ブリッジレポート

(4849)エン・ジャパン/越智 通勝社長
2005年2月17日(木)

 

エン・ジャパンの決算説明会に出席しました。
越智社長が決算概要、今後の戦略などについて説明されました。

エン・ジャパン会社概要:ネット求人広告専業No.1。「社会正義性」を重視。
以前のレポートでも何度か触れていますが、同社の特徴・強みは以下の通りです。

 


越智 通勝社長

 

ネット求人広告専業No.1(ネット専業で売上高、経常利益、経常利益率 No.1)
質的No.1:100%取材、顧客満足度83%、詳細・正直な求人情報
「社会正義性」と「独自性」:理念に根ざした事業内容と企業風土、社会正義性と独自性へのこだわり(業界の革新者)
ネット求人広告の先駆者:将来のネット化を見据え、1995年にサイト立上げ。
22年にわたる求人広告ビジネスの経験:深い経験とノウハウ

中でも越智社長が重視しているのは「理念」と「社会正義性」です。
後述するアルバイト・パート採用サイトは、若年労働力の減少に伴う日本経済の活力低下が懸念される中、「仕事をすることの辛さも含めた現実とその中から見つけ出すことの出来る働く喜びを知ること」、「自分に合った仕事を発見すること」を通じて、フリーター問題を解消し、社会に貢献したいという強い想いがベースにあります。


2004年12月期決算概要:期初予想を大幅に上回り過去最高を記録
(単位:100万円)
 
実績
対前期比
売上高
6,980
+59.6%
営業利益
2,245
+28.3%
経常利益
2,254
+28.5%
当期純利益
1,253
+20.6%

期初予想(売上高62億円、経常利益15億円)は増収・減益でしたが、これを大幅に上回り設立以来4期連続で増収増益となりました。
ヤフーとの提携解消、基本料金の値上げがありましたが、ユーザーおよび顧客企業からの、詳細で緻密な同社サービスに対する強い支持が好業績の主要因となっています。
ヤフーとの提携解消後の積極的な広告宣伝・販促費用(20.9億円 前期比+85%)、業容拡大に伴う人件費(12.3億円 同+94.4%)がありましたが、売上増加で吸収しました。
中途採用事業は各サイトとも好調で、主力の「[en]社会人の転職情報」は転職サイトで2強の地位を確立しました。
2004年6月に日本ブレーンセンターから承継した新卒採用、教育・評価事業が売上に寄与しました。
求人広告市場は紙媒体からインターネットへのシフトが更に加速しています。

<中途採用事業>
(単位:100万円)
 
実績
対前期比
売上高
6,301
+44.1%
販管費
3,579
+48.0%
営業利益
2,306
+31.8%
経常利益
2,310
+31.7%

「社会人の転職情報」
売上高 4,308百万円(前期比 +45.5%)


ヤフー社との提携解消(2004年4月)がありましたが、それ以前から準備を進めるなどしたためほとんど影響を受けず、過去最高の売上高を達成しました。
2004年10月時点で掲載社数は1,000社を突破しました。会員数も82万人を超えています。
質的No.1にこだわり続け、転職サイトで2強の地位を確立しました。
2004年11月から、基本料金を10万円アップしています。

「転職コンサルタント」
売上高 1,011百万円(同 +25.3%)

・ 過去最高の売上高となりました。
・ 掲載社数は251社で業界No.1の地位を強固なものにしています。

「派遣のお仕事情報」
売上高   983百万円(同 +62.4%)


過去最高売上高となりました。
好調な人材派遣業界の旺盛な求人需要を背景に、掲載社数2004年12月末で283社と、着実に増加しています。

<新卒採用、教育・評価事業>
(単位:100万円)
 
実績
売上高
678
販管費
584
営業利益
−62
経常利益
−55

*日本ブレーンセンターから承継した2004年6月からの7か月分の実績です。

「学生の就職情報」
売上高 501百万円(7か月分実績)

・ 新卒向け就職情報サイトで、2004年10月にグランドオープンしました。
・ 競合他社と一線を画した企画・内容で独自のポジションを確立しています。
・ 前年に比べ、掲載社数26%増加、会員数36%増加となっています。(いずれも2004年12月末時点)

「教育・評価事業」
売上高  42百万円(7か月分実績)

クライアントが採用した「人」の成長と活躍を支援するため、採用・教育・評価を連動させる総合的な人事ソリューションを提供しています。新卒採用及び中途採用のクライアントをベースに、早期戦力化のための研修や中堅・幹部社員に対するもの等、積極的な活動を実施しました。


マーケット動向:求人広告のネット化が一段と加速

景気の回復に伴い、求人需要は増大しており、求人広告件数は月次ベースで過去10年でも高い水準となっています。また、有効求人倍率の上昇、完全失業率の低下も顕著となっていますが、一方企業側としては「いい人材の採用」がより困難になってきています。
また、新卒社員が入社3年以内に辞める率は、5年前には7%程度でしたが、現在は約30%ということで、人材の流動化も一段と進んでいます。これに団塊世代のリタイア、少子高齢化も加わり、「人材採用・確保」は企業にとって益々重要な問題となっています。

こうした中、インターネットの普及により求人広告マーケットも大きな変化を遂げることが予想されます。
同社では現在のマーケット規模は、「新卒 300億円」、「中途 3,700億円」、「アルバイト・パート 2,000億円」の「合計 6,000億円」と推定しています。
これを媒体の種類ごとに分類すると、2004年で「紙媒体 5,100億円、インターネット900億円」で、ネットのシェアは15%ですが、2010年ごろには「紙媒体 950億円、ネット 2,850億円」の合計3,800億円で、ネットのシェアは75%にまで上昇すると同社では推定しています。(全体のマーケット規模が縮小するのは、紙媒体の縮小に伴い紙、印刷などの原価が縮小するためです。)

