)生命保険協会による「株式価値向上に向けた取り組みについて」の調査結果を見ても同様であり、企業規模の大小とは関係ないようだ。

企業が決算短信で公表している「目標とする経営指標」においても、ROEを初めてとした資本コストを意識した指標を掲げている企業は非常に少ないというのが実感である。

全ての企業が高いROEを実現できるわけではないが、ROE向上のための具体的な取組みや姿勢を示すことはできると思う。

(2)中長期投資の促進

総じて残念ながら個人投資家においては短期志向がまだ主流かと思われる。
ただ、前述の「応援投資」の話を多くの個人投資家に方々にしている中で、共感してくれる個人投資家が着実に増加しているという事は現場の感覚で強く感じている。

直接お話をしてもそうだし、アンケートなどでも「孫の時代のための投資を考えたい。」といった大変心強いご意見も頂いている。

多様性が株式市場に厚みをもたらすと言う意味では、流動性を供与する短期投資家の存在も必要だろうが、投資家が企業を育てるという観点からは、特にこれからの日本経済を牽引する新しい企業の登場が望まれる日本においては、中長期投資家の育成・拡大は絶対的に必要だと考える。


では、それを阻害しているものは何か?


一つは個人投資家自体の問題が有るだろう。バブル崩壊以降、中長期投資で金銭的リターンを得る事が出来た投資家は、理論的には極めて少ない。個人投資家が中長期投資を指向しないのも仕方ない面もある。


二つ目は企業。日本株式の低迷は、日本企業が投資家の期待(資本コストを上回るROE)に応えてこなかったことが大きな要因といえる。


三つ目は証券会社の営業体制。近年は修正される方向に有るようだが、やはり短期売買による手数料の獲得というインセンティブが働いてしまうというビジネスモデルに変わりはない。

当プロジェクトにおいては市場関係者をセルサイドアナリスト等と定義しているようだが、個人投資家に対する営業姿勢、増資インサイダー問題の件も考慮すれば、証券会社の営業部門も重要な関係者と位置づけ、ともに議論すべきではないか?


また、ネット証券も手軽に株式投資が行えるというメリットを多くの個人投資家に提供した功績も大きいが、その手数料の安さなどから短期志向を一段と強めた事も否めないと考える。

では、今後中長期投資を育成するための方策やインセンティブについて何が必要かと考えると、ありきたりでは有るが、まずは中長期投資を念頭に置いた投資教育の場をより多く設定する事だろう。


株式投資を知る、株式投資の勉強をするというよりも、手前味噌になるが「応援投資」の様な考え方を年齢層問わず地道に語り続けることが必要と考える。

その点で、証券会社、金融機関、および我々も含めた組織の役割は非常に大きい。

次にNISAのように、非課税インセンティブを可能であれば無期限で与えることも有用だろう。

それをきっかけに、中長期投資の有効性や、中長期投資の観点での銘柄選びなどを勉強し、中長期投資に対する理解をより深めてもらえることが期待できる。
また、NISAだけでなく、「ミニ株」、「るいとう」といった、少額での投資スキームの認知度をもっと高めることも意味が有ると考える。


(3)中長期的な対話に向けた開示

中期経営計画は中長期投資を行う投資家にとっては重要な情報ではある。ただ、伊藤教授が先般のセミナーで示されたように、達成できていないケースの方が圧倒的に多いのではかえって投資家が不利益を被るのみで意味が無いと言わざるを得ない。


しかし、企業の本当の姿や考え方は企業しか知りえないのであるから、中計を作成したら、達成のために邁進してもらう事しかないと思う。


企業側が取り組むべき課題の一つは、資本コストを上回るROEを実現するための具体的な施策。
東証1部上場の時価総額数千億円規模の企業であっても、決算説明会の席上でそうした観点からの説明が全く無い事もあり、企業側の意識の問題は大きな課題だと感じる。

一方、個人投資家を対象にした「持続的成長」という観点からは、どのようにして金銭的リターン以外の価値を世の中に提供しているのかを、毎期毎期継続的に報告するという事が必要だろう。

IRや情報開示に関しては、「比較可能な形」という視点も重要だが、非財務情報においてはもっと企業の創意工夫で投資家にアピールするべきではないかと思う。


特に個人投資家においては、「この経営者良いな」とか「この企業の考え方が良いな」といった「感じる事」が、中長期投資に繋がる重要なポイントとなっていると思われるので、「比較可能」に加え、「その企業しか示していない独自性」をもっと企業に発揮してもらうような働きかけや環境づくりができないだろうか。


(4)対話のあり方

金銭的リターンでの結び付きが強すぎると、本当の意味で企業と投資家が同じ視点を持ち続けることはできないのではないか?


半永続的に投資家が求める金銭的リターンを提供し続ける企業は想像しがたい。

そうではなく、企業と投資家が手を組んで世の中に金銭的リターン以外の価値を提供するという意識があれば、たとえある程度の期間金銭的リターンがふるわなくても、両者は良好な関係を継続し続けることができるだろう。

そのためには、「企業の理念や使命感」といったものを、おざなりではなく企業トップが真剣に考え、語り続けることが不可欠だと考える。

また一方で、日頃個人投資家の方々と接していると、投資家側にも大きな課題があると感じる。

例を挙げれば「株主優待制度」。

自社の製品を知ってもらうというようなPR的な意味合いであれば理解できるが、本業とは関係のない金券などを提供することは、ともに手を組んで明るい未来を切り拓いていくという企業と投資家の望ましい関係とは、無縁のものではないか?

そうした株主優待を強く希望する個人投資家は金銭的リターンのみを求めていることに近く、優待制度が廃止されれば売却して株価が下落するという状況に繋がっている。

逆に、先述の企業の理念や使命感を体現した株主優待制度がもしもあればこれは非常に有効なエンゲージメントに繋がるだろう。


個人投資家向け説明会では、個人投資家の方々の持っておられる知識やリテラシーに非常の大きなばらつきがある事が明確になる。


それゆえ興味深い質問に繋がるケースもあるが、少なくともBS、PLに加えて一般的に企業を見る際のポイントなどはもっと時間を採ってお話しして差し上げる必要があるなと感じる。


弊社では今後、大学生なども対象にそうした、「株式投資でどうやればリターンが上げられるか」といった話ではなく、「応援投資」の観点を中心に、企業をどう見るべきかのヒントを提供していきたいと考えている。

長くなりましたが、私が日頃感じている事をまとめてみる良い機会となりました。

皆さんの感想等もお聞かせいただければ幸いです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:26 | コメント (0)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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