会社概要
<沿革>
当社グループは、持株会社である(株)ビスケーホールディングスと連結子会社12社より構成されており、婦人服(ミセスブランド)の企画・販売を中心に、ヤング・キャリアブランドの企画・販売、及びインポートブランドの販売を行っています。
1985年に婦人服卸業を目的として(株)ビスケーが設立されました。93年に子会社設立により婦人服製造に進出。96年には小売事業にも進出し、初の百貨店インショップを高島屋新宿店に出店しました。
97年に株式を店頭登録(現Jasdaq 上場)。2003年、会社分割により営業を新設子会社4社に承継し持株会社に移行、商号を(株)ビスケーホールディングスに変更しました。
<事業構成>
事業は、ミセスブランド事業、ヤング・キャリアブランド事業、インポートブランド事業の3事業からなります。ミセスブランド事業からスタートしましたが、収益安定化に向けた「多ブランド化戦略」の推進に伴い、2003年12月期の第4四半期よりヤング・キャリアブランド事業を、2004年12月期第3四半期よりインポートブランド事業を、それぞれ事業セグメントとして独立させました。3事業は、更に個々のブランドに区分され、それぞれ子会社が事業を進めています。
ミセスブランド事業
「ビーシーアミ2001」(㈱ビスケー)、「セットフォア」(㈱セットフォア)等のミセス向け6ブランドの企画及び専門店への卸売、直営店や百貨店における小売販売(㈱ビーシーコーポレーション)を展開しています。また、連結子会社 善美国際股?有限公司により台湾の百貨店における小売販売も行っています。
ヤング・キャリアブランド事業
「アナディス」(アナディス㈱)等のヤング・キャリア女性向け8ブランドの企画及びセレクトショップへの卸販売、直営店や百貨店における小売販売を展開しています。
インポートブランド事業
「ポール・カ」(㈱ユーロモーダ)等の女性向けインポートブランド3ブランドと独占輸入販売契約を締結し、直営店及び百貨店における小売販売、セレクトショップへの卸売販売を展開しています。
<基本方針>
最大(Maximum)より最適(Best)を追求し、「オンリーワン・ブランド」を創造する企業グループであることを経営の基本方針としています。
ファッション業界においてブランドの栄枯盛衰は激しく、一時のブームで拡大してもピークを過ぎればその規模が急速に縮小してしまいます。このため、同社は規模の拡大に固執せず、各ブランドの市場性に見合った規模で、小規模でもお客様から一定の支持を頂けるブランドを数多く展開する「多ブランド化戦略」を志向しています。また、直営店や百貨店・ファッションビル等のインショップへの新規出店やM&A(合併・買収)の活用により店舗網の拡大を目指す「多店舗展開戦略」、更にはバッグやアクセサリーなど衣料雑貨の取り扱い強化等を並行して進めることで、安定的な業績の拡大を目指しています。
また、婦人服の卸業からスタートした同グループですが、商店街の衰退等で卸先小売店の販売力が低下していることに加え債権の回収リスクも高まっていることから、今後は売上高に占める小売(同社が直接エンドユーザーに販売)の比率を高めていく考えです。
2005年12月期第1四半期決算概要
<連結>
(単位:100万円)
|
|
実績
|
前年同期比
|
売上高 |
2,578
|
+10.1%
|
営業利益 |
37
|
-84.0%
|
経常利益 |
32
|
-85.4%
|
四半期純利益 |
-307
|
-
|
アパレル業界は、暖冬や春先にかけての寒波など天候不順による衣料消費低迷の影響を大きく受けましたが、同社グループの2005年12月期第1四半期は、減益ながら新ブランドの寄与もあり増収を確保しました。
主力のミセスブランド事業がブランドの成熟化により苦戦を強いられましたが、前期にはなかったインポートブランド事業の売上高が上乗せされたことから、売上高は10.1%増加しました。
尚、インポートブランド事業では、昨年7月に連結子会社化した(株)ユーロモーダが業績寄与しました。
一方利益面では、ミセスブランド事業の減益に加え、ヤング・キャリアブランド事業が前年同期に比べ損益は改善したものの黒字化には至らず、同85.4%の経常減益となりました。
また、特別利益として保険解約返戻金199百万円を計上する一方、特別損失として役員退職慰労金363百万円を計上したことに加え、繰延税金資産の取崩による法人税等調整額127百万円が発生した結果、307百万円の最終損失となりました。
(単位:100万円)
|
|
実績
|
前年同期比
|
ミセスブランド |
1,581
|
-18.3%
|
ヤング・キャリアブランド |
404
|
-0.5%
|
インポートブランド |
592
|
-
|
連結売上高 |
2,578
|
+10.1%
|
ミセスブランド |
195
|
