ブリッジレポート
(8911)

ブリッジレポート:(8911)創建ホームズ vol.3

(8911)創建ホームズ 丸本 吉紀社長
2005年10月17日(月)


丸本 吉紀社長

 

創建ホームズの中間決算説明会に出席しました。
丸本社長が、決算の概要、通期の予想、及びビジネスモデルと今後の事業展開等について説明されました。


2006年2月期中間決算概要

<連結>
(単位:100万円)
 
実績
前年同期比
売上高
17,550
+47.1%
営業利益
792
+88.4%
経常利益
595
+65.9%
中間純利益
357
+73.5%

同社の営業エリアである都心部では、地価が下げ止まりから緩やかな上昇局面に転じています。こうした中、「都心回帰」や団塊ジュニア世代の底堅い需要を追い風に好業績が続いています。

中間決算は、主力の戸建分譲事業がけん引役となり期初計画を大きく超過。前年同期比でも大幅な増収・増益となりました。
経常利益の伸びに比べて営業利益の伸びが高いのは、前期まで営業外収益に計上していた賃貸収入を今期から営業収益に計上したためです。
また、6月には埼玉県南部を営業エリアとするふじみ野事業部を開設しました。

(単位:100万円)
売上高
経常利益
当期純利益
前回発表予想 (A)
14,000
420
240
今回修正予想 (B)
17,300
560
320
増減額(B)-(A)
3,300
140
80
増減率(%)
+23.6%
+33.3%
+33.3%
前中間期 実績
11,928
358
206

 

2006年2月期業績予想

<連結>
(単位:100万円)
 
予想
前期比
売上高
37,000
+35.6%
営業利益
1,940
+64.8%
経常利益
1,580
+55.8%
当期純利益
900
+54.1%

通期でも大幅な増収・増益が見込まれます。
この通期予想は中間決算を踏まえて上方修正されたものですが、上期の計画超過分を上乗せしただけで、下期の見通しを変えていません。このため、上振れの余地を残していると考えてよさそうです。

(単位:100万円)
 
売上高
経常利益
当期純利益
前回発表予想 (A)
34,000
1,440
820
今回修正予想 (B)
37,000
1,580
900
増減額(B)-(A)
3,000
140
80
増減率(%)
+8.8%
+9.7%
+9.8%
前期 実績
27,296
1,014
584

 

同社の特徴と今後の事業展開


<ビジネスモデル>

企画、設計、施工、アフターメンテナンスに特化し、土地などの仕入れは不動産仲介会社や人的ネットワークをフルに活用、販売は不動産仲介会社等にアウトソーシングしています。
ただ、今期新設したふじみ野事業部は、エリア内に都内のように有力な販売仲介会社がないこともあり、自社販売を行っています。自社販売は、ユーザーと直接コミュニケーションをとることができるため、創建ブランドを浸透させやすいというメリットもあります。このため、今後、自社販売を他の事業部にも広げていく考えです。

<同社の強みと弱み>
同社の強みは、(1)高品質な商品提供と(2)高い仕入能力です。一方、弱みは、(1)知名度・ブランド力不足と(2)収益性です。

強み(1) : 高品質な商品提供
①社員の60%が設計・施工担当
②設計5人中4人が1級建築士資格保有
③過度な大量企画の回避
④厳格な自社施工基準の設定
⑤ハイニーズ顧客層への豊富な対応実績

強み(2) : 高い仕入能力
①事業部制による権限委譲の浸透 ⇒ 迅速な決済が可能
②販売アウトソーシングによる情報提供網の構築


弱み(1) : 知名度・ブランド力不足
原因:「優れた物件を作ることが何よりの広告」との考えから、これまで広告宣伝を十分に行ってこなかったためです。
対策:東証上場及び広報IR活動の積極化。また、棟数増による規模拡大に努めると共に、①完成度の高い洗練されたデザイン、②社員の好感度、③現場の整理整頓等に留意してブランド力を高めていく考えです。


弱み(2) : 収益性
原因:スケールメリットが未だ不十分なため、購買力が弱いためです。また、意匠性に優れた高品質な建物の設計・施工には一定の熟練度が必要となる為、設計・施工を担う若手社員の戦力化に時間がかかるのもその一因です。
対策:棟数拡大によるバイイングパワーの向上と教育・研修の充実による若手社員の強化に努めます。取り扱い棟数は今期350棟、来期450棟を目標としています。


<事業展開>
(1)地域密着・顧客密着を推進
(2)ターゲット戦略
(3)マンション事業
4)アセットマネジメント事業

(1)地域密着・顧客密着を推進
東京城西・城南地区及び横浜地区を中心に、建売分譲事業、注文住宅請負事業を展開。今期はふじみ野事業部を新設して埼玉県南部に営業エリアを拡大しています。

本店事業部 中野区、新宿区、豊島区、練馬区、板橋区
自由が丘事業部 渋谷区、世田谷区、目黒区、大田区、品川区
東京西事業部 杉並区、武蔵野市、三鷹市、調布市
横浜事業部 東横線沿線、田園都市線沿線
ふじみ野事業部 東武東上線沿線、京浜東北線沿線

