ブリッジレポート
(9374)

ブリッジレポート:(9374)軽貨急配 vol.2

(9374)軽貨急配/ 西原 克敏社長
2002年11月19日(火)

軽貨急配の中間決算説明会に出席しました。

2003年3月期中間決算概要

まず、谷中経理部長が中間決算概要について説明されました。

<連結>
売上高
18,181百万円
前年同期比
+22.5%
営業利益
478百万円
前年同期比
+56.2%
経常利益
578百万円
前年同期比
+60.6%
中間純利益
347百万円
前年同期
-73百万円

西原 克敏社長
   


大幅な増収・増益となりました。
コストが低く規格外貨物の配送といった従来からのサービスのほかに、今期から開始した軽貨物積合せ小口配送便「軽貨急配 B2B EXPRESS」が好調なスタートとなり、貨物軽自動車を利用したアウトソーシングの提案営業や物流会社との業務提携など、積極的な事業展開による大量の受託業務を獲得することができました。
また、前期買収した子会社「軽貨急配シーエス」(旧:フットワークデリバリーサービス)は、営業支援策が効を奏し当中間期での黒字化に成功しました。(2002年2月から単月黒字)

売上高
1,745百万円
前年同期
1,214百万円
営業利益
220百万円
前年同期
-300百万円
経常利益
214百万円
前年同期
-302百万円
中間純利益
213百万円
前年同期
-309百万円

<セグメント別動向>
「運送事業」貨物運送受託業務
当期より「新中期経営計画」をスタートさせ、前述の「軽貨急配 B2B EXPRESS」は売上計画の200百万円を上回る432百万円となり、既存の1社専属型の運送事業も+6.1%となり全体で+10%の12,179百万円の売上高となりました。粗利率は4.0%減の19.2%となりました。これは、契約ドライバーの確保に苦慮している業務提携先への運送売上保証の支出などが要因です。

「開発事業」委託事業主開発業務
新規委託事業主の確保に努めました。また、当事業の一部を他社にアウトソーシングする「軽貨物運送開業支援事業」による同社独自車両の大口販売を実施した結果、売上高は+58.9%の6,002百万円と大幅に伸びました。
この結果、開発事業の売上高構成比が前年同期の25.4%から33.0%へ大幅に上昇しています。

収益性をみると、運送事業の原価率が上昇したため、売上原価率が65.1%から65.4%へ0.3ポイント上昇しましたが、販売管理費は32.8%から31.9%へ0.9ポイント低下し、結果として営業利益率は2.1%から2.6%へ0.5ポイント改善しました。

<連結通期見通し>
売上高
34,314百万円
前年同期比
+ 6.5%
営業利益
1,687百万円
前年同期比
-24.9%
経常利益
1,786百万円
前年同期比
-23.9%
中間純利益
1,193百万円
前年同期比
+13.3%

運送事業においては、「軽貨急配 B2B EXPRESS」の通期予算を当初の200百万円から1,336百万円に上方修正し、さらにM&Aなどによる全国の積み合わせ会社の確保と運送業務の外部委託による効率的な運営を行います。提携企業への委託については、ドライバーの確保や稼働率の向上など同社が全面的に協力し早急な改善を図り、粗利率は約5%の上昇を見込みます。

開発事業では、長期未収入金や破産構成債券残高の抑制及び回収策として、債務者から貨物自動車の販売の委託を受け、新規開業者に販売し、その販売代金を債権に充当・回収を図る「委託販売方式」を実施するなどして、今後の債権残高ならびに貸倒れ引当繰入額の減少を図る考えです。

 

今後の戦略

続いて西原社長が今後の戦略についてお話されました。

1. 新・中期経営計画の概要
前回のレポートでも触れましたが、第2ステージの成長を目指し、新・中期経営計画(2003年3月期~2005年3月期)を策定しています。その柱は「次世代型ダブル・アウトソーシングへの進化」です。
これは、自社が直接行うダブル・アウトソーシングに加え、各種の形態で業務提携を行った委託先企業を絡めてダブル・アウトソーシングを複合的に展開することにより、「利用の経営を」更に拡大することを目指すというものです。
具体的な戦略としては、「マーケットの拡大」と「事業基盤の再構築」をあげています。

