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2015年12月31日

2015年ブリッジレポート 人気レポートランキング動向

2015年も残すところ今日一日となりました。

そこで今回は、毎週水曜日に更新している「ブリッジレポート人気レポートランキング」の2015年年間動向をご紹介したいと思います。


「総合ポイントランキング」

毎週のランキング上位5銘柄を対象に、1位5ポイント、2位4ポイント、3位3ポイント、4位2ポイント、5位1ポイントとして年間の登場回数を順位付けしてみました。


第1位は、(2183:東証1部) リニカルで、総合ポイントは66でした。
1位が4回、2位が5回、3位が6回、4位が3回、5位が2回と2015年の全51週のうち20週でベスト5入りするという安定ぶりでした。


臨床試験に関わる業務の一部を代行する事で製薬会社の医薬品開発を支援するCRO大手の同社は、治験の最も大切な段階であるフェーズII、フェーズIIIにおける「モニタリング業務」に特化している事が特徴であるのに加え、統合失調症、うつ病、アルツハイマー等の中枢神経系領域やがん領域といった難易度の高い領域に注力する事で他社との差別化を図っています。

第2位は、(8275:東証1部) フォーバル。総合ポイントは64。
第1位4回、第2位7回、第3位2回、第4位2回、第5位6回と、登場回数は21回でリニカルを上回りました。


中小・中堅企業を対象に「情報通信分野」・「海外分野」・「環境分野」・「人材・教育分野」の4分野に特化した次世代経営コンサルティングカンパニーを目指す同社は、ASEAN展開の支援にも取り組んでおり、カンボジア、インドネシア、ベトナム、ミャンマーに現地法人を設立するなど、ASEANにおいてネットワークの拡充を進めています。

第3位は、(4783:JASDAQ) 日本コンピュータ・ダイナミクスで、総合ポイントは63でした。
同社の登場回数は15回と、上位のリニカル、フォーバルのみでなく4位、5位の銘柄よりも少ない登場回数となっていますが、第1位の回数が10回とダントツです。


今年5月に、「データ検索の処理速度を従来比で最大100万倍に高速化できるシステムを商品化する。」と報道されたことをきっかけに、株価が急騰。投資家の関心も引き続き高いようです。この「高速データ処理デバイス」、製品化が完了し、2016年1月より販売開始ということです。今後の動向が注目されます。


第4位は、(7776:JASDAQ) セルシード。総合ポイント58で18回の登場でした。
改正薬事法の施行など、日本が再生医療における世界の中心となったことも背景にあるのでしょう。


第5位は(8848:東証1部) レオパレス21。総合ポイント53で、登場回数は18回でした。
リーマンショックの苦境を乗り越え、今期7期ぶりの配当を実施します。



「意外に高いランクインの壁」

51週中、1週でも5位以内にランクインした銘柄数は36銘柄でした。
レポートは2015年で85社を執筆しましたから、半分以上はランクインできなかったわけです。
逆に言えば、ランクイン銘柄の注目度はそれほど高いという事です。



「1位になった銘柄数」

加えて、1度でも1位になった銘柄数は36銘柄のうち半分の以下、18銘柄でした。

(2931 ユーグレナ)、(7839 SHOEI)、(9616 共立メンテナンス)、(3194 キリン堂HD)、(8130 サンゲツ)、(4282 EPSHD)、(2462 ジェイコムHD)、(2437 シンワアート)、(4849 エン・ジャパン)、(6050 イー・ガーディアン)、(4248 竹本容器)、(2453 JBR)、(5162 朝日ラバー)


今年1年ありがとうございました。
2016年が皆様にとって素晴らしい年となる事をお祈りいたしています。

インベストメントブリッジ
保阪

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:33 | コメント (0)

2015年09月09日

kindle端末持っていなくても

以前ご紹介した電子書籍「応援投資のススメ」、もう終わってしまいましたが無料キャンペン期間中は、全無料kindle本トップ100中、第12位まで行きました。

また、「投資・金融・会社経営」と「ビジネス・経済」の2部門では、なんと5日間第1位でした。

無料キャンペーンはAmazonの仕組み上もう実施できないのですが、1冊300円です。是非読んでみてください。

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さて、kindle本というと、電子書籍リーダーのkindle Whitepaper等を持っていないと読めないと思っていらっしゃる方もおられるようですが、そうではありませんよ!

アプリをダウンロードすれば、PCでもスマホでもタブレットでも読むことが出来ます。
もちろん、Windows、Mac、Android、iPhoneなんでもOKです。

kindle image.JPG

→詳しくはこちら

是非ご一読を!!

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 12:17 | コメント (0)

2015年08月23日

電子書籍 「応援投資のススメ」出版しました

創業15周年を記念してAmazon Kindleで「応援投資のススメ 入門編」という電子書籍を出版しました。

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「リスクを最小に、リターンを最大に」というのが株式投資の目的ですが、それだけでなく「明るく豊かな未来を企業と株主で創り出す」という株式投資の役割や重要性にも是非目を向けましょうというのが「応援投資」の考え方です。


創業以来提唱してきたこの「応援投資」をより多くの個人投資家の皆さんに知っていただき、その輪をもっと広げたいと思ったのが出版のきっかけです。


詳細はこちらでどうぞ

表紙デザインは20年来のお友達、中央区新川在住のデザイナーOさんにお願いしたら、こんな可愛く素敵なものになりました。結構、気に入ってます。

あとがきにも書いたのですが、仕事柄文章やレポートは良く書きますが、本を書いたことは私にとっては初めての経験でした。


「コラム157回分の原稿があるのでなんとかなるか」と思っていましたが、各コラムのうちどれを取り上げるか、読み易い順番は、構成は、などを考えながら編集し、本の体裁に纏めるのは結構大変な作業でした。

出版しておきながらなんですが、章内の各項目の繋がりなど、お恥ずかしながら決して満足のいく出来ではありません。
改定版も出していきたいと思っています。


また、この本は「入門編」とあるように、「応援投資」という考え方をまずは皆さんに知っていただくことが目的です。今後、より具体的に応援投資を実践するための「応用編」も出版する予定です。

それにしても、AmazonというかJeff Bezosは凄いなあとしみじみ思います。
表紙は別にして、Wordで書いた文章をアップロードするだけで、ちゃんと本になっています。これが無料。素直に感動しています。

是非読んで感想をお聞かせください。

よろしくお願いいたします!!

*出版された瞬間を記念撮影\(^o^)/

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(保阪)

<「応援投資」は、株式会社インベストメントブリッジの登録商標です。>

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 09:23 | コメント (0)

「創業15周年!!」にあたり

当社、株式会社インベストメントブリッジはこの8月22日で、満15歳となりました。


これもひとえに、「多くの企業のことをもっと知りたい」と考え、個人投資家向け説明会「ブリッジサロン」や、企業レポート「ブリッジレポート」をご愛顧いただいている多くの個人投資家の皆様と、「投資家に自分のことをもっと知って欲しい」と考え、積極的にIR活動を展開してきた企業の皆様のお蔭です。


改めて深く感謝申し上げます。


さて、「15周年の8月22日」は3つのイベントを準備しました。


1つは、「読売ブリッジサロンの開催」

丁度8月22日が土曜日だったこともあり、お集まりいただいた個人投資家の皆さんに社長の廣島が直接感謝の意を表させて頂くことが出来ました。

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2つ目は、「ブリッジサロン・ポイント制度のスタート」

私たちは、企業と投資家が手を携えて明るく豊かな未来を創り出す「応援投資」という考え方を提唱していますが、企業情報収集のために真剣に「ブリッジサロン」へご参加いただいている個人投資家の皆様といっしょに、「応援投資」の輪を広げるために始めたのが、この「ブリッジサロン・ポイント制度」です。


ブリッジサロンへのご参加やご友人の紹介の度にポイントを付与し、一定の条件に達すれば、「応援投資」に役立つ株式投資関連書籍や特別ご招待セミナーなどを含めたプレゼントを贈呈いたします。

8月22日の読売ブリッジサロンでも、ご案内いたしました。

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制度の詳細は、「ブリッジサロン・ポイント制度 運用規定」をご覧ください。

社内でアイデアが出たのが、4月頃。
6月初旬から具体的な導入・運営のためのシステム作りに取り掛かったのですが、ブリッジサロンの当日の運営を滞りなく進めつつ、開演時から終演時までちゃんと企業のプレゼンに耳を傾けて頂いた方にのみポイントを付与する方法を確立するのが、実は結構難題でした。


キックオフMTGでは、「スムーズに運営するためには問題もかなり考えられるので、もう少し練ってからスタートさせた方が良いのではないか?」という意見もあったのですが、「多少のリスクがあったとしても実現のために全員でチャレンジする事がもっと重要」と訴え、プロジェクトをスタートさせました。


スタートさせることを決定してからは、このプロジェクトを中心的に進めてくれたメンバー2名を軸に、全員であれこれ議論しながら、何とか大きな問題も無くスタートさせることが出来ました。

全社員、特に中心メンバー2名には深く感謝しています。


実際にスタートしてからはまた別の問題が起きると思いますが、そこはまた全員の知恵で乗り越えて行けると思いますし、何よりそうした体験・経験が当社にとって、とても重要であると考えています。


3つ目は、電子書籍「応援投資のススメ」の出版です。
8月22日にAmazon Kindleストアで販売を開始しました。

ちょっとこのエントリーが長くなりましたので、これについては別建てでご報告いたします。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 07:39 | コメント (0)

2015年05月25日

コーポレートガバナンス・コードと個人投資家

丁度1週間後の月曜日、6月1日より、金融庁と東京証券取引所が策定した「コーポレートガバナンス・コード」が同取引所の有価証券上場規程の別添として定められ、全上場企業への適用が開始されます。


同コードは、一足先に制定された機関投資家の有るべき姿を規定したガイダンスである「スチュワードシップ・コード」とともに、日本経済が再び競争力を取り戻す事を目指した安倍政権による日本再興戦略の大きな目玉の一つです。


コーポレートガバナンスというと、オリンパス事件、大昭和製紙事件の様に企業の不祥事が発覚すると「日本のコーポレートガバナンスは機能していない。」といった解説がなされ、経営者の暴走など、企業が問題を起こさないための監視の仕組みという認識が一般的ですが、今回のコーポレートガバナンス・コードは、企業が不祥事を起こさない仕組み、いわば「守りのガバナンス」に加え、積極的な投資など、よりダイナミックに事業活動を展開するための「攻めのガバナンス」をクローズアップしているのが一つの特長です。


同コードは、スチュワードシップ・コードにおけるエンゲージメント(対話)と対になる部分も多く、機関投資家を念頭に置いたものですが、企業選別の視点として、個人投資家の皆さんも是非理解しておくべきものだと考えます。


特に、「明るく豊かな未来を企業と共に創り出す。」という、当社が提唱している「応援投資」において、応援すべき企業を見出す重要なヒントになると思っています。


このコードは決して強制力のあるものではなく、企業の自主性による部分が大きくなっています。
それはすなわち、企業の意識や行動、中でも、投資家を始めとしたステークホルダーに対する具体的なアクションという点で、企業間に大きな格差が生じるという事を意味します。


そんなポイントを中心に、個人投資家はコーポレートガバナンス・コードをどのように利用して行けばいいのか?などを、読売ブリッジサロンのワンコーナーである「ワンポイントコメント」で、「コーポレートガバナンス・コードの導入と個人投資家」と題してお話ししました。

動画はこちらから


当日の参加者の方からは、

「コーポレートガバナンス・コードの導入を各企業が実施すると個人投資家は安心して投資ができる。 (60代 男性)」


「コーポレートガバナンス・コード等導入について、株主主観の方向性が理解できました。 (60代 男性)」


「ワンポイントアドバイスが大変参考になった。コーポレートガバナンス・コードのニュアンスが理解できた。 (70代 男性)」


といった声を頂きました。

コーポレートガバナンス・コードについてはその有用性、有効性について批判も多数あるようです。
企業もまずは手探りで進まざるを得ず、一朝一夕で多くの企業が優れたコーポレートガバナンス体制を構築できるとは思えません。


ただ個人投資家としては、コーポレートガバナンスとはどういうものか?、自らの株式投資とどう関連付けて考えればいいのか?を勉強する必要はあると思います。


17分ほどの動画ですが、是非ご覧いただければと思います。

(保阪)

=私たちは明るく豊かな未来を企業と共に創り出す「応援投資」を提唱しています。=
(「応援投資」は株式会社インベストメントブリッジの登録商標です。)

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 20:44 | コメント (0)

2015年03月14日

ファナックの件で思うこと

3月13日金曜日の株式市場で投資家の注目を一身に集めたのはなんといっても(6954)ファナックでした。


高収益でありながら株主との対話に消極的と言われてきた同社が、稲葉社長主導の下、「SR(シェアホルダー・リレーションズ)部」を発足させ、株主からの面会や訪問の要請に応じる窓口とするのに加えて、可能な限り株主還元を実行していくとの発言が伝わると、同社株は、過去最大の上げ幅を記録して上場来高値を更新。前日比3,135円高の26,870円で引け、東証1部の値上がり率第2位となりました。

東証と金融庁によるコーポレートガバナンス・コードの策定と6月からの適用という流れが、工作機械用NC(numerical control、数値制御)装置で世界首位の同社を大きく動かした形となりました。

日本企業の変化を象徴する出来事だったと言えるでしょう。


これはこれで大変大きな出来事なのですが、同社のチャートを見てみたら、私、個人的にはちょっと違和感というか、小さな?を感じてしまいました。


下のチャートをご覧ください。


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上のチャートは過去10年間の同社株価、下はTOPIX(赤線)との相対株価(10年間)です。


リーマンショック後、同社株は大変順調に回復を遂げ、TOPIXを大きくアウトパフォームもしています。

また同社の配当性向はHPからは2011年3月期以降過去4年分しか分かりませんでしたが、ずっと30%を維持しています。(予想配当金額を公表していないところは、なるほどというところですが。)


配当性向30%は約8,000億円の現預金残高(2014年12月末)からいえば決して高くはないですが、投資家が改善を求めるほど低くもないのではないかなと感じます。


企業のIRをお手伝いしている私が言うのもなんなんですが、この株価推移で配当性向30%維持している同社に、これ以上何を求めるのでしょう?


一言で「株主」といっても保有期間の長短によって企業に求めるものも異なるケースもあり、2009年から2011年頃投資した長期株主はファナックに何の文句も無いのではないのでしょうか?


もちろん配当性向が上がることは株主にとっては嬉しいことですし、今回の件はファナック自身が決めたことなので私ごときが何か言う事ではないのですが、投資家による「株主との対話」が「株主還元」、「増配」、「自社株買い」ばかりにならないことを望みたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:20 | コメント (0)

2015年03月07日

ブリッジサロン400回開催記念 特別トーク・セッション

弊社が主催する個人投資家向けIR説明会「ブリッジサロン」は、2000年9月27日に第1回を開催して以来、昨年11月で400回を数えました。


これも、熱心にご参加くださっている個人投資家の皆様と、一人でも多くの投資家に自社のことを知って欲しいと考え、これも熱心にIR活動を行っている参加企業のおかげです。
あらためて感謝申し上げます。


昨年11月に400回を記念して、初の試みとなるトークセッションを開催しました。

そこでは、私と社長の廣島の二人で、「記憶に残る過去のブリッジサロンの思い出」に加えて、私たちが提唱している「応援投資」について、その考え方を改めてお話しさせていただきました。

また、「応援したい企業の見つけ方」と題して、応援するにふさわしい企業をどういう視点で見ていけばいいのかをお話しいたしました。

15分ほどの動画を作成しましたので、ぜひご覧ください。

「ブリッジサロン400回開催記念 特別トーク・セッション」

今後も、1回1回丁寧に積み上げて、500回、1000回と続けていきたいと考えています。

これからも応援よろしくお願いいたします!!

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 21:41 | コメント (0)

2015年01月01日

新年明けましておめでとうございます。

新年明けましておめでとうございます。
2015年が皆様にとって素敵な1年となることをお祈り申し上げます。

小学生の頃からのサッカー好きの私には、国立競技場での天皇杯決勝の無い元旦は、何か間延びした感じです。
だからという訳ではないのですが、この新年初Blogも間延びした感じで、「2014年 ブリッジレポート人気レポートランキングの年間ランキングのご紹介」からスタートすることといたします。


2014年は1月8日から12月24日まで週1回、52回ランキングを発表しました。
毎週のランキング上位5位を対象に、1位5ポイント、2位4ポイント、3位3ポイント、2位2ポイント、1位1ポイントでどの企業のレポートが最も多くのポイントを獲得したかを集計してみました。


栄えある第1位は(4282)イーピーエスの67ポイントでした。
イーピーエスは1位9回、2位3回、3位2回、4位2回、5位1回と、52週中17週でランキングに登場。コンスタントに投資家の皆さんの感心を集めていたと言えるでしょう。


同社は、このたび2017年9月期までの中期経営計画を策定、その一環として本日2015年1月1日付けで持株会社体制へ移行すると共にEPSホールディングス株式会社へ商号を変更しました。
2015年1月15日開催の2015年初回となる個人投資家向け説明会「ブリッジサロン」に同社が登場いたしますので、今後の戦略等に関心の有る方は、是非おいで下さい。

続く第2位は(2931)ユーグレナでした。
1位1回、2位10回、3位3回、4位1回、5位3回の59ポイント。
ユーグレナは1位の回数こそイーピーエスには及びませんでしたが、52週中18週でランキング登場と登場回数ではイーピーエスを上回っています。


第3位は(2462)ジェイコムホールディングスでした。1位11回のほか、4位1回でポイントは57。ランキング登場回数は12回と上位2社に比べると少ないですが、こちらも安定的にランキングに顔を出していました。

ちなみに、年間の最多登場回数はユーグレナの18回、イーピーエスの17回に続いて(3667)enishの16回でした。
また、上半期(1−6月)の最多登場は(7839)SHOEIの14回、下半期は(5162)朝日ラバーの15回。

相場環境、株価動向等にレポート閲覧数が影響される部分もありますが、ランキングに登場した事で、今まで知らなかった企業のレポートを読むきっかけにもなっているようです。
昨年末からは新規掲載企業も続々登場しています。
「知っている企業」のフォローはもちろんの事、「知らない企業」の発掘に是非ブリッジレポートをお役立てください。

また、2月21日土曜日からは読売ブリッジサロン 2015年春シリーズがスタートします。
初登場の企業もありますし、皆様にご好評いただいている「ワンポイントセミナー」も工夫を凝らしてより良いものにして参ります。
是非ご期待ください。1月下旬には詳細を発表いたしますので、少々お待ちください。

今年も皆さんとご一緒に、明るい未来作りに貢献する企業を応援して行きたいと思います。
よろしくお願い申し上げます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 15:31 | コメント (0)

2014年11月21日

「赤」は値上がり? 値下がり?

保阪です。


「日本の常識は海外の非常識」とか言いますが、国柄が違うと、決まり事も180度違うという事がありますよね。(例えば自動車の右側通行・左側通行)

こうしたことは株式市場でも見られます。

日本では、値上がりは「赤」、値下がりは「緑」ですよね。
でも欧米では「赤」は値下がり、値上がりは「緑」です。

同じBloombergでも日本版はご覧の通り「赤」が値上がりの日本ルール。でもBloomberg.comは「赤」は値下がりです。
念のためロイターも見てみたら、やはり「緑」が値上がり、「赤」は値下がりです。


最近は見かけませんが、以前は株式専門紙などで暴騰する株の事を「○○株が火柱高!!」などと表現していました。

やっぱり値上がりは「赤」でないと。
(もっとも、私が証券会社に入社した1984年ころの営業マン用QUICK端末は、濃い緑の画面に白い文字で「プラス」と「マイナス」を表すだけのシンプルなもの。日本で「赤」が値上がり、「緑」が値下がりなんて決まったのはもっと後なのかもしれませんね。)


さて、それでは今週も「ブリッジレポート 人気レポートランキング 初登場レポート」をご紹介します。

今週の初登場レポートは、1本、「ジェイコムホールディングス(2462 東京1部)」ですが、先週の「。「モリト(9837 東証2部)」に続いてまたもや初登場 第1位でした。

ジェイコムホールディングス 2015年5月期第1四半期業績レポート

携帯電話・アパレル業界向け販売員や保育士、介護士等の派遣・紹介等の総合人材サービス事業と、介護施設の運営を中心とした介護関連サービス事業を展開しています。
「…planning the Future 〜人を活かし、未来を創造する〜」をグループの経営理念として掲げ、より多くの人々に就業機会を提供するべく、M&Aや事業提携を積極的に進めサービス領域を広げています。

先週1位のモリトは位こそジェイコムホールディングスに譲りましたが、2位にとどまっています。まだまだレポートを読みたい投資家が沢山いらっしゃるようです。

では来週もお楽しみに。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:43 | コメント (0)

2014年11月13日

今週の初登場レポート

保阪です。

今週も「ブリッジレポート 人気レポートランキング 初登場レポート」をご紹介します。

今週の初登場レポートは、2本。

まず1本は「モリト(9837 東証2部)」で、初登場で第1位となりました。
初登場、1位は初めてかもしれません。

モリト 2014年11月期第3四半期業績レポート

靴・衣類などに紐を通す穴に取り付ける環状の金具である「ハトメ(鳩の目のように見えるからハトメだそうです)」をはじめとし、ホック、マジックテープなどの服飾の付属品や、自動車の内装品等の企画・開発から製造、流通までを一貫して手掛ける企業で、創業100年を超す歴史の中で培われた高い信頼性、高シェア、グローバルネットワークなどが強みです。

「グローバル展開のために約80億円の現預金をどう有効活用するか?」が課題と前回のレポートで指摘していたのですが、10月9日に米国のやはり老舗企業を50億円で買収すると発表しました。
この点に多くのレポート読者が関心を持ったのでしょうね。

今年3月、大阪の本社で一坪社長に取材を行った際、「伝統ある企業の良さを維持しつつ、会社全体でもっとチャレンジしなければいけない」とおっしゃっていました。

M&Aは買ったら終わりではなく、いかに「1+1」を3とか4にできるかが勝負です。
今後の展開に注目です。


もう1本は「enish(3667 東証1部)」で5位にランクインでした。

enish 2014年12月期上期業績レポート

こちらは、レストラン経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストラン供廚筌▲僖譽襯轡腑奪廚侶弍張轡潺絅譟璽轡腑鵐押璽燹屮ルショ☆」、カードバトルゲーム「ドラゴンタクティクス」等の人気作品を有するソーシャルゲームの開発会社です。今年3月には実質的創業者である安徳孝平氏が代表取締役社長に就任。ブラウザアプリの収益性を維持しつつ、ネイティブアプリでヒットを創出し、国内とアジアを中心にしたグローバル配信で業容拡大を図っていく考えです。
mixiが好業績を発表したり、ガンホーも相変わらずパワー全開で、ゲーム関連銘柄人気はまだ続きそうです。

実は先週分のご紹介が出来ませんでしたので、ここでご紹介しておきます。
すみません。

先週の初登場は、「地盤ネット(6072 東証マザーズ)」と「キリン堂ホールディングス(3194 東証1部)の2銘柄で、それぞれ第3位、第4位にランキングされました。

地盤ネット 2015年3月期第1四半期業績レポート

住宅建築の際に行われる地盤調査を、発注者である施主、住宅メーカー等にとって透明性の高いものとするために、地盤の調査・解析・補償に特化し、改良工事は行わない地盤会社です。
地盤改良工事の要・不要に関する情報を第三者の立場から提供する「地盤セカンドオピニオン®」、地盤改良工事を除く地盤に関する一貫したサービスを提供する「地盤安心住宅®システム」が主力サービスで、生活者の利益を守る「住生活エージェント」として新商品開発、多角化に積極的に取組み、地盤業界ナンバーワンを目指しています。


キリン堂ホールディングス 2015年2月期第2四半期業績レポート

関西圏を地盤としてドラッグストアを運営する(株)キリン堂を中心とした持株会社で、医薬品の卸売事業や医療・介護コンサル等も手掛けています。ドラッグストア事業では、グループ店舗数は331店舗。『地域コミュニティの中核となるドラッグストアチェーン』の確立を目指し、関西地区における小商圏フォーマットでのドミナント深耕を進めています。調剤事業の拡大にも力を入れています。

来週もお楽しみに。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 17:37 | コメント (0)

2014年10月31日

トーク・セッション開催します。

保阪です。

「読売ブリッジサロン 2014年秋開催」も無事終了しました。毎回多くの皆さんにお越しいただき感謝しております。

明日から11月ですね。弊社は10月決算なので、明日から新年度入りとなります。

改めて気を引き締めて、個人投資家、企業双方のお役に立つような存在であることを目指していきたいと思います。

さて、お知らせです。

11月22日土曜日開催のブリッジサロンのワンコーナーとして、『ブリッジサロン400回開催記念特別トーク・セッション 〜今改めて「応援投資」を考える〜』というイベントを開催します。


これは、弊社が日頃から提唱している「応援投資」の意味を、個人投資家の皆さんご一緒にと改めて考えてみようという趣旨で行うものなのですが、当日は会場にお越しいただいた投資家の皆さんと、なるべく双方向で対話して、お互いの理解を深めて行きたいと思っています。

いつも会場でお顔を拝見するだけの方も大勢いらっしゃいますが、もっともっと皆様に愛される「ブリッジサロン」にしていく機会にしたいと思います。

なお当日はご来場いただいた皆様には、「弊社特製 2015年卓上カレンダー」をプレゼントさせて頂きます。
多くの皆さんのご参加をお待ちしております。


さて、今週の「ブリッジレポート 人気レポートランキング」 初登場レポートは、「ホシザキ電機(6465 東証1部)」で、第4位にランキングされました。

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ホシザキ電機 2014年12月期第2四半期業績レポート


外食産業、病院・老人健康施設、学校・保育園、スーパー、コンビニ、オフィスなどを顧客とし、製氷機、業務用冷蔵庫を始めとしたフードサービス機器の研究・開発・製造・販売を行っています。

製氷機、業務用冷蔵庫、食器洗浄機、生ビールディスペンサなどの主力製品では国内トップシェアで、製氷機に関してはグローバル市場でもトップシェアを有しています。

また、独自の製品開発力、高品質、強力な営業力、迅速できめ細かなサービス&サポート体制などが同業他社に対する強力な優位性となっています。

皆さんも居酒屋さんなどでペンギンマークの同社の冷蔵庫や製氷機、ビールディスペンサなどをご覧になった事があるのではないでしょうか?

来週もお楽しみに。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 11:26 | コメント (0)

2014年10月18日

塩崎厚労相の発言

保阪です。

今日の日経新聞「新任閣僚の資産公開」から。

株式投資に関心ない政治家が決めるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用比率ってどうなんでしょう?

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政治家として、「株式投資イコール不労所得で悪」という庶民感情(今も本当にそうなのかは甚だ疑問ですが、、、)を考慮しているのでしょうが。

ただ、NISAのスタート、日本版スチュワードシップ・コードの導入、コーポレートガバナンスコードの策定など、株式投資のあり方を見直す機運が大いに高まっている今だからこそ、株式投資の本来の役割、明日の世界を創る株式投資の重要性を、政治家としてリーダーシップを取ってメッセージを発して欲しかったと思います。
残念です。

さて、今週の「ブリッジレポート 人気レポートランキング」ですが、「TOW(4767 東証1部)」が第5位初登場となりました。

TOW 2014年6月期業績レポート

イベントプロデュース業においては独立系NO.1のトップカンパニーです。同業他社が約8000社あり、その大半が中小・零細企業といわれる中、当社は頭一つ抜け出た存在です。現在はイベントをはじめとするデジタル・プロモーションのみならず、Webサイト、ノベルティグッズ、印刷ツール、キャンペーン事務局といった各種セールスプロモーションメニューも取り揃え、ワンストップ体制とプロモーション提案力の強化を図り、マスメディア以外は全て当社で対応できる、総合プロモーション事業を展開し、イベント/セールスプロモーション業のスペシャリストとして信頼を得ています。また、東京ドーム、幕張メッセ、国際フォーラム、東京ビッグサイトなど、 大型会場でのイベントを1社単独で全て対応できることも大きな強みです。
2020年の東京オリンピックも大きなビジネスチャンスとなるのではないでしょうか?

来週もお楽しみに。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:41 | コメント (0)

2014年10月02日

新幹線開業50周年記念日

保阪です。

昨日、大阪の1部上場企業の社長にインタビューするため朝7時ごろ東京駅新幹線改札口へと向かいました。
すると、2014年10月1日は新幹線開業50周年の記念日という事で、写真のようなクリアファイルを駅員さんが配っていたので、ありがたく頂戴しました。

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私は特に「○鉄」という訳ではないのですが、偶然利用した日が開業記念日だったということに何とも言えない嬉しさを感じました。

開業当時、東京―新大阪は「ひかり」で4時間、「こだま」で5時間だったそうです。
それが2007年に現在の主力車両「N700系」が登場し、2時間25分となっています。

早くて便利になった事は大変ありがたいですが、一方で食堂車が2000年に営業を終了してしまったのは残念でした。
デパ地下の発達、乗客増による座席増加などが背景だということですが、「旅情」を演出する大事なバイ・プレーヤーだったと思います。


さて、今週も「ブリッジレポート 人気レポートランキング」 初登場レポートをご紹介します。

今回の初登場レポートは「ユーグレナ(2931 東証、マザーズ)」と「イーピーエス(4282 東証1部)」の2本でした。

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ユーグレナ 2014年9月期第2四半期業績レポート

皆さんの中でも知っている人が沢山いらっしゃる会社だと思います。
世界で初めて微細藻類ユーグレナの食用屋外大量培養を成功させたバイオテクノロジー企業で、ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の優れた特性を活かし、食品を皮切りに、化粧品、化成品、飼料、燃料など事業分野の拡大を進めています。

ややもすると「ジェットエンジン燃料」の事ばかり取り上げられますが、実は現在の主力事業であるヘルスケア事業における自社製品の高い収益率と安定したキャッシュ・フロー創出力は同社の大きな強み・特長です。


イーピーエス 2014年9月期第3四半期業績レポート

先週初登場だった「リニカル」同様、製薬会社の行う新薬開発のための臨床試験を支援するCRO(Contract Research Organization)大手です。

CRO事業に加え、臨床試験に関連して医療機関を支援するSMO事業、製薬会社の営業スタッフであるMRを派遣するCSO事業を収益基盤にして、医薬品メーカーのグローバル臨床試験に対応するべくGR(Global Research:グローバル・リサーチ)事業を育成中です。
また、日中のヘルスケア産業の懸け橋としての機能を担う新規事業の育成にも取り組んでいます。


来週もお楽しみに。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:10 | コメント (0)

2014年09月26日

「牡蠣」を堪能

保阪です。

昨晩、「牡蠣」を頂きました。北海道・厚岸産2種類と兵庫県赤穂産の計3種類を取り混ぜて、生、焼き、酒蒸し、フライ、しゃぶしゃぶで食べたのですが、それぞれ違った味が楽しめて幸せ一杯でした。

オーナー店長は、「日本人は、食わず嫌いや、何故か牡蠣は沢山食べてはいけないと思い込んでいる人が多いので、色々な産地の牡蠣を色々な食べ方で楽しんでもらい、沢山食べてもいいんだという事を一人でも多くの人に知って貰いたい。」と仰っていました。


人口減少社会の中で胃袋の数は減っていっても、それ以上に胃袋に入る牡蠣の数を増やせば確かに売上は拡大しますよね。
また、たくさん食べてもらう事で沢山仕入れることになるので、もっと値段を安くできるとも仰っていました。

お酒の種類は沢山あり、締めの牡蠣飯も絶品!!

当社の標榜している「応援投資」ではありませんが、応援したくなる良いお店でした。

さて、今週も「ブリッジレポート 人気レポートランキング」 初登場レポートをご紹介します。

今回の初登場レポートは「リニカル(2183 東証1部)」でした。

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リニカル2015年3月期第1四半期業績レポート


臨床試験に関わる業務の一部を代行する事で製薬会社の医薬品開発を支援するCRO(Contract Research Organization)大手の1社で、医薬品のマーケティング業務も手掛けています。

医薬品は発売前に厚生労働省の承認・認可を受けることが義務付けられており、承認前の薬剤(医薬品候補)を患者に投与して効果や安全性を確かめる必要がありますが、この臨床試験を支援する企業をCRO(医薬品開発業務受託機関)と呼びます。

製薬会社は開発要員に制限のある中で機動的な開発を遂行するために、業務をアウトソーシングする動きを拡大しており、CROの役割が大きくなっています。

同社は、統合失調症、うつ病、アルツハイマー等の中枢神経系領域やがん領域といった難易度の高い領域に注力する事で他社との差別化を図っています。
主な取引先は、武田薬品工業グループ、第一三共、大塚製薬、塩野義製薬、田辺三菱製薬、小野薬品工業等国内主要製薬会社などで、海外展開にも注力中です。

来週もお楽しみに。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:01 | コメント (0)

2014年09月19日

今週の初登場レポート 

保阪です。

スコットランド独立住民投票の開票が終了し、結果は賛成 1,617,989票(44.70%)、反対2,001,926票(55.30%)で、独立は見送られました。

ただ、これだけ賛成票があるという事は今後も折に触れて独立運動が注目を集める事になるのでしょうね。

さて、今週の初登場レポートは、「アドバンテッジリスクマネジメント(8769 JASDAQ)」の1本でした。

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アドバンテッジリスクマネジメント 2015年3月期第1四半期業績レポート


同社は、『安心して働ける環境』と『活力ある個と組織』を共に創るという企業理念の下、社員・従業員を取り巻く様々な課題を解決するためのソリューションを提供しています。

うつ病など精神障害の予防及び回復をサポートし、人材のパフォーマンスを最適化するメンタリティマネジメント事業と、傷病による休業中の所得を補償する団体長期障害所得補償保険(GLTD)を販売する就業障がい者支援事業の2つが収益の柱です。

メンタルヘルスケア業界唯一の上場企業で、圧倒的な規模と高いシェア、一気通貫でソリューションを提供できる総合力も大きな特長です。

加えて、今年6月、従業員に対する心理負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)の実施を義務付ける「ストレスチェック義務化法」が国会で成立したことから、ビジネスチャンスの拡大が期待されます。


では、また来週をお楽しみに。


カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 17:46 | コメント (0)

2014年09月12日

秋刀魚の塩焼き

保阪です。

昨日、今年初の秋刀魚 塩焼きを頂きました。

FaceBookで私の先輩である方が、頭と尻尾と背骨だけという見事な食し方をされていたので私もチャレンジしてみましたが、その方ほどは尻尾が上手く食べきれませんでした。

シーズンはまだ始まったばかり。何度も挑戦しようと思っています。


さて、今週も「ブリッジレポート 人気レポートランキング」 初登場レポートをご紹介します。


今回の初登場レポートは「朝日ラバー(5162 JASDAQ)」と「セルシード(7776 JASDAQ)」の2本でした。

朝日ラバーは初登場で1位、セルシードも同2位と「赤丸急上昇」レポートです。(最近あまり聞かないフレーズ。歳がわかります。)

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朝日ラバー 2015年3月期第1四半期業績レポート


同社は自動車の内装用照明を中心に、携帯用通信機器、電子・電気機器、産業機器、スポーツ用等、幅広い分野で利用されている被覆用ゴム製品を主力としています。

シリコーン(ゴム状の合成樹脂)材料の配合技術と調色技術に強みを有し(色と光のコントロール技術)、シリコーンゴムに蛍光体を配合したLED用ゴムキャップは、LEDの光を波長変換して色調や輝度を調節できるため、10,000色以上の光を出す事やLEDの課題である光のばらつきを均一化する事が可能です。

今後は、分子接着技術を応用したマイクロ流体デバイスの販売拡大を目指ておりし、注目を集めています。

分子接着は、ゴムと金属・ゴムと樹脂・ゴムとセラミックス・ゴムとガラス・ゴム同士などを強固に接着する技術で、接着面の表面処理と加熱加圧等により従来の接着工程のような高濃度の接着剤塗布や高温、高圧を必要とせず強固な接着力が得られるものです。

セルシード2014年12月期上期業績レポート


東京女子医科大学の岡野光夫教授が開発した日本発の「細胞シート工学」を基盤技術とし、この技術に基づいて作製した「細胞シート(細胞をシート状に組織化したもの)」を用いて従来の治療では治癒できなかった疾患や障害を治す再生医療「細胞シート再生医療」の世界普及を目指しています。

事業は、細胞シート再生医療製品の研究開発と細胞シート製造及び加工技術の開発を行う細胞シート再生医療事業、細胞シートの培養器材である温度応答性細胞培養器材及びその周辺製品の研究開発・製造・販売を行う「再生医療支援事業」に分かれており。「再生医療支援事業」は細胞シート再生医療事業の提携先開拓のための戦略的な意義も有しています。


来週もお楽しみに。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 12:56 | コメント (0)

2014年09月05日

今週の初登場レポート

保阪です。

明日、9月6日(土)の読売ブリッジサロンでは、ワンポイントコメントで「日本株復活に向けた取組み」と題してお話しします。

日本再興戦略改訂版の発表(今年6月)、日本版スチュアードシップ・コードの確定(今年2月)、コーポレートガバナンス・コードの指針作り(来年6月策定予定)、企業と投資家の望ましい関係構築プロジェクトの発表(今年8月)など、日本企業の収益力を回復に向けた様々な取り組みが進められています。


この中で今回は、企業と投資家の望ましい関係構築プロジェクト(伊藤レポート)について概略をご説明します。

弊社はこのプロジェクトの正式メンバーではありませんが、「個人投資家と応援投資」という観点から情報提供をさせて頂きました。

その意味で、明日は全体をかいつまんでお話しするのではなく、「個人投資家」の立場からこのプロジェクトの提言をどう捉えたらいいのか?に焦点を当てたいと思っています。


以降の読売ブリッジサロンの回でも、日本版スチュアードシップ・コードや最近注目を集める「統合報告書」について、やはり「個人投資家」という視点で、その意味をご一緒に考えていきたいと思います。

さて、今週も「ブリッジレポート 人気レポートランキング」 初登場レポートをご紹介します。

今回の初登場レポートは「プレステージ・インターナショナル(4290 東証1部)」と「enish(3667 東証1部)」の2本でした。

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プレステージ・インターナショナル 2015年3月期第1四半期業績レポート

プレステージ・インターナショナルは、国内外でBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を展開しています。

損害保険会社、自動車関連会社、不動産管理会社等を主な取引先とし、自動車保険加入者に提供するロードアシストサービス、海外旅行損害保険加入者向けの日本語緊急コンタクトセンターサービス、物件の管理会社等と契約しマンション等の入居者に対するホームアシストサービス(水漏れ、鍵開け、ハウスクリーニング等)、駐車場管理会社向けのパークアシストサービス等幅広いサービスを提供。海外における事業展開の体制作りも着実に進めています。

今期は、前期比10.2%の増収、同12.8%の経常増益と、会社側は堅調な業績を予想しています。


enish 2014年12月期上期業績レポート

enishは、レストラン経営シミュレーションゲーム「ぼくのレストラン供廚筌▲僖譽襯轡腑奪廚侶弍張轡潺絅譟璽轡腑鵐押璽燹屮ルショ☆」、カードバトルゲーム「ドラゴンタクティクス」等の人気作品を有するソーシャルゲームの開発会社です。

今年3月には実質的創業者である安徳孝平氏が代表取締役社長に就任。ブラウザアプリの収益性を維持しつつ、ネイティブアプリでヒットを創出し、国内とアジアを中心にしたグローバル配信で業容拡大を図っていく考えです。

今期は新規タイトルのリリース遅れなどから上期苦戦したものの、会社側は下期からの回復を見込んでいます。

なお、先週5位で初登場だった日本システム技術は今週3位に上昇しています。


来週もお楽しみに。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 19:43 | コメント (0)

2014年09月01日

初登場レポートにご注目!!

こんにちは保阪です。

さて、当社HP「ブリッジサロン」のトップページに「ブリッジレポート 人気レポートランキング」というコーナーがあるのをご存知でしょうか?

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これは、過去4週間のブリッジレポート閲覧数を集計し、上位5レポートを掲載するもので、毎週水曜日に更新しています。


現在当社では約100社のブリッジレポートを作成しています。原則四半期ごとにアナリストが執筆していますから、ザックリ言えば年間400本のブリッジレポートが公開されています。

その中から、過去4週間に遡って良く読まれているブリッジレポートを取り上げていくというものです。


ランキングに入ってくるという事は、事業内容、足元の業績、今後の取り組みなどに関して何らかの注目を集めているということですから、仮にその企業の事を知らなくても「こんな面白い企業があるんだ!!」という発見につなげてもらえれば嬉しいです。

今回の初登場レポートは「アミューズ(4301 東証1部)」と「日本システム技術(4323 東証2部)」の2本でした。


【アミューズ 2014年3月期業績レポート】

アミューズは、サザンオールスターズや福山雅治といったアーティストを擁する総合エンターテインメント企業。

所属俳優の佐藤健主演の映画『るろうに剣心 京都大火編』はヒット中で、後編となる『るろうに剣心 伝説の最期編』も9月13日より全国公開予定です。であり、また、同じく所属俳優 吉高 由里子主演のNHK朝の連続テレビ小説「花子とアン」も話題となっています。
海外、特にアジアでの積極的な事業展開を進めています。


【日本システム技術 2014年3月期業績レポート】

日本システム技術は、独立系のシステム開発会社で、国内トップシェアの大学業務パッケージなどを始めとして、従来の受託開発から「自社ブランド」パッケージにビジネスモデルを移行中です。

その中でも、日本の医療費の適正化に大きく貢献するものとして、レセプト(診療報酬明細書)の自動点検・分析・医療費通知等を始めとした医療情報データの点検、分析及び関連サービスを提供する「医療ビッグデータ事業」を今後の中核事業の一つと位置付けて積極的に取組んでいます。

そうした中、「政府が2015年度より患者が医療機関でどんな治療を受けたのかがわかるレセプトの膨大なデータを活用し、新たな医療費抑制策に乗り出す」とのニュースが最近、大手メディアにより配信され、注目を集めています。


是非「ランキング初登場企業」を中心に、「ブリッジレポート 人気レポートランキング」を注目してみてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 11:36 | コメント (0)

2014年04月24日

「ROEに対する投資家と企業の認識」

一般社団法人 生命保険協会という団体があります。

1898年(明治31年)に設立された生命保険会社談話会がその前身という大変歴史のある組織で、生命保険業の健全な発展および信頼性の維持を図ることを目的として、「生命保険に関する理論および実務の調査・研究」、「生命保険に関する広報活動」、「生命保険に関する意見の表明」などを事業として行っています。

ご存知の通り生命保険会社は、保険契約者から預かった保険料を、最善の注意の下、誠実に一定の利回りで運用する責務(受託者責任)を持った代表的な機関投資家であり、銀行と共に多くの上場企業の株主として顔を出す、株式市場にとって大きな存在です。


その生命保険協会では、「企業と株主が十分なコミュニケーションを行いつつ、課題の共有化とともに長期的な視点で株式価値の向上が進むことを望んでおり、各企業の株式価値向上への取り組みが日本の株式市場の活性化につながるものと期待している。」と考え、株主・投資家の立場から、株式発行企業による株式価値向上に向けた取組みについて、1974年度より40年間にわたってアンケート形式による調査を行っています。

その平成25年度の調査結果が公表されましたので、その中から大変興味深い点をご紹介したいと思います。

「ROEに対する認識に大きな隔たり」


調査内容は、アンケートによって企業と投資家それぞれに同じ質問をして、回答を比較することで両者の意識がどのように異なるのか、時系列的に意識・行動にどのような変化が見られるか、といった視点での分析を行うというものです。

アンケートは2013年10−11月に実施され、「時価総額上位1,129社のうち回答した575の企業」と「機関投資家158社のうち回答があった87社」の回答を集計しました。


アンケート項目の一つに、「目標とする経営指標について」という項目があります。

経営目標として重視する事が望ましい指標として、投資家が要望するものの第1位は「ROE(自己資本利益率)」で複数回答可ではありますが、その割合は90.8%と、第2位の「配当性向」の52.9%、第3位の「利益額・利益の伸び率」の37.9%を大きく上回り断然のトップとなっています。


反対に企業側が重視している指標の上位2つは「売上高利益率 61.4%」、「利益額・利益の伸び率 58.8%」となっていますが、これに対する投資家の要望度合いはそれぞれ27.6%、37.9%と決して高いものではありません。
「ROE」は52.3%で第3位にとどまっています。

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加えて、企業側のこうした意識を反映しているのでしょう、ROEの目標値を設定している企業の割合は37.7%と、前々年度の34.1%、前年度の36.8%からは若干上昇してはいますが、依然として低水準で推移しています。

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このように、ROEに関する企業と投資家の認識には大きなギャップが存在していることが明らかとなっています。


昨年新たに発表が始まった株式指数「JPX400」においてROEが選別の一基準になったように、投資指標としてのROEに注目が集まっているのは確かです。

ただ、4月23日付の日経新聞の自社株買い強化とROE向上について触れた記事に「最高益を視野に入れる企業が増え、ROEへの意識はこれまでにない程に高まっている。」との記述がありましたが、この生命保険協会の調査を見る限り、残念ながら「まだまだ」と言わざるを得ないと思います。


もちろん機関投資家の要望がすべて正しいとは言い切れませんが、日本の株式市場が持続的に投資家の資金を引き付けることができる魅力あるマーケットとなるためには、このギャップの縮小のための努力は上場企業に課せられた大きな課題であると考えます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:46 | コメント (0)

2014年02月20日

「木を見て森を見ず」

量的金融緩和の段階的な縮小は継続するものの、景気や雇用には十分配慮するという米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン新議長の発言と、当面追加的な金融緩和は行わないものの物価上昇率2%を目指し現在のスタンスを継続するとの黒田日銀総裁の発言により、日経平均の下値不安はひとまず後退したようです。

ただ、大幅高の翌日は小幅なマイナスになるなど、再び上値に挑戦する力強さは残念ながら感じられない状況です。


さて、下のチャートは過去10年間の日経平均を始めとした先進国の株価動向を示す相対株価ですが、これを見ると面白いことが分かります。

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2004年を起点とすると、上昇を続けた株価は07年のサブプライムローン問題、08年のリーマンショックで大きく下落。

上昇幅にかなりの差があったにもかかわらず、09年初めのボトム近辺では、全ての株価はほぼ同水準となっています。
当たり前と言えば当たり前ですが、大きく上げたドイツが大きく下げ、上げ幅は小さかった米国は下げ幅も小さく済んでいます。


次に、その09年初めのボトムを起点とし、現在に至る約5年間を見ると、各国の株価が順調に回復する中、日経平均のみが大きく出遅れていましたが、13年の「アベノミクス」相場により急速に追いつき、14年に入った現在、米国、英国、日本の株価はほぼ同水準にあります。


グローバル経済の下で、各国経済の相互関連性が一段と強まる中、グローバルな投資家は常に相対的な視点で先進国株価をウオッチし、売買しているということなのかもしれません。(そうだとすると、1国のみ一段高い位置にあるドイツの株価は今後、日・米・英の株価にさや寄せすることになるのでしょうか)


さて、このチャートを見るかぎり、日本株は昨年の大相場で米・英株に対する出遅れ感は全くなくなったと言えます。

昨年1年間で約15兆円という史上最高の買い越しを行った外国人投資家も、今年に入ってからは売り越しに転じていることも、その表れと言えるかもしれません。


ただ、企業業績は円安効果もあり好調であること、そこから導き出される日本株のPER(株価収益率)も約15倍と割高感は感じられないこと、金融緩和策の継続で当面は金利の安定的な推移が見込まれることなどから、前述のように下値不安は少ないと考えられます。


それでは今後の株価はどう動くのかが問題になるわけですが、割高感はないものの、水準訂正が一段落したとすれば、昨年のように、ほぼ全ての株が上昇するような強烈な相場を期待することはできません。


そこで、一つのヒントとなるかと思われるのが、ソニー(青)、パナソニック(赤)、日経平均(緑)の過去1年間の相対株価チャートです。

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12年末あたりをボトムに3銘柄とも大きく上昇し、13年5月にいったんピークを付けます。

調整後、日経平均とパナソニックは年後半に向けて5月の高値を抜いていきましたが、反対にソニー株は夏場から下落に転じてしまいました。


この差が何から来たかというと、両社の業績動向にあったのは明らかです。


下の表にあるように、パナソニックは13年5月に今期14年3月期の業績予想を「微減収・黒字化」と発表しましたが、10月には「微増収・黒字化」に上方修正しました。


これに対しソニーは、13年5月の時点では「増収・増益」予想でしたが、10月には「増収・減益」へ、そして14年2月には増収ながらも「最終利益再び赤字転落」へと予想を下方修正しました。

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会社側が増収・増益予想を維持していた13年8月から9月の段階で、すでにソニー株は調整に入っていました。

これを見ると、数多くの投資家の意見の集合体である株価の予見能力に改めて驚いてしまいますが、この2社の業績予想の推移と株価の動向を照らし合わせて見ると、「13年5月までは出遅れていた日本株全体の水準訂正が急速に進んだ金融相場。その後は個別企業の業績を投資家が重視する業績相場に移行した」と言えるのではないでしょうか。

以前も述べましたが、投資戦略としてはまさに、「木を見て森を見ず」という事になるでしょう。


業績相場に移行したとすれば、銘柄選別の視点としては、思惑や材料といった移ろいやすいものではなく、増収率、増益率、ROE(自己資本利益率)といった企業のファンダメンタルを重視することが肝要です。


3月決算企業の第3四半期決算や、12月決算企業の本決算が出そろいました。様々な視点から業績好調企業をピックアップして頂きたいと思います。


と同時に、このBlogでは何度も述べていますが、安倍政権には「成長戦略の迅速な実行」を期待ではなく、強く要求したいと考えます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 19:24 | コメント (0)

2013年12月26日

更に明るい2014年に向けて

今年最後のBlogになります。

昨日12月25日の日経平均は終値ベースで2007年12月11日以来、6年ぶりに16,000円台を回復して引けました。

証券優遇税制が今年で終了することに伴う個人投資家の株式売却も峠を越えた一方、来年初からスタートするNISA(少額投資非課税制度)をきっかけとした、個人投資家の新しいリスクマネー流入期待から、先高期待が高まってきたという事が、市場関係者の中では言われています。

以前にもご紹介した、日経平均を「ドルコスト平均法」で購入したと仮定した際の損益状況も、下記のチャートの様にプラスゾーンへと入ってきました。

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前回のプラスゾーンの終焉は2007年12月でしたから、まさに6年ぶりに中長期投資家を中心に、ポートフォリオに含み益が生じた状態に入ってきたと言える訳で、投資家心理は一気に明るさを取り戻しているようです。

さて、このコラムも今回が今年最後ですので、2014年の株式市場を見通す上でのポイントとなりそうな点を幾つか挙げてみたいと思います。


1.成長戦略の行方と外国人投資家
「アベノミクス」の政策である大幅な金融緩和、大規模な財政出動という一の矢、二の矢はこれまでのところその目的を概ね達してきたと評価されています。

そうした中、2014年の注目点は何と言っても、安倍総理自らが「一丁目一番地」であると従来から言明してきた成長戦略や産業競争力強化に向け、どれだけ具体的な動きが見られるかとなるでしょう。


特に今年歴史的な買い越しとなった外国人投資家はこのポイントを最も重視しているようです。

2008年から始まった米国の量的金融緩和は、そのスピードは別にして、縮小方向へ向かう訳ですから、日本経済、日本企業が本当に成長力を取り戻すことができるのか?は極めて重要です。

ただ、金融政策や財政政策と異なり即効性を期待しにくいものでもあるので、TPPにおける聖域の取扱い、医療や雇用における規制緩和の進展など、「取り組みの真剣度合い」が問われるという事になるでしょう。


2.東アジア各国との関係
一般的に株価が水準を高めていくといわゆる地政学的なリスクが注目されるようになるケースが多いようです。

特に今年は中国、韓国との政治的な融和が進展しない一方で、逆に年後半に入り、中国の防空識別圏設定を始めとして、それぞれの国内事情が、外交関係に影響を及ぼすような事象が見られるようになりました。加えて、12月に入ってからの北朝鮮No.2の粛清・処刑は、東アジア情勢をより複雑なものとすると同時に、大きな打撃にまではならないかとは思いますが、日本の株式市場にとっては嫌な材料です。

と書いていたところで、びっくりしました「靖国参拝」
私も決して国を思う心を持っていないのではありませんが、このタイミングはどうなのかなあ?と思わざるを得ません。
アメリカも困っているのではないかなあ。

3.個人消費の動向
政府も繰り返し言明しているように、アベノミクス成功の条件の一つは「賃上げ」です。

今冬の主要企業のボーナスは、自動車や電機を中心に円安メリットを得て数年ぶりに増加したという調査も見られました。

ただ、これはあくまでも大企業を中心としたものであり、中小企業にはまだその恩恵が及んでいないとも言われています。

また、来年4月からは消費税率が5%から8%に引き上げられるのに加え、来年度の税制改正で、政府・与党は、年収1000万円を超える会社員の給与所得控除を2017年から縮小し、税負担を重くする方針とも伝えられています。

合わせて年収910万円以上の世帯の高校無償化も廃止されるなど、比較的消費性向が高いと思われるこの層の個人消費に対する影響が気になるところです。

この他、NISA開始に伴う個人投資家動向、過熱とも見られるIPO(新規公開株)市場がどこまで続くのか?なども日本の株式市場の行方を見る上で欠かせないポイントかと思います。


ただ、いずれにせよ今年2013年の株式市場は、様々な要因が重なり合いながら、久方ぶりに先行きへの期待を持つことができました。

その明るさを本格的なものにするには、明日の日本を創り出す気概に満ちた企業経営者とそれを真剣に応援する投資家のコンビネーションが不可欠であると思います。


2014年が2013年を上回る実りある年となるように、個人投資家の皆さんも「信頼できる企業」を見出す力を磨いて頂きたいと思います。

今年もありがとうございました。
よいお年をお迎えください。

by 保阪

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:38 | コメント (0)

2013年12月20日

経産省「企業と投資家の望ましい関係構築」プロジェクト

経済産業省では、「持続的成長への競争力とインセンティブ 〜企業と投資家の望ましい関係構築〜」というプロジェクトを現在進行させています。


その趣旨は、日本の株式市場、企業、投資家の現状を踏まえ、「企業が持続的に成長するための競争力強化に向けた課題とそれを支える資本市場のあり方を検討する。」ということで、企業、投資家、市場関係者、相互の対話を通じて日本の経済および企業が競争力を強化するための現在の課題や問題点を明確にし、それらをいかにして乗り越えていくかを議論していくものです。

経産省のページ
http://www.meti.go.jp/press/2013/10/20131016001/20131016001.html

先日、そのシンポジウムが都内で開催され、私も参加してきました。

周りを見渡すと、金融機関、運用会社の方がやはり多数でしたが、当社が開催している個人投資家向け説明会でお見かけする個人投資家の方のお顔も何人かあり、僭越ながらも、皆さん問題意識を持って投資されているんだなあと、改めて感心し、心強いものを感じました。


そのシンポジウムでは、座長の伊藤邦雄一橋大学大学院商学研究科教授の講演やパネルディスカッションなど、大変参考になる情報を沢山得る事が出来たのですが、中でも非常に興味深かったのが、伊藤教授が示したものでした。


それは、「日本企業のほとんどが中期経営計画を策定しているが、達成出来ているのはほんの一握りで。」というものです。

「日本企業」というくくりが曖昧だったり、外国企業の実態を知らないので断定的な判断や比較は困難ですが、少なくとも日本で中長期投資が根付かない理由の一つは、残念ながらここに有ると言わざるを得ないのでしょう。


企業の事は企業しか解らない部分がほとんどですから、この点は投資家としては継続的に企業に達成率を上げていくよう働きかけていくしかないでしょうね。


さて、このプロジェクトは外部の意見も、「エビデンス」という形で募集していましたので、私も経済産業省宛にメールを送ってみました。


以下にその要点をご紹介させて頂きます。


【個人投資家に提唱している応援投資の考え方】

・投資家にとっては、最小のリスクで、キャピタルゲインとインカムゲインを合わせた金銭的リターンを、最大限に高めることが目的なのは間違いない。

・ただ、地球の持続的成長に黄色信号が灯り、また金融危機を機に徹底的にリターンのみを追求する事が疑問視される中、そうした金銭的なリターンの観点のみで企業を見るのではなく、「明るく豊かな未来を創造する事に貢献出来る企業」を選別し、そうした企業を応援する事、株主になる事を誇りと感じられるような企業を選別し投資する事の重要性を理解してもらいたい。

・企業と投資家が手を組んで新しい発明やサービスを生み出し、育て世の中を豊かにするという株式市場における投資家本来の役割や責務を認識して欲しい。

・そのためには個人投資家といえども、直接経営者の話を聞き、対話をし、判断する事が絶対に必要である。証券会社やアナリストの意見も重要だが、最も重要なのは各個人の判断する力や感じる力。

・この「応援投資」を実行出来るのは、実は、パフォーマンス評価が全ての機関投資家ではなく、金銭的パフォーマンスに加えて、上記のような総合的な満足度で評価する事が出来る個人投資家ではないか。

・「応援投資」を行う場合は、株主になったら積極的に対話の場である株主総会に出席して、時には厳しく中長期で企業を見守っていって欲しい。


このように、弊社の基本的な考え方である「応援投資」の概要を説明した上で、このプロジェクトが掲げている14の論点のうち、「個人投資家と企業」という観点から、私が是非述べたいポイントを「エビデンス」として提出しました。


(1)資本効率と経営規律の課題

企業経営における資本コストやROE等の位置づけに関しては、当社の顧客企業が比較的中小規模の上場企業である事も要因かとは思うが、上場企業経営者であっても資本コストやROEに関する理解、認識は残念ながら未だ低い。

また、様々な企業の決算説明会資料の中で、ROEや資本コストに言及する企業は私の知る限り、きわめて少ない。

ただこうした状況は、時価総額が比較的上位の企業を対象とした(財)生命保険協会による「株式価値向上に向けた取り組みについて」の調査結果を見ても同様であり、企業規模の大小とは関係ないようだ。

企業が決算短信で公表している「目標とする経営指標」においても、ROEを初めてとした資本コストを意識した指標を掲げている企業は非常に少ないというのが実感である。

全ての企業が高いROEを実現できるわけではないが、ROE向上のための具体的な取組みや姿勢を示すことはできると思う。

(2)中長期投資の促進

総じて残念ながら個人投資家においては短期志向がまだ主流かと思われる。
ただ、前述の「応援投資」の話を多くの個人投資家に方々にしている中で、共感してくれる個人投資家が着実に増加しているという事は現場の感覚で強く感じている。

直接お話をしてもそうだし、アンケートなどでも「孫の時代のための投資を考えたい。」といった大変心強いご意見も頂いている。

多様性が株式市場に厚みをもたらすと言う意味では、流動性を供与する短期投資家の存在も必要だろうが、投資家が企業を育てるという観点からは、特にこれからの日本経済を牽引する新しい企業の登場が望まれる日本においては、中長期投資家の育成・拡大は絶対的に必要だと考える。


では、それを阻害しているものは何か?


一つは個人投資家自体の問題が有るだろう。バブル崩壊以降、中長期投資で金銭的リターンを得る事が出来た投資家は、理論的には極めて少ない。個人投資家が中長期投資を指向しないのも仕方ない面もある。


二つ目は企業。日本株式の低迷は、日本企業が投資家の期待(資本コストを上回るROE)に応えてこなかったことが大きな要因といえる。


三つ目は証券会社の営業体制。近年は修正される方向に有るようだが、やはり短期売買による手数料の獲得というインセンティブが働いてしまうというビジネスモデルに変わりはない。

当プロジェクトにおいては市場関係者をセルサイドアナリスト等と定義しているようだが、個人投資家に対する営業姿勢、増資インサイダー問題の件も考慮すれば、証券会社の営業部門も重要な関係者と位置づけ、ともに議論すべきではないか?


また、ネット証券も手軽に株式投資が行えるというメリットを多くの個人投資家に提供した功績も大きいが、その手数料の安さなどから短期志向を一段と強めた事も否めないと考える。

では、今後中長期投資を育成するための方策やインセンティブについて何が必要かと考えると、ありきたりでは有るが、まずは中長期投資を念頭に置いた投資教育の場をより多く設定する事だろう。


株式投資を知る、株式投資の勉強をするというよりも、手前味噌になるが「応援投資」の様な考え方を年齢層問わず地道に語り続けることが必要と考える。

その点で、証券会社、金融機関、および我々も含めた組織の役割は非常に大きい。

次にNISAのように、非課税インセンティブを可能であれば無期限で与えることも有用だろう。

それをきっかけに、中長期投資の有効性や、中長期投資の観点での銘柄選びなどを勉強し、中長期投資に対する理解をより深めてもらえることが期待できる。
また、NISAだけでなく、「ミニ株」、「るいとう」といった、少額での投資スキームの認知度をもっと高めることも意味が有ると考える。


(3)中長期的な対話に向けた開示

中期経営計画は中長期投資を行う投資家にとっては重要な情報ではある。ただ、伊藤教授が先般のセミナーで示されたように、達成できていないケースの方が圧倒的に多いのではかえって投資家が不利益を被るのみで意味が無いと言わざるを得ない。


しかし、企業の本当の姿や考え方は企業しか知りえないのであるから、中計を作成したら、達成のために邁進してもらう事しかないと思う。


企業側が取り組むべき課題の一つは、資本コストを上回るROEを実現するための具体的な施策。
東証1部上場の時価総額数千億円規模の企業であっても、決算説明会の席上でそうした観点からの説明が全く無い事もあり、企業側の意識の問題は大きな課題だと感じる。

一方、個人投資家を対象にした「持続的成長」という観点からは、どのようにして金銭的リターン以外の価値を世の中に提供しているのかを、毎期毎期継続的に報告するという事が必要だろう。

IRや情報開示に関しては、「比較可能な形」という視点も重要だが、非財務情報においてはもっと企業の創意工夫で投資家にアピールするべきではないかと思う。


特に個人投資家においては、「この経営者良いな」とか「この企業の考え方が良いな」といった「感じる事」が、中長期投資に繋がる重要なポイントとなっていると思われるので、「比較可能」に加え、「その企業しか示していない独自性」をもっと企業に発揮してもらうような働きかけや環境づくりができないだろうか。


(4)対話のあり方

金銭的リターンでの結び付きが強すぎると、本当の意味で企業と投資家が同じ視点を持ち続けることはできないのではないか?


半永続的に投資家が求める金銭的リターンを提供し続ける企業は想像しがたい。

そうではなく、企業と投資家が手を組んで世の中に金銭的リターン以外の価値を提供するという意識があれば、たとえある程度の期間金銭的リターンがふるわなくても、両者は良好な関係を継続し続けることができるだろう。

そのためには、「企業の理念や使命感」といったものを、おざなりではなく企業トップが真剣に考え、語り続けることが不可欠だと考える。

また一方で、日頃個人投資家の方々と接していると、投資家側にも大きな課題があると感じる。

例を挙げれば「株主優待制度」。

自社の製品を知ってもらうというようなPR的な意味合いであれば理解できるが、本業とは関係のない金券などを提供することは、ともに手を組んで明るい未来を切り拓いていくという企業と投資家の望ましい関係とは、無縁のものではないか?

