ブリッジレポート

(4709)インフォメーション・ディベロプメント/舩越 真樹専務
1月8日(火)

インフォメーション・ディベロプメントをフォローアップしました。 経営企画部長の小倉常務、IR担当の鰐川課長にお話を伺いました。


事業内容を簡単にレビューします。
同社は「システム開発」、「システム運営管理」、「データ入力」、「セキュリティ」とコンピュータシステム全般に関する総合的な業務ノウハウで顧客に最適なシステム環境を提供することを目指しています。売上高に占める金融機関・生損保向けの比率は約60%というのが特徴です。

 


尾崎社長と舩越専務


「システム開発」
IDの主要顧客はみずほグループなど大手金融機関です。これら金融機関にとっては、顧客の利便性向上と業務の効率化のためのシステム開発が非常に重要であり、IDは主に信託業務系のノウハウを活かした開発を得意としています。全売上高の約40%を占めています。

「システム運営管理」
次に開発されたシステムを安定した環境で、効率的に稼動させることもIDの重要な仕事です。
365日、24時間稼動するコンピュータシステムの運営管理をアウトソーシングする形で受託しています。全売上高の約46%を占めています。これがIDの安定収益源になっています。

「データ入力」
売上高の約10%を占めます。帳票類などの生データをコンピュータ用の入力データに変換する作業です。医療関係のデータ入力や、信託銀行における証券代行業務などがこれにあたります。最近ではイメージデータ処理に注力しています。

「セキュリティ業務」
インターネットなどネットワークの高度化、複雑化が進む中で、コンピュータウィルス、不正アクセスへの安全対策は重要な課題となっています。IDは、ネットワーク安全対策で世界最大を誇る「ネットワークアソシエイツ社」をはじめトレンドマイクロ、シマンテック、コンピュータアソシエイツなど主力商品を全て取り扱っています。


1.足元の状況

同社は昨年の11月に今2002年3月期の業績予想を以下のように修正しました。

<連結>単位:100万円 カッコ内は修正前
売上高
11,100
(11,190)
前期
9,738
経常利益
650
(   790)
前期
735
当期純利益
360
(   435)
前期
242


売上高に関しては、主力の金融機関向けは順調に増加しましたが、子会社における新規顧客の獲得やWeb系新分野業務の受注が計画どおりに進んでいないことが要因です。
利益面に関しては、数億円規模の大型開発案件の受注に備え、外部パートナー(外注)を早期に確保しましたが、予定通りに着手できなかったことによる外注費のロスや、新分野における開発業務での追加作業の発生などでコストが予想以上に発生してしまったためです。

システム開発においては、まずコンサルティング段階で顧客の業務内容を理解し、課題を抽出した後、システム構築段階に入り、基本設計を行いながら同時に検証を行い、それが済んだら詳細設計、ネットワーク構築、実地テストに進むという流れとなります。(図参照) ところが、今回の大型案件においては基本設計と検証の部分で、見直し、やり直しが出てしまい、詳細設計に進むのが大幅に遅れてしまい、そのために確保しておいた外部パートナーへの外注費が余計にかかってしまったわけです。

 

2.収益力強化へ向けて

システム開発においては、コンサルティングから要求分析、基本設計段階の上流工程が極めて大事であり、この成否により開発全体の工数、費用に大きな影響を与えることになります。逆にそれだけ難しく、責任も大きいわけです。
同社としては、今後更に一段と成長していくためには、この上流工程をしっかりとこなすことが必要不可欠であるとの認識から、今回の原因を踏まえ、重点テーマとして「収益力の強化」を掲げ、プロジェクト採算管理の強化、生産性の向上、開発技術力の向上に取り組んでいます。

具体的には、グループ戦略としてスペースリンク社を戦略的に子会社化しています。(2001年10月)
スペースリンク社は、スペースシリーズという、情報システム設計・開発作業における、設計技法・技術、品質管理、成果物管理、進捗管理、部品蓄積・活用等の仕組みを提供するツールを持っており、これを利用することで、IDの開発業務における低コスト要員の流動化、高生産性、高品質化、高保守性を目指していきます。
つまり、「開発業務の効率化による開発コストの削減」と「開発技術力の強化」を図ることができるわけです。

また、低コスト・高技術のパートナーの確保と生産性の向上を狙い中国のFan High Technology社と業務提携を行いました。
Fan Highは、JAVA、XMLを始めとした一般的なプログラム言語に対応する高い技術力を持ち、確定拠出年金などの日本の損保系アプリケーションソフト開発で実績を持っています。

 

