ブリッジレポート
(2468) 株式会社フュートレック

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ブリッジレポート:(2468)フュートレック vol.4

(2468:東証マザーズ) フュートレック 企業HP
藤木 英幸 社長
藤木 英幸 社長

【ブリッジレポート】 フュートレック vol.4
(取材概要)
「新機種の発売予測時のズレ等で足下は若干苦戦している感があります。しかし、2006年の携帯電話国内出荷台数は前年の4,600万台を約5%上回る約4,800万台・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社フュートレック
社長
藤木 英幸
所在地
大阪市淀川区西中島 6-8-31
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年3月 1,443 173 165 99
2005年3月 1,059 69 79 33
2004年3月 907 9 6 -1
2003年3月 736 12 12 3
2002年3月 435 17 34 29
株式情報(3/5現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
223,000円 22,940株 5,116百万円 791.0% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
800円 0.4% 5,497.17円 40.6倍 75,309.61円 3.0倍
※株価は3/5終値、ROEは前期実績
※配当を除く1株当たりの指標は連結ベース
 
フュートレックの2007年3月期第3四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
システムLSI(大規模半導体集積回路)及び半導体素子の開発・設計・製造・販売等を行っています。現在、携帯電話用音源LSIが事業の中心となっていますが、特長はLSIを製造して売るのではなく、IP化して販売している点です。「IP化して販売する」とは、LSIの設計データとそのLSIを駆動させるためのソフトウエア(組込ソフトウエア)を知的財産権化して販売するという事で、言わば、LSIの設計図をライセンス提供しているようなものです。このため、大規模なLSI工場を建設する必要はなく、開発・設計に経営資源を集中させる事ができます。販売先は半導体メーカーや携帯電話メーカー等で、この設計図を元に、携帯電話で音楽を鳴らすために必要なLSIを作っています。
 
 
<事業の概要>
事業は音源事業、カード事業、受託開発事業に分かれ、2007年3月期第3四半期における売上構成比は、それぞれ59.0%、15.3%、25.7%でした。
 
1.音源事業(携帯電話音源LSI設計データと組込みソフトウエアの開発・設計)
携帯電話用音源LSI設計データと組込ソフトウエアの開発・設計・販売を行なっています。携帯電話用音源LSI設計データと組込ソフトウエアのパッケージを音源IPや3D音源IPとして知的財産権化して、携帯電話端末メーカー等にライセンス販売します。
当事業の収入は、LSI設計データと組込ソフトウエアの使用許諾契約時に発生するイニシャル(初回のみ)、顧客の生産台数に応じて発生するロイヤルティ(生産1台当たり)、IPをユーザーのインターフェイスに合わせる実装設計(カスタマイズ)に伴う収益、及び音源動向の情報提供やコンテンツ作成のアドバイス等に伴うコンサルティングがあります。
 
2.カード事業(ユーザーのニーズに応じてカード事業の企画・運営)
大学受験生向け模擬試験の英語リスニングテストで使われるメモリーカードや携帯電話のコンテンツ入りメモリーカードの書き込み事業を行っています。
 
(注)CPRM対応:Content Protection For Recordable Media対応、著作権保護機能対応の意味
 
3.受託開発事業(付加価値の高い受託開発を核として新たな商品の種を見つけるべく研究開発)
付加価値の高いセンサや携帯関連等の受託開発を行っています。もっとも、単なる受託開発ではなく、新たな商品開発の一環として行っており、アナログ信号をデジタル信号に変換するIC(バーニアADコンバータ:VAD)を商品化すべく、研究開発を重ねています。
 
<グループ>
企業グループは同社とソフトウエアの開発を行う連結子会社の(株)インストームによって構成されています。
 
2007年3月期第3四半期業績
 
 
当期は売上構成、売上時期の変動などにより、前年同期比では、減収・減益となりました。
新機種の発売予測時のズレ、更には海外市場における搭載予定機種の伸び悩み等により、出荷台数が下期へズレ込んだ事が響きました。
 
 
音源部門   売上高 4億65百万円
音源IPの携帯電話搭載台数は、国内7,463千台(前年同期比2,322千台増)、海外2,207千台(同304千台減)となりました。
 
カード部門  売上高 1億20百万円
売上内訳は、英語のリスニングテストに対応する英語リスニング用模擬試験ビジネスが1億04百万円、その他携帯電話向け等が15百万円となりました。
 