そうした株主優待を強く希望する個人投資家は金銭的リターンのみを求めていることに近く、優待制度が廃止されれば売却して株価が下落するという状況に繋がっている。

逆に、先述の企業の理念や使命感を体現した株主優待制度がもしもあればこれは非常に有効なエンゲージメントに繋がるだろう。


個人投資家向け説明会では、個人投資家の方々の持っておられる知識やリテラシーに非常の大きなばらつきがある事が明確になる。


それゆえ興味深い質問に繋がるケースもあるが、少なくともBS、PLに加えて一般的に企業を見る際のポイントなどはもっと時間を採ってお話しして差し上げる必要があるなと感じる。


弊社では今後、大学生なども対象にそうした、「株式投資でどうやればリターンが上げられるか」といった話ではなく、「応援投資」の観点を中心に、企業をどう見るべきかのヒントを提供していきたいと考えている。

長くなりましたが、私が日頃感じている事をまとめてみる良い機会となりました。

皆さんの感想等もお聞かせいただければ幸いです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:26 | コメント (0)

2013年11月28日

ROEを継続的に上昇させる企業群

先日、日本取引所から発表された新指数JPX400は、時価総額や流動性といった、従来通りのポイントに加えて、ROE、コーポレートガバナンス、ディスクロージャーといった面も重視して採用企業を決定するという点がこれまでにはない切り口で大変ユニークです。


特に、欧米企業に比べて日本企業が見劣りするROEを選定基準に加えたのは、企業の意識を、これまで以上にROEに向かわせる効果が期待できるかもしれません。

このBlogでも何度か触れましたが、売上、利益を急激に伸ばす企業は魅力的ではありますが、それを永続的に伸ばし続ける事が出来るわけでもありませんので、そうした銘柄だけでなく、安定的に、ある程度高い水準で株主にROEというリターンを提供し続ける企業も個人投資家の皆さんのポートフォリオには必要だと思います。


そこで今回は、3月期決算の中間決算も出揃ったところで、ROEを切り口したスクリーニングを行ってみました。

ROEの絶対的な水準の高さもスクリーニング条件の一つではありますが、株価は変化率を評価する部分も大きい事から、ROEが年を追うごとに上昇している銘柄のほうがパフォーマンスが良いという見方もあります。


そこで、以下の様なスクリーニングを行ってみました。


*今期予想ROEが8%以上
*過去3年間、毎期ROEが前期を上回る。


借入金を多くすれば、他の状況は不変でもROEを高くすることは可能ですから、「*自己資本比率50%以上」という条件も加えました。


参考までに今期営業増益率、予想PER、実績PBRを併記し、営業増益率の高い順に並べています。

listfor149Blog_1.jpg

以上のように、全部で51銘柄が該当しました。

このうち、決算短信上で「目標とする経営指標」にROEを挙げているのが16社。またそのうち、具体的な数字を示しているのが以下の8社でした。

逆に「目標とする経営指標」という項目自体が見当たらない企業もいくつかありました。

listfor149Blog_2.jpg

ROE目標を明示している企業の中でもその表現方法は様々で、数字をさらっと書いている企業もあれば、(9728)日本管財のように、

「当社は、常に事業効率向上と株主価値を高めるための資本効率の向上を目指し、自己資本当期純利益率10%以上、総資産経常利益率15%以上を維持することを経営目標としております。

具体的には経常利益率を向上させるため、部門別に徹底した合理化を図り契約単位毎の原価低減に努めております。

部門別独立採算制度により社員一人一人が常に利益を意識した活動を行ってまいりました。

今後も引き続き目標達成に向けて諸施を実施し、業績及び株主価値の向上を図ってまいりたいと存じます。」


と、かなり具体的に目標達成のための施策に言及している企業もありました。


面白かったのが、(5280)ヨシコンでした。同社は目標とする指標としてROEを挙げてはいないのですが、そのかわりに、


「当社グループが目標とする経営指標は売上高経常利益率・資本回転率及び株主資本比率であります。

中期的には売上高経常利益率につき5%以上、資本回転率につき1.2回転以上、株主資本比率につき60%以上の達成を目指しております。

また当社グループ内では新製品の売上比率を重要視しております。なお売上高経常利益率につきまして、将来目標として10%以上を目指すこととしております。」

と記載しています。


何度か紹介したように、ROEは、「売上高利益率」、「資産回転率」、「株主資本比率」の3指標に分解する事が出来るのですが、同社の場合はそれぞれの要素を「目標とする経営指標」に掲げています。

それならROEも挙げればいいのにとも思いますが、3要素をチェックできるという意味では、投資家に大変有用な情報を提供している企業であると言えます。


さて、それはともかく、以上の8社(ヨシコンを入れると9社)は、ROEを企業として意識しながら、継続的に上昇させることが出来ている企業と定義できるでしょう。


決してROEが万能な指標と言うつもりはありませんが、投資家として安心して投資できる企業ではないでしょうか?


みなさんも、ROEを切り口に、銘柄発掘にチャレンジしてみてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 20:21 | コメント (0)

2013年11月01日

「長期投資家に学ぶ」

10月1日から口座開設の受付が始まった「NISA:日本版少額投資非課税制度」。
皆様の中にも既に申し込みをされた方もいらっしゃると思いますが、私として単に株価を追うだけではない中長期の応援投資が日本に定着するきっかけになるのではないかと大いに期待しています。

ではより具体的にどんな視点や考え方をもって中長期投資のための銘柄選択を行えばいいのでしょうか?


そこで今回は「長期投資家に学ぶ」と題して、世界的に著名な長期投資家である米国のウォーレン・バフェット氏の投資哲学や投資手法を改めてご紹介します。


ご存知の方も沢山いらっしゃると思いますが、バフェット氏は、1930年にアメリカ・ネブラスカ州オマハに生まれました。

子供のころから社会の仕組みを知ることや株式投資に強い関心を持ち、11歳の時に初めて株式を購入したそうです。

コロンビア大学で経済学を学ぶ際には、著名な経済学者であり投資家でもある「バリュー投資の父」と呼ばれるベンジャミン・グレアム氏に師事した後、証券アナリストとして活躍しながら、割安株を見つけ出して長期保有する投資手法を確立します。


1965年に繊維メーカーのバークシャー・ハザウェイ社の経営権を取得すると、同社を投資持株会社として様々なバリュー株への投資を始めます。


現在同社は世界最大の投資持株会社であると同時に、ある調査によれば彼個人の総資産も約5.8兆円と世界有数の資産家となっています。


さて、同社の投資方針としては、以下の様なものがあげられますが、この中で特に注目すべきなのは、私が考えるには「1番」と「5番」かと思います。


やはり、株主に対するリターンを表すROE(自己資本利益率)が長期にわたって高いという事は、投資家にとっては非常に安心して投資できる銘柄ということになります。


また、理解可能なビジネスモデルという点も大変示唆に富んでいます。

世間ではその高い成長性に多くの投資家が魅力を感じ我も我もと競うように投資し、株価が急騰するケースがままあります。

しかし、実際には他の投資家も買っているから乗り遅れてはならないと考え自分も買うというような投資家も沢山います。

しかし、バフェットは世間でどれだけ注目を浴びていようとも、自分がそのビジネスモデルを理解できないものには投資を行わないという事で有名です。

そのため1990年代終盤から2000年にかけて出現した「IT相場」でも一切関連銘柄に投資しなかったと言われています。


<バークシャー・ハザウェイ社の主要投資方針>

1.長期のROEが平均以上
2.低い負債比率
3.過去5年間の利益率が高水準でかつ上昇
4.10年以上存続
5.理解可能なビジネスモデル
6.同業他社に対する差別化製品・サービスの有無

また、経営者の人柄や誠実さ、決断力と実行力の有無なども重視しています。


下のチャートはバークシャー・ハザウェイ社の株価とニューヨーク・ダウ平均の推移を比較したものです。


chart20131101.gif

青線がバークシャー・ハザウェイ株、赤線がニューヨーク・ダウ平均です。

投資持株会社である同社の株価は、同社が保有するポートフォリオのパフォーマンスと見ることが出来ます。1990年初から直近までの約23年間でニューヨーク・ダウ平均が4.7倍となったのに対し(同期間で高値の6割下に位置する日本株と比べれば素晴らしいパフォーマンスです)、同社株は約20倍という驚異的なパフォーマンスを実現しています。


現在の上位組み入れ銘柄には、コカコーラ、IBM、P&G、ウォルマートといった世界的な有名企業が顔を見せていますが、これらの銘柄のPERは概ね市場平均を下回る一方、配当利回りは市場平均を上回り、一貫してバリュー投資が行われているようです。


数々の有名なメッセージを送っているバフェット氏ですが、その中でも特に皆さんに知っておいていただきたいものをまとめました。
まさに、株券、株価ではなく、ビジネスを買うという応援投資の考え方です。
是非じっくりと味わってみてください。


*常に株券ではなく、ビジネスを買うという投資姿勢が必要です。


*信頼できるもの、そして10年、20年、50年経ってもみんなが欲しいと思うものをつくっていく事業なのか。これらが、私が投資判断するうえでの基準であります。それについて、見方はまったく変わっていません。


*投資に際して大切なのは、ビジネスそのものです。最近投資したIBMにも同じことが言えます。経営者が素晴らしいうえに、顧客基盤が強固です。最も大切なのは、土台としている事業が自分の一生涯と考えてもいいぐらいの、今後何十年にもわたって持続可能な競争力を持っていることなのです。


*企業の実態がマーケットや株価に反映されるまでに、随分と時間がかかってしまうことがあるかもしれません。しかし、事業の成功が一般に認知されるのにどんなに時間がかかろうとも、その企業が期待通りの高い成長をする限り、問題はありません。むしろ、認知が遅くなった方が、投資家にとって都合がいい場合が多くあります。投資家にとってバーゲン価格が続くわけですから。


*株ではまずビジネスをそれ自体に注目することです。多くのプロの投資家や学者たちが、毎日の株価に一喜一憂しています。しかし、株価やマーケットの動向を、毎日、毎週、毎月追うことで、投資が成功するとは、私は考えていません。株は、そのビジネスの一部でしかないからです。注目すべきは、株価ではなく、事業そのものでなくてはなりません。


*私の投資哲学の基礎は、ベン(ベンジャミン・グレアム)が著した『賢明なる投資家』の第八章「投資家と株式市場の変動」と第20章「投資の中心概念」に、ほぼすべてが書いてあるといっても過言ではないでしょう。この本は、人生最高の一冊です。


*投資対象となる会社がどのようなリーダーによって経営しているかは、重要なことではありますが、最優先事項ではないかもしれません。ただし、卓越した事業を持つ企業のリーダーが道を誤り、まったく魅力のない企業を買収しはじめたりした場合には、気をつけなければなりません。


カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 12:09 | コメント (0)

2013年10月03日

10月1日:消費税率引き上げとNISA

10月1日に安倍首相が来年4月からの消費税率を引き上げと5兆円に上る経済対策の策定を表明しました。

内容はほぼ想定内で、すでに相場に織り込み済みと思っていたのですが、翌2日の日経平均株価は314円23銭安の1万4170円49銭の大幅安となりました。

米国の政府機能の一部停止を理由とするとの見方が大半のようですが、何となく嫌な感じです。


消費税は1997年4月に3%から5%に引き上げられましたが、これが決定されたのは94年11月の国会です。

そこで、消費税率引き上げ決定から実施までの期間、当時の株式市場がどのよう
な展開をたどったかを見てみようと思います。


94年1月から97年12月末までの4年間の日経平均の動きを示したのが下のチャートです。

chart20131005.JPG

国会開会前の94年10月には2万円台をキープしていた日経平均は、95年7月にかけて、何度か戻し局面を挟みながらも1万4000円台まで下落。

その後、96年7月にかけて大きく上昇しますが、実際に消費税率が5%に引き上げられた97年にかけて再び下落相場に入り、いったん2万円台まで回復しますが、年末には95年の安値近辺まで急落しています。


もちろん、当時とは日本経済や株式市場を取り巻く環境も大きく異なっているので、単純に比較はできませんが、ちょっと気になるチャートです。


さて、10月1日は将来の株式市場にとって影響を与えるかもしれないもう一つの出来事があった日です。


すでにご存じかと思いますが、NISA(日本版少額投資非課税制度)の口座開設の受け付けが開始されました。

制度の説明は省略しますが、ポイントは「毎年100万円までの投資については5
年間、売却益、配当金、投資信託の分配金に税金がかからない」ことです。加えて、いったん売却するとその非課税枠を再利用はできないので、制度を有効に利用するための重要なもう一つのポイントは、「中長期投資の視点で銘柄選択をしなければならない」ということになるでしょう。


このBlogでは以前から、「応援投資」をキーワードに、明るい日本の未来創りのために信頼できる企業や経営者を中長期で応援する重要性をお話ししてきました。


その意味で、NISAは、単に株価を追うのではない中長期の応援投資が日本に定着する大きなきっかけになると期待しています。


では、実際にどういう手法や視点で銘柄を選択するべきでしょうか。

次回以降、具体的な考え方を紹介していきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 13:08 | コメント (0)

2013年09月06日

今後も注視すべき海外投資家動向

日経平均が8月14日以来、およそ半月ぶりに終値ベースで14,000円を回復しました。

日本時間の9月8日(日)早朝に決定する2020年オリンピック開催地が東京となることを期待した動きであるといった解説も聞かれますが、一方多くの海外のメディアでも「深刻な事態」と報じられている東京電力福島第一原子力発電所における放射能汚染水の海洋流出問題は、国は470億円かけて前面に立って取組むと発表はしましたが、工事が完成するまでにはまだ相当の時間がかかると思われ、ましてや完璧な流出阻止が期待できるのかは疑問が付いており、「東京決定」の楽観論だけで臨むのはリスクが高いような気がしています。
(私としては、470億円で完璧に片が付くならお安いモノとも思います。)


さて、今回の上昇相場は海外投資家が牽引してきたという事は、当コラムでも何度か触れてきました。


東京証券取引所発表のデータから当社で計算してみると、海外投資家は今年に入り、1月から7月まで7か月連続して買い越しとなり、その買い越し額は約9.3兆円に上ります。


直近の動きを週間ベースで見てみると、下記の表のようになり、3週連続売り越しもありますが、この6週間でも約1,700億円の買い越しとなっており、基調に変化はなさそうです。


chart20130906_2.JPG

海外投資家が日本株に積極的なのは、長年低迷していた日本経済及び日本株の底入れ・回復を期待しての投資という事ですが、「為替動向」も大きなポイントの一つです。

それも円安が自動車や電機産業の企業収益押し上げ要因となるという事のみでなく、海外から日本株に投資するという意味においてです。

下のチャートは、1999年から直近までの日経平均と、ドル建ての日経平均の動きを示したものです。つまり海外投資家が、日本株に投資を行っている際の目安となる指標といえます。


日経平均が下落している場合でも、それ以上に円高が進行している場合には、ドル建て日経平均は上昇し、反対に、日経平均が上昇している場合でも、それ以上に円安が進行している場合には、ドル建て日経平均は下落するなど、円建ての日経平均とは違った値動きを示すことになります。

chart20130906.JPG


このチャートによれば、日本人の感覚では、現在の日経平均14,000円は、リーマン・ショック前の高値 2007年6月の18,138円からは、まだ30%も下の水準にありますが、海外投資家からするとドル建て日経平均のリーマン・ショック前の高値148ドル(2007年2月)に対し、足元は141ドルと、既に高値更新が射程圏に入ってきた水準にいるわけです。


こうしたことから、海外投資家にとっては日本株全体で見れば回転の効く水準(売却して利益を出せる)にあるため、日本株に対して国内投資家よりも積極的に動きやすい状況にあると言えると思います。


ただ、逆にこれ以上の急速かつ大幅な円安は投資パフォーマンスにはマイナスになるため、海外投資家は現行水準の円・ドルが望ましいと考えているかもしれません。


いずれにせよ、まだまだ海外投資家の動向が日本株に大きな影響を与える状況が続くと思われます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 09:53 | コメント (0)

2013年08月29日

企業と投資家の認識ギャップについて

下は過去1年間の日経平均の動きを示した週足チャートです。



grapf20130829.JPG


衆議院の解散2012年11月16日近辺をボトムに上昇し始めた日本株ですが、2013年5月23日をピークとして調整に入り、一旦は参議院選挙の自民・公明の勝利を材料に戻しましたが、7月21日の参議院選挙投開票日近辺を次のピークとして再び調整局面に入ってしまいました。


前回のこのBlogで述べましたが、「アベノミクス」を評価することで始まった今回の相場ですが、まさに今「アベノミクス」は正念場を迎えています。

現政権の、よりダイナミックな政策遂行を期待したいところです。

さて、話は変わりますが、最近企業を訪問した際に感じた「企業と投資家の認識のギャップ」について述べてみたいと思います。


ある東証1部上場企業のケースです。


当社では個別企業についての「機関投資家の株式保有状況」を調べることのできるシステムを使用しています。


このシステムを使うと、例えば「A社株式を国内の某運用会社が運用する投資信託が5万株、海外のアセットマネジメント会社の運用するファンドが2万株保有している。」といった状況を調べることができるのです。

そしてそのファンドがどういう運用スタイルをとっているのかもわかります。

運用スタイルとは、「どういう視点でその企業の株式に注目し投資しているのか?」という意味で、大きく分けて「バリュー(Value)」と「グロース(Growth)」に分けることができます。


「バリュー」とは、本来のその企業の価値から判断して現在の株式が割安になっていると判断できるのでその株に投資するというものです。

投資判断のための代表的な指標としてはPBR(株価純資産倍率)を挙げることができます。


一方「グロース」はこちらもその名の通り、成長性に注目したものです。

現在の事業環境やその企業の競争力などから判断して、EPS(一株当たり利益)がどの程度のスピードで増加していくのかを予想して投資していくものです。

当然現在の株価を基準に判断しますが、多少PERが高くても投資するケースも多いようです。


さて、この東証1部上場企業の時価総額はまだ数百億円という規模ですが、ビジネスを海外展開しているということもあり、海外機関投資家が発行済株式数の20%程度を保有しています。

IR活動も積極的に行っており、「年率20%の成長を目指す」という成長性の高さを常にアピールしています。


ところが、そのシステムを使いファンドの保有状況を調べてみると、ファンドの圧倒的大多数は「バリューファンド」であり、「グロースファンド」は数える程しか投資していませんでした。


つまり、企業側は常日頃成長性をアピールしているのですが、機関投資家はそうした成長性ではなく、現在の企業価値の割安度合い(例えば、実質無借金で時価総額の半分程度の現金を保有など)に着目して投資しているのです。


確かにその企業の場合、中期目標のバーをクリアできなかったことが何度かあったということもあり、企業側の語る成長シナリオに賛同できにくいという要因もあったかもしれません。

この状況をその企業の社長に説明すると、「こちらが考えている自社の姿と投資家の受け止め方はずいぶん違うんだね。」と少し残念そうではありましたが、こうしたギャップを埋めるのがIR活動の意義であるということを、より一層理解されていらっしゃいました。


私からは、こうしたケースでは、企業としては「バリュー株」としての側面を、より分かりやすく投資家に示すことが必要なので、いままでは触れてこなかった「ROE(株主資本利益率)」を目標に掲げることなどをアドバイスしました。

次回の決算説明会などからROE向上策などについて言及することも検討を始めることとなったようです。


今度は別の企業のケースです。


その企業はあるシステムを企業向けに販売しており、今後の市場拡大が大きく期待されています。

社長に事業についてお話を伺った際、私としてはそのシステム導入先企業数の推移について関心があったので質問したところ、ある大手企業への依存が高いためなのか「あまりそうした数字は関心を持ったことがない。」というお答えでした。


投資家としてはそのシステムの競争力の高さや市場の有望性を示す指標として当然知りたい情報であると私は思いますが、その会社の考え方ははそうではなかったようです。


会社のことは会社が一番分かっている訳ですから社長の仰ることのほうが正解なのでしょうが、せっかく将来性が感じられる面白そうなマーケットでビジネスをしているのに投資家に理解されにくいIR姿勢かなと感じました。


業績は堅調なのですが、株価指標面からの評価は今一つという印象で、この点に限らずIR活動にもう少し工夫を加えれば投資家からの評価も高まるのにもったいないというのが私の感想です。


これらのケースに限らず、認識ギャップは多くの企業に存在します。


このギャップが解消されることは、企業にとっては適正な株価形成につながりますし、投資家にとっても誤解を解消する中で、重大な投資チャンスを獲得する可能性があります。
もちろんその反対で、失望に繋がることもあるかもしれません。


ただいずれにせよ、株式投資のパフォーマンス向上のためには、「常に認識ギャップがあるということを知っておくこと」と同時に「投資家自らその認識ギャップを埋めるための行動を取ること」の2つが大変大事だと考えます。


現在ではほとんど全ての企業がIR Websiteに問い合わせコーナーを設置しています。


様々なケースを捉えて自ら積極的に質問し、認識ギャップを埋めるべく努力していただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 17:40 | コメント (0)

2013年07月25日

正念場を迎えるアベノミクスと日本株

7月21日に投開票が行われた参議院選挙は、大方の予想通り、自民党が圧勝しました。自・公の連立与党が非改選の議席も合わせて過半数を確保し、衆参の「ねじれ」が解消されました。

 


ただ、選挙の結果はすでに織り込み済みだとして、株式市場の反応は極めて薄く、今後の焦点は、安倍政権が投資家の期待するアクションと成果を現実のものにできるか、に移っています。

 
衆参両院での過半数確保は、当然ながら政権の実行力を強化する方向に働くでしょうが、自民党の圧勝は、自民党内部の様々な勢力が勝利したということでもあります。

安倍政権の掲げる成長戦略、例えば環太平洋経済連携協定(TPP)への取り組みや各種規制緩和に対する抵抗勢力も同時に影響力を強めていると当然考えなければなりません。


また、ある世界的に有名な投資家は、「ねじれこそが政権に緊張感をもたらし、危機脱出に有効な政策遂行に結び付いてきた」という考えを示しているそうです。

逆に言えば、ねじれの解消はゆるみにつながり、政策の遂行力を鈍らせる可能性もあるのです。


TPP参加が日本の成長力を高めるかどうかという点について、個人的には疑問も持っていますが、7月23日に「日本がTPP交渉に正式参加」とのニュースが流れたものの、選挙後の株式市場は出来高も少なく、小幅な値動きに終始しています。


これは、株式市場が安倍政権の行く末に、少なくとも現時点では無条件で楽観しているわけではないことを表しているのかもしれません。


もし今後、株式市場が予想以上に弱含んだり、急落したりすれば、それは6月上旬の急落と同様、安倍政権への市場からの警告のメッセージということになるでしょう。


安倍首相は選挙後の講演の中で、「古い自民党に戻ったら、それは国民の信頼を裏切ることだ」と述べており、ねじれ解消でもたらされる問題点も十分認識していると思います。

何はともあれ、結果のみが求められるステージに入った安倍政権が実効性のあるアクションをとれるのか、大いに注視したいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 19:44 | コメント (0)

2013年06月27日

ソフトバンクの株価について

日経平均株価は13,000円を回復したり、割り込んだりでなかなか落ち着きを見せません。


中国の金利上昇に伴う各国株式市場への影響も気になるところではありますが、中国当局は経済成長がスローダウンしているこの局面でも、2008年のリーマンショック時の様に財政出動等によって無理に景気を上向かせようとはせず、逆に経済改革を進めるための好機と捉えているという指摘も聞かれるように、短期的な振幅は大きくなっても、中長期的には世界経済の安定に繋がると期待して良いかもしれません。

また、日経平均も15,942.60円から12,415.85円まで、立会日数15日という短期間で22%も下落しましたが、年初からは約2割、昨年11月からは約5割高い位置にいるわけで、極端に悲観的になるような局面では無いのだと思います。


一方、市場が混沌としているさ中でも、個別銘柄によっては全く違った世界を駆け上っている企業もあります。


半年以上前になりますが、昨年10月25日のこのブログでソフトバンクについて触れました。


当時ソフトバンクは、イー・アクセス買収から殆ど日をおかずに、米携帯電話3位のスプリント・ネクステル社買収を発表しました。

その後、ライバル企業による対抗買収も提案されましたが、結局、スプリント・ネクステルは6月25日に開いた臨時株主総会で、ソフトバンクによる買収計画を賛成多数で承認し、米連邦通信委員会(FCC)も近く承認するとみられ、7月上旬にも買収が完了する見通しだということです。円換算の買収額は約1兆8000億円で、日本企業によるM&Aとしては過去最大規模となるそうです。


その時のコラムで私は以下のような感想を述べました。


「孫社長の決断力、実行力は並外れているということを強く感じました。
彼の言動を「ビッグマウス」と揶揄(やゆ)する人もあり、評価は大きく分かれますが、下の相対株価を見ればわかるように、この10年でソフトバンク株のパフォーマンスは日経平均のみならず、通信業界のライバルを圧倒的に引き離しており、世間の評価とは関係なく同社および孫社長は圧倒的な勝者です。

もちろん、過去の実績が将来を保証するものではありませんが、孫社長の言動は決してその場の勢いから出たものではなく、周到に計算され、多くの実証の積み重ねから来ているのではないかと思います。
そうでなければ、10年という期間を幸運や時流だけで勝ち抜くことは出来ないのではないでしょうか?」

20121025.GIF

この10年間相対株価チャートを、直近の株価で新たに作成したものが下のチャートです。


ソフトバンクは日経平均や他社株を尻目に、2006年の高値をあっという間に上回り、上場来高値水準で推移しています。

chart-2-20130627.JPG

もちろんソフトバンクがスプリント社買収を実際の収益に結び付ける事ができるか否かの証明はこれからですが、現時点で資本市場における競争という観点からは、同社は国内のライバル達に大きく水を開けて世界で勝負するステージに入ったと言って良いかもしれません。


私は決してソフトバンク株を推奨しているものではありませんが、今回のソフトバンクのケースは、優秀な経営者のビジョンや経営感覚を共感、共有することができるか否かが、優れたパフォーマンスを上げるための大きな鍵であるという事を示しているのではないかと考えます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:09 | コメント (0)

2013年06月17日

株主総会のシーズン到来

株式会社は会社法によって定められているように、会社が決めた基準日から3か月以内に定時株主総会を開催しなければなりません。

通常は事業年度の決算日を基準日としている企業が殆どですので、3月期決算企業の定時株主総会は3月末から3か月以内の6月下旬に集中することになります。

東京証券取引所では東証上場の3月期決算企業の定時株主総会開催予定日を調査・集計して各種データをWEBサイトで公開しています。


その中の一つに、「定時株主総会集中率推移グラフ」があります。

chart20130617-1.png



これは、毎年6月の定時株主総会の開催が集中する日の集中率の推移を示したものです。

このデータによると昭和58年(1983年)以降のピークは、平成7年(1995年)の96.2%です。

それが、急速に低下し、平成20年(2008年)には50%を割り、ここ数年は40%台前半で推移しています。


一昔前、企業にとって株主総会とは、なるべく短時間に無事に終了させることが最優先課題であり(現在でもそういう意識の企業はまだまだ多いとは思いますが)、株主からの質問などはなるべく早目に切り上げて決議を進めるというものが圧倒的多数でしたが、1997年に世間を驚かせた、大手銀行・証券会社の総会屋に対する利益供与事件の発覚を機に、企業は総会屋との関係を一斉に見直すこととなりました。


上記集中率が平成7、8年を機に急速に低下していったのはそうした時代的背景があると考えられます。


ただ、そうした消極的・受動的な要因だけではなく、株主が参加しやすいように開催日を土曜日にするなど、株主・投資家との対話に意義を見出し、「開かれた株主総会」を志向する企業が増加したという事も大きな要因でしょう。

企業の意識の変化が如実に表れたグラフということができます。


一方で、反対に企業の意識がまだまだと言わざるを得ないデータもあります。

企業に対する質問項目の中に、開催予定日、招集通知の発送予定日などとともに、「英文招集通知等の公開」という項目があります。


これを見ると、アンケートに回答した1,409社の内、英文招集通知を公表しているのは317社で、割合は22.5%。

日本市場における海外投資家の存在感が高まり、日本株に対する関心が急速に高まっている中、この比率は少し低いのではないかと思います。


もちろん招集通知は現在の株主に対して発送するものですから、現時点で海外株主が存在しない企業であれば作成・公表する必要は無いでしょうが、招集通知は企業がどういう考え方で役員候補を選び、配当方針を決め、適切なコーポレートガバナンスを遂行していくのかを知るための投資家にとって極めて重要な情報源の一つです。


より多くの投資家の理解・応援を得ようと思えば、そうした考えを広く知ってもらう努力が必要ですから、その点ではまだまだ改善の余地が大きいと言えるでしょう。


さて、今年の株主総会でも様々な動きがあるかと思いますが、6月11日に、ソフトバンクの孫社長がFaceBookで以下の様な書き込みを行っています。

chart20130617-2.png



株主でなくても株主総会に参加して、同社の現状や将来ビジョンを聞くことができるというのは、投資家、特に個人投資家にとっては大変嬉しいことです。

一方企業側の視点からは、こうした他社には見ることのできない試みは、ソフトバンクという会社に対する投資家の関心をより高めることになり、IR活動における有効な「差別化戦略」と評価できると思います。


企業はその本業にとどまらず、IRも含めたすべての活動において「ステークホルダー(利害関係者)との関係構築」という視点で差別化を図らなければならない競争に時代に入っています。


もちろんそうした差別化が単なるポーズでは意味が無く、個人投資家の皆さんにとっては、本質を見極める力も必要とされますが、ますます増えるであろう、企業をより深く知るための機会を積極的に活用して、応援すべき企業、経営者を探し出して欲しいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 10:44 | コメント (0)

2013年04月23日

「強気相場の行方」と応援投資

「強気相場は悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく。」


これは、株式相場について述べた数多くの格言の中で、私が一番得心しているもので、ジョン・テンプルトンという米国の投資家の言とされています。

ジョン・テンプルトンは、米国の運用会社「フランクリン テンプルトン インベストメンツ」の創始者で、同社Websiteによると「故Sir ジョン・テンプルトンは最も賢明で高く評価された投資家の一人として知られています。経済誌フォーブスでは、「the dean of global investing (グローバル投資の長)」や「one of the most successful money managers in history(歴史上、最も成功したマネーマネージャーの一人)」として紹介されました。」とある著名投資家ですから、この言葉の意味するところもなるほどと思わされます。


では、これを今回の日本株相場に当てはめて考えてみるとどうなるのでしょうか?


今回相場のスタートである昨年の秋口は、年前半に一旦は1万円を回復した日経平均も、民主党政権に対する失望などから再び低迷局面に入り、ソニー、シャープ、パナソニックといった、かつては日本をリードした企業の苦境が報道され、日本株の先行きに強気な人は殆どいなかったような状況でした。


その意味では、今回の上昇相場は「悲観の中に生まれた」という事が出来るでしょう。


そして現在ですが、「アベノミクス」、「異次元緩和」を背景に、昨年11月の衆議院解散時から約5割上昇と、世界の中でも最も高いパフォーマンスを示す株式市場の一つとなっています。

また、例えば先日のニュースによると、ネット証券会社共同主催の大規模セミナーには4,600人もの個人投資家が参加したとのことで、投資家の相場観は大きく好転し、強気になっています。

ただ一方では、前例のない金融緩和やアベノミクスの実効性に対する疑念の声も各方面から引き続き聞かれていることから、「懐疑の中に育っている」最中といえそうです。


ジョン・テンプルトンの言葉によれば全ての強気相場はいつかは終わりを迎えます。


今回の日本の強気相場がいつまで継続するかは私にはわかりませんが、いつ頃「楽観」に移行し、相場参加者全てが「幸福感」に浸るのかを注意深くウォッチする必要があるかと思います。


さて、今回私が述べたいのは、実は今後の相場観ではなく、個人投資家に皆さんにこういう相場環境の中においてこそ、改めて「応援投資」という考え方を意識していただきたいという事です。


私が最近気になっていることが二つほどあります。


一つは、初めて株式投資をするという若い世代が増えていると耳にすることです。

年金制度の将来性に対する不安により自助努力の必要性が高まっています。

そのために株式投資を行うことは必要なことですし、リスクマネーの供給量が増えることは日本経済の活性化という観点からも強く望まれることであり、若い人達が株式投資に関心を持つことは大いに歓迎すべきことです。

しかしそれには、中長期投資を前提とし、明るく豊かな日本を創り出す企業の成長を応援するという視点が不可欠です。


そうではなく、皆がやっているからとか、短期間で儲かりそうだからといった理由で、競馬や競輪と同じような感覚で株式投資の世界に入ってくるとしたら、その結末は投資家にとっても企業にとっても、そして日本経済にとっても意味の無いものになることは明白です。


もう一つは、現在「応援投資」を行っている投資家の方々が、短期志向、金銭的リターン偏重に転向してしまわないかということです。


やはりこれだけの短期間に個別銘柄によっては株価が2倍、3倍になるのを見てしまうと、「応援投資なんて言っていられない」という心理になってしまう事もあり得るかと思います。


また、あるメディアでは、株式評論家と称する人が「○○株は、私がこの欄で取り上げたために火がついて株価が大きく上昇した。」ということを臆面もなく書いており、ちょっとあきれますが、こうした情報によって投資家の短期志向が増幅されてしまう可能性が高いことに懸念を感じています。


株式投資のスタイルは個人それぞれですから、こうしなければならないと言うつもりはありませんが、投資家が自己責任の下、リスクもリターンも自分が受け入れる株式投資の世界において、投資家は自らの勉強や研鑽の下に企業を選別するというプロセスを大切にするという点だけは外さないでいただきたいと思います。


2つほど気になる点を挙げてみましたが、こうした問題解決のためには、投資家自らはもちろんですが、証券会社や金融機関、そして我々の様な投資家と接点を持つ市場参加者の役割や責任も大きいということを強く感じています。


足元の株式市場は大変好調ですが、日本及び世界が直面している問題が克服されたわけでは決してありませんし、今後も現在では予想もしなかった問題が生じてくることもあり得ます。


そうした様々な課題を解決し、明るく豊かな未来を創り出していくには企業と株主がタッグを組んで前進していかなければならないことに変わりはありません。


このコラムやセミナーなどの機会を通して、「応援投資」という考え方を一人でも多くの方々に理解していただくよう活動していきたいと考えています。


カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 11:30 | コメント (0)

2013年04月18日

「攻め」と「守り」両面での取り組みが問われるIR活動

「企業の情報開示」と言う観点から、大変注目すべきニュースが、日米両国でありました。

まず日本においては、先月、決算短信のほか、業績の修正や増資、資本提携など、上場企業の重要情報が、公表直前にインターネット上で複数の投資家に閲覧されていたことが判明し問題になりました。

上場企業は東京証券取引所の適時開示システム「TDnet」で重要情報を公表することが義務付けられていますが、タイムリーな情報開示を行う観点から、自社のHPでも同時に掲載するケースが多く見られます。


企業は自社HPへの同時掲載の準備として、公表前に、情報ファイルを外部からの接続が可能なサーバー内の保存先へ移動させたうえで、「TDnet」公表と同時に自社HP上にリンクが表示されるよう、タイマーをかけておくことが多いようです。


問題となった複数の個人投資家は指定したサーバーの更新情報が通知されるソフトを使い、新たなデータが保存されたことを開示前に把握し、過去に重要情報を掲載したページのURLの日付部分などを書き換える方法でアドレスを割り出し、データにアクセスしていたそうで、公表前後の株式売買で数百万円の利益を得たケースもあったと報道されています。


この行為自体は、「職務を通じて公表前の重要情報を得た会社関係者や、会社関係者から情報を得た人物による株売買」であるインサイダー取引に該当するものではなく、同取引を禁止している金融商品取引法違反とはなりませんが、市場の公正をゆがめる行為であるとして、株式市場の番人である証券取引等監視委員会は全ての上場企業に対して情報管理の徹底を呼び掛ける方針だという事です。


これより少し前には、ある大企業が適時開示前に自社のHPに情報を掲載してしまったというケースもありました。

投資家や株主との信頼関係を崩さないためにも、企業は今まで以上にIRや情報開示分野での危機管理の意識を高めることが必要だと感じさせる事件でした。

一方、米国では4月2日にSECが、企業の情報開示にFacebookやTwitterを含むソーシャル・メディアを使用することを認めると発表しました。


そのきっかけは、Netflixという、インターネットを通じてTV番組や映画を提供するNASDAQ上場企業のCEOが、ユーザーの視聴時間が10億時間を超えたことを昨年7月に自分個人のFacebookで公表したことでした。


米国には2000年10月に発効したSECのレギュレーション・フェアディスクロージャー(レギュレーションFD)という規則があります。


これは日本語では「選別的情報開示禁止規則」と訳されるもので、企業は、株価に影響を与える可能性のある重要な情報を特定の株主や投資家のみに選別的に提供してはいけないという規則です。例えば、企業がアナリストやファンドマネージャーを対象としたミーティングを開催し、重要な情報をその出席者のみに提供するような事があると、ミーティングに出席することのできない個人投資家にとっては公平ではありません。


そうした選別的開示を防ぐためにSECは企業に対して、SECに臨時報告書を提出したりプレスリリースを広範に配布するなど、一般の大衆がアクセス可能な方法で情報を開示することを求めています。


Facebookはご存じのとおり、全世界のユーザー数が10億人とも言われる「ソーシャル・メディア」ではありますが、一方で人と人の繋がりが基本ですので、レギュレーションFDが想定しているマスメディアとは性格が異なります。


Netflix社のCEOが20万人のフォローワーを持つ自分のFacebookに自社の今後の成長見通しについてコメントしたことを知ったSECは、「これが選別的開示にあたるのか?あたらないか?」を検討。
その結果、Facebook、Twitterを始めとしたソーシャル・メディアの利用を認めることとしたわけです。


SECは、

「ほとんどのソーシャル・メディアは、アクセスが制限されていたり、投資家が最新情報がどこに掲載されているのかが解らないようなことが無い限りは、投資家とのコミュニケーション手法として完璧に適している。」

「企業には株主とのより良いコミュニケーションを取るための新しい形を探ることを奨励している。」

ともコメントしています。
FacebookやTwitterといったソーシャル・メディアの存在感を一段と高めるニュースと言えるでしょう。

このレギュレーションFDが制定された当時は、インターネットが現在ほど普及していた訳ではなく、そうした環境を前提にしたものではありませんでした。
SECが開示手段としてWebsiteを認めたのも、制定後ですし、時代の変化と共にディスクロージャーのあり方も変わってきているわけです。


日米でほぼ同時期に報じられたこの2つの出来事から言えることは、企業は株主や投資家とのコミュニケーションを通じた信頼関係構築のために、「攻め」と「守り」両面での一段の工夫や取組を行う重要性が益々高まっているという事です。


そうしたIRや情報開示における取り組みの巧拙は、ステークホルダーとの関係強化を通じて企業価値の格差を拡大させることとなるでしょう。


投資家の立場からは、企業選別のプロセスにおいて、企業間における具体的な取り組み方を比較していくことが大事だと考えます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 12:34 | コメント (0)

2013年03月25日

外国企業にも目を向けてみる。

弊社では、個人投資家の皆さんに、いろいろな企業について知ってもらう機会をご提供しようと、個人投資家向けIR説明会「ブリッジサロン」を開催しています。
2000年9月の第1回から12年余りで350回以上の開催実績となっていますが、先日3月2日に開催した「読売ブリッジサロン」において、初めて外国企業に登場していただきました。


その企業の名前は「シンガポール取引所」(以下SGX)。

日本でも今年1月に「日本取引所」が東京証券取引所第1部に上場しましたが、SGXも自らSGXのメインンボードに上場しています(SGXには他に新興市場のキャタリストがあります)。


このBlogも含め、「ブリッジサロン」は、個人投資家の皆さんに幅広く企業を知ってもらうことを目的としていますので、決してSGXを推奨するものではありませんが、SGXには日本企業にはないユニークな点がありますので、皆様にご紹介いたします。


みなさんご存知の通り、シンガポールは人口約520万人、面積は東京23区とほぼ同じという大変小さな国ですが、SGXは、インドネシア、タイ、フィリピンなどこれから高成長が期待されるASEAN諸国に近いという地理的な好条件、英語が公用語のひとつであるという国際性など、シンガポールの独自性を生かし、成長するアジアの経済や企業と世界の投資家をつなぐ「The Asian Gateway(アジアの玄関口)」を標榜しています。


SGXのユニークな点は次の2つです。


1つは、高いROE(株主資本利益率)。

このコラムでは日本企業のROEが米国と比べて低い水準にあり、その改善が日本株の本格的な復活には欠かせないことを繰り返し述べてきました。

一方、リーマンショック直後には、主に米国で、ROE批判が噴出しました。
これは「経営者が株主の期待に応えるために短期的な行動に走り、負債の額を大きくして高いROEを演出した。その結果、経済危機下で企業は負債に耐えられななくなり、破綻が相次いだ」というものでした。


ROEは事業の収益性を示す「売上高利益率」、資産の有効活用の度合いを示す「総資産回転率」、いかに少ない株主資本で総資産を構成するかを示す「財務レバレッジ=自己資本比率の逆数」という3要素を掛け合わせたものです。

つまり、この3要素のすべて、もしくは他が不変の時でもどれか1つを引き上げればROEを上昇させることができるわけです。

そして、最後に挙げた「財務レバレッジ」は、借入など負債を増大させれば、本業の収益性が改善しなくてもROEを上昇させることができる、いわば「打ち出の小槌」のようなものです。

前述の批判はこのことを言っています。


こうした構造を持つROEですが、SGXのROEは12年6月期で37%と大変高く、しかも過去数年間、ほぼ40%近辺で推移しています。
ちなみに37%と言う水準は、東洋経済会社四季報のランキングで見れば、日本企業においてはグリーやカカクコム、ユナイテッドアローズなどを上回り、32位に相当します。


問題のレバレッジですが、同社のレバレッジは約2倍で自己資本比率では約50%です。しかも借入金はありません。

つまり、同社の高いROEは、作られたROEではなく、売上高営業利益率56%、売上高純利益率46%という本業の収益性の高さを反映したものなのです。


2つ目は配当です。

同社は年4回の配当を実施しています。
日本でも06年の新会社法施行で回数に制限なく配当を行うことが可能になりましたが、実際に行っている企業はホンダなど、まだまだ少ないようです。


また、SGXの配当に関する方針もユニークです。
13年6月期の配当政策として、四半期ごとの基本配当4セントを支払うことを予定していますが、これに加えて、毎期の年間配当額については、

 (a)年間の税引き後利益の80%
 (b)一株当たり16セントのうち、いずれか高い方とすることを方針としています。

 12年6月期は、第1四半期、第2四半期、第3四半期は基本配当4セントを実施、最終第4四半期には基本配当4セントに変動配当11セントを加えた15セントの配当を実施して、年間配当額は前年度と同じ27セント/株となり、結果的に配当性向は98.8%となりました。


配当性向の水準だけ見れば日本にもこれより高い企業はたくさんありますが、多くは利益水準が低下したため結果的に配当性向が高くなったものであり、配当政策として「配当性向 80%以上」という高い目標を掲げている企業は極めて少数だと思います。


日本の個人投資家の皆さんにとっては、外国企業は情報が少なく、言葉の壁もあって、取っ付きにくいかもしれませんが、日本にないユニークな企業があることも事実です。


大きな好奇心と少々の努力によって、外国企業の研究も初めてみてはいかがでしょうか? 
その過程で、日本企業の良さに改めて気付くきっかけになるかもしれません。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:49 | コメント (0)

2013年03月08日

ROEが連続して改善している企業に注目

このコラムではたびたび、投資指標としてのROE(自己資本利益率)の重要性を取り上げました。
資金を託してくれた株主に対して、企業がどれだけのリターンを提供しているのかを見るこの指標は、その企業の収益性、効率性の高さを示す重要なものです。


以前紹介した社団法人「生命保険協会」の調査報告書によると、日本企業のROEは平均6%と、米国企業の15%を大きく下回っています。

現在、アベノミクス期待で株価は堅調ですが、中期的、持続的に株価を上昇させるには、日本企業のROE底上げが不可欠だと思います。


また、ROEは水準も重要ですが、低いROEに甘んじていた企業が様々な取り組みによって収益性や効率性を高め、ROEが上昇した場合、投資家はその変化率に注目するはずです。


そこで今回は、2012年10―12月の決算発表が出そろったところで、ROEの変化率に着目してスクリーニングを行ってみました。

以下が、スクリーニングの条件です。

・今期予想ROEが6%以上
・3期前を基準にすると、今期予想も含め、3期連続してROEが上昇
・今期予想PER(株価収益率)が20倍以下
・今期予想営業増益率が10%以上


日本企業の平均ROEを上回り、連続してROEが改善傾向にある企業で、株価水準にさほど割高感がなく、今期業績も順調な企業群です。

この条件をクリアした企業は全部で81社でしたが、このうち、3期前のROEから今期予想ROEまでの変化率が大きい上位25社を挙げてみました。

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*東洋経済会社四季報 CD―ROM版より
ROE変化率は今期予想ROE÷3期前ROE、単位は倍。その他の単位は今期予想および3期前ROEは%、PERRは倍、今期予想営業増益率は%


一方で、前回取り上げたローソンのように、会社自らが具体的にROEの目標を掲げれば、真剣さの度合いも違ってくるでしょう。

決算短信にも目を通してみたのですが、残念なことにROEを目標として掲げている企業は、下記の5社のみでした。

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しかもうち2社は「ROEを重視」としているだけで、具体的な数値を掲げているのは、(6754)アンリツ、(7606)ユナイテッドアローズ、(7607)進和の3社のみでした。


ちなみに、このうち、ユナイテッドアローズは、東京証券取引所が「東証が市場開設者としての立場から望ましいと考える企業価値の向上を目指した経営の普及・促進を図るため」という目的で昨年新設した「企業価値向上表彰」で大賞(1社のみ)を受賞した第1号企業です。
ROEをはじめとして投資家の視点を深く組み込んだ企業価値向上の取り組みが評価されています。


アンリツ、岡村製作所、ワールドインテック、ユナイテッドアローズの4社の2年間の株価推移を日経平均と比較してみました。(Web上のチャート作成機能の関係で日経平均を含め5銘柄しか表示できないので、進和は外しました。)


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ROEの改善のみが高パフォーマンスの要因とは断言できませんが、どの銘柄も日経平均を大きく上回っています。


前回コラムに取り上げたローソンも含め、ROEが銘柄を選別する上で極めて重要な指標のひとつであることを是非知っていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 09:14 | コメント (0)

2013年02月23日

「決算短信」で企業の変化を探る

3月決算企業の第3四半期、つまり2012年4月から2012年12月までの期間における決算の発表が出揃いました。

昨年後半からの円安・株高の効果というか影響が徐々に出始めているようで、為替や投資有価証券の評価損が減少するという直接的な要因で経常利益や当期純利益が押し上げられた企業も多々見受けられます。

ただ、本業の面で米国ドルや韓国ウォンに対する円安のメリットが12月までという短い期間で目に見えて出てきたという訳にはいかず、ここから今年3月の通期の決算期末までにどうなるか?
それ以上に、来期2014年3月期決算にどのようなインパクトを与えるか?がこれからの大きな注目点となってきます。


ところで皆さんは、各企業が決算発表を行う際にリリースする「決算短信」をご覧になったことがあると思います。


「決算短信」とは、上場会社が決算発表を行う際に、決算内容の要点をまとめた書類の名称です。

1ページ目にその期末で終わった決算の実績と会社側が考えている今期の業績予想が掲載されており、それ以降に決算内容の説明とBS(貸借対照表)、P/L(損益計算書)、株主資本等変動計算書、キャッシュフロー計算書と続きます。

数字と文字ばかりで、慣れない方にとっては、なかなかとっつきにくい資料なのですが、決算という企業の重要なイベントについて最もタイムリーにリリースされる資料なので、是非気になる企業については目を通すことをお勧めします。

決算短信はそもそも、記者クラブが、決算発表内容の標準化を目的として上場会社に要請したことから始まったということですが、インターネットの普及した現在は、殆どすべての企業が自社のWebsiteに掲載していますので、個人投資家の皆さんでも簡単に手に入れることができます。


決算短信の使い方は様々で、売上・利益がどう増減したか?、どんな資産が増加し、その調達はどうやって行ったのか?といった事を調べる事ができるのはもちろんですが、今回私がお勧めしたいのは「目標とする経営指標」という項目です。


下記は株式会社ローソンの平成24(2012)年2月期の決算短信です。
決算短信3ページの目次に「3.経営方針」という項目があります。
これは、会社側が経営にあたり考えていることを投資家、株主に説明するものです。

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この「3.経営方針」の中に「(2)目標とする経営指標」という中項目があります。

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ローソンはここで、具体的に「中期的にROE20%を目指してまいります。」と株主や投資家に表明しているわけです。
同社の新浪社長は、先日デフレ脱却のための賃上げを表明して注目を集めていますが、ROE重視の経営を行っていることでも有名です。

ところが、新浪社長がローソンの社長就任(2002年5月就任)以前、2002年2月期の決算短信を見てみると少し様子が違います。

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ROEを重視すると記述はしていますが、「向上にも努めてまいります」との表現にとどまっており、具体的な目標を掲げてはいなかったのです。

ちなみに、短信の表紙には現在では代表者名を記載するのが通例ですが、この10年前の短信には当時の社長の名は記載されていません。
企業のIRに対する姿勢の変化はこういうところからも感じられます。


そして新浪社長就任後、最初の2003年2月期決算短信で、同社は明確に「ROE15%の達成」を目標として掲げました。

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その後、2011年2月期の決算短信で「中期的に15〜20%を目指す」と目標を上方修正し、続く昨年2012年2月期の決算短信では前述のように、目標を「20%」と設定した訳です。


下記のチャートは10年前、ちょうど新浪社長が就任したころをスタートとした同社(青線)と日経平均(赤線)の相対株価です。

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リーマンショックの際も、それ以前の安値を割り込むことなかった同社株は、その後2年足らずでリーマンショック前の高値を上回り、現在史上最高値圏にあり、その力強いチャートには目を見張るものがあります。


ローソンの場合は極端な例かもしれませんが、この決算短信で「目標とする経営指標」を、明確に示している企業は残念ながらまだまだ少ないのが現状の様です。


しかし、このコラムで何度か指摘しているように、総じて日本企業が投資家の期待に応えたリターンを提供できていない中、しっかりと株主を意識して経営を行っている企業を探し出すことは、金銭的なリターンを上げるためにも、また応援投資を実行する上でも大変重要なポイントだと私は思います。


個人投資家の皆さんには馴染みにくいかもしれない決算短信ではありますが、企業意識の変化を如実に、しかもタイムリーに伝えてくれる貴重な情報源と捉えて活用して欲しいと思います

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 20:52 | コメント (0)

2013年01月29日

中小型株相場活況の中で

日経平均は先週末25日金曜日に10,900円台を久しぶりに回復し、週明けの28日月曜日も一時11,000円を突破したものの、終値では10,900円を割って引けました。

まだ上値余地は大きいとの予想が大半ですが、3月期決算企業の第3四半期決算発表が今週から本格化する中、様子見でやや一服といったところでしょうか。

一方で、下のグラフに様に、日経平均(青線)からはやや出遅れて上昇を始めたJASDAQ指数(赤線)は昨年12月25日から今年1月22日まで16日連続して前日比プラスとなったのち、2日連続してマイナスとなりましたが、再び上向き昨28日は62ポイントを突破しました。

昨年12月25日から昨日までの上昇率は14.4%と、同期間の日経平均の上昇率8.9%を大きく上回っています。

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また、上昇したとはいえ2010年4月に付けた11,339円というリーマンショック後の高値にはまだ届かない日経平均に対し、JASDAQ指数は同じく2010年4月に付けた高値57.06を上回ってきており、中小型株の多いJASDAQの元気の良さが目立ちます。

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これは、直近上場のIPO(新規公開)銘柄の活況ぶりが中小型株全般に広がっていることが大きな要因でしょう。


JASDAQ上場企業ではありませんが、ミドリムシ(微細藻類ユーグレナ)を中心とした微細藻類に関する研究開発及び生産管理、品質管理、販売等を展開する株式会社ユーグレナ(東証マザーズ上場)の株価は、昨年12月21日の公開初値3,900円から1月28日のザラ場高値16,380円までの1か月間で4倍以上と猛烈な上昇ぶりです。


ライブドアショック、リーマンショック以降暫く低迷が続いてきたIPO市場ですが、今年のIPO件数は昨年を上回り60件以上になるとも予想されており、今後の明るい材料の一つといえるでしょう。

瀕死状態にある一部の企業が円安でなんとか息を吹き返すことを、企業自身も一部投資家も期待するのも無理からぬことですが、日本経済の根本的な課題克服に繋がるものではないことは私が言うまでもなく明らかであり、日本が本当に光り輝くには、やはり今までの日本には無かったような元気なベンチャー企業がどんどん出てくることが最も大切な条件の一つだと思います。

その意味で、安倍政権の3本の矢のうち、金融政策、財政政策についてはその有効性、副作用についての疑問が拭い切れませんが、「成長戦略」については掛け声倒れに終わらせず、迅速かつ強力に進めてもらいたいものです。


特に、ベンチャー企業育成のための様々な仕組み、特に資金調達の道を広げる事はもちろんですが、昨日の所信表明演説で安倍総理が述べていたように、一度失敗しても2度3度とチャレンジできるような気概、起業家精神を醸成する世の中作りに取り組んでもらいたいと強く望みます。


もちろんIPOが活況になれば、これまでもそうであったように、玉石混交となることは避けられないと思いますが、我々も含めた市場関係者は自己の利益のみでなく、投資家の利益にも十分配慮した行動を取らなければなりません。


投資家の皆さんも、IPOブームに乗るという愚は避け、「応援投資」の視点で共感できる経営者、企業を選別するという姿勢を持ち続けて頂きたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:32 | コメント (0)

2013年01月10日

「癸巳」年、株式市場はどう動く?

新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

さて、今年の干支は「癸巳(きし、みずのと・み)」です。

私が時々お話をうかがう方の説明によれば、「癸巳」は水性の「癸」と火性の「巳」が同居する「水火の激突」と呼ばれ、相反する勢力の戦い意味し、世界中で一定の流れを保ちがたく、上下動の変化や風向きの変化など、予想外の変化が生じる年であるということです。


「甲子」から始まる全部で60の干支のうち「巳」は5種類あり、今年の干支「癸巳」が前回巡ってきたのは60年前の1953年です。

この1953年の主な出来事としては、

・2月1日 ― NHKが日本で初のテレビジョン本放送を東京で開始

・3月14日 ― 衆議院解散(バカヤロー解散)

・7月27日 ― 朝鮮戦争の休戦成立

・8月8日 ― ソビエト連邦が水爆保有を発表

などがあったようですが、株式市場関係での最も大きなニュースとしてはやはり「スターリン・ショック」でしょう。


この年の3月5日、ソ連の最高指導者ヨシフ・スターリンが73歳で死去。

当日の日経平均株価は10%の大幅下落となりました。
朝鮮戦争の休戦が近いとの見方が強まり、戦争特需への期待がしぼんだことから、株価は調整局面に向かい、3月に付けた上場来高値474.43円から5月の安値295.18円まで38%の大幅下落となりました。


さて、今回の「癸巳」年の株式市場はどうなるのでしょうか?


昨日東証から発表された「投資主体別売買動向」(個人投資家、機関投資家、外国人投資家などがある期間に株式をどれだけ売買したかを示すもの)によると、外国人投資家は2012年11月第2週から12月第4週まで7週連続で買い越しました。


月間で見ても5―9月の5か月連続売り越し(売り越し金額 7540億円)から一転して、10―12月の3か月で約2.2兆円の買い越しとなっています。


一方、国内の金融機関(機関投資家)は対照的な動きとなっています。

5―8月の4か月連続買い越し(買い越し金額6425億円)後は、11月、12月でそれぞれ1146億円、8749億円と合計9895億円の売り越しに転じています。

graph20130110_1.GIF

このように、昨年11月の衆議院解散を機に始まった今回の上昇相場は完全に外国人投資家がリードしたものとなっているわけです。


外国人投資家が日本株を大きく買い越している背景には、安倍新政権の積極的な財政出動や円安誘導姿勢による景気回復への期待がありますが、加えて、今までの低迷相場で日本株のポジションを増やしていなかったファンドなどが「持たざるリスク」に不安を感じて、大型株を中心に組み入れを急いでいるということも大きな要因のようです。


ただ一方で、日本経済の構造的な問題(少子高齢化、中国リスク、低い潜在成長率など)について解決の道筋がついていないことも十分認識しているわけで、どの段階から、そうしたリスクに負けない企業体力や経営戦略を持つ企業の選別物色に入るかが注目されます。


良いか悪いかは別にして、日本の株式市場における外国人投資家の存在感は無視できるものではありませんが、「応援投資家」の皆さんは、相場の乗り遅れに焦ってよく調べもしないで投資するようなことなく、自分で共感できる企業や経営者を探し出す作業を続けていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 17:20 | コメント (0)

2012年12月06日

各党の政権公約を比較してみました。

今回の第46回衆議院選挙は「原発」、「TPP」、「デフレ脱却」、「消費税」、「外交・防衛」など様々な論点について有権者の判断を問うものです。


私個人的には上の各論点においてそれぞれ意見がありますが、掲げている政策全てが合致する政党は当然ながら見当たらず、さてどうしようかなと正直悩んでいる次第です。

本日(12月6日)の新聞各紙の報道によれば、選挙戦序盤の情勢は自由民主党が過半数(241議席)を上回る勢いとのことですが、勝ち馬に乗ったり、判官びいきということなく、自分の判断で選択していきたいと思っています。


さて、今回は主要各党の経済政策の内、当コラムのベースである「企業と投資家が手を組んで明るく豊かな未来創りに取り組む」という応援投資に関連し、「株式市場の復活が日本再生には不可欠」との想いから、「株式市場の活性化」や「企業価値の向上」といったポイントについて各政党がどんなビジョンを掲げ、取組みを行おうとしているのかを比較してみようと思い、各政党のHPから政権公約及びそれに準ずるものを読み比べてみました。


ただ、多くの政党が共通して掲げている、「環境、医療など成長分野への重点的な投資」といったものは外しました。

また、「競争力の向上」といった単語は使われていても、具体性、明確さが曖昧なものも外しています。(このBlobは私の個人的な見解を述べたものです。また、投資を考えている人に役立つ情報を提供するというBlogの趣旨に照らし、すべての政党を取り上げたわけではない点も、併せてご了承ください)

◎民主党「マニフェスト
「5つの重点政策」のうち「2.経済政策:新しい競争力は人と地域」を掲げていますが、この視点に関連する明確な政策は見当たりませんでした。


◎自由民主党「Jファイル2012 総合政策集」

「.経済成長」の中で、以下のテーマ及び具体的な政策を掲げています。

<25 日本経済の再生―新たな国家経済モデル『ハイブリッド経済立国』の構築>

デフレ・円高からの脱却を最優先の政策課題と位置づけ、経済の司令塔機能として内閣に「日本経済再生本部」を創設し、「失われた国民所得50 兆円奪還プロジェクト」を展開することで「縮小均衡の分配政策」から「成長による富の創出」への転換を図ります。

今後5 年間を集中改革期間とする「日本経済再生・産業競争力強化法」(仮称)を制定し、「世界で一番企業が活動しやすい国」「個人の可能性が最大限発揮され、雇用と所得が拡大する国」を目指します。


<36 法人税の大胆な引き下げによる雇用の拡大につながる企業環境の整備>

日本企業が世界で勝負するためには、税制を含めた競争条件のイコールフッティングが必要であり、日本を拠点に海外で活動できるだけでなく、海外の企業が日本に進出する環境を整える必要があります。

そのため、法人税については、国際的整合性及び国際競争力の強化の観点から、社会保険料を含む企業の実質的な負担に留意し、法人税を国際標準に合わせて思い切って減税します。


<40 アジアNo.1 の金融・資本市場の構築>

日本をアジアの金融・運用の中心地にするべく、企業の活力ある経済行動と国民資産を適切に運用できる公正な競争条件の確保かつ十分競争できる活発な金融資本市場を構築します。

まずは金融セクターの対GDP 比を英国並みの10% 台に押し上げ、「業」としての金融を育成します。

そのために、「貯蓄から投資へ」の流れを促進する簡素で分かりやすい証券税制への見直しや東証「グローバル30 社」インデックスの創設、「日本総合取引所」の創設、外資誘致のための新たな金融特区の創設など、民間金融機関・証券市場の活性化や資産運用マーケットの強化を行います。

その際、国民にとって健全な経済と成長に結びつく企業法制と資本市場法制を統合したガバナンス構築を目指します。


<48 ベンチャー事業等の創造・活路支援>

ベンチャーを既存企業とともに経済成長の両輪ととらえ、日本の強みをさらに活かした挑戦に対してエンジェル税制などを含めて積極的に支援し、新規開業を促進します。

技術力・経営力の基盤が強固な大学発のベンチャーを継続的に創出するための体制整備などを支援します。

その際、研究成果を目利きによって厳格に選定します。

また、この過程において、優良・有望な開発シーズを選別し、ベンチャー企業の事業を再編するための「目利き人材」の確保も同時に行います。

エンジェル税制(ベンチャー企業投資促進税制)については、その普及が進んでいない現状を踏まえ、町おこし・村おこしに向けて取り組む企業等も対象に加える等の検討を行い、使い勝手の良いものとします。


◎公明党「衆院選重点政策」

「7つの日本再建」のうち、「4.力強く伸びる日本経済へ」を掲げていますが、この視点に関連する明確な政策は見当たりませんでした。


◎みんなの党「2012アジェンダ」

7つのテーマのうち、「供\長戦略で経済復活!」の中で、以下のテーマ及び具体的な政策を掲げています。

A .経済成長戦略で雇用を増やす

<1.規制改革、税制改革を駆使した未来を切り拓く経済成長戦略>

βM神任侶攜此寄付税制の拡大等を通じ、1500兆円の個人金融資産を活用する。

Я点覇段盟蔀屐複誼円)を抜本的に見直すと共に、法人税(実効税率ベース)を現行から20%へと減税する。

<2.日銀法を改正して早期にデフレから脱却>

政府金融資産300兆円のうち3分の2を流動化し、金融市場に新たなビジネスチャンスを創出する。

<4.TPP交渉に参加して攻めの開国>

東京をアジアの金融センターとすべく、証券・金融・商品等の総合取引所の早期創設を目指す。

東京経由で世界のマネーをアジア各国へ提供する体制を構築。

所得税の捕捉は国内所得に限定。投資家としての個人、グローバルに通用する金融専門家を育成するプログラムを導入し、日本を産業+金融立国へと導いていく。


◎日本維新の会「骨太2013−2016」

5つのテーマのうち「1.経済・財政を賢く強くする」の中で、以下のテーマ及び政策実例を掲げています。

<フロー課税を引下げる>

・法人税減税、再投資税額控除制度の導入により企業の国際競争力を確保。

<日本の競争力を高める徹底した競争政策を実施する>

・金融・資本市場の整備・活用。公正な価格形成を担保し、資本の再配分を効率化。


◎日本未来の党「未来への約束」

この視点に関連する明確な政策は見当たりませんでした。


と、以上のように、政党間でかなりの温度差というか意識の深さが違うという事がよく解りました。


また、政策集のボリュームもそれぞれで、企業が投資家に示す「アニュアルレポート」や「事業報告書」と同じく、伝える熱意に差を感じざるを得ないことも否定できません。


意外に、と言っては失礼なのでしょうが、「みんなの党」がある程度のボリュームで具体性を持って言及しているのは発見でした。


一方民主党のマニフェストは、このポイントに関してはちょっとがっかりでした。


そしてボリュームという点では自民党が圧倒的です。
もちろん、情報が多ければ良いというものではないのは、これも企業のIRと同じであり、いかに実行するかが最重要であることは言うまでもありません。


繰り返しになりますが、健全な株式市場の形成と活性化は、日本の将来にとって極めて重要な課題だと思います。


ただ一方で、まだまだ株式投資に対して、「博打」とか「金持ちがやるもの」といった偏見が根強いのも事実です。


より良い株式市場を形成する責任は、もちろん当事者である投資家と企業と市場関係者にあり、三者の努力が最も必要ではあるのですが、これからの政権担当者には株式市場の重要性をしっかりと認識した上で、適切な仕組み作りに力を注いで欲しいと思います。

今回の選挙はこれまでの選挙にも増して日本の将来を決める重要な選挙でしょう。


各論点について自分で判断し、優先順位をつけ、16日の投票日を迎えたいと思っています。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 19:23 | コメント (0)

2012年10月25日

ソフトバンクのスプリント買収で思ったこと

最近の株式市場での最も大きなニュースの一つは何と言っても、ソフトバンクによる米携帯電話第3位スプリント・ネクステル社買収でしょう。
10月1日のイー・アクセス買収に続いて間をおかず、買収額約200億ドルという大型M&Aの実施は、ソフトバンク孫社長ならではというのが素直な感想です。

今回のスプリント社買収については様々な意見が述べられています。

6年前の英国ボーダフォン社買収時に比べ、1%程度低い金利水準、約40円の円高、ソフトバンクの格付け自体も当時を上回っており、買収環境は良好である一方、通信規格の異なった国境を越えた通信会社同士の買収が目論み通りの効果を出せるのか?という疑問の声も多いようです。


私は残念ながら今回の買収について判断できる専門的な立場にはないので、成功するとも失敗するとも申し上げられませんが、別の観点から以下2点感じたことを述べさせていただきます。


一つは、孫社長の決断力、実行力は並外れているという事。

彼の事を「ビッグマウス」と揶揄する人もあり、評価は大きく分かれますが、下の相対株価を見ればわかるように、この10年でソフトバンク株は日経平均のみならず、通信業界のライバルを圧倒的に大きく引き離したパフォーマンスとなっており、色々な評価とは関係なく同社および孫社長は圧倒的な勝者です。


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もちろん過去の実績が将来を保証するものではありませんが、孫社長の言動というのは当たり前ですが決してその場限りの勢いではなく、周到に計算され、内外における多くの実証的な検証の積み重ねの結果から来ているのではないかと思います。

そうでなければ、10年という期間を幸運や時流だけで勝ち抜くなどという事は出来ないのではないでしょうか?


