ブリッジレポート
(7590) 株式会社タカショー

スタンダード

ブリッジレポート:(7590)タカショー vol.5

(7590)タカショー / 高岡 伸夫社長
2006年3月23日(木)

 

タカショーの決算説明会に出席しました。
高岡社長、松井社長室室長が、決算概要、中期計画、及び事業戦略について説明されました。


高岡 伸夫社長

会社概要

<事業内容>

「やすらぎのある空間づくり」を基本コンセプトに、インドア、アウトドア、緑化、庭園等の環境エクステリアに関する商品など、造園や工務店等の施工業者向けを含めたガーデニング商品の企画・開発、製造、仕入れ、販売を行っています。6割のシェアを持つ人工竹垣をはじめ、商品アイテムは約1万8千点に及び、国内トップクラスの規模を誇ります。
また、エクステリア商品のソフトウェア開発販売、CAD/CGソフトウェアの提供及び処理業務なども手掛けています。

<グループ>

連結子会社 : 9社
国内 : 製造 4社、販社 1社、デザイン 1社
海外 : 製造 1社、商社 1社(いずれも中国)、販社 1社(欧州)

持分法適用会社 : 1社
海外 : 製造 1社(中国)

持分法適用外 : 9社
国内 : 製造 1社、物流 1社、その他2社
海外 : 販社 2社(北米、韓国)、製造・販売 2社(中国)、その他1社

<連単倍率>

売上高 1.04倍、当期純利益 1.74倍


2006年1月期決算概要

<連結>
(単位:100万円)
 
実績
前期比
売上高
11,112
+2.0%
営業利益
528
-0.1%
経常利益
541
+8.7%
当期純利益
305
+13.1%

売上高
前期比10.4%の増収となったガーデンファニチャーや、クリスマス商戦で好調に推移したLED関連商品など新商品が寄与したものの、降雪の影響で下期の売上高が伸びず売上高全体では前期比2.0%の増加にとどまりました。

売上総利益
増収のけん引役となったガーデンファニチャーやLED関連商品等は付加価値が高く、利益貢献も大きいことが特徴です。これら高付加価値加価値の高い新商品の寄与、海外販売会社の売上増加、及び為替予約による仕入原価の低減等で、売上総利益は前期比2億88百万円増加。売上総利益率は、44.9%と1.7ポイント改善しました。

販管費
海外での売上増加や先行投資を積極的に行なったため、支払手数料、人件費、広告宣伝費・販促費、賃借料が増加しました。販管費全体では、前期比2億89百万円の増加です。

(単位:100万円)
主な増加項目
増加要因
増加額
支払手数料 欧州子会社の販売好調に伴うコンテナの増加
+21
代理店手数料の増加
+37
人件費 LED商品のデザイン力強化に向けた人員増加、昇給等
+87
欧州子会社の売上増に伴う人件費の増加
+26
広告宣伝費・販促費 リフォームガーデンフェア拡大による追加費用
+15
賃借料 新商品投入による在庫増に伴う地代家賃の増加
+61

営業利益
下期の売上が伸び悩む中、上記の販管費の増加が負担となり、同0.1%減少しました。

経常利益
為替差益の計上や金融収支の改善により同8.7%増加しました。

当期純利益
貸倒引当金等がなくなり特別損益が改善したことで、同13.1%増加しました。

<ルート別売上 : 単体>
(単位:100万円)
 
中間決算
2006年1月期決算
 
実績
前年同期比
実績
前期比
プロユース
2,764
+3.1%
5,177
-0.3%
ホームユース
3,008
+2.7%
4,646
+0.3%
通信販売
297
+1.7%
451
-3.1%
輸出
140
+25.0%
328
+53.5%

プロユースでは、テーブルセットなど「リビングガーデン」のコンセプトに基づく商品が伸びました。また、ホームユースでは、夏場の日除け商品が好調に推移しました。
ただ、下期は降雪の影響により現場が動かず苦戦しました。

<有利子負債・自己資本比率>
2006年1月末の有利子負債残高は22億14百万円。中国工場の原材料調達資金(1億20百万円)や国内製造子会社の増築に伴う設備資金(1億円)等の資金需要が発生しましたが、有利子負債残高は2005年7月末に比べ1億97百万円減少しました。
自己資本比率は42.9%となり、前期末に比べ3.4ポイント上昇しました。


2007年1月期業績予想

<連結>
(単位:100万円)
 
予想
前期比
売上高
11,921
+7.3%
営業利益
553
+4.7%
経常利益
559
+3.3%
当期純利益
320
+4.9%

増収・増益の予想ながら、素材価格高騰の影響等に配慮した結果、利益面では慎重な予想となりました。
このため、営業利益は前期比4.7%の増加を予想していますが、営業利益率は4.6%と前期に比べ0.2ポイントの低下を見込んでいます。

 

中期計画

(単位:100万円)
 
