ブリッジレポート
(4767)テー・オー・ダブリュー/川村 治社長
7月12日(木)

 虎ノ門第17森ビルにある、テー・オー・ダブリューを訪問しました。
 同社の事業内容は、「イベントの企画・制作」となっていますが、具体的な内容や、同社ならではの強み、今後の戦略といった点を川村社長と、IR担当の武田さんに伺いました。

 



川村 治社長

 

設立の経緯

 川村社長は慶應義塾大学在学中の1975年、日本で初めて「ミスキャンパス・コンテスト」を企画・実行しました。フジTVの放映を取り付け、食品メーカーから1000万円近い協賛金を集めるという形で段取りを進め、全国100の大学からそれぞれの「ミス・キャンパス」を集め、高田馬場のBig Boxで開催、成功させました。
 この経験からイベント企画・制作の面白さを知り、就職も内定していたのですがそれを断って、現在の真木副社長と二人で1976年に同社を設立しました。今ではそう珍しくは無くなった「学生ベンチャー」のはしりと言えるかもしれません。


 1980年にはSONYウォークマンのキャンペーンを成功させ、業界内で注目を集めるようになります。
 当時は今のように家電量販店がある時代ではありません。まして、SONYは、松下や日立のように全国で自社の販売店網を持っているわけではありません。そういう中で、どうやってウォークマンの認知度を上げ、知ってもらうか、買ってもらうかというSONYの悩み、ニーズに対し同社はこんなキャンペーンを企画、提案しました。
 まず学生を1チーム100人で5チームを構成。内2チームはウォークマンをつけて原宿で自転車に乗り、チーム単位で移動します。残りの3チームはやはりチーム単位で山手線に乗車するというものです。これを1週間続けました。雑誌などに取り上げられ大成功に終わりました。
 このように、「何か面白いことを考え、企画し、実行する」というのが同社の出発点でした。
 その後は、企業が新製品を続々と投入する中でキャンペーンも増加。「面白いこと」のみでなく、一般的なイベントも手掛けるようになっていき、売上高もバブル崩壊後でも12―13億円を維持していましたが、この時期に川村社長は現状に飽き足らず「このままではいけない。何か変化しなければいけない」と考えるようになりました。その結果、1994年に会社の成長目標として「2000年、売上55億円、株式店頭公開」を掲げ、報酬体系、評価方法、賞与基準などを策定します。川村社長によればこれが同社にとって大きな転機となったということです。そして昨年2000年7月には目標どおり株式公開を果たしたのです。

 

売上拡大のために

  イベントの受注は、直接最終顧客からということもありますが、多くは電通、博報堂といった広告代理店経由の受注が中心です。当初同社は博報堂PR局という部署のみとの取引でした。しかし店頭公開を目指し、売上を拡大させる為には顧客数を増加させなければなりません。そこで、電通、博報堂の他部署など含め新規に大手20社に営業を行っていきました。
  この際、むやみに広く浅く営業するのではなく、川村社長が事前に深さ(取引拡大の余地)があるかどうかを、しっかりと調べ上げたうえで進めていきました。
 その結果、96年に業界最大手・電通から2億円の受注を獲得した頃を契機に、博報堂単独の受注状況から脱するようになります。
 平成12年12月(中間期)の受注先を見ると、

博報堂グループ    
29.3%

電通グループ

29.8%
アサツーDKグループ
9.7%
中堅代理店
14.7%
直接
16.5%
 というように、売上比率では電通グループがトップとなりました。電通向けで毎年7億円、アサツーで2―3億円の増加となっており、この傾向は今後も続くと思われます。 直接顧客からの受注は1999年からとなっています。

 

イベント市場・業界の現状と同社の強み

 イベント市場規模は1998年で4兆2000億円ですが、8000社がひしめく業界です。多くは従業員10人未満の零細企業の中、同社は売上高75億円と業界最大手です。このようにダントツの状況にある同社の競争力、強みについて伺いました。


川村社長がまずあげたのが企画力
 「良い企画」を生み出す為に、徹底的なブレーンストーミングを行うムードが社内にあるということです。1年間に約1200本の企画を生み出していますが、その際外部のプランナーも交え、徹底的な話し合いを行います。同社はその中で、「方向性」を決めるのが仕事であり、具体的な形作りは外注先に発注します。
  100のイベントがあれば100の目的があるわけであり、その目的に対応した企画が出せるか否かは大変重要なポイントです。同社の場合はこのようにして、1200本という大量の企画案をこなすことが可能となっています。加えて、外部のプランナーを使うことができる資金的余裕という点でも、公開企業としての優位性が発揮されています。

