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(3031:東証マザーズ) ラクーン 企業HP
小方 功 社長
小方 功 社長

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企業基本情報
企業名
株式会社ラクーン
社長
小方 功
所在地
東京都中央区日本橋箱崎町27-2
事業内容
ネットを利用した問屋。衣料、雑貨の製造業者や輸入業者と小売店を仲介
決算期
4月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年4月 2,289 131 95 122
2005年4月 1,247 26 23 45
2004年4月 890 -56 -57 -58
2003年4月 621 -104 -105 -130
2002年4月 494 -192 -193 -200
2001年4月 204 -171 -175 -179
株式情報(11/10現在データ)
株価 時価総額 発行済株式数 単元株数 決算データ年月 1株配当
367000円 3,270百万円 8,910株 2006年4月
配当利回り PER 1株利益 PBR 1株株主資本 ROE
18.88倍 19,438.45円 2.66倍 137,820.94円 17.62%
ラクーンの2007年4月期第1四半期業績について、会社概要と共にブリッジレポートにてご報告いたします。
 
会社概要
 
インターネット上のB2B(企業間電子商取引)市場であるeマーケットプレイス(Webサイト)の運営企業です。
具体的には、アパレル、雑貨、家電を中心にメーカー、インポーター等(以下、出展企業)の取扱う商品を、「スーパーデリバリー」及び「オンライン激安問屋」のWebサイトを通じて全国の中小規模の小売店(以下、会員小売店)に販売しています。
 
 
(会員数等のデータは2006年7月31日現在)
 
<沿革>
1993年9月、ラクーントレイドサービスとして創業、2年後の95年、有限会社化されました。翌96年に株式会社化すると共に現社名へ変更。98年8月に「オンライン激安問屋」を、02年2月に「スーパーデリバリー」を、それぞれ開設。06年4月に東証マザーズに株式を上場しました。
 
<事業内容>
1.オンライン激安問屋 1998年8月サービス開始
アパレル、雑貨及び家電のアウトレット品を取扱っています。商品は全て同社の倉庫で検品した後に出荷されます(商品の検品、小分け、発送は同社が行います)。出展企業は過剰在庫を安全かつ効率的に処分できます。また、会員小売店は格安な価格で高品質な商品の仕入ができます。
出展企業と売上を折半し、同社は、決済手数料、配送料、検品・出荷コスト、商品保管スペースの賃料を負担します。
 
 
2.スーパーデリバリー 2002年2月サービス開始
アパレル、雑貨及び家電の新製品及び流行品を取扱っています。商品は出展企業から会員小売店に直送され、同社は代金の決済を行います。出展企業は地方・中小小売店との取引でネックだった決済機能、営業コスト、事務処理の手間を解消することできます。また、出展企業が許可した会員にのみ卸値等の情報開示を行うため、ブランドイメージのコントロールが可能です。一方、会員小売店は多様な旬の商品の仕入ができます。
同社は受注・出荷のデータ処理と決済のみを担当するため、「激安問屋」と比べ少ない負担で運営できます。出展企業に債権の回収リスクはなく、同社がリスクを負うことになりますが、信販・クレジット・保証会社を利用することでヘッジしています。
小売店は月額2,000円の小売店会費を負担します。また、出展企業は月額4万円の出展基本料と「スーパーデリバリー」での取引金額の10%をシステム利用料として負担します。一方、同社が負担するコストは決済手数料のみです。
 
 
3.両事業の位置づけ
「スーパーデリバリー」を主力事業と考え中長期的にも事業規模の積極的な拡大を図っていく方針です。一方、「オンライン激安問屋」は商品の検品作業など物流コスト等の負担が比較的大きい事業です。このため、「スーパーデリバリー」への入り口として位置づけ、売上高の成長よりも利益率及び効率性の向上を重視していく考えです。
 
<繊維・住関連の小売店向けマーケット>
平成14年度商業統計をもとにした同社の独自の試算では、従業員4名以下を同社の対象小売店とした場合、同社の潜在的マーケットは6.6兆円(卸値ベースで約4.6兆円)と推計されます。
 
