ブリッジレポート
(4773)

ブリッジレポート:(4773)エー・アンド・アイ システム vol.5

(4773)エー・アンド・アイ システム/ 岡 良貴社長
2003年12月3日(水)

エー・アンド・アイ システムの中間決算説明会に出席しました。
岡社長が決算概要、中期経営計画について説明されました。

 


岡 良貴社長

2004年3月期中間決算概要

<個別> 
(単位:億円)
 
実績
対前年同期比
売上高
52.6
+20.4%
償却前売上総利益
7.7
-17.1%
営業利益
0.5
-64.6%
経常利益
0.4
-68.3%
当期利益
0.4
-35.6%
売上高
ソリューション・サービスは、経営支援ツール「Kizuki」や人材派遣業ソリューションコア案件の増大、Web系システム構築案件の増大などで、34.1億円、前年同期比 13.1%の増加となりました。
システム開発は、金融、運輸・通信業界のシステム統合案件などの増大で、17.1億円、同 51.5%と大きく増加しました。
コンサルティングサービスは、ネットワーク構築関連コンサルティング案件の増大で、1.3億円、同 14.3%の増加となっています。
 
経常利益
ソリューション・サービスの償却前売上総利益は3.2億円で前年同期比 -49.9%となりました。大型SIの仕様変更、納期変更に伴うコスト増が影響しました。
システム開発の償却前売上総利益は4.3億円、同 +59.7%と大幅な増益でした。上記の統合案件の増大が寄与しました。
コンサルティングサービスの償却前売上総利益は、0.2億円と前年同期の0.1億円の赤字から黒字に転換しました。
経費面では、マーケティング力の拡充で一般管理費が0.5億円増加、教育費は新人SEを前年の73人から43人に減らしたため、0.7億円の減少、研究開発費が0.1億円増加などとなっています。
 
当期利益
投資有価証券の売却益が0.4億円ありました。

 

2004年3月期通期予想

<個別>
(単位:億円)
 
見通し
対前年同期比
売上高
118.0
+15.9%
償却前売上総利益
21.1
- 4.5%
営業利益
5.5
-14.1%
経常利益
5.3
-15.9%
当期利益
2.9
+61.1%

各種案件の増大で増収を見込んでいます。
高利益率のソリューション「Kizuki」案件の増大がありますが、大型SIの仕様変更、コスト増などが響き、経常利益は減益の見通しです。
投資有価証券評価損の一巡、役員退職慰労金負担の解消などで、当期利益は大幅な増益となる見通しです。

 

今期のトピックス

外国為替証拠金取引のIT基盤構築および運用
2003年4月にインターネットでの外国為替取引を支援する「株式会社マネースクウェア・ジャパン」と共同で、個人向け外国為替証拠金取引システムの構築・運用事業を開始することで業務提携しました。
マネースクウェア・ジャパン社は、大手都銀や信託、生保などの金融機関向けのシステム構築や運用の実績がある同社のIDC(インターネット・データセンター)へ外国為替証拠金取引システム「iFX Style」の運用をアウトソーシングすることで、投資家に対して安定してサービスを提供することができるようになりました。また、現在のB to Cシステムから、今後はB to B to Cシステムにも対応予定であり、さらに充実した投資商品の市場環境を実現することが可能になりました。

Web-SI開発方法論の確立
国際規格に対応した開発ツール、開発基盤を用い、独自の開発手法の社内標準化を推進していきます。 開発ツールに関しては、2003年6月に「日本ラショナルソフトウエア株式会社」と、開発基盤に関しては2003年10月に「株式会社NTTデータ イントラマート」とパートナーシップ契約を結びました。
これによって、上流設計プロセスから実装、構成管理、下流・試験評価プロセスまで一貫したソリューションの提供が強化されるとともに、プログラムの部品化および再利用により、開発生産性の向上、品質の向上を実現し、顧客ニーズを満たした業務システムを低価格、短納期で提供することができるようになります。

ISMS適合性評価制度の認証を取得
2003年11月13日付で喜多方インターネット・プロダクション・センターにおける、IDC、ASP、ISPの3事業に関して、情報セキュリティの国際規格に準拠した「情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度」の認証を取得しました。
顧客情報の漏洩、コンピュータウィルスによる情報破壊などが問題となっている中、今後もハイレベルの情報セキュリティマネジメント体制の確立を進めていく考えです。

