ブリッジレポート
(1754)

ブリッジレポート:(1754)東新住建 vol.3

(1754)東新住建/ 深川 堅治社長
2003年5月9日(金)

東新住建のモデルハウスを見学しました。
同社は事業セグメントとして、「分譲住宅事業」、「注文住宅事業」、「賃貸住宅事業」があります。


深川 堅治社長


今回は、「実際の作品である住宅を見てもらうことで、当社をより理解してもらいたい」という同社のご提案で、「注文住宅事業」において同社の特徴のある2種類の注文住宅を見学させていただきました。
経営企画課の栃井さんに2つの住宅展示場を案内してもらいました。

 

東新住建の注文住宅事業

様々な敷地条件、家族構成、ライフスタイルにフレキシブルな設計で対応しています。 木のぬくもり、やすらぎを活かして、人にも優しい快適で健康的な「バリアフリー」住宅の発想も取り入れて、設計、施工を行っています。

 

高耐久・長寿命住宅「リッチ・ダグラス」

まず名古屋市西区にあるワンダーシティー展示場で自由設計本格木造注文住宅の「リッチ・ダグラス」を拝見しました。

北米針葉樹の中で最強と言われているダグラスファーという木材があります。

  • その強度から、アメリカでは住宅に限らず、橋やドーム、鉄道、ハイウェーなどに幅広く使われています。シアトルの2万2千人収容の多目的ドーム「タコマドーム」の天井にも使用されておりその絶対的な信頼性が伺われます。
  • 愛知県稲沢市にある同社本社にもダグラスファーが使われています。1,000㎡の敷地に200人を超える社員が働く規模のもので、ダグラスファーの強さを実証しています。随所に木目が見られるなど、木のぬくもりを強く感じさせる、他社には見られない本社屋です。
  • 元来、木材は剛性において鉄の3倍、コンクリートの12倍という強さを持っており、中でもダグラスファーは、日本で最も高級な建築材である檜をも上回っています。

同社では人が安心して長く住むためには、丈夫であることが第一と考え、本物の100年住宅を目指しています。そのために、この最強のダグラスファーを用いた上に、「耐震」、「耐火」、「台風・衝撃」の安全性に優れた「ツーバイ」工法によって建てられるのが「クラスダグラス」、「リッチダグラス」であり、従来の日本の家屋にはない強度を誇る住宅が出来上がったのです。

*ツーバイ工法とは?
19世紀の北米で、建築技術者や木材が不足している中、限られた木材で合理的になおかつ過酷な自然から身を守るために編み出された工法です。
日本には明治時代に渡ってきました。札幌の時計台はその代表で、100年を超えて北海道の厳しい環境に耐えてきたことからも、日本でもその性能が実証されているといえます。
ツーバイ工法のうち、一般的なものがツーバイフォー工法であり、基本構造部に使用される木材が縦・横が2インチ×4インチです。また、耐久性に富んでいることを同社実験で確認されている、2インチ×6インチの木材を使用したツーバイシックス工法を、「クラスダグラス」、「リッチ・ダグラス」に採用しています。

「リッチダグラス:Rich Douglass」は、R(曲線)と直線の組み合わせのデザインが特徴です。
「Rを感じる家」というコンセプトの通り、
・ Relax :やすらぎ
・ Refresh :爽快
・ Realize :達成
・ Right :上流
・ Rich :満足
・ Recommend :魅力
・ Relief :安心

が、キーワードになっています。
住宅展示場には他のメーカーの住宅も多く並んでいますが、写真にあるように、明るく南欧・地中海をイメージした色合いの屋根材・外壁、優しいアールのデザインは、他とはまるで違った住宅ということを強く印象付けます。
個性的、特徴的な家作りを目指している同社ならではの住宅といえるでしょう。


リッチダグラス:外観

リッチダグラス:リビング

平均坪単価は60-80万円ということですが、そのデザイン性から比較的若い年齢層に受けているということで、私達が訪れた際にも20代後半から30代前半というカップルが、熱心に見学をしていました。

 

B.B.Dのある家・「樹流」

続いて、海部郡蟹江町の蟹江展示場で、「B.B.Dのある家・樹流(きりゅう)」という注文住宅を見学しました。
この「樹流」開発にたずさわった、稲吉部長にお話を伺うことができました。

展示場内を歩いていくと先程と同じように、他社のモデルルームとは全く異なった印象、デザインの家が現れます。


「樹流」外観

会社設立以来「木」にこだわってきた同社らしさがはっきりと表現されています。 中に入ってみて、まず目を引くのが、建物の中央部分にある外壁に囲まれた、1坪ほどの空間です。
稲吉部長に案内されてこの空間の中に立ってみると、四方から心地よい風が通り抜けました。これが「B.B.D.:Bio Breath Duct」です。


BBD概観

B.B.D.とは?
家中の空気を新鮮にしてくれる大きな筒と考えればいいでしょう。下の図のように、床下・室内に取り入れた空気をエネルギーを使わずに自然通気できます。このゼロエネルギー自然通気システムは、特許も取得しました。