①マーケットの拡大
低コスト・スピード配送を武器に、小口積合わせ輸送分野(B2B)へ進出します。
従来の専属契約を結んでいる特定の顧客企業向けのマーケット規模は約6200億円超。
これに対し、不特定多数の企業向け軽貨物積合わせ小口配送事業の市場規模は、約2-3兆円と見られ、対象マーケットは4-5倍と大幅に拡大します。

②事業基盤の再構築
マーケットの拡大に対応し、大量の小口貨物をより低リスクで対応できる新たな事業基盤を構築します。 具体的には2つのアクションを進めていきます。
  (1)企業との業務提携の推進
同社が提供する包括物流に対するニーズは企業の効率化、生産性向上の観点から益々増加傾向にあります。 また上記のB2Bへの進出で、取り扱い貨物は飛躍的に増加することが予想されます。 そこで、中堅以上クラスの運送会社を対象として、提携企業による「業務委託ネットワーク」の構築を図っていきます。
  (2)開業支援事業
一方で、地域の中小運送会社向けの「開業支援事業」を推進することにより、各地域での業務委託先を確保します。 これはサブコントラクターを利用した新しい「ダブル・アウトソーシング」の事業システムです。

以上のような中期経営計画の下、以下のような数値計画を立てています。

単位:100万円
2002年3月
2003年3月
2004年3月
2005年3月
売上高
32,208
34,314
42,005
50,655
営業利益
2,245
1,687
2,525
3,715
経常利益
2,346
1,786
2,625
3,814
当期純利益
1,053
1,193
1,633
2,112

2.「次世代型ダブルアウトソーシングシステム」の概要
「ダブル・アウトソーシング」の事業システムを委託事業会社(サブコントラクター)に提供する事業形態を開発しました。地域に根ざした運送業務を行っている企業などを対象に業務提携を結び、同社が開発した事業ノウハウを提供します。
各エリアで受託した包括的物流業務をサブコントラクターに委託。サブコントラクターは自社の契約ドライバーを活用して業務を行います。

3.「企業との業務提携」の状況
益々増加傾向にある同社への包括物流ニーズに対応する業務提携ネットワークに関しては、長距離輸送で西濃運輸、小口配送でダットジャパンのほか、2002年6月に首都圏に於ける大量小口貨物の物流拠点の確保を目的に日本橋倉庫と業務提携を締結しました。

4.「B2B EXPRESS」の進捗状況
今年5月の営業開始以来、エリアは東京23区と神奈川、大阪となっています。
既存顧客の移行に加え大口通販顧客の獲得に成功し、5月から9月の5ヶ月間で売上高は432百万円で当期売上予想は1,336百万円です。(前述のように当初予算200百万円から上方修正)
配送センターは8ヶ所で、全てが稼動ているわけではありませんが、1日平均の取り扱い個数は約1万個となっています。(10月)
来期60億円を達成する為に、月2500万円の新規獲得を中心に月売上3-4億円に乗せるべく積極的に営業しています。

5.長期未収入金、破産更生債権について
長期的な不況、家計収入の悪化で、個人オペレーターのリース支払の延滞が増加し、貸倒れ引当金繰入額は890百万円と、前年同期比で739百万円と大幅な増加となっています。これに対して、以下のような対策を進めていきます。

  • 発生の抑制
    一定の延滞した債務者から車両を中古車として販売斡旋し、債務に充当
  • 事業主保護
    債務者には独立請負人として軽作業や契約ドライバーとして業務請負を委託
  • 開業負担の軽減
    新規開業者には格安の中古車の提供

6.今後のM&A計画・実績
前述のように、軽貨急配シーエスは上期に黒字転換しました。 今後の展開として、貨物軽自動車運送を主体とする企業成長の一環としてM&Aにも注力していく考えです。

 

取材を終えて

「B2B EXPRESS」は予想以上に好調な伸びを示しています。
一方で、従来型の一社専属運送は、積み合わせに比べコストが高くなって伸び率が鈍化しています。下期は「B2B」の更なる拡大に注力するとともに、従来型の収益性向上にも取り組んでいきます。
不況により貸倒れが増加するなど、厳しい環境のようですが、来期60億円目標としている「B2B EXPRESS」の進捗状況を中心に引き続きフォローアップしていきたいと思います。