ブリッジレポート
(4709)インフォメーション・ディベロプメント/尾崎 眞民社長
2003年11月18日(火)

インフォメーション・ディベロプメントの2004年3月期中間決算説明会に出席しました。
尾崎社長の挨拶に続いて、舩越専務が今上期の概況ならびに今後の取り組みについて説明されました。


尾崎社長と舩越専務


情報サービス産業業界情報

2002年の情報サービス産業の売上高は13兆9,731億円で前年比 +2.0%、従業員数は56万9,822人で同 +0.8%と、ほぼ横ばいとなり、業界成長力の鈍化が明らかになりました。
月次ベースの売上高を見ると、昨年後半から業界売上高は前年同月比マイナスとなっており、年度ベースでも今年度は前年を下回ることはほほ確定的のようです。

業務別の動向では、ソフトウェアプロダクト、計算事務等情報処理、データベースサービスなどは低調な動きとなっています。これに対し、同社の得意とするシステム運営など管理運営受託業務は前年比プラスで推移していますが、顧客からの値引き要請などでその伸び率は鈍化しています。
顧客別の売上は、官公庁・団体以外は前年割れのセクターが多く、厳しい状況となっています。

同業他社の前期および今上期の業績動向を見てみると、
 前期「売上増・収益性低下」
 今期「売上微増/横ばい・収益性改善」
といえるようです。
同社も連結売上高は −1.4%の微減収となりましたが、連結経常利益は+212.4%と大幅な増益となりました。

2004年3月期中間期決算概況

<連結>
 
実績
対前年同期比
売上高
5,418百万円
−1.4%
営業利益
260百万円
+206.2%
経常利益
266百万円
+212.4%
当期純利益
41百万円
+102.5%

<単独> 
 
実績
対前年同期比
売上高
4,881百万円
−1.4%
営業利益
231百万円
+86.0%
経常利益
247百万円
+102.1%
当期純利益
40百万円
+9.3%

連結、単独ともに「減収・増益」となりました。
厳しい環境の下、売上高は伸び悩みましたが、コスト管理が功を奏し収益性が改善しました。同社の場合、労働集約型なので売上高原価率が1%改善すれば8000万円の利益増となり、コスト管理が非常に重要です。

売上/利益増減要因
<売上高>
(+要因)
ネットワークセキュリティ需要の拡大
(−要因)
新規投資の抑制による新規案件獲得不足
低価格化(受注競争の激化)
企業再生に伴う株券移行業務需要の低下

<営業利益/経常利益>
(+要因)
パートナー(外注費)の効果的な活用
品質管理・生産管理の強化
経費の有効活用
  売上高原価率  80.8%(前年比 2.8%の改善)
販売管理費比率 14.4%(前年比 0.4%の改善)

<純利益>
(−要因)
開発案件の解約清算等の受託業務解約清算損

子会社の動向
「ソフトウェア・ディベロプメント」

増収・減益となりましたが、これは前期の利益水準が高かったためで、全体には堅調に推移しています。
「プライド」、「スペースリンク」
両社とも赤字幅が前年同期に比べ大幅に縮小しています。

BOO(Business Operations Outsourcing)の動向
同社は厳しい環境の中で売上を伸ばしていくために、現在は1つの業務しか提供していなし顧客企業に対し、他の複数の業務も提供して、トータルアウトソーシングを受託する「BOO」を営業戦略の核としています。
前2003年3月期においては、こうしたBOO顧客は以下のような状況となっています。

・ 顧客数 41社(全体の21%)
・ ターゲット 159社(全体の79%)
・ BOO顧客売上高 86.2億円(+6.2%)
・ 1社当たりBOO顧客売上高 2.1億円(+10.5%)

顧客数ではBOOは少数ですが、売上高に占めるシェアは8割となっています。

今上期は、純粋な新規案件は大手通信会社、広告調査会社、Sierの3件でした。BOO展開の案件も3件で、金融システム子会社、証券システム子会社、総合研究所子会社でした。
大手通信会社は来期以降の売上に大きく貢献すると期待しています。
また、BOO顧客の獲得目標は年間10件としています。

業態別売上実績

 
実績(百万円)
構成比(%)
前年構成比(%)
Tアウトソーシング
I 2,162
39.9
40.8
システム開発
2,094
38.7
35.8
BPO
883
16.3
18.9
コンサル&セキュリティ、他
279
5.1
4.6

システム開発、コンサル&セキュリティなどは構成比がアップしましたが、BPO、ITアウトソーシングは値引き要請が強く低下しました。

顧客業種別売上構成では、通信が構成比をアップし、反対に、金融、保険が低下しました。

 