BBDの仕組み

1.B.B.D.の上空を風が通り抜ける
2.負圧効果でB.B.D.内の空気が吸い出される
3.床下に空気が吸い込まれる
4.家中の空気がゆるやかに吸い込まれる

・ 窓を開ければ空気がサッと入れ替わります。
・ 窓を閉めていても、B.B.D.サッシを通しておだやかに空気が入れ替わります。

樹流の通気システム
*小屋裏換気システム
小屋裏の熱気や湿気を排出し結露やカビを防ぎ、耐久性向上と共に省エネに貢献します。

*軒先換気システム
小屋裏換気システムの一環。軒先に換気口を設け、通風を確保。

*壁体内通気システム
壁体内や床下は見えないところですが、 湿気がたまりやすく耐久性を大きく左右します。通気胴縁を採用し、 壁体内の通気道を創出します

*基礎パッキン通気システム
外周部の土台下部に基礎パッキンを設置。B.B.D.の上昇気流効果によって、ここから風が吸い込まれますから、床下の通気ムラや湿気のこもりがありません。

*床下換気ガラリ
形状記憶合金付のルーバーが、寒い時(3℃)自動的に全閉し、暖かい時には自動的 に開放され15℃で全開し、床下の通気を行います。細かな網目が虫の侵入も防ぎます。

樹流の特徴
樹流の特徴、機能としては以下のような点があげられます。
1. 日本の気候に合った通気システム
高温多湿の日本において、長い梅雨、蒸し暑い夏を快適に過ごすためだけでなく、湿気によるダニやカビの繁殖・家屋の腐食を防いで家を長持ちさせるとともに、「シックハウス症候群」の原因である家具等の工業製品から発生する化学物質から人間の健康を守るためにも、通気は絶対的に必要です。
人も家も健康になれるのが樹流のB.B.D.です。

2.耐久性に富んだ構造
5寸角の柱を四隅に使った頑丈なB.B.D.は、日本古来の家屋に不可欠な「大黒柱」の役割を果たしています。
そこから太い梁を伸ばして家の四隅としっかり結合させています。
結合のための金具も同社独自のプレカッチ金具を使用することで通常の5倍の強度を実現しています。
基本構造自体に十分な強度があるため、中の間取りは住む人の希望に合わせた設定ができ、「仕切りなしのワンフロアー」も可能です。

3.明るい光の溢れる家で家族の絆を強める
どんな立地条件でも採光がしっかりと確保でき、四季折々の自然を家の中に居ながら感じることができます。
樹流に住んでいる方はB.B.D.を使って、「日曜大工」、「ガーデニング」、「バーベキュー」、「ホームパーティー」などを、それぞれ思い思いに楽しんでいらっしゃるそうです。

また、B.B.D.の窓を通じて、いつでも家族の気配がわかるのも樹流の特徴です。 特に子供部屋は閉鎖的にならないように階段の位置にもしっかり配慮してあります。
プライバシーは確保しながら決して孤独にならないよう、いつも安心していられる家というのが樹流の設計思想となっています。

この他に、床、壁などに天然素材を豊富に使用することで通気システムと合わせて「森の中に住む」のと同じ快適さを追求しています。
また、子供の成長、家族構成の変化に柔軟に対応して、間取りも外構・庭も自由に変化させることができるのも樹流の大きな特徴です。

1階から屋上まで案内していただきましたが、ムク材の床、和室の壁は珪藻土を使用など、天然素材を多く使用した大変温かみのある家であることを強く感じました。
接着剤もノンホルマリンのエコ素材を使用しています。

稲吉部長は樹流の設計にあたって、日本における家、家族のありかたをもう一度考え直すという所からスタートされたそうです。
日本の家は元来「開放的」で、家の内と外を自在につなぎながら四季を楽しみ、自然と仲良く共存するものでした。また、訪問する人との距離感や親密度によって迎え方を変えるといった工夫もできるものでした。
現在において、家族が一緒に過ごす時間が少なくなったり、昔のように近所付き合いが少なくなっているのは、現代日本の住宅の有り様にも大きな問題があると考え、近所の人達、家族同士が気持ちよく付き合える家を作りたいとの思いから様々なチャレンジを試み、その結果生み出されたのがこの樹流なのです。

 

取材を終えて

特徴ある2つの住宅を見学させていただいたことで、同社の商品企画力の高さを具体的に理解することができました。
注文住宅事業は売上構成比では4.4%(平成14年6月期)と、そう大きくはないのですが、「木のぬくもり、やすらぎ」、「長く住まうことのできる家」といった「リッチダグラス」や「樹流」の特徴は、分譲住宅や賃貸住宅といった他のセグメントにも共通した同社独自のコンセプト、ビジョンとなっています。
こうしたビジョンは、前回のレポートでも触れた2003年1月1日策定の環境方針において、具体的な取り組みとともに掲げられています。

同社のボリュームゾーンである分譲住宅事業、賃貸住宅事業の動向と共に、同社の代表的な商品となっていくことが期待されている2商品の今後をフォローアップしていきたいと思います。