二つ目は、現在の投資家が極めて短期的な視点となってしまっているのではないかという懸念です。


11日(木)夜に買収検討というニュースが流れた翌12日(金)の同社株は、前日比486円安と大幅に下落し、週明け15日(月)も127円安と続落、2日間で約20%も下落しました。

その理由というのが、「2兆円の買収資金を調達するために新株を発行しなければならず、大規模な希薄化が避けられない」というもののようでした。

その証拠に、15日(月)の大引け後に、孫社長は記者会見し、「増資や転換社債(新株予約権付社債=CB)の発行など、エクイティ・ファイナンス(新株発行を伴う資金調達)は一切行わない。」と表明。

これを受けて16日(火)の株価は217円上昇したのです。


発行株数が増大すれば一株当たり利益、一株当たり純資産の希薄化が起こり、株価にネガティブというのはその通りの理屈です。

でも、株式市場本来の役割とは何でしょうか?

企業が成長するための資金を調達する場ではないのでしょうか?


調達した資金を投資することで達成される企業の成長を投資家が期待する、応援するというのが株式市場の本来あるべき姿ではないかと思います。

それなのに、資金調達を完全にネガティブと捉え、経営者がエクイティ・ファイナンスを否定すると株価が上昇する。

強い違和感を覚えてしまいます。


前回まで何回かに亘って述べたように、長年にわたる日本の株式市場低迷の原因の一つは、「企業が投資家の期待の応えられていない。」という事だと思います。

リスクをとっても報われていない現状は事実として認識し、企業の真剣な取り組みが不可欠です。


しかし、確かに企業の負うべき責任は大きいのですが、それと同じくらい「株式市場本来のあり方は?」という問いを基にして投資家やアナリストの意識改革も、なされなければならないのではないでしょうか?


この10年で極めて優れた実績を挙げてきた企業経営者が並々ならぬ決断、行動を示したにも拘らず、極端に言えば投資家が誰も付いていかない日本の株式市場。


このままにしておいてはいけないと強い危機感を感じます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 13:08 | コメント (0)

2012年10月11日

投資家の期待に応えられていない日本企業

前回は、日本企業のROE(株主資本利益率)が米国企業に比べると低く、これが株主の期待に応えていないことから、PBR(株価純資産倍率)1倍割れに表わされるように日本株式市場低迷の一要因ではないかという事を書きました。

 


では、投資家が企業に期待ないし要求するリターンはどうやって決まるのかをもう少し詳しく考えてみましょう。


そもそも投資家は、同じ水準のリターンが期待できる投資対象が二つあったとすれば、リスクのより少ない方を選びます。


例えば、償還期限が10年で利回りが1%の日本国債と、同じく償還期間10年・利回り1%の社債(企業が発行する債券)があったとすると、投資家は間違いなく日本国債を選びます。企業は10年の間に倒産する可能性はありますが、日本が破産する可能性は現時点では極めて小さいからです。(最近の財政状況だとやや?もつきますが。)


逆に言えば、リスクのあるものにはもっと高いリターンを投資家は要求します。例えば、この社債の利回りが5%とか10%であれば、倒産のリスクをとっても日本国債よりも高いリターンを獲得したいと考える投資家も出てくるでしょう。


今の例では債券同士の比較でしたが、株式投資と債券投資を比較した際は、株式投資は債券投資に比べればリスクも高くなりますから、債券投資する場合のリターンよりも高いリターンを投資家は当然に要求します。


この、投資家が要求するリターンを「要求収益率」とか「期待収益率」と言います。


この株式の期待収益率は、投資家が企業に「期待する」というものですが、逆に投資を受入れる企業からすれば、その利回りを「期待されている」ことになり、期待に応えたリターンを株主に提供していかなければなりません。


つまり投資家側から見た「期待収益率」とは、企業にとっては「調達した株主資本に対するコスト=株主資本コスト」でもあるのです。


(株式による資金調達は、銀行などからの借入のような利息が無いことからコストがゼロだといわれたり、配当が株主資本に対するコストだといわれますが、これは大きな間違いであり、株主資本には「株主からの期待」という、借入や社債利息とは比較にならないほど高いコストがかかります。)


では投資家はどれだけのリターンを期待している(企業は期待されている)と考えればいいのでしょうか?


株主資本コストの計算方法は少々難しくなるので、詳細な説明は割愛しますが、
(1)日本国債の利回り
(2)株式リスク・プレミアム(株式市場のリターンと日本国債利回りの差。投資家が日本国債の利回りに比べ、株式市場に対し、どの程度高いリターンを要求しているか)
(3)ベータ(個別企業の株価変動が市場全体の動きに比べどの程度大きいか小さいか)

の3つの要素によって決定され、
 「株主資本コスト=日本国債利回り+ベータ×株式リスクプレミアム」という計算式となります。


企業が株主に対して提供するリターンをROEとし考えてみると、各企業は自社の株主資本コストを上回るROEを実現しなければ株主の期待に応えているとはならないわけです。


そこで、東洋経済新報社の会社四季報CD-ROM版を使って、計算可能な企業について「ROE−株主資本コスト」(エクイティ・スプレッド)を計算し、PBR水準との関係を調べてみました。


エクイティ・スプレッドがプラスであれば、株主の期待を上回っている企業、マイナスは期待に応えていない企業と定義できるわけですが、下図のような結果となりました。

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*集計対象となった2,969社中、6割の1,784社がマイナスのエクイティ・スプレッド

*エクイティ・スプレッドがマイナスの1,784社中、82%の1,467社がPBR 1倍割れ。


6割の企業が株主の期待に応えることができておらず、その内8割の企業が投資家から「PBR1倍割れ」という評価を受けているわけです。


PBR1倍割れの要因はこれだけではないでしょうが、日本の株式市場低迷の背景には、「半数以上の企業が株主の期待に応えることができていない」という残念な実態があると言わざるを得ないようです。


金銭的リターンのみではなく、明るく豊かな未来を創る経営者の志を応援する「応援投資家」の立場からは、その志を中長期で暖かく応援しつつも、同時に株主の期待に応える施策・アクションをとっているのかを厳しく見ていく必要があります。


厳しい外部環境であるとは思いますが、日本企業の奮起を期待したいと思います。


*なお、株主資本コストの計算方法については、日本国債利回り 1%、株式リスクプレミアム 7%との前提で計算しました。また、話を簡略化するために企業が投資家に提供するリターンを考える際に配当性向(利益のうち、どの程度を配当として支払っているかを示す指標)を除外しています。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 15:04 | コメント (0)

2012年10月04日

日本株低迷の背景

日経平均と米国NYダウの過去10年間の推移を比較してみたのが下のグラフです。2008年9月のリーマンショック後の安値まではほとんど一致した動きを見せたものの、その後の展開は大きな差がついてしまいました。

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NYダウがリーマンショック前の高値まであと一歩というところまで力強く戻してきているのに対し、日経平均は完全に底を這っている状況です。

この状況を表して、日本市場のPBR(株価純資産倍率)は依然として東証1部全銘柄で0.92倍、東証2部全銘柄で0.62倍と1倍割れが続いています。(平成24年10月3日現在)

 

さて、「PBR 1倍割れ」というと皆さんはどんなことを連想するでしょうか?


株主資本比率が高かったり、現金を豊富に持っている財務的に安全性の高い企業であれば「割安」、そうでなければ「危険」。
または、そもそも投資家から見向きもされていない「放置」といったところでしょうか。


確かにPBR1倍割れの背景として、認知度が低い、会社の事を理解してもらっていないということもあるでしょうが、それでは、日本を代表する企業であるソニーの0.45倍、トヨタの0.93倍はどう考えればいいのでしょうか?


下の表は日本と米国の代表的な企業のROE(株主資本利益率)とPBRを比較したものです。

graph_2120121003.GIF


足下においては圧倒的な違いが存在しており、唯一日立が頑張っているという感じです。


ROEは企業が株主に対しどれだけのリターンを返しているかを示す指標であり、その意味で日本企業は米国企業と比べて株主の期待に十分には応えていない現実があり、これがPBR 1倍割れの大きな原因の一つと考えられます。


もちろんもっと個別に日本企業を見ていけば、ROEも株価評価も高い企業もありますが、総体的に日本企業は株主の期待に応えるだけのリターンを返すことが出来ていないということは残念ながら事実と言えるでしょう。

 

日本の株式市場復活のためには、証券会社や投資家行動に改善すべき点も多いと思いますが、それ以上に重要なことはやはり、投資家の期待に十分応えるだけの企業の収益性向上であると考えます。


次回はこの「投資家の期待に応える」という点をもう少し掘り下げてみたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 11:07 | コメント (0)

2012年09月13日

企業と投資家:「増資」に対する認識のギャップ

前回は、「ROE」についての認識において、企業と投資家の間で大きなギャップがあるという現実を、(社)生命保険協会の行った「株式価値向上に向けた取り組みについて」という調査から見てみました。

この調査は、企業にとっても投資家にとっても関心の高い、「増資」についても同じように企業と投資家の意識を調査していますので、ご紹介したいと思います。


時価総額上位1,200社中、アンケートに回答した613社の中で過去3年の間で増資を実施した企業は10%の約60社。

実施した企業に増資の理由を尋ねたところ、以下の様な回答でした。


1位:将来の成長に向けた布石(62.3%)

2位:喫緊の財務体質改善の必要性(6.6%)

3位:予防的な措置としての自己資本の充実(4.9%)


当然のことながら、「将来に向けての投資資金を市場から調達する」という教科書的な、まっとうな回答がトップでした。


しかし増資は、既存株主への割当てでない限り、利益や資産の株主一人あたりの持分を減らすことになりますから、投資家・株主は企業が増資をすることに対し、必ずしも諸手を上げて賛成ということはなく、何故今増資が必要かを企業が説明することを要求するわけです。


そこでこの調査では投資家に対して「増資の必要性について株主・投資家に対して十分な説明がなされていると感じられますか?」という質問を行っており、回答は以下のようになりました。


1位:あまり説明されていない(51.9%)

2位: 一定程度説明されている(36.7%)

3位:ほとんど説明されていない(11.4%)


1位と3位の合計が63.3%なのに対し、「一定程度説明されている」は36.7%にとどまり、「十分に説明されている」にいたっては0%でした。


これを受けた「最も不足していると感じる点は?」という質問に対しては、


「増資に見合った将来的な収益向上策」が82.3%で圧倒的な1位で、前年調査に引き続き大半を占める形となっています。

希薄化や発行価格という答えもありましたが、それ以上に「どう収益に結び付けるのかが説明不足」という点に、投資家は強い不満を抱いているようです。


続けて、「増資を実施した企業について、増資時に企業が説明していた内容(株主還元、利益成長など)は、その後達成されていると思うか?」という質問に対しては、

「一定程度実現した」は24.1%、「説明通り実現した」はゼロという寂しい回答に対し、
「あまり実現していない」が55.7%、「ほとんど実現していない(説明そのものがなかった)」が19.0%で合計74.7%の投資家が未達成と認識しているという結果となっています。


では企業は「増資をする際に掲げた成長戦略・株主還元等の方針は実現できたか?」との問いに対しどう答えたのでしょうか?

1位:一定程度実現した(60.7%)

2位:計画通り実現した(21.3%)

3位:あまり実現していない(1.6%)

4位:ほとんど実現していない(0.0%)


程度の差はあれ「実現した」と思っている企業が圧倒的多数となっています。


増資が行われる過程及びその後の結果(企業の業績推移)は一つしかない筈なのですが、この企業と投資家間のこの認識ギャップはどう考えるべきなのでしょうか?

投資家が求め過ぎなのでしょうか?それとも、企業が自らの理屈・理論に偏っているのでしょうか?


いずれにせよ、こういう状況が続くと、日本企業は日本の株式市場において資金調達が出来なくなってしまうかもしれません。


もちろんこれは総論であって、しっかりと投資家とコミュニケーションを取り、信頼関係を構築できる企業であれば、株式市場を利用して成長資金を取り込むことは可能です。


個人投資家の皆さんはそうした企業を、様々なIRツールと実際の業績推移から判断しなければなりません。
企業を見抜く目を自ら育てることは、みなさんにとって最も必要な課題といえるでしょう。


それに加えて強く望まれるのは、多くの企業において、ROEや増資などに対する意識をもっと高めてもらうことです。

私も微力ながらも企業側の意識改革のお手伝いをしていきたいと思っています。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 09:06 | コメント (0)

2012年09月04日

企業と投資家:「ROE」に対する理解のギャップ

このコラムでは何度か「株主に対し企業がどれだけリターンを返しているか?」、「株主の期待に応えているか?」を表す指標である「ROE」について触れてきました。

ROEは、企業を評価する指標として、投資家はもちろん企業にもかなりメジャーなものとなっていると自分では考えていましたが、ある調査結果に目を通してみたところ、実際には「企業」と「投資家」の間ではずいぶん認識が異なっているのが現状のようです。


社団法人 生命保険協会という団体があります。
1898年(明治31年)に設立された生命保険会社談話会がその前身という大変歴史のある組織で、生命保険業の健全な発展および信頼性の維持を図ることを目的として、「生命保険に関する理論および実務の調査・研究」、「生命保険に関する広報活動」、「生命保険に関する意見の表明」などを事業として行っています。


ご存知の通り生命保険会社は、保険契約者から預かった保険料を、最善の注意の下、誠実に一定の利回りで運用する責務(受託者責任)を持った代表的な機関投資家であり、銀行と共に多くの上場企業の株主として顔を出す大きな存在です。


そこで生命保険協会では、「企業と株主が十分なコミュニケーションを行いつつ、課題の共有化とともに長期的な視点で株式価値の向上が進むことを望んでおり、各企業の株式価値向上への取り組みが日本の株式市場の活性化につながるものと期待している。」と考え、企業側に様々な要望を提示していますが、要望の一つに「ROEの目標設定と水準向上」という項目があります。

つまり機関投資家としては、具体的な指標としてROEについての重要性を企業に認識して欲しいと言っているわけです。


また、上記の考えの下、企業と投資家の株式価値向上に対する取り組みや意識についての調査を定期的に実施しています。

平成23年度の調査結果(2012年3月16日リリース)を同協会HPで見ることができますが、ROEに関する部分を抜粋してみると、企業と投資家の認識の違いが明らかです。


まず、「投資家が中期経営計画での公表を望む指標は?」という質問に対しては、投資家の回答は「ROE」が82.3%で断然の1位であるのに対し、企業が実際に公表している指標は、「利益額・利益の伸び率(61.9%)」、「売上高・売上高の伸び率(59.5%)」、「売上高利益率(48.0%)」が多く、「ROE」は32.8%の4位となっています。


また、「ROE水準が資本コストを上回っているか?」との質問に対しては、企業側は「上回っている」が21.9%に対し、「上回っていない」が26.9%、「わからない、どちらともいえない」が41.3%となっています。


投資家側は「上回っている」が8.9%に対し、「上回っていない」が70.9%と回答しており、企業側に比べ、現在のROE水準に対してかなり厳しく見ていることがわかります。


加えて企業側の「わからない、どちらともいえない」という回答が多数なのも気になります。

もしかしたらROEそのものの意味や資本コストとの比較という視点さえも理解していないのでは?と邪推してしまいます。


そこまでレベルが低いということは無いにしても、調査対象企業は、時価総額上位1,200社の内、回答した613社ということですから、日本を代表する有名企業においてさえもこのROEに対する意識の低さというのはちょっと心配です。


投資家の意見が絶対的だとは言うつもりはありませんが、企業の意識改革は日本の株式市場活性化のためには絶対不可欠なのではないでしょうか。

(この調査、他にも興味深い結果が出ていますので、次回もご紹介したいと思います。)

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2012年08月06日

「デフレ下」で利益率を上昇させている企業群

本来であれば、企業は自社が提供する製品やサービスの利益率を上昇させながら、販売個数を拡大させ、増収・増益を続けていくことが一番望ましいのですが、現在の様な「デフレ」の状態においては、製品やサービスの価格を上げることはもちろんの事、維持することさえも難しくなっており、増益の源泉を増収に求めることは容易ではありません。


そうした状況下で利益の拡大を目指す企業が選択する道は二つです。


一つは、単品での利益率の低下には目をつぶって価格を下げ、それ以上に販売個数を拡大させ、総額としての利益を増加させる方法です。
外食産業などでよく見受けられる光景です。


もう一つは、売上の大幅な増加は難しいことを前提に、製品やサービス若しくは企業全体の売上高利益率を改善させ、総額としての利益を増大させる方法です。


もちろん企業が取る行動は二者択一ではなく、製品の売価を下げながらも、製造原価を低下させたり、販売費や一般管理費といった全社共通のコストを削減して利益の増加を目指す方法もあり、そちらの方がむしろ多数かもしれません。


しかし、いずれにせよ「利益率の継続的な上昇」を図ることができるか否かが、デフレ時代の企業経営にとって最も重要な課題の一つであることは間違いありません。

そこで今回は、継続的に利益率を上昇させている企業についてスクリーニングしてみました。


スクリーニング条件は、

・前々期、前期、今期(予想)と3期連続で売上高営業利益率が上昇
・3期前に比べて今期営業利益が増加(年率表示)
・今期営業増益率が10%以上


参考までに、3期前比増収率(年率)と予想PERも併記しました。
減収・減益で利益率が上昇していても意味が無いので、利益率の改善を図りながら増益を達成している企業をピックアップしているという事です。

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全部で40社がスクリーニングされましたが、全社とも3期前比較の増収率よりも営業増益率が上回っています。(うち4社は減収)

また、3期前比増収率が10%以下であった企業は全部で19社。
約半分の会社は売上高の大幅な増加が望みにくい中、利益率改善の努力によって利益をしっかりと増大させているわけです。


PERが既に高くなっている銘柄もありますし、今後も今までと同じペースで利益率の改善が続くとは必ずしも言えませんが、デフレ下において利益率の改善に取り組み、その実績を上げている企業群として要注目だと思います。

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2012年07月20日

全日空の増資について

前回、このコラムで日本航空の再上場について書きましたが、今回もそれに関連した内容でいきたいと思います。
ライバルの全日空は、日本航空が会社更生法適用会社という立場をいかし、政府支援によって競争力を高めていることに不満を抱いているとも伝えられます。


その一方で全日空は7月3日に新株発行による増資を行うと発表しました。
この動きは9月に再上場する日本航空に対して先手を打ったものと受け止められています。
7月18日には発行価格が決定、最大約1750億円を株式市場から調達することになります。


全日空株の動きを見ると、発表前日(7月2日)に終値が224円だったのが翌日には196円と、12.5%下落しました。また、18日の終値は192円と、さらに2%下がっています。


「上場企業の増資と株価」の関係については、現在、野村證券を始めとした大手証券会社や、中央三井アセット信託銀行(現・三井住友信託銀行)などの大手運用機関による「増資インサイダー事件」が大きな問題になっています。


全日空に関しても、発表当日の出来高が、前日の4倍強に急増していることから、インサイダー情報に基づく空売りがあったのではないかとの憶測も出ているようですが、今回のコラムではこの件についてではなく、そもそも企業が行う増資について株主や投資家は何を考え、どう判断すべきか? どんなことを企業に要求すべきか? について述べてみたいと思います。


新株発行を伴う増資が行われる場合、投資家は主に次の2点を考える必要があります。


まず、一株当たり利益や純資産の希薄化です。

増資直前と直後では、基本的には企業価値に変化はないはずです。
全日空の2012年3月期決算短信によれば、2012年3月期末の一株あたりの純資産(BPS)は218.24円、2013年3月期の予想一株あたり純利益(EPS)は15.90円です。

2012年3月期末の発行済株式総数(自己株式を控除後)は約25億1500万株ですが、今回の増資により発行済株式の数は約4割増加しますから、計算上はEPS、BPSとも、その分目減りしてしまいます。

これを「希薄化」といい、新株発行を伴う資金調達が既存の株主にあまり好まれない理由です。
前述の同社株の下落も投資家のそうした心理を反映したものといえるでしょう。


しかし、これはあくまでも増資直前と直後の企業の姿を静的にとらえた場合です。企業は生き物ですし、株価は企業の将来を映し出す鏡ですから、動的な側面にも目を向けなければいけません。


その意味で第2に考えるべきは「調達資金の使途とその成果」です。


上場企業の非上場企業に対する最大のアドバンテージは何と言っても「市場を通じた直接金融による資金調達能力」です。
ただ、上場企業であっても全ての企業が同一条件で市場を通じて資金調達ができるわけではありません。
将来の成長や企業価値の向上に結び付く設備投資を行うことができるか否かが、大きな違いを生みます。


全日空は今回の増資発表に際し、最大約1750億円となる調達した資金の使途について以下のように述べています。

「2015年3月末までに、国際線ネットワークの拡充を主な目的として、省燃費機材であるボーイング787 型機(787−8型機及び787−9型機)を中心とした航空機購入を含む設備投資資金に充当する予定であります。なお、当社は、現在、成長著しいアジアを主力市場とする航空会社として、マルチブランド戦略の推進により新たな事業機会を追求しておりますが、今回の資金調達を通じて、将来のさらなる投資機会に機動的に対応できるよう財務体質を強化してまいります」(7月18日リリースより)


全日空は成長余地の大きいアジア域内の需要を取り込むことをもくろんでおり、同じ戦略をとる日本航空に正面から対抗するために今回の増資に踏み切ったわけです。


ここで投資家が考えなければならないのは、全日空がこの資金をもくろみ通りに有効活用することができるか、です。
一方で、投資家は、今後の成長戦略の具体策や想定通りに成果を上げる可能性について、全日空に十分な説明を求める必要があります。

この説明が合理的で株主や投資家を納得させるものであれば、「希薄化」の懸念を上回って株価は上昇する可能性が高くなります。
株価を形成する要因は、市場全体の需給など諸々ありますから、単純ではありませんが、少なくとも増資に伴う投資家への説明は絶対不可欠であることは間違いありません。


その観点で全日空のIR(投資家向け広報)サイトを見てみると、正直なところ「?」という感じです。

2012年3月期の決算説明会の資料などは掲載されていますが、少なくとも私には中期的にアジア市場でどう勝負して、どう勝ち上がっていくのかという道筋が読み取れませんでした。

また、社長メッセージもあるにはあるのですが、7月なので七夕の起源や全日空が実施する七夕イベントの紹介など、どう考えても投資家が期待している経営トップの声ではありません。
これではなかなか株価も振るわないのではないでしょうか?


増資を発表した企業や実施が予想される企業の株価が総じて軟調なのは、需給悪化というテクニカルな部分もあるでしょうが、企業側の説明不足も大きな要因であるように感じます。


投資家の皆さんは企業の説明力もしっかりと見極めていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 13:36 | コメント (0)

2012年07月05日

日本航空の再上場について

日本航空が再上場に向けて動きだしています。

2010年1月に会社更生法の適用を申請し、翌月、上場廃止となりましたが、政府支援のもとで経営再建を進め、今年6月に東京証券取引所に上場を申請しました。再上場は9月19日の予定とのことです。



同社のウエブサイトを見ると、2011年度の連結営業利益は2049億円で、2008年度の508億円の営業損失から急速なV字回復を遂げ、過去最高利益を更新。同じ期間に有利子負債も8087億円から2084億円へと大幅に削減されています。


日航が破綻した時、私は「投資家の視点で日航破綻を見ると……」(2010年1月23日)と題したコラムで、「優れた企業の経営の質を見極める一つの視点が取締役の数」だということを書きました。


日航は当時、「社長1人、副社長3人、常務取締役3人、取締役8人」と、実に15人の取締役を抱えていました。

現在は「名誉会長1人、代表取締役会長1人、社長1人、取締役3人」と半分以下になっており、意思決定のスピードは格段に上がったと想像できます。
また、現場の社員の意識に大きな変化があったことも様々なメディアで報じられています。

3年足らずのスピード再上場は、日航自身の努力の賜物であると大いに評価したいところですが、そうとも言えない面があるようです。

業績が急回復した最大の要因は、売上高が2008年度の1兆9511億円から2011年度の1兆2048億円へと4割近い減収となる中で、営業費用が2兆20億円から9998億円に半減したことです。

コスト減少の背景には、大幅な人員削減や路線の廃止、負債圧縮による支払い利息の減少など大幅なリストラがありますが、それだけではありません。

会社更生法適用による航空機の資産価値見直しの特例で減価償却費の負担が減少したことや、黒字をそれまでの欠損金で相殺できる金額の割合が通常は課税所得分の80%であるのに対し、更生法の適用会社は7年目まで100%の相殺が可能という制度により日航単体では2011年度に法人税を払っていないなど、前期の好決算は一時的な特殊事情が大きいということが多方面から指摘されています。


加えて日航は今2013年3月期の連結業績について、売上高は1.2兆円とほぼ横ばいながら、営業利益は前年比27%減少の1500億円、当期純利益も同30%減少の1300億円と予想しています。

燃油費の見通しを厳しめにしているとはいえ、上場直前期が過去最高益という、これまでのIPO(新規株式公開)銘柄で何度か経験した嫌な感じです。


一方で、日航株式の96%を公的ファンドである企業再生支援機構が保有しています。

同機構は日航に3500億円を投資しましたが、再上場時の日航株の時価総額は7000億円に達するとの見方もあります。
同機構は来年1月までに売却する見通しと報じられていますが、同機構の大株主は預金保険機構で、預金保険機構の資本金の99%は政府が出資していますから、日航株への投資は日本国民としては極めて良好な案件だったと言えるかもしれません。


ただ、再上場時に売り出される株式を購入するのは個人投資家が中心となるでしょうが、その際、上場直前期が過去最高利益で、なおかつその利益も更生法適用会社としての特殊事情によるところも大きいという状況をどう考えるべきでしょうか?


また、このスピードとタイミングで再上場に向かう(向かわなければならない?)背景や理由も気になるところです。


せっかく日本国民として良いリターンを得ることができたのに、再上場時に高値でつかまされてしまったのでは何のことやらわかりません。


日本のフラッグシップである日航の復活は大変喜ばしいことですし、相次ぐLCC(格安航空会社)の参入など話題に事欠かない航空業界ですが、個人投資家の皆さんには、ムードに惑わされず、「競争に勝ち残る資質を備えた会社になったか」「応援すべき企業か」という視点で日航の再上場を考えていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:41 | コメント (2)

2012年06月22日

企業が発表する業績予想の使い方

6月は株主総会のシーズンです。
東京証券取引所によると、3月決算企業の定時株主総会の今年の集中日(こういう日があること自体が問題だと思いますが)は6月28日。
東証上場企業に占める割合、集中率は41.6%です。

昨年の41.2%からは若干上昇していますが、2002年は76.5%、1992年は94.6%だったことを考えると、企業の意識も大きく変わりました。

また、株主総会の出席者数の増加や議決権行使比率の上昇も話題になっており、株主の意識も向上しているようです。企業と株主のよりよい関係作りがもっと進んでほしいと思います。

さて、株主や投資家が企業を選ぶ上で最も大きな要因のひとつは、いうまでもなく「将来の業績動向」です。

本来なら投資家自らが業績予想を行ったり、証券アナリストが業績予想を提供したりすればよいのですが、全上場企業において完全に実施するのは現実的には困難です。
そこで、企業自らの業績予想数値が大変重要な判断材料となってくるのです。

今回はこの業績予想の見方について触れたいと思います。


ほとんどの上場企業は、前期の決算発表時に、今期の売上高、営業利益、経常利益、純利益についての予想値を公表します。
ただし、状況の変化などで、期中に新たに算出した予想値との間に差異が生じた場合は、ただちに内容を開示しなければなりません。
予想値を公表していない場合は、前年度の実績値との比較となります。
(東京証券取引所 有価証券上場規程 第405条による)


少しでも差異があれば必ず開示しなければならないかというと、そうではなく、「投資判断に及ぼす影響が重要な場合」というただし書きがついており、その範囲は以下のように定められています。

・売上高では±10%以上の差異
・営業利益、経常利益、純利益では±30%以上の差異

売上高、営業利益、経常利益、純利益のうちどれか一つの項目で、この範囲を超えて、上方でも下方でも差異が生じれば業績予想修正の開示を行わなければなりません。
(東京証券取引所 有価証券上場規程施行規則 第407条による)


上場企業の何社が業績修正を行っているのかを知りたいと思い、会社四季報のCD−ROMで調べてみると、連結決算を行っている約2500社のうち、前期実績売上高が期初予想より10%以上減少もしくは営業利益が30%以上減少した「下方修正」会社は、449社ありました。

反対に、前期実績売上高が期初予想より10%以上増加もしくは営業利益が30%以上増加した「上方修正」会社は545社となりました。


業績予想の上方修正を行う会社は、一般的には事業環境が良好であったり、その会社の製品・サービスに対する顧客満足度が高かったりするなど、多くの好材料がある企業と言えると思いますし、上方修正は株価にとっても大きなインパクトとなります。
そこで今回は「期初予想を上回る決算を発表する傾向がある企業」をピックアップしてみました。


スクリーニング条件は以下の通りです。

・前期、前々期の売上高および営業利益が期初の会社予想を上回った。
・今期の売上高および営業利益が2ケタの増加を予想している。

2期連続して業績が期初予想を上回り、なおかつ今期も好業績が期待されている企業群というわけです。今期予想PER(株価収益率)が低い順に並べてみました。


業績が予想を上回った要因が一時的なものであったり、特殊要因であったりする場合もあるので、決算短信や業績修正のリリースを詳細に読み込むことが必要なことは言うまでもありません。

また、見方を変えれば、上にも下にもぶれない業績予想を行う企業の方が企業としての事業計画の立案および実行力が優れているとも言えます。

ここに出てくる企業は「堅めの業績予想を行う傾向があり、なおかつ、業績下方修正のリスクの小さい会社」と言えるかもしれません。

企業を見る視点として参考にしてみてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:09 | コメント (0)

2012年06月12日

震災から1年経過した今、「応援投資」の意味をもう一度考える。

先日6月2日に名古屋で個人投資家の皆様にお話しする機会がありました。
テーマは、「日本再生と個人投資家の役割」というものです。

実は昨年の今頃も、東京と大阪で、「今回の大震災を契機に、東北の復興のみならず日本が再生するために、個人投資家はどういう考え方、視点で株式投資を行っていくべきか?」を一緒に考えていきましょうという趣旨でセミナーを開きました。


あれから1年。

福島第一原発の処分、がれき処理、電力供給体制の改革、除染作業など、まだ問題は何一つ解決していないのが現状であるにもかかわらず、津波や水素爆発の衝撃、福島から避難した方々の辛い生活などを目や耳にした当時の心情が、決して風化しているとは言いませんが、薄れつつあり、何かもう違う世界のことと考えがちになっているのではないかと感じさせる出来事が沢山起こっています。


そこで、もう一度当時の気持ちに戻って個人投資家はどう行動すべきかを皆さんと一緒に考えたいと思い、名古屋でセミナーを開いたわけです。


お話のポイントは以下の通りです。


・ 東日本大震災は、エネルギー供給体制、地方と都市の格差、電力会社のあり方など現在の日本が抱えている課題を我々に突き付けた一方、日本人の優しさや思いやり、日本企業の優秀さといった日本の誇れる美徳を改めて気付かせてくれた。


・ こうした課題を克服し、日本の良さを伸ばしていくことにより、今回の不幸な出来事を単なる「東北の復興」にとどまらない、「日本の再生」に繋げていくべきだ。


・ そのためには政府の役割も当然重要だが、実際に課題を克服し日本再生を担っていく最重要プレーヤーは「企業」とそれを応援する「投資家」である。


・ 個人投資家の皆さんは「応援投資家」として、企業と一緒に「東北の復興」と「日本の再生」という道を切り開く重要な役割を担っていることを自覚してほしい。


・ ではどういう視点で企業を選別、発掘して行けば良いか?


・ 一つは、「エネルギー問題」、「地方活性化」、「グローバルオンリーワン」など様々な投資テーマから、活躍が期待される企業を探し出すこと。特に再生可能エネルギーや燃料電池といった分野での日本企業の技術力の高さに注目すべき。


・ もう一つは、「明るい未来、社会を創っていく企業」を探すという視点から、顧客、従業員、取引先、株主など、全てのステークホルダーと良好な関係にあろうと努力し、取り組んでいる企業を探すことである。


・ ただ、“応援投資”でもっとも重要なのは「自分で探す努力」。様々な情報ソースから経営者のメッセージを受け止め、自分の感性に合った「応援すべき企業」を探し出すことが望まれる。


セミナー参加者からのアンケートで以下のようなお答えを頂くことができました。

・『インベストメントブリッジ』という会社にも興味がありました。個人投資家の役割を再認識出来ました。セミナーの回数を増やしてほしい。 (70代 男性)


・前半の話は時間の無駄。この程度の話は聞き飽きている。 (40代 男性)


・応援投資という考え方について良く理解出来ました。現在の日本を盛り上げるにはとても素晴らしい考え方だと思います。 (50代 女性)


・企業を応援しようとの会長の意見は大賛成です。(60代 男性)


・応援投資という考え方に共感。小生の投資に対する方針が裏打ちされた趣で心強く思った。 (70代 男性)


・株式投資の姿と企業主との考え方が同じであり、楽しく聞く事が出来た。 (70代 男性)


・応援投資の考えは大賛成。(70代 男性)


・現状の経済世界的な不況により、株式市場も最悪の状態である。投資家も今は只々耐え忍ぶだけである。本当に投資すべき企業の一端を与えてもらったようです。 (70代 男性)


・株式でなく企業に投資する姿勢に共感。 (80代 男性)

暖かい賛同のご意見、私の至らなさに対する厳しいご意見、どちらも有難いことです。

実は、6月30日に札幌でセミナー開催予定ですので、その際は「時間の無駄」と言われないようなセミナーにしなければいけません。


今後も一人でも多くの個人投資家が、「応援投資」の賛同者となっていただけるよう、機会を見つけてお話ししていきたいと思っています。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 10:24 | コメント (2)

2012年05月10日

企業の工夫が現れ始めた決算短信

3月期決算企業の決算発表も佳境を迎えています。

昨日5月9日(水)には、トヨタ自動車が、終わった2012年3月期は減収・減益だったものの、今期(2013年3月期)の営業利益は前期比+181%の1兆円となる見通しであると発表し、市場で話題となりました。

ただ、同社も含め企業収益動向全般についてこれまでのところ、大方の予想通り「前期減益、今期急回復」となっているようですが、同社株価は殆ど動意を見せず前日比変わらずで終わりましたし、日経平均株価は9,000円を割り込みそうな状況です。


企業収益見通しについては既に織り込み済みであったと思われること加え、フランス、ギリシャの選挙結果が世界経済、金利動向に関する先行き不透明感を強めていることが背景にあるようで、なかなか一本調子では上がって貰えない、もどかしい相場展開となっています。

さて、前回のBlogで、今回の決算発表から決算短信の作成に関する自由度が高まり、企業ごとのIRに対する姿勢の違いが明確になってくるのではないか、ということを書きました。

ただ、残念ながら今までのところでは、全ての企業をチェックしたわけではありませんが、昨年同様の形式で発表している企業が大多数のようです。


そんな中、私が「おや!」と思ったのが、東証マザーズに上場している株式会社フュートレック(2468)です。
同社IRサイトURL http://www.fuetrek.co.jp/ir/index.html

同社の平成24年3月期決算短信では、通常は第2四半期と通期の予想数値を発表する今期見通しについて、「四半期ごとの変動が予想されることから」との理由を記して、今回から各四半期ごとの業績予想を記載しています。

会社側に電話してみたところ、「第1四半期に売上、利益が大きく伸びる一方で、第2四半期以降は開発投資を積極化するため、従来の第2四半期と通期のみの業績予想では、投資家をミスリードする恐れがあるので四半期ごとの予想を発表しました。」とのことでした。


(株式会社フュートレック 平成24年3月期 決算短信より)


また、「経営成績」の項目において、これは前回も行っていますが、売上・利益の対前期比較だけでなく、期初予想と実績との比較についても表形式で示したうえ、実績が予想に達しなかった要因についても触れており、投資家に対して大変親切な決算短信となっています。

加えて今期の見通しについても、比較的詳細な説明を行っている点も目を引きます。


(株式会社フュートレック 平成24年3月期 決算短信より)

白黒の2色のみで、文字と数字と表ばかりでややもすると無味乾燥な、個人投資家の皆さんにとってはとっつきにくい印象の強い決算短信かもしれませんが、だからこそ企業の創意工夫やIRに対する姿勢が、他社比較の中で明確に表れると言えるかもしれません。


皆さんも是非こまめにこうした企業を探してみてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 12:43 | コメント (0)

2012年04月24日

企業のIRに対する姿勢の違いが益々明確になる時代がやってくる。

企業は決算発表に際して決算短信という開示書類を作成します。

この決算短信において企業は、終わった決算期の損益状況やバランスシート、キャッシュフローなどを公表すると同時に、「次期の業績予想」として一般的に「売上高、営業利益、経常利益、当期純利益、一株当たり当期純利益、一株当たり配当金」の予想数値を、表紙にあたるサマリー情報に表形式で開示しています。


東京証券取引所によると平成22年3月期を対象とした調査では、上場会社の約97%がこの形式で将来予測情報を開示しているということです。


この業績予想の開示方法について東京証券取引所は3月21日に「業績予想開示に関する実務上の取り扱いの見直し内容について」と題するリリースを行いました。


どんな内容かというと、「次期の業績予想」の開示方法を企業の判断による自由記載形式によって行うことができるということを述べたものです。


つまり、企業は投資家に自社の状況をより深く理解してもらうために、自らの工夫で従来は決算短信では触れていなかった財務数値や定性情報をドンドン開示してもいいよということです。


これまでの業績予想の開示方法についても決して一律的、強制的に東証が決めていたわけではないものの、実質的には上記のような開示の項目や表の形式もほぼ全社共通となっている「原則的な取扱い」に従うことを東証は求め、「次期の業績予想」の開示内容の追加・変更を行ったり、業績予想自体を行わない場合は事前相談やその理由を開示することを要請していましたが、今回のリリースにおいては、この要請を廃止するとも述べています。


東証としては、自社の状況や将来の経営方針に関して最も詳細かつ正確な情報を有する企業自身によって開示される将来の予測情報は投資家にとって有用なものであることを改めて認識したうえで、より積極的な情報開示を企業側に要請しているわけです。


実施時期としては今年の3月決算にかかる決算発表からということですから、もう間もなく新しい開示形式による業績予想を投資家は利用することができるようになるわけです。


それでは、この変更は投資家にとってどんな意味があるのでしょうか?


最も大きいのは、投資家にとって企業のIRに対する姿勢や本気度を比較検討しやすくなるということでしょう。


以前このBlogで「IR新時代における企業選択のプロセス」(2010年8月18日)
でも書いたように、IRに対する企業ごとの姿勢の違いがますます明確になってくることが予想されます。


「1億円以上の役員報酬の開示」や「議決権行使状況」など開示しなければならない項目が増加する一方、今回のように自由度が高まり工夫する余地が増大する中で、企業は資本市場における勝者(より多数の投資家をファンにする。)となるべくIR活動においても、横並びではなく、差別化や競争優位性といった視点を持たなくてはならない時代となってきました。

自社の業績動向を予想するには欠かせない数値(KPI:キー・パフォーマンス・インデックス。不動産賃貸事業における稼働率など)というものが企業にはあるわけですが、こうした数値の予想を開示するなどということももっと進むかもしれません。
また、定量的な情報だけでなく定性情報ももっと充実したものとなっていくことも予想されます。


こうした時代は「信頼できる企業」、「応援すべき企業」を探している「応援投資家」にとっては、多くの企業を比較検討する機会がますます増えるという意味で、大きなフォローの風が吹いていると言えるのではないかと思います。


ただあくまでもそうした情報を収集・活用し、応援できる企業であるかを判断するのは応援投資家自身です。
「IR新時代」は投資家のスキルアップが要求される時代であるのです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 13:41 | コメント (0)

2012年03月28日

応援投資家は「社史」を読もう。

個人投資家の皆さんが企業研究をする際には、当然ですが様々な情報源にアクセスしていらっしゃるでしょう。


会社四季報、会社情報、アナリストレポートといった外部機関が作成する出版物なども良くご利用になるでしょうが、その企業をより深く研究し、応援したい企業かどうかを判断するには、やはり企業自らが作成したツールが重要です。


財務分析を行うのであれば、決算短信、有価証券報告書、FactSheet(過去数年分にわたる主要な財務数値や財務指標などを掲載したもの)が不可欠です。


また、会社のビジネスモデルや同業他社に対する競争優位性などを知ろうと思えば、アニュアルレポート、株主通信といった定性情報に力を入れた情報源が不可欠ですし、経営者の人となりを完全でないにしろ少しでも知るためには、こうしたツールに加えて、「説明会動画」も利用すべきでしょう。


また、最近では企業によっては、マンガによる会社紹介に取り組んでいたりと、投資家が「会社を知る」ためのツールは大変豊富です。


そうしたツールに加えて、私は皆さんに「社史」を読んでみることを是非お勧めしたいと思います。


もちろん全ての企業が社史を作成しているわけではなく、特にまだ設立10年といったような若い企業の場合は社史自体を制作していないでしょう。


30年史、50年史といった社史を制作している企業の場合でも公開していないケースもあるので、その場合は仕方ないのですが、興味を持った企業については入手可能な限り読んでみて頂きたいと思います。

私が皆さんに社史を読むことをお勧めするのは以下のような理由からです。


ヾ覿藩念の背景が理解しやすい

多くの企業は行動の基本軸ともいうべき企業理念を謳っており、応援投資には不可欠なポイントですが、社史を読むとその理念が創業者の強い想い等、どういう背景や経緯で生まれてきたのかが大変理解しやすい場合があります。

また単なる美辞麗句ではなく企業の歴史に基づき、実体が伴っていることがわかると、「おっ!」と思います。


企業の強みや特徴が本物だと理解できる。

先日ある企業のブリッジレポート(当社が作成しているIRレポート。投資判断は提供しませんが、企業の事業内容や特徴・強み、会社が考える今後の戦略などをわかりやすくお伝えするものです。)制作のために社史をお借りして読みました。

その企業は強力な直販体制を構築していることが同業他社に対する大きな競争優位性になっているのですが、「実は、代理店販売ではなく直販体制を選択せざるを得なかった。」という経緯や、「直販体制を構築するのに大変な苦労はしたものの、結果として現在に至っては、他社には直販体制を構築することが極めて難しい」という状況を理解すると、この企業の強さは相当なものだと「納得」できました。


4覿班活のポイントを探り、応援すべき企業の発掘につなげる。

昔の輝きを現在は失ってしまっている企業もありますが、例えば社史を読んで、創業者の想いや理念を知って共感し、それらを再び甦らせることのできるような経営者の登場や製品のリリースなどがあれば、今後への期待を含めて応援すべき企業リストに上がってくることもあるでしょう。

このように、企業のことをより深く知るための大変面白い読み物と捉えてみることができるのです。(ただし、実際には企業によってはあまり面白くない内容のものもあります。)

さて、社史を探す方法ですが、たとえば、パナソニック、シャープ、HONDA、ソニーのようにHPに掲載している企業もありますので、まずはこまめに探してみましょう。


ソニーの社史はかなりのボリュームで、1946年(昭和21年)1月にソニーの創業者のひとり、井深 大氏が起草した「東京通信工業株式会社設立趣意書」を読むことができます。これを読むと素直に「ソニー頑張れ!」と思います。


また、国立国会図書館のHPでは、同図書館における社史の検索方法や、社史に関する主要なインターネット情報源なども列挙されており、大変便利です。
http://rnavi.ndl.go.jp/research_guide/entry/theme-honbun-102077.php


社史はあくまでも企業の過去の話であり、過去の延長線上に未来があるわけではないので将来を見通す材料とはならないかもしれません。

しかし、過去があってこそ企業の現在もあるわけで、応援投資家にとって、企業を理解すること、特に応援すべき企業を発掘するためには「社史」は大変貴重な企業情報の宝庫と言えるでしょう。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 10:15 | コメント (0)

2012年03月16日

「3.11」を改めて考える。

昨年の震災後の3月25日このBlogで、今回の大震災を株主の立場から何ができるか?何をすべきか?を考えてみようということで、以下のような趣旨の文章を書きました。

・住宅の確保、収入の補償、生活インフラの整備といった復興、再生に向けての極めてベーシックな部分をスピーディーに進めるには、国が担っていくのが最善。


・しかし、今回の震災で浮き彫りにされた課題を解決し、日本の良さを更に伸ばす「日本の本当の再生」のためには、やはり「企業」の持つ力に負うところが非常に大きい。


・緊急のテーマは以下の3つ


仝業依存度を無理なく下げていくための「新エネルギー開発のスピードアップ」


今回の事故で信頼が地に落ちた感のある東京電力だが、電力会社の役割が極めて重要であることは不変であり、スマートグリッドの実現などに積極的に対応することで国民からの信用を取り戻すことを望む。


「地方における雇用の創出」は東北地方に限らない日本全体の問題であり、「企業」の成長こそが最大のキーワード。「企業」ならではの柔軟な発想やニーズの発見、取り込みによって成長することで雇用が生まれ、地方経済が活性化することが望まれる。


・日本再生を実現するためには「企業」の役割が大であると同時に、「応援投資」の視点を持った株主のサポートの存在が不可欠。

・日本が再生することは、現在の自分だけではなく子供や孫の世代にとってこそより重要な課題であることを認識し、再生を担う「企業」を応援するという視点を是非持ってもらいたい。

あれからあっという間に1年が経ちましたが、この中で震災前と何が変わり、何が変わっていないでしょうか?

<変わったこと>

再生エネルギーに対する注目、関心が飛躍的に上がりました。

再生エネルギーのコスト高という課題は明白ですが、実用化に向けて企業は必死の努力をしています。

7月に施行される再生可能エネルギーの全量買い取り制度については、先行して導入された欧州では国民負担の観点から見直しが入るなど、実際の運用にあたっては困難も予見されます。

しかし、再生エネルギーの普及は、安心できる暮らしのために、また事故が起きない場合でも原子力発電所が抱えている宿命的な課題(使用済核燃料処分の問題など)を次世代へ先送りしないためにも、必須のテーマであり、それに取り組んでいる企業の姿勢は「応援投資」の観点から、高く評価すべきだと思います。


また東北地方で雇用を創出する企業の動きも盛んになっているようです。


例えば、居酒屋チェーンを展開するワタミグループは、高齢者や子育て家庭向けに始めた食事の宅配サービス「ワタミタクショク」が運営するコールセンターを岩手県陸前高田市に開設したということです。

企業ですから当然、売上、利益を上げることが優先されるわけで、決して雇用創出のためだけではないことは確かでしょうが、最近、「企業の価値とは売上や利益だけで測るものではない。」という考え方が徐々に広がってきています。

こうした考え方は、今回の震災という大きな困難を機により広まっていく可能性が高いと思います。これも震災を機に変わったことの一つですね。(この点については、後日改めてご紹介したいと思います。)

<変わっていないこと>

一方で、これだけの事故が起き、震災前から存在していた「電力」に関する不合理な仕組みが、現在の状況にはマッチしていないことが明らかになったのにも関わらず、様々な意見や提言は目にするものの、実際的な改革の動きは全くと言っては言い過ぎかもしれませんが、進んでいないようです。


2012年3月5日には、東京電力の株主が新旧役員27人を相手取り総額5兆5045億円の損害賠償を同社に支払うよう求める株主代表訴訟を東京地裁に起こしました。
原告代理人によると、国内の民事訴訟として過去最高の請求額だそうです。


6月には再び株主総会が開かれますが、東京電力は変われるのでしょうか?


2月14日の日銀金融政策決定会合の決定を受けて円高の急速な修正が進んでいます。

また、2012年度の企業収益に関して、2011年度の大幅減益から一転して大幅増益になるとの見通しも大手証券会社から発表され、株式市場はややバブル的とも言えるくらい活況を呈しています。

株価が上昇すれば世の中も明るくなり、元気も出てきます。

それはそれで結構なことですが、「応援投資家」は、バブルに浸りすぎることなく、今回の悲惨な出来事をただ大変なことだったで終わらせずに、自分を、日本を見直す貴重な機会とするためにも、「企業とタッグを組んで東北だけでなく日本の再生を担うんだ!!」という心をこれからも変わらずに持ち続けて欲しいと思います。


カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:32 | コメント (0)

2012年03月05日

「AIJ」問題を他山の石とする。

「明日は何が起きるかわからない」ということは、株式市場に限ったことではありませんが、「AIJ投資顧問」の資産消失問題は本当にびっくりです。

現時点ではどういう経緯で2000億円が200億円になってしまったか不明で、「損失」ではなく、「消失」と表現せざるを得ないということも、この問題の異常性を表しています。


 新聞報道によると、94の企業年金や厚生年金基金などが同社に資産運用を委託していたということですが、いくつかの有名企業の企業型年金もあるものの、大半は地方の中小企業が同業者によって構成・運営している「総合型」と呼ばれる厚生年金基金です。

 年金基金という組織は、定義上は資産運用に関する経験や知識も深く、実際の運用を外部に委託するにあたっても、しっかりと委託内容を理解したうえで管理しているはずなのですが、実際には、運用の現場にいる責任者がそれほど深い知識を持っているわけでもなく運営しているのが実態というところが多いようです。

 長引く日本株式市場の低迷で、達成しなければならない運用利回りを得ることができず、藁(わら)をもすがる気持ちから、同社の虚偽(?)の運用実績にコロッと騙されてしまったということなのでしょう。

 また、同社が営業するにあたって顧客リストを見せれば「あんな大企業の年金も委託しているなら」と信じてしまった基金担当者もたくさんいたことでしょう。
 大変不幸な話で、年金加入者はもちろんのこと、基金の担当者の方々の今後を思うと、何とも言いようのない気持ちになってしまいます。


 ただ、こうした事件は不思議なことにある程度の周期で、忘れたころに発生するようです。
 そこで今回の事件を他山の石として、個人投資家の皆さんが考えるべき点を改めて挙げておきたいと思います。


1.自分で理解できるものにのみ投資する

 AIJ投資顧問は、2008年のリーマンショック後でも安定して8%前後の高い利回りを上げていたとの運用実績を顧客に見せて営業していたそうです。
 あれだけの相場変動を経験しても安定して高いリターンを上げていたということは、「真似のできない神業」を持っていたのかもしれませんが、仮にも運用の専門家であれば不自然であると気づくべきだったでしょう。
 運用手法について当然説明があったはずですが、到底理解できるものではなかったのではないかと思います。


 理解できないものに大切な資産を投じるのは、結果がどうであれ絶対にすべきではありません。


2.自称「資産運用のプロ」に要注意

 同社の社長は大手証券会社の出身で、社員も多くは証券会社出身者だったようです。このことも各基金が同社を信じた一つの要因だったのではないかと思います。


 私が日頃感じていることなのですが、世の中の多くの方は「証券会社の社員や出身者は皆おしなべて、資産運用のプロフェッショナルだ」と思い込みすぎているような気がします。


 もちろん長い間の訓練や研鑽(けんさん)によって企業を見る目や分析する力、今後の経済や市場動向、社会の流れについての洞察力、それに関する知識や経験が豊富であることは確かだと思いますが、実際の運用、それも一時的ではなく中長期的にある程度の上下はあっても安定して利回りをあげていく能力は、また別のものなのです。

 もちろん、証券会社出身で高い運用能力を持って第一線で活躍されている方も沢山いらっしゃいますが、割合でいうと世の中の皆さんが思っているほど多くはないのではないでしょうか。「資産運用のプロに任せなさい」といった誘い文句に、安易には乗らない用心さも必要です。


 ちなみに私の場合は、企業を分析したり、これからの世の中を想像してそこに貢献する企業はどんな会社だろうとかを考えることは好きですし、得意だとは思います。しかし、他人様の大切な資産を預かって運用するほどの度胸は残念ながら持っていません。


3.ハイリスク・ハイリターンの原則


 1.とも関係しますが、高いリターンのみに気を取られてはいけません。ハイリターンはあくまでもハイリスクの裏返しであり、高いリスクを取ったご褒美(ほうび)に得ることができたものです。
 今回の事件に限らず、ロー(もしくはゼロ)リスク・ハイリターンという、いわゆる「美味(おい)しい話」は世の中にはないということを改めて肝に銘じるべきです。

 高齢化社会の到来、年金制度に対する不安などから自分で自分の資産を運用する必要性はますます拡大していきます。
 より高い運用利回りを上げたいというニーズは理解できますが、上手な資産運用のためにはある程度の勉強とともに、ここに挙げたような原理・原則といったものをいつも念頭に置くことが必要だと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 12:22 | コメント (0)

2012年01月24日

「壬辰」年に思うこと。

今年初めてのコラムとなります。今年もよろしくお願いいたします。

さて、2012年は「辰」年ですが、十干(じっかん)(甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸)と十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)を組み合わせた

六十干支(かんし)の中で、5つある辰年のうちの「壬辰(みずのえたつ)」年となります。

 この「壬辰」は、別名を「龍背(りゅうはい)」といい、龍の背に乗って飛ぶ、つまり大いなる上昇気流に乗る年であると古代中国の時代から言われているそうです。


 どうみても暗い話題ばかりが目につく状況ですが、果たして大きく飛躍する年となるのでしょうか?


 ちなみに、今から60年前の「壬辰」1952年は、以下のような出来事があった年でした。


・3月4日 十勝沖地震発生。津波などにより死者28名、行方不明5名、家屋流出等被害8973棟。(マグニチュード8.2)

・4月28日 サンフランシスコ講和条約発効(調印は前年1951年9月)

・5月1日 血のメーデー事件

・7月19日 ヘルシンキオリンピック開幕。ベルリンオリンピック以来16年ぶりに夏季オリンピック参加。

・8月13日 IMF(国際通貨基金)加盟


 経済状況で見ると、1950年に勃発した朝鮮戦争による特需で国民総生産、賃金ともに第二次世界大戦前の水準を回復した年です。前年1951年には鉱工業生産、個人消費、民間投資が戦前並みに回復しています。


 また日経平均株価の動きを見てみると、1949〜50年は年足陰線(年初の株価よりも年末の株価の方が安い)であったのが一転して、1951〜52年は大幅な陽線となりました。

年間上昇率を見ると、1951年の62.6%増のあと、1952年は116.1%増と1年間で平均株価は2倍以上に急伸しています。


 1945年の敗戦の混乱からわずか6〜7年で、占領からの独立を果たして国際社会の一員に復帰し、本格的な高度経済成長時代に向かっていくという、まさに「龍の背に乗った」年だったと言えそうです。


 ただ、前年1951年には三原山が噴火しており、大きな自然災害や、戦後日本の行方について様々な意見の衝突も目についた時代でした。

 それでは、今年2012年「壬辰」はどういう年になるのでしょうか? さすがに1952年と同じような上昇局面を期待するというのはちょっと楽観的に過ぎるかもしれません。それでも「日本も捨てたものではない」と感じられることが、意外に多いのではと思います。


 先日、ある東証1部上場企業の社長さんとお話しする機会がありました。
その会社は海外売上高比率が約70%で、グローバル市場で勝負しています。

ドル安、ユーロ安のために確かに厳しい環境ではありますが、その社長は、新興国市場開拓や世界シェアのさらなる拡大など、大変ポジティブに今後の展望を話されました。


 社長がお元気な最大の理由が、「企業の内部力が着実に向上している」ということでした。


 どういうことかというと、リーマンショック以前から常に市場ニーズにマッチした製品開発とそれを可能にする要素技術の開拓とブラッシュアップに努めてきたそうですが、リーマンショック以降、そうした体制をさらに強化してきたところ、1昨年あたりから、全売上高に占める新製品の比率が着実に上昇してきたそうです。

 また、リーマンショック以前は高価格のハイエンド製品を追求する傾向が強かったのですが、新興国向けの低価格製品の開発も現在順調に進んでいるということです。


 こうした数値面の向上と同じくらい社長が喜んでいるのが、社員の意識・行動が変わってきたということです。

 社風としては元々ガツガツしたところのない、どちらかといえばおっとり風の会社なのですが、そうした部分は特に変わらないながらも、開発、生産、営業、管理すべてのセクションで、責任感を持ち、様々な工夫を提案するなど、若手社員の成長が感じられるということでした。


 過去のピーク時の売り上げ、利益にはまだ到達せず、「もちろんまだまだ満足、安心できる状況ではないものの、リーマンショックという厳しい局面を乗り越えてきたことで企業としての地力が着実にアップしている」と話されていました。

これからも今まで以上に若手に活躍する舞台を与える考えだそうです。


 こうしたケースは決して少数ではありません。新聞、雑誌、インターネットを見ていると大企業ではなくても、「頑張っているな。面白いな」という動きを見せている企業はたくさんあります。


 日本人すべてが「龍の背中に乗って上昇」することは難しいかもしれません。また何もせず他力本願で龍の背に乗れることはないと思います。


 そうではなく、そうした「明るい未来を創(つく)るためにチャレンジしている企業」と「それを応援する投資家」が固く手を結び、自らの力で上昇していくという考え方、姿勢が大事ではないでしょうか?

 「応援投資」こそが日本の明るい未来を切り拓(ひら)いていくということを、今年も言い続けたいと思っています。

 余談ですが、「壬辰」の日本を率いる1957年5月20日生まれの野田佳彦首相。生まれ年は酉年ですが、その人の本質を表すといわれる生まれた日の干支は「壬辰」です。様々な論点で厳しく非難されている同首相ですが、意外に龍の背に乗って一気に昇る、なんていうことがあるのでしょうか?

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 10:10 | コメント (0)

2011年12月27日

元気な投資家が元気な企業を応援しよう!