(2)ターゲット戦略
安易な低価格戦略に走ることなく、プライス(価格)とクオリティ(品質)のバランスの取れたハイグレードな住宅の供給に努めます。

(3)マンション事業
生活スタイルの多様化に伴う様々なニーズに応えるため、戸建住宅で培ったノウハウをベースに既存エリア内にてマンション分譲事業に着手しました。一定の需要が見込まれる地域に限定して事業を進め、価格競争に巻きこまれ難い比較的高価格帯の商品企画を充実させる考えです。現在、5件のプロジェクトが進行しており、来07/2期には50億円程度の売上貢献が期待できます。

現在進行中のプロジェクト
場所
着工
完成
予定戸数
価格帯
広さ
駅徒歩
西大井
'05/2
'06/2
27
6,000万円
82㎡
4分
西荻窪
'05/11
'06/10
22
7,000万円
90㎡
9分
たまプラーザ
'05/11
'06/11
19+店舗
6,500万円
80㎡
3分
新高円寺
'06/1
'07/1
24
5,500万円
77㎡
12分
たまプラーザ2
'06/1
07/1
34
5,500万円
78㎡
8分

(4)アセットマネジメント事業
高利回り、高品質の賃貸用マンションや商業ビル等を開発し、長期的な安定収入を望む投資家(個人・法人)への1棟売りや同社が自社保有して安定した賃貸収入を得る事を目的にした事業です。
例えば、狭小土地のため同社がマンション分譲には適さないものの、容積率などの条件が良く賃貸物件として高い利回りが期待できるケース等です。1プロジェクトの事業規模は、2~10億円程度を想定しています。
現在、5件のプロジェクトが進行しています。



今後の取り組みと事業計画



<今後の取り組み>

(1)原価削減
新規出店によるエリア拡大戦略や事業領域拡大戦略(マンション事業、アセットマネジメント事業、直販開始、リフォーム事業)を進めることで、売上規模拡大を図りスケールメリットを追求します。

(2)戸建分譲住宅のシェア拡大
創建ブランドの浸透及び知名度の向上を図ります。
今後もますます誠実な家づくりに努めると共に、東証1部上場を視野に入れ、特徴を明確化し同社に対する理解が深まるよう積極的なIR活動に取り組んでいく考えです。

(3)事業領域の拡大
マンション事業やアセットマネジメント事業、直販開始、リフォーム事業を拡大します。マンション事業やアセットマネジメント事業においては、仕入能力をいかし、従来以上に取得用地の面積と用途に幅を持たせ、顧客ニーズに幅広く応えていく考えです。


<事業計画>

既存事業が横ばいとの想定の下、ふじみ野事業部の事業拡大(売上高が25億円から45億円へ増加)とマンション事業の寄与により、来2007年2月期は売上高を今期予想比21.6%増の45,000百万円に拡大させる計画です。経常利益は同39.2%増の2,200百万円、当期純利益同38.9%増の1,250百万円を予想しています。
そして、5年後に売上高1000億円の達成を目指しています。利益面では、売上高経常利益率を毎年0.7~1%程度改善させていく考えです。

(単位:100万円)
 
'04/2実績
'05/2実績
'06/2計画
'07/2計画
売上高
21,541
27,296
37,000
45,000
営業利益
808
1,177
1,945
2,670
経常利益
647
1,014
1,580
2,200
当期純利益
372
584
900
1,250
社員数
124名
143名
165名
190名
備考 自由が丘、横浜事業所開設 自由が丘、横浜事業所開設効果 ふじみ野開設効果。自由が丘拡充 マンション事業寄与


取材を終えて
同社は、田園調布(東京都大田区)等の一等地での1億円を越える戸建住宅など、高額・高付加価値物件の建売を得意としています。「自ら"ブランド力が課題"としている同社が、なぜこれほどのハイグレードな物件を売り切ることができるのか」と疑問に思い方も多いと思います。
こうした一等地の土地取引では、比較的狭小な物件の取引が多いため、大手のハウスメーカーは敬遠しがち。また、郊外で値ごろ感のある物件を得意とするパワービルダーはこうした高額物件には目もくれません。このため、競争が少ないそうです。一方、施主側の立場に立つと、個人では土地の入手自体が難しく、仮に土地が手当てできたとしても、設計、施工等の手配の手間に加え、注文住宅となると建築コストも割高になってしまいます。
こうした背景の中で、同社は地域密着・顧客密着の営業展開により収集した顧客ニーズを物件の仕入や商品開発に生かし、成果を上げてきたわけです。ただ、地域密着・顧客密着型の営業は、エリアの拡大が難しくスケールメリットを追求し難いという問題があります。高額物件を扱っている同社の収益性が必ずしも高くないのはそのためです。このため既存事業エリアの更なる深耕はもちろん、埼玉県南部エリアの開拓や新規事業行の育成に取り組んでいく考えです。

http://www.sohken-homes.co.jp/