 
2007年4月期第1四半期業績
 
<非連結>
 
増収・減益となりました。
売上総利益率が前年同期の32.5%から25.4%に低下しましたが、これはスーパーデリバリーの売上構成比の上昇によるものです。
また、営業利益以下の各利益段階で前年同期の実績を下回りましたが、これは先行投資及び一時的要因によるものです。具体的には、人員増強による人件費の増加(営業、技術、出展企業フォローの人員)、及び株主総会、有価証券報告書等、第1四半期特有のコストです。
 
<スーパーデリバリー>
同社が重視している指標である会員小売店数、出展企業数、商材掲載数が順調に拡大しています。また、購入顧客数も順調に拡大しましたが、天候不順等の影響で客単価に伸び悩みが見られました。
 
会員小売店数 7,030店舗 (06/4から737店舗増加)
出展企業数 498社 (同 79社増加)
商材掲載数 64,382点 (同 14,362点増加)
商品売上高 477,449干円 (前年同期比115.2%増加)
 
<オンライン激安問屋>
現在、買取仕入から消化仕入への移行の過渡期にあり、一時的な商品の偏り等が発生し売上高の伸びが小幅にとどまりました。ただ、足下の売上総利益率は上昇傾向にあり、第2四半期以降の売上総利益率の改善が見込まれます。
 
売上高 168,569千円 (前年同期比10.9%増加)
売上総利益率(粗利率) 41.6% (緩やかな上昇傾向)
 
従来からの買取仕入では、同社が出展企業から商品を買取って販売します。出展企業から買取った商品を、通常の販売方法及びオークション販売を利用して、完全に売り切ってしまいます。但し、オークション販売においては、仕入価格が仕入の段階で決まっている一方、オークションの販売価格は安定していないため、結果利益率が安定し難いと言えます。
一方、消化仕入でも通常の販売方法及びオークション方式で会員小売店に販売致します。しかし、消化仕入の場合は、オークションも含めた販売価格の総額を出展企業と折半(50%マージン)とするので、結果利益率は安定的に50%程度となります。また、消化仕入の場合は、煩わしい価格交渉等が必要ないため、非常に効率的な在庫処分方法と言えます。
このため、同社は買取仕入から消化仕入へのシフトを進めています。現在、消化仕入による売上が全体の45%にまで高まってきており、オンライン激安問屋の売上総利益率も上昇傾向にあります。同社では、消化仕入の構成比を早期に70%にまで引き上げる考えです。
 
<四半期売上高の推移>
 
スーパーデリバリーの売上構成比が順調に上昇しています。通期では80%強を予定しています。
 
<貸借対照表>
 
 
1.消化仕入への移行により、買取在庫が大幅に減少しました。
2.システム投資等により、無形固定資産が増加しました。
3.借入金返済により固定負債が減少しました。
 
<キャッシュ・フロー>
 
売上債権や棚卸資産の減少などによる資金効率の改善により営業活動によるキャッシュ・フローが黒字化しました。一方、システム投資等により投資活動によるキャッシュ・フローのマイナスは拡大しました。財務活動によるキャッシュ・フローがマイナスとなったのは、借入金の返済によるものです。
 
各事業の状況
 
<スーパーデリバリー http://www.superdelivery.com/
1.売上高推移
 
事業拡大に伴う商品売上高の構成比上昇により、スーパーデリバリー全体の粗利率が低下(22.0%→20.2%)しました。
 
2.経営指標と商品売上高の関係
 
3.購入者数と客単価の推移
 
会員の増加に伴い購入客数が増加したものの、天候不順等の要因で客単価が伸び悩みました。
 
4.会費売上高と会員小売店数の推移
 
堅調な会員の増加により小売店会費売上も増加しました。
 
5.出展初期費用と更新料の推移
 
・出展初期費用は、契約書回収遅れ等により売上計上に遅れが発生しました。また、前期末に(上場承認のご祝儀もあり)前倒しで契約を締結した案件が多かったことも減少の要因です。
・出展更新料売上の発生2期目に入りました。順調に拡大しています。
 
