ブリッジレポート
(1754)

ブリッジレポート:(1754)東新住建 vol.12

(1754:JASDAQ) 東新住建 企業HP
深川 堅治 社長
深川 堅治 社長
企業基本情報
企業名
東新住建株式会社
社長
深川 堅治
所在地
愛知県稲沢市高御堂 1-3-18
決算期
6月
業種
建設業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年6月 90,857 2,183 1,255 -147
2005年6月 72,227 3,130 2,518 1,328
2004年6月 58,925 2,567 2,010 989
2003年6月 43,418 1,932 1,629 628
2002年6月 36,722 1,503 1,205 506
2001年6月 31,704 496 230 49
2000年6月 25,736 1,299 1,028 534

株式情報(9/4現在データ)
株価 時価総額 発行済株式数 単元株数
1,735円 22,600百万円 13,026,000株 100株
東新住建の2006年6月期決算について、会社概要と共にブリッジレポートにてご報告いたします。

会社概要
 
独自の商品と独自のシステムを駆使して、事業エリアを拡大中のホームビルダー。東海3県では、8年連続住宅着工戸数No.1(シェア14%)の実績を誇ります。首都圏、近畿圏で営業エリアの拡大余地が大きい事、及びテラスハウス(メゾネット)形式等を取り入れた分譲住宅(商品名「デュープ」)や高収益の賃貸住宅建築(商品名「ザ・借家」)など独自の商品、そしてHRB システムに代表される独自のシステムが同社の特徴です。
HRB システムとは、土地仕入から売上代金回収までの期間短縮を追求した短期回転型分譲戸建システムで、強い供給力と優れた回収力を実現しています。
 
<事業セグメント>
事業は、戸建やマンション分譲の分譲不動産販売事業、賃貸住宅や注文住宅の住宅建築請負事業、及び不動産売買仲介や不動産管理等で子会社が展開する兼業事業に分かれます。
 
<強み>
(1)分譲不動産販売事業
・HRBシステム(短期回転型戸建事業)による強い供給力と優れた回収力
・分譲戸建新設着工棟数において東海3県で8年連続No.1の実績
・都市型戦略商品「デュープ」の開発・販売
(2)住宅建築請負(ザ・借家)事業
「高品質・高収益・低家賃」を実現するメゾネットに特化した商品群
 
<マーケットの状況>
競合先は、分譲不動産販売事業では、パワービルダーや大手ハウスメーカーです。また、ザ・借家事業では、リース建築業者、大手ハウスメーカーです。
2002年度には愛知県で6位であった住宅着工棟数が、2005年度にはトヨタホーム、積水ハウスに次ぐ3位に上昇しました。
 
2006年6月期決算概要
 
<連結>
 
増収・減益となりました。
売上総利益が計画比未達成となる一方で、販管費が増加したことが要因です。
また、減損損失及び前期損益修正損など特別損失7億90百万円を計上しました。
 
<計画との比較>
1.売上総利益未達額 11億95百万円
主な未達要因
(1)土地仕入価格の上昇 約6億円
(2)資材調達コストの上昇 約2億円
(3)競合激化による値引 約4億円
 
2.販管費増加要因
販管費超過 10億62百万円
主な超過要因
(1)積極的な拠点展開14拠点新規開設 約1億円
(2)人件費・採用関係費等の増加380人増加(前期末比) 約1億円
(3)競合激化による広告宣伝費の増加 約6億50百万円
 
<特別損失>
特別損失7億90百万円
(1)減損損失 3億87百万円
(2)前期損益修正損 3億28百万円
 
 
売上債権 回収強化により減少
棚卸資産 2007年6月期売上達成のための在庫・仕掛品(順調な用地確保)
有形固定資産 増産体制整備のため工場用地取得及び人材育成強化を見据えた教育研修施設の取得
短期借入金 積極的に分譲用地を購入したため増加
 
 
2007年6月期業績予想
 
<連結>
 
増収・増益の予想です。
売上総利益の向上と経費削減に努めます。
 
<セグメント別売上高予想>
 
請負事業強化により、財務体質改善に努める他、首都圏の戸建において利益重視の姿勢で望みます。
 
2006年6月期までの戦略
 
財務レバレッジを効かせ、積極的な拡大路線を進めてきました。この結果、2008年6月期の目標としていた連結売上高1,000億円を、1年前倒しで2007年6月期に達成できる見通しです。また、営業ネットワークも仙台~宝塚まで45拠点に拡大しました。
 
 
今後の取組み
 
生産性の向上と高付加価値の商品づくりに取り組んでいく考えです。
 
<3工場体制の確立>
稲沢、名古屋北、上海の3工場本格稼動 → 高品質・高付加価値パネルの供給
 
<ザ・借家事業>
高入居率 → 設定家賃アップ → 粗利改善
名古屋北工場から、ザ・借家の新パネル供給
請負事業強化によるキャッシュ・フローの改善
 
<分譲不動産販売事業>
高付加価値商品(ハイトス工法)による粗利益アップ
首都圏における新システムの運用
 
<注文住宅事業>
ダグラスシリーズ新商品の投入→中部圏・関西圏において高付加価値商品による高粗利益確保
 
<投資>
2006年6月期までは、スケールメリットを追及し積極的な投資を行ってきましたが、2007年6月期以降は、先行投資費用の回収と利益創出に努め、金利上昇リスク及び資材高騰リスクの吸収を図ります。
 
 
取材を終えて
地価や金利の上昇によりハウスメーカーを取り巻く環境は、一時期とはかなり風向きが変わってきたようです。このため、売上高1,000億円の達成に1年前倒しで目処をつけた同社が、今期以降、先行投資費用の回収を念頭に利益重視の経営に舵を切るのはもっともなことと思います。長期的には右肩上がりの業績も、期によっては山あり谷あり。大切なことは事業環境の変化を見極め、「谷の部分をいかに浅く小さくするか」ではないでしょうか。
前期は利益の減少幅が大きかったため、見え難かったものの、中国工場が原価低減に大きく寄与した模様です。5期ぶりの減益となったから利益重視に戦略を転換すると言うのではなく、業績絶好調で拡大路線を疾走していた前期以前からコスト低減に向けた取り組みを始めていたわけです。前期は大幅な減益となりましたが、政策が後手に回っているわけではありませんから、過度に不安視する必要は無いと思います。