ブリッジレポート
(9374)

ブリッジレポート:(9374)軽貨急配 vol.8

(9374)軽貨急配/ 西原 克敏社長
2005年6月1日(水)

軽貨急配の決算説明会に出席しました。
西原社長が決算の概要及び今後の見通しについて説明されました。


西原 克敏社長

2005年3月期決算

<単体>

(単位:100万円)
 
実績
前期比
売上高
33,959
-10.2%
営業利益
1,237
-0.3%
経常利益
859
-4.7%
当期純利益
-3,390
-

 

<連結>
(単位:100万円)
 
実績
前期比
連単倍率
売上高
39,177
-1.0%
1.15倍
営業利益
1,028
+25.8%
0.83倍
経常利益
656
+24.2%
0.76倍
当期純利益
-3,787
-
-

事業構造改革の推進により売上高はわずかに減少しましたが、販管費を約10%削減(人件費や広告宣伝費等を20~30%削減)したことにより経常利益は24%強増加しました。
38億円弱の最終赤字となりましたが、これは事業構造改革の推進に伴う特別損失の計上によるものです。

 

<セグメント別の動向>
(単位:100万円)
   
実績
前期比
  運送事業
29,422
-0.4%
  開発事業
9,754
-2.9%
連結売上高
39,177
-1.0%
  運送事業
1,534
+33.7%
  開発事業
1,009
-21.1%
  消去
-1,515
-
営業利益
1,028
+25.8%

 

(1)運送事業 : 貨物運送受託業務
(単位:100万円)
 
実績
前期比
一般軽貨物
17,518
-1.1%
軽貨物積合せ
7,811
+6.5%
運輸付帯業務サービス
2,708
-18.6%
その他
1,384
+19.3%
売上高合計
29,422
-0.4%
売上総利益
6,407
+0.7%
営業利益
1,534
+33.7%

軽貨物積合せ部門(サービス名「B2Bエクスプレス」)が順調に拡大したものの、一般軽貨物部門及び運輸付帯サービス部門の売上高が減少しました。これは、開発業務でオーナー・オペレーターの採用審査を厳しくしたため、ドライバーが不足し、一時的に豊富な受注残を捌ききれなくなりました。ただ、採用審査の厳格化により、オーナー・オペレーターが軽トラック購入に際して組むローンの返済延滞による長期未収債権の月間発生件数は、ピーク時の3分の1に減少しました。

ローンの返済が滞ると、同社がオーナー・オペレーターの債務を代位弁済すると共に、担保であるトラックを引き取ることは既に説明した通りです。このため、オーナー・オペレーターの数が減りますが、こうした問題を起こすオーナー・オペレーターは財務内容の悪い方です。つまり、延滞の発生によりオーナー・オペレーターの数が減る中で、採用審査を厳格化して採用を絞り込んだわけですから、ドライバー数が足りなくなったわけです。

しかし、「返済延滞による長期未収債権の月間発生件数がピーク時の3分の1に減少してきた」と言うことは、財務内容の悪いオーナー・オペレーターの淘汰が進み、全体的にオーナー・オペレーターの質が向上してきたことを意味します。このため、延滞による突然の戦力ダウンが少なくなり、足下では稼働率が回復し荷捌きが順調であるとの事です。

(2)開発事業 : 委託事業主開発業務等
オーナー・オペレーターの採用審査を厳しくしたため、商品売上高が減少しました。

 

事業構造改革の概要

事業構造改革のポイントは次の4項目です。

(1)インディペンデント・コントラクター(トラックを所有しない請負スタッフ)方式の廃止
同社が配送業務を委託する個人ドライバー(オーナー・オペレーター)の方は、同社仕様の軽トラックを購入する必要があります(同社では、この方式をオーナー・オペレーター方式と呼びます)。ただ、この初期投資がドライバーの方にとって大きな負担となるケースがあるため、軽トラックを所有しなくてもよい方式、つまり、同社が軽トラックを用意して必要な時に貸し出すインディペンデント・コントラクター(トラックを所有しない請負スタッフ)方式を開発し、導入しました。

インディペンデント・コントラクター方式の導入にあたり、同社は毎月2億円程度のリース料を負担して軽トラック2,000台強を常時確保していました。しかし、請負スタッフの定着率の悪さ等から用意したトラックの稼働率が低く、リース料などの固定費を賄えない状態が続いていました。
このため、同方式を廃止することにしたわけですが、これに伴うリース契約の解約やリース会社向けの貸付金処理などで発生する損失を特別損失に計上しました。


(2)開発事業で発生した長期未収債権の一部譲渡による財務の健全化
ドライバーの方が同社仕様の軽トラックを購入する際に、希望すれば、同社の債務保証の下、信販会社のローン(クレジット)を利用することができます。しかし、返済が一定期間滞るとローン契約は解消され、同社が残金を清算します(保証債務の履行)。担保である車両を回収しますが、代位弁済した債務の全額を回収することはできないため未収債権が発生します。
ドライバーによっては、その後まじめに働き、債務を返済(同社にとって未収債権の回収)する方もいますが、回収が見込めないドライバーの方もいます。今回は後者に対する未収債権を第3者に譲渡し、財務の健全化を進めました。譲渡額は、通常、債権の額よりも低くなりますから、その差額が債権譲渡損として計上されます。


