ブリッジレポート
(2687)シー・ヴイ・エス・ベイエリア 泉澤 豊社長
7月5日(木)

JR京葉線・新浦安駅に隣接したオフィスタワーにあるCVSベイエリアを訪問しました。
コンビニエンスストア業界で独自性が際立つ同社の概況や今後の戦略などを泉澤社長、谷取締役に伺いました。


泉澤 豊社長

現状認識と今後の展開

少し前までは好調だったコンビニエンスストア業界も2001年5月に10ヶ月連続で前年割れになるなど、厳しい環境となっています。そのため事業継続が難しいチェーン、FCなども出てきており、同社へも持ち込まれる「売り案件」も増加しているということです。 そのように厳しい環境ではありますが、泉澤社長の認識では、客数は増加しており、決してモノが売れていないのではないということです。そこで、現在を、同社にとっての新たなビジネスチャンスと捉え、更なる成長を目指して動き始めようとしています。

同社は、現在サンクスのエリアフランチャイズとして「東京の江東区、江戸川区、中央区を始めとした9区と千葉の浦安市、市川市、船橋市など10市」に79店舗(直営44、加盟店35)を展開しています。(2001年7月末現在)

現在の地域における成功をベースに、今後はまず「1都3県」への拡張を考えています。その際、どこと組んでどのように展開していくかを現在じっくりと検討している段階です。

 

「街のお母さんを目指して」:FA24事業

泉澤社長とお話をしていて強く感じるのは、顧客ニーズを捉えた新規のアイデアがまさにお名前と同じく、コンコンと泉のように溢れ出てくる、その発想力です。
これまでにも「FC=標準化」という流れの逆をいく発想で、「コンビニの中心層である若い人の体格に合わせて、通路幅を通常より広めにする。」とか「酒類販売に規制緩和をにらんだ準備と、500mlサイズのペットボトルが人気を集める中で商品アイテムを減らさないために、通常は4面のドリンク棚を、6面にする」などの店作りで評価を高めてきました。

この「地域住民、利用者により良いサービスと満足を提供して行く」という考えの中で、新たに展開しているのが「ファーストエイド24(FA24)」です。
これは、お客様が何時でも(24時間)必要な時に必要なサービスを受けられるという意味です。

IT、インターネットの普及で物販は便利になりましたが、サービスはそれに比べ遅れており、コンビニエンスストアが文字通り「コンビニエンス(便利さ)」を利用者に提供するというのが、社長の発想です。

そのコンセプトは「街のお母さん」。つまり、昔は一家のお母さんが行っていた作業を、代わってコンビニエンスストアが「安心感」・「便利さ」・「満足感」をもって提供するもので、自分のライフスタイルに合った利用の仕方を可能にするサービスです。
具体的には以下のようなサービスがあります。

  • クリーニング取次ぎ
    24時間いつでもクリーニングの依頼、引取りが可能。料金はどこよりも安く設定。
  • 布団丸洗い
    日本で一番安い料金設定に成功。
  • ヘアーカット
    10分・1000円のヘアーカット
  • クイックマッサージ
    10分・1000円からのマッサージ
2000年8月より店舗への導入を積極的に展開しています。
今年8月に新たに導入予定なのが「ネットランドリーサービス」です。

これは、下着類の洗濯サービスで、お客さまが専用のランドリーネット(袋)に下着を入れ、店舗に持参すると、翌々日には洗濯済みの下着をカウンターで渡すというものです。(専用ネットは、ジッパーが開かないように、ジッパーのつまみ部分を預ける際にお客様に外してもらうので、誰の目にもふれることなく洗濯できプライバシーも守られます)。
当初は、独身者、単身赴任者を想定していましたが、これに加え、老人ホーム、病院、工事現場、学校寮など需要の広がりが期待できるサービスです。利用料金も1kg 300円/1回(約3日分と想定)とコインランドリーよりも安くなっています。

ワイシャツのレンタルもユニークなサービスです
1週間分5枚をパックにし、1枚300円程度でレンタルし、返却後はクリーニングして再度貸し出すものです。出張先でワイシャツを借りることもあるでしょうし、体型の変化があっても買い換える必要がなくなります。

