ブリッジレポート
(4955) アグロ カネショウ株式会社

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ブリッジレポート:(4955)アグロ カネショウ vol.14

(4955)アグロ カネショウ/櫛引 博敬社長
2005年8月12日(金)

アグロカネショウの中間決算説明会に出席しました。
櫛引社長が決算の概要及び今後の事業展開について説明されました。



櫛引 博敬社長

 

2005年12月期中間決算概要
<連結>

(単位:100万円)
 
実績
前年同期比
売上高
7,120
+18.2%
営業利益
747
+6.4%
経常利益
713
+15.4%
中間純利益
411
+0.4%

連結子会社 Kanesho Soil Treatment SPRL/BVBA(ベルギー、以下KST)を中心に土壌処理剤の販売が好調に推移しました。
また、引き続き果樹、花卉など園芸農家を中心に技術普及を重視した農家直結の営業方針を堅持し、農家、会員店、販売店と当社グループを密に連結する「トライアングル作戦」を展開することで需要の開拓と販売促進に努めました。


 

<セグメント別の動向>
(単位:100万円)
 
実績
前期比
害虫防除剤
1,671
-0.4%
病害防除剤
2,830
+19.7%
除草剤
1,034
-1.0%
その他
1,583
+68.4%
合計
7,120
+18.2%

 

害虫防除剤
害虫防除剤「ファイブスター顆粒水和剤」、「アルバリン剤」、「レターデン水和剤」及びダニ剤「カネマイトフロアブル」の売上が減少しましたが、「ルビトックス乳剤」、「デミリン水和剤」、「ペンタック水和剤」が増加したほか、新商品「兼商バイスロイドEW」の寄与もあり、売上高は16億71百万円と前年同期比0.4%の減少にとどまりました。

病害防除剤
有機銅剤が減少したものの、販売推進プロジェクト等を展開した「バスアミド微粒剤」、「D-D92」など農業用土壌処理剤が伸長、売上高は28億30百万円と同19.7%増加しました。

除草剤
非農耕地分野における「カソロン剤」が減少したものの、全国的に藻類の発生が多かったことから、「モゲトン粒剤」、「アークエース粒剤」等の水田除草剤の売上が増加、売上高は10億34百万円と同1.0%の減少にとどまりました。

その他
農薬事業関連では、海外向け「カネマイトフロアブル」、「バスアミド微粒剤」の輸出増加に加え、「ダゾメット剤」を中心とした原体バルク販売も増加、売上高は13億円と同38.6%増加しました。このほか、前年同期は連結されていなかった三和化学工業の医薬、動物薬の中間体、機能性材料、他機能性化学品、表面処理剤等の売上高2億83百万円が計上されています。


<所在地別セグメントの動向>

所在地別セグメントとしては、日本と欧州の2区分です。日本は売上高が前年同期比17.9%増の62億57百万円、営業利益 同4.9%増の5億68百万円。一方、欧州では売上高が8億62百万円と同20.2%増加しましたが、仕入価格の上昇等により営業利益は2億47百万円と同19.2%減少しました。

 

2005年12月期業績予想

<連結>
(単位:100万円)
 
予想
前年同期比
売上高
11,800
+9.8%
営業利益
600
+11.9%
経常利益
450
+23.0%
当期純利益
240
+29.0%

 

通期の業績予想に変更はありませんでした。国内外での「バスアミド微粒剤」、「D-D92」の販売拡大により、増収・増益が見込まれます。
海外では、KSTを中心に「バスアミド微粒剤」、「D-D92」の拡販を図ると共に、海外での登録取得が順次進んでいる「カネマイトフロアブル」について、技術普及の徹底により市場開拓を図り早期の販売軌道化を目指します。一方、国内では、「バスアミド微粒剤」及び「D-D92」の拡販を図ります。

 

<セグメント別の予想>
(単位:100万円)
 
予想
前期比
害虫防除剤
2,679
+1.0%
病害防除剤
5,110
+5.7%
除草剤
1,326
-1.9%
その他
2,685
+41.2%
合計
11,800
+9.8%

 

今後の事業展開

(1)土壌処理剤
農業用土壌処理剤として強いブランド力のあるBASF社のダゾメット剤「バスアミド微粒剤」、「D-D92」のワールドワイドでの販売拡大に加え、2008年の上市が予定されて線虫剤「ネマキック」を加えることでラインナップの拡充を進め、土壌処理剤市場での地位強化を図ります。


(2)ダニ剤

主力の「カネマイトフロアブル」は、海外展開を推進中で、米州、欧州、アジア、中東など世界各国で登録申請を行っています。また、ダニの種類は数千種類に及ぶことから、それぞれのダニに応じたダニ剤が必要となります。このため、ラインナップの拡充を計るべく研究開発を進めており、2008年から2012年にかけて新剤が上市される予定です。

①「AKD-1102」
果樹、園芸用ダニ剤。多くの種類のハダニに高い効果が見込まれます。抵抗性(続けて使用することで効果が無くなってしまうこと)がつきにくく、商品寿命が長いのが特徴です。2008年の上市に向けて開発中で、ピーク時の年商10億円を目標としています。

②「AKD-2136」
みかん、りんご、茶のサビダニに効果が高く、ハダニとの同時防除も可能です。同じく2008年の上市を目指して開発中で、ピーク時の年商5億円を目標としています。

③「AKD-2115」
茶、りんご、野菜をはじめ、多種のハダニに効果があり即効性があり、長く効果が続きます。上市予定は2012年、ピーク時の年商15億円を目標としています。


(3)持分法適用会社 セルティスジャパン

今まで取り扱ってきた生物農薬、フェロモン剤(発生予察用)等の取り扱いに加え、この4月よりゴルフ場向けの肥料、農薬を加え、商品ラインナップの拡充を図りました。また、当社グリーン事業部門を移管し、新商品や今後商品化される様々な生物農薬等の市場開発や技術普及及び販売にも注力しいく考えです。


取材を終えて
農薬の生産・販売は減少傾向にあり、販売競争の激化や販売価格の低迷が続いています。しかしながら、農業用土壌処理剤として強いブランド力のある「バスアミド微粒剤」や「D-D92」といった有力商品を有する同社グループの業績は好調です。しかも、近年中には自社開発の線虫剤やダニ剤の上市も予定されており、中期的な見通しも明るいと言えます。