2004年3月期通期業績見通し

<連結>
 
見通し
対前年同期比
売上高
11,833百万円
+1.4%
経常利益
748百万円
+26.4%
当期純利益
331百万円
+21.0%

<単独>
 
見通し
対前年同期比
売上高
10,707百万円
+2.2%
経常利益
699百万円
+18.0%
当期純利益
320百万円
+73.6%
  • 売上高については、引き続き値引き要請など厳しい環境ですが、最低でも昨年の水準に達するよう小さな案件を積み重ねていきます。
  • コスト管理の効果で、経常利益は増益へ。
  • 上期の特損をカバーして、最終利益でも大幅な増益を見込みます。2000年度の3億円の水準へもどります。

一昨年から導入してきた生産管理のルールが浸透し、効果が上がってきていると判断しています。下期に入った10月、11月も計画通りに推移しているということですが、同社の特徴として2月、3月のウェイトが高く、はっきりとした数字が見えてくるのは来年の1月となるようです。

子会社では、ソフトウェア・ディベロプメントは若干の減収・減益を見込んでいますが、プライド、スペースリンクの2社は通期で黒字転換する見通しです。

 

当社の課題&対策

同社は現在、「成長期から成熟期への転換期」にあり、以下のような課題と対策が必要と考えています。
なかでも専務が強調していたのが「人材の育成」でした。
ITスキルの習得と人的資源管理のための研修には積極的に投資を行い、次代を支える人材の確保に注力していきます。

「将来的な利益体制の確立」
 1. 生産管理&内部管理の強化(短期)
 2.バリューチェーンの再構築(中・長期、グローバル化)
 3.高付加価値業務へのシフト(中・長期)

「将来的なマーケットニーズへの対応」
 1. 低価格化要求の拡大
 2.高品質・信頼性の要求
 3.技術・マーケットシフトへの要求(例:汎用系から分散系)

具体的な取り組みとアウトプットは以下のようになっています。
<短期(取組済み)>
 *生産管理&内部管理の強化
   ・ 外注管理の徹底
   ・ プロジェクト管理の徹底
   ・ 労務管理の徹底(残業など)
   ・ 経費管理の徹底

 アウトプット
 売上高原価率:2.8%改善
  ・ 労務比率:1.2%改善
  ・ 外注比率:2.6%改善
  ・ 製造経費:0.7%改善

 販売管理比率:0.4%改善
   ・ 人件費率:0.1%改善
   ・ その他経費率:0.3%改善

<中/長期(取組中)>
  *バリューチェーンの再構築
    ・ 品質管理の強化(ISO基準の浸透)
    ・ 一部海外生産体制へのシフト
  *高付加価値業務シフト
    ・ PM(プロジェクトマネージャー)/上級エンジニア教育の充実
    ・ 分散系教育環境の整備 ・ セキュリティエンジニアの育成

 アウトプット
  コスト競争力の強化
   ・ 中国における生産体制の見直し(体制の再構築中)
  高品質/信頼性の改善
  ・ Pマークの取得
  ・ ISO9001に準じる開発案件拡大
  教育体制の充実
  ・ PMBOK取得への積極的展開
  ・ Unix/Linuxの教育環境の充実
  ・ ELSの有効活用

 

中期ビジネス戦略

来期以降については、厳しい受注競争が継続することが予想されますが、現在のコスト管理を続けて、利益を達成したいと考えています。 「売上高の成長」と「付加価値業務へのシフトによる収益性の改善」をめざし、今期以降の各期は以下のようなテーマを掲げています。

  1. ITトータルマネージメント「既存顧客への売上浸透」:2004年3月期
  2. 技術シフト「新規サービス売上増」:2005年3月期
  3. 顧客シフト「新規主要顧客売上増」:2006年3月期

同時に各期それぞれ「生産性の向上」、「技術力の強化」、「業務シフト」にも注力し、三段階で、更なる成長を目指していきます。

 

株主還元策について

同社の株主数は2003年9月末で2,243名。内、個人株主数は2,196名で3月末に比べ31名増加しました。同社ではコーポレートガバナンス体制を強化するとともに株主重視の経営を行っています。
業績動向にもよりますが、可能な範囲内でできる限り、安定配当と株式分割によって還元を行っていきたいと考えています。

 

取材を終えて

取り巻く環境は厳しいものの、以前から取り組んできたコスト管理、プロジェクト管理が浸透し、大幅な増益となりました。
通期見通しについては、決して楽観視していないようですが、小さい案件を積み重ねて売上目標を達成したいと専務はおっしゃっていました。
2004年2月の弊社主催ブリッジサロンに同社が出席します。 是非参加されて、船越専務のお話を直接伺ってみてはいかがでしょうか?

 
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