ブリッジレポート
(9374)

ブリッジレポート:(9374)軽貨急配 vol.5

(9374)軽貨急配/ 西原 克敏社長
2004年6月1日(火)

 

「物流の総合アウトソーサー」を目指す軽貨急配の決算説明会に出席しました。
西原社長が決算概要、今後の展開などについて説明されました。

 


西原 克敏社長

 


2004年3月期決算概要

<連結>
(単位:100万円)
 
実績
前期比
売上高
39,579
+9.6%
営業利益
817
-31.8%
経常利益
528
-58.0%
当期純利益
256
-52.6%

<セグメント別状況>
(単位:100万円)
 
売上高
前期比
売上総利益
前期比
運送事業
29,533
+16.4%
6,365
+19.3%
開発事業
10,046
-6.4%
5,763
-15.3%

主力の運送事業は、一般軽貨物が堅調であったのに加え、軽貨物積合「B2B EXPRESS」の売上が前期比倍増以上と好調で、売上高・利益共に過去最高を記録し、利益率も上昇しました。
一方、委託先であるオーナー・オペレーターの開発事業は、未収債権の発生を抑えるため期初からの方針通り抑制したため売上・利益共に減少しました。
利益率の高い開発事業の売上構成比が低下したため、全体の売上総利益は横這いとなりました。
経費面では、営業部員確保、良質なオーナー・オペレーターの確保、軽貨物積合せ部門の物流拠点確保のために経費が増加し、営業利益以下は減益となりました。


事業構造改革:多機能型ダブル・アウトソーシングへの進化
以前のレポートでも触れていますが、同社は創業以来「トラックを持たない運送会社」として、「ダブル・アウトソーシング」、「軽自動車」、「非標準貨物」をキーワードに成長を続け、2000年に株式公開に至りました。(第1ステージ)

今後は第2ステージとして、「多機能型ダブル・アウトソーシングへの進化」による更なる成長を目指し、事業構造改革による事業基盤の強化を実現した後に「挑戦の経営」へと進んでいきます。

物流の総合アウトソーサーへ
従来のダブル・アウトソーシングに加えて、機能拡大による対象マーケットの拡大をめざします。その中心となるのが「B2B EXPRESS」です。
従来は軽自動車による配送のみでしたが、顧客の様々なニーズに対応するために子会社による大型トラックの所有を進めます。
「利用の経営」に「所有の経営」を付け加え、「物流の総合アウトソーサー」として、市場規模約11兆円といわれる「貨物運送業界全体」へ挑戦していきます。
(貨物軽自動車運送業界の市場規模は約6,500億円)

多機能型ダブル・アウトソーシングへの進化
「多機能型ダブル・アウトソーシングへの進化」は、顧客ニーズの多様化に対応した委託先の多様化に現れます。
従来は個人事業主である委託事業主(オーナー・オペレーター)が中心でしたが、仕事の内容によっては委託先企業である請負スタッフ(インディペンデント・コントラクター)、委託事業会社(サブ・コントラクター)へ委託を行います。
委託先の多様化は以下のように着実に進んでおり、これはオーナー・オペレーターに対する未収債権の発生を減少させる効果も生んでいます。

委託先登録件数割合(単位:%)
  2002年度 2003年度 2004年度(目標)
オーナー・オペレーター
74.7
70.1
65.1
サブ・コントラクター
2.1
2.1
2.2
インディペンデント・コントラクター
23.2
27.8
32.7

ダブル・アウトソーシングによる圧倒的な価格競争力を持つ「軽貨急配 B2B EXPRESS」は、サブ・コントラクター、インディペンデント・コントラクターなど委託先の多様化に加え、M&Aによって子会社化した軽貨急配シーエスや協和軽貨急配が、2t、4t、大型トラックを保有し、また高い専門性を有する外部企業を提携先とすることで、車種の増加・配送拠点の拡充・サービスの拡充などを通じて、軽貨急配、貸切配送、積合せ小口配送、軽作業請負、倉庫運営管理など複合的なサービスの提供による更なる業容拡大を図り、総合物流サービスを展開していきます。

開発事業における保証リスクの切断
オーナー・オペレーターが同社と委託契約を結び開業するに当たっては軽トラックを購入する必要があり、同社とオーナー・オペレーター間で自動車売買契約を結ぶと同時に、オーナー・オペレーターと信販会社との間で立替払い契約が結ばれ、同社が債務保証を行ってきました。
昨今の経済情勢の中で、オーナー・オペレーターの支払いが困難になり、結果として未収債権の増加が同社にとっては大きな課題でした。 これに対し以下のような方法で債務保証リスクの切断を進めています。

1. 開発台数の抑制と委託先の多様化
2. 保証契約の見直し:信販会社からの債権買取を今年4月から開始
3. 事業協同組合設立:オーナー・オペレーターを組合員とする事業協同組合を設立し、自動車売買契約をまず同社と同組合間で結びます。次に事業組合とオーナー・オペレーターの間で自動車売買契約と債務保証契約が結ばれることとなり、今後は同社における未収債権問題は発生しないこととなりました。(2004年6月1日スタート)


今期の戦略
以下のような戦略を推進し、事業基盤の強化を進めて、今後の成長路線の新たな起点の期としたいと考えています。
1.「多機能型ダブル・アウトソーシング」の洗練
  ① 運送事業の売上拡大と利益率の改善
  ② 「軽貨急配 B2B EXPRESS」拡大に買収子会社寄与
  ③ 委託先の多様化を推進
  ④ 他の主要部門も堅調維持
運送事業は過去最高売上更新を見込んでいます。

2.開発事業における開発の抑制と組合を用いたスキームの活用

3.利益目標
「運送事業の増収・増益」-「開発事業の抑制による減額」=最終利益の回復


2005年3月期業績予想

<連結>
(単位:100万円)
 
予想
前期比
売上高
43,963
+11.1%
営業利益
933
+14.2%
経常利益
760
+43.9%
当期純利益
449
+75.1%

<セグメント別状況>
(単位:100万円)
 
売上高
前期比
売上総利益
前期比
運送事業
34,905
+18.2%
8,052
+26.5%
開発事業
9,058
-9.8%
4,222
-26.7%

今期も引き続き運送事業が牽引して、セグメントおよび全体ともに過去最高売上高を更新する見込みです。また、運送事業売上高総利益も増益で利益率も向上します。
開発事業は開発抑制を続けます。
経費の増加も抑制され、大幅な増益、利益水準の回復を予想しています。


取材を終えて

全体では微増収・減益となっていますが、同社が更なる成長を遂げるためのベースである運送事業は、「B2B EXPRESS」を中心として順調に拡大しており、今期もその方向性に変化はないということです。
「物流の総合アウトソーサー」として、市場規模約11兆円といわれる巨大な「貨物運送業界全体」へ挑戦していく同社の動向を今後もウォッチしていきたいと思います。

http://www.keikaexp.co.jp/