廣島 |
本日はテレマーケティングの分野で「オートコンタクトシステム」という、人に代わってパソコンが自動的に電話をかけて肉声のメッセージを送り、顧客や見込み客に回答してもらうアウトバウンド型テレマーケティングシステムの株式会社ジー・エフの岡田専務に、今後のマーケティング業界の動向とジー・エフの現状と今後の展開について、インタビュー形式で取材したいと思います。
今までマーケティングと言えば、テレビに代表されるマスメディアを使ったCMを流すことで商品の売上が増加したわけですが、費用対効果の面で少しずつ疑問視する見方が増え、インターネットなどの新しい媒体が脚光を浴びた後に、最近では放送とネットの融合という掛け声にも見られるようにクロスメディアによる訴求が模索されていると思います。
また、テレマーケティングの分野にもクロスメディア化を踏まえた追い風が吹いているとは思いますが、一方では労働者不足による人材採用難や人件費の高騰など順風満帆とはいかない側面もあるかと思われます。その中で、録音したメッセージをパソコンが自動で電話をかけ、回答してもらう仕組み「オートコンタクトシステム」を持つジー・エフは展開次第ではおもしろいポジションにいるのではないでしょうか。
ジー・エフという企業を知らない投資家も多くいると思いますので、IRのトップ責任者でもある岡田専務に、まずジー・エフとは何かをやっている会社なのかを紹介してもらい、その後ジー・エフの現状とマーケティング業界の環境やジー・エフの今後の展開をお聞きしたいと思います。よろしくお願いします。
|
 |
岡田専務 |
|
よろしくお願いします。当社は、1991年に代表取締役社長である仲吉が、現事業を始めたわけですが、実は前職はバンダイで働いておりまして、爆発的な人気を誇り、今でも根強いファンをもつ「機動戦士ガンダム」のプラモデル化を推進した人でも知られております。
|
|
その仲吉が、なぜテレマーケティング分野のシステム(CTI:コンピュータ・テレフォニー・インテグレーション)の会社を立ち上げたのか?についてですが、「ガンダム」に目をつけたきっかけがお客様からのハガキアンケートの分析からだった等、『お客様の声を商売に反映させること』が事業を成功させるうえでもっとも重要であることをバンダイ時代体験の中から肌身を以って学んだことが根底にあるそうです。
|
 |
|
そして、80年代の終盤にテレビCFの効果が以前に比べ低下し始めたことに気づいた時、これからのマーケティングには旧来のメディアの枠にとらわれない、『マスマーケティング』から『パーソナルマーケティング』の時代になると感じたそうです。その中心にくるメディアが老若男女を問わずコミュニケーションに利用している電話であり、ピンポイントで個人にアプローチできる攻めのテレマーケティング、しかも自動で電話を掛けてマーケティングまでしてくれるオートコールが自分のビジネステーマになるのではないかと考え、CTIの分野の事業を開始したわけです。
|
|
 |
廣島 |
でも、いきなり自動でおこなうと発想したのには何か他にも要因というか、たとえば仲吉社長のマーケティングセンスが閃いたわけですか?独自にマーケティングができればそれに越したとはないでしょうが、中小企業が積極的にマーケティング調査をやりたいというニーズが果たして強いのかと個人的には思うのですが。
|
 |
岡田専務 |
テレマーケティング事業の大きな課題は、労働集約型のビジネスですので、コスト≒人件費という点にあるのです。日本の人件費は高いので、一般的なテレマーケティング代行会社に委託すると1件につき300円くらい平気でかかってしまいます。例えば1万件の顧客名簿を利用してアンケート調査やイベント案内を行おうとすると300万円以上のコストがかかりますので、大企業を中心にしか利用できない高額なマーケティング手法だったのです。中小企業でも利用できる「テレマーケティングの低コスト化」を実現するために、音声ガイダンスによる自動化と、この活用ノウハウを研究してきたわけです。一方で、中小企業といえば、何か下請け企業的なイメージがあるかもしれませんが、2003年の中小企業白書掲載のアンケート調査では、中小企業の約70%は今後マーケティングを重要と考えているのです。大企業が構造改善を進めて収益力を回復していますが、中小企業においても、官公庁からの公共工事の発注の減少とあわせて、自力でお客様を開拓する力すなわち『マーケティング力』を持たないと生き残れない時代になったということなのです。
また、もともと商店街などに見られる小売業などは地域に密着して商売をしている中で、経営者の勘といった要素もありますが、お客様の声を拾いながらマーケティングのようなことをおこなっているわけです。昔で言えば「御用聞き」のようなものですね。ただ、地域コミュニティの結びつきが薄れ、「お得意さん」も少なくなる中で、中小企業でも人件費をかけずにしかも安価なマーケティング分析や販売促進ができないだろうかと考えて作ったのが、コンピュータによるテレマーケティングシステム「オートコンタクトシステム」だったわけです。
|
 |
廣島 |
