- 株式情報(7/13現在データ)-
株価
|
時価総額
|
発行済株式数
|
単元株数
|
99円
|
7,845百万円
|
79,248,889株
|
100株
|
(注)今期の配当予想は年間5円、配当利回りは5.05%です。
- 連結財務データ推移 - (単位:百万円)
決算期
|
売上高
|
営業利益
|
経常利益
|
当期利益
|
2002年3月
|
32,208
|
2,245
|
2,346
|
1,053
|
2003年3月
|
36,111
|
1,197
|
1,257
|
541
|
2004年3月
|
39,579
|
817
|
528
|
256
|
2005年3月
|
39,177
|
1,028
|
656
|
-3,787
|
2006年3月
|
39,995
|
2,347
|
1,885
|
1,314
|
|
|
7月5日に業績予想の修正とエクイティ・ファイナンスの実施について発表がありました。
同社の今後の戦略と合わせてレポートしたいと思います。
― 目次 ― (各タイトルをクリックすれば直接ご覧いただけます。)
・
コア・コンピタンス(運送事業)への集中
・
2007年3月期業績予想の修正
・
配当は継続
・
エクイティ・ファイナンスの実施
・
今後の戦略
・
取材を終えて
○ コア・コンピタンス(運送事業)への集中
運送事業への集中の一環として、長期未収債権等(長期未収入金、破産更生債権、劣後信託受益権及び割賦売掛金)の譲渡を予定しています。これまでは、同社の営業部員が訪問回収を主体に回収を続けてきましたが、債権回収を続けていくよりも、債権譲渡を行い、営業部員を荷主企業の開拓に専念させた方が、より多くの利益を上げる事ができると判断したためです。
ただ、債権を債権回収会社等に譲渡した場合、電話や書面での催促が中心になるため、これまでの同社の回収率よりも回収率が大幅に低下する見込みです。このため債権回収会社など買取先が行う債権評価額(譲渡価格)は、同社の簿価を大きく下回ることが予想されます。同社ではこの差額(簿価-譲渡価格=譲渡損失)を80億円と想定し、今回の修正予想に織り込みました。債権の譲渡時期は当中間期末ごろを予定していますが、債権の譲渡先はもちろん、譲渡価額等も未だ決まってはいません。債権の譲渡が当中間期までに完了しない場合、また譲渡損失の額に変更がある場合は改めて発表する予定です。
○ 2007年3月期業績予想の修正
・中間期
<連結> |
(単位:100万円)
|
|
<個別> |
(単位:100万円)
|
|
売上高
|
経常利益
|
中間純利益
|
|
|
売上高
|
経常利益
|
中間純利益
|
前回発表
予想(A) |
21,879
|
628
|
280
|
|
前回発表
予想(A) |
18,623
|
600
|
313
|
今回修正
予想(B) |
21,879
|
628
|
-7,720
|
|
今回修正
予想(B) |
18,623
|
600
|
-7,687
|
増減額
(B-A) |
-
|
-
|
-8,000
|
|
増減額
(B-A) |
-
|
-
|
-8,000
|
増減率(%) |
-
|
-
|
-
|
|
増減率(%) |
-
|
-
|
-
|
前年同期
実績 |
19,089
|
1,083
|
578
|
|
前年同期
実績 |
17,581
|
1,010
|
607
|
・通期
<連結> |
(単位:100万円)
|
|
<個別> |
(単位:100万円)
|
|
売上高
|
経常利益
|
当期純利益
|
|
|
売上高
|
経常利益
|
当期純利益
|
前回発表
予想(A) |
45,331
|
1,900
|
1,052
|
|
前回発表
予想(A) |
38,520
|
1,551
|
834
|
今回修正
予想(B) |
45,331
|
1,900
|
-6,948
|
|
今回修正
予想(B) |
38,520
|
1,551
|
-7,166
|
増減額
(B-A) |
-
|
-
|
-8,000
|
|
増減額
(B-A) |
-
|
-
|
-8,000
|
増減率(%) |
-
|
-
|
-
|
|
増減率(%) |
-
|
-
|
-
|
前期実績 |
39,995
|
1,885
|
1,314
|
|
前期実績 |
37,877
|
2,101
|
1,629
|
○ 配当は継続
債権譲渡に伴い特別損失が発生する見込みです。このため、連結、個別共に中間及び通期の最終損益の予想を修正しました。売上高及び経常利益については、当初の予定通りです。
尚、配当については、5月26日の決算発表時に公表した1株当たり年5円の配当を実施する予定です。
○ エクイティ・ファイナンスの実施
7月20日開催予定の臨時株主総会で可決されることが前提となりますが、引き受ける者(リーマン・ブラザーズ・コマーシャル・コーポレーション・アジア・リミテッド)に特に有利な払込金額をもって新株及びMSCB(無担保転換社債型取得条項付新株予約権付社債)を発行することで総額80億円を調達する計画です。
