ブリッジレポート
(9374)

ブリッジレポート:(9374)軽貨急配 vol.4

(9374)軽貨急配/ 西原 克敏社長
2003年11月18日(火)

軽貨急配の中間決算説明会に出席しました。
西原社長が決算概要、今後の取り組みについてお話になりました。

 


西原 克敏社長


多様化するダブル・アウトソーシング

これまでのレポートでも紹介したように、同社は「トラックを持たない運送会社」として、顧客(荷主)から物流関連業務をアウトソーシングとして受託し、適切、効率的な運送スケジュールなどをプランニング。実際の配送を外部にアウトソーシングして顧客に対して物流関連業務請負サービスを提供します。
外部委託先として従来の委託事業主である「オーナー・オペレーター(個人事業主)」に加えて、「インディペンデント・コントラクター」、「サブ・コントラクター」といった提携先企業への委託も増加しており、ダブル・アウトソーシングの形態も多様化しています。

 

新・中期経営計画の概要

2003年3月期-2005年3月期の3年間にわたる「新・中期経営計画」を策定しています。

戦略1.マーケットの拡大
巨大なマーケットが予想される「B2B向け軽貨物積み合わせ小口配送事業」へ進出しました。単独の企業ではなく複数の企業の貨物を積み合わせて配送するものです。競合他社の約半額の料金設定と、よりスピーディーな対応「低コスト・スピード配送」を武器としています。
取り扱い貨物数の加速度的な増加に対応するためにダブル・アウトソーシング先として、従来の1社専属型の個人オーナー・オペレーターに加え、受託業務をアウトソーシングできる企業であるサブ・コントラクターのネットワーク化を進めています。

戦略2.事業基盤の再構築
特別積み合わせ業者等の買収や提携など「M&Aによる業務拡大」と、オーナー・オペレーターの長期未収債権の発生を低減するために、オーナー・オペレーターの新規開拓における審査の強化、開発事業の抑制を進めています。
オーナー・オペレーターの開発を抑制する一方で、事業拡大のために、サブ・コントラクター、インディペンデント・コントラクターの獲得に努めています。

<中期経営計画(連結)> 
(単位:100万円)
2003年3月期(実績)
2004年3月期(計画)
2005年3月期(計画)
売上高
36,111
43,391
50,655
運送事業
  売上高構成比(%)
25,379
70.3
33,371
76.9
41,387
81.7
開発事業
  売上高構成比(%)
10,732
29.7
10,019
23.1
9,268
18.3
営業利益
1,197
2,056
3,715
経常利益
1,257
2,006
3,814
当期純利益
541
1,163
2,112

 

同社の特長

創業時代である第1ステージまでの、同社の特長は以下の通りでした。

  • オーナー・オペレーターの利用
  • ダブル・アウトソーシング
  • 1社専属型非標準貨物の配送
  • 貨物軽自動車を利用

この形で売上300億円まで成長してきた同社は、現在の第2ステージにおいて、以下のような特長をプラスして業容の拡大を図り、売上500億円企業への成長を目指しています。

  • サブ・コントラクター、インディペンデント・コントラクターの利用
  • B2B向け小口積み合せ配送及び軽作業請負
  • 一般貨物自動車の使用

2004年3月期中間決算概要

<連結>
(単位:100万円)
 
実績
対前年同期比
売上高
19,265
+6.0%
営業利益
528
+10.3%
経常利益
544
-5.9%
中間純利益
351
+1.0%

セグメント別動向
*運送事業
売上高
14,021百万円
(前年同期比 +15.1%)
営業利益 
344百万円
(前年同期比 371百万円増加)

一般軽貨物部門、軽貨物積み合せ部門をはじめ、全般に好調に推移しました。 軽貨物積み合わせ部門は着実に成長しており、通期売上は前期比 +131.0%成長し、売上構成比で24.9%まで上昇する見込です。

<運送事業の部門別状況>
(単位:100万円)
 
金額
構成比
対前年同期比
一般軽貨物部門
8,693
62.0%
+12.0%
軽貨物積み合わせ部門
2,320
16.6%
+35.0%
運輸付帯サービス部門
1,421
10.1%
+19.9%
その他
1,585
11.3%
+4.9%
合計
14,021
100.0%
+15.1%
前述のように、オーナー・オペレーターに加え、サブ・コントラクター、インディペンデント・コントラクターへの委託範囲が拡大しています。

<委託先構成比(当中間期)>
委託先
委託件数構成比
前年同期の構成比
オーナー・オペレーター
72.6%
76.9%
サブ・コントラクター
7.6%
5.7%
インディペンデント・コントラクター
19.8%
17.4%
委託件数の対前年同期の伸びを見ると、サブ・コントラクターが75.5%の増加、インディペンデント・コントラクターが38.5%の増加、オーナー・オペレーターは12.2%の増加となっています。 配送手段についても、従来の軽トラックに加え、軽貨物積み合わせ部門の拡大に伴って、2tトラックの利用も進めています。

業務提携先サブ・コントラクターへの売上保証については、インディペンデント・コントラクターの確保が順調に進んだ結果、稼働率が中間期末時点でほぼフル稼働となり、売上保証の支出が軽減し、利益率がアップしました。


*開発事業

売上高
5,244百万円
(前年同期比 -12.6%)
営業利益
972百万円
(前年同期比 -23.0%)
オーナー・オペレーターの開発を抑止する一方、サブ・コントラクター向けの軽トラック300台が導入されました。長期未収債権の早期回収に努めた結果、貸倒引当金は5百万円(前年同期比 -99.4%)と大きく減少しました。

開発事業の最重要課題である長期未収債権の新規発生の抑制については、以下のように改善策を2003年8月から強化しています。

  • 契約時の与信審査強化
  • 委託事業主向けの経営相談室の人員増強
  • 軽自動車販売におけるクーリング・オフ制度の導入

今期中に改善傾向が顕著に表れると見込んでいます。

 

2004年3月期通期見通し

<連結>
(単位:100万円)
 
計画
対前期比
売上高
43,391
+20.2%
営業利益
2,056
+71.7%
経常利益
2,006
+59.5%
中間純利益
1,163
+114.9%

<セグメント別売上> 
(単位:100万円)
 
計画
対前期比
運送事業
33,371
+31.5%
開発事業
10,019
-6.6%
合計
43,391
+20.2%

<運送事業の部門別状況>
(単位:100万円)
 
計画
構成比
対前年同期比
一般軽貨物部門
18,150
54.4%
+12.9%
軽貨物積み合わせ部門
8,297
24.9%
+131.0%
運輸付帯サービス部門
3,801
11.4%
+41.6%
その他
3,122
9.3%
+3.1%
合計
33,371
100.0%
+31.5%
通期では大幅な増収増益を見込んでいます。 運送事業においては、オーナー・オペレーターの新規開発を抑制する一方、サブ・コントラクター、インディペンデント・コントラクターへの委託範囲を拡大します。 開発事業においては、与信強化、外部委託などにより長期未収債権の新規発生の抑制を強化します。

 

取材を終えて

軽貨物積み合わせ配送事業が順調に成長しており、また長期未収債権の発生も大幅な改善を見込んでおり、通期では大幅な増収・増益の見通しです。
中期経営計画を実現し、売上高500億円を目指す同社の動向を、今後もウォッチしていきたいと思います。

http://www.keikaexp.co.jp/