ブリッジレポート

(4709)インフォメーション・ディベロプメント/舩越 真樹専務
5月24日(金)

インフォメーション・ディベロプメントの2002年3月期決算説明会が本社ビルで行われました。


尾崎社長と舩越専務

舩越専務が前期実績、今期見通しなどを説明しました。
また「IRの意義・意識」を全社的に浸透させるために、各事業本部長および子会社の社長など同社の主要メンバーも同席する形となりました。

2002年3月期実績について

<連結:単位百万円、カッコ内は前年比>
売上高
11,081
(+13.8%)
営業利益
548
(−27.5%)
経常利益
546
(−25.7%)
当期純利益
272
(+12.5%)

<業務別売上高(連結)>
ソフトウェア開発
4,971
(+ 10.4%)
運営管理
4,677
(+ 16.5%)
データ入力
1,102
(+  3.1%)
セキュリティその他
 331
(+118.4%)
*セキュリティ業務は1997年から手掛け始めた分野ですが、当期に初めて粗利ベースで黒字転換となりました。
* 顧客業種別売上高では、金融が約20%伸びた一方、通信サービスは若干の減少となりました。

以上のように、売上高の伸びは業界平均(8〜9%)を上回りましたが、1998年の上場以来初めての経常減益となりました。
減益の主な要因は「大型開発プロジェクト失敗によるコスト増加」です。
同社は前期、全体で42件の丸抱え案件(全てを同社が任される案件で、リスクもあるが利益率は高い)があり、その内10件が1億円以上の大型案件で、売上高合計は約17億円、全開発売上の34%を占めました。

結果的に黒字となったプロジェクトは、
売上高占有率  75%
売上総利益合計 +2.9億円
売上総利益率  +23.4%
と高い利益率を確保することができましたが、 一方で赤字プロジェクトは、
売上高占有率  25%
売上総利益合計 −2.4億円
売上総利益率  −59.5%
と、売上は3分の1にもかかわらず黒字分をほぼ相殺してしまう形となりました。


赤字となった原因としては以下の2点があげられます。

  1. 上流工程におけるコンサルティングが不十分:顧客の要求を十分に吸収できなかった。
  2. 進捗状況管理の非効率:開発工程、社内・外注の人材資源活用の非効率

これらの課題に対する対応は、当然同社では従来から行っていることではありますが、まだ十分ではなかったという点を反省材料としています。
また、「製品品質要求の拡大」、「コストダウン要求」といったマーケットニーズの変化に対応することも重要な問題と認識しています。

そこで同社では今期の課題を「標準化と品質管理」と掲げ、具体的には「コンサルティング強化」、「プロジェクト管理の強化」、「品質管理強化」、「開発競争力の向上」を進めていき、システム開発事業において「売上高 48.5億円(+11.2%)、売上総利益率20.2%(+9.0%)」を目標としています。

具体的には以下のような動きを進めています。
「コンサル・プロジェクト管理の強化」

  • 昨年10月に子会社化したスペースリンク社のシステム開発支援ツールを活用し、人材資源の有効利用と開発工程数を20〜30%削減することを目指します。
  • 今年4月からプライド社を子会社化しました。同社はコンサルティング、教育に実績があり、これによってプロジェクト失敗の回避と顧客満足度の向上を図ります。

「品質管理・開発競争力の強化」

  • ISO9001を取得。製品信頼性の向上と顧客満足度の向上に努めています。
  • 中国武漢市のソフトウエア開発企業と開発業務基本契約を結んでいます。コストの安い海外外注の有効活用と開発工程数の削減が狙いで、現コストの約50%となります。品質、納期に関しても合格点ということです。


2003年3月期見通しについて

<連結:単位百万円、カッコ内は前年比>
売上高
12,393
(+11.8%)
営業利益
893
(+62.7%)
経常利益
869
(+59.1%)
当期純利益
479
(+75.8%)

業務別には、売上構成でソフトウェア開発、運営管理で各々45%前後を占め、それぞれ前年比10%強の伸びを予想しています。
システム開発に関しては、引き続き金融機関の統合、統合後の次のステップなど案件ベースは豊富であり、こうした案件をしっかりと受託しつつ上記の対応によって利益率を高めます。
運営管理は手掛ける会社が少なくなっているので、積極的に受注していきます。

