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(9445) 株式会社フォーバルテレコム

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ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.7

(9445:東証マザーズ) フォーバルテレコム 企業HP
中島 將典 社長
中島 將典 社長

【ブリッジレポート】フォーバルテレコム vol.7
(取材概要)
「新通信サービス事業の拡大が続いており、業績は好調です。今後、同事業は徐々に利用者拡大による成長ステージから、サービスの拡充等による利用単価・・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
中島 將典
所在地
東京都千代田区神田小川町 3-9-2
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
2002年3月 11,879 -1,732 -1,779 -4,939
2001年3月 18,224 284 134 45
2000年3月 20,503 53 -50 88
株式情報(12/14現在データ)
株価 時価総額 発行済株式数
69,000円 11,486百万円 166,476株
フォーバルテレコムの2007年3月期中間決算について、会社概要と共にブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
電話機やOA機器の販売を手掛けるフォーバル(8275)グループで通信事業を展開しています。
大手通信業者から通信回線を仕入れ、“fitコール”のブランドで中小法人向けに国内、国際、インターネットの通信サービスを一括して、しかも割安な価格で提供。同社のサービスを利用すれば、請求も一本化される(ワンビリングサービス)ため、ユーザー企業は事務処理の簡素化を図ることもできます。
 
<沿革>
95年4月、フォーバルグループの通信事業を担う戦略子会社「フォーバル・インターナショナル・テレコミュニケーションズ(株)として設立され、国際電話サービスfit(フィット)コールを開始しました。
96年に市外電話サービスを、97年に市内電話サービスを、それぞれ開始。98年8月には現社名へ社名変更しました。その後、「fit接続サービス」や「fitホスティングサービス」といったインターネット関連ビジネスを本格化。2000年11月には東証マザーズに株式を上場しました。
02年2月、ソフトバンクグループのソフトバンクBBと合弁会社を設立し、中小法人向けVoIP(インターネット上で音声データを送受信する技術)及びADSLサービスを開始。03年には、光ファイバー対応IP電話「FTフォン」サービスを開始しました。
 
<事業内容>
事業は、「FTフォン」等の法人向けVoIPサービスを提供する新通信サービス事業、法人向け国際電話・携帯電話・市内外電話等のサービスを提供する旧音声系サービス事業、及び連結子会社(株)トライ・エックスが手掛ける印刷サービス、同(株)新英が手掛ける特注のファイル・バインダー(論文や企業の創立記念誌等)等のその他事業に分かれます。
現在、旧音声系サービス事業から、「FTフォン」を中心とした収益性の高い新通信サービス事業に移行中です。
 
2007年3月期中間決算
 
<連結>
 
増収・増益となりました。
新通信事業が堅調に推移しました。
中間純利益の伸び率が大きいのは、税効果によるものです。
 
尚、経営課題であった株式の流動性向上策の一環として、10月1日付けで1株を2株に分割しました。また、会社設立以来初の中間配当(1株当たり2,000円)を実施しました。
 
<セグメント別動向>
 
売上高・営業利益共に高い伸びを示した新通信サービス事業は、「FTフォン」を中心に、事業提携によるアライアンスの強化と各種アドオンサービスの強化を推進すると共に、「おとくライン」サービス(日本テレコム提供)の新規獲得ユーザーの回線開通に注力しました。
 
一方、旧音声系は、営業活動はしていませんが、コスト削減などによる利益の維持に努めています。
 
<貸借対照表>
前年同期に無借金となりましたが、この中間期は連結子会社トライ・エックスが新英の株式を取得した事に伴い、7億円の借入が発生しました。
もっとも、9月末の現金・預金残高は12億65百万円ありますから、実質的には無借金です。自己資本比率は43.3%ととなり、前年同期に比べて6.9ポイント上昇しました。
 
<キャッシュ・フロー>
 
同社は通信会社から支援金を受け取り、これを基に販売実績に応じて代理店への還元を行うことがあります。受取と還元の時間的なズレにより、営業活動によるキャッシュ・フローが大きく振れる傾向があります。
 