受託開発部門 売上高 2億02百万円
売上内訳は、研究開発型受託が1億60百万円、その他が42百万円となりました。
 
 
 
税引前利益を104百万円計上しましたが、法人税等の支払い(91百万円)による資金の減少等で営業活動によるキャッシュ・フローは21百万円の流入となりました。また、投資有価証券の取得(126百万円)により、投資活動によるキャシュ・フローは1億14百万円の流出となりました。財務活動によるキャシュ・フローは、配当金の支払により13百万円の流出となりました。
 
2007年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更はありません。
携帯電話業界は、昨年10月の番号ポータビリティ制度の導入による競争激化、春商戦に向けての新機種投入等、第4四半期は従来以上の商戦が予想されています。このため、音源部門において、NTTドコモの音源搭載機種のラインアップの増加、春商戦における販促強化等により音源搭載台数の増加(前年同期搭載台数3,474千台)及びロイヤルティ収入の増加が見込まれています。
また、受託開発部門においては、VADの開発が計画より少し遅れていますが、携帯端末への搭載技術の研究開発を進めてきた分散音声認識技術(トピックス参照)の実用化への展開が見込め、第4四半期に売上計上できる見込みです。
 
トピックス
 
<分散型音声認識機能の販売開始>
(株)国際電気通信基礎技術研究所(以下、ATR)と共に携帯電話に搭載される音声信号処理(以下フロントエンドエンジン)と、サーバに搭載される音声認識エンジン処理(以下バックエンドエンジン)で構成される分散音声認識ソフトウエア製品の販売を開始しました。
 
携帯電話に搭載するフロントエンドエンジンソフト(共同開発)を2007 年末までに販売される携帯電話に搭載し、バックエンドエンジンソフトを用いた音声翻訳及び検索サービスを同時期に開始する予定です。
将来、携帯電話から「音声翻訳」・「音声による検索」等をはじめとした様々なサービスを実現することが可能となります。また、音声による入力方法と従来のキーによる入力方法との選択が可能になるほか、将来的には、携帯電話の操作が苦手な方や目の不自由な方等にも利用可能な様々なサービスの提供が可能となります。
 
1.音声翻訳技術とは
音声翻訳とは、ATRが保有する「大規模コーパスベース音声対話翻訳技術の研究開発」の技術を利用し、音声の認識と翻訳とを一括して行なうものです。携帯電話に向かって音声で入力すると、センターの音声翻訳サーバが相手言語に翻訳した結果を、携帯電話に文字や音声で返すものです。既に全国に張り巡らされた移動通信ネットワークを介して、ストレスのない速度でサービスを提供。利用者はマイクを装着することなく、手に持った自然な状態で、言語の異なる者同士が携帯電話に喋りかけるだけで翻訳が可能となります。
 
2.音声認識技術とは
音声認識とは、携帯電話に向かって音声で入力すると、様々な発音・声質から言葉を聞き分け、語彙を特定し、文字に変換するものです。携帯電話に話しかけるだけでメールの作成ができたり、携帯電話の操作が可能となったりします。分散音声認識とは、音声認識処理を一つの機械で行うのではなく、携帯電話とサーバに分けて処理することをさします。
 
3.音声による検索とは
・キーボードの代わりに音声で検索キーワードを入力
例えば、「曲」検索の場合、「○○の▲▲という曲」と携帯電話に向かって言うだけ、地図検索の場合、「△△県■■市××町・・・」と携帯電話に向かって言うだけで、わずらわしい駅名入力や住所入力などを音声で行なうことが可能となります。このため、現存する様々な携帯Webサービスやゲームなどへの適用が広がると考えられています。
 
 
・分散型音声認識ソフトにより実現できるアプリケーション(例)
 
 
取材を終えて
新機種の発売予測時のズレ等で足下は若干苦戦している感があります。しかし、2006年の携帯電話国内出荷台数は前年の4,600万台を約5%上回る約4,800万台となった模様です。また、海外出荷台数については10億台を超えたと推定されており、国の内外を問わず、何時でもどこでもネットワークへアクセスできるユビキタス社会が実現されつつあり、携帯端末の持つ可能性、言い換えれば、同社の可能性も広がっています。
また、分散型音声認識機能は、幅広く、大変便利な用途が想定され、中長期的な収益への貢献が注目されます。