ブリッジレポート
(2660)

ブリッジレポート:(2660)キリン堂 vol.2

(2660:東証1部,大証2部) キリン堂 企業HP
寺西 忠幸 会長
寺西 忠幸 会長
寺西 豊彦 社長
寺西 豊彦 社長
【ブリッジレポート】キリン堂 vol.2
(取材概要)2007年7月17日掲載
「2008年2月期の出足は好調です。同社の場合、売上高に季節性があるため、通期業績に対する進捗率に神経質になる必要はありません。 また、ニッショードラッグ・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社キリン堂
代表取締役会長
寺西 忠幸
代表取締役社長
寺西 豊彦
所在地
大阪府吹田市江坂町1-22-26
決算期
2月
業種
小売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年2月 72,803 1,312 1,651 577
2006年2月 66,690 1,308 1,574 753
2005年2月 58,165 745 985 414
2004年2月 48,281 1,084 1,283 607
2003年2月 39,144 1,095 1,215 577
2002年2月 33,274 868 982 253
2001年2月 28,192 718 742 341
2000年2月 25,537 535 596 309
株式情報(7/2現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,081円 8,883,592株 9,603百万円 6.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
17円 1.6% 81.01円 13.3倍 959.41円 1.1倍
※株価は7/2終値
 
キリン堂の2008年2月期第1四半期業績について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
150~300坪の郊外型大型ドラッグストア(スーパードラッグストア)を中心にチェーン展開。関西7府県(和歌山県除く関西地域、徳島県、石川県)でドミナント戦略による多店舗展開を進めています。連結子会社2社を含めた2007年2月15日現在の店舗数は、308店舗(うちスーパードラッグストア243店舗、小型店60店舗、その他2店舗、FC3店舗)を数えます。また、子会社(株)健美舎が健康食品と医薬品を企画・販売しています。
 
 
1958年3月、薬局店舗営業と薬品製造業を目的に設立されました。設立から約20年を経た77年2月に直営店舗数が50店舗を突破。91年10月に加島店(大阪市)をオープン以降、スーパードラッグストアの出店を強化、98年2月期には直営店舗数が100店舗、07年2月期には200店舗を超えました。また、2006年10月には四国地区での販売網の拡充の観点から(株)ジェイドラッグを、また、2006年12月には同じ関西に地盤を置き営業基盤で補完性の高い(株)ニッショードラッグを、それぞれ買収。「2015年 売上高2,000億円・500店舗」体制を目指し、グループ力の強化を進めています。資本政策では、2000年 9月に大証2部に株式を上場。03年2月の東証2部上場を経て、04年3月、東証1部に指定替えとなりました。
 
 
 
2008年2月期第1四半期業績
 
 
平年並みの花粉の飛散量があった事等からキリン堂の既存店が予想以上に健闘した事に加え、ニッショードラッグの連結効果もあり、売上高、利益共に大きく伸びました。
 
ニッショードラッグの寄与で売上総利益率が25.7%と前年同四半期に比べて1.5ポイント改善しました。ニッショードラッグは27.1%の高い売上総利益率となっております。
 
尚、四半期純利益が54百万円にとどまったのは、ジェイドラッグが利益を計上するに至らなかった事、及びニッショードラッグののれん償却にかかる税効果会計の影響です。
 
<ニッショードラッグ及びジェイドラッグの状況>
ニッショードラッグの第1四半期業績の売上高は6,713百万円でした。1億強ののれん償却が発生したため、連結経常利益への寄与は40百万円程度となります。
ジェイドラッグが店舗展開している香川県では、キリン堂方式の販促ではなく、この地域独自の販促が必要なことがわかりました。こうした試行錯誤もあり、第1四半期業績の売上高は234百万円、経常損失36百万円となりました。
 
 
ニッショードラッグの連結効果で雑貨の構成比が上昇しました。また、調剤売上高は売上構成比が低下したものの、金額ベースでは順調に拡大しています。売上構成比の低下は、調剤併設店舗数が少ないニッショードラッグを連結した影響です。
 
 
ニッショードラッグを連結したため、販売費の対売上比が低下する一方、人件費の対売上比が上昇しました。ニッショードラッグは、チラシ広告をほとんど打たないため販売費の比率が低いものの、オペレーション体制に伴う人の効率化が今後の課題です。
 
売上高販売費率 キリン堂: 1.8%  ニッショードラッグ: 0.6%
売上高人件費率 キリン堂:11.3%  ニッショードラッグ:13.4%
 
 
 
平年並み以上の花粉の飛散量であった事、昨年の販促の見直し(チラシ広告配布回数の削減)による反動減の影響が軽微であった事、及び販売力と組織機能の強化が進んだ事等から、第1四半期の既存店売上高は前年同四半期比2.0%増となり、計画の同1.2%増を上回りました。
尚、6月は安売り抑制を強化したため、前年同月比4%以上の減収となる見込みですが、売上総利益率の改善により利益への影響はわずかであるとの事です。
 
 
売上総利益率の改善要因は、化粧品部門及び雑貨等部門の売上総利益率が、それぞれ0.4ポイント改善した事によります。PB比率の上昇も売上総利益率改善の一因です。
 
 
2008年2月期業績予想
 
 
<今期計画>
方針   「次なるステージへの踊り場、収益体質への転換」
計画   経常利益率の達成
 
キリン堂の重点施策
販売力と組織機能の強化により、新店計画を達成すると共に既存店の活性化に努めます。また、ニッショードラッグとのシナジー追求にも取り組みます。
 
 
 
 
今後のビジョンと戦略
 
<今後のビジョン>
「地域コミュニティの中核となるドラッグストアチェーンの構築」という経営ビジョンのもと、地域ネットワークの構築と徹底したブランド戦略(キリン堂の"信頼と安心"を売る)を進めます。具体的な施策として、①小商圏で徹底したドミナント構築、②地域社会への貢献、③経営基盤の確立を挙げています。
 
<グループ戦略>
グループシナジーの追及により連結経常利益率3%(中期計画の目標)を目指しています。このため、帳合・システム・物流センターの統合を進めると共に、ノウハウの供給、グループ内での人員の移動を含めた店舗運営の効率化を図ります。
 
帳合・システム・物流センターの統合
2008年2月期上期中に統合を完了する予定 バイイングパワーを活かした仕入交渉 本部機能統合による間接部門の経費削減
人事交流の促進
運営・販売ノウハウのすり合わせと共有 店舗運営の効率化
 
 
M&Aを含めた集中出店により関西7府県(和歌山県除く関西地域、徳島県、石川県)でドミナント戦略を進める考えです。また、PB商品の開発・販売拡大による利益率の向上、及びローコストオペレーションの推進による経営効率の改善に努めます。
また、労働生産性の改善が課題であるニッショードラッグについては、88店舗のうち53店舗において、現在20時までの営業時間を22時までに延長する考えです。また、化粧品メーカーからの販売員の派遣受け入れを廃止し、正社員による接客に切り替えることで、メーカーの販売戦略に左右されない商品構成に変更し、化粧品販売全般を強化します。
 
取材を終えて
2008年2月期の出足は好調です。同社の場合、売上高に季節性があるため、通期業績に対する進捗率に神経質になる必要はありません。 また、ニッショードラッグの長所や課題がはっきりと見えてきた事も第1四半期の成果です。既に具体的な対策も立てられていますから、今後の成果に期待したいと思います。