06/1期実績
07/1期計画
08/1期計画
09/1期計画
売上高
11,112
11,800
12,500
13,500
経常利益
541
555
600
710
当期純利益
305
322
350
410

中期計画の目標は、2009年1月期に売上高135億円、経常利益7億1百万円です。ただ、長期的には売上高200億円、営業利益率10%を目標としています。

 

事業戦略

同社では、中期計画の達成に向けて次のような事業戦略を策定しています。

<市場動向>

団塊世代が定年退職を迎えます。退職金の総額は150兆円と言われており、退職後の豊かな暮らしを実現するための一助としてガーデン市場への資金流入が期待されています。
また、日本では景観・環境に対する認識が遅れており、庭での暮らしが普及していません。このため、日本のガーデン市場の規模は、国内総生産比でドイツ・イギリス等に比べて小さい状態です。しかも、日本のガーデン市場の56%は金属エクステリアが占めています。

(単位 兆円)
 
国内総生産 A
ガーデン市場 B
B/A
日本
530
0.5
0.09%
ドイツ
321
1.2
0.37%
イギリス
253
0.77
0.30%

<コンセプト>

同社では、ガーデン市場には「和風」(眺める庭)と「洋風」(暮らす庭)の二つの市場があり、今後の需要は和風1に対して洋風9と考えています。そして、物置やカーポート、アルミ製品などで埋め尽くされた日本の庭を欧米のような健康的に暮らせる庭、つまりリビングガーデンに変える提案を行っていく考えです。

企業コンセプトは、トータルに人の暮らし方を演出するライフスタイル型&創作型メーカー。ガーデンに特化した、ガーデンの総合メーカーとして、価格や量だけの競争ではなく、販売ルート、組み合わせ、提案、販売手法、価値、デザイン発想など開発と販売の両面から差別化を図り創造的価値を持たせたブルーオーシャン戦略を進めます。言い換えれば、体力を落とす競争をせず、自社の特徴を活かしたビジネスを展開します。


<プロユース事業戦略>

タカショーリフォームガーデンクラブの拡大による販売戦略、及び付加価値の高い人工木『アートウッド』等のフェンス関連商品群、価格競争力を強みとする「e-シリーズ」、更には次世代照明として注目を集めるLED関連商品を中心にした商品戦略を展開します。

①タカショーリフォームガーデンクラブ
庭空間のリメイクを念頭に全国的な販売ネットワーク構築を目指して昨年スタートしたタカショーリフォームガーデンクラブを拡大することで、一般ユーザーの庭づくりをサポートする体制を強化します。
同クラブは、健康的に暮らせる庭、つまりリビングガーデンのコンセプトの下に、モノ(商品)サービスから【困っている】コトサービスをモットーに、お庭のプロフェッショナル集団を目指しています。会員数は、2006年3月22日現在で357社、このうちWEB公開企業数は192社に達しています。

リフォームガーデンクラブの主なサポート内容
・ポータルサイト(検索、広告、リンク、HP作成)
・勉強会、研修会(地域ブロックで開催)
・お店作り・展示場
・販売促進ツール(DVD、3Dソフト、写真カタログ)
・ガーデンリフォームローン(オリコとの提携ローン)
・地域交流会(会員同士の意識と技術の向上)
・その他

②アートウッド
庭での暮らし方をテーマとしたデザイン性の高い高付加価値型のガーデンファニチャーや人工木「エバーアートウッド」などフェンス関連商品群の充実を図ります。

③イーウッド
一方、価格競争に対する商品として、人工強化竹垣ユニット「e-バンブー」、防腐処理をした天然木製品フェンス「e-ウッド」、人工洋風フェンス「e-モクプラ」、壁面に取付ける人工石「e-ストーン」など「e-シリーズ」の販売を強化します。

④LED
次世代照明として注目を集めるLED(発光ダイオード)ラィティングシステムの販売を強化します。前期はクリスマス商戦での販売が好調に推移しました。同社の売上高は上期偏重ですが、LEDライティングシステムはこれを是正し売上高の平準化を図る意味でも有力な商品として期待がかかります。


<ホームユース/通販事業戦略>

より収益性の高い通販及びGMS・専門店チャンネルの拡大とブランディング戦略により事業規模の拡大と収益性の向上を図ります。

①販売チャンネル別市場規模
販売チャネルは、ホームセンター、通販、GMS・専門店、ディスカウント、百貨店に分けることができます。全体の市場規模は推定で200億円、中期計画において市場シェア30%を目指します。

②販売チャンネル別市場動向及び販売・コスト構造
現在、収益性の低いホームセンターがガーデン市場の大半を占めていますが、今後はより収益性の高い通販及びGMS・専門店チャンネルの拡大が予想されます。