<求人広告全体>
 
2004年
2010年ごろ
紙媒体
5,100億円
950億円
ネット
900億円
2,850億円
全体
6,000億円
3,800億円

市場別では、中途、アルバイト・パート市場のネット分野が急拡大すると推定しています。

<中途市場>
 
2004年
2010年ごろ
紙媒体
3,230億円
200億円
ネット
470億円
1,800億円
全体
3,700億円
2,000億円

<アルバイト・パート市場>
 
2004年
2010年ごろ
紙媒体
1,870億円
750億円
ネット
130億円
750億円
全体
2,000億円
1,500億円

<新卒市場>
 
2004年
2010年ごろ
紙媒体
0億円
0億円
ネット
300億円
300億円
全体
300億円
300億円
*横這いで一部紙媒体も。

同社は2004年時点でネット中途採用市場470億円の内、売上高63億円でシェア13.4%を占めています。市場拡大の中、同水準のシェアを確保すると仮定すると、2010年ごろには中途採用のみで売上高240億円に達します。
これに新卒、アルバイト・パート関連の売上がオンされることになります。


事業戦略:アルバイト・パート市場への進出と新分野への展開

採用のトータル化 従来の「中途採用」に2004年6月からは「新卒採用」を事業に追加したわけですが、2005年2月にはアルバイト採用のサイト「[en]本気のアルバイトをオープンさせ、「採用のトータル化=顧客企業に対する採用トータルソリューション力の強化」を目指します。

[en]本気のアルバイト概要
「正社員登用あり」のアルバイト情報に特化した唯一のサイトです。「正社員登用あり」のアルバイトは、2,000億円のアルバイト求人広告市場の30%、約600億円を占める有望なマーケットです。
アルバイトから優秀な人材を正社員採用したい企業と、将来を考えて本気で働きたいユーザーを結びつけます。
他社との差別化は以下のようなポイントです。
* 独自の商品コンセプト

* 勤労意欲、定着率の高い質の高いユーザー
* 独自取材によるアルバイトサイトNo.1の情報量
* 専任アドバイザーによる就職相談
[en]社会人の転職情報の顧客網を有効活用し、相乗効果を狙います。

新分野への展開
「人材採用のことなら[en]」という強いブランド力を活かし、「採用のトータル化」に加え、教育・評価、採用アウトソーシングによる「採用ビジネスのバックアップ」を行なうとともに、強みを活かし、新しい分野への参入も検討しています。 現時点では詳細は明らかにできないということですが、[en(縁)]をキーワードに、「人と人」、「人と情報」、「人とモノ」を繋ぐビジネスを2−3年内に考えていきたいとのことで、そのための手法としてM&Aなども視野に入れています。


今後の業績予想:今期も増収・増益。2006年から本格的収穫期へ。
(単位:100万円)
 
2004年
2005年
2006年
2007年
売上高
6,980
9,800
12,800
16,400
経常利益
2,254
2,700
3,970
5,810
経常利益率
32.3%
27.6%
31.0%
35.4%
当期純利益
1,550

新卒事業が投資の時期であるため、今期は売上高経常利益率は低下しますが、2桁の増収・増益で過去最高を更新する見込みです。
新卒採用事業は2007年から、教育・評価事業は2006年から経常黒字に転換するなど、全体では2006年以降は収穫期に入り、経常利益率は2007年には2004年水準を上回る見通しとしています。

<中途採用事業>
(単位:100万円)
 
2004年
2005年
2006年
2007年
売上高
6,301
8,440
10,950
14,000
経常利益
2,310
3,010
4,050
5,570
経常利益率
36.7%
35.7%
37.0%
39.8%

「本気のアルバイト」の売上高は、2005年 3.6億円、2006年 6億円、2007年 10億円。経常利益は2005年 −1億円、2006年 トントン、2007年1億円の見込みです。

<新卒採用事業>
(単位:100万円)
 
2004年
2005年
2006年
2007年
売上高
636
1,260
1,700
2,200
経常利益
−55
−290
−90
220
経常利益率
−8.6%
−23.0%
−5.3%
10.0%
 
* 前期は7か月分実績
* 前期の経常利益は、新卒採用事業と教育・評価事業を合計した数値(両事業一体で管理していたため)

<教育・評価事業> 
(単位:100万円)
 
2004年
2005年
2006年
2007年
売上高
42
100
150
200
経常利益
−20
10
20
経常利益率
−20.0%
6.7%
10.0%
 
*前期は7か月分実績


株主還元策:積極的な利益還元を実施
2004年9月に1:2の株式分割を行ないました。2005年3月実施の配当は、一株当たり1,500円を予定しており、分割前(2,500円)と比較すると、500円の増配になります。
今後も積極的な事業展開と急激な経営環境の変化に備えた適正な内部留保を目指しながらも、株主に対する利益還元について検討していく考えです。


取材を終えて
期初予想を大幅に上回る決算となり、ネット求人市場の拡大を背景に今期以降も好調な業績が見込まれています。
越智社長は企業評価の観点における「企業理念」、「社会正義性」の重要性をこれまでも繰り返し強調されており、自社の社会正義性と果たす役割について、より多くの投資家に理解してもらいたいと考えています。
ネット広告市場の急拡大というフォローの風の中、採用のトータル化と新分野への進出で更なる成長を目指す同社をフォローしていきたいと思います。

http://www.en-japan.com/company

 
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