ブリッジレポート
(3751)

ブリッジレポート:(3751)ジー・エフ vol.5

(3751:東証マザーズ) ジー・エフ 企業HP
仲吉 昭治 社長
仲吉 昭治 社長

【ブリッジレポート】ジー・エフ vol.5
(取材概要)
「同社は主に中小企業向けのテレマーケティングやシステム販売に注力してきましたが、今回発表された「中期経営ビジョン」では、そこで培われたノウハウを元に、・・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社ジー・エフ
社長
仲吉 昭治
所在地
東京都文京区大塚 3-20-1
決算期
10月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2006年10月 2,387 20 1 -110
2005年10月 2,547 337 306 179
2004年10月 2,035 264 211 113
2003年10月 1,608 96 60 18
2002年10月 1,398 202 198 97
2001年10月 1,049 104 105 59
2000年10月 962 56 54 -78
株式情報(5/17現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
69,600円 31,500株 2,192百万円 23.9% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
500円 0.7% 4,051.86円 17.2倍 108,054.57円 0.6倍
※株価は5/17終値、ROEは前期実績
 
「マーケティング革命」を推進し、社会に貢献することを経営方針の第一に掲げる同社が、「中期経営ビジョン」を発表しました。同社のマーケット対象が従来中心だった中小企業から、大企業、広告業界など他業種にも拡大していく可能性が広がっています。
 
会社概要
 
独自に開発した全自動テレマーケティングシステムを中心としたシステムサービスを展開しています。
同システムの特徴は、" 速い・安い・簡単・的確 "。顧客に対する電話の受発信からメッセージの伝達、回答の記録と結果の集計・分析までを自動的に行うことができます。具体的には、16回線で一日約8,000件にコールすることができ、結果レポート及び見込み客リストを瞬時に出力できます。結果別にDMラベル印刷も可能で、運営費用が通常のコールセンターより割安。業種毎のシステム運用ノウハウを蓄積していることも強みです。
 
<事業内容>
事業は、オートコンタクトシステム(全自動テレマーケティングシステム)(注1)の販売を行うシステム販売(売上構成比73.6%)、サポート商品の販売や保守・メンテナンス及びロイヤリティ収入等のサービス収入(同7.3%)、GFネットワーク会加盟契約締結時に支払われる加盟金収入(同13.4%)、インターネット通販やIP電話サービスの通話料収入等のその他(5.6%)に分かれる(売上構成比は2006年10月期実績)。
また販売は、自社での顧客開拓による販売の他、GFネットワーク会を通じた販売、及び提携先である船井総研のセミナー参加者への販売がある。
 
GFネットワーク会とは、オートコンタクトシステムの販売先を組織化したもので、加盟企業はテレマーケティングシステムの販売代理店としての役割を担うほか、自社システムの空き時間を使ってテレマーケティング代行サービスを行っている。加盟企業に対しては、同社がテレマーケティング代行サービス事業の運営指導を実施。2006年10月末現在、725社が加盟している。
 
(注1)オートコンタクトシステムとは
1.オートコンタクトシステムの特徴
 
2.主な活用法
 
中期経営ビジョンを策定
 
-潜在顧客の声を活かす、マーケティング・イノベーターとしての新事業展開-
 
<背景にあるのは時代のニーズ>
 
独自に開発した全自動テレマーケティングシステム(オートコンタクトシステム)を中心としたシステムサービスを展開する株式会社ジー・エフが新しい中期経営ビジョンを策定しました。
 
前述のように、同社は16回線で一日約8,000件にコールすることができる独自のシステムを活用することにより、コストの安いテレマーケティングビジネスを顧客に提供、これまで高成長を続けてきました。
 
一方で、これからの日本を取り巻く社会環境は、少子高齢化により労働人口が減少し、労働力の確保が課題となる一方で、同時にコスト削減努力もおこなう中での賃金の大幅な上昇はできないといった企業側の課題、人口ピラミッドの変化や東京の一極集中により、中小企業とりわけ地元商店などの衰退等による地域コミュニティーの希薄化などがあげられます。
これらの課題についてはマンパワーで補うことは難しくなる中で、より一層のシステム化等による効率的な運用の推進や、マーケティング戦略の全体の見直しが必要な状況となっています。
同社はこれらの状況をテレマーケティングシステムで培ってきたノウハウをより一層活用できうる社会環境と捉え、マーケット対象についても中小企業のみならず、大企業、広告業界など他業種にも拡大していく可能性が広がっているとの考えです。
 