③4つのブランディング戦略
ファッションブランド : 人間賛歌(シーンの作れる商品ブランド)
キャラクターブランド : ディズニー
海外専売メーカーブランド : GALE、COOLAROO、FISKARS、エッシャー、Takasho等
自社オリジナルブランド :
G-style(ワンランク上のライフスタイル)、G-next、G-story(ツル性植物関連商品ブランド)、LED GARDEN、GADIS(一般ホーム商品ブランド)、ECOLAND(PB商品、直貿商品ブランド)

・ブランディング戦略による展開

④シーズン提案
春夏、秋冬の2シーズンに分け、商品を提案します。
特に秋冬の提案を強化し、下期の売上増加を狙います。

⑤ロジスティックデザインの構築
ロジスティックを構築することによる物流費・販売管理費の削減を目指します。今期のコンテナ仕入れは、2,400本を予定しています。

ロジスティックデザインのポイント
・中国協力工場よりダイレクトに販売先の物流センターへ納品
・中国自社物流拠点(天津高秀、高秀華南物流、佛山市南方高秀花園製品有限公司)で各協力工場の商品をミキシングしダイレクトに販売先の物流センターへ
・国内4ヶ所の物流倉庫へ中国よりコンテナを分散
<e Baseの導入による商品の改廃>
商品情報が点在していたため、提案資料、販促資料を作成するのに時間がかかっていましたが、e Baseの導入によりこの問題を解決しました。今後は、不回転在庫の処理を加速します。
開発アイテム数は05年度が400アイテム、06年度が350アイテム。現在のアイテム数は登録ベースで36,000アイテム。このうち在庫アイテムは16,000アイテムです。在庫は金額ベースで14億円(海外10.5億円、国内3.5億円)ですが、同社ではこのうち2億円が過剰在庫と考えています。これらを年内に売り切ると共に翌年には廃番とし、07年度の開発アイテム数を決定する予定です。


<青山ガーデン事業計画>

①法人向けサイトのオープン http://www.aoyama-g.co.jp/b2b/
従来から引き合いの多かったレストラン・カフェテリア等の店舗、ホテル・旅館等の宿泊施設、及び結婚式場や各種会館等に対して、インターネット上でも簡単に業務用価格で購入できる窓口の開設が目的です。イメージとしては、ガーデニング用品版アスクルと言ったところです。
ガーデニング用品に関するビジネスモデルとしては他に例がないため、会員登録制を導入し、早期の顧客囲い込みを図る考えです。


②ギフト・雑貨部門の拡充
・フラワーギフトの展開
ギフト色の強い品揃えでガーデニング愛好者の幅広い層にアピールします。また、ガーデン用品の売上が落ちる時期をカバーする効果も期待できます。
・オランダ輸入雑貨の販売プロモーション
オランダのガーデニング雑貨「エッシャーデザイン」の商品を、ギフトショーで引き合いのあった雑貨店やフラワーショップ等に販売していきます。
・他ジャンルとのコラボレーション
他社サイトとのコラボレーションによって、ワインや食器と言った生活・ライフスタイル関連のアイテムを展開します。ガーデニング用品だけでなく、多彩なカテゴリーを扱っていく考えです。


<タカショーヨーロッパ秋冬販売戦略概要>

(単位:100万円)
 
2004実績
2005実績
前期比
2006計画
前期比
1~8月累計
3,156
5,236
+66%
6,710
+28%
9~12月累計
658
694
+5%
1,105
+59%

連結子会社 タカショーヨーロッパは、春夏商戦は順調な伸びを示していますが、秋冬商戦が課題です。このため、各得意先から好評を得ているLED関連商品を立ち上げると共に、メタル園芸品(ワイヤー関連アイテム)商品中心であった秋冬商戦の根本的な見直しを行いました。2006年はLED関連商品をクリスマス商戦に投入すると共に、他社にない売場コンセプト(ドイツの伝統的なクリスマスハウスの提案)をもって売上の拡大を図ります。


<今後の事業展開>

環境、グローバル、デザインをキーワードに事業展開を進めると共に、青山ガーデン事業の推進によりガーデン業界のポータルサイトを目指します。

環境型 LED、炭木、3R、ビオトープ、ソーラー
グローバル NET、物流政策
デザイン 価値創造型 ソフト産業
ガーデン業界のポータルサイト


取材を終えて
現状では、先行投資負担が利益圧迫要因となっています。ただ、高齢化社会の到来を迎えるに当たり、また、ゆとりある社会の創造といった観点からも「人生を楽しく豊かにするガーデニングの素晴らしさを普及させる」余地は大きいものと思われます。「暮らす庭の創造」をコンセプトに「庭空間リメイク」の啓蒙活動に取り組む同社の事業展開を引き続きフォローしていきたいと思います。

http://takasho.jp/

このレポートは公開された企業情報の提供を目的としており、対象企業に対する投資の推奨、勧誘などを目的としたものではありません。投資の最終判断は御自身で行ってください。仮にこのレポートに基づいて投資を行った場合でも、その結果に対し弊社には一切の責任は生じません。