世界で最も有名な投資家の一人である、ウォーレン・バフェット氏が、先月11月20日に初来日しました。


 

 同氏経営の投資会社「バークシャー・ハサウェイ」の傘下企業が2008年に買収した超硬工具メーカー「タンガロイ」(福島県いわき市)の新工場完成記念式典に出席するためです。式典は3月22日に開催される予定でしたが、東日本震災により延期となっていました。 


 長期投資家として知られる同氏は、事業の内容が自分にとって理解できない分野には手を出さない、という投資方針で知られています。

 2000年初頭のITバブル時、ネット関連企業に投資しなかったことで有名です。また、経営能力の高さ、高いブランド力、強い価格決定力、社会や消費者にとってなくてはならない存在であることなどを重視している、といわれています。


 そうした投資哲学・方針を持つ同氏が、初めて来日したことは大きなニュースになりました。
それ以上に、今までは日本企業に大きな関心を持っていないといわれていた同氏が日本株に意欲的な姿勢を明確にしたことも大変注目されました。


 読者の皆さんも、新聞や雑誌、サイトなどで「日本買い宣言」「日本への投資意欲変わらない」といった見出しをご覧になったかと思います。
このような報道がなされる背景には、上記のような条件に見合う日本企業が彼の投資リストに上っているということなのでしょう。


 2011年9月末で385,494百万ドル(約30兆円)の総資産、34,776百万ドル(約3兆円)の現金および現金同等物を保有するバークシャー・ハサウェイは、さまざまな企業へ投資しています。その中の1社がプレスリリース配信サービスの世界的なトップ企業「ビジネスワイヤ」です。


 実は、この「ビジネスワイヤ」の日本法人である「ビジネスワイヤ・ジャパン」の代表、小林明央さんとは仕事上で大変親しくさせていただいております。
小林さんに、バフェット氏が来日した時の興味深いお話をいろいろと聞かせていただきました。以下、一部ご紹介したいと思います。


 福島での記念式典の後、東京に戻った同氏と車で移動中、皇居のお堀端を走っていた時のことです
。バフェット氏は堀を眺めながら、強い“お堀”を持っている企業は魅力的であるという話をしたそうです。


 バフェット氏が言う“お堀”とは、企業が長期的に安定した収益を上げる源泉で、他社にはない強みや差別化要因であるということ。この堀が深くしっかりしている企業、強い競争力を保有する企業に投資することが大切だと言っているのだと思われます。


 また、東京・市ヶ谷にあるビジネスワイヤ・ジャパンのオフィスでのミーティングで、リーマン・ショックや震災の影響を受け、中国や韓国、台湾といったアジア諸国に比べいかにも元気のない日本経済・企業をバフェット氏がどう見ているかを尋ねたそうです。

バフェット氏は、30年、50年前と比べた日本のさまざまな産業技術が発展した背景について語りました。

 続けて、現代の日本人に比べて、そうした技術の発展に寄与した昔の日本人の方がより賢かったり、より勤勉だったりするわけではなく、日本人の本質は何も変わっていない。だから、リーマン・ショックや震災による不況を乗り越えていくだろうことは、想像に難くないということを述べたそうです。


 この言葉、現在の私たち日本人が良く考えるべき、非常に意味のある言葉だと思います。


 確かに現在の日本は、解決が容易でないと思われるさまざまな問題を抱えています。

 しかし、長い日本の歴史の中、何の問題のなかった時代などなかったはずです。その時その時で、その時代を生きていた日本人は悩みながらも知恵を絞り、課題解決に向けて行動してきました。現在直面する問題も必ず解決する道筋が見つかるはずで、困難でもそれに向かっていかなければなりません。


 また、ややもすると日本全体に閉塞ムードが蔓延まんえんしがちですが、決してそんなことはありません。
独創性や並々ならぬ気概をもって挑戦、前進している人々も企業もたくさんあります。

 
 そういう意味で、バフェット氏は「日本人のみなさん、もっと自信を持って胸を張って生きてください」と励ましているように思えます。


 そこでこのバフェット氏の言葉を日本へのエールと受け止めて、今年最後の今回のコラムで、応援投資を実践する個人投資家が目指すべき行動指針を以下に提案したいと思います。

 「まず自分自身、一人の日本人として、(多少はカラ元気でも構わないので、)もう少し自信を持って前を向く」

「同時に日本を元気にする、共感できる企業を探し出して『応援』する」


 1年間ありがとうございました。来年もよろしくお願いいたします。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 11:32 | コメント (0)

2011年12月16日

企業の採用活動から投資のヒントを発見する。

12月1日より、2013年4月入社を目指す現在大学3年生の就職活動が正式にスタートしました。

経団連が1997年に策定した「採用選考に関する企業の倫理憲章」が、2011年3月に採用活動の早期化・長期化の是正に向けて大幅な見直しがなされた初年度となり、昨年までは10月だった広報活動の開始時期を12月1日以降となりました。



ただそれでも、私が就職活動をした30年程前は、4回生の初夏くらいからOBとお会いしたりして、9月頃内定という流れでしたから、12月スタートでも十分早いですよね。

時代も環境も違うし、少子化が進む中でより優秀な学生を採用するには、どんどん早期化が進むのもやむを得ないのでしょうが、今の学生さんはその点では少し可哀想かなと思います。


さて、現在正社員8名という小さな所帯の当社も新卒採用に取り組み始めました。


今までは経験者のみの採用でやってきましたが、創業11年目に入り、さらに10年後、20年後にも創業の理念やビジョンをより高いレベルで掲げつつ、より大きな舞台で活躍できる会社にしたいと思い、そのためにはある意味で真っ白な若い戦力が不可欠だと考えたのです。

新卒採用活動のスタートは、学生を対象とした説明会の開催です。
まず、学生さんに「IR活動や資本市場の重要性」を理解してもらわないと当社が何をやっているのかは到底理解してもらえませんから、なるべくわかりやすく「当社を取り巻く環境」を説明しなければなりません。


それに続いて、今度は当社がどういう会社かを知ってもらうのですが、通り一遍の説明では意味が無く、学生が魅力を感じて「この会社で働いてみたい!」と思ってもらわなければなりません。


実はこのシナリオというかコーポレートストーリー作りはまさにIR活動の基盤そのものです。
自社の説明資料作りを行ってみて、採用活動とIR活動は極めて似ているものだと改めて強く感じた次第です。

企業には様々なステークホルダーとよばれる関係者が存在します。

・社員
・株主
・顧客
・取引先
・一般の人々


そしてこれらのステークホルダーを自社のファンとすることが、企業価値を高める最も重要な道であることは言うまでもありません。


・自社の製品やサービスに自信と愛着を持ち、自らの成長が企業の成長に結びつくと考える働き者の社員

・業績や配当に強い関心をもちながらも、経営者の理念やビジョンに共感し中長期の視点で企業を応援する株主

・自社の製品やサービスに対しこの上ない愛着を持ってくれる顧客や消費者

・製品開発やサービス構築に一緒になって前向きに協力してくれる仕入先、取引先

・自社の事業活動とは直接関係を持っていないものの、地域に対する貢献や、社会的存在意義を評価し応援してくれる一般の人々


こうしたステークホルダーが多ければ多いほど、その企業が将来に向かって成長し、企業価値が向上するだろうことは、皆さんも簡単に想像できるものと思います。


ただ、企業が彼らと対話する際の「力点」は、対象となるステークホルダーごとの興味・関心によって異なります。


採用の場であれば、新卒の大学生は仕事のやりがいとか、どういう教育制度の中で自分が成長できるかを知りたいでしょう。もちろん、給与水準も重要な要素でしょう。


IRであれば、今来期もしくは2−3年後の売上、利益、配当がどうなっているかに強い関心があるでしょう。


顧客ならば、製品やサービスが他社に比べてどれだけ優れているのか?満足できるものなのかを比較したいでしょう。


仕入先や取引先なら、安心して取引できるか?将来的に取引が大きくなるのか?を是非とも知りたいでしょう。


一般の人々なら、地域の活性化にどう貢献しようとしているのか?環境問題や雇用拡大など企業の社会的責任(CSR)への取り組みが聞きたいでしょう。


このように、ステークホルダーの関心の多様性に対応して、企業が自社のことを理解してもらうための説明における「力点」は様々ですが、共通し、かつ最も重要な要素は
「共感してもらえるか?」
ステークホルダーの側から言えば「共感できる会社なのか?」ということではないでしょうか?


「企業のミッション・ビジョンや理念」

「現在どういう会社であり、これからどんな会社になっていくか?」

「社会的存在意義」

「社員になると、株主になると、ステークホルダーになると自分は何を得ることが出来るのか?何に満足することが出来るのか?」


まとめて言い換えれば、

「会社のあり方に共感した。この会社の一員になってみたい。」

と思ってもらうという点で、採用活動もIR活動もCSR活動もCS(顧客満足度)向上活動も根っこは同一ということです。


そういう意味では、新卒採用のために企業が発信する情報や、就職活動用のWebsiteなどには、株式投資もための大きなヒントが沢山隠されていると思います。


最近は文章だけでなく、動画を使って実際に働いている先輩社員の声を聞けるようにしているHPも多数見られます。

そうしたHPを見て、「社員がイキイキと働いている会社だな。」と感じれば、将来の成長が期待できるかもしれないでしょうし、それ以上に、そうした社員を創り出す採用制度や社員教育を行っている経営者のビジョンや経営姿勢も間違いなく評価に値するものと言えるでしょう。


また、読者の皆さんの中には、現在まさにお子さんが就職活動真っ最中という方も多数いらっしゃるかと思います。


内定率が6割以下という厳しい就活戦線でのお子さんの奮闘を見守り、応援しながら、面接を受けた会社の役職員や会社の雰囲気がどうだったかなどを聞いてみるのも、「応援投資」のための企業研究の絶好のヒントとなるかもしれません。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 17:37 | コメント (0)

2011年11月25日

「中期経営計画」について

少し前になりますが、企業と投資家の意識の違いというかギャップについて考えさせられるケースが2つありました。

一つは、ある企業に伺って、IR活動や業績、事業動向、株価などについていろいろとお話を伺っていた際のことです。

好調な業績を背景に昨年以来株価は順調に上昇し、現在も日経平均が年初来安値近辺まで調整している中でも、同社の株価は高値圏で推移しています。

また事業内容も、比較的高い成長が見込まれているマーケットを対象にしており、今・来期も増益が予想されています。


その担当者の方が、「社内的にはもっと高い株価でもいいという見解なのですが、、、」とおっしゃいます。
確かにPERやPBRを見てもさほど割高感は感じませんし、この増益基調がまだ当分継続するなら割安感が強まっていくことも予想されます。


ただ問題は、この会社が決算説明会を開催していないことです。
もちろん、規則に従った適時開示は適切に行っていますが、自ら投資家に一歩歩み寄って理解してもらおうというようには見え難いのです。


自社に対する理解を進め、株式市場での評価を高めたいと考えるならば、企業側から踏み出す必要があるのですが、この企業に限らず、そうした行動が不十分であるにもかかわらず「投資家が理解してくれない。」と嘆いている企業はまだまだ沢山あります。

もう一つは弊社の主催する個人投資家向け説明会でのことです。


参加した投資家の方が質疑応答のコーナーで、「3年から5年程度の中期計画は発表していないのですか?」という質問をされました。


質問に対する回答は、「社内では当然目標を設定していますが、市場動向の変化が早く、ミスリードする恐れがあるので公表はしておりません。」というものでした。


それに対してその投資家の方は、「そのくらい先の姿を会社に示してくれないと我々投資家は投資のしようがないですよね。」と不満そうでした。


説明会後にその方と立ち話をしたのですが、「いろいろ面白い話をしてくれるのはありがたいし、自信を持ってやっているなら中期経営計画は発表すべきだ。発表しないから逆に本当は自信が無いのではないかと思ってしまう。」とおっしゃっていました

当たり前のことですが、企業の本当のことは、やはり企業でないとわかりません。


理念やビジョン、経営戦略といったメッセージを理解することはもちろん重要で、将来の姿を共有、共感してもらうことが理解の第一です。
しかし、具体的に中期的に売上や利益がどうなっていくか?(+どうしたいか?)は、やはり企業自らが示すしかないでしょう。

インターネットを通じた情報収集力という点では機関投資家やアナリストと個人投資家の間の格差は殆ど無くなったといっていいかもしれません。
しかし、直接経営者に取材したり、そうして集めた情報を分析して自ら2−3年後のEPS(一株あたり利益)を算出することは多くの個人投資家には難しいのが現状です。

そのために証券アナリストという役割があり、彼らが投資家に代わって企業分析や将来の業績予想を行うわけですが、上場企業全てをアナリストがフォローしているわけではありません。

上場企業の中には、例えば楽天株式会社のように、今期の業績予想でさえも発表していないケースもあります。

「当社及び当社グループ各社の事業には、事業環境の変化が激しい国内外のインターネット関連事業のほか、金融市場の動向等により業績が左右される証券業をはじめとする各種金融事業が含まれており、業績の予想を行うことが困難であるため、業績予想については記載しておりません。」というのがその理由です。


ただ、楽天の場合は既に認知度が十分高いことや、同社HPでも記載があるように「アナリストカバレッジ(どういう証券アナリストが同社を継続的にウォッチし、レポートを定期的に作成しているか?)」では、国内外の大手から中堅証券会社14名のアナリストが同社を継続的にフォローしています。

しかし楽天のようなケースは稀で、認知知度がそれほど高くない企業についてはアナリストがフォローしていないケースが多く、やはり投資家、特に個人投資家からの理解を得ようと思えば、会社側からある程度の道筋や方向性を、ある程度の具体性(数字)をもって示す必要は、やはりあると思います。

もちろん、この変化の激しく厳しい経営環境下で2−3年後の業績予想をするということは大変難しい作業ではあり、そのためには社内担当スタッフの資質とかクオリティという問題も出てきます。

また、中期的な数値を公表して、もし達成できなかったら投資家の信頼を失ってしまうという企業側の懸念も理解できます。

しかしそれでも、そうしたより具体的な姿を打ち出せる企業と打ち出せない企業とではまずその時点でと投資家の理解という点で差がつくでしょうし、もしその数値を達成することができたら、その企業は大きなアドバンテージを得ることとなるでしょう。(発表して達成できなかったケースよりも、発表しない方が傷が浅いと考える企業の方が多いようですが、、、、)

もちろん根拠の無い、投資家にアピールしたいがための中期計画は絶対的に不必要ですが、投資家に理解してもらいたいと真剣に考えるのであれば、真剣に中期計画を示す必要があるのではないかと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 10:10 | コメント (0)

2011年11月11日

ネットキャッシュ>時価総額

前回のコラムで「オリンパスの行方はどうなるでしょう?」と書きましたが、1000億円を超す損失を、「飛ばし」という手法で隠していたという、とんでもない方向へ行ってしまいました。

また大手証券会社も関与していたとの報道もあり、日本企業のガバナンスに対する疑念にとどまらず、監査法人、証券会社、銀行なども含めた日本の株式市場そのものに対する信用問題にも繋がりかねない事件に発展してしまうかもしれません。


一方で、過去の様々な粉飾や虚偽記載事件を振り返ると相場全体への影響は限定的だと言う見方もあるようですが、今回はオリンパスという日本を代表する医療分野での世界的企業だけに、影響は大きいと見なければいけないように思います。


なにはさておき、株式市場は不透明を一番嫌いますから、大きなショックを予期しておかなければならないにせよ、真実が明らかにされることが、「あくぬけ」なり「信頼回復」に繋がる第一歩と考えるべきでしょう。

さて、話題を変えて、今回も「割安株の探し方」について、また一つの切り口をご紹介したいと思います。


今回は「現預金>有利子負債」で「現預金−有利子負債」より時価総額が小さい会社をスクリーニングしてみます。


「現預金−有利子負債」がプラスの状態を「ネットキャッシュ」と呼びます。


有利子負債を全額返済(銀行への借入の返済や社債の償還)してもまだ現預金が手元に残っているということは、その時点では安全性が極めて高いということです。


そして、このネットキャッシュが時価総額よりも大きいということがどういうことかといえば、銀行から時価総額と同額の借入を行い、株式市場でその企業を買収し、企業の有利子負債を返済し、残った現預金で買収資金のための借入を返済しても、現金が手元に残る状態を意味します。


つまり、株式市場で極端に割安と評価されているわけです。

例えば、こういう企業があったとしたら、ネットキャッシュ300億円から、100億円の借入を返済しても200億円が手元にのこるということです。

現預金:500億円
有利子負債:200億円
ネットキャッシュ:A−B=300億円
時価総額:100億円
借入:100億円


スクリーニングの結果が以下のリストです。
「ネットキャッシュ−時価総額」の大きい順に並べました。また参考までに今期の予想営業増益率も併記しました。
(株価および営業増益率以外の項目は、単位100万円)


今期の業績は減益の企業のほうが圧倒的に多数ですが、株価は今期の業績を既に織り込んでいる可能性もあります。

もちろん来期以降の業績動向を分析する必要がありますが、なかなか面白そうな企業も見受けられます。


相場に振り回されずに「割安株」を黙って保有しておくというのも個人投資家だからできる投資手法です。
是非参考にしてみてください。

ただし、応援投資の観点は忘れずに。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:34 | コメント (0)

2011年10月27日

改めてガバナンスを考える。

オリンパスの行方はどうなるのでしょうか?

今年4月1日に社長に就任し、6月の株主総会で取締役に選任され、代表取締役・社長執行役員に就任したマイケル・ウッドフォード氏の解職が発表されたのが10月14日。


解職に伴う前社長のコメントを受け、同社株は13日終値2,482円から、26日終値1,099円まで、10日あまりの間に約56%の急落となりました。(ザラ場安値は24日の1,012円)
3月の原発事故発生時の東京電力の下げ方には及ばないものの、凄まじい下落ぶりです。


同社が過去実施したM&Aに際しての不適切な買収額の評価、M&A実施に関する実態の不明朗なFA(フィナンシャルアドバイザー)に支払った法外な手数料等、ウッドフォード前社長の指摘した内容が真実であり、更にその巨額な資金がどこに流れたかが明るみに出たとしたら、株価はこんなものでは収まらないような気もします。


オリンパスといえば、「内視鏡の世界シェアでダントツのナンバーワンで、日本を代表する優良企業」というのが私を含めた殆どの人の理解、イメージだろうと思いますので、非常に不可解です。


ただ、今だからという感はありますが、オリンパスが今年3月にCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)のITX株式会社を完全子会社化し上場廃止としたこと、また、それ以前からITXの株式保有を増やしていったことに違和感を覚えたことも事実でした。


現代の企業経営においてM&Aは絶対不可欠といっても良い重要戦略ですから、様々なやり方があるとは思いますが、100%子会社では無かった時点とはいえ、ITXはオリンパスの本業とはほぼ無関係の事業領域にも積極的に投資を行っていたように記憶しています。
親会社オリンパスとのシナジーも謳っていましたが、どれだけ実現していたかはよくわかりません。


また、今回前社長が指摘したM&A案件にも医療部門とは無関係な企業が含まれていたようですし、世界的な優良企業という表の顔とは別の顔を持っていたということになるのでしょうか?


26日には菊川会長の代表権返上も発表され(取締役には留任)、有力経済雑誌には前社長のインタビュー掲載が始まりました。前会長は「不正は一切無い」とコメントしているようですが、これからどんな展開となるのか大変注目されます。


しかし、それ以上に私が大変気になるのは外国人投資家の日本企業に対する評価です。


これより少し前に発覚した大王製紙前会長による巨額借入事件とも合わせて、「やはり日本企業のコーポレート・ガバナンスは遅れている。」という外国人投資家の認識に繋がってしまいかねないことが危惧されます。


このコラムでも何度か取り上げた「ESG投資」。


世界の持続的成長を実現するために、E=環境、S=社会性、G=ガバナンスの3つに力を入れ、社会に貢献する企業に投資しようというコンセプトで、欧米で急速に広まっており、日本でも徐々に浸透しつつある投資スタイルです。


この中で、環境や社会性というのは日本でも以前から比較的すんなりと意識されてきたテーマですが、ガバナンスというポイントは今でこそ重要視されるようになってきたものの、なかなか実感として捉えにくいもののように感じます。


特に、今回のような事件が起きて始めて「ガバナンスが成立していなかった。」とか「やはりガバナンスが大事だ。」という意識が強まるという傾向があり、逆に言えば何も表ざたになるような問題が無いと簡単に緩みがちなのがガバナンスであるともいえるかもしれません。


周囲との調和とか穏便に事を運ぶことを重視する日本人独特の意識に起因するのかもしれませんが、外国人投資家からの信頼を失わないためにも、この点は「日本的経営」の負の部分と認識して、経営者も投資家も厳しく臨んでいく必要があると思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:51 | コメント (0)

2011年10月13日

PBR1倍割れが意味するもの。

日本の主要な株価指数のPBR(株価純資産倍率)は1倍を割っており、個別の上場企業でもおよそ2社に1社がPBR1倍割れという現状です。

 

PBRとは、時価総額(市場での企業評価額)を純資産(総資産から借入金や社債等負債を引いたもの)で割ったものです。


PBRが1倍を割っているという状況は、分母の純資産より分子の時価総額のほうが小さいわけですから、理論的には「その企業の株を株式市場で必要株数買い付けて、株主総会で解散を決議し、全ての資産を会計上の価格で売却し、借金を返済しても利益を得ることができる」という状況です。

企業というのは、寿命がある人間とは違って、永続性が前提です。しかしPBRが1倍割れしているということは、企業のオーナーである株主が「解散した方がメリットがある」もしくは「解散する(寿命が来た)可能性が高い」と判断していると言えます。
こう書くと極端に聞こえるかもしれませんし、一人一人の株主が実際にそう思っているわけではありませんが、理論的にはそうなります。


ではなぜ現在の日本の株式市場において、日本を代表する著名な大企業も含めた多くの企業がPBR1倍割れという、いわば異常な状況にあるのでしょうか?


もちろん、明らかに寿命が近いと見られる企業もありますが、実質無借金(手元にある現金より借金の方が少ない)の企業や、売上げも利益も着実に成長させることができている企業でさえも「解散したほうがまし」と評価されているのです。


考えられる要因はいくつかありますが、まずは投資家サイドの要因です。


企業(経営者)が考える現在および将来の姿やビジョンを、あくまでも外部者である投資家が完全に理解することは大変難しいと言わざるを得ません。

多くの企業はこの厳しい競争の時代に、全知全能を傾け、様々な戦略・施策を打ち出して生き残りを図っています。


しかし、不確実性の高い現代において、その施策がシナリオ通り実を結ぶかどうかについて、投資家も容易には確信を持てないことも理解できます。


また、そもそも、その企業の認知度が極めて低いために投資家に評価されるステージまで至っていないケースも、新興市場などではよく見受けられます。


ここに企業の実態と投資家の判断の間にギャップが生じて、決して倒産などしそうもない企業でもPBRが1倍を割るという、投資家の過度な低評価につながってしまうというわけです。


こうしたギャップを解消するために、企業にとってはIR活動が重要ですし、証券アナリストの役割もここにあるのです。

同時に企業サイドの要因も考えられます。


投資家が株式を購入するのは、ある期待を持つからです。
ここでは、話をわかりやすくするために、投資家は金銭的リターンのみを求めると仮定します。


株式投資と債券投資の大きな違いは、債券投資では、一般的には国債など安全性が高い債券であれば、満期まで保有すれば必ずある利回りで運用することができるのに対し、株式投資は利益が出るかもしれないし、損失となるかもしれず、債券のような確実性が一切無いことです。


例えば日本の新規発行の国債は現在0.99%の利回りとなっていますが、投資家は不確実性の高い株式に投資する場合は、当然ながらもっと高い利回りとなることを期待して投資します。


この株式の期待利回りは投資家が企業に「期待する」というものですが、逆に企業は株主から資金を調達するにあたってその利回りを「期待されている」ことになり、期待に応えた利回りで株主資本を運用していかなければなりません。


つまり「期待利回りは」、企業にとっては調達した株主資本に対する「資本コスト」でもあるのです。


株式による資金調達は、銀行などからの借入のような利息が無いことからコストがゼロだといわれたり、配当が株主資本に対するコストだといわれることが、ままあります。
しかし、これは大きな間違いです。
株主資本には借入や社債利息とは比較にならないほど高いコストがかかるのです。


では投資家はどれだけのリターンを期待していると考えればいいのでしょうか?


いろいろな考え方があるのですが、現在の不透明な投資環境では、年率8%が株式投資の期待利回りであるとします(株式の期待利回りは企業ごとに異なりますので、話を理解していただくための仮定と考えてください)。


つまり企業は8%以上のリターンを返さなければ投資家の期待に応えていないということになります。


PER(株価収益率)が一定の場合、株主は「配当利回り」プラス「内部成長率」である「総利回り」をリターンとして受け取ることができます。
内部成長率は、ROE(株主資本利益率)×(1−配当性向)で求められます。


そこで、総利回りを株式期待利回りと置きかえ、配当利回りを2%、配当性向を30%と置いてみると、ROE(株主資本利益率)は8.5%と算出されます(小数点第二位以下切り捨て)。


つまり、ROEが8.5%以上であれば株主の期待利回り8%に応えることができていますが、ROEが8.5%以下では期待に反していることになり、売上、利益を着実には伸ばしていても、もしくは赤字でなくてもそこそこの低い利益率で推移している企業は、結果的に株主の期待に応えているとは言い難く、これがPBR1倍割れにつながっているとも考えられます。


そこで四季報CD−ROMで今期予想ROEが8.5%以上である企業が何社あるのか調べてみました。

すると、全上場企業3,596社中1,039社(債務超過など除く)、東証1部で1,667社中485社という寂しい結果となりました。


あくまでもこの前提の下ではありますが、3割の企業しか投資家の期待に応えたリターンを返せていないということになってしまいました。


もちろん、PBR1倍割れの要因は、投資家、企業の要因だけではなく日本の株式市場の制度や、市場に関与する他のプレーヤーに起因するものもあると思います。

ただ残念ながら、前述のような「資本コスト」に対する理解が薄い経営者がいることも事実です。


リターンのみではなく、明るく豊かな未来を創る経営者の志を応援する「応援投資家」の立場からは、志を中長期で応援しつつ、同時に株主の期待に応える施策・アクションをとっているのか、も厳しく見ていく必要があります。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:54 | コメント (0)

2011年09月29日

リスクがとれる企業を応援しよう。

企業が成長するには様々な必須の要素がありますが、最も必要なのが投資であることは言を待ちません。
もちろん、限りなくゼロに近い少額の投資で成長できれば言うことはありませんが、そうしたビジネスモデルを構築できるケースは極めて稀であり、多くの企業は売上高、利益、キャッシュフローとのバランスを勘案しながら、「人」や「土地」、「設備」などへの投資を行い、将来の利益獲得に結び付けようとします。

日本株が他国の株式市場と比べて低迷が続いている背景の一つに、投資が不足しているということが指摘されます。


よく「株主の権利が強い欧米では、経営者は短期的な利益追求に走りがちなため、投資に消極的だ。」というようなことが言われますが、ある実証的な研究によればそうではなく、特にバブル期以降は反対に日本企業が他国に比べて投資に対して消極的な傾向が現れているということです。


電機業界において韓国や台湾の企業がグローバル市場で存在感を高めてきたのとは逆に、昔はお家芸であったはずの日本企業の低迷ぶりを見ると、感覚的によく理解できます。

そこで今回は、「投資」、中でも「研究開発投資」に焦点を当ててスクリーニングを行ってみました。


日本企業がグローバルな競争に勝ち抜くには、従来のように「高付加価値だけど高価格」な製品作りのみを追求して行っては完全に落ちこぼれます。


もちろん世界をリードしていく高度な製品開発も期待したいものですが、同時に成長著しい新興国市場を対象にした「それなりの品質でそれなりの価格」のモノづくりも視野に入れていかなければなりません。

そのためにも研究開発投資は日本企業にとってますます重要なものとなっていくのです。


ここでは、「今期予想も含め、3期連続で研究開発費を増額させている企業」をピックアップし、売上高研究開発比率上位30社をリスト化しています。

参考までに、今期営業増益率、今期予想PERも併記しました。

PERについては、一般的に低い方が割安と言えるのですが、投資を積極的に行っている企業の場合は、一時的に投資負担でPERが上昇し、利益回収期に入るとPERが低下するというパターンもあるので一概に現在のPERが高いから買えないとも断定できません。
個別で見ていく必要があることを留意してください。


リストを概観すると製薬メーカーが多いようですが、それ以外にも、
バルーンカテーテル等をその血管まで案内するPTCAガイドワイヤーが主力の(7747)朝日インテック
検体検査領域のグローバルトップ10に入る唯一のアジア企業(6869)シスメックス
など、日本だけでなく中国でも進展する高齢化を背景に成長が期待される医療機器メーカーが多く見られます。

また、スマートフォンなどデジタル家電向け機能性フィル大手の(7908)KIMOTO、有機EL材料のリーディングカンパニーである(4112)保土ヶ谷化学工業など、電子部品関連企業もリストアップされています。

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欧州債務問題の行方が気になるところであるのは確かですが、個々の企業の中にはそうした波を乗り越えて、もしくは目もくれず、大きく成長する機会を追求しようとしている企業もあります。


株価が安くなっている今だからこそ、勇気を持って挑戦を続ける企業を発掘し応援していくのが企業共に明るい未来を創り出す「応援投資家」の役割なのだと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 10:51 | コメント (0)

2011年09月05日

島田紳助の引退に思うこと

前回ご案内した当社主催のセミナー「日本再生と個人投資家の役割」を、8月25日に東京でも開催し、今回も約50名の個人投資家の皆様にお話させていただきました。

お話した内容はほぼ同一なので動画では配信していませんが、アンケートで頂いた感想をご紹介させていただきたいと思います。


・応援投資という考え方に賛同いたします。 (40代 男性)

・ESG投資というものに非常に興味を覚えました。 (30代 男性)

・少額ですが、投資で日本の経済を回したいと考えているので、興味深かった。今回お聞きした内容が一般に周知されてゆくことを望みます。 (30代 女性)

・参考になりました。 (40代 男性)

・この時期タイムリーで今後も続けて欲しい。(50代 男性)

・コンセプトは正しいと思う。 (60代 男性)

・良い内容であったが、少し時間が足りなかった。 (60代 無回答)

今回もうれしいご意見を頂くことができました。


こうした「応援投資」の賛同者が少しずつでも増えていって欲しいと思います。
またそのためにこのコラムやセミナーを通じて継続的に「応援投資の意味」を訴えかけ、皆さんと一緒に考えて行きたいと改めて思っています。


また、社会・環境・企業統治の面で優れた取り組みを進める企業を選別して投資をする「ESG投資」についても、引き続き紹介していきたいと考えています。


株主だけでなく、顧客、取引先、従業員、地域住民など全てのステークホルダーと良好な関係を構築しようと考える企業が元気になれば、それはとりもなおさず私達が暮らす社会が明るくなることに繋がる訳ですから、株式投資を行う際の重要なチェックポイントと理解していただきたいと思います。

この「ESG投資」との関係で、先週の重大ニュースの一つであった「島田紳助」の引退表明は、いろいろなことを考えさせられる出来事です。

彼の契約していた所属事務所、吉本興業株式会社は1949年5月に大阪証券取引所に上場しましたが、60年後の2009年9月にあるファンドによる提案を受け入れて友好的TOBを実施し、2010年2月に上場廃止となりました。


上場廃止の理由としては、創業家と経営陣の対立、加えて所属芸能人も巻き込んでの傷害事件などが背景にあり、「安定した株主の下で経営を行うため」ということでした。

TOBやMBOを実施する企業の多くはその理由として「安定した株主の下で経営の意思決定のスピードアップを図る」ということを上げるケースが圧倒的多数です。

ただ一方で、あまり憶測でものを言ってはいけないと思いますが、「上場していると株主からいろいろ言われるのは面倒くさい。」というのが本音であろうことも十分推測できます。


確かに上場していても近年の日本株式市場のように低迷が続いて資金調達のチャンスも少なく、経営に不安がない程度に手元にそこそこのキャッシュがあれば、経営者としては株主から文句を言われる機会はなるべく少ない方が良いので上場を廃止しようと考えるのも一つの道理でしょう。


しかし、上場していようと、上場を廃止し非上場となろうと、「ESG投資」の観点からは「全てのステークホルダーと良好な関係を構築しなければならない」のですから、経営者はそうした発想を転換させなければなりません。


「上場していなければ、そもそもESG投資の対象にならないから関係ないのではないか?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、企業の社会的な責任が高まり、一方で企業間競争がますます激しくなる中で企業価値を高め、生き残っていくためには、直接金融におけるステークホルダーである株主だけでなく、間接金融におけるステークホルダーである貸し手からの信頼を得ることも極めて重要であることは明らかです。

その意味では、「ESG投資」という概念が広まっていくと、MBOやTOBというのは経営者にとって決して最適な解ではないという状況が生まれてくるのかもしれません。


吉本興業が、企業の社会的な責任を自覚し、こうした行動をとったことは当然といえば当然かもしれませんが、経営のうえでも大きな影響のある芸人との関係を絶つという判断を下したことは評価されるべきかと思います。


今回の件、「単なる芸能ゴシップ的ニュース」としてしまうのではなく、経営者にとっては自らの社会的責任とは何かを改めて自問するきっかけとして欲しいと思いますし、個人投資家のみなさんには、応援できる企業かどうかを厳しく見極める必要性を考えていただきたいと思います。


それにしても今回の事件、彼が一般人になるということからニュース内でいきなり、それも一斉に「紳助さん」付けになったことが不思議です。

そしてそもそも一般人として「さん」付けにするなら、なんで本名「長谷川公彦」に付けないの?と感じたのは私だけではないと思います。
報道の世界には、いろいろな「決まり事」があるんでしょうね。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 09:59 | コメント (0)

2011年08月18日

「日本再生と個人投資家の役割」

先日、大阪で約60名の個人投資家の皆様を対象に、セミナーを開催し、私が講師となってお話させていただきました。


セミナーのタイトルは「日本再生と個人投資家の役割 〜未来を創る企業を探し出す〜」というもので、


「今回の大震災を契機に、東北の復興のみならず日本が再生するために、個人投資家はどういう考え方、視点で株式投資を行っていけばいいのか?」

を一緒に考えていきましょうというのが、セミナーの趣旨です。

ブリッジセミナー「日本再生と個人投資家の役割 〜未来を創る企業を探し出す〜


当日のセミナーの模様は動画配信もしていますので、是非ご覧いただきたいと思いますが、内容を要約すると以下のようになっています。

・東日本大震災は、現在の日本が抱えている課題や解決すべき問題や、日本・日本企業の優秀さを教えてくれた。


・こうした課題を克服し、日本の良さを伸ばしていくことにより、今回の不幸な出来事からの「東北の復興」を、「日本の再生」にまで広げていかなくてはならない。


・そのためには政府の役割も当然重要だが、実際に課題を克服し日本再生を担っていく最重要プレーヤーは「企業」とそれを応援する「投資家」である。


・個人投資家の皆さんは「応援投資家」として、企業と共に「東北の復興」、「日本の再生」という道を切り開く重要な役割を担っている。


・ではどういう視点で企業を選別、発掘して行けば良いか?


・一つは、「エネルギー」、「地方活性化」、「グローバルオンリーワン」など様々な投資テーマから活躍するであろう企業を探し出すこと。


・もう一つは、こちらがより重要であるが、「本当に明るい未来、社会を創っていく企業」を探すという視点から、株主を始めとした全てのステークホルダーと良好な関係にあろうと努力し、取り組んでいる企業を探すことである。


・そういう意味では、企業のディスクロージャーやIRに対する取り組みが急速に変化している現在は「IR新時代の到来」であり、「応援すべき企業」を発掘するためには個人投資家にとっては大きな追い風が吹いている。


・ただ、応援投資でもっとも重要なのは「自分で探す努力」。様々な情報ソースから経営者のメッセージを受け止め、自分の感性に合った「応援すべき企業」を探し出すことが望まれる。


当日はアンケートへのご回答をお願いしたのですが、以下のようなご意見をいただきました。

・会社の明るい未来を考えて応援したいと思いました。 (30代 女性)

・ある種の責任感を覚えた。 (40代 男性)

・応援投資、よくわかります。 (40代 男性)

・預貯金も本来金融機関を通じて企業活動に利用されるのだから、預金から株式が経済活性化というのは違うように思う。日本の金融機関の機能不全という前提の説明が必要。 (40代 男性)

・時間をもう少し取って、もっと話を聞きたかった。 (40代 男性)

・興味のあるお話が聞けました。原発に代わるものを進めて欲しいです。 (50代 女性)

・投資することはリターンのみの考えでしたが、長期的に応援できる企業も探してみたく思いました。 (50代 男性)

・応援投資の大切さを痛感しました。 (60代 女性)

・子供(娘)も連れてきて、お話を聞かせてやりたくなりました。 (70代 女性)

・大震災、原発事故等の不安な時代でも、投資的未来があることを理解できた。 (70代 男性)

・集中日を企業側も外す努力をしているなど、保阪会長の話、参考になりました。応援投資に徹しています。
プラス脳の活性化です。個人金融資産で株式投資が少ないのは証券会社が少なく、地方では都心へ出ないと買えないからだと思います。預貯金の比率は今後も減らないと思います。(一部上場企業に限定し、)郵便局で購入できるシステムができれば、その比率は大きく変化すると思います。 (70代 男性)


嬉しいご意見、また説明の至らない箇所へのご指摘、大変ありがとうございます。


株式投資はリターンもリスクも全て投資家が引き受けなければなりません。ですから、私がお話している「応援投資」という考え方も「全ての投資家がそうすべきだ!」というつもりはありません。


ですが、「こういう考え方もあるんだ。」ということで結構ですので、皆さんが株式投資を考える上で、是非参考にしていただければ大変嬉しいです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 12:33 | コメント (0)

2011年08月05日

個人株主との対話を重視する

個人株主の意識は年々高まっているようです。
各種報道によると、東京電力を始めとした電力会社のほかにも、東芝、三菱重工、ソニーなどで株主総会の出席者数が過去最高を更新したそうです。

私共がIRのお手伝いしている会社に、今年の株主総会の様子を伺ってみたところでも、やはり昨年よりも出席者数が増えたという会社が多数ありました。また、不参加の株主でも郵送による議決権行使比率が着実に上昇しているというお話もありました。


7月7日の当コラムで、東京電力の株主総会について触れました。

私は同社の株主総会に参加したわけではありませんが、議長は各議案の採決の際に、当日参加した株主に賛成、反対、棄権の意思表示の機会を与えることなく、採決を進めて行ったということです。


同社が株主総会後に開示した臨時報告書では、
「本総会前日までに行使された株主の議決権の数及び当日に出席した株主のうち決議事項についての賛成及び反対を確認することができた株主の議決権の数の合計により、決議事項の可決又は否決が明らかになっているため、賛成、反対及び棄権の議決権の数には、本総会当日に出席した株主の一部の議決権の数を加算していない。」
との記載が見られます。


これはどういう意味かというと、『総会前に大株主から「会社側提案に賛成、株主提案に反対」の委任を受けており、株主総会の決議結果は当日採択する必要もなく決まっているので、当日参加した株主様の意見は聞きますが、決議結果には一切関係ありませんから、改めて会場での採決は行いません。』と言っているわけです。


株式会社の仕組み、資本の論理からすれば何ら問題あることではなく、また特に東京電力に限らず、こうした採決方法は一般的に行われています。

「本議案に賛成の方は拍手をお願いします。」と議長が問いかけ、大きな拍手を受けて、「賛成多数とみなし、本議案は可決されました。」と宣言するものです。
いわゆる「シャンシャン総会」と表現される議事進行で、現在もまだまだ良く見受けられる議事進行方法です。


しかし、株主の意識が確実に変化している中で、最高意思決定機関である株主総会で企業側が、これからも同様な対応をしていくことが果たして許容されるものでしょうか?


株主総会は、株主が企業とコミュニケーションを取ることができる数少ない場であり、その意義を改めて考えれば、企業の行動はおのずと異なったものとなっていくと思われます。


そうしたなかで、株式会社シンプレクス・ホールディングス(東証1部上場)の取り組みは目を引きます。


従来より、当日は全ての質問に回答するなど、「開かれた株主総会」を実施することを重要視してきた同社は、昨年の株主総会から、ガバナンスの強化及び株主総会に出席した株主の意見を経営にフィードバックし、株主を重視した透明性の高い経営を実施するため、当日出席株主の賛否集計を実施しています。


具体的には、投票用紙を株主総会出席者全員に配布し、質疑応答後投票および回収を実施。

また、ICタグを利用した投票用紙を利用することで集計時間を大幅に短縮して当日集計を可能にし、株主総会に引き続いて開催される懇親会会場で集計結果を掲示しています。

当日出席株主の賛否集計の実施は日本企業では非常に少なく、そういう意味で同社は、株主重視の姿勢を明確に示している企業といえるでしょう。


実際には作業量の問題から、参加株主数が数千名に上るようなケースでの実施は難しいでしょうから、全ての企業がこれを実施するべきとは言いませんが、株主との対話を最重要課題と捉えて様々な取り組みを進めていくことは、大企業でも中堅企業でも可能なはずです。


こうした姿勢の企業が増加していくことが強く望まれますが、同時に株主・投資家側でも、単にリターンを追求するのではなく、暖かく且つ厳しく企業を中長期で見守るスタンスが必要であることは言うまでもありません。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:58 | コメント (0)

2011年07月07日

対話可能な品格ある企業を応援したい!

復興担当相を辞任した松本龍氏について、一説には菅総理を辞任させるために刺し違えたといった見方もあるようですが、その真偽はともかく、一連の言動には全くあきれてしまいます。

中でも私が最も気になったのは、7月4日に一転して謝罪したときの「結果として被災者を傷つけたのであればお詫び申し上げたい」との言葉です。


「傷つけたのであればお詫びする」とは逆に言えば、


「傷つかなかったならお詫びしないのか?」
「本心でお詫びしているわけではないということか?」
さらには「こういう言動をすれば傷つくだろうと想定できないほど、人の心に対する思いが足りない人なのか?」
と誰でも感じるのではないでしょうか。

でもこの「傷つけたとすれば謝りたい」という言い回し、最近大変耳にすることが多く気になっていました。以前も若手女性歌手が女性の高齢出産に関しての発言が問題となり、謝罪した際にも同様の言い方をしていたように記憶しています。

本人は何気なく使っているのかもしれませんが、何気なく使ってしまう人間の品格が問われますし、そうした言い回しを使う、思いやりの欠けた人が増えていることが残念でなりません。

さて、話は変わりますが、先週28日、29日は注目の電力会社の株主総会が開催されました。


ただ「注目の」といっても参加株主数、開催時間が大幅に過去最高を更新し、マスコミもこぞって動向を伝えたことで大きな関心を呼んだというだけのことで、株主総会の最大の機能の一つである株主による決議に関しては、開催前の予想通り、会社側提案は大幅な賛成多数で可決され、10社中6社において行われた株主提案については逆に大幅な反対多数で全て否決されて総会は終了しました。

株主提案については、賛成割合が概ね10%以下もしくは反対割合が90%以上という結果でしたが、唯一東北電力の第7号議案

「取締役賞与支給の件:会社提案の「取締役賞与支給の件」を,次の通り修正する。危険な原子力発電を推進してきた取締役の責任を社会的に明確にするため,また主旨の不明確なお手盛りの出費になっている取締役賞与を廃止するため,取締役賞与は計上しない。」


についての反対比率が88.61%だったことが目を引くくらいでした。

今のご時勢で、震災による被害とはいえ337億円の当期純損失を出しながら役員賞与を4800万円支払うということには、流石に否定的な株主も比較的多くいたということのようです。こうしたことからしても電力会社というのは通常の理論とは別の世界で生きている企業であるのでしょう。

この決議の結果は開示する義務がありますので、各社は総会後に「臨時報告書」ないし「議決権行使の結果のお知らせ」という書類を提出するのですが、そこには概ね共通して以下のような記述がありました。

「本総会前日までに行使された株主の議決権の数及び当日に出席した株主のうち決議事項についての賛成及び反対を確認することができた株主の議決権の数の合計により、決議事項の可決又は否決が明らかになっているため、賛成、反対及び棄権の議決権の数には、本総会当日に出席した株主の一部の議決権の数を加算していない。」
(東京電力 臨時報告書より)

これはいいかえれば、


『総会前に大株主から「会社側提案に賛成、株主提案に反対」の委任を受けており、株主総会の決議結果は当日採択する必要もなく決まっているので、当日参加した株主様の意見は聞きますが、決議結果には一切関係ないんですよ。』

と言っているわけです。

確かに、株式会社の仕組み、資本の論理からすれば至極全うな結論、結果であり、株式会社の最高意思決定機関である株主総会は何の瑕疵もなく決議を行いました。
政治の世界では一人一票が公平ですが、株式会社の世界では一株対一株が公平です。
また、あるマスコミは「株主は原発存続を容認する道を選択したようだ」と報道していました。

ただ、今回の福島の現状やチェルノブイリのその後を伝えるドキュメント番組などを見ると、本当にそれでいいのかなと強い違和感を覚えてしまいます。

言い方は悪いですが、これからどうなるかわからない東京電力は別として(当事者能力が著しく失われていることは容易に想像がつきます。)、少なくともまだ事故が起きていない他の電力会社では、もっと株主だけでなく幅広いステークホルダーとの対話の場や対話の姿勢を見せても良いのではないでしょうか?


以前にも紹介しましたが、株式投資の世界では「ESG投資」という考え方が急速に広がっています。

E:Environment(環境)、S:Society(社会)、G:Governance(ガバナンス)の3点に留意してステークホルダーと良好な関係を構築することは企業にとって企業価値を向上させるために極めて重要であり、投資家側でも、特に受託者責任を問われる企業年金においてはESGを考慮した投資判断が欠かせない、という考え方です。


そうした考え方がますます主流になってくれば、前述したような決議方法で株主総会をなんとか乗り切ることだけしか考えていない企業は投資家から相手にされないという時代が来ることが十分予想されます。


株式会社は法人とはいっても、実際に意思決定をするのは「人間」です。
対話すべき相手を思いやる余裕というか品格のある「人間」が経営する企業を見つけ出し、応援していきたいものです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:03 | コメント (0)

2011年06月27日

「脱原発」の株主提案に注目

今年も株主総会のシーズンがやって来ました。

例年ですと年に1回の企業と株主の重要なコミュニケーションの場ということで、総会終了後に趣向を凝らした懇親会などを開く企業のケースが話題になりますが、今年は震災の影響でそうしたことに経費をかけるよりも、被災者への義援金に回すなどの動きが増えているようです。

例えば、日産自動車が例年行っていた経営陣との懇親会を中止にしたり、株主優待として自社製品を送っているキーコーヒーが同額を義援金として寄付することも選択肢に入れるなどしています。


また既に終了した2月決算企業の株主総会では「震災の業績に対する影響」について質問する株主が大変多かったということも聞いており、今回の未曾有の震災に対してどう判断、行動したか、または今後どうすべきかは、企業のみならず、株主にとっても強い関心事であることがわかります。

さて、4月22日付けの「原発問題に対する株主の動き」と題したこのコラムで、脱原発を訴える東京電力株主の運動をご紹介しました。


1989年1月に福島第二原発3号機で起きた再循環ポンプ破損事故を契機に、事故原因の究明と再発防止のために、東京電力に情報公開を求め、会社との対話を進める手段として地元市民等が株主になり、株主総会に参加するようになったのが「脱原発・東電株主運動」です。

同運動は毎年の株主総会において「原発事業の停止」を求める株主提案を行っていますが、今年も6月28日開催予定の株主総会に向けて提案を行っています。

また、東京電力以外の電力会社においても、以下のように5社で「脱原発」を訴える株主提案が提出されました。


<電力10社の株主提案状況>

zu110622.JPG

* 関西電力は2つの株主提案の合計人数及び合計議決権個数。
* 各社招集通知によっては議決権個数が表示されていないケースもあります。

株主提案権とは、株主が一定の事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る)を株主総会の目的(議題)とすることを請求する権利(議題提案権)、議題につき株主が提出しようとする議案の要領を招集通知に記載または記録することを請求する権利(議案通知請求権)、および株主総会において議題につき議案を提出することができる権利(議案提案権)を合わせたものをいいます。


議題提案権を行使できるのは、原則として総株主の議決権の1%以上の議決権、または300個以上の議決権を6カ月前から引き続き有する株主に限られます。複数株主の議決権数を合算することによって要件を充足している場合には、当該複数株主による共同提案として請求できます。


各社の株主提案の内容は、「原発の廃止・新設の中止」を中心に、「使用済み燃料の再処理禁止」、「プルサーマルの使用停止」、「取締役の解任」、「役員報酬の減額」など様々で、各電力会社が運用している原発の個別の状況を反映しています。


ただ、現時点で取締役会は全ての株主提案に対して反対を表明していますし、議決権個数からみて、全て否決されることになることは間違いないでしょう。

原発の停止が日本のエネルギー事情、産業の競争力に大きな影響を与えることは避けられないとは思いますが、福島県の惨状、「直ちに影響はない」だけにかえって募る将来への不安などを考えると、「原発をどうするのか?」国民全体で真剣な議論が必要であり、今回の株主総会はそのための重要なきっかけの一つかもしれません。


28日、29日の各社株主総会に注目したいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 12:37 | コメント (0)

2011年06月10日

外国人機関投資家は日本株をどう見ているのか?

前回のコラムでは、外国人投資家が過去最長の28週連続して日本株式を買い越しているということをご紹介しました。
その後買い越しは29週連続まで伸びましたが、30週目には売り越しとなり記録は止まりました。

今回の政治状況や福島原発の問題もありますが、外国人投資家は日本企業、中でも世界のサプライチェーンを維持するのに欠かせない優良なグローバル企業などには引き続き関心を持ち、買いの姿勢を維持していくと思われます。


今回のコラムでは、世界有数の投資家データベースを保有し、当社が情報サービスの提供を受けている米国のIPREO社が海外機関投資家に対して行った「日本株式に対するインタビュー」からその概要をご紹介いたします。


海外機関投資家が日本の株式市場の今後についてどんな見通しをもっているのか?是非参考になさってください。


インタビューの時点が4月ということで少し前ではありますが、復興需要、サプライチェーン、グローバルなハイテク企業などが日本株投資へのキーワードとなっているようです。


まず震災の影響については、短期的には落ち込みは避けれられないものの、中長期的には建設需要、復興需要が期待できるという点はほぼ共通しているようです。


また、震災直後は電子部品業界などで世界的に重要な位置を占めている日本企業に、韓国や台湾などアジア企業が取って変わるのではないかという懸念もありましたが、多くの分野で「やはり日本製でないと駄目だ」と日本製品の優秀さを改めて評価する声が帰って強まっているという状況のようです。


この点は、このインタビューだけでなく私も複数の人から同様の話を聞きました。
ただ、サプライチェーンがどの程度で以前同様に回復するかについては意見が分かれているようで、電力事情とあいまって不透明要因となっています。


今回の震災の影響を株式市場が織り込んでいるかについては、福島原発の問題を除けば概ね織り込んでいるという意見が主流のようです。
ただ、インタビュー時と現在では原発の状況は異なっていますので、やや注意が必要かもしれません。

概ね影響は限定的という意見が多数のようでしたが、もちろんかなり慎重に見ている投資家もいます。
こうした考え方と前回の銘柄リストなどを合わせ、銘柄研究、銘柄発掘を行ってみてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:33 | コメント (0)

2011年05月26日

外国人投資家からヒントを得る

東京証券取引所が5月19日、20日に発表した投資家主体別売買動向などによると、外国人投資家の日本株買い越しは、昨年11月第1週から5月第2週(9日から13日)まで28週連続となり、15年ぶりに過去最長を更新しました。

また4月の海外投資家の地域別売買動向(全国証券取引所ベース)によると、北米投資家は昨年7月以降、10カ月連続で買い越したということです。

北米投資家の買い越し額は2513億円。欧州投資家は2ヶ月ぶりに3017億円の買い越しに転じ、アジア投資家も374億円買い越しました。
昨年11月から今年4月までの北米投資家の累計買越額は2兆2908億円と外国人全体の累計買越額4兆7903億円の5割を占めているそうです。


福島原発事故の問題では、日本に在住していた多くの外国人が我先にと帰国したり、放射性物質が基準値を超えた日本製品が輸入ストップとなり、また総理大臣があまりにも頻繁に交代する日本の政治状況を厳しく論評する声も多いなど、日本を見る世界の目はかなりシビアなものがありますが、株式市場においては随分様相が異なっているようです。

金余りという需給要因も大きいのでしょうが、政治という不安要因があってもなお、個別企業でみれば割安な株が沢山あるということなのでしょう。


外国人投資家がいなければ成り立たなくなってしまっているような日本の株式市場は大きな問題を抱えているわけですが、少子・高齢化、グローバル競争の激化など厳しい経営環境にあっても日本企業が一定の評価を受けていると考えれば、少しは明るい気持ちになります。


株式市場の先行きは誰もが断言できるわけではないので、現在買い越している外国人投資家が必ず報われるかはわかりませんが、個人投資家のみなさんも投資のためのヒントとして外国人投資家がどんな銘柄を買っているのかを知っておくのも意味があるでしょう。


そこで今回は、会社四季報CD−ROM版を使って、「外国人投資家の持株比率が上昇している銘柄」をピックアップしてみました。

list110525.JPG

1期前の持株比率から直近の持株比率への上昇率をランキングして見ました。
また、参考のために今期予想増収率と今期予想営業増益率も併記しておきました。


ただ外国人投資家と一言で言ってもいろいろな投資スタイルの投資家が存在します。

伝統的な投資手法で企業の将来性を評価して投資する投資家はもちろんですが、最近余りその名を聞かなくなりましたが、スティールパートナーズのように企業経営に積極的に関与しようとするアクティビスト。

また実態の不透明な外国籍ファンド(実は国内投資家の資金?)も外国人投資家に分類されます。

そのため、このリストに出ている全ての企業が、皆さん個人投資家が投資するに値する企業というわけではありませんが、ユニークな製品・サービス・経営手法で高い競争力を持った企業も多く見つけることができます。


例えば、5位のシミック。製薬会社の新薬開発の際の臨床試験段階を受託するCROのトップ企業です。日本におけるCRO市場はまだまだ拡大するとの見方が強く、足元の業績も好調です。


17位のGMOペイメントゲートウェイ。インターネットを利用した商品購入はますます皆さんの生活の中でも重要性を増していると思いますが、こうしたEC(電子商取引。イーコマース)市場の拡大の中で、欠かせないのが安全かつ確実に行われる決済の仕組みです。同社はEC業者にクレジットカード決済処理サービスを提供しており、配送サービスも手掛けてメニューを拡充しています。


他にも面白そうな企業が見つけられると思いますので、是非研究してみてください。
ただ、いつも申し上げていますが、常に応援投資・分散投資・中長期投資の視点をお忘れなく!

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:39 | コメント (0)

2011年05月12日

様々な「応援投資」の取り組み

前回取り上げた「脱原発・東電株主運動」のメンバーが、原子力発電からの撤退などを内容とする株主提案議案を提出しました。

浜岡原発の停止が東京電力他その他45基ある原発の稼動にどう波及するのかわかりませんが、国民全員で原発の必要性について考える時だと思います。
また、自民党時代からの原発政策とそれを継承した民主党の過去の経緯はひとまず置いておいて、そうした議論がオープンに行われるよう主導していくことも現在の政府の大きな役目ではないでしょうか?

原発、地震、エネルギーといったキーワードに関して、この数週間で私もいろいろと本を読みましたが、大変参考になったものをいくつか挙げておきます。
「原発と日本の未来」(著:吉岡 斉。岩波ブックレット)

「原子炉時限爆弾」(著:広瀬隆。ダイヤモンド社)

「ニュートン6月号:M9地震,津波,原発事故 未曾有の大震災」(ニュートンプレス)

さて、震災後のこのコラムでは、日本の再生、復興の担い手としての企業の重要性を認識した上での「応援投資」や、被災地の物産品を購入したり売上の一部を寄付して被災地の復興を支援する「応援消費」動きについて紹介しました。


さらにネットで調べていると「セキュリテ被災地応援ファンド」という大変ユニークな動きがあることを知りましたので、ご紹介したいと思います。


これは、ミュージックセキュリティーズ株式会社というファンド運営会社が募集するものです。

投資先は被災した6社の地元企業で、製麺、醤油醸造、水産加工品製造、コーヒー製造など、いずれも規模はさほど大きくはないもののユニークな特徴を持ち、全国規模で多くのファンが付いている会社のようです。Websiteに各社の詳細が掲載されていますし、社長さんのメッセージも配信されていますのでご覧になってみてください。


この6社それぞれを対象とした6本のファンドが組成される予定です。(現在4本が募集中。2本が近日募集開始予定)
申し込みは、一口5,000円の出資金、応援金5,000円、出資金取扱手数料500円で合計10,500円からとなっており、募集口数はファンドごとで異なりますが、1,000口から8,000口ですから、1000万円から8000万円を集め、工場の再開や失業手当を受給してもらうためにやむなく解雇した従業員の再雇用などに使用し、一日も早い復興を目指します。


投資期間は5〜9年程度で、当初一定期間は無分配ですが、その後は売上に応じて分配が行われる予定です。

また投資家には例えば、醤油醸造の八木澤商店の場合は「復興後、初回出荷される「醤油ドレッシング」を口数に応じてご送付。」といったような特典もついています。
現在の応募状況はファンドごとにまちまちですが、のべ759名が参加しているようです。


ミュージックセキュリティーズ株式会社はもともとミュージシャンのレコード発売をファンからの出資という形で応援する会社のようで、音楽ファンドや被災地応援ファンド以外にも国間伐材の購入を通じて日本の森林保全を目指す「ワリバシファンド」や、発展途上国の人々の自立を手助けするための手法として注目されているマイクロファイナンス(小口低利で融資を行い、貧困層がそれを元手に仕事を始めて貧困からの脱却をはかるもの)に出資する「マイクロファイナンス貧困削減投資ファンド」なども手掛けています。

いずれにせよ、単なる金銭的リターンのみを追求するのではなく、企業のビジョンや頑張りに共感して投資を行い、その結果自分のお金が生かされていることに満足を感じる投資家が着実に増えていることは確かなようで、私どもが開催している個人投資家向けIR説明会の場で個人投資家の方々とお話をしていても強く感じます。


個人金融資産1400兆円をいかに活用するかが、日本再生のための重要なポイントの一つであることは論を待ちません。


そのためには「応援ファンド」、「応援投資」というビジョンやコンセプトへの共感を如何にして広げていくか?そうした投資機会をいかにして増やしていくか?が極めて大きな課題です。

そのために私どもも微力ながら様々な活動を展開していきたいと考えていますし、読者の皆さんも自分にとっての株式投資の意味を常に考えていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:24 | コメント (0)

2011年04月22日

原発問題に対する株主の動き

1年間で一番過ごしやすい季節となってきました。
しかし、福島の原子力発電所事故の処理、復興税の財源を巡る与野党の綱引き、与党内での不協和音などなど問題が山積しています。簡単に片付かないとはわかっているものの、全くすっきりしない日々が続いています。

先週16日、NHKで放送された、ハーバード大のマイケル・サンデル教授が日本、ボストン、上海をつないで対話する「マイケル・サンデル 究極の選択『大震災特別講義〜私たちはどう生きるべきか〜』」を見ました。


原発に関して、飛行機と同じレベルのリスクと認識し、必要性を唱えるアメリカの学生にはあきれました。加えて、それを正面から批判したのが日本の学生ではなく、上海の学生だったところにがっかり。


また、日本のスタジオから、リスクを恐れて思考の進歩を止めてはいけないという意見もありました。
総論ではそうでしょうが、こと原発に関して、特に地震大国である日本において当てはまるのかと考えると、強い違和感を感じました。


さて、震災、復興、原発というキーワードで、企業と株主のあり方をいろいろと考えたり、そのための材料を探していたら、「脱原発株主の会」という活動があることを、恥ずかしながら初めて知りました。

現在日本には北から北海道電力、東北電力、東京電力、中部電力、北陸電力、関西電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力と10の電力会社があり、原子力発電所は現在53基が建設済みです(各社HPより。廃止措置が認可され運転停止した中部電力浜岡原発第1号機、第2号機を含む。マスコミなどで言われている54基は、現在建設中の東京電力東通原発1号機を含んで数えているのかと思われます)。


10社中、沖縄電力のみが原子力発電所を保有していませんが、ウェブで調べてみると、この沖縄電力を除いた9社全てに対して「株主の立場から電力会社に原発事業の中止・撤退を訴える」活動が行われているようです。


このうち、代表的な「脱原発・東電株主運動」についてブログを閲覧してみましたので、以下紹介します。

【発足】
脱原発・東電株主運動は1989年1月に福島第二原発3号機で起きた再循環ポンプ破損事故を契機に始まりました。
原発に不安を抱く地元福島の住民や関東周辺の市民は、事故原因の究明と再発防止のために、東京電力に情報公開を求めました…中略…会社との対話を進める手段として市民が株主になり、株主総会に参加するようになりました。
(同運動ブログより)


もう20年以上も活動を続けているんですね。
直近のブログによれば、今年も以下のような株主提案を東京電力に対し行っています。

【東京電力第87回定時株主総会 共同株主提案議案】
第1号議案 定款一部変更の件(原子力発電からの撤退)

〇議案内容
○以下の章を新設する。
第*章 原子力発電からの撤退
第*条 我が社は、古い原子力発電所から順に停止・廃炉とする。
第*条 我が社は、原子力発電所の新設・増設は行わない。


○提案の理由
…前略…巨大津波により肝心の炉心冷却ができなくなったのを皮切りに、水素爆発、炉心溶融、使用済み核燃料プール火災、放射線漏洩、住民避難、計画停電等。「想定外」のいい訳は許されない。
放射性廃棄物についても、具体的な処分は進められず、費用がどれだけ莫大になるか不明である。
今回の事故が示したように、原発に頼るとCO2は最終的に増えてしまう。
嘘にぬり固められ、未来の子どもたちに負の遺産を残し、地元に負担を押しつける原発からは即刻撤退すべきである。


2011年3月21日
(同運動ブログより)

加えて以下のように、株主提案への賛同も呼びかけています。


【私たちの議案にご賛同ください】
3月11日より起きた東北関東大震災で被災した方々にお見舞い申し上げます。


私たちは、節電、エネルギーの効率的利用や、太陽光発電や風力発電などの自然エネルギーの普及で、原子力発電から撤退できると考えており、東京電力の株主総会に原発の問題について、20年に亘り毎年株主提案を提出しています。
今年の3月で、東電の福島第一原子力発電所1号機は稼働してから40年、当初の設計寿命となりますので、1号機をなんとしても止めなければと考え、今年の株主総会への提案準備を進めてまいりました。しかし、残念ながら3月11日以降、恐れていた原発震災が現実となってしまいました。
…中略…
しかし、嘆いてばかりはいられません。私たちは、今度の総会こそは原発の是非を問うものにしたいと考えております。
うそをつかなければやっていけない、未来の子どもたちに負の遺産を残し、そして地元に負担を押しつける原発からは撤退すべきです。
今年は別紙のような株主提案を用意していますが、総会への提出には株主の皆様のご賛同を必要としています。
悲劇を再び繰り返さないためにも、株主提案議案にご賛同をお願いいたします。


2011年3月21日
脱原発・東電株主運動事務局
(同運動ブログより)


昨年の総会においても、「高速増殖炉からの撤退」に加えて、「スマートグリッド事業の追加」などを提案(東京電力第86回定時株主総会共同株主提案議案)しており、ただ単に原発廃止を訴えるだけではなく、脱原発の先にある東電のあり方についても提案を行っています。

もっとも、2009年4月時点での同会の状況は「提案株主数 314人、株数 30万4300株」ということで、東電の発行済株式総数約16億株のわずかに0.02%に過ぎないごく小規模な株主です。


しかし、賛同者は着実に増加していると思われます。
というのも、2002年6月9日スタートのこのブログ、内容に賛同した場合にブログ読者がクリックする「拍手」の数は、地震以前は多くても5とか8で、ゼロも多かったのですが、地震後のブログには100近い拍手が送られているのです。


私どもが提唱している「応援投資」とは趣旨が異なりますが、企業と株主の関係性の中において明るく豊かな未来を創り出すという点で共通する部分もありますし、株主が株主の権利のみを主張する運動ではなく、地域、そして日本国民全てという多くのステークホルダーとの共通利益を訴えている点は、大変すばらしいものだと感じます。

東京電力の株価は2007年2月の4350円が2011年4月6日には292円と、下値目途を占う目算のいわゆる「半値八掛け二割引き(68%の下落)」を大きく超える下落となって、同運動の株主にも大きな含み損を発生させてしまっています。


この点がファンとして企業を支える「応援投資」と違って、やや辛いところですが、「単に金銭的なリターンのみを求めるのではなく、企業と株主によって世の中を良い方向に変えていくことも含めたトータル・リターンを追求する」という意味ではこれも「応援投資」と捉えてみたいと考えます。


東京電力の今年の定時株主総会は昨年同様のスケジュールで言えば、6月24日の金曜日と思われます。
大変な会になることが予想されますが、この株主提案に対する経営の回答は、ただ単に「脱原発・東電株主運動」に対する回答ではなく、日本国民全員に対する回答といっても過言ではありません。是非注目していきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 17:14 | コメント (0)

2011年04月08日

「応援投資」と「応援消費」の共通点

震災から1か月になろうとしています。福島の原発の問題を中心にまだまだ安定には程遠い状況ですが、被災した方々も、それを支援する周りの人々も、将来に向けて様々な動きを始めているようです。

1月27日付「行動開始の時を示す「卯」」で今年は「辛卯(しんぼう、かのとう)」」の年で、「行動開始の年」である、と書きました。


実はこれには補足が必要です。

辛卯は、「五行説」をもとにした考え方です。
五行説では「世の中は『木・火・土・金・水』という5つの要素で成り立つ」としています。「金性」の「辛」と「木性」の「卯」の組み合わせは、決して安穏な時期を意味するものではない。
辛卯には、物事が本格的に動きを見せ始めることを意味し、国民各自が相応の覚悟をもって事に当たらなければならない、という意味合いが含まれています(決して震災の後付ではなく、年初にそのようなお話を伺っていました)。


日本が様々な問題を抱えていることは国民全員が意識の濃淡はあるにせよ気付いていたと思いますが、平常時に自らが進んで解決に向けて動き出す機運は残念ながらなかったと思います。


そういう意味では、前回「応援投資で日本の復興を!!」にも述べたように、今回の震災は大変悲しい結果となりましたが、国民が全員で日本が新しい姿に再生するために動き始めるきっかけとなる出来事だ、と捉えることができると思います。


後で振り返ってみたら(何年かかるかはわかりませんが)実際にそうだった、経済だけではなく、文化や日々の暮らし方も含めて、日本が再び活き活きとした国に生まれ変わった、という結果に繋がるようにしなければならないと強く思います。


そんなことを日々考えていると、ネットや新聞、本で「応援消費」という言葉を見かける機会が増えている事に気付きました。

当社では数年前から「応援投資」という考え方を提唱していたこともあり、大変気になって調べてみました。
するとこの「応援消費」、現在のところ2通りの使い方があるようです。


まず1つは、今回の震災で大きな被害を受けた東北地方の復興を応援しようという意味の使われ方です。

Tシャツ、お菓子、音楽などなど、様々な商品やサービスの売上を全額義援金に充てるという取り組み。

今週から目にする機会が急速に増えていますが、日本酒「南部美人」を製造している蔵元(岩手県二戸市)の2代目である久慈浩介さんが 動画共有サイトYouTubeで「東北の酒や名産を消費して、応援してほしい!」と呼びかけ、それに賛同して購入する人が増えているという話に代表されるように、被災した東北地方の産物を積極的に購入することで復興を応援するという動きです。


もう1つの「応援消費」の使われ方は、震災とは離れた、もう少し広い意味を持っています。

「モノを購入する」、「サービスを利用する」という外見部分は通常の消費と変わらないものの、その動機が「機能を求める」だけではなく、その作り手や送り手のポリシー、考え方に共感したから購入するというもので、「モノを介在して人と繋がる」ための消費です。


先の例で言えば、日本酒「南部美人」を購入するのはまずは第1の「応援消費」でしょうが、これをきっかけに「南部美人」の味に魅力を感じ、作り手である久慈浩介さんの酒造りに対する考え方や人柄に共感して継続的な愛飲者になれば、第2の「応援消費」に進んでいくことになります。

こうした「応援消費」による消費者は真のファンであり、ちょっとやそっとでは購入、利用をやめることはないでしょう。

 
このような「応援消費」という考え方は、当社が提唱している「応援投資」と大変共通しています。

まず、「株式」や「購入したときの株価」自体の意味だけでなく、それを介在して企業と繋がることに意味を見出すのが「応援投資」と言い換えられます。
応援投資による株主は、「株価」のファンではなく、企業や経営者のファンですから、短期的な株価の上下には関心がなく、中長期でその企業が成長し、成長の過程で明るく豊かな未来造りに貢献することを願っているわけです。


もう1つ共通することがあると考えます。
それは、供給者と消費者、企業と投資家それぞれが自律的な存在であり、かつ真剣にマーケットに向かっているという前提条件が絶対不可欠であるということです。
お互いが馴れ合いではなく、適度な緊張関係の下に繋がることが「応援」を永続的なものにすることは明らかです。


 このような共通点を持つ2つの行動ですが、「応援投資家」でありかつ「応援消費者」である人達がもっともっと増えていくことが、日本復活の大きなキーポイントとなるのではないでしょうか。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:15 | コメント (0)

2011年03月25日

「応援投資」で日本の復興を!!