<オンライン激安問屋 http://www.raccoon.ne.jp/>
1.売上高推移
 
買取仕入から消化仕入へのシフトの影響もあり、売上は減少したものの、売上総利益率は回復傾向にあります。
 
2.購入者数と客単価の推移
 
客単価、売上客数ともに減少。消化仕入への移行による商材の偏りが一因です。
 
中期経営戦略(2007年4月期〜2010年4月期)
 
1.中期経営戦略の骨子
(1)「スーパーデリバリー」の会員小売店数の拡大と、小売店獲得のための積極投資
(2)「スーパーデリバリー」の新規出展企業に対する料金体系の変更
(3)会員小売店及び出展企業のユーザビリティ向上のための積極的なシステム投資
 
(1)「スーパーデリバリー」の会員小売店数の拡大と、小売店獲得のための積極投資
「スーパーデリバリー」は、アパレル及び雑貨の製造業者及び輸入業者を中心とした出展企業が、地方及び小規模小売店を中心とした会員小売店に対して効率よく販路拡大を行うことを目的としています。このため、「スーパーデリバリー」の事業規模の拡大には、会員小売店及び出展企業数の拡大が不可欠です。
 
出展企業数の獲得については、東証マザーズ上場による信用力や知名度の向上により獲得ペースが加速していますが、会員小売店の獲得ペースに関しては上場前後であまり変化がなく、最近では出展企業数の拡大ペースと会員小売店の拡大ペースのバランスが崩れ始めているそうです。需給バランスの乱れが長く続けば、将来的には供給過多となり出展企業数が十分な販売機会を得ることができなくなる可能性があります。
また、競合するサービスを提供する企業が複数社出現しており今後の競争激化が予想されます。こため、今後の競争優位性の維持及び向上のために早期に会員小売店数を拡大し、マーケットシェアの向上を図ることが必要であると考えました。
 
同社は出展企業の満足度低下を事前に回避すると共に、事業拡大ペースを加速し競争優位性を確立する事で中長期的な売上・利益の拡大を目指します。このため、2010年4月期までを会員小売店数拡大に向けた投資期間と位置づけ、会員小売店獲得のための広告を中心に積極投資を行うことにしました。
2010年4月期末の会員小売店数27,500 店舗を目標に掲げ、この間の広告宣伝等集客のための投資額を5 億円程度積み増す考えです。
 
(2)「スーパーデリバリー」の新規出展企業に対する料金体系の変更
収益構造の強化を図るため、「スーパーデリバリー」の出展企業に対する料金体系を下記の通り変更します。尚、料金体系の変更は今後の新規出展企業に対してのみ適用し、既存出展企業には適用しない予定です。
 
 
(注1) 出展時に参加費用として徴収。
(注2) 新規出展から1 年経過以降、毎年契約更新時に徴収。
(注3) 出展後、毎月定額徴収をする予定。
(注4) 「スーパーデリバリー」での取引金額の10%を徴収。
 
(1)料金体系変更の狙い
月次の安定収益を確保する事、及び出展企業獲得時の障壁となっていた初期費用を廃止することで出展企業獲得の促進を図る事、の2 点です。
 
(2)料金体系変更の影響
短期的には出展初期費用の売上計上がなくなることにより、売上、利益ともに当初予想よりも減少します。ただし、中長期的には出展企業基本料売上高が現在の出展初期費用売上高を超過し、売上、利益とも変更前に比べ増加することを想定しています。
具体的な出展企業数の目標を、2010年4月期末1,700社としています。
 
(3) 会員小売店及び出展企業のユーザビリティの向上を図るための積極的なシステム投資
上記、(1)、(2)の施策が中長期的に成果を上げるためには、会員小売店にせよ、出展企業にせよ、継続して同社のシステムを利用してもらう必要があります。そのためにはユーザビリティの向上により顧客満足を高めていく必要があります。その顧客満足度の根幹を成すシステム開発に積極的に投資していく考えです。
 
