ブリッジレポート

(4955)アグロ カネショウ/櫛引 博敬社長
2002年8月16日(金)

アグロカネショウの中間決算説明会に出席しました。

平成14年12月期中間決算概要

まず古内常務が、決算概要を説明されました。
売上高 
4,728百万円
前年同期比
+ 1.6%
営業利益
443百万円
前年同期比
+ 5.6%
経常利益
457百万円
前年同期比
+ 9.7%
中間純利益 
255百万円
前年同期比
+18.0%

<売上高>
低価格の輸入野菜の増加もあり農家の経済状況は依然として厳しいようです。同社では農家直結による需要開拓を進めていますので、売上高は微増となっています。(期初予想は50億円)
品目別では、害虫防除剤がカネマイトフロアブルが計画以上、新剤の寄与などで増加し、病害防除剤バスアミドの不振をカバーしています。 現在同社では74品目を取り扱っていますが、内28品目が期初計画を上回っています。 昨年が70品目中18品目でしたから、「農家の状況を把握して需要を積み上げる」売上予測が昨年よりも精度を高めているということです。


櫛引博敬社長

<利益>
研究開発費の負担が一部、上期から下期へずれ込んだため上期は利益が計画を上回りましたが、通期での見通しは変えていません。 人件費、その他経費は節減効果もありマイナスとなっています。

<通期予想>
売上高
7,800百万円
前年同期比
+ 0.9%
営業利益
40百万円
前年同期比
−83.5%
経常利益
80百万円
前年同期比
−71.3%
中間純利益
10百万円
前年同期比
−84.1%

下期は予想利益を上回るよう一層努力していくとのことでした。
また、配当に関しては、研究開発を長年にわたって行なっていく必要があり、リスクを考えれば自己資本で開発投資を行う必要があるため、利益に伴って配当を上下させることは好ましくないと考えています。現在の1株20円の配当を可能な限りつづけていく方針です。

 

新剤の開発状況

続いて研究開発本部の井上取締役本部長が、新剤の開発状況と生物農薬についてお話されました。

通常、1つの新剤開発には15億円、8年というお金と時間が必要です。
同社の場合、現在2つの新剤を開発中であり、開発費負担としては昨年、今年が最も重くなっているが、来年以降はピークを越して、軽くなってくるとのことです。

期待される2つの新製品は以下のとおりです。
<新規大型線虫剤「AKD―3088粒剤」>
カネマイトフロアブルに次ぐ自社開発の大型剤。
約15億円をかけ、平成10年より登録のための試験を開始。順調に行けば平成16年申請、18年登録・発売。
線虫剤150億円のマーケットで20億円の売上を目指す。

<新タイプダニ剤「AKD−1102」>
果樹、園芸用のダニ剤で、ダニの抵抗性がつきにくく商品寿命が長い。
平成18年申請、20年登録・発売へ。
ダニ剤マーケット130億円で20億円を見込む。

これらは規模も大きいのに加え、収益性も高いということです。現状は、開発費負担で営業利益率は昨年3.4%、今年0.7%と低水準ですが、この2剤によって最低8%の利益率を達成したいと考えています。

 

生物農薬強化のため三井物産と合弁で「セルティスジャパン株式会社」を設立

今年7月、三井物産と合弁で生物農薬専業の「セルティスジャパン株式会社」を設立しました。
代表者は櫛引社長。両社50%づつの出資です。

<生物農薬とは?>
文字通り、生物由来の農薬です。以下のようなものがベースになります。
・微生物(かび、バクテリア): ナットウ菌などのような良いバクテリアを利用
・ フェロモン: 害虫のメスのフェロモンを果樹園に散布。オスは寄ってくるがメスを見つけられずに交尾できない=卵が生まれない→幼虫の食害による被害が出ない
・ 天敵昆虫: 害虫のアブラムシを食べるテントウムシのような益虫を利用
・ 植物抽出物: 蚊取り線香に使われる除虫菊などを利用したもの
同社では20年程前からバクテリア由来のBT剤というものを販売しています。これは「蝶、蛾の幼虫にのみ効果があり、その他の動植物には影響がないものです。

<生物農薬強化の狙い>
現在、世界的に「化学農薬、生物農薬双方をうまく組み合わせて使う」総合病害虫防除という考え方が浸透してきたことと、有機農作物指向の高まりで生物農薬の果たす役割が増加してきています。
また、従来に比べ生物農薬が使いやすくなってきたこと、価格が低下してきたことに加え、効果を化学農薬と比較すると以前は100:50だったのが、100:70〜80へと向上してきたことも生物農薬に注目が集まっている大きな要因だそうです。

<「セルティスジャパン」の優位性>
1つは、生物農薬専業のセルティスUSAを三井物産が買収。
また欧州にもセルティス社があり様々な生物農薬を世界中から供給することができます。 もう1つは、生物農薬は使いやすくなったといっても、効果をあげるためには使い方を農家にしっかりと教えてあげる必要があります。その点で、同社は「顧客=農家」という点を強く認識して、「どこまでも農家とともに」を信条とし、TCA(テクニカル&コマーシャル アドバイザー)という担当者が、農家と密着したコミュニケーションをとっており、生物農薬のマーケティングにおいて有利なポジションにあります。

<主な取り扱い製品>
BT剤:微生物を利用した害虫防除剤
微生物を利用した病害防除剤
植物由来の病害防除剤

<市場規模>
  
農薬全体
内、果樹・野菜
国内
3500億円
1500億円
全世界
3兆円
1兆円

現在の生物農薬の園芸農薬(果樹・野菜)に対するシェアは国内2%、30億円。全世界 5%、500億円だそうですが、有効性が認識されていく中でかなり速いスピードで国内10%、150億円。全世界 15%、1500億円へと拡大すると見込んでいます。 同社では、この新市場を開拓して、投資家、株主の期待に応えていきたいと考えています。

 

取材を終えて

足元の業績は同社を取り巻く環境が良好ではなく、また研究開発費負担が大きいため低水準を余儀なくされています。
しかし一方で、櫛引社長は中国野菜の問題がマスコミで大きく取り上げられ、日本の野菜の安全性および、生産に必要な日本の農薬の必要性に関する理解が深まったのではないかと考えています。また、2つの新剤、生物農薬など中期的な好材料もでてきました。
今後もこれらの動向をフォローしていきたいと思います。

 
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