まず初めに、この度の地震によってお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますと共に、被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
皆様の安全と1日も早い復旧を心よりお祈り申し上げます。

あの惨状や被災された方々の様子を目にする度に胸がつぶれる思いですが、そうした悲しみを乗り越えて、再び日本が明るさを取り戻すために「株主」として何ができるか、何をすべきか、を考えてみたいと思います。


復興のためには10兆円以上の国債発行が必要との意見も聞かれます。
確かに国債による資金調達によって、国の強力なリーダーシップの下で復興計画を力強く推進させることは強く望まれます。大切な家族、家、財産を失った方々のためにも、住宅の確保、収入の補償、生活インフラの整備といった復興、再生に向けての極めてベーシックな部分をスピーディーに進めるには、やはり国が担っていくのが最善かと思います。

ただ、一方で今回の震災は様々な点で今までの日本の課題を浮き彫りにするとともに、日本人や日本というコミュニティが持つ優しさといったものも再認識させてくれました。

震災は大変悲しい出来事ですが、これを契機として課題を克服し、良さを更に伸ばしていく機会であるとも捉えることもできるのではないでしょうか。

そうした意味で時間はかかるかもしれませんが、日本が本当に再生するためには、やはり「企業」の持つ力に負うところが非常に大きいと考えます。


その「企業」が取り組むべきテーマはいくつもあると思いますが、思いつくままにあげてみます。


第1に、原発に対する不信感増大と、そうはいってもまた石油化学エネルギー依存に逆戻りすることに対する疑問との狭間で望まれるのは、太陽光発電などを含めた「新エネルギー開発のスピードアップ」です。

また、今回の事故で信頼が地に落ちた感のある東京電力ではありますが、例えばスマートグリッドを世界に先駆けて本格的に実用化するには電力会社の役割が極めて重要であることは不変ですし、それが実現すれば国民からの信用を取り戻すことも可能かもしれません(電力会社にそうした責任感、気概やチャレンジ精神が失われていないことを祈ります)。


第2に、「地方における雇用の創出」は東北地方に限らない日本全体の問題であり、もちろん国や地方公共団体の役割も重要ではありますが、やはり「企業」の成長こそが最大のキーワードであることは間違いありません。

「企業」ならではの柔軟な発想やニーズの発見、取り込みによって成長することで雇用が生まれ、地方経済を活性化させる道が望まれます(この点においては、Jリーグに代表される地域密着という視点がますますクローズアップされると思います)。

他にも、「安心安全な街創り・国創り」、「美術、音楽などを通じた心の豊穣」、「家族や身近なコミュニティの大切さ」なども日本が再生に向かうためにもう1度改めて考えてみるべき視点です。

その実現のためには「企業」の役割が大変大きいと思いますし、いうまでもありませんが、それを支援する様々なステークホルダー、中でも「応援投資」の視点を持った株主のサポートの存在が不可欠です。


国債を10兆円発行するべきとの意見も、その意図するところは理解できますが、日本が再生するためには依然として預貯金に偏重した1400兆円とも言われる個人金融資産が、再生をリードしていく「企業」に向けて動き出すことの方がより効果的で意味があることだと思います。


この流れを生み出すのは、税制や投資しやすい市場の整備といった証券市場の仕組みや制度によるところもあるでしょうが、やはり最も重要なのは「投資家の意識」です。

株式投資は命の次に大事なお金を投じているわけですから、自分のためにリターンを獲得することが第一義であることは疑いようもありません。

しかし、それだけではなく、日本が再生することは現在の自分だけではなく子供や孫の世代にとってこそより重要な課題であることを認識し、再生を担う「企業」を応援するという視点を是非持っていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 09:14 | コメント (0)

2011年02月24日

財務戦略は株主へのメッセージ

クロネコヤマトの宅急便でお馴染みの「ヤマト運輸」を子会社に持つヤマトホールディングス株式会社(ヤマトHD)が、先週の17日に資本効率を高めるための、ある施策をリリースしました。


株主が提供してくれた資本に対し、どれだけのリターンを返しているかを表すROE(株主資本利益率)の向上とEPS(一株あたり純利益)の拡大通じて、企業価値の向上とマーケットにおける投資家の評価を高めることを目指すものです。

ヤマトHDが今回採用する仕組みは「リキャップCB」(CBとは、転換社債のことです)と呼ばれており、その実施により企業は、


・ROEの向上

・EPSの増加


という効果を見込むことができます。


この仕組みの重要性は、「資本効率を向上させますよ」、「現在の株価は割安と判断していますよ」という企業側のメッセージを投資家に伝えることにあると言えるでしょう。


実はこの仕組みはリーマンショック以前に、主として米国企業が取り入れており、日本企業でも2008年6月に初めてヤマダ電機が採用したものです。
リーマンショックを契機に、ROE向上よりも企業存続のための手元資金の確保が優先され下火になっていたのですが、景気回復に連れて企業側にも前向きな姿勢が戻ってきた証拠といえそうです。


<CBを発行して、自社株買い> 

では、具体的に、どうやって株主が「得する」のか見てみましょう。


同社はこの仕組みに関して4本のリリースを行っていますが、要約すると以下のようになります。

・新株予約権付社債(転換社債)を総額200億円発行する。
・発行して調達した資金を使って上限300億円とする自社株買いを実施する。


このスキームを実施する狙いを以下のように述べています。少々長いですが、引用します。


「当社グループは、株主価値の拡大を目指す財務戦略として、一部の自己資金に加え、負債性資金を活用した自己株式取得の実施が最も有用なスキームであり、以下の特徴を有する本新株予約権付社債は、当社の財務戦略を実現する上で最適な調達手法と考えております」

「まず、本新株予約権付社債はゼロ・クーポンで発行するため、機動的な財務戦略を低コストで実現することが可能となります。また、本新株予約権付社債は時価を大きく上回る水準に転換価額を設定することで、発行後の1 株当たり当期純利益(EPS)の希薄化を極力抑制し、既存株主の皆様に配慮した設計としております。

加えて、本新株予約権付社債には120%転換制限条項を付与しており、発行後一定期間にわたり株式への転換可能性を抑制するなど負債性を高めた設計としております。なお、本新株予約権付社債の転換時には保有自己株式(今後の取得分も含む)を活用することを想定しております」

「当社グループは、主に低コストかつ負債性を高めた本新株予約権付社債を活用して自己株式の取得を行うことで、自己資本利益率(ROE)や1 株当たり当期純利益(EPS)など資本効率の向上をはかることが可能と考えております」
(同社リリースより)


<四季報使って、効果を試算>

具体的にどういう流れでROEの向上、EPSの拡大につながるかを、最新版四季報の数値を使って見てみましょう。
(仕組みをご理解いただくことを目的としていますので、簡便な計算式を使っています。また小数点以下の処理により、誤差も生じます)



おさらいですが、ROEは純利益÷株主資本で算出されます。
これだけでも、企業の優秀さの指標になりますが、企業の強みや財務戦略を分析するのにROEをさらに3つの要素に分けると便利です。その要素とは、


・売上高利益率(純利益÷売上高×100)

・売上高回転率(売上高÷総資産)

・レバレッジ(総資産÷株主持分、株主持分比率の逆数)

です。

早速計算してみると、、、


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この結果、ROEは、6.3991%、EPSは70.50円となります。


<転換社債発行後>

転換社債200億円を発行することで、「資産の部」(バランスシートの左側)の「現金」と、「負債の部」(右側)が200億円増加します。

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今回の転換社債はゼロクーポン(利率がゼロ)のため、支払利息は発生せず、利益への影響はありません。総資産が増加するため売上高回転率は低下しますが、負債の増加でレバレッジが上昇。3つを掛け合わせたROEは6.3960%とほぼ変わりません。EPSも変わりません。

<自社株買い実施後>

上限である300億円の自社株買いを実施すると、「資産の部」の「現金」と「資本の部」の「株主持分」がそれぞれ300億円減少します。

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発行済株式数は、仮に2月17日の終値1315円で300億円の自社株買いを行ったとすると、30,000百万円÷1315円=22,813千株減少することになります。      

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売上高回転率、レバレッジともにスキーム前よりも上昇した結果、ROEは6.7906%に上昇します。
また、EPSも発行済株式数の減少により、74.12円に向上します。


ただ、転換社債全額が株式に転換されれば発行済株式数は約3%増加しますし、自社株買い300億円を実行する時、いくらの株価で何株買い付けられるかによって、当然ROE、EPSの水準は変わってきます。


同社の株価は、発表翌日の2月18日に前日比55円高の1370円で寄付き、高値1395円までありました。また当日に同社は23億円の自社株買いを実施したことをリリースしています。


その後、エジプト、リビア問題などによる市場環境の悪化に引き摺られて、発表前の株価を割り込んでしまっていますが、中長期的には株主を意識した財務戦略として他社にも広がることが予想され、注目していきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:12 | コメント (0)

2011年02月21日

読売ブリッジサロンでのライブ配信が始まります。

今週末より恒例になりました「読売ブリッジサロン」を5回開催します。
詳しいスケジュールは、当社HPをご覧ください。

第1回目の読売ブリッジサロンは2008年9〜11月の開催でした。
あの時は、「読売ブリッジサロン」の認知度が低いことに加え、「リーマンショック」が直撃し、流石に参加する個人投資家の方の数もいまいちだったのですが、回を重ねるごとに皆さんにも知っていただけるようになり、参加者数は堅調に増加してきています。
(もちろんまだまだ満足はしていませんが)


当社では、読売ブリッジサロンに限らず、当日ご参加できなかった個人投資家のために動画配信に従来より力を入れてきましたが、今回の読売ブリッジサロンでは、前回のコラムでもご案内したように、ustreamによるオンライン生中継を実施します。


ご存知のように、ustreamはソフトバンクの孫社長が株主総会などで利用したことで有名ですが、低コストと少ない手間でライブ配信ができる仕組みです。


各5回ごとの詳細ページの上のほうに「オンライン配信」というボタンがありますので、それを押せばLiveで社長のプレゼンテーションを視聴することができます。(現在は当然ですがつながっていません。当日のスケジュールを確認の上アクセスしてください。)


当日参加できない方は、是非アクセスしてみてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 19:02 | コメント (0)

2011年02月10日

スマートフォンが変える企業のIR活動

私も遅ればせながらスマートフォンを購入しました。
決して流行に敏感な方ではなく、どちらかといえば「新しいもの」より「古いもの」に関心が集まりやすい人間なのですが、やはり仕事でいかに活用するかを考える必要があると感じて入手しました。

現在使っている携帯電話と比べると、慣れていないせいもあるのでしょうが使い勝手が悪いと正直感じる部分もあります。


特に、利便性が高く頻繁に使っていた携帯サイトが、まだスマートフォン対応がなされておらず、仕方なくPCサイトに行っても、画面が小さいために大変使いづらいケースが結構あります。また文字入力も、私が不器用なのもあるでしょうが、携帯のほうが間違いなく確実に打ち込める気がします。


このように、便利さが売りのスマートフォンにもまだまだこれからという部分はありますが、株式投資の世界では現時点でもこの利便性は限りなく広がっていくのではないかと強く感じます。


株価は携帯電話でも十分ですが、チャートや詳細なニュースもスマートフォンの方が便利です。
そしてなんといっても特筆すべきは、携帯電話ではほぼ不可能だった『動画の視聴』がほとんどストレスなく行えるということです。
映像・音楽プレーヤーとしても作られているわけですから当たり前ですが、画質もすばらしく綺麗で、音声も明瞭です。


投資家向けの具体的な動画コンテンツとしては、株式市況解説、注目銘柄の説明など、いろいろとあるでしょうが、「応援投資」を掲げている当社としては、なんといっても「IRプレゼンテーションの重要性が益々高まるだろう」という点を上げておきたいと思います。


自宅のPCやノートパソコンを開かないでも、外出先、電車の中などどこででも、気になる企業の社長の話を視聴することができるようになります。
また、以前はコストの高さや準備の大変さから、企業側が導入をあきらめていた「Live配信」もソフトバンクの孫社長が決算説明会やビジョン説明会で利用したustreamのおかげで、だれでも実施が可能になりました。


このように、スマートフォンの登場は、企業側のIR活動に対し大きな影響を与えることは確実です。


まず動画の重要性がますます高まることに対応して、動画を通じて個人投資家にどのようにしてインパクトのあるメッセージを届けるかに関しての各企業の工夫が進んでいくと思います。

40分や1時間の説明会動画では間延びしてしまうので、10分程度のエッセンスを社長が語るというようなコンテンツも望まれるでしょう。

また、スマートフォンはtwitterやfacebookといったSNSの利用を前提としているので、わかりやすくかつ迫力のあるプレゼンテーションの評判が多くの投資家に広がって、注目度が高まるという現象も出てくるかもしれません。


こうした動き、潮流は「応援すべき企業を探し出す」個人投資家にとっては、大歓迎となります。


動画を視聴できる機会が飛躍的に増大すると共に、「自社のことをわかってもらおうという意欲の強い会社か?」、「メッセージをわかりやすく伝える意思のある会社か?」を多数の企業比較の過程の中からピックアップできるわけですから。


当社でも企業のそうした動きをバックアップしようと思っています。


オンデマンド動画は従来から取り組んできましたが、2月26日から始まる個人投資家向けIR説明会「読売ブリッジサロン」においてustreamによるオンライン生中継を実施します。

ページの上のほうに「オンライン配信」というボタンがありますので、それを押せばLiveで社長のプレゼンテーションを視聴することができます。(現在は当然ですがつながっていません。当日のスケジュールを確認の上アクセスしてください。)

注目している企業、気になる企業の社長のお話を是非聞いてみてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:40 | コメント (0)

2011年01月28日

行動開始の時を示す「卯」

2011年(平成23年)は5通りある「卯」年のうち「辛卯(しんぼう、かのとう)」です。


 1月も終わりになったこの時期にこうした話題もおかしいかと思われるかもしれませんが、実は十干・十二支で表されるこの「干支(えと)」は2月4日の立春をもって始まる年なのです。
 

 時刻でいうと「卯」は午前5時から7時をまでの間を言います。
朝一番の出発は「卯の刻発ち(うのこくだち)」とも用いられており、まさに行動開始の時期を表しているとのお話を、ある方からお聞きしました。
物事が本格的に動きを見せ始める2011年は、この2月4日よりスタートするわけです。

 活況が続く新興国とは大きく差をつけられた感のある日本経済であり、iPhoneなどに代表されるように、先進国の中でも出遅れた日本企業ですが、ここからは心機一転、本格的な巻き返しの年となっていくことを期待したいですし、当社も株主という企業のファン作りを応援して、その一端を担えるよう頑張って行きたいと思っています。

さて、日本企業がグローバルマーケットで攻勢に転じるためには、昨年9月のこのコラム「配当と投資について」で述べましたが、やはり経営者が「リスク」を取れるか?に尽きると思います。


 そんなことを改めて感じていた時、JR東海が発行している雑誌「WEDGE」の2月号に「リスクは宝だ。挑戦が道を拓く時」という特集を目にしました。

 内容としては、三菱ケミカルホールディングス、東京海上日動火災保険という上場企業の2社の他、田代合金所(社員5人ながら90年にわたって培ってきた合金製造技術を多用途に展開することで世界市場に進出、評価を受けるまでになった)、ブドウ農家の秀果園(誰もが将来性に疑問を持つ日本の農業界において栽培技術の輸出というビジネスモデルを確立しつつある)という中小企業を2社取り上げ、各社がいかにしてリスクをとりつつも、イノベーションによってユニークで独自性の高い製品やサービスを生み出してきたかを取材したもので、なかなか面白い読み物です。


 なかでも秀果園の渡邉隆信社長は「リスクの無いビジネスはビジネスじゃない。リスクがあるからこそ、チャンスが生まれるんだ」とまさに日本企業の進むべき道そのものを述べています。


 この4社を紹介した後でまとめとして、「パナソニック、ホンダ、ソニーといった日本企業もかつては果敢に挑戦を重ねてきたが、イノベーションも起こす挑戦的な変わり者社員が減って、『管理屋」が台頭してきたために独創や挑戦を育む土壌が失われている。今こそ再び挑戦が必要な時期だ」と述べ、日本企業に対し「坂の上の雲だけを見て、まずは一歩踏み出して欲しい。」と、いかにも昨年末に執筆したのだろうなという言い回しで締め括っています。「坂の上の雲」のくだりについての感想はともかく、日本企業のチャレンジに期待したいのは私も一緒です。


リスクをとった戦略を成功させるには経営者のリーダーシップが最も重要なポイントとなるのですが、それでは投資家はどのようにして、リーダーシップの有無や成功の可能性を見極めるのか?


 大変難しいポイントではありますが、例えば「社長が自分の言葉で語っている」、「自信のある表情」、「社員の活気」といった点がまずあげられるでしょう。
ただ、それより前に、投資家も「応援投資」の視点で企業と共に変革を目指すという意識が必要です。


 日本という国、社会が再び活気を取り戻すためには、投資家もリスクをとりつつ企業を応援するという姿勢が欠かせません。
もちろんその分企業の責任は一層大きくなり、その期待に応える義務も増大しますが、そうした両者の協力の下に、明るく豊かな日本の未来が到来すると思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:50 | コメント (0)

2011年01月13日

企業における「特徴や強み」の表現不足

少し遅いご挨拶ではありますが、皆様、明けましておめでとうございます。
皆様にとっても弊社にとっても素敵な1年となることを、心より祈念いたします。

さて、改めて述べることでもありませんが、投資家が大事な資金を投資するに当たっては、企業のことを良く知らなければなりません。

特にこのコラムで触れている「応援投資」を行うには、業績動向、財務内容といった数値情報のみでなく、経営者のビジョン、社会的存在意義など「数値では見えない部分」において共感できるかが鍵になります。(もちろん、単純に株価のみを追いかけるのであれば不要ですが)


また投資家がその企業に投資対象としての魅力を感じる重要なポイントの一つとしては、「その企業の他社には無い強みや特徴」つまり競争力が挙げられると思います。


しかし、いまや企業が自らを知ってもらうための最重要窓口であるWebsite上で、この「強みや特徴」を明確に投資家に訴求している企業は意外なほど少ないというのが私の実感です。


企業のIRページを評価してランキングしているケースというのがいくつかありますが、上位にランキングされている企業でさえも、この特徴や競争力といったポイントがWebsite上のどこに記述されているのかすぐにはわからない場合が多数見受けられます。


大多数の企業が当然ですが「事業内容」については詳細かつ丁寧に記載しているのですが、「特徴・強み」といったページを設定している企業は極く稀のようです。
かろうじて、IRライブラリ内の投資家向け説明会資料で「当社の特徴・強み」を述べているケースがあるといった状況です。


企業のIR活動内容は10年前などと比べると、大きく改善、向上してきたことは確かですが、このように「投資家が知りたいこと」と「企業が伝えていること」には依然としてミスマッチが生じているのが実情です。


このミスマッチを解消するにはまず企業側の努力が第一です。


企業は自らの経営戦略を構築・遂行する上で自社の強みや特徴を把握していないわけがありません。
ですから、これを内容、表現方法ともにわかりやすく、かつ投資家がすぐに目にすることができるように、IRページで「事業内容」と並列して「当社の特徴・強み」のページを設定することは全ての企業が取り組んでもいいのではないかと思います。


一方で投資家は何をしたらいいでしょう?


私は「応援投資」実行のためのポイントとして以下の4点を挙げています。

ー分も世の中も幸せになる未来を想像しよう!
応援したい&応援すべき企業を探そう!
C翊拘の視点で応援しよう!
ご覿箸叛儷謀にコミュニケーションを取ろう!


この中のまさに4番「積極的にコミュニケーションを取る」ことが大事だと思います。


企業にメールでも電話でもしてもいいでしょうし、説明会に参加して質問してもいいと思いますが、「御社の強みや特徴。他社とはここが違うというポイントは何ですか?」と質問してみてください。


事業内容や業績動向を踏まえ、社長の考えに共感できて、なおかつこの「強み」が理解できたのなら、応援投資としては満点に近い投資対象ということができるでしょう。
逆に説明が曖昧だったり、理解しにくい場合は正直「?」をつけざるを得ないかもしれません。


ミスマッチ解消のためには、投資家の積極的なアクションによって企業に「気付かせる」ことも必要です。
そしてそれが投資家にとっても結果としてメリットをもたらすことにもなるでしょう。


まあ、人間対人間でも相手のことを理解したり、自分のことを理解してもらうのは難しい訳ですが、その努力を怠ると良い人間関係を作りにくいのと同じで、「賢明な株主」として企業と良好な関係を構築するには、投資家からのアプローチが重要だと認識していただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 18:16 | コメント (0)

2010年12月15日

健闘する内需型企業

3月決算企業の第二四半期決算発表も終了しました。
野村證券 金融経済研究所 投資調査部は2010 年度第2 四半期累計期間の決算発表を受け、「2010〜2011年度の企業業績見通し」を12月7日に発表しています。

今回のポイントは以下のようになっています。


【2010 年度業績予想の概要】

・2010 年度はNOMURA400(除く金融)で6.0%増収、56.2%経常増益と予想。

・前回 9月時点では、57.5%経常増益を予想していたので、1.3%ポイントの下方修正。

・当該期の予想経常利益は、2009 年6 月以来6 四半期連続で上方修正が続いてきたが、今回の見直しで僅かではあるが下方修正に。

・NOMURA400(除く金融)の2010 年度上期は、前年同期比142.9%経常増益で、事前の野村予想115.9%増益を27%ポイント上回った。

・上期が好調に推移したにもかかわらず、2010 年度通期の予想が僅かではあるが下方修正となったのは、下期により円高が進む方向に為替前提を変更したことが主要因。そのため、上期の事前想定に対する利益の上振れ分が打ち消される形となった。

・また、景気対策の一環として行われてきた各種補助金が打切り/縮小されることによる需要の反動減を見込み、生産数量の前提を引き下げたことも下方修正の一因。

【2011 年度業績予想の概要】

・2011 年度はNOMURA400(除く金融)で前年度比2.6%増収、13.3%経常増益を予想。

・前回9 月時点では4.0%増収、19.8%経常増益を予想していたので、こちらも下方修正。

・2010 年度下期以降の円ドルレートの前提をこれまでの88 円/ドルから81円/ドルへ変更した結果、2010 年度の期中平均レートは89 円/ドルから85 円/ドルへと4 円/ドルの変更にとどまったのに対し、2011 年度は7 円/ドルもの変更となったため下方修正額が膨らんだ。
また鉱工業生産についても、これまでの緩やかな回復が続く前提から、2010 年度下期は各種政策効果の剥落などにより踊り場局面入りする前提に変更。その影響が2011 年度にも残り、生産数量前提が下方修正になっていることも、2011 年度予想の下方修正が大きなものになった要因のひとつ。


日経平均は1万円台を回復し、少し前は日本株を通り越していた外国人投資家も完全に出遅れている日本株に注目しているという話も聞きますが、企業収益の面から見ると、アッアップサイドへのサプライズは期待し難い状況になっているとは言えそうです。


ただそれでも、以前から申し上げているように日本経済全般が、新興国のような伸びは期待できない中でも、個別には魅力ある企業が沢山あると思いますから、今回もそうした企業探しのヒントをご提供したいと思います。


株主に対するリターンが高い企業かどうかを示す指標の一つがROE(株主資本利益率)ですが、今回はこのROEが継続的に上昇している企業を探してみました。


ご存知のようにROEはある一期だけをとってしまうと、その期のみの一時的な特別利益が計上されることで、異常に高い数字になってしまうこともあるので注意が必要です。
また、借入金など負債を急速に増やした場合は、本業の収益性、効率性が不変でも、これまた高い値となってしまいます。


そこで、株主資本比率は50%以上で、前期および今期と2期連続してROEが前の期を上回っており、PERが現在の市場平均15倍よりも低い企業をスクリーニングしたのが、下記の表です。
参考のために今期の営業増益率を示しておきます。
全部で58銘柄が抽出されました。
(単位:ROE(%)、レバレッジ(倍)、PER(倍)、増益率(%))

1位のエーアイティーは、日中間を中心とした独立系の国際貨物輸送会社です。ただ輸送会社といっても自前で船などを持つ実運送ではなく、コンテナを利用してDoor to Doorの利用運送を行う「フォワーダー」と言われる業態です。中国からのアパレル輸入に注力しています。「コストを下げたい」「速く届けたい」など、顧客の要望に合わせて、「いつ、どの航路のどの便で輸送するのが最適なのか?」など、最良なサービスを提案できるのが強みということです。(同社HPなどより)


4位のニトリホールディングス、5位のくらコーポレーションなどは、メディアでもたびたび取り上げられている企業なので皆さんご存知でしょうが、どちらも「消費者にとって良いものを以下に安く提供できるか」に知恵を絞って仕組みを作り上げたという点で、そのイノベーション能力が優れている企業といえるでしょう。


6位のエプコは、住宅設備コンサルティング企業で、給排水・電気・太陽光設備といった設備工事を標準化・情報化・工業化することで、設備工事の品質向上と工期短縮及びコスト低減を図る独自のエプコシステムに対する大手住宅会社の需要が拡大しています。


この他にもリストにはユニークなビジネスモデルや製品・サービスで差別化を図っている企業が多数見受けられますが、私にとって意外だったのは、圧倒的に「内需型企業」が多数だということ。


リーマンショックと円高によって輸出主導型企業は連続してROEを高められるような状況には無かったことが主要因だと思いますが、人口減少、少子高齢化など懸念材料が山積のように思われている国内市場を対象にしていても、しっかりと継続的に利益を上げている企業が多数あるということは認識しておくべきかと思います。

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カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 14:07 | コメント (0)

2010年11月26日

MBO、TOBの増大と個人投資家

株式の非上場化が目立ちます。
直近でも、サザビーリーグ、幻冬舎など個人投資家のみなさんにも比較的認知度のある企業が、MBO(経営陣が参加する買収)、TOB(株式公開買い付け)などによって上場廃止の道を選択しています。
MBO、TOBに株式統合や株式交換、経営統合で上場廃止となった企業数は2009年が117社、2010年はやや減少したものの、76社となっています。(いずれも発表ベース。予定も含む。当社調べ)

一方でIPO(新規株式公開)は、ポカリスウェットの大塚製薬をグループに持つ「大塚ホールディングス株式会社(12月15日公開予定)」、化粧品を中心事業とする「株式会社ポーラ・オルビスホールディングス(12月10日公開予定)」など大型案件も予定されていますが、全体としては引き続き低調です。


年間IPO件数は、2010年11月25日現在で22社の予定と、2009年の19件を上回りはしますが、2000年の203社、2006年の188社と比べると約十分の一という低水準にとどまっています。


株式上場というと、事業を成功させた証としての名誉や、保有株式売却による創業者利益の獲得、社会的信用度の向上、優秀な人材の採用など多くのメリットがあることは皆さんもお解かりかと思いますが、一方で近年はデメリットも強まっているのが事実です。(特に経営者の立場から。)

先日、昨年TOBを実施して非上場となった企業の社長とお話しをする機会があったのですが、やはり「上場維持のためのコストが大きく減ったことが最も大きい」と、明るい声で仰っていました。
ここで言うコストとは、監査法人の報酬、証券取引所に支払う費用、IR費用など、損益計算書に計上される直接のコストはもちろんですが、そのために関わる時間、準備といった目に見えないコストも含まれています。


経営者として、メリットとデメリットを比較考量し、現時点での自社にとってどちらが有利かを選択するわけですが、ある程度事業を成功させ、創業者利益も獲得し、特に大量な資金を調達する必要がなければ(仮に資金需要があってもこの低金利であれば間接金融でも可能です。)、「上場」はコストばかり嵩むという認識になっても仕方がないのかもしれません。


また、未上場企業においても、現在の株式市場に上場して調達できる資金がそれほど多くを望めない状況では、上場後の様々なコストを考えると、上場を目指さないという企業も増えているようです。
もっとも、IPO件数の減少は、この経済環境下で、収益の上で上場基準を満たせないという背景もありますが。

ところで、以上の要因はあくまでも「企業」の立場から見たお話であり、IPO減少、非上場化の進展は、個人投資家にとってどういう意味を持っており、どのように考えればいいのでしょうか?


資本市場の効能として「資金の効率的な再配分」というものがあります。
これは、簡単に言えば、投資家はその時々に、どの企業が将来性があり、どの企業が将来性に乏しいかを見抜いて、保有する資金を証券の売買によって再配分するというものです。
もちろん個々の投資家においては結果的には常に正しい投資判断とはなっていなくても、投資家トータルの判断の結果である「市場」においては、中長期的には経済的、社会的に存在意義のある企業に資金が配分されるというものです。


そうした観点から言えば、個人投資家にとってIPO減少、非上場化の進展は、企業や市場関係者の思いとは異なり、以下のようなプラス面もあるといえそうです。

<プラス面>
全てとは言いませんが、上場している意味のない企業の退場は、投資家にとっては大事な資金を無駄に投資する機会を減らしてくれているかもしれません。


非上場化を選択した企業の中には、私の感想ではありますが、株主や投資家を重視する意識の極めて希薄な企業もありましたし、将来性という観点からは、社会的な役割は終えたと感じられる企業もありました。

そうした企業が退場することは「資金の効率的な再配分」という意味からは大いに歓迎されることといえます。
IPOの減少についても、「日本経済停滞を示すものであり、もっと元気な企業の登場が待たれる」という声が市場関係者からよく聞かれますが、粗製乱造で結果的に投資家が迷惑する企業なら上場しない方がましであることは自明です。


一方でマイナス面に目を向けてみると、結果的にはプラス面の逆写しですが、本来は資本市場をもっと有効に活用し、大きく成長していく可能性のある企業や、現在でも収益、財務両面でも優良な企業がMBOやTOBで非上場化しているのも事実です。(昨年12月に上場廃止したバリオセキュアネットワークスなどは、その代表例かもしれません。)


反対に、どう考えても投資家にとって上場している意義が見出せない企業が上場を維持し、様々な事件に発展していくケースも見受けられます。

IPOについては、明るく豊かな未来造りに貢献する企業が多数登場することが望まれることも事実です。


こうした課題を修正するには、「新陳代謝が正常に機能する株式市場」の実現のために、適正なIPO審査の実施、退場ルールの厳格化など、個人投資家の手の及ばない分野において、市場関係機関がしっかりとした制度構築することが強く望まれます。


同時に個人投資家としては、「無駄な投資機会が減った」くらいに構えて、プラス面を十分に活かす姿勢で株式投資を考えればいいのではないでしょうか?

以前にも申しましたが、「他人のお金を他人のために投資するのが仕事」の機関投資家とは違って、「自分のお金を自分のために自分の感性にマッチした企業に、仕事ではなく投資することができる」のが個人投資家の最大のアドバンテージです。

ゆったり構えて応援投資すべき企業探しを心がけていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 16:18 | コメント (0)

2010年11月12日

「活動的な株主」になる

前回のコラムで、「責任投資原則」をご紹介しました。コラムにも書いたように、6つの原則から成立しています。

 


この原則は、資金運用を受託している機関投資家が負う責任について規定したものではありますが、中でも「(2)私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます」は、個人投資家の株式投資においても是非参考すべきものと考えます。


おさらいですが、「ESG問題」とは、E=Environment(環境)、S=Social(社会)、G=corporate Governance(コーポレートガバナンス、企業統治)の略です。

 責任投資原則の重要なポイントであるESG課題については、企業間を比較するための個別企業における定量的な評価方法が、機関投資家の世界でも未だ確立されているわけではありませんが、そのベースとなる考え方については、個人投資家の皆さんには、特に弊社が提唱している「応援投資」の観点から是非考えてみていただきたいと思います。


 責任投資原則の6つの原則においては、それぞれについて「考えられる実施例」があげてあります。
(2)については、以下のようになっています。

・ 本原則に沿って活動的な(株式)所有方針を検討しそれを開示する。

・ 議決権を行使する、あるいは(もし外部委託されているのであれば)議決権行使方針に準拠しているかを監視する。

・ (直接あるいは外部委託を通してのいずれかの)エンゲージメントの能力を促進する。

・ (株主権利の促進・保護などといった)政策、規則および基準設定の開発・策定に関与する。

・ 長期的視点に立ったESGに配慮した株主決議案を提起する。

・ ESG問題について企業と話し合い働きかけ(エンゲージメント)を持つ。

・ 共同のエンゲージメント・イニシアティブに参画する。

・ ESG関連のエンゲージメントを引き受け、それに関して報告するよう運用マネージャーに依頼する。


ここでいう「活動的」とは、「株主責任を自覚したモノいう投資家」ということを指し、株主責任を意識した責任ある投資家として活動的であることを意味すると補足説明されています。


 株主責任とは本来は受託者責任を負う機関投資家の責任ではありますが、地球規模での持続可能な成長を遂げるための投資家の責任とも捉えられます。アナン事務総長はこの責任投資原則のための会議において参加した多くの機関投資家に対し、「今、世界はあなた方の手の中にあることに気付いていらっしゃいますか?」と問いかけ、機関投資家の責任の大きさを説いたということです。


 また文中の「エンゲージメント」とは本来は契約とか両者間の取り決めといった意味ですが、ここでは、「株式所有者による企業への関与のことを指します。一般的には議決権行使にとどまらないで、そのほかの方法(直接対話など)も含む概念として認識されます」と説明されています。


「考えられる実施例」は機関投資家を想定したものですから、全てを個人投資家が同じように実施するのは難しいものも含まれています。

 しかし、この「考えられる実施例」にもあるように、「明るく豊かな未来造りのために株主としての責任や役割を自覚し、積極的に企業と対話することをこころがける」ことは、応援投資の立場からすれば個人投資家にも十分実施可能です。


具体的には、
・ 企業が発信する様々なメッセージを収集し、ESG要因を含めて明るく豊かな未来造りにどう貢献する企業なのかを知る。


・ 株主総会に出席する。またそれにとどまらず、様々な機会を通じて株主として積極的に企業とのコミュニケーションを図る。


といったことであり、取り立てて難しいものではありません。

 他者からの制約を受けることなく、自分自身の感性で共感できる企業を選択できるという、機関投資家にはない個人投資家特有のメリットを最大限に活かし、自分にとって魅力ある企業を発掘していただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 12:08 | コメント (0)

2010年10月28日

「責任投資原則」について

皆さんは、「責任投資原則」という言葉をお聞きになったことがあるでしょうか?

これは、2006年に当時のアナン国連事務総長が金融業界に対して提唱した、投資の考え方、枠組みです。英語で「PRI」(Principles for Responsible Investment)とも表現されています。

グローバル化が急速に進行し、経済活動は国境や地域といったボーダーを越えた一体化が進んでいますが、一方で地球温暖化、食糧問題、生物多様性、水不足といった環境問題も世界レベルで問題視されるようになっています。


また先進国と途上国の経済格差の拡大による貧困層の存在も大きな課題として認識されています。


加えて、エンロン問題などのように、企業の暴走が結果として投資家にとどまらず、多くのステークホルダーに損失を与えたことから、コーポレートガバナンスの重要性も謳われるようになっています。

そうした中、環境や社会問題の存在は投資パフォーマンスに影響を及ぼすという見方が近年高まってきており、「SRI(社会責任投資)ファンド」、「環境ファンド」といった運用手法が世界的に拡大してきました。

しかし、国連では世界レベルでこうした問題を解決していくには、より明確な枠組みが不可欠であるとの認識に立って、「責任投資原則」を提唱することとしました。

アナン国連事務総長は2005年の初めに責任投資原則を作成するために、世界の大手機関投資家等に呼びかけを行い、世界12カ国から集った20の機関投資家をはじめ、投資コミュニティー、国際機関、政府機関、市民社会、学者達が、2005年4月から2006年1月までの間に協議会を開き、また、それに加え何百時間ものフォローアップ活動も行われ、最終的にこの責任投資原則を制定しました。


『責任投資原則においては、受託者責任を履行しようとする投資家は「ESG問題」に適切に配慮する必要がある。』と責任投資原則の事務局の一つである、は国連環境計画・金融イニシアティブ(United Nations Environment Programme Finance Initiative = UNEP FI)は述べています。


責任投資原則において最も重要なキーワードはこの「ESG問題」です。


これは、E=Environment(環境)、S=Social(社会)、G=corporate Governance(コーポレートガバナンス)の略で、この3つの課題解決という観点を機関投資家の意思決定プロセスに反映させ、長期的な収益向上と持続可能な社会を実現していくことを提唱しています。


責任投資原則は以下の6つ原則からなっています。
1.私たちは投資分析と意志決定のプロセスにESGの課題を組み込みます。

2.私たちは活動的な(株式)所有者になり、(株式の)所有方針と(株式の)所有慣習にESG問題を組み入れます。

3.私たちは、投資対象の主体に対してESGの課題について適切な開示を求めます。

4.私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるように働きかけを行います。

5.私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します。

6.私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します。
(それぞれの原則には具体的な実施例があげられています。これについては機会を見て改めてご紹介していきます。)


この責任投資原則には2010年4月で、年金基金など203の最終投資家と387の運用機関が署名しているそうですが、同意・署名した機関投資家グループは、投資するだけでなく、積極的に企業評価を行っているようです。

一例として株式会社ニコンをあげておきます。
同社は今年4月、HPで以下のようなリリースを行っています。

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国連責任投資原則(PRI)への署名機関投資家グループがニコンをリーダー企業に選定
2010年4月22日

 株式会社ニコン(社長:苅谷道郎、東京都千代田区)は、企業・団体に向けた「人権」「労働基準」「環境」「腐敗防止」に関する自主行動の10原則である「国連グローバル・コンパクト」に2007年7月から参加しています。参加表明後は、ニコングループのCSR活動内容を報告したCSR報告書を毎年国連グローバル・コンパクト事務局に提出しており「Nikon CSR REPORT 2008」が「Notable COP(優れた活動報告)」として選定されています。

 このたび当社は「Principles for Responsible Investment(PRI:責任投資原則) 」に署名している機関投資家グループから、「Notable COP(優れた活動報告)」に認められた企業の中でも特に投資家に有用で良質な報告書を作成したとして、「Leaders」企業の1社に選定されました。PRIを重視する機関投資家グループは、2008年からこのような評価を開始しており、3回目となる今年度はニコンを含めた20カ国44社が「Leaders」企業として選定されています。

 ニコングループでは、今後も国連グローバル・コンパクトの10原則の実践に努めていくとともに、CSRを重視した透明性の高い、誠実な事業活動を行っていきます。

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このような動きは今後ますます活発になっていくでしょう。

「応援投資:企業と投資家が一緒に明るく豊かな未来を創り出していく。」を提唱している当社でも、このコラムなどで、責任投資原則、ESG問題について随時フォローしていきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:22 | コメント (0)

2010年09月30日

日本の高成長・低配当性向企業をピックアップ

読売新聞東京本社広告局との共催による個人投資家向けIR説明会「読売ブリッジサロン」を8月28日からから先週の9月25日まで計5回開催しました。毎回たくさんの個人投資家の方々にお集まりいただきましたこと、この場をお借りして御礼申し上げます。

読売ブリッジサロンでは、各回冒頭に弊社スタッフによる「株式市場ワンポイントコメント」という時間を設けています。これは、現在株式市場で話題になっていたり、是非個人投資家の皆さんが知っておいた方がいいというポイントについて、15分程度で簡潔にまとめたもので、毎回ご好評を頂いているコーナーです。

第5回目の9月25日は私が「配当について」というお話をさせていただきました。
内容は、このコラムで何度か述べたことです。

・高配当、高配当性向は、株主にとって一般論としては望ましいことである。
・ただし、企業のステージ、特に高い成長を遂げている際は必ずしもそうはいえない。
・そうしたステージに高い配当を要求することは、長期的に見ると企業にとっても、株主にとってもマイナスとなってしまう危険性もある。
・投資家は投資を行う際、「成長」と「配当」どちらを重視する投資なのかをしっかりと意識する必要がある。

資本市場が成熟した米国ではこうした考え方は企業側、投資家側双方に浸透しているようで、投資の教科書にはそうした記述が見られますし、企業側は明確な配当政策によって、そうした考え方をはっきりと行動に表しています。
マイクロソフトは長い間無配を継続していたことで有名ですし、グーグルは現在でも配当を行っていません。

そこで日本企業で、業績は好調ながらも無配もしくは低配当性向によって投資を優先するステージであることを示している企業は何社くらいあるかを、スクリーニングしてみました。


<スクリーニング条件>
・前期実績、今期予想共に、10%以上の増収・営業増益
・予想配当性向 15%以下
・対象は会社四季報掲載の金融機関以外の一般事業会社

参考までに2010年度の予想PERも併記しました。


image100929.JPG


結果として20社がピックアップされました。


20社が多いのか少ないのかは明確な根拠がないのでなんともいえませんが、私個人の感想としては「少ないのかな」と思います。


ただ少ない理由が、日本企業が明確な配当政策を示していないのであれば、今後企業側の意識の変化を期待することもできますが、日本の株式市場自体に成長企業が少ないのだとしたら、根本的な問題でちょっと憂鬱になります。

それはさておき、20社の顔ぶれを見ると、現在の日本を代表する成長企業がいくつも見受けられるようです。
クックパッド、カカクコム、エムスリーなど、PERを見ると既にかなりの評価を受けている企業もありますが、まだまだ低PERの銘柄もあります。詳細を調べてみる価値は十分あるかと思います。

株主として中長期で成長を享受できる企業選びは、株式投資の最大の醍醐味です。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 13:40 | コメント (0)

2010年09月15日

またまた「配当と投資」について

前回は、近年日本企業が投資よりも配当を重視している傾向が強まっており、それが国際競争力の低下につながっている可能性があり、経営者はもっとリスクをとった経営を行うべきだという一橋大学の野間准教授の論文をご紹介しました。

そこで今回は、そうした傾向のある中で、反対に、競争力を向上させ、企業価値を高めるために研究開発投資を継続的に増大させている企業を選び出してみました。


スクリーニング条件は以下の通りです。

「研究開発費(R&D費)を今期予想も含め、3期連続して5%以上増加させている。」


上位30社を、今期のR&D費増加率の高い順に並べました。また、参考のために、株価、時価総額、予想PER、今期営業増益率、配当性向も併記しました。

<list-1100915.JPG


(R&D費は単位:百万円。増加率は%、PERは倍、配当性向は%)


なかなか興味深い顔ぶれが出てきました。


例えば、1位の中央電気工業は、黒鉛に代わると期待されているリチウムイオン電池材料の車載用サンプル商品の製造を手掛け始めています。

2位の石井表記も、プリント基板製造装置メーカー最大手ですが、近年は太陽電池設備にも注力しています。

PERが10倍以下で割安感があるところでは、6位のオーナンバ。
太陽光発電配線ユニットで先行し、米国、欧州、中東など海外展開にも積極的です。


また、24位のシンプレクス・テクノロジーは、以前ご紹介した他のスクリーニングでも良く出てくる成長銘柄の常連ともいえる企業ですが、やはり積極的な投資を継続しています。

配当性向は10%台ですが、株主総会での質問に対して金子社長は以下のように回答しています。


「配当性向については、第2 次中期事業計画中は10%〜15%を想定しています。配当は会社財産の外部流出であり、内部留保とのバランスが重要と考えています。

一株主としての金子の個人的見解は、配当を0 として、再投資にまわしてもらいたいと考えています。というのも、当社はROEが30%を超えている状態なので内部留保を厚くして再投資して成長を加速させることが合理的と考えているためです。

ただし、これはあくまでも個人的見解であり、いろいろな考え方があることは理解しています。多様な株主の皆さまのいろいろな考え方のバランスをとることを念頭に検討した結果が、配当性向10%〜15%であると考えています。

なお、上記の議論は現在の成長率および資本効率を前提とするものであり、成長が鈍化すれば、それに応じて配当性向も上げるべきと考えています。」(同社HPより


こうした投資と配当についての明確な考え方をしっかりと株主、投資家に伝えている企業は、以外に少ないように感じます。


以上のように、このリストを元に個別で詳しく見ていくと面白そうな銘柄がドンドン見つかりそうです。


混迷した日本の政府が適切な競争力強化策を打ち出し、実行できるかは疑問(個人的には期待していません。)ですが、個別企業においては優秀な経営者が厳しい経営環境にも関わらず、企業価値を高めるために様々なアクションを起こしているということは是非知っておいていただきたいと思います。


また、企業の成長ステージによっては、株主が配当引き上げを要求することが、長期的に見れば企業の成長力を低下させ、結果的には株主がデメリットを受けることが有りうるということも、是非認識しておいてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 19:11 | コメント (0)

2010年09月06日

配当と投資について

数回前の当コラムで、「配当性向について」述べましたが、今回も株主にとって関心の高い「配当」について、企業の行う「投資」との関係について考えてみたいと思います。

企業の成長力が十分高い場合は、本来的には企業が生み出したキャッシュを、配当として外部に流出させるのではなく、設備投資や研究開発投資に回し、さらに成長力を高める方が、企業はもちろん投資家にとっても高いリターンに結びつくこととなります。


反対に企業が成長期を過ぎ、成熟期に入っている場合は、企業としては投資機会・投資額ともに少なくなっていますから、手元に現金を置いておくのではなく、配当や自社株買いによって株主還元を行う方が、株主にとってはメリットが大きくなります。


言い換えれば、「成長を目指し、競争力を高め、企業価値向上のために投資する機会を探しだし、投資を行うことが第一義。もし投資機会が見つからなければ配当で余剰資金を株主に還元する」のが、企業及び経営者の役割と言うことができるでしょう。
株価は企業がコントロールすることはできませんが、「投資」と「配当」は企業経営者にとっては、もっとも重要な意思決定事項であるのです。


そんな中、日経新聞の経済教室において、一橋大学准教授の野間幹晴さんが、日米の企業経営に関する通説について、下記のように大変興味深い指摘をされていました。


(1)「日本企業に比べ米国企業は株主還元を手厚く行っている」という配当政策に関する通説があるが、有配企業(上場企業のうち配当を行っている企業数の比率)は日本がほぼ横ばいなのに対し、米・英・カナダ・ドイツは低下傾向にあり、2009年では日本が86.5%に対し、米国は30.2%と日本が突出している。


(2)「米国企業は短期的・近視眼的な投資を行うのに対して、日本企業は長期的な視点に立って設備投資や研究開発投資を行う」という投資政策に関する通説があるが、1985年から2009年の間に前年より設備投資を減らした企業の比率は、日本は平均47.1%で、米・英・カナダ・ドイツ・フランス・韓国を合わせた7カ国の中で最も高い。研究開発投資についても、同期間で削減した企業の比率は日本が41.5%に対して米国は22.5%で米国の方が低い。

1985年から1989年という日本企業が高い国際競争力を誇っていた期間でも、減らした企業の比率は日本が24.0%で7か国中もっとも高く、米国は14.9%にとどまる。1980年代後半、日本企業は長期的視野に立った投資を行っているから国際競争力が高いと評価されていたが、皮肉にも既に他の国々より研究開発投資を減らす企業が多かった。
90年以降に日本企業が衰退していった一つの原因は、80年代後半から競争力の源泉である研究開発投資を削減していたからだろう。


(3)2000年以降、日本企業において設備投資あるいは研究開発投資総額を配当総額で割った比率は低下している。これは経営者が設備投資や研究開発投資よりも配当に重きを置いてきたことを示唆する。


というように、日本の企業は通説とは違って、投資より配当を優先させている傾向があり、企業価値を高めるためには経営者はリスクをとって投資を行うべきだとの論旨です。


この記事を読み、私も、国際的な競争力を失いつつあるように見える日本企業において、「投資」と「配当」がどんな状況になっているかを概観してみようと思い、四季報CD−ROMで調べてみました。


「設備投資+研究開発投資が、配当総額を上回っている企業」つまり、成長を目指した意思決定を行っている企業といえる企業ですが、


3期前 2,146社
2期前 2,058社
前期  1,886社


と年を追って減少しています。


また、「設備投資+研究開発投資」を3期前に比べて増大させている企業数が616社だったのに対して、配当総額を3期前に比べて増大させている企業数は729社と上回っています。


野間准教授も指摘されているように、経営者の本質的な役割は競争力強化のために、リスクをとって「どこにどれだけの投資を行うか?」を決定することでしょう。
ところが上述した様々なデータからは、実際にはそうした本来的な役割を果たさず、積極的に投資を行っている経営者は思ったより多くない、というのが実状のようです。

もちろんこれは日本企業全体を見た際の傾向であり、個別企業を見れば、株主還元とのバランスをしっかりと考えつつも、競争力強化のためのリスクをとることのできる優秀な経営者もいることでしょう。

投資家として「配当」と「投資(設備投資、研究開発投資)」をどう考えるべきか?、という問いは、なかなか難しい問題ではありますが、個人投資家のみなさんが必ず行うべきアクションは、「配当と投資について経営者がどのように考えているのか?」、また「どれだけ明確なメッセージを語っているか?」を知ることであるのは間違いありません。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 08:47 | コメント (1)

2010年08月18日

IR新時代における企業選択のプロセス

少し前になってしまいますが、7月24日(土)に個人投資家の皆さんを対象にセミナーを開催しました。
テーマは「IR新時代における企業選択のプロセス 〜応援すべき企業を発掘する〜」です。

今年の株主総会は、「役員報酬の個別開示(1億円以上)」が義務付けられた初年度ということで様々なメディアで取り上げられ話題となりましたが、これはほんの一例で、企業を取り巻くディスクロージャーやIR活動の環境は大きくかつ急速に変化しています。


今回のセミナーにおいては、これを「IR新時代」ととらえ、その中で個人投資家はどのように企業選択を行っていけば良いのかについて、私見を述べさせていただきました。


動画で配信中:http://www.evod.jp/IR/bin/IR.html?345&5&1


詳細は動画でご覧頂きたいと思いますが、ポイントは以下の通りです。


・「IR新時代」は企業にとってIRやディスクロージャーに対する「本気度」が明確に現れる時代。

・そのため「IR新時代」は、企業の本気度を比較することが容易になるという意味で、個人投資家にとって大きな追い風である。

・当社が提唱している「応援投資」の観点から応援すべき企業を探すには、「経営の質が優れているか?」が重要な視点である。

・「経営の質」を見分けるには、定性的、定量的双方のアプローチが必要であり、社長のメッセージを比較すること、ROEや配当政策の分析も重要。

・しかし最も大事なことは「IR新時代」というフォローの風の中で、自らが努力、工夫して自分が信頼できると感じられる企業を探し出すこと。


セミナー終了後、ご参加いただいた個人投資家の方とお話しする機会がありました。

その方は、これまでは業績動向とチャートを材料にした東証1部の超大型企業への投資が中心でしたが、どうも満足がいかないということで、今回のセミナーを是非聞いてみようと思いご参加くださったそうです。
「これからはセミナーにあったように、いろいろな機会を利用して情報を集め、応援投資の考え方で応援したい社長を探してみるよ。」と嬉しいお言葉をいただきました。


この「満足がいかない」というのが大変重要なポイントではないでしょうか?


株式投資の最大の目的がリターンを上げることは自明です。でも、全ての銘柄が右肩上がりに上昇する時代ではありませんし、企業は業績を継続的に向上させるには大変厳しい競争に勝ち抜かなければなりません。


そうした中で株式投資に満足するのは、単に株価のパフォーマンスのみでなく「+α」の部分がカギとなるのではないかと思います。

「α」とはつまり、「応援したいと思う期待とか信頼」です。

それがある程度の時間軸の中で具体化した時(製品・サービスが世の中を大きく変える。社会に貢献する。社会的存在意義が高まる。信頼を裏切ることなく企業が成長する。など)、結果として業績も向上しているでしょうし、株価もそれなりに評価されているでしょう。そうしたことを含めてトータルで「満足する」ことを望むのが株式投資本来の姿なのではないでしょうか?


皆さんはどうお考えでしょう。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 17:13 | コメント (0)

2010年08月06日

「ゆうパック遅配問題」について

先月の話になりますが、「ゆうパック遅配問題」は、国内の宅配業界では珍しい、広範で大規模なトラブルになりました。もしかしたら、みなさんの中にも「せっかくのお中元が台無しになった」というような思いをされた方がいるかもしれません。

今回は、ゆうパック遅配問題やごく身近な体験を交えながら、民営化って何なのかや、投資家としてこの問題をどうとらえるか、考えていきたいと思います。


さて、この騒動について郵便事業会社は以下のような骨子の報告を行いました。

<郵便事業会社による遅配問題の説明>
◇遅配の主な原因
・ペリカン便との統合で従業員と施設も継承するため「特に大きな問題は発生しない」と考えた本社などの認識が甘かった。
・日本通運から引き継いだ、あて先別に仕分ける機器の使用の訓練が不足していた。
・トラブル時の手作業を想定した人やスペースが足りなかった。
・中元期に増える冷凍荷物のために借りた保管庫が狭かった。
・混乱の中で各支店の状況が正確に本社に伝わらず、対応に遅れが生じた。


◇主な対策
・要員配置の見直し
・集配拠点の管理者育成
・繁忙期の期間雇用社員を対象に区分機の訓練を実施
・集配拠点を模様替えして作業スペースを確保
・業務運行把握のための支店機能強化


郵便事業株式会社の社長を始めとした中心スタッフは旧郵政省のキャリアの方々ですから、原因を明確に浮き彫りにし、的確な対応策を講じることをうたった以上のような報告書作成はお手のものでしょう。ただ、「報告書の字面だけでなく本質的な改善に向けた動きが期待できるのか?」といえば、どうなのでしょうか?

原口総務相は今回の遅配を「郵政が抱える構造的問題だ」と指摘したようですが、私もちょうどこの7月に「ゆうパックってどうなの?」と強い疑問と憤りを感じる経験をしました。


ゴルフバッグを自宅近くのコンビニ(ファミリーマート)からゴルフ場に送る時のことです。
2月ほど前にも使ったので同様に店頭に持ち込むと、前回は「片道ですか? 往復ですか?」と尋ねられたのですが、今回は、「往復のみの取り扱いになります」とのこと。1か所のみのプレー予定でしたから問題なかったのですが、「利用者側の事情は全く無視」なんですね。


ゆうパックの事情か、ファミリーマートの事情かはわかりませんが、なんとも殿様商売の風です。
ゴルフ便の利用状況からすれば往復便を使用する人の方が圧倒的に多いと思われますから、「往復便のみ」としてもたいていの場合は問題はないのでしょう。
でも、わざわざ「往復のみ」と限定しなくてもよさそうなものです。

往路をゆうパックで送っても、復路ではヤマト運輸を使われたら1顧客当りの単価が下がりコストが回収できないとか、そういう発想なのかもしれません。
利用者の視点を欠いた大変違和感のある対応でした。

木曜日にバッグを送り、日曜日にプレーして帰る際、また問題が起きました。

帰りの手荷物を軽くするためゴルフシューズをゴルフバッグに入れて送るのですが、通常、ゆっくりお風呂に入ってさっぱりし、身支度を整えてからその作業に取り掛かるものです(少なくとも私はそういう風にしてきました)。

ところがプレーを終えてロッカールームに行こうとすると、郵便事業会社のスタッフから「5時に最終の集荷が終わるので早く出して欲しい」と言われたのです。またしても「そちらの事情」での対応!! 
これには唖然です。ゆっくり風呂に入っていては間に合いません。仕方ないので1回ロッカールームへ行って靴を履き替え、またロビーに戻ってバッグにシューズを入れました。バッグに配達用のカバーを掛けようとしたら、ゴルフ場のヤマト運輸の女性スタッフが「私がやっておきますよ」と代わりにやってくれました(私の不満そうな態度に同情してくれたのでしょうか、、、)。

その一方で郵便事業のスタッフは何事もないような態度。もう二度とゆうパックは使わないと思いました。
また、私の体験ではないのですが、ゴルフ便をゆうパックで出そうとしたら時間が遅かったらしく「プレイ日迄に届きません」と言われたので、ヤマト運輸に持って行ったら問題なく前日に到着したケースもあるそうです。

極端に言えば、「最初からゆうパックがゴルフ便など取扱わなければ不愉快な思いや迷惑を受けずに済んだ利用者がたくさんいる」という現状だと思います。


ご存知の通り、郵便事業株式会社は日本郵政株式会社の100%子会社で、日本郵政株式会社の株主は100%が財務大臣です。
民営化したとはいえ、名ばかりに見えます。
この株主構造が、ガバナンスの欠陥およびステークホルダーに対する意識の欠落に繋がっていると考えるのは飛躍しすぎでしょうか?


もちろん本当の意味で民営化すれば全ての問題が解決するわけではありませんし、それに伴って進める効率化によってかえってデメリットを受ける利用者がいることは想像できます。
また、真の民間企業に変身していくには相当の時間が必要であることも、JR各社の例などからも明らかです。


しかし、「株主の応援の下で企業が新たなイノベーションを実現し、豊かで明るい未来を創り出す」という応援投資の視点からは、現在の日本郵政は全くの落第企業です。

株主構成の多様化を通じて、利用者満足度の向上に向けた経営体制の構築が急務であり、それこそが真の民営化の目的ではないでしょうか?

