ブリッジレポート
(4767) 株式会社テー・オー・ダブリュー

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ブリッジレポート:(4767)テー・オー・ダブリュー vol.10

(4767:JASDAQ) テー・オー・ダブリュー 企業HP
川村 治 社長
川村 治 社長
企業基本情報
企業名
株式会社テー・オー・ダブリュー
社長
川村 治
所在地
東京都港区虎ノ門 1-26-5 虎ノ門17森ビル
決算期
6月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年6月 12,341 781 784 423
2005年6月 10,705 771 782 465
2004年6月 9,638 781 765 466
2003年6月 9,441 1,103 1,073 537
2002年6月 8,600 940 920 462
2001年6月 7,555 756 730 371
2000年6月 5,995 556 537 238

テー・オー・ダブリュー 基本データ
- 株式情報(9/1在データ)-
株価 時価総額 発行済株式数 単元株数 決算年月 1株配当
710 8,692円 12,242,274株 100株 2006年6月 16.00円
配当利回り PER(連) 1株利益 PBR(連) 1株株主資本(連) ROE(連)
2.25 19.60 36.22円 2.13 332.86円 11.06%

テー・オー・ダブリューの2006年6月期決算について、会社概要と共にブリッジレポートにてご報告いたします。

 

○ 会社概要

イベント企画・制作専門会社の最大手です。企画からイベント本番までをトータルで受託し、イベントを成功に導きます。

イベントが広告ツールとして社会的に認知され始めたのは、大阪万博以降であると言われており、それから30年間、同社は今日まで常に業界のリーダーシップを取りつづけてきました。「ウォークマン(第1号モデル)発売キャンペーン」、「東京湾横断道路(アクアライン)開通記念式典」、「Windows95発売キャンペーン」、「FIFA2002ワールドカップ抽選会」など豊富な実績を誇ります。

 

<沿革>

1974年10月、慶応義塾大学在学中から大学祭・コンサート等の企画・運営について活動していた川村(現)社長が、卒業前に日本で始めての「ミス・キャンパスコンテスト」を開催。女子大生が公の場で水着姿になったことなどで社会的に大きな話題となりました。

1976年7月、「ミス・キャンパスコンテスト」でイベント企画・制作者として幅広く注目を集めた川村社長が、真木(現)副社長とともに有限会社テー・オー・ダブリューを設立。コンサートの企画・実施、販売促進の企画及びコンサルタントを中心にイベント制作業務をスタートしました。81年、ソニーのウォークマン(第一号モデル)の発売キャンペーンを博報堂より受注。89年、昭和から平成への新たな時代の到来を契機に、株式会社に改組。その後、博報堂の各部局をはじめ、電通など他の大手広告代理店との取引が拡大。2000年7月に、株式を店頭登録(現、ジャスダック市場に上場)しました。

 

<特徴>

同社では「企画」・「制作」の分業体制が確立しており、各部署におけるエキスパートが専門的な立場でそれぞれの業務を行っています。イベント会社の多くは、一つの案件に対し、担当者が企画から実施までほぼ一貫して行うため、数多く扱うことができず、内容もパターン化してしまいがちです。これに対して、同社は2部門が独立しているため、一度に多くの業務(年間1100本の企画構築)をこなすことができ、それはノウハウの構築やアイデアの創造という点で大きな意味を持っています。

2006年6月期連結ベースの品目別売上高構成比は、販促58.2%、広報17.4%、博展10.7%、制作物12.0%、文化・スポーツ0.9%、企画売上高0.8%。

 

<業務フロー>

 

 

 

○ 2006年6月期決算概要

<連結>

(単位:100万円)
 
実績
前期比
売上高
12,341
+15.3%
営業利益
781
+1.3%
経常利益
784
+0.2%
当期純利益
423
-9.1%

 

<個別>

(単位:100万円)
 
実績
前期比
期初計画
計画比
売上高
11,839
+11.9%
11,400
+3.9%
営業利益
733
-0.9%
624
+17.5%
経常利益
756
-1.7%
621
+21.7%
当期純利益
413
-10.8%
336
+22.9%

増収ながら、営業・経常利益はわずかに減少しました。

業績の改善等を背景に企業の広告宣伝活動が活発化しており、期初計画を大きく上回る着地となりました。

当期純利益の減少幅が大きいのは、前期は投資有価証券売却益(60百万円)を特別利益に計上しているためです。

 