一方、昨年12月に発行し、直近で約39億円の残高がある第2回MSCBは繰上償還されます。このため、実質的な調達額は約41億円にとどまります。調達した資金は、運送会社等を対象としたM&Aや金融サービス拡大のための運転資金に充当する予定です。
総額80億円の内訳(払込期日:平成18年7月24日(月))
1.Ⅳ種種類株式 調達額40億円
特徴は次の2点に集約されると思います。
(1)残余財産の処分に際しての優先権
剰余金の配当を受けることはできませんが、残余財産の処分に際しては、普通株式を有する株主又は普通株式の登録株式質権者に優先して、払込金額である1株当り 10,000円が支払われます。また、会社分割(新設分割又は吸収分割)、合併、事業の全部又は重要な一部の譲渡、株式交換又は株式移転の決議については、Ⅳ種種類株主の種類株主総会(Ⅳ種種類株式が発行されかつ残存している場合に限る)の特別決議が必要となります。
(2)普通株式への転換
Ⅳ種種類株式は2006年7月25日(火)から2011年7月22日(金)の間であれば、普通株式へ転換することができ、毎週転換価格(「普通株式交付価格」)が見直されます。
当初の「普通株式交付価額」は、7月6日(木)、7日(金)及び10日(月)における終値(*)の平均値ですが、2006年7月28日(金)以降、2011年7月15日(金)までの間、毎週見直しが行われます。具体的には、毎週最後の大証取引日を最終日とする3連続取引日の終値の平均値の90%に修正されます。
また、「普通株式交付価額は、当初普通株式交付価額の40%を下回らず、150%を上回らないものとする」とされています。
*終値とは、普通株式の普通取引の最終の約定価格であり、円位未満や呼値の刻み未満は切り捨てられます。
2.第三回MSCB(無担保転換社債型取得条項付新株予約権付社債:第三回社債) 30億円
3.第四回MSCB(無担保転換社債型取得条項付新株予約権付社債:第四回社債) 10億円
第三回社債、第四回社債共に払込金額は、額面100円に付き100円で、利息は付きません。また、普通株式交付価額(転換価額)やその修正については、Ⅳ種種類株式と同じです。
更に、第三回社債は強制取得日と定められた2006年9月22日(金)までにⅤ種種類株式に、第四回社債は同じく同年9月29日(火))までにⅥ種種類株式に振り替わる予定で、これ以降、株主資本に組み込まれます。この場合の当初普通株式交付価額は、強制取得日の前取引日における終値の平均値となります。
○ 今後の戦略
軽貨物運送業の枠を超えた総合物流アウトソーサーとして、貨物運送業全般への展開を進めるため「フォワーディング事業」及び「ロジスティクス事業」を本格化していく考えです。「トラックを持たない運送会社」として、「ノン・アセット経営」と「ダブル・アウトソーシングシステム」という基本を踏まえた上で、顧客の望む最良の方法を選択しサービスを提供していきます。
1.運送事業
フォワーディング事業とは、中・長距離の定期便、チャーター輸送、一般貨物輸送、定温貨物輸送、信書便等の業務を荷主から受託し、グループ企業や協力会社等の委託ネットワーク網を活用し、荷主に最適な運送手段の手配を行う事業です。
ロジスティクス事業とは、荷主のロジスティクス機能(保管、輸送、在庫管理、荷役、顧客サービス、情報サービス、金融サービス等)を包括的に受託し、中長期に渡る契約により、荷主のロジスティクスをトータルで改善する事業です。さらに、同事業では、荷主企業向けの「金融サービス」として、子会社 軽貨ファイナンス・リース株式会社を通じてファクタリング(売掛債権早期資金化)サービスにも取り組んでいきます。
もっとも、同社単独では、ノンアセット経営、ダブル・アウトソーシングシステムを徹底する考えです。このため、M&Aを活用して、上記両事業における委託ネットワーク網の拡充を図ります。この一環として、フォワーディング事業を展開する株式会社プラスパ(現、軽貨エクスプレス株式会社)を、航空貨物を取扱う東京野﨑運輸株式会社(現、軽貨急配マーケットサービス株式会社)を、そしてクレジット会社の株式会社直方ショッピングサービス(軽貨ファイナンス・リース株式会社と合併予定)を買収しました。プラスパの買収は、フォワーディング事業の強化を、東京野﨑運輸及び直方ショッピングサービスの買収は、ロジスティクス事業における、物流及び金融サービスの強化を目的としたものです。
エクイティ・ファイナンスの実施で説明したように、今回のファイナンスで調達する資金は、運送事業拡大のための運転資金(M&A資金及び金融サービスの運転資金)に活用していきます。同社の運送事業は毎期着実に拡大を続けていますが、M&Aによる委託ネットワーク網の拡大やサービスの拡充に努めることで、他の運送会社にはない収益力及び提案営業力を武器に総合物流アウトソーサーとしての更なる成長を目指していく考えです。