3.新ビジネスとしてコールセンターを立ち上げ

子会社IDnetの新しい展開としてコールセンターを2001年10月に立ち上げました。
これは、子供を有害サイト(ポルノ、暴力など)より守る「Kidsインターネットセーフティー」サービスを提供する企業から、導入・運用支援業務のヘルプデスクを受託したものです。

IDとしては、これをきっかけに業務系の高付加価値のコールセンターを展開していく方針です。

 

訪問を終えて

システム開発においては、そこそこの企業規模を維持するのであれば下請け的に下流工程の開発だけを請け負っていれば可能なのが実状です。
ただ、企業を更に成長させようとすればより高い技術を必要とされるものの利益率が高い上流工程を手がけていかなければなりません。
そうした中、IDは今後より一層上流工程開発受託に力を入れ、川上から川下までのすべての開発とその後の運用・管理までを一括して受託する「BOO(ビジネスアウトソーシング)」に向かっていくことを目指しているのです。

IDの株主数は2001年9月末で2004名。うち個人投資家は約53%となっています。 2000年3月末が1177名でしたから急増しています。
積極的な株式分割、売買単位の引き下げとともに、個人投資家を大切にしていくという同社のIRに対する姿勢が評価されている結果だといえるでしょう。
今回の下方修正は同社の今後の課題が明らかになったということになりますが、技術者育成、品質向上に対するISO9001取得への取組みなど課題克服のための対応も進めていますし、加えて金融機関を中心とした安定した顧客基盤、売上の46%を占める運用管理業務の安定性などを考慮すれば、中長期的に見ていきたい企業といえるでしょう。

なお、12月15日開催のブリッジサロンにおけるアンケートの個人投資家からの質問に対して、以下のような御回答をいただきました。
アンケートのご質問事項について、以下にご回答をまとめました。

Q1. 新規事業に対しどのくらいの資金が必要なのですか。
  A. 事業の種類により異なります。またその要員計画、設備計画で変わってきます。 弊社にとって新規事業を行うために資金調達が必要かとのご質問であれば5億前後(営業キャッシュフロー)であれば、手元資金で調達が可能で、株主様や借入による調達の必要性は薄いと考えます。
Q2. 現在の株価に対してどのようにお考えですか。
  A. 自社の株価に対するコメントは避けるべきであると考えます。     あえて、一般論として申し上げれば、現在、当社の一株あたりの利益は70数円になっており、これに対し株価は800円前後となっています(PER:約10倍)。 100億程度の売上があり、毎年10数%の成長が期待できる企業においては、同業他社の状況を見ましても、20〜30倍(株価:2000円前後)の評価を頂戴しても不思議はないかとも感じております。
Q3. 同業他社との差別化対策を聞きたい。同業他者だけでなく、類似業態が数ある中で差別化できるポイントが少なくとも素人には少し説明不足なのでその辺をもう少しお聞きしたい。
  A. システム開発、運用管理とも、金融機関を代表としたシステムの業務アプリケーション、運用管理を良く知っている技術者が多くいます。特に運用管理の部分は一度てがけてしまえば継続的な作業となり途中参入が難しい業務でもあります。弊社はこの運用管理のノウハウを長年の実績から蓄積しています。この運用管理での売上が全体の4割に達しています。
反面多くの企業はプロパーによる運営管理業務をアウトソーシングしようとしています。この流れは強く、今後さらに拡大が期待できると考えております。
また現在は、一顧客に対し主力4事業であるシステム開発、運用管理、データ入力、セキュリティーがそれぞれの観点から観たシステムの拡張性、運用面の改善をトータル的に提案をできる体制を作り上げています。
Q. 1億X10本の開発のうち、1本の遅れで利益減があったとのことですが、比率の割には減少幅が大きすぎるのではないですか。
  A. 1億以上の案件が10本です。今回のプロジェクトは、4億円程度のプロジェクトになります。この中での要員手配のタイミング、仕様確定の遅れがコストを引き上げた要因になり、これにより見切り発車等による手戻り作業をさらに発生させる悪循環になってしまいました。現時点では山場は乗り越え、最終納期をめざし今期内で完結する予定です。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
このレポートは当社が信頼できると判断した情報源(当該発行会社が作成した会社説明資料等)の情報に基づき作成したものですが、その正確性について当社が保証するものではなく、また当資料の一部また全部を利用することにより生じたいかなる損失・損害についても当社は責任を負いません。
本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあります。また本資料の内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。
投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。
Copyright(C) 2017 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.

« ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス vol.2 | ブリッジレポート:(8275)フォーバル vol.2»

ブリッジレポート(バックナンバー)
アンケート
ブリッジメール
アラート申込み
CLOSE