ブリッジレポート
(3031:東証マザーズ) ラクーン 企業HP
小方 功 社長
小方 功 社長

【ブリッジレポート】ラクーン vol.4
(取材概要)2007年7月3日掲載
「企業間取引は、消費者向け取引と比べて取引の反復性・継続性が高いため、新規顧客の獲得が中長期的に同社の事業規模の拡大につながります。このため、・・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社ラクーン
社長
小方 功
所在地
東京都中央区日本橋蛎殻町1-18-11
事業内容
ネットを利用した問屋。衣料、雑貨の製造業者や輸入業者と小売店を仲介
決算期
4月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年4月 3,334 -205 -203 -305
2006年4月 2,289 131 95 122
2005年4月 1,247 26 23 45
2004年4月 890 -56 -57 -58
2003年4月 621 -104 -105 -130
2002年4月 494 -192 -193 -200
2001年4月 204 -171 -175 -179
株式情報(6/22現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
295,000円 9,031株 2,664百万円 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0円 0.0% 105,417.72円 2.8倍
※株価は6/22終値
 
ラクーンの2007年4月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
インターネット上のB2B(企業間電子商取引)市場であるeマーケットプレイス(Webサイト)の運営企業です。
アパレル、雑貨を中心にメーカー、インポーター等(以下、出展企業)の取扱う商品を、「スーパーデリバリー」及び「オンライン激安問屋」のWebサイトを通じて全国の中小小売店(以下、会員小売店)に販売しています。
 
 
1.オンライン激安問屋 1998年8月サービス開始
アパレル、雑貨のアウトレット品を取扱っており、同社が商品を買取った後に販売する買取仕入と、委託された商品を販売する消化仕入があります。現在、後者が中心となっています。出展企業は過剰在庫を安全かつ効率的に処分でき、会員小売店は格安な価格で一定の品質を満たした商品の仕入ができます。商品は全て同社の倉庫で検品した後に出荷されます(商品の検品、小分け、発送は同社が行います)。出展企業と売上を折半し、同社は、決済手数料、配送料、検品・出荷コスト、商品保管スペースの賃料を負担します。
 
2.スーパーデリバリー 2002年2月サービス開始
アパレル、雑貨の新商品及び定番品を取扱っています。商品は出展企業から会員小売店に直送され、同社は代金の決済を行います。出展企業は、地方・中小小売店との取引でネックだった決済機能、営業コスト、事務処理の手間を解消することできます。また、出展企業が許可した会員小売店にのみ卸値等の情報開示を行うため、ブランドイメージのコントロールが可能です。一方、会員小売店は多様な旬の商品の仕入ができます。同社は受注・出荷のデータ処理と決済のみを担当するため、「激安問屋」と比べ少ない負担で運営できます。債権回収リスクは同社が負うことになりますが、信販・クレジット・保証会社を利用することでヘッジしています。小売店は月額2,000円の小売店会費を負担し、出展企業は月額4万円の出展基本料と「スーパーデリバリー」での取引金額の10%をシステム利用料として負担します。
 
*両事業の位置づけ
「スーパーデリバリー」をけん引役に事業の拡大を図っていく方針です。一方、検品作業など物流コスト等の負担が大きい「オンライン激安問屋」は、「スーパーデリバリー」への入り口として位置づけ、事業の拡大よりも収益性重視で運営に当たる考えです
 
中期経営戦略
 
 
上記骨子の下、中期的な事業規模拡大を目指します。
 
1.会員小売店獲得の加速
小売店獲得スピードを当初予定の2倍に加速し、平成22年4月末時点で27,500会員小売店の獲得を目指します。
 
(1)メーカー/小売店比率の最適化
出展企業の獲得ペースが加速する一方で、小売店の獲得は想定したほどペースが上がりません。出展企業の満足度向上のため、小売店の獲得を加速する必要があります。
 
(2)競合サイトへの優位性確保
現金問屋のネット化、ポータルサイトの仕入れ対応化など、同社事業領域への競合サイトが出現傾向にあり、優位性確保が急務となっています。
 
2.出展企業向け料金体系の変更
出展企業向け料金体系を変更し、参入障壁の除去並びに収益の安定化を目指します。
 
(1)初期費用の廃止
出展企業に対する参入障壁となる初期費用を月額料金に振り変えることで、廃止します。
 
(2)積み上げ式安定収益の確保
出展企業が増えるにつれ安定的に増える収益を確保します。
 
3.システム開発への積極投資
スピード、見易さ、検索機能強化、更にはセキュリティ機能強化等、ユーザビリティ向上を目的に、積極的なシステム開発投資を行い、会員小売店及び出展企業の継続利用を目指します。
 
(1)小売店向け検索機能強化 仕入商品検索に関するユーザビリティの向上を図ります。
(2)出展企業向け管理システム強化 効果的かつ効率的な運営支援システムの構築に取り組みます。
 
 
2007年4月期第4四半期業績
 
<スーパーデリバリー>
2007年3月19日に商材掲載数が10万点を突破しました。効率的な獲得方法がわかってきた事もあり、3月、4月は会員小売店の獲得数が月間700〜800店舗に上昇しました。また、2007年4月11日に「組み合わせ検索機能サービス」の提供を開始しました。
 