Web帳票関連ソリューションの推進
2003年12月に、「株式会社プリズム」と業務提携し、インターネットでの帳票配信、出力・印刷管理、および帳票作成における高生産性を実現する次世代Web帳票出力アプリケーションの製品開発へ参画しました。
このアライアンスに基づき、製品・サービスの開発、技術交流、マーケティングなどを通じて、市場ニーズに迅速に対応するWeb業務ソリューションの展開を推進。Web帳票、出力アプリケーションをメニューに加え、顧客ニーズを踏まえた業務革新ソリューションによって、SI事業を拡充していきます。
初年度5億円、次年度7億円の売上を計画しています。

 

中期経営計画

ビジョン
2000年-2009年を「成長期」と位置付け、「事業、人材および経営の構造改革を推進し、中期的に経常利益率10%超を継続的に達成する」ことをビジョンとしています。 2006年3月期には、以下のような数値目標の実現を目指しています。

売上高
135億円
経常利益
13億円
EPS
100円
想定株価(想定PER20倍)
2000円
想定時価総額
150億円

続く2010年以降は「成熟期」として、『対話と「気づき」を通じた自律的行動により事業を創造し、長期的に経常利益率15%を達成する』ことを目標としています。

戦略
*全社戦略
技術:IBM技術圏
  世界的なITリーダーであるIBM技術圏でサービスを展開していきます。
営業
  金融、サービス、官公庁をメインターゲットに各種ソリューションを提供していきます。
経営
  一流事業会社とのシナジー効果による営業力拡充を目指した資本政策を進めます。

*事業戦略
1. 「コンサルティングから運用・保守までの一貫したソリューションの提供」
2. 「ストックビジネスへの展開:基盤構築技術を基にしたIDC事業」
コンサルティングから入り、設計、開発・構築、導入まで全工程をカバーし、最後はハウジングサービスでアウトソーシングを行います。 高付加価値ソリューションを提供し、SIerとしての保守本流を歩みます。

構造改革

3つの分野で構造改革を推進します。

「事業の構造改革」
高付加価値・高利益事業への転換を目指し「SEサービスからSIサービスへ」と事業構造の改革を進めます。
同社が高収益企業へと成長していくためにはSIサービスをより拡大していく必要があると考えています。
2003年3月期の段階で、全売上げに対するSIサービスの売上構成比が55.6%となりました。今期はSIサービスにおいて仕様変更、コスト増などの問題が発生しましたが、あくまでもSIサービスによる高品質なサービス提供を追求していく考えです。
特にSIサービス事業においては、開発の効率化・スピードアップのために、他社にはない同社独自のオブジェクト指向開発方法論の確立を最重要課題とし、さらに情報システム構築の4つの基本スキル領域である、プロジェクトマネジメント・スキル、ソフトウエアエンジニアリング・スキル、アプリケーション・スキル、ビジネス・スキルの向上を図り、優秀なプロジェクトマネージャーの育成をすることが不可欠であると認識しています。
同社は一層のプロジェクト品質管理の推進を目的として新たに『サービス品質管理室』を設置しました。

「経営の構造改革」
価値創造経営を目指し、「バランススコアカードの導入」、「ナレッジマネジメント」等のさらなる推進を行い、技術、営業、経営のコラボレーションを行うことにより、高品質なサービスを継続的に提供できる体質を拡充していきます。

「人材の構造改革」
「自律と創造」、「リーダーシップ」、「成果主義」、「スキルネットワーク」をキーワードに戦略的人材マネジメントを実行します。
以前のレポートでも紹介したように、岡社長は新しい時代を自分で創造していくことのできる、経営感覚を持った人材の育成がきわめて重要と認識しています。

 

取材を終えて

今中間期は各種案件の増加で増収とはなったものの、一部プロジェクトが遅延となり減益となってしまいました。
通期もこの影響により経常ベースでは前期と比べて減益の見通しですが、売上高および当期利益では大幅な増収・増益の見通しであります。今後さらなる高収益企業を目指し、中期経営計画の達成に向けて各種施策の実行に注力していく考えです。
各構造改革の進展など、今後も引き続きウォッチしていきたいと思います。

http://www.aandi.co.jp/