ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.6

(4767)テー・オー・ダブリュー 川村 治社長
2004年8月10日(火)

テー・オー・ダブリューの決算説明会に出席しました。
川村社長を始めとした経営陣が決算概要、今後の展望を説明されました。


川村 治社長

 

2004年6月期決算概要
<個別>
(単位:100万円)
 
実績
前期比
売上高
9,599
+1.9%
営業利益
750
-28.5%
経常利益
761
-26.8%
当期純利益
474
-9.8%
<連結>
(単位:100万円)
 
実績
前期比
売上高
9,638
+2.1%
営業利益
781
-29.2%
経常利益
765
-28.6%
当期純利益
466
-13.2%

まず川村社長が決算概要、特色・傾向について説明されました。

<特色・傾向>
1. 大型案件のキャンセル
実現の可能性がかなり高いと見込んでいた制作見込残高は期初4,970百万円でしたが、結果的には3,978百万円と992百万円ショートしました。
期中受注の伸び悩みや第四四半期に急激なキャンセルが発生したためです。
受注確度の検証不足があったと判断しています。

2. 制作移行勝率はアップ
企画受注数はダウン 企画競合案件における獲得勝率はアップしましたが、全体の案件数減少のため受注数はダウンしました。

3. 競合案件の増加
提案型案件の減少。 新規提案が不足しました。

4. 中規模案件の増加
機動力による大型案件受注。 規模別で増加したのが、1000-2000万円および5000万円-1億円の案件でした。1億円超の案件は7件で、前年の8件から減少しました。
全般に若手社員が担当したため、制作の実力が不足したケースもありました。

5. 多様化するエンドユーザー
案件で多いのは引き続き「情報・通信」、「自動車」、「食品・飲料・嗜好品」といったセクターですが、従来は「その他」に分類していた「流通・小売」の案件が増加したため当期から独立して表示することとしたように、エンドユーザーが多様化しています。

<情報ディスクローズの強化>
情報開示の方法を見直すこととしました。
具体的には、「実施イベント(1000万円以上)を毎月ホームページに開示」、「四半期決算を充実し決算短信方式を採用」などです。
より積極的に情報開示を行なうことで投資家の信頼感を向上させていきたいと考えています。


2005年6月期業績予想

<個別>
(単位:100万円)
 
予想
前期比
売上高
10,780
+12.3%
営業利益
817
+8.8%
経常利益
833
+9.3%
当期純利益
464
-2.2%

今期は以下のような戦略の下で増収・増益を目指します。
 ・ 教育研修の充実
 ・ SP市場開拓強化
 ・ 営業強化・拡大
 ・ 原価低減の徹底
 ・ ネットワーク構築強化


今後の対応・施策

真木副社長、草柳専務、秋元専務がそれぞれ各戦略を具体的に説明されました。

<教育研究の充実>
目標として「より実践的なイベント制作の底上げ」と「SP制作専門パートの強化育成」をあげ、それぞれに対応した研修を実施します。

「より実践的なイベント制作の底上げ」
AD基礎研修:AD相互の競争意識を煽りながら実践的なスキルの提供
OJT:成長目標の設置とチーム長による日常的・実践的直接指導
イベント制作専門研修:イベント制作領域をより着実に、現実的な形で取得

「SP制作専門パートの強化育成」
プロモーション研修:専門研修へのイントロダクション
SP制作専門研修:個別SP制作に特化したSP専門会社同様の知識・スキルの習得

これら研修については、チーム全体・会社全体で研修に取り組むために出欠ポイントを人事考課に反映させます。
受講者だけでなく担当チーム長も出欠をポイント化し、欠席確認のない場合はチーム長共々マイナスポイントを人事考課に反映させるというものです。

<SP市場開拓強化>
顧客企業にとって実際の売上につながりやすいSPに以前から力を入れてきましたが、「企画力の向上」、「SP制作インフラの整備」に加えて、SPに関する個々のアイテム(プレミアム、事務局など)の専門化が必要と判断しています

プレミアム戦略
1. KANKOとのアライアンス
2004年4月から、SPのプレミアム/ノベルティの開発に強い株式会社KANKOと「原価を明らかにして利益を折半する」という業務提携をスタートさせました。
TOWの企画力とKANKOの調達力をマッチングさせます。