なるほどですね。日本の高度経済成長は大企業が旺盛な設備投資を推進することによって達成されましたが、一方では、大企業は国際競争力を強化するために、低賃金と長時間労働ができる中小企業を活用し、大企業を頂点とするピラミッド型の系列関係を作り、下請け企業という言葉もできたわけですが、バブル崩壊後は大企業でも生き残りが難しく、また商店街の衰退に見られるように、中小企業といえども地域コミュニティに守られながら存続していくのも難しくなった中で、勘による商売から、コンビニ店のマーケティング戦略同様のきちんとしたマーケティング活動は重要になっている時代ですね。大企業でも昨今はCRMに力を入れて、システム構築をしていると思いますが、それと御社のシステムのコンセプトは異なるわけですか?
|
 |
岡田専務 |
従来大企業が導入してきたCTIは、電話オペレータが電話をするインフラとしてのシステムがほとんどです。当社のシステムのような、電話オペレータ不要の全自動システムでは、インバウンド型、例えばチケット予約のように、電話をかけてきてもらった際の応対の合理化を目的としたもので、導入する企業の中に業務フローやある程度システムの知識があるシステム担当者がいないと発注も運用も難しいものが多いようです。
ところが、中小企業の場合は、合理化が目的ではなく、お客様を拡大したいステージにあるわけです。ニーズが違うのですね。また、そもそもシステム自体に詳しい人はいないのが現状です。顧客企業自身では、機能要件がはっきりせず、しかもそこで得たデータも分析できないわけですので、パッケージソフトの形でしかもデータを抽出し分析までしてくれるという一連の仕組みが必要です。いわば、中小企業の幅広いニーズを取り入れながらも自動で出来るマーケティングシステムを提供しようというのが当社のコンセプトです。
ただし、最近では大企業のコールセンターでも一部業務を当社のシステムを利用して合理化しようという企業が現れ始めていますが。
|
 |
廣島 |
わかりました。コンピュータを例にあげると、昔は大型ホストコンピュータで、導入できるのは大企業だけ。しかもできることはただ単に演算するのみで、主には給与計算などのフォーマットがあり、かつ大量にある業務をバッヂ処理するだけの機能でしたからね。そこからパーソナルコンピュータが開発され、ウィンドウズ95が登場し、インターネットが普及した以降は中小企業や個人においてもさまざまな利用がされるようになりました。いわばマーケティングにおいてもかつてのコンピュータがそうであったように、大企業のみができる手法から中小企業でも利用できるよう一種のダウンサイジング的なことが起きるだろうと考えたということですね。
ただ、ここで疑問に思うのですが、マーケティング、しかも自動にできるというのは一見よさそうにも見えますが、逆に具体的に何ができるのかがイメージしづらいのではないかと思います。そうしたイメージしづらいものを普及されるには通常の営業努力ではなかなか難しいのではないかと思うのですが。
|
 |
岡田専務 |
そうですね。当社の事業がどのようにして収益を得るのかということも含めてご説明いたしますと、確かに自動でマーケティングができると言っても、具体的に何に使えるの?というのが本音のところで、よくわからないものにお金を出して導入するほど中小企業も余裕がないと思います。
また、他にはないマーケティング手法ですので、やはり実際の活用事例をご紹介して、自社での活用イメージをお持ちいただくことが営業のプロセスとして必要です。
そこで、私どもでは主に2つの施策をとってきました。ひとつはGFネットワーク会、これは代理店的なイメージをしてもらったほうが近いとは思いますが、実際にオートコンタクトを利用してもらった顧客企業様からの紹介で、販売する方法です。自社で活用された経験に基づいて紹介販売していただくということです。もうひとつは業務提携先である船井総研さんの顧客企業に当社の商品説明会セミナーをご案内していただいております。船井総研さんとは、今後ダイレクトマーケティングが重要になってくる経営環境の中で、当社の手法が有意義であるとのご評価をいただき1999年から提携していただいています。
中小企業の経営者でも特にベンチャー性や進取の気性がある方がシステムを購入して利用しようと考えるわけですが、活用方法や運用面などノウハウがあるわけではありませんので、そこをケーススタディという形でGFネットワーク会やセミナーを通じてご案内することで、販売をすすめてきたわけです。また個別に営業マンがサポートすることでいわば中小企業のマーケティング機能の役割を当社を介して付加してもらおうと考え、普及に努めてまいりました。
|
 |
廣島 |
中小企業に貢献できる全自動マーケティングシステムというのは確かに社会的意義もありそうですし、今後おもしろい展開が見られるのではないかと東証マザーズに上場されたときも投資家が期待したのではないかと思いますが、ただ、残念ながら昨今の業績を見ますと、前年比でマイナスとなり、一種の踊り場的な様相を見せているかと思いますが、このあたりについてはいかがですか?