2.開発事業
開発事業の主たる業務であるオーナー・オペレーターの開発、養成及び指導を、今期より軽貨ロジスティクス株式会社及び株式会社船井財産トータルサポートに外部委託することにしました。これにより開発事業の人員を運送事業に再配置し、運送事業の一層の営業力強化を図ることが出来ます。また、オーナー・オペレーターの開発による、軽トラックの販売台数計画を従来の7割にとどめ、残り3割の開業希望者には、リースを推進することで、一部、収益の計上基準を回収期限到来基準に移行します。このため、減収が続いていた当事業の売上高は、来期以降、期限到来部分が毎期積み上がっていくため、増収に転じる見込みです。
3.ファクタリングサービス(売掛債権早期資金化)の開始
総合物流アウトソーサーとしての提案力の拡充に向けて、荷主企業に対する新しい金融サービス事業としてファクタリングサービス(売掛債権早期資金化)を稼動しております。
このサービスは、荷主企業の資金回収を支援するのが最大の目的で、荷主企業が荷物の販売先企業(買主)に販売または提供したサービスの対価として発生した売上代金の回収が60日、90日と長期化している売掛金を最短で締め切り後10日に支払い、資金化するというものです。
荷主企業にとっては資金効率が大幅に向上し、キャッシュフローの改善が図れるというメリットを生じるほか、事業拡大の際、新たな資金調達の手段として活用することもできるほか、一方の軽貨急配にとっても、売掛債権額の2~3%の手数料収入が得られる上、何より荷主企業との密接な信頼関係を築くことができ、既存荷主企業の囲い込みや、さらには新規荷主企業の開拓にもつながると見込んでおります。
4.2008年3月期業績予想
(単位:100万円)
|
|
2007年3月
期予想
|
2008年3月
期予想
|
前期比
|
売上高 |
45,331
|
50,000
|
+10.3%
|
内、運送事業 |
38,091
|
42,400
|
+11.3%
|
内、開発事業 |
7,239
|
7,600
|
+5.0%
|
経常利益 |
1,900
|
2,500
|
+31.6%
|
当期純利益 |
-6,948
|
1,500
|
-
|
来2008年3月期は期売上500億円(今期予想比10.3%増)、経常利益25億円(同31.6%)、当期純利益15億円を目指します。
○ 取材を終えて
この類の発表は常に突然ですが、それにしても大幅な業績予想の修正とファイナンスの発表だっただけに驚かれた方も多かったと思います。
ブロードバンド環境が当たり前となり、SOHOや個人事業を立ち上げる方が増え、グローバル化も同時に進む中で、当然ロジスティクスの整備が重要であり、物流業界においても様々動きが見られます。
例えば、ヤマトホールディングスとセイノーホールディングスが共同で3月から始めた企業向け物流事業が、来月にも主要陸運15社を巻き込む大連合に発展したり、陸運・海運・空運の大連合が出来るなど、企業向け・個人向け物流のグローバル化および海・陸・空の物流事業における競争環境も変化し、それぞれのグループ会社の国内・海外の経営資源を有機的かつ効率的に最大限活用しようという動きがみられます。
同社にとっても、このビジネスチャンスを活かして更なる飛躍を図るためには、運送事業への経営資源の集中が不可欠と言うわけです。
キーワードは、「コア・コンピタンスへの経営資源の集中」。
一時的には既存の株主の皆様に大きな負担を強いることは確かですが、長期的な業績拡大を見据えての苦渋の決断であったようです。負の遺産を一掃して、新たな飛躍を期す同社の今後の事業展開に注目したいと思います。
○ 取材を終えて
本日、軽貨急配の臨時株主総会がおこなわれました。また、同日、各議案承認を得た上で、エクイティ・ファイナンスの発行額は50億円とする旨のリリースが出されております。
この件について、同社に取材をしたところ、次のようなコメントを得ましたのでお伝えします。
「当社は、本日、臨時株主総会において、総額80億円の発行決議に関するご承認を頂戴いたしました。しかしながら、株式市場の大幅下落などの市況悪化や当社株式における株価動向を踏まえて、株主の皆様への影響を勘案した結果、80億円のご承認を頂戴しましたが、あえて発行額を50億円とすることにいたしました。なお、ゴールドマンサックス証券引受けの転換社債39億円については、従前どおり償却いたしますので、実質の潜在株式の増加分は、11億円となります。また、予定しておりました特別損失80億円についても変更はなく、今回の50億円の資本増強でも充分です。今後とも業容の拡大に向け、また株主の皆様の御期待に副うべく邁進していきますので、レポートを通じて皆様にもその旨をお伝えください。」とのことでした。
取り急ぎではありますが、追加取材ということで、皆様にご報告いたします。
|