2005年3月期第3四半期決算概要 <連結>
(単位:100万円)
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第3四半期累計
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売上高 |
29,698
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営業利益 |
552
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経常利益 |
428
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当期純利益 |
-944
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第3四半期までの累計では、微増収・経常減益、9億44百万円の当期純損失計上となりました。
もっとも、第3四半期のみの比較では2.8%の減収ながら、事業構造改革の成果が顕在化してきたことで経常利益は2.7倍強に拡大しました。
減収となったのは、運送事業が順調に推移したものの、引き続き開発事業においてオーナー・オペレーターの採用を慎重に行ったためです。一方、利益面では、運送事業における子会社
軽貨急配シーエス㈱及び協和軽貨急配㈱の収益性が改善していることに加え、開発事業における長期未収債権の抑制施策が成果を上げつつあります。
事業構造改革の成果で下期に入り収益性が改善
05年3月期
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中間決算
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第3四半期
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第4四半期予想
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売上高 |
19,847
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9,851
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14,265
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営業利益 |
242
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310
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381
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経常利益 |
139
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289
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332
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当期純利益 |
-1,068
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124
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-2,312
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04年3月期
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中間決算
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第3四半期
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第4四半期実績
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売上高 |
19,265
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10,136
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10,178
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営業利益 |
528
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116
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173
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経常利益 |
544
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105
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-121
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当期純利益 |
351
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21
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-116
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前年同期比
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中間決算
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第3四半期
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第4四半期
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売上高 |
103.0%
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97.2%
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140.2%
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営業利益 |
45.8%
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267.2%
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220.2%
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経常利益 |
25.6%
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275.2%
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-
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当期純利益 |
-304.3%
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590.5%
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-
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(単位:100万円)
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2005年3月期 予想 <連結>
(単位:100万円)
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予想
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前期比
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売上高 |
43,963
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111.1%
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営業利益 |
933
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114.2%
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経常利益 |
760
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143.9%
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当期純利益 |
-3,256
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-
