ブリッジレポート
(4773)

ブリッジレポート:(4773)エー・アンド・アイ システム vol.6

(4773)エー・アンド・アイ システム/ 岡 良貴社長
2004年6月2日(水)

 

A&Iシステムの決算説明会に出席しました。
岡社長が、決算概要、今期見通し、中期経営計画について説明されました。


岡 良貴社長

 

2004年3月期決算概要
<個別>
  実績 対前期比
売上高
125.8億円
+23.6%
償却前売上総利益
18.5億円
-16.7%
営業利益
5.1億円
-19.3%
経常利益
5.0億円
-19.8%
当期純利益
2.9億円
+62.6%

売上、当期純利益で大幅増収・増益とはなりましたが、大型SI案件における仕様変更・納期遅延でコストが増加し、経常減益となりました。

売上高
*SS(ソリューション・サービス) +8.9%
経営支援システム「Kizuki」や人材派遣業ソリューションコア案件の増大およびWeb系システム構築案件が増加しました。一方、IDC事業は低迷しました。

*SD(システム開発)  +71.4%
金融、運輸・通信業界のシステム統合案件が増加しました。

*CS(コンサルティング) +6.3%
ネットワーク構築関連の案件が増大しました。

経常利益
*SS  償却前売上総利益 -34.8%
上記のように経営支援システム「Kizuki」や人材派遣業ソリューションコア案件の増大がありましたが、大型のシステム構築案件において仕様変更、納期遅延がありコストが大幅に増加しました。
*SD  償却前売上総利益 +23.7%
*CS  償却前売上総利益 +66.3%
どちらも、売上増加により大幅な増益となりました。
SI事業は価格競争が激しくなっています。SDサービスも価格の低下が見られました。
販管費は前年並み。教育費は新人採用を前年に比べ控えたため減少しました。

当期純利益
投資有価証券の売却益・事業譲渡益が増加した一方、株式市況の回復などで投資有価証券の評価損が減少。また前期発生した役員退職慰労金負担が当期はありませんでした。

トピックス
前期の主なトピックスとしては、NTTデータイントラマートとのWebアプリケーション開発のエバンジェリスト・パートナーシップの締結、日本ラショナルソフトとのオブジェクト指向開発の生産性向上に向けたSIパートナー契約の締結、また、マネースクウェア・ジャパンとの外国為替証拠金取引事業のIT基盤整備での業務提携など、ソリューション・サービス分野を中心に「変化とスピード」に対応した補完的業務提携を積極的に推進しました。


2005年3月期業績予想

<個別>
 
予想
対前期比
売上高
132.2億円
+5.0%
償却前売上総利益
23.8億円
+28.6%
営業利益
8.6億円
+66.9%
経常利益
8.4億円
+66.4%
当期純利益
4.9億円
+68.5%

堅実な増収を見込みながらも、仕事の進め方を改善し大幅な増益を達成する考えです。

金融・保険業におけるソリューション・サービス、システム開発およびWeb系システム構築案件の増大とともに、前期に引き続き、経営支援システム「Kizuki」や人材派遣業ソリューションコア案件の増大を見込んでいます。
また、同社オリジナルの開発方法論「CVJ-123」の活用による大型SI案件の生産性向上や、高利益率ソリューション「Kizuki」案件の増加による利益率の向上による増益を予想しています。


中期経営計画

2000年から2009年を「成長期」と位置づけ、『「気づき」と「対話」を通じて事業、人材及び経営の構造改革を推進し、中期的に経常利益率10%超を達成する』というビジョンを掲げています。
2007年3月期には「売上高 142億円、経常利益 15億円、EPS 118円」の達成を目標としています。

こうしたビジョンの下、以下のような戦略を進めます。
<全社戦略>
・ 技術: 現在全世界で一人勝ちとなっているIBM技術圏をベースにして、高い生産性を確保します。
・ 営業: 金融、サービスおよび官公庁をターゲットとします。
・ 経営: 三菱商事、日本IBM、富士ソフトABCといった株主である一流企業とのシナジーによる営業力の拡充が期待できます。 またガバナンスの観点からもこうした資本政策・株主構成が重要と考えています。

<事業戦略>
・ コンサルティングから運用/保守までの一貫したソリューションの提供を行います。
・ サービス品質の更なる向上を図ります。
・ ソリューションコアを活用した高付加価値SIサービスを推進します。
時代を通じて変わることのない「不易」な技術基盤、業務基盤を確立しSIerとしての保守本流を進んでいきます。

経営指標においては売上高よりも利益率を重視していきます。適切な仕事の仕方、経営のあり方を追求することで、上記の経常利益率10%超を達成する考えです。
また、配当性向としては20%程度を意識して継続的な配当を実施していきたいと考えています。

<構造改革>
3つの構造改革を進めます。
構造改革とは単年度でその効果が出るものではなく、企業の継続性を念頭に置き、毎年着実に進めて成果を出していく考えです。

1.事業の構造改革「高付加価値・高利益事業への転換」
高付加価値・高利益事業への転換を目指し「SEサービスからSIサービスへ」と事業構造の改革を進めます。
同社が高収益企業へと成長していくためには「人月商売」であるSEサービスではなく、顧客にきっちりとした成果物を提供するSIサービスをより拡大していく必要があると考えています。
そのために、他社との差別化を図り、同社独自のプロジェクトマネジメントシステムや開発方法論「CVJ-123」を活用して、情報システム構築の4つの基本スキル領域である、プロジェクトマネジメント・スキル、ソフトウエアエンジニアリング・スキル、アプリケーション・スキル、ビジネス・スキルの向上を図ります。また、プロジェクト失敗の原因の約80%は人の問題とも言われ、優秀なプロジェクトマネージャーの育成が重要な経営課題だと考えています。

2.経営の構造改革「価値創造経営」
価値創造経営を目指し、継続的な発展のための仕組みづくりとして「バランススコアカードの拡充」を進めます。また、ビジョンの実現を支える経営基盤作りである「ナレッジマネジメント」にも注力します。
ナレッジマネジメントの基盤として「対話」を誘発する仕組み、「気づき」を誘発する仕組み、また「自律」的に「創造」できる人材を採用、育成、活用する仕組みを具備した自社開発の社内総合情報システム「Kizuki」が有効です。
また、同システムをベースにした汎用化ソフトを全社員参画型の経営支援ソリューションとしてお客様にも提供しており、現在、約80社が採用しています。

3.人材の構造改革「戦略的人材マネジメント」
成果主義を基本とした「目標評価」、「役割評価」および「行動評価」の複数評価軸によるミッション達成評価の仕組みを確立し、今年4月から全社員を対象に移行するとともに、全社員年俸制を導入しました。
社員個々の役割を一層重要視していくための制度移行です。

こうした中期経営計画の先の2010年以降は、「成熟期」として『「自律」と「創造」を通じて新たな事業を展開し、長期的に経常利益率15%を達成する。』というビジョンの下、「売上高 177億円、経常利益 27億円、経常利益率 15%、EPS 190円」を達成したいと考えています。


取材を終えて
大型案件のコストオーバーランで減益となりましたが、今期は着実な案件獲得に加え、同社オリジナルの開発ツール「CVJ-123」の活用による大型SI案件の生産性向上や、高利益率ソリューション「Kizuki」案件の増加による利益率の向上で大幅な増益を予想しています。
6月10日現在の株価835円は、中期経営計画による2007年3月期のEPSベースでは、PER約8倍となります。
今期も含めた中期経営計画達成に向けた同社の動向を引き続きウォッチしていきたいと思います。

http://www.aandi.co.jp/