上期の施策
 
ブロードバンドを軸としたトータルソリューション本格展開元年として今期の経営にあたりました。
 
<期初に計画した2007年3月期の3つの施策と施策に求める効果>
1.3つの施策
キャリア、メーカー、サービスサプライヤーとのコラボレーションにより、ブロードバンドとモバイルの融合、オフィストータルセキュリティの提供、販売店に対するワンビリングシステムのOEM提供の3施策を推進することで、新通信サービス事業のサービスの拡充を図る。
 
 
具体的には、モバイルとの融合によってブロードバンド事業の更なる拡大を図る共に、ウィルスやセキュリティ等に対するニーズにも応えていきます。また、販売代理店へワンビリングシステムのOEM供給を行い(商品ラインナップの拡充による代理店支援)、販売代理店と共存共栄を図っていく考えです。
 
2.施策に求める効果
 
上記施策を進めること、顧客基盤の拡大を図っていく考えです。
 
<上期の施策>
1.モバイルアダプターのリリース
 
 
WILLCOM(キャリア)、岩崎通信機(メーカー)とモバイルアダプターを共同開発、法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)に着手しました。
企業の通信費の50%を占める「オフィス~モバイル」のトラフィックをソリューションすると共に、法人契約・企業管理型のモバイル端末の提唱・普及により、情報漏洩リスクに対するソリューションを提供します。
親会社フォーバルでも導入しており、年間数千万円の通信費削減効果があるそうです。
 
2.ワンビリングシステムのOEM提供
 
2006年11月現在、2社にOEM供給しており、この他数社と商談が進行中です。代理店にとって新たな収益源となりうえ、顧客グリップの強化にもつながります。
 
3.中堅文具メーカーに対するM&Aの実施
同社の連結子会社である(株)トライ・エックス(以下、トライ・エックス)は、2006年7月26日付にて、(株)新英(以下、新英)の株式を100%取得し、子会社化しました。
 
M&Aの目的
新英は、特注のファイル・バインダー(論文や企業の創立記念誌等)を短納期で小ロットから製作・販売しています。新英とトライ・エックスが各々に有する顧客層は相互に自社のサービスを販売可能なユーザー・セグメントであり、顧客層を共有することによって両杜の事業が効率的に発展可能であると判断しました。
両社は売上高、利益がほぼ同規模です。
 
 
今後の展開
 
<共同開発によるセキュリティソリューションの提供開始>
 
フォーバルグループが、電話機、ファクシミリ、複写機、ログシステム等のメーカーやセキュリティ技術者等との共同開発したローカルサーバを核にしたセキュリティソリューションです。上記の機器全てのログが残り、画像と共に保存することで、オフィス・店舗における個人情報を漏洩抑止及び防犯をマネジメントします。
 
<今後のチャレンジ>
 
サービス・商品、販売手法、販路の再構築と活性化に取り組みます。そして、モバイル事業において、提携の強化により法人向けFMCのマーケット基盤の構築を進めます。また、従来型販売店に対するソリューションとして、汎用ビリングシステムの活用による新たな販売手法、収益構造を提供します。
 
<フォーバルテレコムのベクトル>
 
TV会議のよる業務の効率化やマーケットプレイスによる顧客の提供等については、今後、商品開発を進めていきます。
また、FMCについては、現在他のキャリアとも商談を進めています。
 
2007年3月期業績予想
 
<連結>
 
増収・増益の予想です。
 
取材を終えて
新通信サービス事業の拡大が続いており、業績は好調です。今後、同事業は徐々に利用者拡大による成長ステージから、サービスの拡充等による利用単価の引き上げによる成長ステージへと移行していくもの思われます。実際、FMC、ワンビリングのOEM、更にはセキュリティソリューション等の新サービスの開発・投入により、既にその布石も打たれています。
通信業界の様々な環境変化に対応し、中小法人ユーザーに対してブロードバンド時代に適応した様々なサービスメニューを創出し、事業化してしまう同社の手腕には驚かされます。上記事業の進捗と今後の新たな事業展開に注目したいと思います。
尚、今期は中間配当を始めて実施しましたが、今後も、事業への投資資金を確保した上で、積極的に株主還元を実施していく考えです。