ブリッジレポート
(4767)テー・オー・ダブリュー 川村 治社長
2月13日(水)

TOWの中間決算説明会に出席しました。
会場は六本木・ゴトービルのスペース510。会場入り口には、イベント制作・企画やSP(セールスプロモーション)を手がける同社らしく携帯電話のブースが設けられ、女性コンパニオンが携帯電話のキャンペーンを行っていました。


川村 治社長

また説明会の冒頭には、2002FIFAワールドカップの公式ボール発表会の模様を映像とモデルが登場して一部を再現するなど、同社が実際にどんなイベント制作を行っているかを見ることができ、投資家に理解を深めてもらいたいという同社の意図が現れていました。

 

2002年6月期中間期の概要

まず川村社長から中間決算についての説明がありました。

(単位:百万円。カッコ内は前年同期)
売上高
3,846
(3,757 +2.4%)
売上総利益
735
(  711 +3.3%)
営業利益
372
(  391 −4.9%)
経常利益
357
(  372 −4.1%)

予算と実績(カッコ内は計画)
売上高
3,846
(3,749 計画比 + 2.6%)
営業利益
372
(  334 計画比 +11.3%)
経常利益
357
(  326 計画比 + 9.3%)

このように前年同期比で増収となりまた、同社が以前から目標として掲げてきた粗利率も前年同期 23.8% → 24.6%と向上しました。
本社を六本木から虎ノ門に移転するなど販管費が増加したため営業利益、経常利益は減益となりましたが、計画比に対しては大幅に上回る結果となりました。

当中間期の特色・傾向としては以下の点があげられます。

  1. 昨年9月11日のNY同時テロ事件を契機に、イベント制作見込残が急速に減少しました。大手広告代理店も単月ベースで取扱高が2桁のマイナスとなっているということです。同社においては上半期で3億円、下半期で8億円の合計11億円が減少という形になりました。しかし、その減少を回復させる努力を続けた結果、上期の売上計画は上記のようにクリアすることが出来、不景気の中でこそNo1.プロダクションとしての力量を見せることができたといえそうです。
  2. 顧客企業の発注サイクルが短期化しており、この傾向は暫く続きそうです。また、1億円を超す大型案件が減少し(前中間期4件、当中間期2件、前通期10件)、1000万円以下の小型案件が増加しています。これは、現状の環境下において受注拡大のため新規顧客また新規担当者を積極的に開拓することを目指した結果です。この結果エンドユーザーの数を増加させることが出来ました。この新規開拓は次の回復時期に入った時の効果が期待できるということです。 
  3. 業界全体では厳しい環境ですが、他社との企画競合案件における同社の勝率は大きくアップしました。前中間期においては企画本数(272本)に対する案件獲得数は60本で勝率22.1%でしたが、当中間期は76/275で勝率27.6%となりました。これはプランナーズ・スクールの活用など同社の企画力が優れていることの証明です。

同社ではイベントの企画案件、制作案件の受注状況、制作状況を把握し、同時に原価管理、請求管理、予算達成状況の管理をしっかりと行い、これをもとに、イベントの制作見込み残高を常に把握しています。80%以上の確度で受注できる案件を同社では「A+B+松」と呼び制作見込み残高として公表していますが、実際の結果と比較しても±5%程度のブレにとどまっているということで、このキッチリとした管理体制は同社の大きな特徴です。

こうした中、当期業績を以下のように予想しています。

(単位百万円)
売上高
8,500
粗利益
2,125
経常利益
883
当期純利益
461
EPS
52.61円

今期の営業戦略

次に創業時のメンバー草柳常務から今期の営業戦略について説明がありました。
一つは「セールスプロモーション関連の受注拡大」です。顧客からのニーズも高くまた利益率も高いSPを全社体制として一気に受注を拡大させていく方針です。
売上に占めるSPの比率は、前期上期30.6%が当期上期61.1%となっています。
当期制作見込残に占める比率も2月8日時点で54.8%となっていますが、発注サイクルの短期化でまだ増加させる余地はあると考えています。
もう一つは「得意先の選択と集中」。専任担当営業によって受注拡大を目指し、特にサッカーワールドカップに3名を担当させ注力していきます。
ワールドカップ関連受注は12月末時点で4.1億円。これを7億円程度へ拡大させることを目指していきます。
来期以降もSP関連の制作見込残を拡大させていく方針で、「社内SPプロジェクトの継続」、SPインフラの整備を図り「印刷会社からの専任担当営業受け入れ」、質と量の双方を伸ばすためのフリープランナーを囲い込むために「企画アドバイザー制の導入」などを進めていく方針です。