2. プレミアム専門の人材確保
SPに専門特化した社員の育成とプレミアム制作経験者の採用を進めます。

キャンペーン事務局戦略
1. TICCSの始動
株式会社インテージとの共同開発によるキャンペーンデータマネージメントシステムを稼動させ、統合的キャンペーン事務局の受注を進めます。

2. ISMSの取得
個人情報保護法案に対応し、認証制度ISMSを業界でいち早く取得しました。他社との差別化を図ります。

3. FFSの実施
物流・在庫管理システムの稼動や、倉庫・人材を自前で確保するTOWフルフィルメントシステムを実施します。 TICCSと連動した事務局一括管理を行ないます。

<営業強化・拡大>
1. SP戦略による新規先開発
 ・ 大手代理店の専門部署へのアプローチを進めます。
 ・ 代理店の専門子会社へのアプローチを進めます。

2. 専任担当営業の強化
 ・ 代理店の名刺を持って営業する専任担当営業を博報堂内へ11名送り込んでおり、TOWプロジェクトルームが開設されました。
 ・ 現状では、全ての代理店に30名まで拡大しています。

3. 名古屋営業所の開設
 ・ 愛知万博の先を睨み、トヨタ自動車の本社移転などを踏まえたものです。
 ・ デルフィス名古屋、電通テック中部へ専任担当営業を派遣します。

4. 社内会議での徹底検証
 ・ 毎月1回の営業会議、ディレクター会議のほか、本部会、チーム会、個別ミーティングなどで進捗状況などを徹底的に検証していきます。

今期は博報堂、電通・電通テックといった大手代理店向け売上構成を引き上げ、2社で約66%の比率を計画しています。

<原価低減の徹底>
2004年6月期は粗利率が約3ポイント低下しました。
粗利15%未満の案件が増大、15%以上の案件でも平均粗利は1.3ポイント低下しました。

原因は、「若手社員の成長の遅れ」と考えており以下のような対策を進めていきます。 
  1. 利益に対する若手社員の意識向上
  2. 見積もり制作を始めとした「ウリ」の技術向上
  3. 取引専門業者との価格交渉「カイ」の技術向上
  4. 同社独自の購入システムの構築

このように、これまでのグロス管理から細目管理/発注先選定の妥当性を管理するなど「受注システムの刷新」と、より実践的な内容で意識と技術を向上させる「教育システムの徹底」によって、粗利の改善を目指します。

<ネットワーク構築強化>
同社は以前から様々なネットワーク構築に注力して来ました。
今後も業務提携などを含めたネットワーク構築を積極的に進めていく考えです。

国内ネットワーク
演出・運営 T2クリエーティブ
九州地方 KBCメディア
IT系イベント ソフトランディング
全国200社 イベントスタッフネットワーク

女性ネットワーク
女性視点 WEP-net(女性スタッフネットワーク)

SPテクニカルネットワーク
プレミアム KANKOとの業務提携
キャンペーン インテージとの業務提携
印刷 東洋紙業との業務提携
デザイン メーク&メリーカンパニーとの業務提携
カスタマーアクセス アテナとの業務提携

海外ネットワーク
韓国 ユニワンコミュニケーションズとの資本提携
中国 ベンチマーク社との業務提携で、北京・上海・香港にTOW連絡事務所を設置
シンガポール dMCイベントマネジメント社との業務提携で、TOWシンガポール連絡事務所開設(今年8月)
米国:ホノルル プロダクションパートナーズ社との業務提携で、TOWホノルル連絡事務所設置
米国:LA エクストラ・オーディナリー・イベント社との業務提携
米国:サンフランシスコ EXP社との業務提携


取材を終えて
景気は回復傾向が見えるとは言うものの企業の姿勢は基本的には慎重で、実施予定の大型イベントのキャンセルなどで微増収・減益となりました。
同時に課題もはっきりとしたことから、教育研修の充実、SP市場開拓強化、営業強化・拡大、原価低減の徹底、ネットワーク構築強化などを重点施策に据えて、再度成長軌道を取り戻す考えです。
足元の業績と共に、各戦略の進捗状況などをウォッチして行きたいと思います。

http://www.tow.co.jp/