2.中期経営戦略数値目標
(1)売上高、経常利益及び当期純利益の目標値
 
収益基盤の確立に向けた積極投資により07/4期、08/4期と赤字が続く見込みですが、09/4期に黒字転換し、営業レバレッジが効いてくる10/4期は利益が急増する計画です。
 
(2)売上高の内訳
 
「スーパーデリバリー」をけん引役に業績を拡大させます。「オンライン激安問屋」は「スーパーデリバリー」の入り口として位置づけ、売上高の成長よりも利益率及び効率性の向上を重視していく考えです。
 
(3)前提となるスーパーデリバリー会員小売店数、出展企業数及び商材掲載数
 
「スーパーデリバリー」の事業拡大には、会員小売店数、出展企業数、商材掲載数の増加が不可欠です。
 
3.その他
(1)業績予想の修正
上記の中期経営戦略を進めるため、目先的には業績は下振れせざるを得ません。下記の通り中間及び通期の業績予想を修正しました。
 
 
(2)会員小売店数、出展企業数、商材掲載数の開示
2006年9月度より、「スーパーデリバリー」会員小売店数、出展企業数、及び商材掲載数の月次開示を開始します。
下記URLにて、9月度の状況が開示されています。
 
http://ir.eol.co.jp/EIR/3031?task=download&download_category=tanshin&id=390857&a=b.pdf
 
(3)役員持株会設立に関して
同社取締役が役員持株会を設立し、役員報酬のうち一定額を拠出することを予定しています。同社では、今回の中期経営戦略の推進により中長期的には売上及び利益規模の拡大を実現し、株主価値を向上させる事ができると考えています。しかし、短期的な業績の悪化は避けられません。このため、同社取締役の皆さんが役員持株会を通して同社株式を継続的に購入・所有する事で、株主の皆さんと視点を共有しようという考えです。中期経営戦略の成否に対する経営責任を明確にしたわけです。
 
小方社長からのメッセージ
 
これまでも小方社長には、株主を中心に会社の内外から、「マーケットの拡大と事業の加速を行い、優位性を確固たるものにするべき」との声が少なからず寄せられていたそうです。ただ、上場時に十分な資金を調達していることもあり、上場時に策定された戦略を継続する考えでした。しかし、株価を含めた株主からの意見に加え、出展企業側と会員小売店数調整の必要性や競合他社の出現と言う状況の変化を受けて、「中長期的な株主価値向上を図る為には、このタイミングにおいてしっかりとした規模の拡大と事業の加速を行っておくことが必要である」という結論に達したそうです。
 
中期経営戦略を進めることは、中長期的に株主価値を高めるものと取締役全員が確信しているそうです。ただ、株式を上場した決算期に業績予想の下方修正を行い、しかも先行投資負担で来期の業績見通しも厳しいという現実に大きな責任を感じているそうです。その気持ちを形にしたのが、「スーパーデリバリー」の成長を確認するうえで参考となる3指標の月次開示と役員持株会を通しての自社株式の購入及び所有であるとの事です。
 
取材を終えて
第1四半期は先行投資負担から利益が減少しましたが、同社が重視している会員小売店数、出展企業数、商材掲載数、更には商品売上高といった指標は順調に伸びていることが確認できました。
ただ、同社の目の前にあるのは、卸値ベースで4.6兆円の巨大マーケットです。中長期的な成長を実現するためには、目先の利益にとらわれることなく、この巨大マーケットを攻略するための体制整備を進める必要があります。ただ、巨大マーケット攻略のための積極投資はリスクも伴うだけに、役員の皆さんが持株会を通して株式を継続的に購入・所有することで経営責任を明確にしました。経営陣自らがリスクをとって巨大マーケットの攻略に挑む同社の今後に期待したいと思います。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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