 

今期の収益性:現状と対策

次に、やはり創業メンバーの秋本専務から説明がありました。
同社が目標としている粗利益の向上に関しては、前にも書いたように利益率は上昇しており、また粗利額、一人あたり粗利額ともに通期計画達成は確実な状況だということです。
今後更に向上を図るため、制作業務の効率化のために以下の施策を進めていきます。
まず、今年3月に制作専門の子会社「ティー・ツー・クリエイティブ」を設立します。
ひとことでイベント制作といっても、その業務は「受付」、「コンパニオンの手配」、「映像(ソフト&ハード)」、「舞台デザイン」などなど多くの専門分野に細分化されており、それぞれの分野に特化した専門会社があります。そこで同社では「グループ内の利益体質強化」、「専門特化によるノウハウで原価低減」、「制作労力の軽減による売上・利益拡大」、「人的資産強化によるイベントの質向上」などを目指し、この子会社を設立しました。平成14年6月期 売上4億円、経常利益4000万円を計画しています。
次に、イベント会社、デザイン会社、DM会社など協力機関からの専任制作担当者の常駐を、前期5名から当期末8名に増やします。専任政策担当者とは同社の中に席を持ち、同社の名刺を持って同社の担当者と一緒に活動するスタッフのことです。これによって、制作業務の効率化を図り、粗利拡大に貢献させます。

今後の施策

最後に同じく創業メンバーの真木副社長が今後の施策について説明しました。
まず一つ目は「アジア戦略」です。 今年1月に韓国の大手イベント制作会社「ユニワンコミュニケーションズ」と資本・業務提携を結びました。ユニワンコミュニケーションズはインターネット環境が整備された韓国において、ネットを利用したオンラインプロモーションとオフラインであるイベントを組み合わせたプロモーションを展開することが得意分野であり、今後は日本における同様のプロモーションを展開していくことを目指します。
また日韓両国の企業が相互の国でのイベント及びSPを活発化させることを予想し、タイムリーに対応することも目的としています。

今後は、香港、シンガポールへの展開も視野に入れており、その先は欧米におけるネットワーク作りも考えています。国内においても、出資、業務提携などでネットワークを強化する他、「eVENT STAFF Network」という全国ネットを開設しました。イベント業界は全国で約8000社がひしめき、多くは従業員10人未満の零細企業となっています。同社ではこの中から約100社の事務所にPCを貸与し、同社が保有しているイベント制作の為のデータベースを自由に使ってもらう仕組みです。このデータベースは本来、「全社員の総プロデューサー化」を目指し、ナレッジマネジメントを推進させるもので、「どんなイベントでどんな会場を使い、使用料はいくらだった」とか「どんなタレントを使い、ギャラがいくらだったか」といった各種履歴がいつでも参照できます。 また、企画書についても形態別、クライアント別、商品別など各種検索も可能で、作業の効率化、企画力の向上、若手社員を中心とした技量の底上げを目的としています。
この社内用データベースを使ってもらうことで、「 全国規模のキャンペーン展開が容易かつ効率的に行なうことができる。」 、「各社単独では極めて難しい地方自治体など公共団体への営業が、同社のバックアップで可能になる。またそこからビジネスチャンスが広がる。」 、「全国ネットワークによる情報収集が可能」といったメリットが期待できます。

また、イベント制作業界の社会的認知度向上のための書籍の出版、大阪支社におけるISO取得と、今度は取得の経験を収益に結びつけるためのISOイベントモデルの研究も進めていく方針です。

 

取材を終えて

同時テロ事件、長引く不況と同社を取り巻く環境は決して良好とは言えないにも拘わらず、中間決算は計画を上回り、また受注状況から見て通期の業績予想もかなり確実性が高いようです。
その意味で同社の目は既に来期に向けられており、「売上高 101億円」をクリアするための方針、戦略が良く理解できた説明会でした。
ワールドカップも終了した同社の当期末頃の状況を再度取材したいと思います。

 

 
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