ブリッジレポート
(1754)

ブリッジレポート:(1754)東新住建 vol.7

(1754)東新住建/ 深川 堅治社長
2004年8月24日(火)

東新住建の決算説明会に出席しました。
深川社長、飯野取締役が決算概要、同社の強み・特徴、今後の戦略を説明されました。


深川 堅治社長

2004年6月期決算概要
<連結>

(単位:100万円)
 
実績
計画比
前期比
売上高
58,925
+5.8%
+35.7%
営業利益
2,567
+7.7%
+32.8%
経常利益
2,010
+2.1%
+23.4%
当期純利益
989
+14.3%
+57.4%

11期連続の増収でピーク利益を更新しました。計画値も上回りました。
平成12年6月期に策定した中期経営計画の最終目標である「売上高500億円」を突破しました。

住宅建築請負事業
売上高    8,823百万円(前期比 + 13.4%)
営業利益    140百万円(前期比 +687.1%)

賃貸住宅の戦略商品「ザ・借家」のニューモデル「ザ・借家ネクサス」を開発・投入し積極的に販売しました。
注文住宅は、「樹流」、「新an樹」、「クラスダグラス」など顧客ニーズを追求したオリジナル商品の販売を推進しました。

分譲不動産販売
売上高   45,999百万円(前期比 +43.1%)
営業利益  4,882百万円(前期比 +39.9%)

戸建については良質で安価な用地の取得、独自の短期回転型分譲戸建システム(HRBシステム)での高品質・低コストの追求による差別化戦略を一層強化しました。
斬新かつクリエイティブな開発コンセプトを基に、街並、建物、外構・内装を一体コーディネイトした大型団地として「オアシス津島」(分譲戸建 39戸)、「ヒューマンネイチャー稲沢」(分譲戸建22戸、分譲マンション36戸)を開発したほか、名古屋市など都市部に都市型集合独立住宅「デュープレクス」を積極的に供給しました。
分譲マンションについても、専有面積100㎡超の「フレストスクエア」、「フレストステージ」に加え、新発売の空間提案型「フレストアルファ」を積極的に販売し順調に推移しました。

兼業事業
売上高    412百万円(前期比 + 17.4%)
営業損失   30百万円(前期 利益 156百万円)

一括借上制度の利用件数が増加したため家賃収入も伸びましたが、広告費用などの営業費用も増加しました。「ザ・借家」の6月末入居率は95.5%と高水準を維持しています。


2005年6月期業績計画

<連結>
(単位:100万円)
 
計画
前期比
売上高
67,260
+14.1%
営業利益
2,860
+11.4%
経常利益
2,300
+14.4%
当期純利益
1,105
+11.7%

用地仕入れ競争の激化による仕入れ価格の上昇と売上総利益率の低下や、売上の下期偏重の強まりが予想され、積極的な人員の採用や営業拠点の拡大を図るための開発費用の増加も見込まれますが、次の中期経営計画の初年度として、以下のような重点戦略を掲げ増収・増益を計画しています。

上海工場と愛知工場の分業化で生産効率をアップさせます。
中部圏賃貸事業で新卒中心の営業組織を稼動させます。
首都圏賃貸事業の拠点展開により受注・売上を拡大します。
首都圏分譲で「デュープレックスハウス」を展開します。
メディアミックスの活用で広告宣伝費の単価を下げます。


同社の特徴・強み
これまでのレポートで何度か紹介していますが、同社の強み・特徴は以下のような点です。

中部圏での圧倒的なシェア
分譲建売では、愛知県で14.8%、中部3県で13.7%と2位を大きく引き離して圧倒的なシェアを誇り、6年連続でNo.1となっています。(中部3県では第2位企業の約5倍)

自社一貫体制
仕入、企画、設計、施工、販売までを生産管理部の1拠点で集中管理し、地場不動産情報から顧客動向まで情報の共有化を行っています。頻繁な情報交換や迅速な意思決定が可能です。HRBシステム(ハイ・リターン・ビルド)によって、短期回転できる少数物件が中心で、1団地平均4.9戸となっています。
1拠点の売上高目標は500億円と、首都圏他社の50億円を大きく上回っています。

顧客満足に根ざした徹底調査
仕入候補地に関しては、環境、価格、学校、交通、買い物について厳格な基準でチェックを行い、基準をクリアした土地のみを購入し、結果として「顧客満足度の引き上げ」、「在庫圧縮」に繋げています。