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 09:46 | コメント (1)

2010年07月21日

「配当性向」を考える

株主にとって、「配当」は極めて大きな関心事です。
株価はマーケットにおける様々な要因が複雑に絡み合って決定されるものであり、企業自らがコントロールすることは不可能ですが、配当は企業自らが決定できます。

企業の配当に対する意思表示が配当性向であり、企業が稼ぎ出した税引き後の純利益から株主に対する配当にいくらを回したか(もしくは回すか)を示すものです。
一般的には、配当性向は高い方が株主にとってはメリットが大きいということになりますが、一方では企業の成長ステージによっては必ずしもそうではないケースもあることには注意が必要です。


本来、利益を生み、配当を行う企業の活動とは、単純化すると次のようなものです。

<1>調達した自己資本を資産化して事業活動を行う。
<2>事業活動による売り上げから経費を引いて残ったものが利益になる。
<3>利益から税金を支払い、配当を支払った残りを次期に繰り越して(内部留保する)、自己資本に加えて事業活動を行い、利益を生み出し、税金と配当を支払って、残額を翌期の自己資本に加える。
<4>以降、この繰り返し。


この結果、自己資本、利益、配当とも、ある利率で増加していきます。この増加率、成長率が「内部成長率」とよばれるもので、「内部成長率=ROE(株主資本利益率=一株あたり利益÷一株あたり純資産)×(1−配当性向)」で計算されます。「1−配当性向」は内部留保率といいます。


内部成長率が高ければ高いほど、利益、自己資本、配当が高い利回りで増大するわけですが、それでは企業が内部成長率を高めるためにはどうすればいいかというと、この計算式からは、

・ROEを高める。
・配当性向を低める

のどちらかもしくは両方を行う必要があるということになります。


仮にROEが20%と高い企業、A社とB社があったとします。(ケース1)
両者とも株価はPER15倍、PBR3倍の3,000円。A社の配当性向は0%(無配)、B社の配当性向50%の場合、どちらの株主になる方がより多くのメリットを得られるでしょうか?

list100721-1.JPG


比較すると以下の点をあげることができます。

・受け取り配当総額は、A社 0円、B社 610円。
・5年後の一株当り純利益および一株当り純資産の水準はA社がB社を4割強上回る。
・5年後もPERは15倍のままだとしたら、株価はA社 6,225円、B社 4,380円。
・総リターン(キャピタルゲイン+インカムゲイン)はA社 +107.5%、B社 +66.3%で、配当性向が低いA社が上回る。


5年後のPERを両社とも15倍で不変であるという前提に変化があればもちろん結果は異なってきますが、実績としての利益の伸びはA社の方がB社よりも高いので、PERがA社はB社より高く評価される可能性もあるかもしれません。
このケースでは「配当性向が高くない」方が株主にとってはメリットが大きいという結論となります。

今度は、ROEが7%とそれほど高くないケースで、配当性向10%のC社と配当性向50%のD社で同様の比較を行ってみます。(ケース2)
株式購入時のPERは両社とも15倍で株価は1,050円とします。

list100721-2.JPG


・受け取り配当総額は、C社 0円、D社 187.5円。
・5年後の一株当り純利益および一株当り純資産の水準はC社がB社を15%程度上回る。
・5年後もPERは15倍のままだとしたら、株価はC社 1,380円、D社 1,200円。
・総リターン(キャピタルゲイン+インカムゲイン)はC社 +31.4%、D社 +32.1%で、配当性向が高いD社が若干上回る。


ケース1とはずいぶん異なった結果となりました。


ここでのポイントはROEの水準です。
ROEは株主の委託した資金を企業がどれだけの利回りで運用しているかを示す指標といえますから、ROEが高い企業の株主になるのであれば、配当を受け取らずにそのまま高いROEで自分が提供した資本を運用してもらった方が株主にとってはメリットが大きいことになるのです。また成長軌道にある企業ほど利益を配当にまわさず、成長のための投資に回したいと考えますから、企業と株主のメリットは一致します。
先程ふれた「内部成長率」を高めるための2要因「ROEを高める。」「配当性向を低める。」というのはまさにそうしたことを説明しているのです。


一方でケース2のように、ROEがそれほど高くない企業の場合は、株主としてはそれほど高くないROEによる運用に期待するよりも、確実に現金として得ることができる配当を要求した方がメリット大となりますし、成長のための投資機会が乏しい企業であれば、配当性向を高める方が株主の支持を得ることが容易になる場合が多くなるでしょう。


このように、企業が成長ステージにあるのであれば、株主としては配当よりも株主資本の成長を望むべきであり、過度な配当を要求することはかえってその企業の成長機会を奪うことにもなりかねません。
一方で成熟した企業であれば、着実に配当を得ることが株主にとってはメリットがあるのです。


ただ単純に配当性向の高さだけで企業選別を行うことは、中長期的なリターンを掴み損ねる恐れがあることを踏まえ、個別企業に投資する際は、今回は配当を重視する投資なのか、それとも企業の成長に参加する投資なのかといった点を明確に意識しておく必要があることを是非理解していただきたいと思います。


ただどちらの場合でも、短期ではなく中長期の視点が不可欠ですし、株主として経営者の考え方(成長戦略、配当政策、資金の使い道など)を様々な機会を通じて十分理解する努力が必要であることは言うまでもありません。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 10:41 | コメント (0)

2010年07月08日

IR活動にもイノベーションが求められる時代

3月期決算の株主総会が終了しましたが、前回のコラムでも触れたように、従来の「形式最優先(できれば株主に参加してほしくない)の総会」から「株主や投資家の理解を得るための重要な機会としての株主総会」への変革が着実に進んでいるようです。

土日開催による株主の参加しやすさ、招集通知の工夫、議決権行使状況の開示など様々な面で工夫が見られますが、前回のエーザイに続き、ユニークな取り組みを進めている企業の一つとして、シンプレクス・テクノロジー(東証1部上場、証券コード4340)をご紹介したいと思います。


というのは、私の知っている個人投資家の方たちの中で、同社のIRの姿勢に対する評判がとても良好なのです。


同社の事業内容はというと、四季報などを見ると「金融機関向けディーリングシステムなどの受託開発とFX取引の課金ビジネスが2本柱」とありますが、目に見えるサービスや製品を製造、提供している訳ではないので、個人投資家にとっては、中々理解することは困難な企業です。


同社ではこの問題をクリアし、多くの個人投資家に理解してもらうためのチャレンジを様々な方法で行っているのですが、そのための重要な柱というか指針となるのが、2009年11月に、上場企業としては初めて発表した「IR宣言」なるものです。


この「IR宣言」は、「IR活動を経営の最重要項目の一つとして位置づけ、パブリック企業としての説明責任を果たし、常に明瞭なメッセージを発信することで投資家・株主の皆様から信頼される企業を目指します。」(同社資料より)というもので、これをベースに具体的かつ本質的なIR活動を展開しているわけです。


同社においても当然のことながら、株主総会を個人投資家と直接コミュニケーションが取れる貴重な機会と積極的に捉えています。
そこでIR担当者に「株主総会においてどんな点に特に力を入れているか?」を伺ってみました。

「質疑応答を重視」
直接コミュニケーションを取る貴重な機会であるため、株主総会及びその後の懇親会において、一人何問でも、何人でも質問を受けるそうです。これは、同社の株主総会に参加された多くの方が評価していました。
(同社の金子社長の質疑応答を聞いたことのある方ならお解かりかと思いますが、金子社長のお話の上手さ、決して単にスピーチが上手いという意味ではなく、理路整然とした明確な回答もあってのことだと思います。)


「過去の話だけでなく将来の話」
株主総会は、終了した事業年度の報告とそれに基づく利益配分を株主が決議することが本来の目的です。ただ、株主にとっては将来その企業がどうなっていくかにも強い関心があります。
同社では、単なる事業報告ではなく、改めて同社の特徴を知ってもらうほか、今回は「Hello world,Hello innovation」という企業理念や同社の5つのDNA「1.No.1、2.Client First、3.Commitment、4.Professionalism 5.Global」など、「同社の目指すところ」についても詳細な説明を行ったそうです。


「先進的な議決権行使状況開示」
同社は今回の株主総会より、ガバナンスの強化及び株主総会に出席した株主の意見を経営にフィードバックし、株主を重視した透明性の高い経営を実施するため、当日出席株主の賛否集計を実施しました。
当日出席株主の賛否集計の実施は日本企業では非常に少ないそうで、株主重視の姿勢を明確に示した先進的な試みです。


具体的には、投票用紙を株主総会出席者全員に配布し、質疑応答後投票および回収を実施。またIC タグを利用した投票用紙を利用することで集計時間を大幅に短縮し当日集計を可能にしたそうです。
来期以降の総会においても、迅速かつ正確な当日出席株主の賛否集計を実施することで、今後も株主総会の透明性向上を図っていく考えだそうです。


このように様々な独自の取り組み行っている同社ですが、東証1部とはいえ、IR専任のスタッフが何人もいるという状況ではありません。
それでもIR活動をトップマネジメントのコミットメントの一つとして位置づけ、お題目ではなく本質的に取り組んでいる点は高く評価されると思います。

企業は本業での競争がますます激しくなると同時に、資本市場をいかに上手に活用するかというIR活動においても厳しい競争に直面しています。


この競争の勝敗のポイントは言うまでもなく「一人でも多くの投資家の信頼を勝ち得ることができるかどうか?」です。
そのために、まさにIR活動にもイノベーションが求められる時代です。


みなさんも是非いろいろな方法、機会を利用して同社のように、IR活動においても常にイノベーションを目指している企業を探し出したうえで、本当に信頼できる企業家、経営者かを更に吟味してみるという作業を繰り返してみてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 17:14 | コメント (0)

2010年06月24日

情報開示を選択のモノサシに

株主総会のシーズンがやってきました。
今年の株主総会の集中日は6月29日(火)となっています。
東京証券取引所のウェブサイトには、3月期決算会社の定時株主総会の開催日に関する各種データが掲載されています。

その中で、昭和58年3月期(1983年)以降の定時株主総会集中率の推移を見ることができるのですが、それを見ると昭和58年の70.1%から集中率は上昇しピークは平成7年(1995年)の96.2%となっています。
その後、急速に低下し今年2010年の集中率は42.6%と28年間で最低となっています。

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土曜日や日曜日に株主総会を開催する会社も増加しているなど、分散が進んでいることは感じてはいましたが、実際にここまで集中が緩和しているとは、正直驚きました。


特定株主に対する利益供与が厳しく罰せられるようになり「総会屋」が急速に存在感を失っていったこともあるでしょうが、バブル崩壊後、企業が生き残っていくには従来の横並び意識ではなく、差別化や自社らしさを打ち出していかなければならないという状況も、大きな要因と思われます。


今年の株主総会では、有価証券報告書に1億円以上の報酬を受け取る役員の情報を記載することが義務付けられたことから、「役員報酬の開示」が大きな注目を集めています。
ソニーのCEO ハワード・ストリンガー氏の役員報酬賀がストックオプションも含めて約8億円という記事が様々なメディアで報じられ、話題となりました。
日産のカルロス・ゴーン氏も約8億円だそうです。


ただ、1億円という基準の根拠が私には不明です。
『日本企業の場合「1億円」の役員報酬は高すぎる。』と関係当局が感じているとうことなのでしょう。


民主党政権になり「官」が槍玉に挙げられていますが、確かにこういう感覚については疑問を感じざるを得ません。
私は、日本企業の活性化や競争力の強化には、経営者に対するインセンティブの強化が絶対不可欠だと思います。


もちろん、企業業績と役員報酬の関係性については企業経営者に対してしっかりとした説明責任が求められますが、それは1億円だろうが1千万円だろうが一緒で、決定過程や考え方を明示すれば良いことであり、「1億円」という基準を敢えて設けないほうが、企業の情報開示をより実質的、本質的なものにしていくと考えます。


情報開示の充実というポイントにおいては、企業間格差が徐々に明確になってきたように感じています。

まず株主総会の招集通知を分かりやすくする企業が増えています。
いろいろなところで話題になっているので既にご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、エーザイ株式会社の招集通知は是非一度ごらん頂きたいと思います。

エーザイ株式会社 株主総会ウェブサイト

通常、招集通知というとそれほど高級ではない用紙を使用し、文章と数字だけというケースが圧倒的多数です。
これに対し同社の招集通知は、カラーを多用し写真も豊富に掲載されています。

中でも役員候補紹介のページでは11名の取締役候補の顔写真と、それぞれの候補の株主に対するメッセージが掲載されており、株主の目線に立って作成されていることが強く感じられます。
また、事業報告のページも大変わかりやすくかつ詳細で、FAQ(よくある質問)のページもあり、招集通知というよりは「この1冊でエーザイのことがよくわかるアニュアルレポート」といったほうが適切かもしれません。


また、同じ製薬会社の株式会社ツムラも同様にわかりやすく工夫が凝らされた招集通知です。

一方、大手の電機メーカーや自動車メーカーをいくつか見てみましたが、以外に従来どおりの通知スタイルの企業が多数でした。
これら企業も別途株主通信やアニュアルレポートを作成していますが、「株主総会」を義務付けられた制度と認識するのか、株主とのコミュニケーションを強化する重要なイベントと捉えるかの意識の差となっているのかもしれません。


もちろん各社ともいろいろとお考えになっているでしょうが、現実に比較をしてみるとどちらが株主や投資家にとって有益かは残念ながら自明です。
また、大企業と新興企業では予算やスタッフの数といった問題があるのは当然ですが、「株主の理解を進めてもらうには何が必要か?」を考え、工夫することは、企業規模や予算に関わらず可能なはずです。そうした工夫ができる企業は、本業でも様々なイノベーションが可能な企業と考えられないでしょうか?


信頼できる企業、応援すべき企業を探すために、多くの企業を見比べてみることを改めてお勧めいたします。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 09:19 | コメント (0)

2010年06月11日

「読売ブリッジサロン in 大阪」を開催します。

改めて申すことでもないのですが、当社では2000年9月27日を初回として、個人投資家向けIR説明会「ブリッジサロン」を開催しています。

2008年9月からは読売新聞とのタイアップによる「読売ブリッジサロン」も随時開催しています。(過去3シリーズを東京で開催。)
今回、この「読売ブリッジサロン」を大阪でも開催することといたしました。


7月3日、10日、24日の3日間(いずれも土曜日)、1日3社の上場企業のトップがIRプレゼンテーションを行います。
詳細はこちらから!

大阪ではもちろんのこと当社の「ブリッジサロン」で初めてプレゼンテーションを行う企業もありますので、関西在住の個人投資家の皆様、是非足を運んでみてください。
また3社のプレゼンテーションに先立ち、当社スタッフによる「株式市場ワンポイントコメント」も行います。今株式市場で話題になっている事柄などをわかりやすくかいつまんで解説するコーナーです。こちらも是非お役立てください。


このブログでもたびたび述べていますが、当社では「応援投資」という考え方を提唱しています。
株式投資とはリターンを追及することが第一義であることに間違いはありませんが、それに加えて「明るく豊かな未来を創り出す企業を応援するという視点」を是非個人投資家の皆さんには持っていただきたいのです。
今回の「読売ブリッジサロン in 大阪」が応援投資を考えるきっかけとしていただければ幸いです。


カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 18:09 | コメント (0)

2010年05月12日

FOIの粉飾

東証マザーズ上場のエフオーアイ(6253)に対し粉飾決算の疑い(金融商品取引法違反の虚偽記載)で、証券取引等監視委員会による強制捜査が行われました。

同社は昨年11月に東証マザーズに上場したばかりの企業で、売上高は上場前(2009年3月期)が118億円、2010年3月期が130億円の見通しですが、上場前の118億円の内、約100億円が架空売上だったとの疑いが濃厚だそうです。(ほとんど全てが粉飾!!)


当然当期の130億円もそれをベースとした水増しを行っていたことになるでしょうが、それにしても開いた口がふさがりません。
株式市場もギリシャ問題など懸念はありながらも何とか落ち着いてきたところで、こうした投資家の不信感を増大させる事件は全く論外です。

同社および経営陣は当然のことながら、同社の上場に関わった主幹事証券、監査法人はもちろんのこと、取引所の責任は極めて重いと思います。(作為、不作為含めてです。)

同社の上場後の株価動向を見てみると、2009年11月20日に公募価格850円を下回る770円が初値で、直後に515円まで値下がりしたものの、その後は順調に値を戻し2010年1月下旬には公募価格を上回る局面もあり、直近も堅調な推移となっていました。
さきほど知り合いの証券会社の営業マンと話をしていたところ、「業績も堅調なので、先日の下げた局面で買ったお客さんが結構いらしたんですよね。」と結構落ち込んだ様子でした。


株式投資は自己責任とはいうものの、「嘘」を言われたら個人投資家には裏の取りようがありませんし、そもそも株式の上場はなんなんだということになってしまいます。


今後は同社および経営者に対する責任追及が行われます。
そうした事後の対処も大事ですが、株主や投資家としては「そうならない仕組み」こそが最も必要・重要であることは言を待ちません。


市場のダイナミズムや活発化とこうした事件や犯罪とは表裏一体という側面も確かにありますが、企業、証券会社、監査法人、取引所、もちろん我々IRに携わる者も含めた市場関係者はもう一度「誰のため、何のための株式市場なのか?」を、しっかりと認識し、形式主義やお題目ではなく、本質的な行動をとらなければならないと考えます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 19:02 | コメント (3)

2010年04月27日

「IFRS」について:個人投資家はどう行動すべきか?

「IFRS」が採用された場合、個人投資家はどのようなことを考え、行動するべきなのでしょうか?


前回申上げたように、「IFRS」導入によって企業経営者は、自社の資産価値を変動させる様々な要因を的確に把握すると共に、その要因をどうコントロールしていくかを投資家に説明しなければなりません。
従来以上に、自社を取巻く環境(経済、事業、市場)の現在と将来を見通す力が要求されます。


また、期間損益計算重視から資産価値重視になるということで、リスクコントロールを行いながらバランスシートを拡大させていく経営戦略も重要になります。その点で重要なのが「見えない資産」の活性化です。

顧客、従業員、ノウハウ、ブランドといった目には見えないけれどもその企業にとって大きな強みや特徴である資産を明確に認識し、その資産をどのようにして活性化していくかの道筋を株主・投資家に対し分かりやすく、明確に示すことが経営者の大変重要な役割になることでしょう。


以上のように、経営における「攻め:見えない資産を活性化しての成長戦略」と「守り:リスクの認識とコントロールおよび説明責任」の両面においてより一層訴求力を高めることが求められるわけです。
そしてこれは結果的に、企業間における「経営の質」の優劣がより鮮明になっていくことにつながると考えられます。


こうした状況は企業経営者にとっては、なかなか大変で苦労も増えることになりそうですが、個人投資家にとっては大きなプラスとなるのかもしれません。

確かに、リスク開示がより徹底されるため、注記のボリュームは従来をはるかに上回るとも言われていますので、それを全て読み込んで理解するのは時間も手間もかかることになるでしょう。
しかし、本当に個人投資家に理解してもらいたいと考える経営者であれば、その情報もわかりやすく開示する工夫を行うでしょうし、「成長戦略」に関しても同様に個人投資家の目線に立って自社を理解してくれるようなアピールの仕方を考えるでしょう。


ですから、個人投資家の皆さんは、繰り返しになりますが、多くの企業を様々なIRツールを通じて比較することに力を入れて欲しいと思います。


そうした中で、「あの企業は信頼できそうだ。」とか「あの社長の言うことなら応援してあげたいな。」といった企業との出会いが生まれてくるのではないかと思います。
そういう意味では「IFRS」の導入は、「応援投資」という考え方がより多くの個人投資家に方々に浸透していくきっかけになるのかもしれないと考えています。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : invb | 17:13 | コメント (0)

2010年04月08日

「IFRS」について(続き)

前回「IFRS」採用による影響の一つとして、「損益計算重視から資産・負債重視へ」というポイントをあげました。
その他包括利益という概念の導入により、本業の利益に加えて保有株式の価格変動や、為為替換算差額、退職給付会計における過去勤務債務なども反映することがIFRSの大きな目的です。

つまり、営業利益や経常利益といった「期間利益」よりも、資産・負債の時価を勘案した「現時点での企業の価値はいくらなのか?」を明示することを重視する会計方針です。


企業の実態をより明確に反映するという目的のために、従来採用されていた商習慣・会計慣行なども変更されるケースがでてきます。


例えば、売上高の認識。
百貨店などでは一般的に、店頭に並んだ商品が実際に顧客に販売されるまでは在庫はメーカーや仕入先のもので、販売された時点で百貨店が仕入れ伝票を切り、売上計上するという「消化仕入」という取引が行われてきましたが、実際の在庫リスクは仕入先が負っているために、IFRSでは、百貨店は従来の「売上 マイナス 仕入」の差額を手数料として売上計上しなくてはならなくなるといわれています。
これは販売やサービスの提供を実質的に本人が行っているのか、それとも他人が実質的に販売やサービスの提供を行っており本人は代理店として指示などを行っただけなのかを厳格に判断するものです。IFRS採用の結果、これまでに比べると売上高は減少するわけで、小売、商社、ゼネコンなどの業種でこうした影響が出てくるものと思われます。


また、他に大きく変わる点としてはM&A時の「のれん」の取扱いがあります。
企業がM&Aを行った際、被買収企業の実際の価値と買収企業が支払った買収価額との差額(買収価額>実際の価額)を「のれん」といいますが、現在の日本基準ではこの「のれん」を20年間で均等に償却することとしています。これに対しIFRSでは償却はせず、毎期被買収企業の実態をテストし、継続的に利益を生み出せない見通しであれば減損処理を行うこととなります。のれん償却の負担減少は利益を押し上げることとなり、M&Aは従来以上に活発となることが予想されます。


これ以外にも、リース会計、退職給付会計など多くの点でIFRS基準への移行によるインパクトが出てくることが予想されますが、企業経営、投資家にはどんな影響がでてくるのでしょうか?


まずは企業経営について。

ポイントは先程触れた「現時点での企業の価値はいくらなのか?」ということです。
つまり、極端に言えば、企業経営者は自社の資産・負債を全て時価で評価することを義務付けられ、企業の経済的実態をより明らかにすることが強く望まれます。そのために財務諸表の本体以外に、定量的及び定性的な注記をしっかりと記述しなければなりません。(IFRS基準による注記のボリュームは、現在の日本基準と比べ2,3倍になるともいわれています。)

いいかえれば、企業の資産価値を変動させる様々な要因を的確に把握すると共に、その要因をどうコントロールしていくかを投資家に説明しなければなりません。
従来以上に、自社を取巻く環境(経済、事業、市場)の現在と将来を見通す力が要求されます。
つまり企業間における「経営の質」の優劣がより明確になっていくことが予想されます。


そうした中で、投資家(特に個人投資家)はどんなことを考えていかなければならないのでしょうか?(次回に続く)

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 | 19:18 | コメント (0)

2010年03月08日

グローバル競争における日本企業の技術力

先日、あるクライアントの社長とミーティングしていた際のお話です。
決算説明会後の機関投資家訪問で、よく聞かれたのが「新興国市場での事業展開」についてだったそうです。
同社は海外での高シェアが特徴の一つである企業なのですが、それは欧米の先進国市場におけるものが大半であり、新興国市場への浸透については手を打ち始めているもののまだこれからという段階です。

そこで、私が数ヶ月前参加したセミナーのパネルディスカッションで、あるメーカーのトップが以下のような趣旨の発言をされていたことをご紹介しました。


『改めて言うまでもなく日本企業の技術者は極めて優秀で、モノ作りに対するこだわり、追求の姿勢は世界一である。いままでにない高機能製品を作ろうとすれば寝食惜しんで没頭する。
しかし、これからの日本企業がグローバル競争に勝ち抜いていくには新興国市場の所謂ボリュームゾーンにおいて、いかにしてシェアを獲得することができるかが鍵となる。そのためには、そこそこの機能の製品を低コスト・低価格で供給していかなければならない。
そこで当社のエンジニアに「中程度の機能でいいので低コストで作ってみろ。」と言うと、これが実は簡単にはできない。頭の中がそうした発想によるモノ作りになっていない。
中国、韓国、インドに比べると技術水準はまだまだ日本が上であるというように言われているが、彼らのキャッチアップのスピードは想像以上のものがあり、一方で日本の技術者の発想が今までのままなら、グローバル競争の先行きは厳しいものがある。』


すると、その社長も同じようなことを強く感じていると仰っていました。

同社は30年程前に社長を始め数人で立ち上げた会社ですが、エンジニアである社長は、できたばかりの実績も乏しい小さな会社が受け入れられるには、特徴を絞り込んで差別化を図ることが必要と考えて製品開発に取組み、それが成功しました。ところが近年の特に若いエンジニアは、あの機能もこの機能も組入れようとしすぎるあまり、結果的にコストは高くなり、特徴のない製品になってしまう傾向が見られるとのことでした。
新興国に浸透していくには、コストを最優先課題とした製品開発が欠かせないのでその点に注力していくと仰っていました。


日本の技術者が世界レベルで優秀なことは間違いないことなのでしょうが、戦後から高度経済成長を経てバブル期までの「追いかけるステージ」と、これからのグローバル競争下での「追いかけられるステージ」では、必要とされる「技術」の意味や位置づけも大きく変化しているということなのでしょう。
「日本企業=高度な技術力」という単純なイメージは残念ながら再考の必要があるようです。


またグローバル競争は当然「輸出拡大」ということになりますが、この「輸出」についても良く考えてみる必要があります。
私が小学校の頃に習った日本の産業構造の特徴は「資源のない国なので、原材料を輸入して加工し、優秀な製品を全世界に輸出して成り立っている。」というものでした。
マクロ経済的にはその通りなのですが、会社四季報で海外売上高比率ランキングを調べてみると、全上場企業約3,800社の中で、海外向けの売上比率が50%以上の企業は286社、30%以上でも605社しかありません。


世界的な競争の中で勝ち抜いて事業展開をしている企業数が、実際にはイメージしているよりも少ないなあという印象です。
「日本企業への投資をどう考えるか?」という観点からすれば、この点はかなり気になるところです。


ただ、新興国市場開拓を積極的に展開して実績を積み始めた企業も出てきているようです。
前述したセミナーで聞いた話では、味の素はアフリカのナイジェリアで、1回の販売容量を現地事情に合わせて少量化したグルタミン酸を年間4万トン販売するまでに積みあがってきており、今後需要拡大が見込まれるアジア、アフリカ、中南米で同様の展開を進めていく方針だそうです。(日本国内での販売は10万トン)

グローバル競争に日本企業が勝ち残ることができるか否かは決して楽観できない状況かとは思いますが、これからの日本企業の奮起に期待したいところです。


参考までに海外売上高比率が30%以上で、前期、今期とも営業増益企業をスクリーニングしてみました。
さすがに厳しい条件なので19社しか出てきませんでしたが、高い競争力を持ったユニークな企業も見受けられます。

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カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 | 09:54 | コメント (0)

2010年02月04日

続けて雪が降りました。

1日に続いて昨晩も東京で雪が降りました。
40歳を超えてから寒いのが苦手になってきたので、帰宅途中ちょっと嫌な感じに。
でも、「温暖化の影響で今年の冬はついに東京では雪を見ずに終わるのかな。」と思っていたところでしたので、何となくホッとしました。

それにしても、このところ6時、7時あたりの帰宅時間の電車が凄く混んでいる気がします。
昨日3日の水曜日はノー残業デーということだそうですが、水曜以外でも混んでいますよね。
やはり景気の影響なんでしょうか。


さて、話は変わって、、、、

株式市場では、外国人の大幅な買い越しが続いています。売り方の買戻しもあるのでしょうが、11月第4週から8週連続の買い越しとなりました。
昨年2009年の外国人の買い越し額は1兆1,775億円でしたが、12月だけで1兆3,021億円買い越し、また、1月第1週の買い越し額は、5年10ヶ月ぶりの大幅な買い越しとなりました。

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このように昨年後半からの外国人投資家が日本株に対して強気になってきた背景としては、為替相場の円高修正をきっかけに、欧米やアジアの主要な株式相場と比べて出遅れている日本株の見直し機運が広がったことがあげられるようです。また12月は、日本株の保有比率を減らし過ぎていた欧米の機関投資家が、彼らの決算期末(12月)を前に持ち高を戻す目的で買いを増やした面もあると言われています。
一方、事業法人や金融機関は一貫して売り越し。国際会計基準の導入を見据えて、一部で持ち合い解消等も進んでいる模様です。

外国人投資家と一言で言っても様々な投資スタイルがあるので、一括りにして論ずることは難しいと思いますが、共通する特徴をあげるとするとまずは「株主としての意識の強さ」となるでしょう。

日本の機関投資家や個人投資家の株主としての意識も近年急速に高まってきてはいますが、歴史的な経緯や自己主張の強さといったような国民性の違いなどから、外国人投資家の株主としての意識の強さはやはりワンランク上と感じます。


ただ株主としての意識の強さといっても、その表現の仕方は様々です。

一つは、今回の金融危機を契機とした景気悪化で、さすがに会社の存立基盤を揺るがすことにつながるような配当政策を要求するような主張は聞かれなくなりましたが、株主としての権利を主張し経営陣の交代も含めて積極的に会社側に働きかけ、会社側との対立も辞さない、いわゆる「アクティビスト」と呼ばれるタイプの株主です。増配を強く要求しておきながら、配当を受取った途端に売却してしまうというような短期的行動に走るケースもあるようです。


もう一つは、経営者と対話を行う中で、投資家の視点から様々なフィードバックを提供し、経営の改善を通じて企業価値の向上を図るタイプです。動きが派手でマスコミが取り上げ易い「アクティビスト」と比べると目立ちませんから、個人投資家の皆さんが目にする機会は少ないかもしれませんが、こういうタイプの外国人投資家も存在します。実際私がお付き合いのある複数の企業において大株主に登場しています。会社側にどんなやり取りをしているのか伺ってみると、年に数回会社にやってきて、様々なディスカッションを行い経営にとって有益なヒントを得ることもしばしばあり、目標株価も結構高い水準に置いているのでかなりの長期投資スタンスということでした。


アクティビストにおいても(建前も含めて)「企業価値の向上」が目的ですし、後者にしても投資した限りはパフォーマンスの追求が最大の目標ですから綺麗ごとだけでは済まない場合があるでしょうから、どちらのスタイルが正解であるとは簡単に結論付けられない問題ですが(実際に経営陣の能力に問題ありというケースもあるでしょう。)、「応援投資」を掲げる立場からは、企業を温かくも厳しく見守り、言うべきことは言うという後者のスタンスが望ましいと考えます。


また、外国人投資家の特徴としてはもう一つ、「運用能力の高さ」をあげることができると思います。長い年月をかけて磨かれた企業分析と企業選択の手法、投資のノウハウは、厳しい競争の中で培われてきたものであり、国内の投資家と比べると一日の長があることは認めざるを得ないと思います。


そこで、外国人投資家が大幅な買い越しを続けている中、外国人の持株比率が上昇している企業をスクリーニングでピックアップしてみました。

条件は、

・最新の外国人持株比率が20%以上
・決算期2期前に比べ外国人持株比率5%以上上昇

というもので、増加幅の大きい順にランキングしてみました。
また参考に今期予想の営業増益率、今期予想PERも併記しました。
(会社四季報CD-ROM版 2010年新春号より)

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実際に作業をして思ったのですが、外国人投資家といっても内容の極めて不透明なケースもあるので注意が必要であるものの、「優れた経営の質」が大きな特徴となっている企業が
いくつも見受けられました。決して外国人投資家の後追いをしろといっているわけではありません。
でも外国人投資家が注目する企業は、それなりの全うな理由があるのです。
企業研究の一つの材料としてみてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 | 18:33 | コメント (0)

2010年01月27日

JALの破綻で思うこと

日本航空が会社更生法の適用を受けることとなりました。負債総額2.3兆円は事業会社では過去最大とのことです。また公的資金枠9000億円も用意されるそうです。


今回の倒産が意味するものは、マスコミによると「政官業の持たれ合い構造に終止符」、「透明性の高いシステム構築の必要性」などだそうですが、私が良く解らないのは公的資金を使ってまで再建に取組まなければならない必然性と、一歩譲って日本のロジスティックスに大きな影響が出ることを避けるという必然性を認めたとしても、その必然性を国民に理解させるプロセスがあったのか?という点です。

まあ、こうした問題は時間の経過と共にうやむやになるのが常のようですが、国民は今後の再建の行方もっと関心を持って注視する必要があるのではないかと思います。


さて、今回の件を投資家の観点から考えてみると、いくつか考えさせられる事実を指摘することができます。


昨年11月の当コラムで「経営の質」を見極めることが重要であるということを述べ、そのポイントの一つとして、「取締役の数」をあげました。
日本航空の場合はどうでしょう?
社長1名、副社長3名、常務取締役3名、取締役8名の実に合計15名でした。
もっとも同業の全日空はJALを上回る17名!! 新規参入したスカイマークはグッと減って4名。ちなみにJALと似た、他の「官的企業」を見てみると、東京電力は20名、NTTは12名、JT9名などとなっています。
何人が適正とは断言できませんが、取締役の数と経営の質には高い相関関係があるのではないでしょうか。


また、四季報で日本航空の株主構成を見てみると、2009年9月30日の大株主第5位は日本航空グループ社員持株会で保有株数37,017千株となっています。これが、半年前の2009年3月末は37,302千株、2008年3月末は38,326千株ですから、1年半で130万株減少しています。

従業員の退職が増え、退会したりといった理由もあるかと思いますが、重要なステークホルダーである従業員の気持ちも会社から離れていったと取れるかもしれません。

(余談になりますが、私が大学4回生となって就職活動を開始した頃、もう二十数年前になりますが、複数の先輩から「JALだけはやめておけ。」と忠告されたのを覚えています。当時、JALといえば大学生の就職人気ランキング上位の常連でした。
先輩が「やめておけ」と忠告した理由としては、関連する方もいらっしゃるでしょうからはっきりとは書きにくいのですが、自分の将来を見据えて仕事をするための環境ではない、ということでした。)


さて話は変わりますが、前回の当コラムで今年は企業にとって「より投資家を意識した経営を目指すことを求められる年となる」であり、その意味するところを表すキーワードは、

・公開会社法
・独立役員制度
・コーポレート・ガバナンスの充実
・議決権行使結果の開示

などであるということを書きました。


そこで、過去1年間の適時開示情報から、「議決権行使結果を開示した企業が何社あるか?」を調べてみたところ、22社が、というか22社しか見つけることができませんでした。
日本企業の取組みはまだまだというのが実状です。


そんな中、東証1部上場のシンプレクス・テクノロジーという会社は、今年の1月19日に「過年度(第11 期および第12 期) 定時株主総会における議決権行使の結果に関するお知らせ」というリリースを行い、平成20 年6 月21 日に開催した第11 期定時株主総会、および平成21 年6 月21 日に開催した第12 期定時株主総会における議決権行使結果を開示しています。

同社はこのリリース内で、過年度定時株主総会における議決権行使結果の開示を行う背景について、以下のように述べています。


「当社は、2009 年11 月2 日に上場企業初となる「IR 宣言」を明確に宣言・公表し、IR 活動を経営の重要項目の一つと位置づけ、中長期的な株主満足度を高めることができるIR 活動を実施しております。
このたびの過年度定時株主総会における議決権行使結果の開示も、「開かれたIR の推進」に向けた取り組みの一環として位置づけております。会社の最高意思決定機関である株主総会の透明性を高めていくことで、投資家・株主の皆様からの信頼度を向上させていきたいと考えています。
当社は今期以降も株主総会における議決行使結果の開示を行う方針です。今後も引き続き、株主・投資家の皆様の声に真摯に耳を傾け、対話の内容を経営にフィードバックする双方向性の高いIR を展開し、社会の公器たる役割を果たしてまいります。」


まさに、株主・投資家を意識した経営を推進することを明言しているわけです。

日本企業、日本の株式市場の行く末に対しては悲観的な見方が多数のようですが、こうした取組み、姿勢がより多くの上場企業に広がり、名だけではなく実を伴った経営が行われてくことをきっかけに投資家の信頼が醸成され、例えば「日本企業って、新興国みたいな派手さはないけど、真面目でいいじゃない。」といった評価につながることが、日本企業・日本株が再浮上するための道の一つかもしれないとも思います。

(ちなみに、シンプレクス・テクノロジーの取締役は5名です。)

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 | 16:15 | コメント (0)

2010年01月12日

より投資家を意識した経営が求められる年

新年明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。


昨年の前半は金融危機の影響で「これから世界はどうなってしまうのか?」という不安一色でしたが、後半に入ると円高などもありましたが、やや持ち直して1年が終わりました。
(民主党政権の動きを見るとまだまだ安心するのは早そうですが、)今年の株式市場で注目されそうな話題、テーマはいろいろ上げられていますが、「株主になること」という視点から私が最も注目しているのは、企業にとって「より投資家を意識した経営を目指すことを求められる年となる」ということです。

その意味するところを表すキーワードは

・公開会社法
・独立役員制度
・コーポレート・ガバナンスの充実
・議決権行使結果の開示

といったところです。
それぞれのキーワードを簡単に説明します。


<公開会社法>
上場企業を対象に、情報開示や会計監査の強化を促すことを趣旨とした法律で、政府が法制審議会に諮問する方針を固めています。
民主党が昨年7月にまとめた素案が議論のたたき台となるようで、趣旨はヾ覿氾治の強化、⊃堂饉劼了匆饉劼紡个垢訐嫻い筝限の明確化、情報開示の徹底です。
株主のみを重要なステークホルダーと位置づけるのではなく、監査役の一部を従業員代表から選任することなどが争点になりそうです。経営の透明性を高める点を評価する声がある一方で、機動的な経営ができにくくなるなどの声もあります。


<独立役員制度>
上場企業は今年3月末までに社外取締役・社外監査役の中から「独立役員」を1人以上選び届けなければなりません。選任できない場合は罰則の対象となります。(2011年以降)
親会社の業務執行者、主要な取引先、報酬を得ているコンサルタントなど、経営陣と利害関係があっていけません。
ただ、ふさわしい人材を確保するのはなかなか難しそうではあります。


<コーポレート・ガバナンスの充実>
東証は昨年12月「上場会社コーポレート・ガバナンス原則」を改定しました。
主な改定点は、〃弍弔離哀襦璽弉修凌陛犬鬚佞泙─▲魁璽櫂譟璽函Εバナンスをグループ全体で実現する必要性を追加、監査役の機能強化の観点から留意すべき点を追加、「多くの上場会社にとって、株主・投資家等からの信認を確保していく上でふさわしいと考えられるコーポレート・ガバナンスのモデル」3類型を備考として付記。の3点です。
同時に、「上場制度整備の実行計画2009(速やかに実施する事項)」において、コーポレート・ガバナンス体制に関する開示の充実を掲げており、上記の「独立役員」に関しても、独立役員を確保できているか?などをコーポレート・ガバナンス報告書において開示することを義務付けています。


<議決権行使結果の開示>
現在の会社法では賛否の票数の集計、開示は求められていませんが、東証は株主総会での議決権行使結果を開示するよう求めることとしました。
現在でも開示を行っている企業もありますが、まだまだ少数です。
議決権行使結果が開示されれば、企業の考えと株主の考えがどの程度一致、もしくは離れているかがより明瞭になり、企業としては、株主に理解してもらえるような対話を進めていく必要性が益々強まります。


以上4つのキーワードから導き出されるものは、要約すれば「情報開示の強化と経営体制の透明化」ということです。

中でも、情報開示の強化は、企業にとって株主に対する説明責任の強化にとどまらず、より広範な投資家を意識した経営に向わせると考えられます。
例えば議決権行使結果の開示に関して言えば、賛否の数字はあくまでも現在の株主の考えを示したものですが、「役員の選任」、「役員報酬の開示」、「独立役員の選任」といった重要な議案に対しての企業と株主の考え方の遠さ・近さは、まだ株式を保有していない投資家にとっては大変重要な投資判断のための材料となるでしょう。
また、現在の会社法は基本的には「企業と株主」の関係を対象としていますが、前述のように公開会社法では対象とするステークホルダーの範囲を広げており、株主以前の「投資家」もその対象となると考えられます。

このように、今年から企業が義務付けられ、あるいは取組むべき諸制度は、より一段と投資家の視線、投資家との対話を意識した企業活動につながるものになると考えています。
それでは、そうした環境下で個人投資家が行うべきことは何でしょうか?


私は、最も重要なのは企業が開示した情報を、より丹念に読み込んでいく努力になると思います。
現在株式を保有している企業はもちろんのこと、「応援すべき企業候補」に関しても、経営の透明性、ステークホルダーに対する意識などがどの程度高いか?あるいは低いか?を明確に判断しやすくなるはずです。
真剣により多くの投資家にファンになってもらいたいと考えている企業であれば、義務付けにとどまらず質・量両面で積極的な開示を行っていくでしょうから、個人投資家としては他社比較を繰り返し行って、有用な情報を今まで以上にたくさん得ることができるような環境となるでしょう。
逆に、そうした環境を有効に活用できるか否かも、個人投資家個々の意識にかかってくるとも言えそうです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 | 11:03 | コメント (0)

2009年12月22日

IRの評価ポイント

企業のIR活動に対する姿勢や考え方を数社間で比較することは、「応援投資」における企業選別の上で大変重要なポイントであることはこのコラムで何度も触れてきました。

それでは具体的にどんな所を見ていけばいいかを考えるために、今回は、評価のための参考材料として、社団法人 日本証券アナリスト協会が行っている「証券アナリストによるディスクロージャー優良企業選定」をご紹介いたします。


これは、同協会ディスクロージャー研究会が企業の情報開示の向上を目的として平成7年度からスタートさせてもので、約400名の証券アナリストが一定の基準に該当した企業を対象に、ディスクロージャーやIR活動の姿勢、取り組み状況を100点満点で評価するものです。
11業種、新興市場銘柄、個人投資家向け情報提供、に分類してディスクロージャー優良企業を表彰しています。


<平成21年度の優良企業> 

建設・住宅・不動産   大東建託
食品          アサヒビール
鉄鋼・非鉄金属   住友金属工業
電気・精密機器   日本電産
自動車・同部品・タイヤ   日産自動車
電力・ガス          大阪瓦斯
運輸          東日本旅客鉄道
通信          エヌ・ティ・ティ・ドコモ
小売業          ローソン
銀行          りそなホールディングス
コンピューターソフト   野村総合研究所
新興市場銘柄   日本マイクロニクス、エス・エム・エス、ジュピターテレコム
個人投資家向け情報提供 アサヒビール、日本電産、東京瓦斯

この中で、個人投資家向け情報提供の評価分野および評価基準・項目は、以下のようになっています。
(評価分野と配点)
仝朕妖蟷餡噺け会社説明会の開催等 21
▲曄璽燹Ε據璽犬砲ける開示等        59
事業報告書等の内容        20
  
各評価分野の評価項目

仝朕妖蟷餡噺け会社説明会の開催等
・過去1年間の開催回数
・説明会で誰が説明を行ったか?
・説明会の内容をHPで掲載し誰でも閲覧できるか?(資料のみか?動画又は音声も視聴できるか?)
・HPに掲載されている説明会の内容は分かりやすく充実しているか?

▲曄璽燹Ε據璽犬砲ける開示等
・IRに関するHPは利用しやすく、かつ分かりやすく工夫されているか?(探しやすさ、画面構成など)
・ニュースリリースは全てHPに掲載されているか?
・個人投資家向けサイトが設けられているか?
・個人投資家向けサイトは充実しており、かつ分かりやすく工夫されているか?
・事業内容が分かりやすく一般投資家に理解できるよう説明されているか?
・HPに掲載されている短信、説明会資料、補足資料などについて、業績の動きが具体的に分かりやすく説明されているか?
・HPに掲載されている短信、説明会資料、補足資料などについて、経営目標・経営戦略が会社の強みや課題などを踏まえて具体的かつわかりやすく説明されているか?
・HPに掲載のよくある質問と回答は、会社の事業内容や業績を理解するうえで、有益な質問項目が設定されている等全体的に充実し、わかりやすいか?


事業報告書等の内容
・全体として、図表等を用いることや適切な文字の大きさにするなど、読み手が見やすく、かつ理解しやすいような十分な工夫がなされて作成されているか?
・経営方針、中・長期経営ビジョンが分かりやすく、かつ簡潔に説明されているか?
・業績の動きが分かりやすく説明されているか?


個人投資家向け情報提供でトップのアサヒビールは総合評価点87.2点で、分野別では
仝朕妖蟷餡噺け会社説明会の開催等 1位、▲曄璽燹Ε據璽犬砲ける開示等 2位、事業報告書等の内容 1位となっています。
個人投資家向け説明会の内容を動画配信するようになったことなど、多くの項目で評価点が前年度より上昇しているそうです。
また2位の日本電産、3位の東京瓦斯も説明会を積極的に開催するほか、HPや事業報告書等を個人投資家に丁寧に分かりやすく理解してもらう工夫がなされていることが高評価につながっているようです。


私もこの3社のHPを閲覧してみましたが、どれも個人投資家を意識した大変わかりやすいものとなっていました。
皆さんも、ここに上げた評価基準に自分の気になる企業を当てはめて採点してみてはいかがでしょうか?


もちろん、単に「動画配信」、「カラフルでデザイン性に優れた株主通信」があれば投資に値する企業であるということにはなりません。
大切なのは「経営の想い」、「ビジョン」であることは明白です。
ただ、「個人投資家に理解してもらいたい」という真剣な想いが具体的なツールから伝わってくることも確かです。そうした想いのある企業と、あまり感じ難い企業。応援するならどちらが好ましいかも、明らかでしょう。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 | 12:28 | コメント (0)

2009年11月13日

「経営の質」を見極めるには

前回のコラムでは、「本物の投資家たちからの夢をかなえる贈り物」という本を紹介し、特徴的なコメントを列挙しました。
他にも以下のようなアドバイスが紹介されています。

「優れた企業文化、人材、価値観を持った企業に投資すること。企業にとって最も大切な資産は人材。企業が社員をどう評価しているか、逆に社員が企業についてどう考えているか、経営陣や社員にじっくり聞いてみてください。企業理念が明文化されているなら、それに行動が伴っているかどうかを必ず見極めてください。明確なミッションの実現に向かって、全社員の意思統一がなされている企業を探すことも重要です。」


「多くの企業を研究した結果、私は7つのバリューリーダー企業(価値創造型の企業)を発見しました。売上高、利益率、株価パフォーマンスとも同業他社を凌駕する企業は、7つのバリュー・リーダーシップの原則を共有していることがわかります。
/祐峇愀犬鮟纏襪靴討い襦:成功している企業は社員を大切にすることの重要性を理解しています。社員に対して誠実に接すれば、社員は顧客に丁寧な対応をします。その結果、顧客はリピーターになる可能性が高くなります。
▲繊璽爛錙璽を強化する。:自己の利益を会社の利益に優先させています。
B審曚了餠發鯣颪笋気困房存海鮃圓Α:社員が積極的に企業文化としてこれに取り組んでいます。
ご覿箸箸靴討寮嫻い魏未燭后:事故等が起きた際、単に危機管理対応とすることに終始せず、企業理念に立ち返って意思決定し、素早い対応を行っています。
ゼ己満足を戒める。:成功しても、問題点を洗い出し、解決・改善するための分析を行っています。自己批判精神と改善を求める気概を特徴とする企業文化は、自己満足を打破し、企業を進歩させるうえで非常に重要な役割を果たします。
κ数の分野で抜きんでる。:一つではなく複数の分野で競争すれば競合他社が戦略でコピーするのが難しくなります。
地域社会に貢献する。:地域社会のニーズを理解し、そのニーズと会社の成長を融合させています。
投資家がこれらバリュー・リーダーシップを活用する上で大切なのは、その要素の強弱や高低を的確に判断することです。」


これらのアドバイスから、株式投資を成功させるには投資対象企業の「経営の質」を見極めることが大きなポイントであるということがわかります。


では具体的にどうやって「優れた経営がマネジメントしている企業」であるかを見極めるか?
そのためにはまず、「縦」と「横」という視点を持った比較分析が有効かと思います。
「縦」とは、その企業を過去数年にわたって調べること、「横」とは、他社(同業や場合によっては他業種も)と比較することです。


まず「縦」の分析における主要な項目を考えて見ましょう。

ゞ叛
<ポイント>
「経営者は株主から企業価値向上を追求した企業経営を委任されている」という株式会社の形態から、経営者が株主に対する約束をしっかりと実行できてきたかは当然ながらチェックすべき項目です。
<検証方法>
過去数年間にわたり、期初の業績予想と実績がどれだけ乖離していたかを決算短信、業績予想修正などのリリースでチェックします。
最近はHP上で数年分の決算短信やIRリリースが入手できるケースが殆どです。


下方修正が毎期相次いでいるケースはもちろん問題ですが、気をつけなければいけないのは上方修正です。株式市場におけるインパクトを狙って、初めから堅め、低めの予想を発表する場合も見受けられるからです。そもそも優秀な経営者であれば、売上、コストともに的確な計画を策定するでしょうから、毎期期初予想通りに着地(若干上目で)するのが理想型ともいえるでしょう。
また中期経営計画などを策定している場合は、その進捗状況をチェックすることも重要です。その際は、数字としての結果だけでなく、
・中期経営計画遂行のための施策がなにか?
・その施策を経営者が考えたとおりに実行できたか否か?
も調べる必要があります。


経営体制、企業理念、経営方針
<ポイント>
事業環境が大きく変動し、先行きの見通しが不透明な世の中ですから、企業そのものも変わらなければいけません。また逆に変わってはいけない部分もあります。
中長期の将来を見据えて事業を展開できる経営者および経営体制なのかをチェックします。
<検証方法>
1.大株主の構成
経営者と株主との間の信頼と適度な緊張の下に、経営者が思い切って経営手腕を振るうことができるのが理想です。大株主が頻繁に変わるケースは、株主の思惑もありますが、経営者が株主に信頼されていないこともあります。
四季報、有価証券報告書などでチェックすることができます。

2.取締役の数
企業の規模にもよりますが、迅速で有効な経営判断を実行していくにはやはり少数精鋭の経営チームであることが重要です。
取締役の数を時系列に調べ、減少していれば「経営革新に本気で取り組んでいる」と考えられるかもしれませんし、逆に合併、統合のためポストを作らなければならなくなっている企業であれば不必要な増員かもしれません。
有価証券報告書や四季報などで確認できます。

3.企業理念や経営方針
創業以来一貫した企業理念や経営方針も重要ですが、新たに企業理念を掲げた企業も注目してみると面白いと思います。
これもHP上でチェックすることができます。
厳しい事業環境下、より競争力を高め差別化を図るために、企業の進むべき道を顧客、従業員、取引先、株主などステークホルダーに対してより明確に示すことは経営者の大変重要な役割です。
新たに掲げた企業理念が「共感できる」ものであれば、「経営の質」を判断する重要な材料となるでしょう。


次回は「横」の分析についても考えてみたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 | 17:40 | コメント (0)

2009年11月05日

面白い本を見つけました。

仕事柄、本屋さんの「株式投資」のコーナーへよく足を運びます。ただ、「◎◎で1億円稼ぐ方法」といった、いわゆるノウハウ本を手に取ることはありません。
あったとしても、「確実に儲かる方法を体得して、そのノウハウを惜しみなく世の中に提供してくれる大変に奇特な人」がどんな素晴らしいご託宣を仰っているのか、少し興味があってパラパラと眺めてみるだけです。


そんな中、カテゴリーとしてはノウハウ本に入るのでしょうが、単なる儲け方の伝授などではなく、多くの個人投資家の皆さんに大変参考になると思われる本に出会いましたので、ご紹介したいと思います。
題名は「本物の投資家たちからの夢をかなえる贈り物」(著:リズ・クラマン、訳:福嶋俊造。エクスナレッジ)です。
(2007年発刊なので新しいわけではありませんが)


この本は、著者の個人のノウハウを提供する本ではなく、CNBC(米国のビジネスニュース専門放送局)で金融ニュースのキャスターを務めてきた著者が、多くの著名投資家や経営者との交流の中で知ることのできた、彼らの投資に成功するためのポリシーや座右の銘を紹介したものです。著者は「彼らが有益だと信じている考え方やアイデアが平明な言葉で語られています。ただし、『必ず成功する方法』を吹聴している投資家は一人もいません。」と書いているように、ウォーレン・バフェットやジム・ロジャース、ドナルド・トランプを含めた64名の投資家や経営者が彼らの経験と実績の中から、個人投資家が留意すべきポイントについて大変わかりやすくアドバイスを述べています。


スペースに限りがありますから全てをご紹介できませんが、私が「ふむふむ」と思ったものを以下、並べて見ます。


「第一のそして最も重要な原則は、株式を発行企業のビジネスと絡めて評価し、その事業内容をありのままにしっかり理解すること。必要以上に過大評価したり、ブローカーや第三者の言うことを鵜呑みにしたりしないことです。ビギナーはまず企業が投資家向けに公開している財務報告書などの書類を熟読しましょう。」
ウォーレン・バフェット
(バークシャー・ハザウェイ CEO)


「自分の興味や情熱の対象がはっきりわからなかったら、投資に手を染めてはいけません。私の経験から、興味のない対象に関して新聞や雑誌をいくら熟読しても大きな成功を得ることはできないと断言できます。日常生活の中で興味のある対象に焦点を合わせ、試行錯誤しながら相性のよい企業を特定することです。そしてその企業のアニュアルレポートを熟読してさらに知識を深化させましょう。」
ジム・ロジャース
(投資家。冒険家)


「成功した企業投資に共通する三つの特徴が浮かび上がってきました。まず、健全な市場でビジネスを行っている企業に投資すること。第二に、優れた企業文化、人材、価値観を持った企業に投資すること。第三に、常に自己改革を怠らない企業に投資すること。」
スタンレー・M・バーグマン
(ヘンリー・シャイン社CEO)


「人々がよく犯す過ちは、短期間で儲けようとして株式投資に手を出すことです。短い時間で儲けようとすること自体、株式投資に相容れないのです。」
スコット・ブラック
(デルファイ・マネジメント 社長)


「内容を理解できない投資案件には手を出さないこと。また投資対象企業のトップの資質、過去の業績、中核価値に注目し、信頼に足るかどうか自問してみましょう。」
アート・コリンズ
(メドトロニック CEO)


「投資関連のアドバイスで理想的なものは、自分だけが儲けるのではなく、第三者(社員、投資家、顧客、地域)に真に貢献するプロジェクトへの投資を促すものです。このアドバイスに忠実であれば、成功したときの思い上がった態度や不必要なまでの興奮は抑制され、大きな失敗を未然に防ぎ、最終的には相応の成功を達成する可能性が高まるのです。」
ジム・ハケット
(アナダーコ・ペトロリアム CEO)


「投資について私なりの助言をするとすれば、『業務内容をはじめとして、全体像が把握しやすく、しかも長期的な成長とリーダーシップを重視している企業を物色する』ということを挙げておきましょう。投資先を決定する際は、
・ビジネスモデルや戦略を簡単な文章で表現できるか
・明確な目標と長期的に一貫した戦略を持っているか
・消費者や顧客を常に注視しているか
・業界の主要なサプライパートナーや流通パートナーと長期的に良好な関係を維持しているか
・長期的に会社を牽引できるリーダーを育成しているか」
A・G・ラフリー
(P&G CEO)


「企業価値について確信していることがあります。すなわち、『企業価値は、経営幹部の質や社員の質と直接関係している』ということです。投資家は投資対象の候補に挙がっている企業のリーダーシップの質を注視・分析すべきです。」
アンジェロ・モジロ
(カントリーワイド・フィナンシャル・コーポレーション CEO)


「私は父の教えを忠実に守っています。その教えは以下の通りです。『株式市場で成功する唯一の方法は、優れた幹部が経営している企業に投資することだ。そして、不測の事態に備えて準備を怠るなということだ。』」
トム・ライアン
(CVSコーポレーション CEO)


「株式の銘柄選びの三要素は、ビジネスモデル、収益の将来性、そして最も重要なのがマネジメントの資質です。」
マイルス・ホワイト
(アボット・ラボラトリーズ CEO)


「投資対象となる企業を見極めるポイントは以下の三点に要約できます。
〕イ譴織蝓璽澄爾いるか
⊆匆颪ら大いに嘱望され、必要とされている製品やサービスを提供しているか
将来も長期的に市場を確保していけるか」
ジョー・リー
(ダーデン・レストラン 前会長)


長期投資、分散投資、リスクを知ること、うまい話には裏があること、など投資の基本というべき点に多くの投資家や経営者が触れており、株式投資においてこれらの原則は「真実」と捉えるべきなのだと再度認識しました。


そして、ここに挙げたように多くのメンバーが「経営の質」に言及していることが印象的でした。ざっと数えてみたら、64名中、14名が「経営の質」に触れています。
当たり前ではありますが、まさに「企業は人なり」ということも「真実」であり、株式投資における最重要ポイントの一つということです。


さて、それではどうやって「経営の質」を見極めるか?
次回以降はその点について考えてみたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 17:34 | コメント (0)

2009年11月02日

株式公開とIR

今年の新規上場企業数は現時点で40社程度にとどまると言われています。昨年が69社、その前が161社。ピークは200社を超えていたことを考えると、いくら環境が悪いといっても、その変わり様には驚きます。
経済環境が悪く、企業の業績も芳しくないこともありますが、「上場メリット<上場デメリット」というのが、大きな背景です。

こうした環境下、上場するとはどういうことなのか?またIR活動との関係はどうあるべきか?を、改めて考えてみたいと思います。


株式上場の目的は、信用力の向上や優秀な人材確保ということもあるでしょうが、最大のメリットは「資本市場からの資金調達」であるのは言を待たないでしょう。

そして、市場からの直接金融のみならず銀行など金融機関からの間接金融による負債資本コストによる調達も合わせて、より低い資本コスト(株主資本コストと負債資本コストの加重平均。株主資本コストは、株主がその企業に投資するに当たって要求するリターンで、リスクがある分、負債資本コストよりも当然高くなります。またよく誤解されますが、配当金総額のことではありません。)による資金調達が可能になります。そしてこの調達資金による投資の成果として成長を加速させること。

これこそが上場企業としての大きなアドバンテージです。また、M&Aにおいても株式交換という手法では、株券をまさに紙幣同様に利用することも可能になるわけです。


しかし一方で、最近の株式市場においては、MBO(マネジメント・バイアウト)による非上場化という選択をする企業も急速に増加しています。
厳しい企業間競争を勝ち抜くためのドラスティックな戦略の実行には、株主価値の増大が企業の大きな課題となった現在、外部株主・投資家の視線を意識せずにすむ非上場化こそ適切という判断です。
また、やや沈静化した気配はあるものの敵対的TOBの実施、情報開示体制の強化に伴う四半期開示の義務化、内部統制報告書作成など、上場に伴うリスク、負担、コストも急速に増大しています。

こうした諸条件を総合的に勘案して、株式を上場することのプラス・マイナスを真剣に判断することが経営者に求められており、現在は「マイナス>プラス」と判断する経営者が増加しているということになります。


他方、デメリットもあるものの総合的には「プラス>マイナス」と判断し、上場を選択したのであれば、適切かつ積極的なIR活動を通じて常に適正な株価を投資家からの評価として受けることができる体制を構築することは、経営者の極めて重要なミッションであるといえるでしょう。

約9年間にわたり、個人株主作りを中心に数多くの企業のIR活動をお手伝いしてきた立場から見ると、明確な目的意識を持って本質的なIR活動を展開している企業は、着実に増大していると感じます。
IR(Investor Relationship)とは文字通り投資家との真剣な対話を通じた関係構築であり、単純なディスクローズではありません。自社の言いたいことを一方的に伝えるものでもありません。
特に個人投資家に対しては、認知度を向上させるためには業績の好・不調にかかわらず継続的に、わかりやすくメッセージを伝えることが肝要です。

この点をしっかりと理解している企業は、継続的なIR活動を通じて、また解りやすいコンテンツを発信し、共感してくれるファンとしての株主を着実に増やすことに成功しています。
ただ反対に、IRを義務としてしか捉えず、体裁のみ整え、自ら一歩踏み込んだ対話を志向しない企業があることも事実ですが、そうした企業に投資家がシンパシーを持たないのは当然の帰結でしょう。

上場の意義と本質的なIR活動の重要性。経営者はこの二つを改めて真剣に考えなければならない時期に来ています。
同時に個人投資家のみなさんは、その真剣さ度合いをIR活動を様々な角度から見渡すことで吟味し、「これは」と思える企業を発掘していって欲しいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 10:08 | コメント (0)

2009年09月16日

ブリッジセミナーを開催しました。

「ブリッジセミナー 〜株式投資を考える〜」を開催しました。
今回も日本証券アナリスト協会前会長で、野村證券顧問の鈴木行生さんにお話いただきました。
テーマは「株式投資の極意 シリーズ3 〜シニアからプロの腕を磨く〜」です。
プレゼンテーションの模様は動画でご覧いただけます。

こちら →  http://www.evod.jp/IR/bin/IR.html?169&5&1

今回のポイントは、「鈴木式ベル・レーティング法」という企業評価の具体的な手法の紹介です。これは鈴木さんが自らも実践している評価方法で、個人投資家の皆さんにも簡単にできるので、是非始めてみて欲しいと思います。
要約すると以下のようになります。

・企業の良さを判断するために、3つの視点から企業を見る。

・3つの視点とは、〃弍栂蓮↓∋続力・成長力、リスク

・それぞれの評価項目
〃弍栂蓮畄弍勅圈В劭錬
∋続力・成長力=事業内容:PBR
リスク=業績変動:利益の下方修正

・3項目をそれぞれ10点、20点、30点の3段階で評価し、3項目の合計点をその企業の点数とする。

・各項目を3段階に分けて格付けしてみると、自分が企業をどのように見ているのか、イメージがはっきりとしてくる。ただそのためには、より多くの企業を見て比較する、同じ企業も何度も見て比較することが大事。

他にも「プロの投資家に学び、見習うこと 〜誰を尊敬するか〜」、「当てるより外さないこと 〜専門家を活用しつつ、頼りすぎないこと〜」など、参考になるお話だと思います。

是非動画をご覧ください。


さて、今日16日、鳩山内閣が発足しました。前回のコラムにも書きましたが、日本が現在抱えている課題の解決に着手して欲しいという期待は持ってもいいと思いますが、株式投資については政策頼みにならず、そこは冷静に対処すべきです。「応援投資」と「ROE」という主軸を中心に据えて企業を選別、選択して欲しいと思います。
今週月曜日に新しい四季報CD−ROMがリリースされましたので、早速以前も行ったスクリーニングを実施してみました。

・予想PER 15倍以下
・予想ROE 10%以下
・今期予想営業増益率  15%以上
・レバレッジ2倍以下
で、今期予想営業増益率の高い順にランキングしています。

image090916.JPG


以前行った同様のスクリーニングとはまた違った顔ぶれも見受けられます。
各社のHPを訪問し、またIR説明会など実施している企業があれば参加して、「鈴木式ベル・レーティング法」で企業評価してみてはいかがでしょうか?