 

○ 2006年6月期の傾向・特色

1.若手の成長

2.体制強化

 

1.若手の成長

(1)営業面での成長

(単位:件数)
 
当中間期
(05年12月)
05年6月期
06年6月期
~1000万円
394
611
744
1,000~2,000万円
73
127
146
2,000~5,000万円
50
107
97
5,000~1億円
17
29
32
1億円~
7
7
13
合計
541
881
1032

顧客の信頼度も上昇した若手の活躍により2,000万円以下の小型案件が大幅に増加しました。大手代理店のこれまで取引がなかった担当者や中堅代理店の開拓で成果が上がっています。小型案件で実績を積むことが、今後の中型案件や大型案件の受注につながります。

 

①小型案件(~2,000万円)は大きく増加

若手社員の積極的な営業・案件受注による、代理店からの信頼度向上が、1,000~2,000万円案件の増加に現れています。

小型案件は若手社員でも案件管理ができるため、利益確保が可能です。

 

②中型案件(2,000万円~5,000万円)は微減

中堅社員が若手社員の教育(細かい業務管理)に注力した結果、わずかに減少しましたが、若手社員の更なる成長により、今後、解消される見込みです。

 

③大型案件(1億円以上)は増加

主に万博関連です。このような大型案件は減少傾向にあります。

 

(2)企画面での成長

(単位:100万円)
 
2005年6月期
2006年6月期
競合
347件
4,750
423件
4,470
提案
113件
1,197
126件
2,263
指定
421件
4,510
483件
4,998
合計
881件
10,456
1032件
11,732
*企画売上は除く

若手社員を積極的に企画案件へ投入した結果、競合案件は件数が増加する一方、金額が減少しました。ただ、代理店からの信頼度、企画力の認知度は着実に高まりつつあります。それが提案案件及び指定案件の件数・金額の増加につながっています。若手社員の信頼度及びTOWブランドの向上により、指定案件・提案案件の受注の増加に努めます。

 

(3)制作面での成長

これまで低下傾向にあった粗利率が21.0%と前期比0.5ポイント改善。粗利率に底打ち間が出てきました。

大型案件があったため、低営収案件(粗利率15%未満)平均粗利率は、前期の7.94%(18.3億円)から7.36%(31.4億円)に低下しましたが、通常案件(同 15%以上)の平均粗利率は25.4%から26.0%に改善しました。

 

 

2.体制強化

2006年6月期は、“ 従来の本部長 + 若い副本部長 ”による新体制で臨みました。

第一本部                         → 秋本本部長 + 小関副本部長

第二本部                         → 草柳本部長

第三本部                         → 小林本部長 + 大山副本部長

SP戦略本部                    → 草柳本部長 + 枡森副本部長

 

販売促進(SP)部門が順調に拡大した事に加え、広範囲にわたる各業種への受注体制の整備が進みました。また、企画人員の増強が奏功し、企画勝率は3割超を維持しました。

 

(単位:100万円)
     
2005年6月期
2006年6月期



  博展
858
1,312
文化・スポーツ
232
112
広報
2,321
2,056
SP 販促
5,477
6,825
  制作物
1,568
1,424
  合計
10,456
11,732
*企画売上は除く

(単位:100万円)
 
2005年6月期
2006年6月期
情報・通信
2,921
27.9%
2,924
24.9%
食品・飲料・嗜好品
1,011
9.7%
747
6.4%
化粧品・トイレタリー
725
6.9%
1,186
10.1%
自動車
1,913
18.3%
1,955
16.7%
精密機器・その他製造
485
4.6%
835
7.1%
官公庁・団体
1,396
13.4%
1,271
10.8%
金融
513
4.9%
618
5.3%
流通・小売
386
3.7%
477
4.1%
その他
1,106
10.6%
1,714
14.6%
合計
10,456
100.0%
11,732
100.0%

 

 

○ 2007年6月期業績予想

<連結>

(単位:100万円)
 
予想
前期比
売上高
12,465
+1.0%
経常利益
843
+7.5%
当期純利益
457
+8.0%

 

<個別>

(単位:100万円)
 