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今期、一気に構造改革を進めて収益体質の強化を図り、来2006年3月期以降の業績拡大への道筋をつける考えです。このため、2月22日に今期業績予想を上記の通り下方修正しました。
「軽貨急配 B2B EXPRESS」の好調で軽貨物積合せ部門が伸びる見込みで、通期の売上高は11%強の増加を予想しています。
利益面では、増収効果や事業構造改革の成果に加え、社債発行費用や証券化に伴う費用の計上がなくなり営業外損益も改善、経常利益は44%弱の高い伸びが見込まれます。
ただ、長期未収債権の第3者への譲渡に伴う損失及び提携リース会社との開発代行契約終了に伴う整理損失など特別損失約65億円を計上するため、32億56百万円の当期純損失となる見込みです。
尚、今2005年3月期は当期純損失となりますが、1株につき12円50銭(通期25円)の期末配当は予定通り実施する考えです。
特別損失計上に伴う業績予想の下方修正
「軽貨急配 B2B エクスプレス」の開始を契機に運送事業の更なる拡大を促進するため、従来のオーナー・オペレーター(トラックを所有する個人委託事業主)方式に加え、サブ・コントラクター(法人委託事業主)方式及びインディペンデント・コントラクター(トラックを所有しない請負スタッフ)方式の導入を図りました。
このうち、インディペンデント・コントラクター方式は、トラックを保有していないが働く意欲のある方に採用の門戸を開くこと、あるいはスタッフの初期投資の軽減を図ることを目的に導入しました。この方式で使用するトラックは、リース会社と提携し同社が毎月2億円程度のリース料を負担して、2,000台強を用意していました
(保有は提携先のリース会社)。
しかし、インディペンデント・コントラクターの定着率が予想を下回り、リース車輌の稼働状況は低迷し、毎月のリース料が大きな負担となっていました。
このため、今回、インディペンデント・コントラクター方式を中止することとしました。これに伴いリース料の残額約20億円を一括して支払いリース契約を解約し、併せて、提携先リース会社向け債権についても引当金計上を行うこととしました。
このほか、開発事業に伴う長期未収債権の譲渡に伴う損失も今期計上する特別損失に含まれます。
特別損失の内訳
リース契約解約損
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約20億円
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貸倒引当金 |
約30億円
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長期未収債権譲渡損 |
約9億円
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開発代行契約終了に伴う整理損
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約6億円
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合計 |
約65億円
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第3者割当増資による資本増強
特別損失計上により株主資本が大きく毀損するため、優先株式30億円の発行により、資本増強を図る予定です。優先株式は議決権がありませんが、普通株式への転換(予約)権が付与されています。
優先株式は転換価格の違いによりⅠ種からⅢ種の3種類に分けられ、当初の転換価格は、Ⅰ種が881円、Ⅱ種が969円、Ⅲ種が1057円で、全額をリーマンブラザースが引き受けます。また、転換価格は毎週見直されます。一方、6月20日以降は、発行価格の3%増しの価格で発行会社による強制償還も可能となります。
調達額
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当初転換価格
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毎週見直しの範囲
05年3月22日~08年3月17日
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Ⅰ種 10億円
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881
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352~1762
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Ⅱ種 10億円
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969
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264~1938
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Ⅲ種 10億円
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1,057
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176~2114
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新事業計画
業績予想の下方修正と同時に新事業計画が発表されました。
今期中に資産の健全化に目処をつけ、来期は連結売上高390億円、経常利益21億円、当期純利益11.5億円を目指します。2月22日時点の発行済み株式数をベースに算出した来期のEPS(一株当たり利益)は113円になります。
(単位:100万円)
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2006年3月期計画
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前期比
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売上高 |
39,037
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88.8%
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経常利益 |
2,142
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281.8%
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当期純利益 |
1,157
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-
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EPS(円) |
113.0
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-
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具体的には、上記の第3者割当増資により資本増強を図ると共に、下記の収益力強化策を講じます。
(1)オーナー・オペレーター方式及びサブ・コントラクター方式の強化で経営の基盤固め
収益力強化策のポイントは、収益性の高い貨物軽自動車のプランニングやオペレーションへの経営資源の集中です。このため、リース等を伴い管理コストの高いインディペンデント・コントラクター方式を中止し、個人ドライバーの活用をオーナー・オペレーター方式に一本化します。また、サブ・コントラクター方式においては、連結子会社である軽貨急配シーエス(株)と協和軽貨急配(株)を合併させ、配送先や到着時刻など車両の稼働状況をデータ化し空車情報を効果的に活用して1車あたりの積載効率や配送効率の改善を図ります。
(2)貨物運送業界全体への展開を視野にM&Aの活用で輸配送網を充実
多様化する顧客ニーズに応えるためには、一段の輸配送網の充実が必要と考えています。このため、物流企業集団の構築を目的としたM&Aにも積極的に取り組んでいく考えです。具体的には、コントロールの効く請負会社(Controllable
Subcontractors)を傘下に納めていきます。
中期的には、貨物軽自動車運送業界の10数倍の市場規模をもつ貨物運送業界全体への展開を進め、ここにおいても総合物流アウトソーサーの位置を確立し業容拡大を図っていく考えです。
(3)既存事業のノウハウを生かせる分野で新規事業を育成
更に、新規事業への積極的参入も図ります。同社は、これまでも単にロジスティックのみならず、設置・組立など物流に関連する周辺業務についても積極的に顧客獲得を進めてきました。当社の得意とする"人の手を必要とする物の流れ"と新たに取得した"特定信書便事業許可"を融合させた新たなサービスの事業化を検討しています。
取材を終えて
業績予想の下方修正を受けて株価は下落しましたが、中間決算をフォローした際に「構造改革の一環として、引き続き財務体質の強化に取り組む考えで、もう一段の特別損失計上の可能性もあるとのことです」とお伝えしてありましたので読者の皆さんはそれほど驚かなかったであろうと思います。
非標準・規格外・役務附帯を特徴とする同社のサービスは、大手運送会社の宅配便等では真似のできないサービスであり、強い競争力を有しています。また、注力分野である「B2Bエクスプレス」も順調に拡大しています。もともと業績の拡大余地は大きかったわけですから、今期で負の遺産の処理に目処をつけたことで、来期以降、業績は再び拡大基調に服するものと考えます。
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