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 17:00 | コメント (0)

2009年09月03日

民主党政権の誕生

まさに歴史的な選挙でした。
随分昔になりますが、社会党の土井党首が同党の躍進に対し「山が動いた。」と表現したことがありましたが、その比ではありませんし、「自民党政治の(完全?)否定」という点で1993年の非自民党政権の成立とも、意味するところは全く違うような気がします。

ただ、歴史的で、当然国民が民主党に期待するところも大きいことは確かですが、「日本の未来」がどうなるのか?明るいものなのか暗いものなのか?は別問題です。選挙翌日の株式市場も午前中はご祝儀相場で堅調でしたが、結局終値では前日比マイナスで引けてしまい、市場はどう判断していいのか迷っているようでした。国力の写し鏡でもある株式市場の今後についても、投資家としてはこれからよく考えていかなければならないでしょう。


様々な新聞や雑誌などで民主党政権の政策が経営環境にプラスとなる、またはマイナスとなる業界・業種が取り上げられています。


例えば温暖化ガス削減に対しては、LED照明が追い風となる電機はプラス、反対に電力、鉄鋼などは排出制限強化が懸念されマイナス。
この他、人材派遣の規制強化で派遣業界は大きなマイナス、高速道路の無料化でトラック・バスはプラス、反対に鉄道はマイナスなどなど、様々な業界に影響が及ぶことが当然予想されます。

ただ、個別株価の動きを見てみると決して明確にこうした影響を反映したものとはなっていないように思われます。選挙以前から民主党優勢は報じられていましたから、ある程度は織り込んだとも見えますし、マニフェストで示されたものの実現には不透明な部分が残るというのが市場の見方なのでしょう。


株式市場では「国策銘柄は買い」と言われていますから、今後も民主党政府がどのような政策を打ち出し、実現していけるのかは注視する必要がありますが、かといってそれにベット(賭ける)するのも、少しリスキーかと感じます。

というのも、民主党政治が始まった現在から近い将来、良し悪しは別にして、いままで経験することのなかった事象が様々な分野で起きるのではないかと思います。民主党は決して長期政権を保証されたわけではありませんし、初めて政権を担うにあたっての未熟さや不安定性は当然予想されるべきものです。(有権者の立場からすれば、批判ばかりでなく少々長い目で見てあげることも必要だとは思いますが。)
これまで以上により混沌とした時代が始まったともいえ、そうした時代に政策にベットすると、思わぬしっぺ返しを受けるかもしれないと思うのです。


逆に、企業と共に明るく豊かな未来創りに参加する応援投資の視点からすれば、混沌とした時代だからこそ、「応援するに値する企業」を選別し、時代を勝ち残る「個別企業の強さ」を評価する姿勢が重要になるのだと考えます。

政策に後押しをされる業種、企業に投資妙味もあるかとは思いますが、反対に政策頼みという面も否定できません。

それよりも独自の技術やシステム、ビジネスモデルで新しいマーケットを創り出す企業、既存のマーケット地図を塗り替えてしまう企業など、どんな環境でも生き抜いていける「強い企業」をじっくりと探し出すことに改めて目を向けるべきではないでしょうか?
もちろん「応援投資」の観点からは、経営ビジョン、ステークホルダーに対する姿勢、事業に対する意欲など、数字には表れにくい部分をより注意してみていく作業、努力が必要であることは言うまでもありません。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 20:33 | コメント (0)

2009年08月18日

「強い企業」のパフォーマンス

8月5日(水)に「ブリッジセミナー 〜株式投資を考える〜」のシリーズ2を丸の内で開催しました。

前回は50名ほどのご参加で、事前申込みの段階では前回を上回っていたため「70名くらいかな」と予想していたのですが、蓋を開けてみると、100名を超すご参加となりました。
椅子や資料の準備でバタバタしてしまいましたが、主催者としては大変嬉しい悲鳴でした。
当日ご参加の皆様、ありがとうございました。

今回も2部構成とし、第一部では社団法人日本証券アナリスト協会会長で、野村證券顧問の鈴木行生さんに「株式投資の極意 シリーズ2 〜儲かる会社を見つける〜」と題してお話いただきました。 

「アナリストの素養を手軽に身に付ける。」
「比較してみるとよく分かる。」
「わかったことは忘れない。」

など、豊富なアナリストの経験から、個人投資家でもすぐに応用ができる企業分析に対する考え方をお話いただきました。

鈴木さんのセミナーの模様は、動画をアップしていますので是非ご覧ください。

http://www.evod.jp/IR/bin/IR.html?152&5&1

第二部では私が、「ROEを考える 〜応援投資の視点から〜」と題し、前回を受けた形でROEの見方、注意点などをお話しました。

具体的に同業種での2社を取り上げROEの分析してみました。
ほぼ同程度のROE水準にもかかわらず、例の3要素に分解してみると、企業の姿がかなり違うものであることをご説明しました。
また前回のこのコラムでご説明した「内部成長率」の重要性についてもお話しました。

全体を通じて以下のような、感想をいただきました。
「アナリストの素養を手軽に身につける」が最も役に立った(60代 男性)
簡潔なポイントを得た話で、大変参考になりました。 (60代 男性)
企業に対する心構えや見分け方を細かく説明していただき、理解できた。 (70代 男性)
分かり易かったです。特に最初に話された「未来創りに貢献する応援すべき企業を探そう」という観点は特に気に入りました。そうした観点でも、企業と付き合いたいという気持ちになりました。 (50代 男性)
ROE、これまで殆ど見てこなかった指標ですが、今後着目していきたい。 (30代 男性)
投資の3原則。1中長期、2分散、3応援。この考え方に大変共感した。 (60代 男性)


もちろん、「時間が足りない」、「もっと分かりやすく話して欲しい」、「眠くならないように工夫して」など耳の痛いご意見もいただきました。
是非改善していきたいと思います。


さて、今回の参加者数からも分かるように、個人投資家の投資意欲も徐々に温まっていることが強く感じられます。また外国人投資家も、直近では買い越しに転じるなど、総選挙の行方、景気の2番底がいつくるか?など不透明要因はあるものの、当面は堅調な展開が予想されます。
ただ一方で、マクロ景気に左右されない「強い企業」を個別に探し出していくことこそが、個人投資家の取り組むべき作業ではないかと思います。


4月に行った銘柄スクリーニングのその後の株価動向を6月に調べて、このコラムでご報告しましたが、さらにその後を調べてみました。


スクリーニング条件は下記の通りでした。
マクロ景気と関係なく、不況下でも本業が好調で、資本効率もよく、PERが低いのに加え、有利子負債への依存度が低く、倒産のリスクも低いという安全性も加味したものでした。つまり「安全性の高い業績好調の出遅れ銘柄群」です。


・今期営業増益率 15%以上
・予想PER(株価収益率) 15倍以下
・ROE(株主資本利益率)=実績 10%以上
・有利子負債依存度 15%以下
・株価は4月1日終値


6月の結果では、
・36銘柄中、日経平均の上昇率17.2%を上回った銘柄が16銘柄。
・ジャスダックインデックス 9.8%を上回った銘柄が28銘柄。
・仮に36銘柄すべてを1株ずつ購入して【ポートフォリオA】を作成したとすると、このポートフォリオの上昇率は23.3%と日経平均を大きく上回りました。
・36銘柄すべてに同金額を投資した【ポートフォリオB】でも、19.0%と同じく日経平均を上回りました。
というように、良好なパフォーマンスとなりました。


8月14日の終値で調べたものが以下のリストです。

image090818-3.JPG


6月同様に良好な結果となりました。
・日経平均を上回る銘柄 23銘柄。ジャスダックインデックスを上回る銘柄 24銘柄。
・ポートフォリオAの上昇率 60.3%。ポートフォリオBの上昇率 39.5%。と日経平均、ジャスダックインデックスを共に大きくアウトパフォーム。

上位にランキングされた企業を概観してみると、

・成長市場に独自のサービスや製品を投入することで高い成長率を実現している。
・巨大になる可能性はあるがマーケティングや課金の難しさというデメリットもある「B to C」よりは、売上、利益を安定的に獲得することが可能な「B to B」型企業が多い。

といったポイントが浮かび上がってくるようです。
今後の銘柄選別においても、こうしたポイントは活用していくことができると思います。


ただ、PERから見ると、そろそろ割安感は薄れてきた銘柄もあることは事実。
あくまでも中長期投資ではありますが、株価に勢いが付きすぎているときは、少し様子見とし、別の銘柄を研究する時期とすることも重要だと思います。
(今回のスクリーニングが、今後のパフォーマンスを保証するものではありません。)

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 11:52 | コメント (0)

2009年08月05日

「内部成長率」を考える

このコラムでは何度か「ROE」について触れてきました。
繰り返しにはなりますが、「ROE」はReturn On Equityの略で、日本語では自己資本利益率。企業が株主から預かった資金を企業活動によってどれだけ効率よく運用できているかを示す指標です。

「ROE」が高ければ高いほど、株主にとっては喜ばしい会社ということになりますが、その際、気をつけなくてはいけないのは、「収益性」、「効率性」、「資本構成(レバレッジ)」の3要素中、何が高ROEをもたらしているかの分析です。


つまり、ROE=売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高) × 総資産回転率(売上高÷総資産) × レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)と分解できるので、本業の収益性の高さや効率性が要因なのか、それとも資本構成によるものなのかということです。
特に、積極的な(過度な?)自社株買いを実施することでROEを向上を目指す企業もあり、注意が必要です。


と、これまでの回でここまでを述べてきましたが、今回は「内部成長率」についてお話してみたいと思います。

利益を生み、配当を行う企業の活動とは単純化すると以下のようなものになります。


・調達した自己資本を資産化して事業活動を行う。
・事業活動による売上から経費を引いて残ったものが利益になる。
・利益から税金を支払い、配当を支払った残りを次期に繰り越して(内部留保して)自己資本に加えて継続して事業活動を行い、利益を生み出し、税金と配当を支払って、残額を翌期の自己資本に加える。
・以降、この繰り返し。


すると、自己資本、利益、配当ともある率で増加していきます。
この増加率、成長率が「内部成長率」とよばれるもので、
「内部成長率=ROE × (1−配当性向)」で計算されます。
「1−配当性向」は内部留保率となります。

下の図−1では、ROE 10%、配当性向 30%の前提で、内部成長率7%で、自己資本、利益、配当が毎期増加しています。


<図−1>
image090818.JPG


株価はEPS(一株当たり利益)×PER(株価収益率)とか、BPS(一株あたり純資産)×PBR(株価純資産倍率)で表されます。
株価の変動要因として、短期的にはPER、PBRの動向も重要な要因ですが、長期的には「自己資本」や「利益」の増大が株価形成の大きな要因ですので、「内部成長率」は大変重要なポイントとなります。「ROE」の違いによって、その後の自己資本、利益、配当の水準に大きな違いが出てくることもお解かりいただけると思います。(図−2)


<図−2>
image090818-2.JPG


中長期投資と応援投資を実践していくには、内部成長率の源泉であり、株主に対する経営の意思である「ROE」の重要性を改めて覚えておいていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 11:20 | コメント (0)

2009年07月24日

総選挙後の日本は??

ごたごた続きの結果、8月30日(日曜日)総選挙実施ということで落着しました。

今回の第45回総選挙は、日本国憲法下においては23回目の選挙となります。1890年7月の第1回総選挙以来の投票日を調べてみると、大日本帝国憲法下ではほとんどが平日だったようです。日本国憲法下でも当初は日曜と平日が混在し、昭和44年12月27日の第32回総選挙(投票日:土曜日)を最後に、以降は日曜投票となっています。投票率の引き上げなどが目的だったのでしょうか?

さて、私が現在勉強中の、誕生日からその人の宿命や運命を算命学によれば、現在の日本の誕生日は日本国憲法が施行された1947年5月3日となるそうです。


算命学では、天中殺といって自ら大きな変化へと足を踏み込まない方が望ましいとされる時期が12年間に2年間、1年間に2ヶ月巡ってくるのですが、「1947年5月3日生まれ」の日本の月運天中殺は8月、9月の2ヶ月間となります。日本国憲法下での23回の総選挙中、天中殺中に(8月、9月)に実施されたのは前回の「郵政解散」時と今回の2回という結果となっています。


前回の総選挙後日本がどうなったかという評価は様々だと思いますが、新自由主義、市場原理重視がオーバーランし、株式市場から始まった危機が実体経済にまで及び日本社会に様々な面で弊害をもたらしたことは否めないと思います。


それを受けての今回の8月30日の選挙が日本をどんな方向に導いていくのか?
あくまでも決定するのは主権者であるわれわれ国民ですが、なんとなく不安が漂っているように感じます。(ちなみに、民主党鳩山代表は1947年2月11日生まれで同じく8月、9月が月運天中殺。民主党優勢が伝えられる今回、第1党&首班指名となったらどんな世界が待っているのでしょうか?)


さて、解散・総選挙で走り始めた政局を受けた日経平均は、とりあえず日本の今後を予想してというよりは、短期的には堅調な海外マーケットを好感し、再び上値をうかがう気配となってきたようです。
ただ、景況感、バリュエーション(株価の割高、割安評価)など投資環境に大きな変化が起きているとも考え難いため、やや慎重な投資判断が必要かと思います。
株式需給についても、今まで以上の急速な改善が見られるとも予想し難い状況です。


こうした環境下で、かなり保守的な割安株スクリーニングを行ってみました。

条件は、以下の通りです。

・前期、今期ともに営業増益率 10%以上
・今期予想PER 15倍以下
・前期実績PBR 1倍未満

今期の営業増益率でランキングしています。
また参考までに今期ベースのROEを併記しました。(計算上、使用している株主資本が前期末のものとなっていますのでご注意ください。)


list090724.JPG

やはり前期、今期とも業績が好調な企業は必然的に海外市場依存型ではなく、内需型の企業となっています。さらに個別に見ていくと前期、今期だけでなくその前から堅調な業績を続けている企業も多数見受けられます。
ただ一方で、この数ヶ月で株価がかなり上昇しているものもあり、やや判断に迷うところであるのも事実です。
もちろん中長期投資という原則が前提ですが、あまりに賑わっている局面での投資は控えて、少し沈静化してきてから買いに入る方が賢明と考えます。


さて、前回もご案内した「ブリッジセミナー 〜株式投資を考える〜」ですが、次回は8月5日に開催いたします。
(詳細:http://www.bridge-salon.jp/salon_guide/details_090805.html
ご関心おありになれば是非ご参加ください。 

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 22:43 | コメント (0)

2009年07月10日

6月24日開催「ブリッジセミナー」ご報告

先日ご案内しましたが、6月24日の「ブリッジセミナー」について再度ご報告いたします。

今回は2部構成とし、第一部では社団法人日本証券アナリスト協会会長で、野村證券顧問でいらっしゃいます、鈴木行生さんに「株式投資の極意 〜金融危機の局面で考えること〜」と題してお話いただきました。
野村総合研究所(NRI)、野村證券、野村アセットマネジメントにおいて、長年に亘りセルサイド、バイサイド双方のアナリストとして活躍されてきた鈴木さんが、その豊富な経験と知識を元に、
「企業を見る目は誰でも十分養える」
「プロに勝つチャンスはある」
「金融危機という変事を乗り切る」
など、個人投資家が株式投資に臨むための姿勢や考え方を解説。


アンケートでは、

とても参考になりました。講演会に積極的に出て、色々な会社を勉強しようと思いました。ぜひ第2回も聞きたいです。 (40代 男性)
株を買う前の心構えというか、もっと早くお聞きしておけばよかったなと感じました。第2・第3弾も参加して、指針にしたいと思います。 (40代 男性)
株式投資へのモチベーションが自分なりにチェンジできた。 (50代 女性)
参考になりました。(60代 男性)
豊富な経験を元にした話で説得力があった。また話を聞きたい。 (60代 男性)
など、大変好評でした。


鈴木さんのプレゼンの模様は、動画で配信していますので、そちらをご覧いただきたいと思いますが、特に「企業IR説明会を個人投資家はどう利用するか?」という話が私としては面白かったです。

「数多くの企業を見ること」、「同じ企業も何度も見てみること」。
その過程で、変化や違いなどに気が付くことができるように自分なりの視点を持って説明会に臨むことが重要というお話は、皆さんにも参考になると思います。

なお、今回の鈴木さんのお話は「シリーズ1」で、シリーズ2、シリーズと続けていく予定です。都度ご案内いたしますので、次回以降も是非お楽しみに。


第二部では私が「インベストメントブリッジが考える株式投資 〜応援投資という考え方〜」というテーマでお話いたしました。
このコラムで何度も繰り返している「応援投資」についてのお話ですが、今回は、「応援投資」における企業選別のキーワードとして「仝えない資産」、「■劭錬邸廚瞭鵑弔鬟ローズアップしてお話いたしました。


「見えない資産」については、通常会計で用いられる特許や商標権などの「無形資産」にとどまらず、顧客、従業員、経営チームといった企業価値創出の重要なファクターである企業の資産に注目すべきことと、具体的に企業がそうした「見えない資産」の活性化にどのように取り組んでいるのかを、いくつかの例を挙げてお話しました。


また、「ROE」については、売上高利益率、総資産回転率、レバレッジの3要素に分解した上で、実際のスクリーニング結果から、同程度のROEレベルの企業でも、3要素の水準、状況がまるで違う場合があることを見ていただき、どちらの企業のほうが「応援投資の観点から」投資に適しているのかを考えましょうといったお話をいたしました。
また、ROEは単なる結果としての財務指標ではなく、企業の意思、意図の具体的な表れであるということもお話しました。


参加者の方からは、手前味噌ではありますが、

個人投資家が株式投資するために考えるべき点が整理できた。 (50代 男性)
具体的な説明で役に立った。 (60代 男性)
今まで聴いたことがない視点の話で面白かった。「未来創り」「見えない資産」「・・・をROEで知る」のキーワードは面白い。 (60代 男性)
伝え方が大変良かったです。 (60代 男性)
ROEの教え方が参考になった。3要素のどれかを向上させること。ROEの分析の必要性も参考になった。 (無回答 男性)
応援投資は賛成です。ROEの見方も参考になりました。B/S、P/Lは深いですね。四季報の予測も根拠が定かではないから、IR説明会はどんどん見た方がいいですね。 (40代 男性)
ROEの説明はなるほどと思った。 (50代 男性)


といったご評価を頂くことができました。ありがとうございます。

もっとも、「第一部で抽象的な経営者の説明はダメだといっていたのに、保阪会長の話は何が言いたいのか良くわからない。 (40代 無回答)」といった厳しいお声もいただきました。今後の改善につなげたいと思います。


世間一般的には「これからの相場展開」、「今後の有望銘柄」といった情報に対するニーズが強いことは承知していますが、私は、この世界に関わって25年以上の経験や体験、知識の中から、「どういう投資哲学をもって株式投資に臨むか?」ということのほうが遥かに重要であり、そうした哲学や考え方を持った上で、具体的にどのように投資すべき銘柄を絞り込んでいくかが大切だと考えています。


株式投資のスタイルは人それぞれで一向に構いませんが、「応援投資」に共感してくれる投資家の方が少しでも増えてくれることを願いながら、今後も情報発信していきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 12:01 | コメント (0)

2009年06月25日

ブリッジセミナーを開催しました

先週6月20日(土)、5回シリーズの今年の読売ブリッジサロンが終了しました。
昨年の9−11月はリーマン・ショックを契機とした大変な状況での開催でしたが、今回は、前回を上回るお申込み、ご参加をいただきました。お集まりいただいた投資家の皆様、熱いプレゼンを頂いた各企業様、ありがとうございました。

期間中に日経平均が10,000円台を回復したということもあったかと思いますが、「読売ブリッジサロン」自体の認知度も着実に向上しているようで、主催者としては大変嬉しい限りです。
今週6月27日、来週7月2日は、従来のブリッジサロンを開催いたします。


今回の読売ブリッジサロンを契機に個人投資家向け説明会「ブリッジサロン」を知っていただいた皆様、引き続きお申込み、ご参加お待ち申上げております。
また、7月4日には久しぶりに大阪で開催いたします。5月23日に開催する予定だった回は、新型インフルエンザのため休会としたため、4月以来の開催となります。大阪の皆様も是非ふるってご参加ください。

さて、先日24日(水)には、通常のブリッジサロンとは少し趣を異にしたセミナーを開催しました。
題して「ブリッジセミナー 〜株式投資を考える〜」
企業IRのパートは無く、先行きの見通しが大変不透明な現在、「株式投資をどう考え、どう取り組めばいいのか?」を個人投資家のみなさんに考えていただこうというものです。


第一部では日本証券アナリスト協会会長の鈴木行生さんに、「株式投資の極意 〜金融危機の局面で考えること〜」と題してお話いただきました。
証券アナリストとして長年に亘る実績を持つ鈴木さんが、豊富な経験と知識を元に「企業を見る目は誰でも十分養える」、「プロに勝つチャンスはある」、「金融危機という変事を乗り切る」など個人投資家が株式投資に臨むための姿勢や考え方をお伝えしました。
みなさん、非常に熱心に食い入るように鈴木さんのお話に耳を傾けていらっしゃいました。


第二部は私保阪が、「インベストメントブリッジが考える株式投資 〜応援投資という考え方〜」というテーマで、このブログでも繰り返しお話していますが、「応援投資」という考え方を紹介するとともに、どういう視点で企業を選択するべきかをお話しました。


当日は約60名の個人投資家の皆様にお集まりいただきました。
当社のセミナーではいわゆる「注目銘柄」とか「発掘企業」といったものが一切出てきませんが、ご記入いただいたアンケートには「個別企業の話が聞きたかった」といった類のコメントは一切無く、みなさん自分で企業を発掘する、見極めるための考え方や手法を見つけたいと思っていることが良くわかり、私としても大変嬉しい結果でした。

一方、まだまだ皆さんに満足頂く話が出来ていないことも痛感しました。鈴木さんのお話に比べると、大人と赤ちゃんの違いで、ストーリー構成、資料の内容、話し方などどれも今後精進していかないといけないと思っています。


当日のプレゼンテーションの模様は後日動画にてアップいたしますので是非お楽しみに。
また、鈴木さんのお話は今回のシリーズ1に続き、2、3と開催いたしますので、こちらも後日改めてご案内いたしますので、しばらくお待ちください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 20:26 | コメント (0)

2009年06月10日

4月のスクリーニング結果

先週7日に、東京国立博物館で行われていた『興福寺創建1300年記念「国宝 阿修羅展」』が終了しました。会期中(61日間)の総入場者数は94万6172人で、同博物館の日本美術の展覧会として史上最多。また、1999年に開館した平成館では歴代1位となったそうです。
一日の平均来場者は15,500人。期間中にGWがあったことを考えても、連日ものすごい人出だったことがわかります。

昨年私が行った「大琳派展」は36日で308,213人。一日平均8600名ほどだったわけですが、それでも入場制限有りのかなりの人出でしたから、その倍の入場者とは、どんな状態だったのでしょうか?


私も当初は行こうかなとは思いましたが、「マスコミの取り上げかた」が強過ぎた事と、そんな人出では落ち着いて見られないため、行くのはやめました。後日、興福寺に戻られて落ち着いた頃、再度足を運ぼうと思います。


それにしても、最近の東博の特別展における人の入りは凄まじいものがあります。
昨年の「薬師寺展」は67日間で794,909人を集めましたが、(これがそれまでの歴代一位だったかと記憶しています。)あっさりと阿修羅展がその上を行きました。

若い人も多いようですが、なんといっても2007年問題の主役であった、一線を退いた団塊の世代の方々が目を引きます。昨年来の世界的な不況ではありますが、この世代の方達にとっては不況のインパクトは小さいと考えられ、旅行、食、趣味などのカテゴリーで、今後も暫くは個人消費の主役となっていきそうです。


さて、株式市場に目を転じてみると、GMの破産法適用がありましたが、既に市場には織り込み済であったようで、世界的に株式市場は堅調な展開となっています。
「Fly to Quality(質への逃避)」で国債など安全資産へ向かっていたマネーが、おそるおそるながらも株式、商品などリスクを求めて動き始めた感があります。
(ガソリン価格の上昇が、1000円高速で活気づいた車での外出の腰を折る可能性はやや心配ですが、、、)


さて、2ヶ月程前の当コラムで、銘柄スクリーニングをご紹介しました。
条件は下記の通りでした。

・今期営業増益率 15%以上
・予想PER(株価収益率) 15倍以下
・ROE(株主資本利益率)=実績 10%以上
・有利子負債依存度 15%以下
・株価は4月1日終値


不況下でも本業が好調で、資本効率もよく、PERが低いのに加え、有利子負債への依存度が低く、倒産のリスクも低いという安全性も加味しています。
また、3月からの急ピッチな株式相場の上昇はそれまで大きく売り込まれた銘柄のリカバリーが中心であり、業績好調ながらも出遅れていた企業を探し出して見たいというのも、同スクリーニングの目的でした。


この36銘柄について、4月1日から6月9日までの株価変化率を調べて上昇率の大きい順にランキングしてみました。
また同期間の日経平均、ジャスダックインデックスとも比較しました。

list090610.JPG

結果は、以下のようなものでした。

・36銘柄中、日経平均の上昇率17.2%を上回った銘柄が16銘柄、ジャスダックインデックスを28銘柄が上回りました。

・仮に36銘柄全てを1株ずつ購入して【ポートフォリオA】を作成したとすると、このポートフォリオの上昇率は23.3%と日経平均を大きく上回りました。36銘柄全てに同金額を投資した【ポートフォリオB】でも、19.0%と同じく日経平均を上回りました。

と、良好なパフォーマンスを示すことができました。


もちろん、売買手数料を含めた取引コストは考慮していませんので、あくまでも計算上でのパフォーマンスではありますが、企業を様々な角度、切り口で選別してみることの面白さ、重要性をご理解頂ければと思います。


また、皆さんごとの投資余力の問題はあるかと思いますが、スクリーニングリストの中からピンポイントで銘柄をピックアップするのではなく、「分散投資」の観点からポートフォリオを作成すること、加えて、何度も申し上げている「応援投資」、「中長期投資」の視点を忘れないことも大切なポイントと考えます。
今後も適宜いろいろなスクリーニングをご紹介していきたいと思います。


(言わずもがなではありますが、今回のスクリーニングが、今後のパフォーマンスを保障するものではないことを申し添えておきます。)

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 16:51 | コメント (0)

2009年05月28日

関西出張中にて

この原稿を書いているのは関西出張中の5月27日ですが、新型インフルエンザの国内感染問題についてのテレビや新聞紙面での取扱いは急速に小さくなっています。

先週も日帰りで大阪に行きましたが、その時と比べても街中や電車内でマスクをつけている人の数は、グッと少なくなった感がします。

ただ一方で、感染した方の数は着実に増えているようですし、今回沈静化しても、強毒性に変化する可能性が高いといわれていることを考えると、芥川龍之介ではありませんが「ぼんやりとした不安」が広がる要因がまた一つ増えてしまったようです。


そんな中、今日のニュースで、「ダイキン工業が、同社の空気清浄機に搭載している「ストリーマ放電」技術でH5N1型の鳥インフルエンザを完全に分解することが出来ると発表した。」と報じていました。いろいろと不透明な現在だからこそ、世の中を明るくする企業の技術開発、イノベーション、創意工夫の力に改めて期待したいものだと感じました。
(注:当然のことですが、私がダイキン工業の上記発表およびその効果を検証、保証したものではありません。ちなみに、同社株一時高い局面もあったものの、結局50円安で終わっています。)


さて、決算発表シーズンもピークを過ぎました。
前期(2009年3月期)決算では、円高に加えて「世界的に需要が蒸発した」と表現される外需主導の自動車、電機を中心に、過半数を超す企業が減収・減益もしくは減収・赤字となったようです。
一方で、数は少ないものの内需型企業や独自の技術力やサービスが高評価、高シェアに結びついた企業は、増収・増益を達成しています。

今回は、こうした環境下で継続的に好調な業績を持続している企業を探してみました。
スクリーニングの条件は、

「今期予想も含め3期連続で増収・増益」

というものです。

List090527.JPG


51社がスクリーニングされましたが、これを今期の営業増益率の大きい順に上位30社をリストアップしています。
企業規模は決して大きくは無いものの、今後の需要拡大が期待される市場を対象とし、競争力の高い製品やサービスを開発、提供している企業が多数見られます。
同時に予想PERを併記してみました。先行して買われた結果、割安とは言いがたい銘柄もあることは事実ですが、魅力的な企業の発掘には大いに役立つものと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 19:36 | コメント (0)

2009年05月15日

決算発表のシーズン

5月に入り、連日多くの企業が決算発表を行っていますが、2008年度の決算は当然のことながら予想通りの大幅減益、赤字転落のラッシュとなっています。


5月8日に4,300億円の最終赤字を発表したトヨタ自動車は翌日以降軟調な展開が続いていますが、一方で1日に12%減収、経常90%減益、当期純損失1,120億円という決算を発表した富士通や、12日に過去最大の最終赤字1,148億円を発表したオリンパスが翌日大幅高となっています。

富士通、オリンパスの2社が今期は黒字転換が予想されているのに対し、トヨタは前期を上回る8,500億円の赤字予想となっている点が株価動向に大きく作用しています。


このように、投資家の関心は2009年度に移っているわけですが、野村證券 金融経済研究所の企業業績見通し(2009年3月10日付)によれば、2009年度も減収・減益見通しとなっています。
ただ、「前期の業績悪化を受け、収益構造改善のためにリストラに着手する企業が、2009年度の上期には多数にのぼるため、短期的にはリストラ費用の発生で下方修正要因となるものの、下期にはリストラ効果が顕在化する企業が出始めることも期待できる」とコメントしています。

また、前期の決算を受け、今期予想をかなり保守的に発表している企業も多数あると思われ、私見では、今年度下期には上への「サプライズ」が多数出てくるのではないかとも考えています。


そうした環境下、今期増収・増益が期待でき、なおかつ株価水準も割安感のある銘柄をスクリーニングしてみました。

まず条件として、

・今期増収率10%以上
・今期営業増益率10%以上
・今期予想PER10倍以下

で全上場企業にスクリーニングを対象に行ったところ、61社がピックアップされました。
ただ、前期が特殊な要因で利益水準が極端に低いものも入ってきたので、「継続的に業績好調企業」という観点から、
・前期営業増益率 10%以上
という条件を加味してみたところ、30銘柄に絞り込まれました。

製造業、サービス業、卸売など様々な業種が出てきましたが、一つ目を引いたのは(2494)メディカルケアサービス、(2373)ケア21、(2398)ツクイなど「介護関連銘柄」です。「今年度の介護報酬の引上げで人材確保がしやすくなり、業績拡大のボトルネックが緩和された」との見方から、株式市場では先行して上昇し、堅調な株価推移となっています。


この他にも独自の技術やサービスで差別化を図り、高いシェアを有する企業なども見受けられます。
このリストをベースに、ビジネスモデル、過去の業績動向、ROEなどを多角的にチェックし、「応援投資」のための一材料にしてみてください。

scrist090515.jpg

(会社四季報 CD−ROM 2009年2週を使用)

(なお、このスクリーニングは5月13日に実施しましたが、各企業の業績修正などは一部反映されていない可能性もあります。また、リストはあくまでもスクリーニングの結果であり、個別企業への投資を推奨するものではありませんので、ご注意ください。)

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 18:39 | コメント (0)

2009年04月30日

「応援投資」という考え方

先日、大阪において約80名ほどの個人投資家の皆さんの前で、お話する機会がありました。

内容は、
〆8紊粒式相場の見通し
株式投資に対する考え方
の2点でした。

前者については、決算発表や米国での金融機関や自動車産業の行方に対する不透明感から、なかなか上値を買う動きにはつながりにくく、当面はスピード調整の局面が続くだろうというものです。


後者については、私が以前から述べている「明るく豊かな未来作りのための株式投資という視点を持って欲しい。」というお話です。


配当とキャピタルゲインによるリターンの追求が株式投資の最重要目的であることは間違いありませんが、個人投資家の皆さんにはそれに加えて、

・「株式」ではなく「企業」への投資
・明るく豊かな未来を作るための「応援すべき企業」の発掘
・短期ではなく「中長期投資」で企業を応援
・投資した企業との積極的なコミュニケーション


といった視点を持つことを提案し、最後に、個人投資家の皆さんのための投資原則として、「中長期投資」、「分散投資」に加えて、明るい未来作りのための「応援投資」という3原則を念頭において株式投資に臨んでいただきたいとお話しました。
(「応援投資」という言葉は当社の造語であり、一般的な表現ではありませんが、、、、)

正直なところ、投資家の皆さんの関心は、「来月、3ヵ月後の日経平均はいくらになるのか?」とか、「オバマ政権の政策に沿った、これからの有望銘柄は?」といったポイントに集中し、「応援投資」というテーマにはあまりピンと来ていただけないかな?とも思ったのですが、講演会後のアンケートを拝見すると、大変嬉しい感想をお寄せいただきました。


「改めて株価を追いかけるのではなく、応援したい企業を探して中長期投資を心がけたい。」(60代、女性)


「大変参考になりました。株価の上昇に一喜一憂することなく、将来展望に立った投資を心掛けたいと思います。」(60代、男性)


「御社の応援投資との概念は、小生も大切な概念と考えています。企業とは、お金だけの付き合いのみならず、共に事業を行う仲間として、資本提供に寄与したいと考えます。」(36歳、男性)


もちろん参加者全員の方に理解、賛同していただけたとは思いませんし、少数派のご意見だったかもしれません。
しかし、こうした「応援投資」という概念が、亀の歩み程度であっても世の中に着実に広がっていることが確かに感じることが出来ました。


「ROE」を中心とした企業の姿を分析する力と、「応援投資」を重視する投資ポリシー。この二つを武器とした「応援投資家」が一人でも多く株式市場に参加してくるような流れ作りに貢献していきたいと考えています。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 13:29 | コメント (1)

2009年04月17日

戻り相場で考える

日経平均はザラ場で9000円を回復したものの、3月10日を底に約1ヶ月で25%以上の上昇と、急ピッチの上げであったことから、売り方の買い戻しも一巡し、上値の重い展開となっています。


伝統的な投資指標のひとつであるPBRでスクリーニングしてみると、3月安値時にはPBR1倍割れ銘柄(赤字でマイナスとなる企業を除く)が2803社でしたが、昨日4月14日時点では、2591社に減少しています。まだまだ純資産割れ企業数の方が圧倒的に多いのですが、トヨタ自動車のPBRが1倍を超えてきたように、先行して大きく売り込まれた大型株を中心に、急速な水準訂正が進んだことがわかります。

足元で発表される景気、経済指標は決して明るいものではありませんが、景況感調査などマインドは確実に改善しているようです。
株式市場における弱気派は「実際の需要が本当にどれだけ出てきたか疑問?」という見方ですが、株価は水準もさることながら、「変化率」に対してより敏感に反応するものですから、自動車や電子部品の3割、5割といった大幅な生産調整が永久に続くのではないとすれば、ここまでの株価の反発はまずは順当なところといえそうです。


今後の展開を考える上では、以下の2点がポイントになるかと思います。


〃荵使表
3月期決算企業の決算発表がこれから本格化します。
既に締まった2009年3月期については悪いことは誰もがわかっていることであり、その意味では2010年3月期を企業側がどう予想してくるかが注目です。
ただ、企業側からするとこうした厳しい環境下で業績予想を発表するのは大変難しいため、予想発表自体を取りやめたり、レンジで発表する企業も多くなることが予想されます。
また、発表する場合もかなり保守的な数字となるとも考えられ、投資家にとっては評価しにくい決算発表シーズンとなるかもしれません。


▲バマ政権の評価
圧倒的な人気と期待に支えられて船出をしたオバマ政権ですが、アメリカでは不文律として、大統領就任後100日間は表立って批判をしないという、所謂「Honey Moon」期間があるそうです。
1月20日の就任式から100日目は5月30日となります。
GMの行方、金融機関処理、景気対策、そして目玉である「グリーン・ニューディール」など、就任に際しての期待が大きかっただけに、ネガティブなサプライズとならないことを願います。
ただ、米国にとっての重要性は疑問符が付く「北朝鮮問題」については、もともと北朝鮮には甘い民主党らしく、完全に先手を打たれている感があり、日本にとってはマイナス要因と見られます。


短期的な視点では戻り一巡で明確な方向性を見出し難い相場環境ですが、中長期的には繰り返しになりますが、「明るく豊かな未来創り」という視点で、自分が応援したい企業をじっくりと探していくべきと考えます。
定性情報「提供するサービス&製品がどのように世の中に貢献するか?ビジネスモデル、
ビジョン&ミッション」と定量情報「株主の期待にどれだけ応えているかという観点からのROE分析など」を中心に、自分が納得できる企業選びを進めてください。

(余談ですが、私が現在勉強中の「算命学」(中国春秋戦国時代に発祥したとされ、中国の王朝が代々政略、軍略を立案する上で用いた運命学。諸葛亮も用いていたといわれています。)によると、オバマ大統領は大変信念が強く、頑固な人間のようです。信念を持って政策を貫き通すことも重要ですが、頑固なために自分が「CHANGE」できないこともあるかもしれません。それが米国、世界、日本にどういう影響を与えるか?注目していきたいと思います。)

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 12:55 | コメント (0)

2009年04月03日

業績好調、低PERスクリーニング

株式市場も新年度入りとなりましたが、年度末に向けて日経平均は7,021円(3月10日)から8,843円(3月27日)と、立会い日数12日間という短期間で約26%も上昇したため上げ一服感が強まる一方で、「GMの行方」、「一部の経済指標が好転」、「公的資金の買いがどこまで続くか?」などなど好悪材料が入り混じり、方向性が見え難い展開となっています。

もっとも、株式投資の専門家と呼ばれている人達にとっても、短期的な相場展開を見極めるのは大変難しいものです。
また、このコラムは目先の相場展開を予想するのが目的でもありませんから、みなさんには、じっくりと企業研究を行い、将来有望で、かつ自分が応援できる、納得できる銘柄選びに注力していただきたいと思います。


今回は、以下の条件で銘柄スクリーニングを行ってみました。
(使用ソフト:東洋経済新報社の会社四季報 CD−ROM 2009年2集)
・今期営業増益率 15%以上
・予想PER 15倍以下
・ROE(実績) 10%以上
・有利子負債依存度 15%以下
・株価は4月1日終値


つまり、こうした不況下でも本業が好調で、資本効率もよく、PERが低い企業です。
これに加えて、有利子負債への依存度が低く、倒産のリスクも低いという安全性も加味しています。(また、直近までの業績修正も反映しています。)

list090610.JPG


全上場会社を対象に実施してみると、36社がピックアップされました。
ざっとリストを見てみますと、特徴として以下のような点が上げられるようです。


・これまで日本経済を牽引してきた輸出主導の外需型企業ではなく、国内マーケットを対象とした内需型企業が大半です。

・ただ、内需にしても、雇用不安、賃金カットなど個人消費を見れば決して明るい材料は多くないのですが、それでも好調な収益(特に利益)を見込んでいる企業が多数存在します。

・一つは、円高差益や原材料下落のメリットを享受している企業です。

・また、独自のビジネスモデル、ITの活用、出展戦略といった要因で効率化を進めるとともに、消費者のニーズに的確に対応した商品やサービスを提供し、利益を確保してる企業も上がっています。

・一方、個人消費に直接関連しないB to B型企業においては、いわゆるインフラ整備・提供型企業に好調なものが多いようです。ただ、インフラ整備・提供といっても従来のような住宅、電気・ガス、通信といったものではなく、ITを利用して企業活動の効率化を進める上で欠かせないものであるとか、その企業の提供するサービスが収益を生み出すことに直結しているとか、企業の経費抑制姿勢が強まっている中でも必要な投資として認めるだけの極めて差別化の進んだサービスや技術を提供できる企業が多く見受けられます。


合併による押し上げ効果によってランクインしている企業もいくつか見受けられますが、そうした企業を除いても、かなりの数の企業が、倒産リスクが極めて低い一方で、増益が期待でき、株価も割安と判断することが出来るわけです。


4月から5月にかけては、3月決算企業の業績修正発表や決算発表のラッシュとなります。企業業績全体が悪いのは周知の事実ですが、個別で見れば更に上方修正する企業もきっと現れると思います。
こうしたスクリーニングは市販のソフトで簡単にできますから、まずは研究すべき企業グループをリストアップし、「応援できる企業か?」、「投資することに納得が行く企業か?」を、IR情報などを最大限に活用して、自分で判断してみてください。
(なお、このスクリーニングは4月1日に実施しましたが、各企業の業績修正などは一部反映されていない可能性もあります。また、リストはあくまでもスクリーニングの結果であり、個別企業への投資を推奨するものではありませんので、ご注意ください。)

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 16:37 | コメント (0)

2009年03月24日

株主優待をどう考えるか

株式投資において個人投資家の皆さんの関心の高いポイントの一つが、「株主優待制度」でしょう。
現在株主優待制度を導入している企業は約1000社。うち約600社が3月末株主に対して様々な株主優待を実施しています。

株主優待の内容については、様々な雑誌やHPで情報を収集することが出来ますし、ネットを利用すれば、権利確定時、内容、最低購入金額などを条件にスクリーニングも可能です。優待内容を金額に換算した「優待利回り」ランキングを掲示しているサイトもあります。

株主優待を主眼に株式投資をすることも、ひとつの投資スタイルですからそれもアリなのですが、それのみで投資を決定するのは「?」です。
言うまでも無いことですが、株式投資はあくまでもリスクがあることを認識しておかねばなりません。その企業の業績や今後の動向をよく分析せず、自分好みの優待を得ることのみが目的となってしまい、結果として株価が大幅に下落してしまっては文字通り、元も子もありません。


また、昨今の企業収益の悪化から経費削減を目的に、株主優待制度を見直したり、廃止する企業も増えており、株主優待の廃止を発表したとたん株価が大きく下落するケースも、時折散見されます。
企業を買うことを大前提に、「おまけとして株主優待がある」くらいのスタンスが必要ではないでしょうか。


さて目線を転じて、企業側が株主優待制度を導入するメリット・デメリットはどんなものがあるのでしょうか?


メリット
一番大きいのは個人株主の増大です。
特に自社の製品やサービスを一般の個人向けに提供しているわけではない、いわゆる「B to B」型企業にとっては、個人投資家の認知度を上げて株主になってもらうには有効な手段であると一般的に考えられています。
また、実証的な研究の結果、株主数の増大、流動性の向上、それに伴う株価の上昇も確認されており、短期的には有効な施策と見られています。


デメリット
機関投資家や外国人投資家からの意見として見られるのが、株主平等の原則に反するというものです。彼らとしては優待として、例えば「おこめ券」や「ギフトカード」を貰っても使うことが出来ず、その分配当にまわすなり、経費を削減するべきだとの考えです。(優待のコストは一般的には交際費に計上されています。)


また、コーポレートガバナンスにも悪影響を及ぼすケースも想定されます。
つまり、株主優待のみを目的とした株主が増えると、経営者が株主のためにならない非効率な経営を行っていても、チェック機能が働かず、企業価値の向上につながらない可能性があります。
優待目的の株主としては「優待貰っているからそれで満足」と考えるかもしれませんが、もし同じ投資金額を株主の方を向いた経営を行っている高ROE企業に投資したとしたら、中長期的には企業価値および投資リターンに大きな違いが生まれることになるでしょう。


株主優待制度は日本独自のユニークな仕組みであり、上手く利用することは株式投資を楽しむ一つの方法だと思います。
ただ、目先の利益のみのとらわれず「賢明な株主」として、中長期的な資産の成長を目指していくことも是非忘れずにいていただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 19:15 | コメント (0)

2009年02月18日

なんだかなぁ

現在の局面だけに限ったことではないのでしょうが、まあ、世の中、いろいろなことが次から次へと起こります。(「起こしてくれる」と言った方がふさわしいですね。)
日経平均も4ヶ月ぶりの安値更新となってしまいましたが、このマーケットが発する強烈なメッセージを政府はどのように感じているのでしょうか?何も感じていないのでしょう。

財務相辞任について麻生首相は、「任命責任があるというのであれば、任命した責任は私にあると思いますよ。」とコメントしたそうですが、なんとも他人事のようであきれます。

ちょっと話はそれますが、最近、この手の言い方をする人(特に著名人)が多いと感じます。
代表的には、
「もし○○と言ったことで、多くの人を傷つけたとしたら、申し訳ないと思っています。」
「もし××で、信用を失うとしたら、深く反省いたします。」
といった表現です。
昨年は、某女性有名歌手がこれで謹慎しましたが、自分の発言に対する責任や自覚が全くない点に憤りを感じますし、「傷つく人がいなかったら反省しなかったのか?」と突っ込みたくなります。
あの女性歌手も酷いものですが、一国の首相が同じレベルであるということが、株価にも表れているのでしょう。


話を戻して、こんな状況下、投資家としてとるべき態度は二つあると思います。
一つは、こうした局面を嘆き、投資自体をやめること。投資家から降りることです。

もう一つは、こうした状況だからこそ「人の行く裏に道あり花の山」の例え通り、将来の大きなリターンを獲得できる大きなチャンスと捉えて、そのために行動することです。

どちらにするかは各人の性格(人間としての性格に加え、お金の性格も)によるので、一概にいえません。
ただ、以前にも触れましたが、「長期投資&分散投資による株式投資の優位性」は過去の検証からは明らかです。もちろん過去は将来を保障するものではありませんが、豊かさを求める人間の経済活動とその大きな手段である株式会社の意義を考えれば、株式市場が急落しているから株式投資をやめようと考えるのではなく、むしろ「いろいろな銘柄が安く手に入る局面がやってきた。」と考えるべきだと思います。

また、人間の心理というのはおかしなもので、知らない間に株が上がりだすと乗り遅れまいとして焦り、よく研究・勉強しないで買ってしまうものです。現在はそういう意味ではじっくりと株式市場や企業を研究・勉強するいい機会だ位に構えてみてはどうでしょうか?


さて、どんな企業を選別すべきかということから、市販のソフトを使って、全上場企業約3,800社を対象に簡単なスクリーニングをしてみました。

「今期予想経常増益率20%以上、予想PER15倍以下」という基準です。
連日新聞紙上は「減益、赤字」のオンパレード。企業収益全体でも大幅な減益が予想されていますので、果たして何銘柄くらい出てくるのかと思ったところ、結果として265銘柄がリストアップされました。
もちろん業績の修正などもあるので、随時チェックを継続することが必要ですし、一時的な利益回復のケースもあるのでこの265銘柄全てが投資の有力候補というわけではありませんが、それでも結構な数の企業が、投資されるべきポテンシャルを持っていると考えていいと思います。

次は一つ一つ企業の内容をチェックしていくのですが、このときに重視したいのが、以下の点かと思います。


【業績予想精度】
企業のことはやはり企業でなくてはわからない部分が圧倒的です。特に業績予想についてはアナリストでも難しいケースがあります。
下方修正が頻繁に行われているようだと「?」が付きます。もっとも上方修正のインパクトを狙って(もしくは下方修正のリスクを回避するために)、必要以上に保守的な予想をする企業も注意が必要です。


【IR姿勢】
自社の事業内容、特徴、今後の戦略などを個人投資家にもわかりやすく伝えようという努力がみられるか?
特にトップがわかりやすく、自分の言葉でメッセージを伝えているかは重要だと思います。「自分がファンになれるか」という視点で動画などを見てみるといいでしょう。
極端な話ですが、あの社長が好きか嫌いかでもいいでしょう。というより個人投資家にとっては重視すべきポイントだと思います。


さきほどの265社の中にも、具体名はあげられませんが、私が個人投資家の立場として以前から魅力を感じている企業がいくつかありました。
時間をかけて探せばもっと出てくると思います。


まだまだ市場全体は不安定な時期が続きそうです。
「自分の銘柄探し」に時間を使ってみてはいかがですか?
(ただ、自分で探すのが面倒だと感じる人は、株式投資を行うことを控えた方がいいと思います。)

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 23:28 | コメント (0)

2009年01月21日

投資と投票

月曜の深夜に帰宅してテレビをつけると、まさにオバマ新大統領の宣誓が始まるところでした。その後の就任演説は流石に途中で寝てしまいましたが、それにしても、原稿を読まずに迫力あるスピーチを行うことに改めて感心するとともに、約200万人という聴衆が集まったことも驚きました。どちらも日本ではなかなかお目にかかることの出来ない光景ですね。


しかし、200万の人々が集まり、支持率も80%に達するというのは「期待されている」という意味で凄いことであるのは確かですが、「英雄不在の時代は不幸だが、英雄の登場を望む時代はもっと不幸だ。」との言葉もあるように、それだけ米国民の気持ちが行き詰っているともいえそうです。
なにはともあれ、新大統領がこれからの世界の行方に対する鍵を握っていることは間違いないわけで、その政策、言動には注目(期待?)していきたいと思います。


昨年の大統領選挙の投票率は60%と歴史的な高さでした。
1960年以降の選挙で一番低かったのは1996年(クリントンの2期目)ですが、それでも49.1%と、日本の国政選挙などと比べればまさに天と地の開きです。
民主主義というプロセスに参加することの意義・意味に対する意識の違いが、あの日の200万人という聴衆に現れているのかもしれません。


ところで、「株主となる」ことを意識した株式投資は、選挙に良く似ているのではないかと思っています。
有権者と投資家には以下のような共通点があります。

・未来のために行動する。
・自分で考えて自分で選ぶ。
・行動の結果は良くても悪くても自分に帰ってくる。
・見込みと違えば見切る。
・「自己責任原則」が成り立つ前提として、対象(候補者、企業)は委託を受けた責任が問われる。信頼を得るための情報公開も必須。


そうした点に加え最も重要なのは、投資も投票も世の中を「Change」するパワーの源泉であるということではないでしょうか。

有権者も個人投資家も、一人一人は小さな存在です。選挙では組織票が壁となることもありますし、投資においては少数株主が不利益を被ることも見受けられます。まさに数の理論です。
それでも、同じ思いの人間が集まれば大きなパワーを産み出すことも、多くのケースが示しています。
以前から述べているように、社会を大きく変革し豊かな世界を創り出してきたのは「企業の力」であることは紛れもない事実です。不確実な未来に対し、名も知られていない企業であっても株主による支援をバックに、独自の技術やノウハウで世の中を変革してきたのです。


このような「投資と投票の類似性」を考えると、日本とアメリカの投票率の違いは、日本とアメリカの株式投資に対する意識の違いにも反映されているかもしれません。
やや強引かもしれませんし、きっちりとした検証ができているわけではありませんが、もう少し深く考えてみたいテーマだと考えています。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 22:31 | コメント (0)

2009年01月08日

2009年「己丑」(つちのとうし)の意味するところ

みなさん、明けましておめでとうございます。

昨年は株式市場においては、まさに未曾有の激変が生じ、今年は実体経済への影響も避けられそうにはない状況ですが、まさにこういう時だからこそ、明るく豊かな未来創りのために「株主になること」、「株主になるとはどういうことか」を中心テーマに、いろいろと考えていきたいと思っています。よろしくお願い申し上げます。

さて、今年2009年は、「己丑」(つちのとうし)です。

少し脱線しますが、そもそも「己」をなぜ「つちのと」と読むのでしょうか?
私もある方に付いて最近勉強したのですが、これは中国に生まれた陰陽五行説からきています。
この世の中の存在(物質も精神も)は「木・火・土・金・水」の五行から構成されており、それぞれが「陽と陰」の2つのペアリング、合計10の要素(十干)から成っているとするのが陰陽五行説です。

つまり、十干「甲乙丙丁戊己庚辛壬癸」は五行と「木=甲(陽)・乙(陰)」、「火=丙(陽)・丁(陰)」、「土=戊(陽)・己(陰)」、「金=庚(陽)・辛(陰)」、「水=壬(陽)・癸(陰)」のように対応しており、陽と陰は「陽=兄、え」、「陰=弟、と」と読みます。
そのため、「己」は「土の陰性」で「つちのと」と読むことになるわけです。
(同様に、甲は「きのえ」、乙は「きのと」。丙は「ひのえ」、丁は「ひのと」となります。)


さて、60年に一度めぐる「己丑」(つちのとうし)はどんな年になるのでしょうか?
私の先生によれば、「己丑」(つちのとうし)は、「伝統ある歴史の中から価値のあるものを見つけ出すべき年」と解釈できるそうです。
「丑」は、季節は「冬」、時間は「草木も眠る丑三つ時」ということからもわかるとおり、午前1時から3時の最も深い夜にあたります。こうした真冬や深夜には外を出歩くのではなく、足元を見つめ直して本質的な価値を見出すことに意識を向けるべきであるというわけです。


「レバレッジ」に象徴される米国型資本主義の膨張・拡大は完全に幕を下ろしました。
その影響、混乱が簡単に収まるとは考えられませんが、一方で、より豊かな未来を創造するには資本主義というシステムが不可欠であることは今後も変わりはないはずです。

そうした意味でも、2009年「己丑」(つちのとうし)は、能力と事業意欲がある起業家に、そのビジョンに共感した資金はあるがノウハウのない投資家が出資するという、まさに伝統的な資本主義の本質的な価値に意義を見出し、原点に立ち返るべき年なのではないでしょうか!
また、複雑な金融商品が混乱を一層拡大させてしまった反動、反省から、リターンを追求しながらも、よりシンプルに、自分のお金が何に使われ、それが社会の発展や未来にどのように使われているかを意識する流れも強まっていくのではないかと思います。
加えて、技術力、雇用形態などを含めた、日本企業本来の本質的な価値や優秀さを再度評価してみる視点も重視されることと思います。


いずれにせよ、今後の経済状況や株式市場の行方を手放しで楽観することはできませんが、足元を見据えながらも「本質は何か?」を見出す視点を忘れずに株式投資に臨んでいただきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 18:09 | コメント (0)

2008年12月19日

配当とROE

先日出席したある企業の決算説明会における質疑応答の際、参加者が「昨今の厳しい環境下、業績動向もかなり不透明ですが配当に関してはどうお考えですか?」と質問しました。

私は「その時点での環境や様々な要因を総合的に判断して決めたいと思います。」といった感じの、曖昧な回答をするのではないかと思ったのですが、社長は一言

「現在の配当額を死守します。」と答えました。減益で次の期も決して楽な環境ではなさそうで、役員賞与もゼロ。裏を返せば厳しい環境でもそれなりの見通しや自信があるということなのでしょう。
経営者のメッセージの重要性を改めて感じました。


ということで今回は株主にとって最大の関心事のひとつである配当について触れてみたいと思います。

配当に関する代表的な指標として頭に浮かぶのは、配当利回り、配当性向などがあります。

配当利回りは、「一株当たり配当額 ÷ 株価」であり、昨今の株安&低金利で長期投資の視点に立てば大変魅力的な銘柄も沢山見受けられます。(もっとも、まずはその企業の財務的安定性と今後の業績動向が前提とはなりますが。)
配当性向は、「一株当たり配当額 ÷ 一株あたり利益」です。


株主から資本を託されている経営者が、1年間の事業活動の結果稼ぎ出した利益からいかほどを株主に還元するかを示し、経営者の株主に対する考え方を表しています。
目標配当性向として明示している企業も多く、30%を掲げているケースが良く見受けられます。ただ何故30%かというと明確な理論的裏づけはなく、内部留保や役員賞与とのバランスで1/3程度というくらいの感覚でしょうか。


配当性向は株主に対する考え方を示す重要な指標ですが、分母である利益額の変動に大きく影響されてしまうという問題があります。安定的に利益が推移している企業やそういう時期は、問題ありませんが、利益が大きくぶれるケースでは目標配当性向を厳格に適用してしまうとあまりにも配当額が変動してしまいます。


そこでその欠点を補うものとして、自社株買いを勘案した「総配当性向」という考え方もあります。
自社株買いは前回触れたROEの向上を通じて株主のために貢献しますが、他にも発行株数の減少による一株当たり利益の押し上げや、株式市場における需給をタイトにすることにより株価への直接的なインパクトも期待できることから、株主還元の重要な施策と位置づけられており、配当額と自社株買いの金額を合計した金額を利益で割ったものが「総配当性向」となります。


もうひとつ、利益変動による影響を避けるために最近使われ始めている指標が「株主資本配当率(DOE:Dividends on Equity)」です。
これは、配当額を株主資本で割ったもので、株主資本は短期では大きく変動することは少ない点に着目したものです。


株主資本配当率を分解してみると、配当額 ÷ 株主資本=(配当額 ÷ 利益) × (利益 ÷ 株主資本) となり、これは「配当性向 × ROE」です。
つまり株主資本配当率の観点からは、高配当性向もしくは高ROEの企業が、株主重視の経営を行っていると見ることができるわけです。


またまたROEが出てきましたが、ROEを意識することが経営者にとっても株主にとってもいかに重要なことかが改めて理解できるのではないでしょうか。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 16:54 | コメント (0)

2008年12月12日

引き続き「ROE」について

前回に引続き、「ROE」を絡めた株価指標の見方について述べたいと思います。


昨今の株式市場の大幅な下落により、結果としてPER、PBRといった伝統的な株価指標が歴史的な低水準となっています。
12月11日(木)時点の株式市場全体を表す指標である日経平均のPER(予想ベース)は14.91倍、PBR(前期基準)は0.99倍、JASDAQ指数のPER(予想ベース)は15.74倍、PBR(前期基準)は0.99倍となっており、特に企業の解散価値と株価の比較であるPBRについては、1倍を割り込んでいます。

個別銘柄で見ても、財務内容に問題がありそうには思えなくても「現時点で会社を清算して、借金を返済した後の残余資産を分配したほうが有利」という水準まで株価が売り込まれている企業が、国際的な大企業に至るまで多数存在していることは、やはり驚くべきことです。


過去に例を見ない経済環境、金融環境ではありますが、割安株投資の一手法として、「PBR1倍割れ」という切り口が中長期の視点では有効であることは、間違っていないと思います。
ただ、PBRが1倍を割れているといっても、企業によってその背景には違いがあることには注意が必要です。


例えばPBRが0.1倍といったように極端に低い場合は、やはり市場はその企業の今後に対して危機的な見通しを発していると考えられますので、割安とは言い難いでしょう。
そうでなく、注意すべきはPBRが0.7倍とか0.8倍とかで、倒産の可能性が極めて小さいケースです。
1倍を割れているので、中長期的には多数の投資家が参加する株式市場であれば、理論的には1倍に近づいていくと考えられます。
しかし、ここで「ROE」が鍵を握り同じ低PBRの企業でも、投資判断に差異が生じてくる可能性があるのです。

PER、PBR、ROEの3者には以下のような関係があります。

PBR=PER × ROE
(時価総額/株主資本=時価総額/純利益 × 純利益/株主資本)

つまりPER=PBR ÷ ROE となります。

同業で、PBRも同じ0.7倍の企業がA社、B社あったとします。
PBRは同じですが、「ROE:効率的な経営を行っている指標」がA社は10%、B社は5%です。
そうするとPERはA社 0.7 ÷ 0.1(10%)=7倍に対し、
B社は 0.7 ÷ 0.05(5%)=14倍となります。
上記のように日経平均のPERが現在約15倍となっています。

投資家は絶対的な割安・割高で判断することもありますが、市場平均や同業他社と比べて相対的な判断も行います。
そうすると、PERの観点からは、B社については市場平均と比較して大幅に安いとは言い難い水準です。仮にPERで市場平均並みまで買ったとしても上値余地はせいぜい7%程度ですし、同業のA社と比べると割高と判断せざるを得ない状況です。


PBRは同水準でも、「ROE」によって株式市場における評価が大きく異なることがお解かりだと思います。
こうした観点から、企業は経営の効率性を高めるとともに、自社株買いなどによってROEの向上を目指しています。
前回触れたように高ROEの背景を分析することを前提として、ROEを高める努力を怠らない企業を探すことは、「株主となる」にあたって絶対に不可欠なポイントです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 18:18 | コメント (0)

2008年11月25日

「ROE」の背景を知ること

企業評価の視点の一つに、「株主の期待にどれだけ応えているのか?」というポイントがあります。
指標としては、配当金、配当性向など様々なものがありますが、企業経営の優秀さを判断する代表的な指標が、「ROE:Return On Equity(株主資本利益率)」です。
算出方法は、当期利益÷株主資本(通常は期首と期末の平均)で、株主から預かった資金をベースに、どれだけの利益を生み出すことができているかを測定するものです。
当然ながらROEが高いということは、効率的な経営が行われている優秀な企業だということができます。

投資家、企業ともに「株主」に対する意識が強い欧米では、以前からROEを重視した経営が行われてきました。
一方、80年代後半のバブル崩壊まで、株式持合いなど「株主重視」の意識が低かった日本においては、ROEは特に重視されず、内部留保優先の経営姿勢の下、株主資本が積み上がり分母が増大し、ROEは低水準にとどまっていました。
ところが90年代以降、日本においても右肩上がり成長の時代の終焉、株式持合いの崩壊とともに「株主重視」、「効率的経営」が志向されるようになり、多くの企業が重要な経営指標としてROEを掲げるようになりました。
東京証券取引所の資料によれば、2008年3月期の全産業ROEは9.31%と、10年前の2.99%から大きく上昇しています。ただ、欧米企業のROEは15−20%程度と高く、日本企業はまだまだそこまでは追いついていないのが現状です。


さて、このROEですが、以下のような式に分解することが出来ます。

ROE=売上高当期利益率 × 総資産回転率 × 財務レバレッジ

当期利益/株主資本=当期利益/売上高 × 売上高/総資産 × 総資産/株主資本


最後の「総資産/株主資本」は、株主資本比率の逆数であり、総資産に占める負債の比率を表すものでもあるわけで、以前このコラムで触れた「レバレッジ」と同様な考え方となります。(財務レバレッジが高い=負債依存度が高い)


この分解式からROEを向上させるには、
ー益性を向上させる(売上高当期利益率を上げる)
∋饂困慮率性を高める(総資産回転率を上げる)
I藝聴預古戮鮃發瓩襦丙睫灰譽丱譽奪犬鮠紊欧襦
の3つを進めればいいことがわかります。


ちなみに、前述のバブル崩壊後の日本企業のROE上昇の要因は、企業の体力が弱まっていた中、負債返済が進む一方で生産設備や労働力の過剰が解消し、の低下を,両緇困カバーした結果と分析できます。


個別企業を見る場合も、この視点が大変重要です。
つまり、同水準のROEである企業同士を比較したり、ROEが数年前と比べて上昇している企業を分析する際、3つの要因のうちどれが主因となっているかを見極める必要があります。
特にの「財務レバレッジ」は要注意です。


少し難しい話になりますが、企業財務の世界に「MM理論」という企業の資本構成に関する理論があります。フランコ・モジリアーニとマートン・ミラーという学者によるもので、
かなり簡単に言うと、「法人税が存在しないなどある前提の下において、企業価値はその資本構成に影響されない。法人税を考慮した場合は、(有利子負債の調達レート以上の利益を獲得できる限り)負債による資本調達を行った方が、節税効果分、企業価値が高くなる事になる。」
というものです。


しかし、実際には有利子負債依存度が高まると同時に倒産リスクも増大し、この倒産リスクが一定限度を超えると、逆に有利子負債比率の上昇が企業価値の低下を招く局面を迎えることになります。それではどの水準が適正化ということになりますが、一般的な公式は存在せず、各企業の業態やリスクによって変化すると捉えられています。


ROEを高めようと思えば、多額に借入をし、レバレッジを高めれば良いということになりますが、そう単純ではないわけで、高ROE企業もその要因、背景を理解することが大切なのです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 19:04 | コメント (0)

2008年11月08日

東京国立博物館で出会った応援企業

先日、東京国立博物館で開催されている「大琳派展」に行ってきました。
休日ということもあり、混雑が予想されるので9時半の開館を目指し、JR上野駅公園口から入り口まで歩いていくと、もう既に開館を待つ人の列が出来ていました。

前売り券を買っていなかったので、まず当日券を買わねばならず、やっと買ったものの今度は会場である平成館の前で3列に並んで入場待ちとなり、結局入館するまでに20分くらいはかかったでしょうか。
それでも入ってみれば、混雑時の常套手段で第一展示室からではなく、第二展示室から回ってみると、比較的スムーズにゆったりと各作品に近づくことができました。


東京での「琳派展」を鑑賞したのは、2004年8月に東京国立近代美術館で開催された、「琳派 RIMPA」展以来でした。それ以外に「琳派展」と銘打たないものでも、様々な作品に接することの出来る機会があればなるべく足を運んできましたが、やはり今回も、「琳派」ならではの自由闊達なモチーフ選び、大胆な構図、豊富な色使い、繊細緻密な描写、ちょっとした遊び心、師匠と弟子ではない先達に対する尊敬と思慕の心、などに改めて感じ入ると同時に、こうした素晴らしい作品を直接目にすることが出来る幸せに浸ることができました。


そんないい心持で帰り間際に平成館の1階のガイダンスルームを覗くと、当博物館所蔵の国宝である長谷川等伯筆「松林図屏風」が飾られています。
まさかとは思いましたが、当然のことながら本物ではありません。ですが写真とは明らかに違います。
置いてあったパンフレットの解説を読んでみると、これは「文化財未来継承プロジェクト(綴りプロジェクト)」とい財団法人京都国際文化交流財団が主催し、大手精密機械メーカーが協賛および技術支援を行っているプロジェクトの中の一作品だということでした。


日本の貴重な文化財の中には、明治維新後の不幸な経緯によって海外に流出してしまった名品が多数存在します。
また、国内に残ったものも保存方法の難しさから経年劣化を余儀なくされているものもあります。こうした日本古来の貴重な文化財を限りなくオリジナルに近い形で複製し、後世に継承することを目的とした活動が、同プロジェクトだそうです。
作成された作品を、ただ展覧会で展示するだけではなく、お寺の襖や屏風など、もともとあった場所に展示することにより、オリジナルと同じ「空間再現」を可能にするという意味で、同プロジェクトは従来には無い、非常に高い意義を持つ「代替芸術」であると、考えているそうです。


制作プロセスとして驚いたのは、「入力:高精細デジタル画像データの取得」、「出力:世界最高レベルのプリンティング技術」に次いで、京都西陣の伝統工芸士による「金箔」や、やはり京都で最終仕立ての「表装」が行われている点でした。特に「金箔」においては、経年変化を表現する「古色」と呼ばれる風合いを重視した表現によって、作品の持つ年代も再現するそうです。


同プロジェクトは3年間で国宝・重要文化財を含む15作品以上を制作する計画で、第1期の5作品には上記の「松林図屏風」のほか、「八橋図屏風(尾形光琳筆、メトロポリタン美術館所蔵)」、「洛中洛外図屏風(狩野永徳筆、米沢市上杉美術館所蔵)」などがありますが、
これら作品は社会・文化貢献のみを目的として使用されるため1作品につき1点のみの制作とし、オリジナル所蔵元の社寺、博物館、美術館、学校などへ無償で寄贈されます。


以上が「文化財未来継承プロジェクト(綴りプロジェクト)」の概要ですが、俵屋宗達、本阿弥光悦、尾形光琳などの名品を目にした直後だけに、素直に感嘆しました。
以前の当コラムで触れましたが、「賢明な株主」として必要な4つの行動の第一番として、


「自分も世の中も幸せになる未来を想像しよう!まず自分がどんな未来、世の中を創りたいか、能動的に考えよう。」


というポイントをあげました。
決して同プロジェクトを協賛しているメーカーを推奨しているわけではありませんが、私にとって、そして日本にとって幸せで心豊かな世の中を創るため、こういう企業に是非頑張って欲しいなあと、率直に感じた一日となりました。
こういうことを感じる&感じさせてくれる機会は、みなさんの身の回りに沢山溢れているはずです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 08:17 | コメント (0)

2008年10月22日

決算説明会に注目

世界的な株価下落も、とりあえず一息着いたようですが、まだまだ予断は許さないかと思われます。
今回の株価下落の発端はアメリカ発の金融危機であったわけですが、
「世界的金融危機が実体経済に与える影響を株価がどこまで織り込んだか?」
これに対する答えはまだ見えていないというのが現状なのではないかと思います。
そうした意味で市場では、来週から本格的にスタートする3月決算の第二四半期決算(今期から四半期決算開示制度に伴い中間決算とは呼ばなくなりました。)の決算発表が注目されています。

今回の下落局面以前から、2009年3月期の企業収益は7期ぶりの減益が予想されていたこともあり、蓋を開けてみたらマーケットに対するマイナスインパクトは意外と小さかったということも想定できますし、一方でまだまだ投資家心理は不安定なため、主要企業の減益発表に過剰に反応するということも考えられます。
ただ、このあたりの投資家心理を完全に読みきるのは大変難しいと思われるので、あまりそこに神経を集中させるのもいかがなものかと思います。


それよりも、企業および経営者がこの難局に当たってどんな姿勢をとっているかを良く観察することが重要であり、今回の決算発表はその絶好の機会ではないでしょうか。
最近では多くの企業が決算説明会の模様をインターネットを通じて動画配信しています。
早い会社では決算説明会当日もしくは翌日には自社のHPにアップしていますので、注目している企業が実施していれば是非じっくりと視聴してみてください。


その際、以下のようなポイントが重要と考えます。

―わった決算内容に対する説明がしっかりとしているか?
株価は将来の収益や成長の期待を反映するものですから、終わった決算よりも今後の収益予想が重要なのはいうまでもありませんが、終わった決算の総括も大変重要です。
特に今回のように減益が予想されるような局面では、その背景をはっきりと認識し、その後の対応をしっかりと説明することは、投資家の信頼感を高めることにつながることになります。
一方で、決算の数字を述べるだけで、減益要因にほとんど触れないケースもあります。環境が悪いと話し難いという心情は理解できますが、それでは投資家に満足感や信頼感を与えることはできません。


∈8紊了楮は具体的か?
今後どのような経営を進めていくかは、いうまでもなく最も重要です。
ただ、単にお題目として掲げるのではなく、より具体性を持っているものである必要があります。
例えば、「新規顧客の獲得」といった目標を掲げた場合、自社の営業マンを増やすのか、代理店を使うのか、何かイベントを継続的に開催するのかなどいろいろな施策が考えられますが、現実性、具体性を伴う説明をしているかを判断してみてください。


6叛喞稾造魎超のせいばかりにしていないか?
消費の低迷、円高、株価の大幅な下落など、たしかに企業を取り巻く経営環境は厳しいものがあります。
ただ、それを言い訳にするのではなく、その企業独自の製品力や販売力など、「その企業ならでは」の特徴や強みを持って苦境を打開していく意志と行動力のある企業ほど、魅力的な企業であることは間違いありません。


以上、主要ポイントを挙げてみましたが、実際にはそうはいっても1度決算説明会を見れば全てが把握できるということはありません。
そこで、いろいろな企業を見比べてみることも試してみてください。
説明のしかたや説明資料の優劣がより明確になると思います。
また同一企業を定点観測的にウォッチすることも重要です。環境が良い時と悪い時で説明の詳細さに変化があったりすれば、投資判断に「?」をつけることになるでしょうし、環境に左右されず淡々と良い点も悪い点も言及する企業には信頼感を感じることとなるでしょう。


株価の乱高下が続いていますが、企業の実態や企業価値が毎日同じように上下しているわけではありません。
そうした短期的な株価変動に振り回されることなく、企業がこうした環境下でどのようなアクションを起こして他社との差別化をはかり競争を勝ち抜こうとしているのか?
そのベースとなる考え、ビジョンを理解し、信頼すべき応援企業発掘に取り組んでみてください。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 16:31 | コメント (0)

2008年10月07日

世界的株価下落ともう一つのレバレッジ

世界的な金融不安が拡大する中、6日のNYに続き、これを書いている7日の日経平均も一時「1万」の大台を割り込みました。
株価は景気や経済の先行指標と言われます。現在の世界的な株価の大幅下落が見通す先々の世の中がどんなものなのかは、想像するとちょっと恐ろしい気もします。
今後どういった展開になるか、つまり「いつが底になるか?」を見通すことは正直難しいとは思いますが、投資家にとっては株式投資を改めて考えるいい機会になるのではないかと考えます。

たしかに先行きの景況感の悪化により、これまでの成長シナリオを修正せざるを得ないケースも出ています。
ただ、決して足元の業績予想が減益ではなく堅調な見通しであるにもかかわらず、PERなど一般的な投資指標が極端に割安な銘柄がぞくぞくと登場しています。
残念ながら保有銘柄の大幅な損失という状況はあるかも知れませんが、投資家にとっては明るく豊かな未来を共に創る「応援投資に値する企業」候補が目白押しと言っても過言ではない状況といえます。


ところで、少し話は逸れますが、今回の金融危機の要因を説明するキーワードの一つが「レバレッジ」です。
レバレッジとは梃のことで、「支点」、「力点」、「作用点」という三点により、小さな力で大きな石を動かすことができることでよくご存知と思います。

資産運用においては、より効率を上げるために、手元資本に外部から調達した資金を組み合わせて運用を行い手元資金だけでは得られない高い利益の獲得を狙うというものです。
例えば、1000万円の自己資金があったとします。
これを投資し年率10%の利回りを得られれば、1年後には資金は1100万円になります。
今度は、自己資金1000万円に加え、3%の金利で5000万円を借入で調達し、合計6000万円を同じ案件に投資したとすると10%の利回りで、1年後の資金は6600万円となります。借入元金5000万円と金利150万円を返済すると実質の手取りは1450万円となり、自己資金に対する利回りは、45%と極めて高いリターンを実現できるのです。
世界的な金余りの中、銀行も証券会社も運用会社も、より高いリターンを求めてこの「レバレッジ」を当たり前のように利用していきました。

しかし、運用が上手くいっているときはいいのですが、ひとたび方向が逆転し、マイナスの利回りとなると、大きな損失につながります。
上の例でマイナス20%となったとすると、自己資金のみの場合は自己資金が800万円になっただけで済ますが、「レバレッジ」をかけた場合は、損失額は1200万円。つまり自己資金では賄えない損失となり金利分も入れると350万円を新たにどこかから調達しなくてはならなくなります。
調達できればいいですが、例えばこれが金融機関で、「あの銀行は資産運用で多額の損失を出した。」という情報が広まればその銀行は資金調達が難しくなり経営破綻に追い込まれ、融資の引き上げ、貸付の焦げ付きなど連鎖的に危機が拡大します。かなり単純化しましたが、要は、一旦動き始めると、最初は小さな力でも次第に想像も出来ないほど大きな力となって現れるということです。(プラス方向にもマイナス方向にも。)

このように「小さな力を大きな力に変換する」レバレッジですが、実は本来の株式投資そのものなのかもしれません。
一人一人は世の中に顕著な影響力を持たず、少額な投資資金しか持たない個人投資家でも、その資金が企業に投資され、企業の成長とともに大きな力となり、明るく豊かな未来を創り、世の中を変えていくわけです。
今回の株価の大幅な下落により借入によるレバレッジは当面姿を潜めるでしょう。
それと同時に、「個人投資家が割安な応援すべき企業を探し出し、共に成長していく」という、もう一つのレバレッジを考えるきっかけとなって欲しいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 19:54 | コメント (1)

2008年09月29日

企業選別のための心構え

これまで何度も、「株式会社とは?」、「中長期・分散投資は投資の王道」といったことを説明するなかで、株式投資というものを、単に日々の株価のみを追いかけて利益を上げるだけではなく、「自分が応援する企業の株主となって、明るく豊かな未来創りに参加すること」と認識していただきたいと述べてきました。
それでは、応援すべき企業をどうやって発見、発掘すればいいのでしょうか?