-53.9%
|
ヤング・キャリアブランド |
-45
|
赤字幅縮小
|
インポートブランド |
-2
|
-
|
消去 |
-110
|
-
|
連結営業利益 |
37
|
-84.0%
|
2005年12月期業績予想
<連結>
(単位:100万円)
|
|
予想
|
前期比
|
売上高 |
10,000
|
+15.4%
|
営業利益 |
|
+8.6%
|
経常利益 |
100
|
黒字転換
|
当期純利益 |
-130
|
-
|
第1四半期は、ミセスブランド事業の落ち込みが予想以上で、売上高・利益共に計画を下回りました。第2四半期以降も厳しい事業環境が続くものと予想されますが、買収したメンズデニムの「Denime」ブランドが7月から業績に寄与すること、販促強化が奏功し足下ヤング・キャリアブランド事業が好調であること、及び納期遅れから出荷が4月(第2四半期)以降にずれ込んだ商品もあること等から、第1四半期終了時点では通期業績予想の見直しは行われていません。
セグメント別売上高 |
(単位:100万円)
|
|
2005年1Q
|
2005年中間
|
2005年通期
|
ミセスブランド |
1,581
|
2,983
|
6,124
|
ヤング・キャリアブランド |
404
|
803
|
1,660
|
インポートブランド |
592
|
1,094
|
2,216
|
合計 |
2,577
|
4,880
|
10,000
|
進捗率 |
|
ミセスブランド |
25.8%
|
ヤング・キャリアブランド |
24.3%
|
インポートブランド |
26.7%
|
合計 |
25.8%
|
経常損益の改善要因 |
(単位:100万円)
|
|
利益増
|
費用減
|
役員報酬の削減 |
|
110
|
ヤング事業の黒字化 |
250
|
|
不採算ブランドの撤退 |
|
20
|
販管費削減 |
|
60
|
前期比増益要因 |
|
440
|
ミセス事業の減益 |
|
-190
|
のれん代償却増加額 |
|
-40
|
前期比減益要因 |
|
-230
|
差引増益見込み |
|
210
|
今後の計画
(1)メンズブランド事業への参入
2005年4月、ヴィンテージデニムジーンズ「Denime」の企画・販売を手掛ける(有)SHINSを買収により子会社化しました。前期の売上実績は約9億円で、下期(7月)から連結業績に寄与する見込みです。
参入理由
紳士服市場は伸び悩んでいますが、カジュアルゾーンについては近年広がりを見せており、今後も成長が見込めます。また、メンズブランドは一般的に、レディスに比べて一つのブランドの対象販売層が広く、特に、デニムは、若年層の支持が高いばかりでなく、団塊の世代にも人気があります。また、ミセスが落ち込む2、8月でも、比較的売上が確保しやすいといったメリットもあります。
ただ、デニム市場は仕入れの商流が従来のブランドと異なり、特に工場等では職人気質が強く、新規参入を受け入れてくれない傾向があります。このため、同社単独でのデニム市場への参入は難しかったわけですが、(有)SHINSをグループに取り込むことで、こうした問題をクリアすることができました。同社では、デニムは既に一つのファッションアイテムとして確立されており、一過性のブームではないと判断しています。今後はこの事業ノウハウや仕入ルートを活かして、レディスデニムにも参入していく考えです。
(2)今後のM&A(買収・合併)戦略
これまで5件(セットフォア、ディズ、アナディス、ユーロモーダ、SHINS)のM&Aを実施してきましたが、ディズ、ユーロモーダは、利益貢献が遅れています。このため、良い案件があれば前向きに検討するものの、当面、これまで買収した子会社の黒字化を最優先し、新規のM&Aは控える方針です。
取材を終えて
これまで同社の成長を牽引してきた主力ブランド「ビーシーアミ2001」は販売開始から20年が経過し、成熟感が否めません。このため、一つのブランドに依存した収益構造からの脱却の意味も含めて、現在、新ブランドの育成に注力しています。また、販路についても再構築が必要です。これまで中心であった卸売販売は、顧客である専門店市場が年々縮小傾向にあり、債権回収リスクも高まってきているからです。
こうした問題について、同社は以前から認識しており解決に向けて取り組んできました。しかし、ミセスブランド事業の落ち込みが想定した以上に早かったこと、及び育成中のヤング・キャリアブランド事業の利益貢献が遅れていること等からここ数年は苦戦が続いています。
ただ、デザイナーが変わり、チームが一新された「ビーシーアミ2001」は、新チームによる秋冬物の展示会が好評の内に終わり、展示会後の受注が予想を上回って推移しています。
今後の成長のカギを握る収益構造改革の進捗状況を、タイムリーにレポートしていきたいと思います。
|