施工方法の特徴
施工に関しては、同社の品質管理部が施工のための重要なこだわりを外部の施工業者にレクチャーし、工事中の監督を行います。その検査項目は456にものぼります。
アフターサービスも徹底しており顧客満足度の向上に努めています。
また、「自社工場製の2×4パネルの使用」、「建物完成前に外構(庭、駐車場、フェンスなど)を施工」などによって、工期の短縮も可能になっています。


今後の戦略

新・中期計画では、2008年6月期に「売上高 1,000億円、経常利益 50億円」を目指しています。
そのためには、分譲系事業、賃貸系事業の2つのコア事業の拡大が鍵になります。

2008年6月期売上高(計画)
分譲系事業 700億円(2004年6月期 460億円)
賃貸系事業 200億円(2004年6月期  69億円)

首都圏進出の意味
新・中期計画では首都圏での事業拡大が大きな鍵となっています。
その意味は以下の点にあります。
<ボリュームゾーンの開拓>
中部圏と首都圏を合計すると市場規模は約10兆円。全国の54%を占めます。このボリュームゾーンに挑戦し一段の成長を目指します。
<首都圏での認知アップを全国展開の布石に>
<住宅のフルラインビジネスで蓄積したノウハウを最大限活用>

コア事業の戦略:分譲事業
1. 1拠点500億円の売上を目指し中部圏の戸建事業拡大を図ります。
  ノウハウの蓄積により地域に適合した商品をパターン化し、リードタイムを短縮
  中部圏戸建販売目標 2008年6月期410億円(前期 335億円)

2. 新商品「デュープレックスハウス」の販売拡大と大都市圏への投入
  マンションと一戸建ての中間ニーズの掘り起こし
  一次取得者を主要なターゲットにした営業展開
  東京都世田谷区での販売予定など東京都区部での重点販売

3. 首都圏での戸建分譲事業の拡大
  首都圏の商習慣に合わせた戦略を策定し強みを生かし供給
  仕入、施工など培ったノウハウを活用
  売れ筋ゾーンに向けての拠点展開準備

コア事業の戦略:賃貸事業「ザ・借家」
1. 営業拠点の拡大と営業マンの増強(点から面へ)
  営業拠点は40へ(前期末 17)
  営業マン245人へ(前期末 132人)
    このうち首都圏(東新ハイトス)は、営業拠点24(現在8)、営業マン145人(現在77人)となっています。 「ザ・借家」は2000年6月期から首都圏で販売を開始しており、2004年6月期は首都圏売上 92百万円でしたが、営業力を強化し2008年6月期には、400百万円まで拡大します。
浜松に準備室を設置し今期稼動予定で、静岡県中心にベルト地帯の開拓を強化します。
 
2.「ザ・借家ネクサス」の首都圏本格投入

利益率向上に向けて
同業他社に比べてROEは高い水準にありますが、売上高利益率をもう一段向上させることが必要と考えており、以下のような施策を進めていきます。
1.原価率の改善
  自社施工パネル比率の引き上げ(30%から50%へ)
  上海工場からの供給増加 これらによって第一次粗利率(直接原価のみ控除)を20.5%から21%まで改善します。

2. 売上高工事間接比率の低下
  第二次粗利率を18.5%から19.2%へ引き上げます。

3. 販売管理費比率の低下(14.1%から13.5%へ)
  賃貸系営業マンの積極採用で人件費は増加しますが、本部コスト比率は低下する見込みです。
  知名度の向上、販売ノウハウの蓄積による営業の効率化で一人当たりの販売増を目指します。

以上の施策よって、売上高営業利益率は4.3%から5.7%へ、売上高経常利益率は3.4%から5.0%への改善を目指します。


取材を終えて

中期経営計画「Go! Go! Go!ビジョン」の最終年度にあたった2004年6月期は売上高500億円の達成を目標としていましたが、大幅な増収・増益で楽々とクリアしました。
今後は中部圏での強固な基盤をベースに、分譲事業(戸建、マンション)と賃貸住宅「ザ・借家」による首都圏での事業展開に注力し、4年後の2008年6月期には「売上高1000億円、経常利益50億円」を目指します。
また、REITや証券化ビジネスにも前向きに取り組んで行く考えだそうです。
更なる成長を志向する同社を引き続きフォローして行きたいと思います。

http://www.toshinjyuken.co.jp/