(3)開発事業における保証スキームの改革
事業の拡大と共に保証債務の増加が、事業リスクとして強く意識されるようになって来ました。このため、一段の事業拡大を目指すにあたって、上記保証スキームの全面的な見直しを行いました。
具体的には、オーナー・オペレーターを組織化した軽貨急配事業協同組合を設立し、車両販売等の事業を移管しました。このため、2006年3月期以降、同組合が車両販売に伴うリスクを負うことになりますが、毎期開発事業の収益を拠出して支援を行うと共に、再保証をつける等して同組合の保証リスクの軽減を図っていく考えです。
このスキームの見直しに伴い、信販会社から債権を全額買い取り、買い取った債権の中で焦げ付きそうな債権の処理も前倒しで行いました。


(4)一段の経費削減による収益体質の強化
営業社員の削減、オーナー・オペレーターの募集広告の見直し、事業所の統廃合等による経費の削減も進めました。この成果により、2005年3月期は、1%の減収ながら、営業利益が26%増加しました。

特別損失の内訳は次の通りです。尚、開発代行契約終了に伴う整理損失とは、ドライバーの採用審査の厳格化に伴い開発代行業者も選別を進めたために発生したものです。また、連結調整勘定償却はM&Aに伴うものです。

 

(単位:100万円)
債権譲渡損
996
開発代行契約終了に伴う整理損失
560
貸倒引当金繰入額
2,406
リース解約損
1,799
連結調整勘定償却
324
その他
445
特別損失合計
6,532

 

2006年3月期業績予想

<単体>
(単位:100万円)
 
予想
前期比
売上高
35,407
+4.3%
営業利益
2,450
+138.3%
経常利益
2,021
+227.0%
当期純利益
1,037
黒字転換

 

<連結>
(単位:100万円)
 
予想
前期比
連単倍率
売上高
39,078
-0.3%
1.10倍
営業利益
2,450
+138.3%
-
経常利益
2,145
+227.0%
1.06倍
当期純利益
1,157
黒字転換
1.12倍

 

厳格な採用審査の継続及びリース料収入の減少により開発事業が減収となるものの、運送事業の拡大により、ほぼ前期並みの売上高を確保できる見込みです。運送事業はオーナー・オペレーターの新陳代謝が進み、質・量共に充実してきました。
また、利益面においては、リース料負担がなくなること等から経常利益が3.2倍に拡大する見込みです。

 

<セグメント別の見通し>
(単位:100万円)
   
予想
前期比
  運送事業
31,990
+8.7%
  開発事業
7,087
-27.3%
連結売上高
39,078
-0.3%
  運送事業
2,915
+90.0%
  開発事業
1,008
-0.1%
  消去
-1,473
-
営業利益
2,450
+138.3%

 

経営戦略

(1)非標準・規格外・役務附帯で差別化
同社の配送業務の特徴は、軽トラックに特化し、非標準・規格外の荷物の配送を、組立・設置等の付帯作業と共に提供することです。

(2)「ダブル・アウトソーシング」の確立
荷主企業から受注した配送業務は契約先のオーナー・オペレーター(個人ドライバー)に委託し、同社はオペレーションに経営資源を集中する。つまり、荷主企業が同社にアウトソーシングした業務を、同社がオーナー・オペレーターにアウトソーシングする。それが、同社事業の根幹を成す「ダブル・アウトソーシング」です。

(3)「多機能型ダブル・アウトソーシング」への進化
更に、従来の「軽貨物業界」から10数倍のスケールを持つ「貨物運送業界」全体に視野を広げ、配送のみの単一業務受託だけではなく、輸送・保管・在庫管理・荷役のほか物流に関する顧客サービス・情報サービス等を荷主企業の希望に応じて一括または複数組み合わせて提供する「多機能型ダブル・アウトソーシング」へと進化させていく考えです。
その際、アライアンスやM&A(合併・買収)による業務委託ネットワークを活用して、ノンアセット(資産を持たない)による利用する経営、すなわち「ノンアセット・コントラクト・ロジスティクス」がポイントとなります。


取材を終えて

株式分割(1株を5株に分割)を考慮した今期EPS(一株当たり利益)は22.9円です。分割後の発行済み株式数は5057万株程度(前期末発行済み株式数の5倍)になると思われますが、5月末現在で、3月に発行した優先株30億円のうち6.8億円が普通株約105万株に転換(転換価格は約136円)されています。残り約23億円が180円で転換されると仮定すると、約1290万株増える計算です。既に転換されている105万株が4月以降に転換されたと仮定すると、30億円分全てが転換された場合の発行済み株式数は5075+105+1290=6470万株となり、28%弱株式が増える計算です。この場合のEPSは17.8円。
単純な比較はできないものの、概ね業種的な予想PER(株価収益率)は10~13倍ですから、潜在株式考慮後の同社の予想EPS17.8円をベースに予想PER10~13倍の株価を計算すると、178円~231円となります。つまり、希薄化をある程度シビアに考えても権利落ち直後の株価200円に割高感はありません。一方、配当は年間5円を予定していますから、配当利回りは2.5%となりかなり魅力的と言えます。

一方、今後の業績見通しについては次のように考えます。非標準・規格外・役務附帯を特徴とする同社のサービスは、画一的なサービスを旨とする大手運送会社の宅配便等とは一線を画しています(言い換えれば、差別化されています)。加えて、注力分野である「B2Bエクスプレス」も順調に拡大する等、もともと成長余地は大きかったわけですから、負の遺産の処理を終えた今期以降、成長軌道に服するものと思われます。

http://www.keikaexp.co.jp/