ブリッジレポート
(4773)

ブリッジレポート:(4773)エー・アンド・アイ システム vol.2

(4773)エー・アンド・アイ システム/ 岡 良貴社長
2002年9月19日(木)

岡 良貴社長


箱崎にあるエー・アンド・アイ・システムを訪問しました。
岡社長にお話を伺いました。

三菱商事が20%の株式を取得

今年8月に三菱商事が、同社の株主である日本IBMと富士ソフトABCからそれぞれ10%ずつ合計20%を譲り受け、筆頭株主となりました。
今回の出資は、三菱商事の戦略的IT子会社のアイ・ティ・フロンティア(以下、ITF)とA&Iとの包括的な業務提携を背景としています。

 


その内容としては、金融、公共、サービス業を中心としたソリューション・サービス事業におけるコンサルティング、設計、開発、運用、保守、アウトソーシングの情報システム構築の全工程、ならびに製品販売・マーケティングまで多岐にわたります。

ITF社は三菱商事と日本IBMが、2001年4月にITビジネスを戦略的に展開する為に共同で設立した会社であり、今回の出資以前から両社は緊密なビジネス関係にありました。(ITF社出資比率:三菱商事80%、日本IBM20%)
三菱商事のITに関する案件はほとんど全てITF社が受け皿となっていました。今回締結した包括的な業務提携により、互いに強みを共有し、A&Iは得意とする分野の金融、公共、サービス業などについて同社の優秀なSEが仕事を引き受ける形です。また、事業拡大の目標達成に向け、協業推進機能を担う人材の派遣を三菱商事に要請しました。
この複合的な事業拡大のシナジー効果により、ITF社向けのビジネスを2002年度10億円、2003年度20億円、2004年度30億円へと拡大していくことを目指しています。


今回の業務提携の枠組み


提携の狙い

今回の出資、提携はA&Iの岡社長が主導となって仕掛けたものであり、その狙いは以下の通りです。

営業力の強化
同社の2002年3月期の売上高は97.5億円。このうち、日本IBMからの紹介案件の占める割合は約32%です。今後は金融、公共、サービス業などで独自営業による顧客開拓にも力を入れるのと同時に、総合商社である三菱商事の営業力を活用することによって、自社、日本IBM、三菱商事でそれぞれ売上の3分の1を確保する体制を目指します。そうすれば年間売上200~300億円までの安定した成長を図ることができる経営基盤を確立したと考えています。

東証上場へ
同社は東証2部、1部へのステップアップを目指しています。その中で、問題となっていたのが、「売上3分の1、出資比率24%、社長が日本IBM出身」という日本IBM(非上場)への依存度でした。
これが今回の三菱商事の出資によって日本IBMの出資比率は13.7%に低下。ナスダックジャパンの撤退もあり、来年中の東証2部上場を目指しています。

 

訪問を終えて

今回の資本・業務提携は、「Win-Win」の関係作りのための資本政策で、営業力およびマーケティング力の強化を通じた同社の規模拡大に向けて、非常に大きなイベントであり、これによって同社の事業基盤は一層強化されたと、岡社長は考えています。
加えて、「優秀なSEを自前で育成してきたこと」と「高品質のサービスを顧客に提供してきたこと」が三菱商事に評価された結果ともおっしゃっていました。

3社の有力企業をバックにしたことで、同社としては事業の継続性を確保し、より一層優秀な技術者育成に注力することができる環境が整いました。
今回の提携がどういう形で業績に反映してくるかなどを含めて、引き続き注目していきたいと思います。