企業選択、銘柄選別のための情報源には様々なものがあります。
株式の専門新聞、投資専門雑誌などでは株式評論家の方たちがいろいろな視点から多様な銘柄を「有望銘柄」といった形で取り上げています。
また、証券会社のアナリストは、自分が調査活動の対象としている企業に対し「買い」、「中立」、「売り」といった判断を行いアナリストレポートとして発表しています。(ただ、証券会社のレポートは基本的には証券会社が自社の顧客に対して提供するものであるため、誰でも入手できるとは限りません。)

こうした情報源は、約3800社もある上場企業の中から投資すべき銘柄をピックアップするのに有用であることは間違いありません。質の高い情報源であれば積極的に利用すべきです。ただ、その場合でも是非ともみなさんに留意していただきたいことは、「最終的には自分で判断してください。」ということです。

株式投資にはリスクがありますが、リスクがあるからこそリターンを期待することができます。そしてそのリスクを自分で負うからこそ、結果としてのリターンも自分のものにできるのです。(銀行預金の場合は、運用のリスクは銀行が取ってくれて元本を保証してくれますが、リターンは一定の利率です。運用がうまくいった場合のリターンは当然ですが銀行のものとなります。)


つまり、株式投資の世界でリターンを獲得しようと望めば、今更言うまでもないかもしれませんが、「自己責任の原則」をしっかりと認識し、自分で判断することが求められるのです。
「有名な評論家が推奨していたから。」、「みんなが有望だといっていたから。」という理由だけで投資をすることだけは絶対に避けていただきたいと思います。
仮にリターンを得られたとしても偶然で何度も続かないでしょうし、そもそも「自分が応援する企業の株主となって、明るく豊かな未来創りに参加すること。」という考えに全く反するものだからです。


さて、それでは自分で判断するためには何が必要でしょうか?
企業の内容を分析したり、株価の割高・割安を評価するための手法がありますが、これらを勉強することはもちろん重要です。今まで経験のない方には少々億劫かもしれませんが、最近は大変分かりやすく説明してくれる本や講座などもありますからそうしたものを利用して、ここは最低限押さえておかなければいけません。そうした努力の対価としてリターンを得ることができるものと考えてください。
そうした下地の上で「自分で判断するために最も必要なもの」は、企業自身が発するIR情報だと、私は考えます。

お見合いをする場合(私はしたことがないのですが)、最終的には本人と会って会話の中から相手の「家庭環境」、「仕事の内容」、「趣味」、「人生観・家庭観」、「容姿」といった様々な情報を入手して、結婚しても良い相手なのかを判断しますよね。仲人さんや最近増えている仲介企業の提供するプロフィール情報だけで結婚を決める人はいません。

また自動車を購入する際も、パンフレットや情報誌で大まかな情報を得たとしても、実際に試乗してハンドル、サスペンション、アクセル・ブレーキといった乗り心地が自分にフィットしているかを試してから購入するか否かを決断すると思います。

株式投資の場合も同様です。
評論家の意見を鵜呑みにするのではなく、企業「本人」から直接情報を受け取り、自分の価値基準と合っているかを判断することが、「応援する企業の株主となって、明るく豊かな未来創りに参加する」ための大変重要なポイントであることは、容易にご理解いただけると思います。
(もっとも結婚において容姿も重要ですが、そこばかりに重点を置きすぎると必ずしも良い結果に結びつかないのと同様に、企業も「見てくれ」とパフォーマンスは必ずしも一致しないとはいえます。この点については後ほど改めてふれます。)


企業自身が発する「IR活動」、「IR情報」という言葉は、近年頻繁に用いられるようになっており、新聞、雑誌などでこのアルファベット2文字を見かけたことがある方も多いと思います。
ただ、まだまだ個人投資家のみなさんにはなじみが薄く、一部には誤った捉えられ方をしているようにも見受けられます。しかし、繰り返しになりますが、株式投資を行うにあたり、「IR情報」は個人投資家にとって非常に重要な要素です。
そこで次回以降では、「IR」の意味、重要性を説明するとともに、自己責任が求められ、「株主となり明るく豊かな未来創りに参加する」個人投資家にとって「IR情報」をどう有効活用していくべきかをお話していきたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 16:00 | コメント (0)

2008年09月18日

読売ブリッジサロンを開催しました。

9月6日(土)に第1回目の「読売ブリッジサロン」を開催しました。
当日は約140名の個人投資家にお集まりいただきました。
まず「株主になるとは? 〜明るい未来創りにために〜」と題した私の講演の後、以下の3社のIRプレゼンテーションを行いました。

証券コード2304:株式会社CSSホールディングス(JASDAQ上場)
証券コード9616:株式会社共立メンテナンス(東証1部上場)
証券コード7839:SHOEI(東証2部上場)

各社のプレゼンテーションの模様は、弊社のWebsiteからインターネット動画配信で見ることが出来ますので、遠方にお住まいの方、時間の都合がつかず当日参加できなかった方も是非ご覧下さい。

当日はこれまでも当社が開催してきた「ブリッジサロン」に参加していただいた方に加え、初めて「読売ブリッジサロン」の事を知っておいで頂いた方も多数いらっしゃいました。
御記入頂いたアンケートには「初めての参加でしたが大変参考になりました。」などの、お声を頂戴しました。

私のスピーチのポイントはこれまでも当コラムで述べてきたことと重複する部分もありますが、以下のとおりです。
・株価のみを追いかけるのではなく、企業の事を良く知って「企業」へ投資しよう。

・株式会社という仕組みは、豊かで明るい未来を創りだすための人間が生み出した偉大な知恵。

・蒸気機関、自動車、インターネットなど19−20世紀の世の中を大きく変えた原動力は、事業意欲に溢れた起業家とそれにリスクマネーを投資した投資家。そしてその仕組みを可能にした株式会社制度。

・21世紀においてもその構造に変わりはない。豊かで明るい世の中を創りだすために、そうした能力のある企業を探し出し、応援していこう。

最後に「賢明な株主」としての4つの行動を上げてみました。
ー分も世の中も幸せになる未来を想像しよう!
「まず自分がどんな未来、世の中を創りたいか、能動的に考えよう。」

応援したい&応援すべき企業を探そう!
「そうした世の中実現のために、自分ひとりの力では難しくても能力と熱意のある、応援すべき企業と経営者を探し出す。」

C翊拘の視点で応援しよう!
「短期間での実現は難しいのも事実。じっくりと応援しよう。また短期間の成果を企業に要求すると、かえって企業価値の増大につながらない結果となることも。」

ご覿箸叛儷謀にコミュニケーションを取ろう!
「せっかく株主になったら、企業に期待することや批判も含めて積極的に伝えるべき。企業と株主が共に協力して世の中を変えていくという姿勢を大事にする。」

次回は、「応援すべき企業」の探し方について述べてみたいと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 11:34 | コメント (0)

2008年08月12日

「一つの籠に卵を盛るな」

前回は長期投資の重要性に触れましたが、もう一つの重要な投資の原則が「分散投資」です。

株式市場では古今東西問わず様々な格言がありますが、米国には、「一つの籠に卵を盛るな」という格言があります。
朝、鶏小屋に行き産みたての卵を家まで持って帰る際、卵を一つの籠に全て盛っていこうとすると、1回で運べば済むため、手間は少ないですが、もし途中で石にでも躓いて転べば、多くの卵を割ってしまいます。

これに対し、面倒でも数回に分けて運べば、毎回転ぶ確率は極めて低いため、結果的には安定的に低リスクで卵を運ぶことができるわけです。

リスクという言葉を使いましたが、若干説明をしておきます。

ここでいうリスクとは、単に危険であるとか、損失の可能性という意味ではなく、「予想されるリターンからどれくらいブレるか?」という意味です。
例えば銀行の定期預金の利率が仮に0.5%だとしましょう。
銀行は預金者に「1年後に0.5%の金利をつけてお返しします。」という約束をしているわけですが、1年後の利息は0.5%以上でもなければ0.5%以下でもありません。この状態が「ノー・リスク」です。

これに対し、株式にはリスクがあります。
前回のコラムでアメリカの長期投資のリターンが約7%と書きましたが、それに対するリスクは保有期間5年で約7%。10年では5%、20年で3%、30年で2%弱となっています。「ノー・リスク」ではないため、常に7%のリターンを期待できるわけではありませんが、逆に7%を上回るリターンを獲得する可能性もあるわけです。つまり、『期待リターン』±『リスク』=『実際に得られるリターン』となります。
簡単に言うと、「投資期間10年、期待リターン7%、リスク5%」であれば、かなり高い確率で「12%〜2%」のリターンを得ることができると考えられます。

このように、「ノー・リスク」の場合は、期待リターンを下回ることもない代わりに、上回ることもないのに対し、「リスクのある」株式の場合は、長期の期待リターンを下回ることもある代わりに、それを大きく上回ることもあるわけです。加えて言うなら、保有期間が長くなればなるほどリスクも小さくなるというのも、株式投資の大きな特徴といえるでしょう。

こうした関係を「ノーリスク・ノーリターン」、「ローリスク・ローリターン」、「ミドルリスク・ミドルリターン」、「ハイリスク・ハイリターン」といいます。リスクを取ってこそリターンを得ることができるわけで、格言で言うなら「虎穴に入らずんば虎児を得ず」となりますね。

この関係を無視した「ノーリスク・ハイリターン」などという、所謂うまい話はこの世の中には存在し得ないのですが、毎年1回はいろいろな手口の詐欺事件が話題になります。低金利の時代が続いているからでしょうが、注意が必要です。うまい話には裏があると考えて、しっかり調べた上での判断が不可欠です。

「卵」から少し外れてしまいましたが、リスクという概念を「ブレ」と捉えると、分散投資も理解しやすいでしょう。

例えば、ある投資家が、ある企業を研究し、マーケットの大きさ、技術力、経営者の質などから大変魅力あると考えました。そしてその1銘柄だけに投資を行った場合、当初の思惑通り進めば大きなリターンを得ることができるでしょうが、ライバル企業の出現、代替技術の登場などで成長が阻害され、大きなマイナスリターンとなることもあり、極めて大きな「ブレ」となってしまいます。

そうではなくて、複数銘柄に分散して投資すれば、「ブレ」を小さくして集中投資よりも安定的なリターンを期待することができるわけです。通常、30銘柄程度を保有すればリスクは大きく低減できるといわれています。(ただし、市場リスクといわれる、株式市場全体に関係するブレは消し去ることはできません。)
また、注意しなければいけないのは、同じような動きをする銘柄を複数保有しても意味がないということです。同じような事業内容のIT関連企業を保有することは分散投資になりません。

個人投資家の皆さんが、だれもが30−50銘柄を保有することは現実的には難しいかもしれませんが、「自分で応援する企業への投資」と「投資信託による分散投資」を組み合わせることなども、一つの方法だと思います。
前回も書きましたが、
「長期的に利益成長が期待できる企業を発掘し、分散投資でリスクを低減させ、長期間のスタンスで投資をする。」
この投資の王道を是非検討してみてください。

(ノーリスクについて)
前述の卵の話ですが、ノーリスクで卵を運ぶにはどうすべきでしょうか?
いろいろな手法があるかもしれませんが、一つは「他人に運ぶのを任せて、運ぶ個数を保証させる事」です。ただその場合、任せられた人はそのリスクを引き受けたわけですから、それ相応のコストがかかります。
銀行預金の場合、預けたお金が銀行経由で様々な対象に投資され、そのリターンから銀行の経営にかかわるコストが引かれた上で、利子が支払われます。「どんな投資がなされているか不明瞭」、「長引く低金利」などを考えると、ノーリスクのためのトータル・コストは結構大きいのかもしれません。

参考文献:「株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド」ジェレミー・シーゲル著/林康史監訳/藤野隆太監訳/石川由美子訳/鍋井里依 訳:日経BP社

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 20:09 | コメント (0)

2008年07月25日

投資スタイルの王道とは?

株式投資には様々なスタイルがあります。
マクロ経済や企業の財務状況を分析して投資対象を選別する「ファンダメンタル分析」、過去の株価の推移を分析して今後の株価の動きを予測する「テクニカル分析」、またはその組み合わせ。
投資期間についても、一日に何度も売買を繰り返す「デイ・トレーディング」もあれば5年、10年と国や企業の成長を見守って投資する長期投資もあります。
投資スタイルは人それぞれですが、私はやはり「ファンダメンタルズ分析をベースにした長期投資」に勝るものはないと考えます。

金や債券より長期投資向きなのは株式


アメリカでのデータですが、以下のようなパフォーマンス分析を見ることができます。


表1.gif

ここでは、実質年利回りを比較しています。
「実質」とは物価上昇率を控除したもので、購買力を比較する際に用いられます。
たとえば、年初に110万円の自動車を購入することを目指して、元本100万円を運用し、結果的に運用利回りが1年間で10%だった場合、1年後の投資資産は110万円になります。もし、同期間の物価上昇率が0%であれば、1年前には買うことのできなかった110万円の自動車が買うことができます。しかし、物価上昇率が15%だった場合、自動車の値段は15%値上がりして127万円となり、自動車を買うことができません。


つまり上の表は、物価の上昇率を考慮したうえで、その期間何に投資したら一番利回りが高かったかを示しています。
黄色い枠が、その期間で一番パフォーマンスが良かった運用対象ですが、急速なインフレが進行した1966−1981年を除く全ての期間で、株式が一番の成績を示しています。また、このインフレ期間を含んだ第二時大戦後の50年間で見れば、7.1%で株式がトップになります。1802−2001という200年間の利回りが6.9%でほぼ同じということは、第二次大戦以前の期間(1802−1945年)の利回りも平均的に7%近辺だったということになります。


このように、株式投資は短期的には変動も大きく、また信用取引のような投資形態によってその変動幅がより一段と大きくなってしまうことはありますが、長期間で捉えれば、債券、商品、インフレ率を上回る最も優れた投資対象なのです。
アメリカのケースではNYダウは1929年3月のピーク381.17ドルから1932年8月までの3年半で41.22ドルまで89%下落しました。
しかし、ピーク時からでも毎月一定額株式に投資し続けていれば、20年後には長期国債も短期国債も上回るパフォーマンスとなり、これほどの大暴落を経たとしても、株式の長期投資の優位性は変わらなかったのです。


企業価値の高まりが株価を押し上げる


何よりも株式投資が長期投資に適している点は(逆に言えば長期で投資しないと意味がない)、株式はその元となっている株式会社が(原則的には)利益成長を続けていくものだからです。
以前の本欄でも書いたように、人間は今日よりも明日の豊かで明るい未来を築こうとしてきました。それを実現するための仕組みのひとつが株式会社なのです。


経営者は売上と利益を伸ばすことを目指して経営しています。もちろん見通しの誤り、経営能力の不足、完全な外部要因などから全ての企業が全ての期間にわたって成長できるわけではありませんが、株式会社は常に利益を生み出し、その価値を高めることにその存在意義があるのです。企業の価値が高まれば、それを映し出す鏡である株価も当然それに伴って上昇することが期待できます。
残存期間内に一定の利子のみを産み出す債券、利子さえも一切生み出さない商品と比較して、長期的に安定したパフォーマンスを期待できるのは株式であることは自明だと言えるでしょう。


「長期的に利益成長が期待でき、ファンとなって応援する価値のある企業を発掘し、分散投資でリスクを低減させ、長期間のスタンスで投資をする。」


株式投資というと、買って売っての短期売買と考えがちですが、是非この投資スタイルに目を向けてみてください。

参考文献:「株式投資 長期投資で成功するための完全ガイド」ジェレミー・シーゲル著/林康史監訳/藤野隆太監訳/石川由美子訳/鍋井里依 訳:日経BP社

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 17:26 | コメント (0)

2008年06月12日

株式会社、豊かさ獲得のための大いなる知恵

株式投資の意味を考えてみる上で、株式会社の歴史、起源を簡単に振り返ってみることにしましょう。


株式会社とは?

株式会社という仕組みは、ある特定のビジネスに関して「事業を成功させる意欲と能力はあるけれどお金がない」人間(経営者)に、「お金はあるが、自分でそのビジネスを成功させる能力は低い」人間(株主)が資金を提供して事業化を進めるというものです。
こうした仕組みを「資本と経営の分離」と言います。

特に、家族で自営的な家業を営むのであればともかく、大規模な資金を必要とする大事業を開始する場合は、この仕組みが不可欠です。
そして、この資金を一人が全額引き受けるのではなく、少額に分割してリスクを分散し、大勢で引き受けることで、資金調達をしやすくすることができるのも、株式会社の大きな特色です。


株式会社の起源、歴史

実際に株式会社としての展開ではありませんが、15世紀のコロンブスの新航路開拓などは、まさにこうした仕組みの下で成し遂げられました。

イタリア ジェノヴァ出身のコロンブスは大型帆船による新航路の開拓を志しますが、いかんせん、船の建造、渡航のためのスタッフ、食料をまかなう莫大な費用を負担できるはずもなく、まず1484年、ポルトガルのジョアン2世に航海のための援助を求めますが断られます。あきらめないコロンブスは、スペインのイサベル1世とその夫フェルナンド5世に同様のオファーをし、その支援の下1492年航海に出て、キューバ、サン・サルバドルなどを発見したのです。
1493年に帰還したコロンブスは、航海前に発見地から上がる収益の10分の1を貰う契約を交わしていたそうで、これなどもまさに業績達成による「役員ボーナス」といったものにあたるでしょう。


株式会社の起源は明確なものはないようですが、ローマ時代には帝国政府から徴税請負のために設立された会社があったそうで、また13−14世紀にはイギリスで王室が羊毛取引の管理や、輸出関税を徴収する権限を与えた会社がありました。
ただ、これらは政府や王室が独占特権を与える代わりに財政的な収入を確保するもので、株式会社本来の姿である、リスクをとってビジネスを展開し、成長を目指すものではありませんでした。

諸説あるようですが、最初の近代的株式会社は、歴史の教科書に必ず出てくる、17世紀のオランダとイギリスの東インド会社と言われています。
スペインの銀貨でインドの綿を買い付け、インドネシアで綿を香辛料と交換して本国に運んで売却し、現金化するというのが基本でした。
貴重な香辛料を持ち帰れば商品には高値がつき、巨大な利益を生み出しましたが、1回につき16ヶ月にもおよぶ航海は莫大な資金が必要な一方危険も一杯で、文字通り「ハイリスク・ハイリターン」のビジネスであり、まさに株式会社制度の出番でした。
イギリスでは、資金をより円滑に調達するために、一航海の平均費用5万ポンドを500等分し、一株100ポンドで売出すことも行われました。


「資本と経営の分離」、「分割によるリスク分散」と並ぶ株式会社制度の特色のひとつが「有限責任」です。
これは、その株式会社に投資した株主は、不幸にしてその会社のビジネスが立ち行かなくなり、その会社が債務不履行となっても、投資金額以上の責任を負わないという制度です。
現代では当然と思われる「有限責任」ですが、前近代の会社制度では、株主も破産者としてペナルティを受けなければならなかったのです。
しかし、株主の保護と株式投資の促進を目的に、17世紀に入り有限責任が特権として認められ、リスクを負っての起業が大幅に促進されるようになったのです。


17世紀に誕生した近代型株式会社は、19世紀の産業革命を経て現代に至るまで、様々な新発見、新発明、新規事業の創出を通じて人間社会の発展に大きく寄与しており、豊かさを獲得するために生み出された人類の大いなる知恵ということができるでしょう。

参考文献:『「豊かさ」の誕生 成長と発展の文明史』ウィリアム・バーンスタイン(訳:徳川家広) 日本経済新聞社

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 13:11 | コメント (0)

2008年06月04日

「株主になるとはどういうこと?」を考える。

利益追求だけではない 株式投資は未来を創る

長引く低金利、年金制度に対する不安、終身雇用制度の終焉などを背景に、自ら資産運用と真剣に取り組まなければならない時代となっています。
そして様々な運用対象の中でも「株式」は避けては通れない重要なマーケットです。

昨今の日本株の大幅な値下がりに、「もう株なんて言葉、聞きたくない」とお思いの方もおられるかとは思いますが、長期的な視点に立っての株式投資はいくつかの原則をしっかり押さえておけば、インフレを乗り越え、債券や不動産、商品投資などを上回るパフォーマンスを実現する大変優れた投資対象であることは、これまでの長い歴史で実証されているのです。


また、株式投資は投資対象となる「企業」を株主として応援するという意味もあります。
最近は「企業の不祥事」が頻発し、考えさせられることも多いのですが、17世紀に近代的な株式会社という制度ができて以来、産業革命、インターネットの発達などを通じて社会を進歩させ、豊かにしてきたのは、常に今日よりも明日、現在よりも未来に豊かさを追求する人間の欲求と、それを実現するための「企業」という枠組みがあってこそということも紛れのない事実であり、それは自由な経済社会が続く限りはこれからも変わることはありません。
もちろん企業は功罪の罪の部分も包含しています。


例えば、環境問題。
地球温暖化の原因である二酸化炭素の大量発生は、企業が長年にわたり経済的効率性を最優先してきた結果と言えます。
しかし、その解決方法と期待される様々な新技術を生み出し実用化するには「ヒト、モノ、カネ」の多大な開発投資が必要であり、その担い手はやはり「企業」でしかありえないのです。


能力ある企業の応援団になろう


つまり、豊かで明るい世界を創造するには、それを実現する「企業」の存在とそれを支える株主の存在が不可欠であり、そうした能力のある企業を見つけ出し、応援団となって投資することは、投資のパフォーマンスが上がることはもちろん、とても知的で魅力的な行動ではないかと思うのです。


そこでこのブログでは、
「株主になるとは? 〜明るい未来創りのために〜」をテーマに「株式投資とは?」「株主になることとは?」どういうことかを、様々な切り口で分かりやすく解説するとともに、近年よく耳にするようになった「IR」という企業の活動を紹介・解説することを通じて、個人投資家の皆さんが企業を選択する際のポイントなどを述べてみたいと思います。
また、株式市場で起こっている様々な事件や出来事を、トピックス的に「企業と株主の関係」から考えてみたいと思います。


株式投資はいうまでもなく、キャピタルゲイン(値上がり益)とインカムゲイン(配当収入)によって、自分の資産を増大させることが第一義です。
でも、その面だけに目を向け、単に日々の株価を追いかけるのではなく、「豊かで明るい世界を創造する」企業を応援することも株式投資の重要な意義であることを知っていただきたいと考えています。


まだ株式投資を行ったことのない方はもちろんのこと、長年の経験者の方にも「株式投資の意味」を改めて考えてみるきっかけになればと思います。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 17:33 | コメント (0)

2008年03月18日

業績が良くても株価に反応しない時代!?

先日あるセミナーに出席しました。
英国の機関投資家が日本企業に対する見解を述べるものでした。

要旨は以下のとおりです。
 
・日本は投資先として、本来持つ実力より低い魅力しかない。

・その大きな要因は、コーポレートガバナンスの構造的な弱さである。
・上場企業のオーナーは株主であり、経営陣ではない。
・長期保有株主にとっての株主価値最大化は、他の長期ステークホルダーの利益と矛盾しない。
・営業利益率が高くても、BSが不要資産で膨れ、配当性向が低い会社は効率の良い会社とは言わない。
・独立取締役による透明度の高い意思決定と株主を代表した社外監査役機能を望む。


他にも、議決権の投票結果の公開、株主総会集中日への批判、第三者割当増資に対する厳格な規則と精査などに言及していました。


コーポレート・ガバナンスの重要性は、市場参加者であれば誰もが否定しないでしょう。
しかし、実際に実効性のある形で運用されているかというと、日本企業においてはまだまだ遥か道半ばというのが実態です。

「日本的企業経営のあり方」とか「ステークホルダーは株主だけではない」といった考え方にもそれぞれ道理はあると思いますが、外国人投資家がこうした観点から日本企業を見た投資判断を益々強めていくであろうことも、厳然とした事実と改めて認識しておく必要があると思います。


以前「IRなんかやらなくても業績さえ伸ばせば株価は上がるよ。」と仰られる方に何人かお会いしましたが(何故か皆さん、証券界の大先輩でした。)、実際には「増収・増益でPBRが1倍割れ」という企業もたくさんあるように、現在でもそうではないわけで、今後は益々、コーポレート・ガバナンスという観点からの企業選別が進むことは避けられないのだろうと考えます。

IRにおいても、「実体的で本質的なガバナンス」の有無が大きなポイントとなっていきそうです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 19:03 | コメント (0)

2008年03月01日

新たなチャレンジへ!! 

前回のアップが昨年11月。。。。


かなり間が空いてしまいましたが、弊社からちょっとしたお知らせです。

廣島と2000年8月に創業以来、ちっぽけな所帯ながらも、新しいメンバーも交えみんなで「当社ならでは」を常に意識してきたインベストメントブリッジですが、今年も新たなチャレンジに取り組みます。
新聞販売部数No.1、日本を代表するメディアの「読売新聞社」と共同で、個人投資家向け企業説明会を開催することとなりました。


題して、「読売ブリッジサロン」!


今年9月から11月にかけて計10回、大手町のKDDIホールで開始いたします。
当社らしく、決して派手さはないものの、個人投資家の皆さんにも企業の皆様にも満足頂ける説明会にしたいと考えています。

「読売ブリッジサロン」のお知らせは、参加企業の紹介と合わせて、読売新聞東京本社版の朝刊約600万部において7月以降随時行なっていきますし、月間閲覧数約3億PVの読売新聞のウェブサイト「YOMIURI ONLINE」のマネー・経済コーナーでも7月から御案内を始めます。
「紙」と「Web」のメディアミックスによって、より多くの個人投資家の皆さんにこの企画をお知らせし、参加企業のご紹介も行なってくことも、「読売ブリッジサロン」の大きな特徴です。


今年に入り、当社コンサルタントが、順次企業様に御案内しています。
企業サイドでの個人投資家向けIRに対する考え方は様々ですので、一概には言えませんが、「より広範な個人の方に自社の事を知ってもらいたい。」、「新しい個人投資家層を開拓したい。」、「これまでとは違った個人投資家向けIRに取り組みたい。」とお考えの企業様には大きな関心を寄せていただいています。
日程、参加企業など詳細はこのブログを始め、随時様々な形でお知らせいたします。是非ご期待下さい。


また、2月29日から「YOMIURI ONLINE」に「新しい大人たち」というジャンルが出来たのですが、その中の「新しいマネー」というコーナーに、私がコラムを書かせていただくことになりました。
「株主になるとは?」と題したこのコラムでは、「株主になるとは? 〜明るい未来創りのために〜」をテーマに、単なる利殖手段にとどまらない株式投資の意味を改めて考えてみるきっかけを個人投資家の皆さんにご提供できればと考えています。
「YOMIURI ONLINE」という大変大きなサイトにコラムを持たせていただくことにプレッシャーを感じていることも事実ですが、少しでも皆さんのプラスになるお話ができればと思い、取り組んでいきます。


もう3月です。
多分あっという間に「読売ブリッジサロン」開始の9月になってしまうのでしょうが、御参加頂いた皆さんに「良い企画だった。」と言っていただけるよう、当社スタッフ全員で取り組んでいきますので、是非ご期待下さい。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 00:44 | コメント (0)

2007年11月12日

バランスの難しさ

11日(日)21:00からののNHKスペシャルを見た方も沢山いらっしゃったと思います。
内容としては、特別目新しい話というわけではなかったですが、現実にああいうことが上場企業を舞台に行なわれているということを、市場関係者ではない一般の個人投資家の方たちも知ることが出来たという点では、意味のある番組だったかもしれません。

株式市場ならではのダイナミズムの源泉として、様々な思惑を持った多数の市場参加者の存在は不可欠であり、その思惑や行動が違法か違法スレスレかの判断は極めて難しいものです。もちろんこの番組で取り上げていた事例は明らかに「黒」であり、許されるべきものではなく、結果的に一般の投資家の信頼を失えば、資本市場の機能不全から日本の国力低下につながることも憂慮されます。
ただ一方で、「水清くして魚住まず」も株式市場の歴史の中では厳然とした事実であり、株式市場は常にこの難しいバランスの上で、上下動を繰り返しているのだと改めて感じました。

ただ、それ以上に私が強く感じかつ驚いたことは、ベンチャー企業経営者という人達が、あれほどまで簡単に闇資金を受け入れてしまうことでした。

「自己実現」、「起業家精神の発揮」、「目標達成のための鉄の意志」といったベンチャー精神を表現する格好のいい標語の裏には「挫折は出来ない」、「事業を畳みたくない」あるいは「自分が失敗するわけがない」、「ここでやめたら格好悪い」という本音があり、これが闇資金の受け入れにつながっているのでしょうか。

でも良く考えれば、一度その闇資金に頼ったら二度と元には戻れないわけですが(借金返します、株式買戻しますといって簡単に応じてくれるとは思えません。)、それでも受け入れてしまう。正常な判断が既に出来ないか、世間知らずで自分に尋常でない自信を持ってしまっているのか、いずれにしろ、軽いタッチで受け入れてしまう。

私達も2000年に起業をしたわけですから、そのあたりの建前と本音はある程度分かっているつもりですが、彼らはこのバランス感覚が全く欠如しているのでしょうね。
今回取り上げられた事例、事件が多発することで、なんら問題のない未公開企業までがIPOの道を狭められてしまうとすれば、株式市場の自浄作用であるとしても、これは日本にとって大きな損失であり、残念なことです。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 22:32 | コメント (0)

2007年07月30日

あるカレー屋の閉店 〜再開発の陰で〜

先日、日本橋でのミーティングを終えたあと、久しぶりに好きなカレー屋に向かいました。神田、日本橋あたりに勤めている人なら知っている人も沢山いると思いますが、私も20年以上前、野村證券の本社にいた頃先輩に教えてもらって以来、機会があれば通っている店です。

ただ、ちょっと変わっています。


・店名は不明。「珈琲」という看板がかかっているだけ。
・「珈琲」の看板にもかかわらず、メニューはカレー1品のみ。コーヒーを飲んでいる人は見たことなく、知らずに入った人がコーヒーを頼むと、カレーだけですといわれている場面を何度か見ました。
・でも高齢の紳士がコーヒーを飲んでいるのを見たこともあるので、永年通い続ければそういう待遇を受けることができるのかもしれません。
・店員さんは全員女性で、バンダナを着用。店主らしきおばあちゃんがカウンターの向こうにいます。


カレーは、スープカレーのようにサラサラでかなりの辛口ですが、なんともいえない「コク」が病みつきになります。夏場の食欲無い時でも、汗をかきながら食べると一気に元気が出ます。テーブルには粉チーズが置いてあります。辛さを抑えたいときはこれをお好みでかけます。私はあまり使いませんが、かけたその味もまた別の味わいがあります。


問題は臨時休業がちょくちょくあること。今回も休業でないことを祈りながら、店の前に着くと、懸念していたように休業の模様で、がっかりしながら張り紙を見ると、「50年にわたりご愛顧いただきましたが、体調が悪く閉店いたします。」というショックなお知らせでした。もう二度と食べられない無念さと、コーヒーにまでたどり着けなかった後悔を胸に、仕方なく店を後にしました。
その後、やはりその店のファンである知り合いに話してみると、店主の年齢もあるのですが、店のあたり一帯が再開発されるとのこと。(あくまでも未確認情報ですが)
日本橋も、大規模な再開発が現在も進んでいるので、その余波が及んできたということのようです。


それにしても東京の街並みの変わりようは「凄まじい」ものがあります。
私が野村證券に在籍した頃、「含み資産」が投資テーマになりました。当時は単に静的な資産価値のみが話題となりがちでしたが、

「現在は工場や遊休地など収益性の低い土地に、高層ビルを建てれば豊富なキャッシュフローを生み出すことができ、収益力が向上する。」

というのが本来のストーリーです。
まだ工場として使用している豊洲や東雲を見に行った時に、そんな高層ビルが出来るとは思いも付きませんでした。
「含み資産」や「Qレシオ」がバブル発生のキーワードであったことは確かですが、豊洲、晴海、汐留などなど、「凄まじい」変貌ぶりを目の当たりにしながら、80年代後半の日本が世界史上でも特筆すべきバブルであったことを考えると、ここでもある意味での株価の先見性が見事に発揮されたのだと感じています。


さて、確かに綺麗で近代的なビルができ、お洒落にショッピングや食事を楽しめる店がたくさんできるのは、景気や経済効果という点からは歓迎すべきことなのでしょう。
しかし、その一方で「長い年月」という簡単には手にすることが出来ない価値を維持してきた味わい深い店がどんどん姿を消しているのも一方の現実です。

先のカレー屋は店主の体調という事情もあったようですが、銀座六丁目で小さなバーを営んできた知り合いのマスターが二人、相次いで再開発で店を閉めざるを得なくなりました。再開発で小さなビルが取り壊され、大きなビルに建て替えられれば、家賃も保証金も当然上がるでしょうし、バーテンダー一人で経営する6人も入れば一杯の小さなテナントなど、見向きもされないこともあるでしょう。事実、そのうちのお一人は銀座で再開希望なのですが、いまだ店舗が見つからないようです。また、これも人から聞いたのですが、銀座でも著名なお蕎麦屋さんも、近いうちに再開発に伴い閉店するそうです。


戦前からの銀座やその他繁華街を知っているわけではありませんし、極端な懐古趣味というわけではありませんが、日比谷の三信ビルが閉館し、有楽町でガード下の風情をわずかに残しつつも巨大なビルが建設中なのを見ると、日本人の価値観が急速に一方向に向かってしまっていることを強く感じます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 20:02 | コメント (1)

2007年07月04日

高まる個人株主の意識

ある顧客企業とのミーティングでの席上、終了したばかりの株主総会がテーマとなりました。
昨年9月末の株主数が約3,000名の当企業、出席株主数は約30名ほどで、そう多いという訳ではありませんが、昨年の総会と比べると10名ほど増加したそうです。

それ以上に特徴的だったのは、議決権行使率が約90%へと非常に高まったことで、企業側も驚いていました。(前年は60%台)


総会の議案に、今はやりの敵対的買収対抗策が入っていたわけでなく、ごく一般的な議案だったにもかかわらず、こうした結果となったのは、もちろん当企業がまだ上場2年目ながらも個人株主に対し積極的なIR活動を展開していることもあるでしょうが、やはり昨今の企業と株主の関係を考えさせる様々な話題や事件を背景に、個人投資家の株主としての意識が急速に高まっていることの現れといえるようです。


また別の企業では、株主優待制度の話となりました。
この企業は今年の3月から株主優待を導入したのですが、株主総会後の株主懇親会でもその話題となり、それをきっかけに、中期展望など様々なテーマで会話が盛り上がったとのことで、個人株主との関係強化に株主優待が役に立ったと仰っていました。


株主優待そのものに関しては賛否両論ありますが、長期保有による安定化や個人株主との関係強化が企業価値向上につながると考えれば、日本独自の制度とはいえ、一定の意義・役割が認められると言えそうです。
ただ、本質的な企業価値向上を求めるとすれば、企業側の努力がもちろん第一ですが、個人株主にも直接的な経済的リターンを求める権利意識のみでなく、その企業をサポートすることが豊かな社会作りにつながるという、「貢献」という意識が必要となるのではないでしょうか。


日本特有の株主優待ですが、果たしていつごろから導入されたのでしょうか?
そんなことを思っていた矢先、6月発刊の文春新書『昭和12年の「週刊文春」』を読んでいたら、各方面地獄耳(昭和12年12月号)というコーナーに面白い記述がありました。
盧溝橋事件に端を発する日中戦争が始まったこの年、戦時色が急速に強まる中、当時国民に大人気であった六大学野球の入場者が激減し、ましてや(当時はマイナーだった)「職業野球」も大きな影響を受けたというくだりです。


『後楽園グラウンドが出来たから、見物は大分多くなった。と云っても知れたものだ。矢張り六大学リーグに押され、神宮球場が満員になっても、ここは満員にならない。それから見物が入っても株主券と招待券が多いので、その割合に収入は増えていないそうだ。』


後楽園球場の所有者だった株式会社東京ドームの設立が1936年(昭和11年)12月ですから、設立直後から株主優待制度(当時そう言っていたかは不明ですが)を導入していたことになります。多分、電鉄会社や百貨店なども導入していたのでしょう。


(ところでこの『昭和12年の「週刊文春」』、当時の風潮や日独協定、東京オリンピック、ダンスホールやパーマネントの禁止などに対する国民の意識が知る事が出来て大変興味深い本です。)


カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 15:51 | コメント (2)

2007年03月30日

「貧すれば鈍する」

先日昼食を摂ろうと、全国展開してる有名なお店に入りました。
(ある上場企業が経営しています。具体名は差障りがあるので伏せておきます。そのため、ずいぶん解り難い文章となっていますが、お許しください。)

これまでにも昼、夜と、何度も使っていましたが、結果的にはとてもがっかりした気分で店を後にしました。

まず、どう考えてもコスト削減のためのボリュームダウンが明白でした。さほど大食ではないのでこれはそう気になりませんでしたが、味の方も、「辛い」と感じた位にレベルが落ちていました。

そして、何よりがっかりしたのが、あるサービスを止めてしまっていたことです。

このサービスは、この店舗のみでやっているものではなく、日本全国、どんな田舎の家族経営の小さなお店でも、必ず提供してくれる、いわば日本の食文化ともいうべきもので、これを楽しみにしている人もたくさんいるサービスです。

清算時に店員に尋ねてみると、全く当を得ていない答えが帰ってきて、それが大変重要なサービスであることを、全く理解していないようでした。
ただ、店員は皆さん、だらだらしているとかそういうことはなく、キビキビと元気良く働いており、よくIRにおいてアピールポイントに謳われる「従業員教育」はしっかりしているようです。
でも、日本とか、食文化とか、お客さんが期待しているもの、そういう観点からの研修・教育は行なわれていないのでしょう。

外食産業は業界環境も厳しく、この会社も結構前から芳しくない経営成績とはなっていましたが、ここまで来ているとは思いませんでした。
まさに、「貧すれば鈍する。」

味や量をレベルダウンさせたまま、永年にわたって培われてきた日本文化に対する敬意の念を忘れたこの会社の先行きはどうなるのでしょうか?

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 18:38 | コメント (2)

2007年03月06日

ブリッジサロン交流会

ブリッジサロンの交流会では、なるべく参加された個人投資家の方たちにお声をかけ、ご意見などを伺うようにしています。

株式相場に対する見方や、当日の参加企業に対する投資判断や、現在の株式保有状況など、話題は様々です。
先週のブリッジサロンでは、他にどんな個人投資家向け説明会に入ってらっしゃるかを尋ねてみました。
3人ほどに伺ったのですが、ブリッジサロンを含めて大体3、4の説明会に常時参加されているようです。皆さん熱心に情報収集していらっしゃるわけですが、私が大変嬉しかったのが、「この交流会はいいね。」、「こういう機会は他にはないからブリッジサロンがありがたい。」など、お褒めの言葉をいただいたことです。

インベストメントブリッジを立ち上げるに当たって、重要なミッションの一つとして掲げたのが「個人投資家と機関投資家・アナリストの情報格差の是正」でした。
「機関投資家やアナリストは投資判断を下す際には、必ず企業との会話の場を持つのに、個人投資家にその機会が極端に少ない(殆どゼロ)というのはおかしい。そういう機会を作れば個人投資家は喜ぶだろうし、自分のことをもっと知ってもらいたい企業も歓迎するに違いない。」との考えから、格差是正の手法の一つとして実施したのが「説明会だけにとどまらない交流会」でした。
ただ私どもにとっても未経験であり、2000年9月の第1回ブリッジサロンの時は、実際に個人投資家の方々が積極的に企業の社長や担当者に質問してくれるかは、やってみるまでは判らず、ドキドキものでありました。
でも行なってみると、多くの皆さんが、大変熱心にいろいろな角度から質問を投げかけてくれましたし、企業側も懇切丁寧にご対応していただけ、成功のうちに第1回を終えることが出来ました。

交流会の成功は、当たり前なのですが、熱心な個人投資家と真摯に対応する企業の双方によって初めて成り立つものです。個人投資家と企業双方にプラスがもたらされる交流会を、これからもいろいろな形で盛り上げていきたいと思います。

先日は個人投資家の方が帰り際、「頑張ってください。是非今後ともよろしくお願いいたします。」と温かい御礼と激励の言葉をいただき、例年よりかなり早い春の日が、より暖かなものに感じられました。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 19:52 | コメント (0)

2006年11月14日

寿司屋と日本の行方

先日山手線某駅近くの寿司屋に友人と二人でふらりと入りました。


結構古いビルの1階でカウンター7席くらいの小さな店でしたが、小奇麗な悪くない印象でした。常連さんと思しきお客さんも2名ほどいらっしゃる中、「いらっしゃいませ。」と迎えられ席に着き、とりあえずビールを飲み適当につまみを注文したのですが、なんとも言えない違和感が。

40代位の板さんと20代のお兄さんだったのですが、言葉、顔つきがなんとなく違うんです。日本人ではないことは確かですが、そんなことを話題にする訳にもいかず飲み食いしていると、休憩を終えたもう一人の若いお兄さんが板さんとしてカウンターに立ち、握り始めました。注文した常連さんとそのお兄さんの会話を聞いていると、なんとそのお店のスタッフ全員、あるアジアの国の方でした。

よく話を聞いてみると、板さんがオーナーで、日本で勉強したい、働きたい同国の青年を呼んでスタッフとして使用しているとのこと。
日本語学校に通いアルバイトとして働いていたり、後から出てきた兄さんのように、寿司職人の修行を積む人もいるそうで、彼の場合5年間日本で修行し、来月には帰国し、先々は現地で寿司屋さんを開きたいと考えているそうです。

つまんでいる時からネタの鮮度、包丁捌きには全然問題ないと感じていましたが、最後にいくつか握ってもらっても、大きさ、握り具合、酢の加減など、十分満足できるものでした。
場所柄もあるでしょうが、料金もリーズナブルで、また私の好きな芋焼酎「古秘」が置いてあったのも嬉しく、飛び込みで総合的に及第点の店に出会えた時の何とも言えぬ心地よさで家路に着きました。

後日、他の寿司屋の大将にその話をすると、「今の若いのは続きませんからね。」とのこと。
私と同じ年のその大将の店では、ここ3年で2人が辞めてしまったそうで、他の店でも似たような話を良く聞くそうです。

件の店のお兄さんも5年の修行ということなので、本来の寿司屋修行から言えば短いですし、一流の店で一流の技を身に着けた訳ではありません。
しかし、日本の食文化の代表選手である寿司の職人さんの成り手が減っている中、海外のこれから成長していこうという国のやる気ある青年が目標を持って異文化の修行を積んでいることは事実です。(日本人の寿司職人がいなくなっても、そうした方々のおかげで寿司が食べられなくなることはなさそうですから、一安心ともいえますが、、、)

「日本らしさ」、「日本の良さ」を継承していく人、機会が着実に減っていることは本当に悲しいことです。そうしたことを強く感じていることもあり、恥をかきながらも下手な俳句などひねっている訳ですが、これは自分のため、ひいては日本のため(ちょっと大袈裟)であり、こつこつと続けていこうと思います。

(終わり)

ようやく冬らしくなってきました。熱燗の季節です。

木枯らしに背中押されて縄暖簾

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 18:29 | コメント (0)

2006年10月24日

教育改革議論について感じること

安倍内閣の目玉の一つである教育改革の教育再生会議が動き始めました。
「高い学力」と「規範意識」の実現を目指すそうですが、新聞で論点や参加者の意見を拝見していると、どうにも腑に落ちないというか、不十分な感じが否めません。

確かに先般のいじめ事件にもあるように、学校や先生の教育者としての意識、レベルに大きな問題があるのは確かで、「免許更新制度」や「学校選択性」、「外部機関による評価」といった制度の導入は一定の合理性があると思います。また、競争原理の導入で質の高い学校、教師が生き残り、結果として子供とその親の満足度が高まるということもそのとおりでしょう。


教育をサービスと捉え、「供給者=学校、教師」と「受給者=子供、親」という構図のもと競争原理を導入して教育サービスの質を高めるという図は大変わかりやすいものですが、そうした制度や仕組みが十分機能するには、前提として、親が自分の子供の教育について主体的で明確な意識や目的を持つこと、自分の子供に対し甘えを許さない公平性や中立さを保つことが欠かせないのではないでしょうか?
そうした観点からは、教育再生会議で取り上げられている議論、主張には、「親(というか大人)をどうする?」という視点が決定的に欠けていると思います。


極端な例ですが「給食費を払っているんだから『いただきます』と言う必要がない。」と言い切ってしまうような親がいる限り、どんなに供給側が改革を行っても実が挙がる訳もありません。
また試験結果が悪いのを怒られることを恐れ放火し、家族を殺してしまうような子供を育てた家庭が、本当に子供のためを考えて適切な教育サービスを提供する学校を選択することがあり得るでしょうか?
競争に勝ち抜くために学校が受給者の一方である親を第一優先順位とし、子供が進学者数、合格者数カウントのための道具になったら「美しい日本」など実現するのでしょうか?


サービスの対価を払っている受給者は親ですが、教育サービス本来の受給者は子供でしかないはずです。(この点が教育サービスが他のサービスとは大きく異なり、しかし最も重要なポイントであろうと思います。)
「受給者である子供と親が、どのようにして教育について同一のニーズや認識を共有するか?」
この点についての議論や取り組みが欠けているのが昨今の教育改革議論だと強く感じます。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 15:38

2006年10月10日

「批判すること、されること」

漫画家:手塚治虫氏の話。(長井秀和風ではなく、、)

氏は、1928年に生まれ1946年に漫画家としてデビューし、鉄腕アトム、リボンの騎士、ブラックジャック、火の鳥などを著した日本を代表する漫画家であることは改めて言うまでもありません。自分としては、この他の作品では「アドルフに告ぐ」が好きです。

現在では漫画はアニメという表現様式を伴い、日本を代表するポップカルチャーとして完全に市民権を得た状況となっていますが、氏がデビューしたころは、漫画は「子供向けの低俗なもの」で「教育にもよろしくないもの」というのが通説で、氏の元へもそうした批判の声が多く寄せられたそうです。
これに対して漫画をこよなく愛し、漫画のもつ強いメッセージ伝達力や可能性を信じていた氏は、「なにくそ」という気持ちでそうした批判を跳ね返すだけの作品作りに一層注力し、数々の名作を発表していったそうです。


しかし一方で、漫画界の現状は(といっても亡くなったのが1989年ですから少なくとも十数年前になりますが)、多くの漫画雑誌が発行され多くの作家の作品が世に出るようになり、漫画が世代を問わず日本人の生活に浸透することとなったものの、質、精神性、メッセージ性といった点で、氏にとっては決して満足のいく状況ではなかったようです。


そうした中で日本の漫画が高いクオリティを保ちつつ、もっと多くの人に愛されることを望む氏が贈ったメッセージは、大人達に「もっと批判してください。」ということでした。それも「好き嫌い」にとどまらない真剣な批判を。
先達の築き上げた現状に甘んじることなく、真っ当な批判を真摯に受け止め、その批判を跳ね返すためにより良い作品を作り出す。
漫画に限らず名作とは、真剣な作者と真剣な読者の間の信頼と緊張の中で生まれるということなのでしょう。
企業と投資家の関係にも思いの及ぶ話と感じました。


<今日の一句>

家路にて出迎えの月に足を止め

夜空にあって何気なく目に入っている月ですが、角を曲がったら思わぬ場所に現れた月にびっくりしました。中秋から2日目の「立待月」でした。

中秋の名月翌日の十六夜(いざよい)から立待月、居待月、寝待月、更待月と呼ぶように、月が出るのを「立って待つ」、「居て(座って)待つ」、「寝転がって待つ」、「夜が更けつつ待つ」という日本人の月に対する愛着心、表現力は何物にも代え難い財産です。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 16:46 | コメント (0)

2006年09月28日

「つま恋コンサート、団塊の世代、内需の行方」

先週末、吉田拓郎とかぐや姫が31年ぶりにつま恋コンサートを行いました。
約3万5千人の聴衆が集まり、年月が経っても変わらない両者の根強い人気を証明した形となりましたが、TVのレポートによると、31年前との大きな違いは聴衆の年齢でした。

1975年(昭和50年)の平均年齢21歳に対し今回は49歳と、昭和20−30年代前半生まれの当時の若者がほぼそのまま移行した形のようです。


当時はお金もなく寝袋持参だったのに、今回は近くのホテルに2泊してゆったりと楽しんだり、バスをチャーターして仲間と参加したり(バスの中で曲名は解りませんが「振り」の練習をしていました。)と、両者の音楽そのものや彼らへのシンパシー変わらなくても聴衆自体の経済環境は様変わりしたようです。


一般論で括るのはあまり好きではないのですが、やはり団塊の世代は国内消費の無視できない牽引車
なのですね。
TOYOTAレクサスの最高級車「LS」(770万円から)が、月間1300台の販売目標に対し「すでに9000台強の予約注文を抱えている」(トヨタ 渡辺捷昭社長)いう状況などからも、2007年問題は人手不足という問題を抱えている一方、消費支出の拡大というプラス面を関係企業が大いに期待しているのは当然のことといえます。


ただ、最近の日経平均と新興市場の2極現象を見ていると、ちょっと不安になることも、、、、


LDショックとそれに伴う新興企業全般に対する疑念などが主要因と言われていますが、「グローバル経済の進展・拡大」と「国内需要の行方に対する不透明感」の対照性と見えなくもありません。
既に人口減少社会に入った日本経済。
内需を巡る厳しい競争は既に幕を開け、企業間の優勝劣敗が益々明確になっていくのは確実なのでしょう。

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 18:55

2006年09月25日

「旧:事業報告書」の作成

個人投資家向け説明会とIRレポート作成を中心メニューとしてスタートした弊社ですが、最近はお客様のニーズにお応えする形で、様々な新サービスも提供しています。
そうした中、事業報告書(以下、報告書とします)の作成を手がけさせていただく機会が増加しています。

ご存知の通り、5月の会社法の施行で商法が規定している必要作成書類のうちの一つ「営業報告書」が「事業報告書」と名称が変更されたことにより、ネーミングをどうするかという問題があるわけですが、各社いろいろ工夫されているようですね。


「報告書」の作成に当たっては、以下の点を重視しています。
・ 企業の「想い」を伝える。
・ 個人投資家との接点となる最も重要なツールであり、「わかりやすさ」を最重視する。
・ 決算短信や有価証券報告書のような制度的開示資料とは異なり、その会社の独自性やカラーをより明確に打ち出す。
・ 財務情報を充実させる。(利益率など指標の記載を増やす。)


こうした点を踏まえて、具体的にどのようなページ作りをするかについては、それぞれの企業の置かれている環境(業種、地域、規模など)によって違ってくるので、一概には言えませんが、実際に手がけた報告書を見ていただいて、他のお客様を始めと多くの方達と意見交換をさせてもらっています。
皆さんのそれぞれの立場からのいろいろなご意見やアイデアが大変役に立ちます。


この1冊を読めば、株主だけでなくお客さん、従業員、就職希望の学生、取引先など全てのステークホルダーがその会社を理解できるという「完全無欠の完成版」というのは半永久的に難しいと思いますが、少しでも『企業の「想い」を伝える』ことのできる「報告書」を目指して、より一層工夫していきたいと思っています。

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お彼岸の昨日、買物に行こうと通りに出たら、どこからともなくほのかな香りが。近くの小学校では運動会の歓声が響いていました。


想い出を手繰り寄せたり金木犀

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 18:56

2006年09月15日

「以和為貴」

廣島と二人で東京・中央区新富の小さなワンルームマンションでこの会社を立ち上げてから、個人投資家の皆様、クライアント企業様のご支援のおかげで、なんとか7年目に入りました。
オフィスを移転し、仲間も増え、サービスメニューも拡大してきましたが、今後も更に皆様のお役に立てるよう成長して行きたいと思っています。
まずは、blogスタートのこの機に、私たちを応援してくださっている皆様に対し改めて感謝申し上げます。ありがとうございます。


さて、新Website「ブリッジサロン」のオープンは「9・11」でした。
これには「9月1日オープンの予定が少し遅れて、キリの良い月曜日だった。」ということで、特別な意味はありません。でもちょうど5年目ということで、テレビや雑誌で多くの特集が組まれており、改めて「9・11」とその後の出来事を見るにつけ、事件の背景と、これからの世界の行方、自分のあるべき姿などに想いを巡らしました。


そこで今回のタイトルの「以和為貴」です。
聖徳太子の憲法十七条の第一条にある「和」は「平和」というよりも、「調和」という意味のようですが、いずれにせよ「9・11」を契機に一気に噴出した混沌とした戦時とも言えるこの状況を収束させるには、一方的な主義・主張ではなく多様性を認め調和を求める姿勢こそが不可欠です。また、環境問題においては「自然界との調和」も極めて重要なテーマと言えるでしょう。そうした意味で、調和を尊重する心を根本に持っている我々日本人は、この美点を世界に対して誇り、「以和為貴」の視点からもっとリーダーシップを発揮していかなければいけないのではないでしょうか。(「戦争反対」と唱えていれば平和がやってくるとは思っていませんが。)


しかし一方で、効率性、合理性、競争力といったキーワードが重視され、バランスを欠いた個人尊重が広まっている今、日本においても「和」が貴とされない空気も強く感じられます。もちろん、「和」が「馴れ合い」だったり「既得権益の死守」であってはいけないのですが、「不寛容」というか「自分の基準のみが絶対」というか。また逆に、異様に権利の主張が許容されたり、黙認されたりしていませんか?


株式市場においても同様です。
市場参加者がそれぞれの立場で、それぞれの利益を追求する多様性こそが、株式市場において最も重要なダイナミズムの源泉であるとは思いますが、「投資家が眼中にない発行体」や「マネーゲームの対象としてしか企業を見ない投資家」、「株主としての権利を声高に主張する投資家」がここのところ急速に増えているような気がします。


当社は企業のIR活動に対する支援が主たる業務ですから、クライアントである企業様が当社のサービスに価値を見出し、評価していただくことは大変光栄で嬉しいことです。しかし、それと同じくらいに嬉しいのは、個人投資家の方々から「こういう機会を作ってくれてありがとう。」、「素敵な社長と話をすることができて自分も元気がでてきた。」といった感謝の声を頂いた時なのです。
「和」が貴ばれ難い風潮が強まっている中だからこそ、「志とハートを持った企業」と「それを暖かくかつ厳しく応援する投資家」の出会いをできる限り多く作り出し、株式市場をより「以和為貴」としていくことが当社の役割だと、改めて心に銘じています。


ちなみに奈良・法隆寺の御朱印は、見事な達筆でこの言葉が記されます。
私の御朱印帳の第1番目は法隆寺でいただいたものです。
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初回なのでちょっと肩に力の入った話となりましたが、話題を変えて。
リニューアルオープンの前日、9月10日は以前近所に住んでいてよく散歩していた目黒不動尊で「さんま祭り」があり、TVで取り上げていました。
今シーズン、刺身は食べていたのですが、「焼き」はまだだったので七輪を持ち出して早速食すことに。翌日のWebアップを前に秋の味覚を楽しみました。


「心新た まず手始めに 秋刀魚焼き」

カテゴリー : 保阪 | 投稿者 : 保阪 薫 | 18:39 | コメント (2)

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社長プロフィール
代表取締役社長
廣島 武
1963年生まれ。駒沢大学経営学部卒業。1985年三洋証券株式会社入社。日本インベスターズ証券を経て、2000年当社設立。三洋証券時代より、個人投資家への資産運用アドバイス業務に一貫して従事。
代表取締役会長
保阪 薫
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。1984年野村證券株式会社入社。シティバンク・プライベートバンク、日本インベスターズ証券などを経て、2000年当社設立。
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