会員小売店数 10,615店舗 (第3四半期末から1,973店舗増加)
出展企業数 662社 (同         62社増加)
商材掲載数 105,617点 (同       19,602点増加)
 
<オンライン激安問屋>
買取仕入の比率が上昇しましたが、仕入基準の見直しにより安定した粗利率を維持する事ができました。また、業務効率化のため、出荷業務の内製化に着手しました(2007年5月完全内製化)。
 
売上総利益率(粗利率) 47.8%(第3四半期) ⇒ 45.8%(第4四半期)
 
<売上高の推移>
 
スーパーデリバリーの会員小売店数の増加により、商品売上高は比較的好調でしたが、出展企業向け料金体系変更の影響で売上総額は微増にとどまりました。
 
2007年4月期決算
 
 
想定したほど赤字幅が膨らみませんでしたが、基本的には中期経営戦略に沿った赤字決算と言えます。
具体的には、出展企業の料金体系変更に伴い初期費用売上高が減少する中、広告費等への投資による集客費用の増加やシステム投資の増加等が負担となりました。
この他、倉庫の統廃合(2拠点⇒1拠点)及びオフィス移転に伴う費用(23,539千円)や社内システム入れ替えに伴うソフトウェア除却損(19,746千円)など特別損失43,564千円の計上や繰延税金資産の取崩(57,000千円)等で305,420千円の当期純損失となりました。
 
尚、売上総利益率が前期の29.0%から22.2%に低下しましたが、この主な要因は、スーパーデリバリーの売上構成比の上昇とスーパーデリバリー出展企業向け料金体系の変更(2006年11月より変更)によるものです。
スーパーデリバリーの利益率は10%(システム利用料)に固定されています。オンライン激安問屋に比べて、かなり低い利益率ですが、トランザクションが増えても経費が増えない事が特徴です。
 
<スーパーデリバリー:SD>
中期経営戦略の推進により事業規模拡大の前提となる経営指標が向上しています。ユーザビリティ向上のためのシステム開発も進めました。

会員小売店数 10,615店舗 (06/4期末から4,322店舗増加)
出展企業数 662社 (同       243社増加)
商材掲載数 105,617点 (同     55,597点増加)
商品売上高 2,525,209千円 (前年同期比  89.4%増加)
 
<オンライン激安問屋:OG>
経営資源の配分をスーパーデリバリーに集中しているため、オンライン激安問屋では売上総利益率の向上と業務の効率化を重視しています。上半期はリスクの少ない消化仕入の比率が上昇しましたが、下半期は仕入基準の見直しにより安定した売上総利益率での買取仕入が増えました。

売上高 597,184千円(前年同期比19.7%減)
売上高総利益率 45.8% (06/4期   42.7%)
 
 
流動資産 繰り延べ税金資産の取崩及び本社移転に伴う現金預金の減少
固定資産 本社移転に伴う固定資産の取得及び敷金保証金の発生
流動負債 取引の増加に伴う買掛金・未払金の増加
純資産 当期純損失計上により利益剰余金の減少
 
<連結キャッシュ・フロー>
税引前当期純損失の計上や取引量の拡大に伴う売上債権の増加により、営業活動によるキャッシュ・フローが赤字となりました。
また、投資活動によるキャッシュ・フローが赤字となったのは、ソフトウェア開発等による無形固定資産の増加及び本店移転に伴う固定資産等の増加が要因です。
財務活動によるキャッシュ・フローの減少は、株式発行による収入が減少したためです。
 
 
月額課金は、小売店が2,000円、出展企業が4万円です。例年、年末・年始商戦にかかる第3四半期(11月〜1月)の伸びが大きくなる一方、第4四半期の伸びは低くなります。
 
 
3.出展企業数の推移
第4四半期は前四半期比10%の増加、2007年4月期通期では前期比43%増加しました。
 
 
4.会員小売店数の推移
試行錯誤が続きましたが、効果的な広告手法を見出した事で、第4四半期は前四半期比23%増加しました。
 
 
 
6.購入者数と客単価の推移
会員小売店数の増加に伴い購入客数が増加しました。例年、第4四半期は第3四半期比で単価が低下します。
 
 
7.出展初期費用・更新料・基本料の推移
料金体系の変更により出展企業向け売上が変化しました。
 
 
 
 
2008年4月期業績予想
 
 
中期経営戦略では、2008年4月期の経常損失は170百万円ですが、出展企業のフォローを強化するべく、6月に関西拠点を開設するため、経常損失が180百万円となる見込みです。
 
 
取材を終えて
企業間取引は、消費者向け取引と比べて取引の反復性・継続性が高いため、新規顧客の獲得が中長期的に同社の事業規模の拡大につながります。このため、「当面の業績に目を瞑り、積極的に新規顧客(会員小売店)獲得活動を展開していこう」と言うのが中期経営戦略です。この結果、2008年3月期は180百万円の経常損失予想ですが、上・下で見ると、上期134百万円の損失、下期46百万円の損失ですから、下期には来期黒字化の目処が立ちます。
試行錯誤の結果、効果的な広告手法を見出した事で、2007年4月期の第4四半期には会員小売店数が高い伸びを示しました。会社計画は伸長ですが、前倒しで黒字化する可能性も出てきましたから、注目したいと思います。
 
本資料は、情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。
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