この他にも、まだ詳細は明らかにされていませんが、介護サービスと学童保育を組み合わせた新しいサービスを今年度中にも開始する予定です。


FA24の各種サービス
  
このように、同社の新サービスは「日常生活の中におけるワン・シーンを実際に置き換え、実現して行くことでビジネスにして行く」という発想から生み出されています。同社の動きに対しては当然他社も注目していますが、実際に実現できるのは同社のみという状況です。

理由は「個店対応が必要」ということ。
言い換えれば、他社は個店対応ができないというのが泉澤社長の分析です。そもそもコンビニのFC本部は「標準化」・「規格化」こそが最も収益が上がる方法であるという原理、原則に基づいた路線をとってきました。そして現状においても、その成功体験を忘れられず、呪縛となっているということです。

これに対して同社は、過去の体験にとらわれずに事業を展開してきました。夜間人口のまったくないトラックターミナルへの出店などはその例です。客層をしっかりと見極め、潜在化した需要を顕在化させることで、いわゆる「一等立地」へ出店できないハンディを克服してきたのです。
 このように標準化、画一化にとらわれず、潜在需要を顕在化させることで差別化を図りつつ、そうはいっても他社が追随してくる事も想定し、そのサービスを完成度の高いパッケージに仕上げ、投入して行くことで常にリードを保って行くという戦略です。

 

今後の店舗展開

小売、外食というと「スクラップ&ビルド」、つまり新規出店を行う一方で、不振な店を閉店していくという店舗展開が主流ですが、同社では、ただ単に店舗数を増やすという方法は取らない方向です。それよりも、既存店の収益力を強化するほうがメリットが大きいと考えています。

これも、多くの他社が「スクラップ&ビルド」を進めながらも大して効果が上がっていない現状に対するアンチテーゼといえるでしょう。
「サービスを含めた差別化による既存店の強化」と「歓迎される地域への出店をよく吟味して行う」ことで成長を図ります。
また、コンビニエンスストアの出店は、「1都3県」に絞りますが、サービス分野(例えばネットランドリー)は、2―3年で全国に展開していくことも考えています。
 
同社のもう一つの特徴として、「直営比率の高さ(約80%)」が挙げられます。 コンビニ業界においては、「本部、直営=黒字、FC=赤字」というのが通常です。しかしこの状態は、正当なものではないと泉澤社長は考えています。加えて、同社のように新たなサービスを、他社に先駆け次々に導入し、成功させていくには直営店の機動力の高さが大変重要になるのです。

 

訪問を終えて

「従来のビジネスモデルはもう続かない」というのが、社長の考えです。
多くのFCが経営に苦しみ、今後訴訟が多発していくことも予想されます。また、激しい「値下げ競争」も既に限界に近づいていると判断しています。
  そんな中、時代の変化を常に注視していく必要性を強く認識しているのです。


「新しいアイデア、企画をどうしてそんなにドンドン生み出せるのですか?」という質問に対しては、社長の経歴が大きく関係しているとのことです。
以前、洋服のデザインを手掛けていた頃、顧客企業に季節ごとのデザイン、企画を毎年提案していく必要がありました。また、全ての顧客企業に同じ提案をする訳には行かず、顧客ごとに異なった提案をしなければなりません。そういう環境で、常に新しいアイデアを発想する必要性に迫られていたため、毎日がトレーニングとなっていったということです。

既に着手しているもの、まだ構想段階なものも含め、ここには書ききれないほど、様々なアイデア、企画を社長はお話してくれました。
そのアイデアすべてが日常の生活をベースにし、こんなことがあれば便利なのになという、発想に基づいたものです。そして、そのうちホームクリーニングは2兆円市場(トップ企業でシェア1%)であったり、ヘアカットも2兆円近い巨大な市場であったりと、決してニッチとは言い切れないものがあるのです。

「開いてて良かった」のキャッチで表されたように、「24時間いつでも物が買える」という便利さで急成長してきたコンビニエンスストアですが、しっかりと人々の日常に溶け込んだ現在、新たな成長ステージを進むには、利用者のニーズに徹底して応えた新たな便利さで真のコンビニエンスストアへと進化する必要に迫られています。そうした変化の時代におけるトップランナーとして同社の動向には要注目です。
 
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