 また、イベントビジネスの仕組みにおいても「資金力」が効いてきます。
 通常のイベントは、その終了後、制作金額を顧客に請求するのですが、実際の支払は120―150日後とかなりサイトの長いビジネスです。当然イベント会社には立替金が必要で、1億円のイベントであれば普通4000―5000万円の立替金が必要になるということです。昨今の銀行の貸し渋りもあり、この資金負担に耐えられない企業がかなり多く出ているのが現状で、同社の優位性は際立っています。


 また、今年に入って他社との差別化がしやすくなってきました。
 上記の企画力と今までの実績によって、有用な情報がより早く入手できるようになっており、他社に先駆けて、大手企業向けに担当者を増強するなど、効果的な手が打てるようになってきているということです。


 また、代理店、クライアント企業との関係を熟知した上での、最大に効果的な営業戦略をきめ細かく構築し、会社全体で共有しているということも大きな特徴です。
 例えば、年間で大量の広告費を使っているAという企業とは今までXという代理店を通じて仕事をしてきました。新たにYという代理店を通じてAの仕事の依頼があった場合に、会社の利益を考えた場合、それを受けるのか受けないのか、という判断を各ケースで行い全社で戦略として共有しています。この点は、顧客、代理店ごとに様々なケースがあるので、適切な対応ができるかどうかは大きなポイントです。

 

受注管理システムによるリスク低減

  イベントビジネスというと言葉は悪いですが、ドンブリ勘定のイメージを持つ方もいると思いますが、同社ではイベントの企画案件、制作案件の受注状況、制作状況を把握し、同時に原価管理、請求管理、予算達成状況の管理をしっかりと行っています。
 これをもとに、イベントの制作見込み残高を常に把握しています。80%以上の確度で受注できる案件以上のものを合計し、制作見込み残高として公表していますが、実際の結果と比較しても10%未満のブレにとどまっているということで、きっちりとしたリスク管理体制をとっているといえます。

 

環境対策への取り組み

 同社は環境対応の国際基準である、ISO14001を業界でいち早く取得しました。
 「イベントと環境?」と私も思いましたが、展示会、発表会において大量に使用される木材が問題となります。リサイクル、または木材を使用せず、他の素材で何度も使える仕組みを作るという観点でのノウハウを積み重ね、自動車、電機など超大手企業の指名発注の確度を高めるとともに、業界リーダーとして広く情報をオープンにして行く意向です。

 

収益性向上のために:全社員の総プロデューサー化

  株式公開を果たした同社は、規模が拡大していく中で収益性を高め、競争力を向上させていくために「全社員の総プロデューサー化」を目指しています。
 そのための方策としての一つが「ナレッジマネジメントの推進」です。 これは、全社員に1台のPCを渡し、各種の情報を共有化するものです。
 同社では年間約550のイベントを行っていますから、「どんなイベントでどんな会場を使い、使用料はいくらだった」とか「どんなタレントを使い、ギャラがいくらだったか」といった各種履歴がいつでも参照できます。
 また、企画書についてもデータベースを構築。形態別、クライアント別、商品別など各種検索機能を持っており、これによって作業の効率化、企画力の向上、若手社員を中心とした技量の底上げを図ります。
 こうした情報の共有化によって、収益性、競争力をより高めていこうというのが同社の戦略です。

 

訪問を終えて

 川村社長は、イベントビジネスにおいていかに顧客を増やし、売上を伸ばしていくかについて大変興味深いお話を聞かせくださいました。企画力、提案力とともに、クライアント企業、代理店、イベント会社の3社3様の関係の中で、最も適切な営業の仕方を選択してきたことが、同社がここまで成長してきた大きな要因であり、これは社長を始めとした創業メンバーの力に負うところが大変大きかったのだろうと感じました。
 しかし、川村社長は公開企業としてさらに大きく成長する為に、全社的レベルアップが必須と考え、様々な手を打っています。
 上記のナレッジマネジメントに加え、優秀な人材を発掘、養成する目的で今年初から、「イベントプランナーズスクール」を開校。学生、社会人に対し、有名講師を招いてイベントプランナーとしての基礎を講義するものです。この受講生の中から優秀な人材を採用しています。また、「頑張っている人にはしっかりと報います」(川村社長)という考えで、報奨金制度も実施しており、「人」の強化に今後は益々注力していく方向です。
 イベント業界においては、完全なオンリーワンとなった同社ですが、潜在的なマーケットはまだまだ巨大であり、そこに向けて更なる成長を目指す同社に注目していきたいと思います。

 
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