|
 |
岡田専務 |
|
はい。確かにおっしゃるとおりで、当社のシステムを普及させるためには前述の販売策が功を奏し、それによって実際に当社も成長し、また投資家からの今後の成長期待も多分にいただいているわけですが、従来の販売策だけではある程度一巡した感もあり、この仕組み以外での方法を模索する時期に来ていると考えております。
|
 |
事実、これは決算説明会や中間決算説明会でもご説明していることですが、セミナーの動員数は増えているものの、逆に成約率が低下しております。マーケティングに関心がある中小企業の経営者が増加している中で、なぜ購入率が下がったのか?要因としては、当社は営業マンが一つ一つ丁寧に使い方を説明し、各ユーザーのニーズを聞きながらサポートする営業手法ですので、なかなか大量に販売できません。
|
|
セミナー参加者の成約率を上げるためには営業マンを増員する、つまり販管費負担が増えるわけですが、コンサルティング的な形で営業をしている以上、営業マンを雇用しても即戦力とはならず、販管費負担が一時的に重く圧し掛かってしまうわけです。これを解消するために、機能を限定した低価格版の商品も投入しましたが、低価格での提供は台数が増えたとしましても、フル機能版の穴を埋めるほど売れるには時間がかかるため販売金額の総額も減少しているのが現状です。
また、収益構造上の課題として、システム購入企業からのサポートフィーをほとんどいただいていないということがあります。今までは、ベンチャー企業としてとにかく当社のシステムを購入し利用していただける顧客数を増やそうと考え、システム代金以外のサポート料金はほとんどいただかない形態で新規開拓重視の営業をしてきました。その結果、前期までは売上構成比の75%近くをオートコンタクトシステムの販売に依存するという、偏重した構造になっていました。いくら使い方やマーケティングのやり方をサポートしてもフィーが少なく、中小企業の抱える多様なマーケティング支援に関するニーズを目の当たりにしながらも、これを収益につなげるサービス開発が進まなかった。つまり、売上成長と新規開拓コストの増大が連動する一方で、ランニングフィーを得る収益構造ではなかったことも要因のひとつであり、今後の課題のひとつでもあります。
|
|
 |
廣島 |
イニシャルだけでなく、ランニングでもフィーを取れる仕組みがあれば尚よいというのはわかりますが、そのあたりの施策はいかがですか?
|
 |
岡田専務 |
BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の市場が伸びているわけですので、そもそも電話代行の部分でもニーズはあるとは思いますが、これからはサポートの部分、コンサルティングといってよいかどうかはわかりませんが、教育研修やアウトソーシングサービスの販売による、サービス収入の部分を増やしていこうと事業形態や収益構造を変えていく計画です。つまり、現状770社あるGFネットワーク会に対して、コンテンツやサービスの提供による収益の柱を構築するためにサービスパッケージの開発をしたり、当社のシステムをマーケティングツールに限定せず、いわば音声メディアの新広告媒体と位置づけた市場開拓をおこなおうと考えております。
|
 |
|
 |
|