予想
前期比
売上高
12,252
+3.5%
営業利益
851
+16.0%
経常利益
853
+12.7%
当期純利益
472
+14.0%

増収・増益の予想です。

期首受注残高は47億85百万円と前期比6.9%の減少ですが、前年同期は万博などがあったため特に水準が高かったと言えます。もっとも、受注確度が50%以上の案件及び企画競合案件は、前年同期の33億35百万円に対して、44億34百万円と11億円程度増加しています。

 

 

○ 2007年6月期の取組み

1.大手代理店との関係強化

2.SPメニューによる中堅代理店拡大

3.若手成長ステップ

4.社内環境の整備

5.TOWブランド戦略

 

(単位:億円)
 
2005年6月期
2006年6月期
2007年6月期
博報堂
30.7
33.1
34
電通・電通テック
35.2
41.9
42
ADK
12.1
12.2
15
中堅代理店
16.6
21.7
24
直クライアント
11.3
9.5
7.5
合計
105.8
118.4
122.5

 

1.大手代理店との関係強化

(1)博報堂グループとの関係強化

①組織営業基盤の拡大

イベント部署・SP担当部署に対して、専任担当常駐の拡大を図ると共に、イベント・SP制作子会社に対しては担当者の非常駐設定を行ないます。

 

②博報堂グループの戦略ヘの対応

博報堂プロタクツ、博報堂ケトル、博報堂BX、読売広告社等、グループ会社、子会社対応の担当チームを設定します。

 

③既存クライアントを中心にSP戦略展開

イベント実績のある主要クライアントに対してのSP提案による深耕を図ります。

 

(2)電通の完全子会社となった電通テックへの徹底対応

プロモーション業務、イベント、SPツール、印刷等を行なう電通テックの完全子会社化に対応して、同社の担当チームを部署対応に再編し、電通テックへの対応の徹底を図ります。

 

(3)ADK(アサツーディ・ケイ)

ADKの営業部門、SP部門、その他メディア部門に対して、プロモーションツール、イベント、その他SPメディア等による360度コミュニケーションアプローチに取り組みます。

 

2.SPメニューによる中堅代理店拡大

企画からSP制作メニューの全てを揃えたワンストップサービスの提供により、取引の拡大を図ります。また、店頭プロモーション市場の拡大による中堅代理店のSP業務拡大に対応し、大規模な販促業務をこなせるよう機動力、ネットワークを強化します。更に、店頭ツール、プレミアム、Web制作メニューなどSPメニューの拡充により、営業接点及び営業機会の拡大を図ります。

 

3.若手成長ステップ

若手の育成は最終段階を迎えたと言えます。今期を若手社員教育の総仕上げの期と位置づけ、中型及び特定の大型案件を若手社員で対応させます。このため、該当案件については低営収が予想されます。

 

4.社内環境の整備

社内環境整備の一環として、①企画部の制設、②イベント制作強化、③新人事制度の導入に取り組みます。

 

①企画部の制設

プランナーズスクールからの採用・育成による3チーム体制を計画しています。

 

②イベント制作強化

ドメイン(演出・演出制作・制作)型組織の明確化と若手を中心に各組織の充実を図ります。

 

③新人事制度の導入

適材適所への配置による成長とモチベーション向上を図ります。

 

5.TOWブランド戦略

TOWブランド戦略として、出版、オペラ事業に取り組むと共に、第2回日本イベント大賞において特別協力制作賞を新設し受賞者に副賞賞金を贈呈することで業界の発展に寄与します。

 

①出版 ⇒ 今期、3冊の出版

・「迷える消費時代の展示会読本」      本年9月出版予定

・「営業演出家」                                 本年暮れ出版予定

・「プロモ一ションサイエンス(未定)」   来春出版予定

 

②オペラ事業「ローマ歌劇場日本公演」             本年9月公演予定

 

③第2回日本イベント大賞

業界の発展を支援するため、第2回日本イベント大賞において特別協力制作賞を新設し、受賞者には副賞賞金100万円を贈呈します。

 

 

○ 取材を終えて

若手社員が戦力化しつつあるなか、景気や企業業績の回復を背景に企業の広告宣伝費や販促費が増加傾向にあります。また、今秋には携帯電話のナンバーポータビリティも始まり、キャリア各社のキャンペーンが本格化してくるものと思われます。今期は増収・増益の予想ですが、戦力の充実と事業環境の好転により中期的な業績拡大期待も高まっています。


http://www.tow.co.jp/

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