<新事業のコンセプトは"テレマーケティングイノベーターからマーケティング・イノベーターへ">
これらの環境に対応するためには、「マーケティング革命」を推進することが重要であると捉え、従来はテレマーケティングやそのシステム販売に限定した事業展開をおこなってきましたが、これからはコンサル型のマーケティング・イノベーターとして事業展開していくとのことです。
 
今回のコンセプトをビジネスリソースマップで表現すると次のようになります。
 
 
同社の持つ、技術力、商品力、顧客力、リスナー力と4つの経営リソースをもとに、4つのビジネス領域を展開する考えです。
Ⅰ.
マーケティングシステムコンサルタント:
同社の持つ技術をベースにコールセンターの合理化策を提案。
Ⅱ.
マーケティングコンサルタント:
従来のテレマーケティングの分野において、システム販売のみならず、コンサルタントとしての中小企業に対してマーケティングコンサルティングをおこなう。
Ⅲ.
中小企業ネットワーク:
今まで積み上げてきた中小企業のネットワークを活用し、経営支援や教育サービスなどの支援をおこなう。
Ⅳ.
新広告媒体:
テレマーケティングシステムのノウハウを活かして、地域情報を発信する仕組みを構築。地域の新たな広告媒体として同社のシステムを活用する。
 
<戦略ビジョン>
新たな戦略ではターゲットを大企業(コールセンター)、中小企業、広告業界、生活者の4つのカテゴリーに分け、同社が持つ資産の活用範囲の拡大と有効活用によるソリューションの提供を行っていきます。
 
以上をイメージすると、次のようになります。
 
 
<基本戦略>
目標達成のための基本戦略は以下の3点。
 
(1)電話放送リスナー・モニター(地域情報サービス会員)を構築し、生活者460万人のデータベース化と地域密着型の新ビジネスモデルを開発します。
具体的には、同社が持つ電話情報を武器として地域密着情報サービスの全国展開をはかります。2009年10月期末までに全国約170地区で460万件(2006年3月現在の全国世帯数の約9%)のデータの構築を目指します。
 
(2)自動テレマーケティングシステム(オートコンタクト、ボイスコンバーター)と遠隔サポートシステム(Remote Call)を核としたCTI=コールセンター効率化システム・ソリューション開発し、大・中堅企業の顧客化します。
フェーズⅠ=2007年10月期までにRemote Callによる販売チャネル作り、コールセンター合理化の実績作り
フェーズⅡ=2008年10月期までに25コールセンターへの本格導入
フェーズⅢ=2009年10月期までに38コールセンターへの本格導入
 
(3)中小企業向けマーケティング・営業コンサルティングサービスの提供による、顧客満足の向上と継続収入の拡大を図ります。
ヒットアップシステム(注2)と運用コンサルティングのセットメニューによる販売拡大などで実績を作り、2009年10月期にはコンサルティングメニューの拡充とともに営業コンサルティングの内製化を実現します。
 
(注2)ヒットアップシステム・シリーズとは
 
<数値目標>
具体的な数値目標は以下の通り。
 
 
この間の重点営業施策として
 
(1)セミナー営業による新規開拓営業に収益を依存する体質から、①サービスメニュー開発による継続収入の向上、②セミナー参加者・GFネットワーク会員からの紹介、③WEBマーケティングによる潜在顧客の組織化を推進し、顧客開拓効率の向上を図ります。
(2)電話放送リスナーの構築によって、高齢化社会に対応する、新しいビジネスモデルを開発し、全国展開をはかります。
(3)コールセンターを保有または今後開設する、大企業・中堅企業に対して、コールセンター効率化システムの提案によって、顧客化を推進します。
 
-以上の3点を掲げています。
 
取材を終えて
同社は主に中小企業向けのテレマーケティングやシステム販売に注力してきましたが、今回発表された「中期経営ビジョン」では、そこで培われたノウハウを元に、大・中堅企業のコールセンター向け・一般向けに「電話放送」、WEB媒体の立ち上げ、それに伴いWEB、MOBILEマーケティングにも参入するとしています。
新たな事業分野への展開だけに課題もありそうですが、すべての事業分社において明確にターゲティングされており、同社の情報資産を活かすことにより、さらなる事業拡大も可能と思われます。