同社では従来子会社の開示は行っていませんでしたが、子会社数も4社になったということで前期から開示を始めました。
4社で売上合計約12億円と寄与は小さいものの、SD(ソフトウェア・ディベロプメント)、アイディネット、スペースリンクとも増収・増益を予想しています。
アイディネットに関しては、モバイル事業を手掛けていましたがマーケットの立ち上がりが予想よりも遅いとの判断から撤退し、コールセンターによるテレマーケティング事業に注力することとしました。プライド社は今期からの連結ということで収支トントンの予想です。
今期計画達成にあたってのリスクとしては以下のような点を認識しています。
<内部リスク>
・ 大型プロジェクトの受注動向と確実なプロジェクト管理
・ 新規事業(テレマーケティング)受注動向
<外部リスク>
・ コスト競争の激化(値下げ要求)
・ 大型開発案件の凍結

また、中期経営計画の「2004年3月期 売上 150億円、経常利益率 10%、ROE 15%」を数値目標とした効率的な経営を実現するために「コーポレート・ガバナンス委員会」を設置しました。
財務、顧客、社員の視点から現状を把握し、業績悪化の回避、サービス品質の維持、勤務時間の短縮、職場でのストレス・ストレス性疲労の回復などを進めていきます。

 

中期経営計画について

同社では上記のように中期経営計画において

2004年3月期連結
売上
150億円
経常利益率
10%
ROE
 15%

を掲げており、そのための戦略として以下の4点をあげています。

  • マーケット開発:BOO(ビジネス・オペレーション・アウトソーシング)ソリューションをベースとする営業戦略により、新規顧客及び新規顧客セグメントの開拓を狙う。
  • 新規事業展開:中長期的なビジネス展開をフォーカスし、将来の当社の利益母体の立案及び、確立を狙う。
  • マーケット浸透:既存顧客業務に対してさらなるBOOソリューションを提供することにより既存顧客に対して業務拡大を狙う。
  • 新技術開発:顧客の要求に対して十分なソリューションを提供するため、新技術の調査及び、新技術力の強化を行う。


それぞれに大事な戦略ですが、上記の数値目標を達成するための最大のポイントは、新規顧客の開拓と同社がBOOと呼んでいる「川上から川下までの一括アウトソーシング受託」をいかに拡大するかにあります。
顧客が同社のどの事業部との取引があるかを調べてみると、
一つの事業部のみと取引  146社(全体の78%。内、新規顧客 29社)
複数の事業部と取引     41社(全体の22%。内、新規顧客  2社)
と、顧客数では単独の事業部との取引に終っている会社の方が多いのですが、売上の構成比を見ると、
一つの事業部のみと取引による売上割合  27%
複数の事業部と取引による売上割合     73%
と完全に逆転しています。

今後はこの146社(BOOターゲット顧客)をBOOに取り込んでいくことが大きな目標となります。(1社あたりの平均売上はBOOターゲット顧客が2000万円なのに対し、既存のBOO対象顧客の平均売上高は約2億円と10倍!)
146社のうち年間10%をBOOビジネスへと移行させれば約25〜30億円の売上増が見込まれ、2004年3月期の売上目標150億円の実現に大きく進展します。

これを実現するために、営業本部を創設し営業体制を整備・強化しました。
営業本部の役割としては、

  1. 新規顧客の開拓
  2. 営業戦略の構築(BOOアプローチ、営業ツール)
  3. 営業チャネルの開拓(IDグループチャネルの有効活用)
  4. 新規プロジェクト企画・営業サポート があげられます。


取材を終えて

同社は昨年11月の下方修正発表時点で前期の問題点の把握とその対応を進めており、新たにコンサルティング強化のためのプライド社の子会社化を行うなど機動的な対応を行っています。また、BOOに関する顧客分析も、大変興味深い結果となっています。 今上期は業界全体でもプロジェクト案件の立ち上がりは緩慢なようですが、中期経営計画達成に向けた営業活動、案件受注の動向などを今後もフォローしていきたいと思います。

 
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