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廣島 武 X 保阪 薫
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2014年04月24日

「ROEに対する投資家と企業の認識」

一般社団法人 生命保険協会という団体があります。

1898年(明治31年)に設立された生命保険会社談話会がその前身という大変歴史のある組織で、生命保険業の健全な発展および信頼性の維持を図ることを目的として、「生命保険に関する理論および実務の調査・研究」、「生命保険に関する広報活動」、「生命保険に関する意見の表明」などを事業として行っています。

ご存知の通り生命保険会社は、保険契約者から預かった保険料を、最善の注意の下、誠実に一定の利回りで運用する責務(受託者責任)を持った代表的な機関投資家であり、銀行と共に多くの上場企業の株主として顔を出す、株式市場にとって大きな存在です。


その生命保険協会では、「企業と株主が十分なコミュニケーションを行いつつ、課題の共有化とともに長期的な視点で株式価値の向上が進むことを望んでおり、各企業の株式価値向上への取り組みが日本の株式市場の活性化につながるものと期待している。」と考え、株主・投資家の立場から、株式発行企業による株式価値向上に向けた取組みについて、1974年度より40年間にわたってアンケート形式による調査を行っています。

その平成25年度の調査結果が公表されましたので、その中から大変興味深い点をご紹介したいと思います。

「ROEに対する認識に大きな隔たり」


調査内容は、アンケートによって企業と投資家それぞれに同じ質問をして、回答を比較することで両者の意識がどのように異なるのか、時系列的に意識・行動にどのような変化が見られるか、といった視点での分析を行うというものです。

アンケートは2013年10−11月に実施され、「時価総額上位1,129社のうち回答した575の企業」と「機関投資家158社のうち回答があった87社」の回答を集計しました。


アンケート項目の一つに、「目標とする経営指標について」という項目があります。

経営目標として重視する事が望ましい指標として、投資家が要望するものの第1位は「ROE(自己資本利益率)」で複数回答可ではありますが、その割合は90.8%と、第2位の「配当性向」の52.9%、第3位の「利益額・利益の伸び率」の37.9%を大きく上回り断然のトップとなっています。


反対に企業側が重視している指標の上位2つは「売上高利益率 61.4%」、「利益額・利益の伸び率 58.8%」となっていますが、これに対する投資家の要望度合いはそれぞれ27.6%、37.9%と決して高いものではありません。
「ROE」は52.3%で第3位にとどまっています。

graph140424_1.JPG


加えて、企業側のこうした意識を反映しているのでしょう、ROEの目標値を設定している企業の割合は37.7%と、前々年度の34.1%、前年度の36.8%からは若干上昇してはいますが、依然として低水準で推移しています。

graph140424_2.JPG


このように、ROEに関する企業と投資家の認識には大きなギャップが存在していることが明らかとなっています。


昨年新たに発表が始まった株式指数「JPX400」においてROEが選別の一基準になったように、投資指標としてのROEに注目が集まっているのは確かです。

ただ、4月23日付の日経新聞の自社株買い強化とROE向上について触れた記事に「最高益を視野に入れる企業が増え、ROEへの意識はこれまでにない程に高まっている。」との記述がありましたが、この生命保険協会の調査を見る限り、残念ながら「まだまだ」と言わざるを得ないと思います。


もちろん機関投資家の要望がすべて正しいとは言い切れませんが、日本の株式市場が持続的に投資家の資金を引き付けることができる魅力あるマーケットとなるためには、このギャップの縮小のための努力は上場企業に課せられた大きな課題であると考えます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:46 | コメント (0)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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