ブリッジレポート
(9616)共立メンテナンス 石塚晴久社長
7月11日(水)

 地下鉄銀座線末広町のすぐ側にある、共立メンテナンスを訪問しました。


  同社の石塚社長は毎年、年度テーマを年初に設定します。今年のテーマは「守成」。
  これは、「創業は易し、守成は難し」という故事から来ているそうです。つまり、創業22年を迎えた同社にとって創業期は終わり、第2の発展期がスタートしたというメッセージです。次の歴史を作る為に打つべき手は打ったのでそれを今期中に確認し、確実に実行していくことで、成長していくということです。
  その戦略、経営方針などを伺いました。



石塚 晴久社長

 

設立の経緯

  石塚社長はもともと企業の社員寮の管理を行う会社のNo.2を務めていました。その際、社員寮の管理・運営ノウハウが学生下宿にも適用できると考え、ある企業の使わなくなった社員寮を学生下宿に使用することを始め、その将来性に着目し、1979年に、御自分で同社を設立しました。

 


 従来の学生の下宿との違いは「資本と経営の分離」という点にあります。従来は、建物の所有者である大家さんが、下宿の経営をてがけていたのを、建物、土地の所有者から学生寮の運営、管理を任されるという形としたわけです。
 これによって、学生に対してより低コストで、質の良いサービスを提供することが可能となりました。初年度は、社員寮を学生寮に転用するという形で始めましたが、2年目からは、土地の所有者に有効活用の方法として提案し、新築で展開していきました。
 1985年からは、社員寮にも進出しました。ただ従来型の1企業1社員寮という形の運営管理ということだけではなく、複数の企業の社員が入居する社員寮を始めました。企業にとっては過度に不要な設備・施設を抱える必要が無いことから順調に拡大させていくことができました。
 これが同社にとっての第2ステップとなりました。

 

事業内容

「学生寮、社員寮事業」
 ドミトリー(学生寮、学生会館)、ドーミー(独身寮、単身赴任社用社宅)、ドミール(ワンルームマンション)の運営・管理を行います。全国274ヶ所にあります。
 学生寮事業のマーケットシェアは48.9%(2000年3月)、社員寮事業のマーケットシェアは43%(2000年3月)とダントツ。

「寮・食堂の受託事業」
 全国211ヶ所で行っています。

「リゾート事業」
 軽井沢、熱海、伊東、那須など9ヵ所で、主に企業向けに賃貸式の保養所を運営しています。一般客の利用も可能です。

「長期滞在型ビジネスホテル事業」
 ドーミーインの名前で、全国11ヵ所にビジネスホテルを展開。研修施設付のセミナーホテルも。

「外食事業」
 居酒屋などを首都圏中心に17店舗を展開。

「シニアライフ事業」
 高齢者用の食事付など高齢者向けの賃貸住宅を3ヵ所で運営しています。在宅介護なども計画しています。

 学生寮、社員寮でスタートし拡大してきた同社は、ここに挙げた保養所、ビジネスホテル、外食などに数年前から進出し、事業領域の拡大を図っています。
  このうち、シニアライフ事業を除く全てが前期で黒字化を達成。外食、保養所などは年率30%程度の伸びが予想されており、新たな収益の柱として育ってきました。
 シニアライフ事業も、本社管理経費を除いたいわゆる粗利ベースでは今期収支均衡の予想であり、2―3年後には黒字化するとの見通しです。

 

 また、連結ベースでも収益の改善が顕著です。
  前期決算では、グループ会社10社の内、2社が合計1.5億円の赤字を計上しましたが、今期はこの2社も黒字に転換し、全社黒字となると予測されています。
 加えて、今年3月の(株)ビルネットの買収により、ビルの設備管理・賃貸代行ビジネスへも本格参入しました。このビルネットは2002年3月期(予)売上高84億円、経常利益3.6億円、キャッシュ約60億円を保有する優良企業です。ビルメンテナンス事業のノウハウ取得とともに、グループの財務力強化に大きく貢献しています。

 

同社の強み

 同業他社と比較した場合の同社の強みは「設立時、スタート時から入居者のCS(顧客満足度)の追求を考える立場にいた」という同社ならではの生い立ちにその要因があります。 つまり多くの同業他社は、大企業のグループ企業であったり、不動産業者であったりしますが、多くは土地バブルの流れに乗って、土地を手当てし寮を建設していきました。 これに対し同社は、あくまでも寮の運営管理が本業であり、そこにおいていかに安いコストで良質なサービスを提供する仕組みを作るか、つまり利用者の満足度を追求することに焦点を当てていたために、バブル崩壊の影響を受けることなく、高いシェアを維持することができているのです。
  また、同社の場合は、学校との契約により学生部からの紹介という形で入居者を募集することができることも大きな強みです。これも同社がいち早く学生寮の運営管理受託という分野に進出し、利用者の満足度を高めてきたことに起因するものと考えられます。

 

今後の事業展開

 マクロ的には、「少子化」や「企業の経営効率改善」という流れの中で、アゲインストの風を指摘する声もあります。

 そうした中、同社は次のように考え、取り組みを始めています。

  • 少子化といえども、進学率の向上で学生数は横ばい。在学費用の優先的支出傾向。同社の学生寮事業のマーケットシェアは48.9%(2000年3月)ですが、18歳人口を基にした潜在的ニーズにおけるシェアはまだ2%程度と思われる。
  • 企業の減量経営で従業員数、新卒採用は減少するものの、自社寮を売却しアウトソーシング重要は拡大。
 社員寮利用者数を見ると、確かにピーク9000人から7500人へと減少してきているものの、昨年秋頃から利用者の需要が底を打ち、供給を上回る形となってきているそうです。
 こうした中、同社では稼働率のアップを目指して「スクラップ for ビルド」を開始しました。これは、自社の提供しているサービスが本当によい商品であるかを全国全ての施設に関し点検し、日常的なコストダウンも含め、寮事業の収益力を再強化するものです。これにより前期94%の稼働率でしたが、今期は期初稼働率で98%を達成しています。 また、次世代の収益の柱と期待する新規事業に関しては、早期の全事業黒字化と拡大を図ります。

 

訪問を終えて

 取材の最後に石塚社長の「企業経営についての考え方」を伺いました。

 石塚社長は、企業経営の根幹をPL(損益計算書)に置いています。
 つまり、経営者としての評価は「どれだけ儲けたか」いいかえれば「どれだけEPS(一株当り利益)を高めるか」にあり、その結果としての儲けを株主に還元するというのが同社、石塚社長の基本的な考えです。
  EPSの目標水準を設定し、その水準を常時維持できる収益力を備えながら、それを超えた部分を分割などによって株主に還元していきたいと考えています。

 また、今後直接市場からのファイナンスを行う際にも、その投資によってEPSを高め、株主持分を薄めることがないということを投資家に理解してもらうことが極めて重要だとお話になりました。社長にとっては当たり前のことが「世の中では常識になっていない」ことをさかんに不思議がっていらっしゃいました。

  対象とするマーケットが今後急拡大するという事業ではありませんが、寮事業のニーズは根強く安定成長が期待できること、新規事業も柱として育ってきていること、そしてなにより株主に対する姿勢が明確なことなど、同社の「守成:第2成長期」に注目していきたいと思います。

 
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