ブリッジレポート
(7839) 株式会社SHOEI

プライム

ブリッジレポート:(7839)SHOEI vol.6

(7839:東証2部) SHOEI 企業HP
山田 勝 社長
山田 勝 社長

【ブリッジレポート】SHOEI vol.6
(取材概要)2007年12月18日掲載
「知名度の向上により欧州では販売エリアが東へ広がっていますが、今後は大西洋を渡り、BRICsの一角をなすブラジルを含め中南米での販売拡大にも取り・・」続きは本文をご覧ください。
企業基本情報
企業名
株式会社SHOEI
社長
山田 勝
所在地
東京都台東区上野5-8-5
決算期
9月 末日
業種
その他製品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2007年9月 13,586 2,942 2,751 1,630
2006年9月 11,796 2,310 2,117 1,248
2005年9月 10,661 1,581 1,510 890
2004年9月 9,725 1,364 1,282 732
2003年9月 9,575 757 703 381
2002年9月 8,700 379 190 85
2001年9月 9,088 694 592 359
株式情報(12/10現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
3,170円 7,261,200株 23,018百万円 28.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
58円 3.7% 116.37円 13.6倍 883.27円 3.6倍
※株価は12/10終値。
 
SHOEIの2007年9月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
会社概要
 
世界ナンバーワンのヘルメットメーカー。オートバイ用を中心にカート用などの4輪車用、航空機用や戦車用等の官需用のヘルメットを製造しています。販売網は日本のみならず、アメリカやヨーロッパをはじめ世界40カ国以上を網羅。「SHOEI」ブランドはその安全性と機能性、そして造形の美しさが世界各国で高い評価を受け、高級ヘルメットの代名詞となっています。

独自の技術とノウハウ、優れたデザイン力により、次の3つの世界一を実現する事を経営方針としています。
 
 
<沿革>
1954年、ポリエステル加工メーカーとして創業。59年3月に昭栄化工(株)として法人化、一般用ヘルメットの生産を開始しました。翌60年1月、二輪乗車用ヘルメットの生産に着手。68年7月、アメリカに子会社を設立し海外展開を開始、87年7月には子会社設立によりフランスへも進出しました。 92年5月、会社更生手続開始を申し立て、同年9月、更生手続きを開始。93年12月、更生計画が認可されました。更生手続き中の94年3月、子会社を設立し、ドイツに進出。98年3月に会社更生手続を終結しました。同年12月には社名を(株)SHOEIに変更。04年7月、JASDAQに株式を上場し、07年9月には、東証第二部に上場(JASDAQは上場廃止)しました。
 
<三位一体の事業展開>
同社は「商品戦略」、「生産戦略」、「市場戦略」を融合させた三位一体の事業戦略の推進により、顧客満足度、株主及び役職員の満足度向上に努めています。
 
 
<事業内容>
オートバイ用のヘルメット(二輪乗車用ヘルメット)の売上高が約90%を占めています。なかでも、高品質で高付加価値の「プレミアムヘルメット」に特化し、茨城工場(茨城県稲敷市)、岩手工場(岩手県東磐井郡)の国内2工場で生産。国内生産により高い品質を維持すると同時に技術の流出防止にも努めています。
また、業界では唯一の「トヨタ生産方式」導入企業として、高い限界利益率と在庫回転率、及び優れた資産効率を誇ります。
 
2007年9月期決算
 
 
プレミアムヘルメット(高品質・高付加価値の二輪乗車用ヘルメット)の販売が欧米で伸長、円安も追い風となり4期連続の最高益更新となりました。
尚、1株当たり配当は、16円増配の年67円を予定しています。
 
 
欧州を中心に新製品が予想以上に好調、USドル、ユーロに対する円安メリットも享受して、主力の二輪車用ヘルメットの売上が伸びました。官需用ヘルメットは主に、防衛省向けです。
 
 
円安効果は128百万円。為替予約(実行レート)をしているため、利益面で円安をフルに享受した訳ではありませんが、円安が利益の押し上げ要因となった事は確かです。欧州向けは実質円建て取引です。
円安は利益の押し上げ要因となりますが、米国からの輸入部材の支払い、海外の契約レーサーへの契約金支払い、及びPL保険の保険料支払い等がドル建てのため、円安が全面的にプラスと言う訳ではありません。為替が利益に与える影響は、1USドルにつき1円の変動で20百万円です。
 
<経常利益増減要因>
円安効果はあったものの、最大の増益要因は製品売上の増加です。欧州の販売子会社2社の業績も順調に拡大、コストや販管費の増加を吸収して、高い利益成長を実現しました。
 
 
<設備投資・減価償却>
設備投資は前期比178百万円減の492百万円(前06/9期は670百万円)、減価償却費は同71百万円増の451百万円(同379百万円)。平成19年度税制改正に伴う減価償却費の増加額は19百万円でした。
 
 
リスクアセットは持たず、あくまで利益は本業で上げる考えです。在庫の大半は販売好調な海外販売用で、船便を利用しているにもかかわらず、月商の1.3~1.4倍に過ぎません。また、無借金経営を維持しており、財務体質は良好。ROEは28.6%と高水準です。
 
2008年9月期業績予想
 
 
増収・増益の予想ですが、例年通り保守的な予想となりました。 税制改正に伴う減価償却費の増加(当期比89百万円増、税制改正影響額99百万円)という利益減少要因が発生するため、各利益は微増にとどまるとの事です。 尚、1株当たり配当は、1:2の株式分割(08年1月1日効力発生)後で58円を予定しています。
 
為替レート
想定レートは1USドル=115円(07/9期売上レート比-3.41円、同実行レート比-2.55円、海外子会社換算レートは同-8.29円)、1ユーロ=161円(同売上レート比+2.25円、同実行レート比+10.37円、海外子会社換算レートは同-4.68円)です。 現在のドル円レートは、1USドル=110~112円と想定を上回る円高水準にあります。一方、プレミアムヘルメット市場に大きな変化はなく、足元、想定を上回る受注が続いている事から充分吸収可能な水準です。
 
<販売地域別売上高>
国内
07/9期は、スクーター販売にかげりが見えた事や4月施行の3年車検制度の影響もあり、中・大型二輪車の販売台数は低迷しましたが、プレミアムヘルメットは総じて堅調に推移しました。
08/9期はわずかではありますが、増収が予想されます。
 
欧州市場
引き続きフランス・スペインの経済が堅調に推移、回復が遅れていたドイツ及びイギリスの経済も好転する等、好景気も追い風となりました。加えて、知名度の向上によりプレミアムヘルメットの市場が東へ拡大しており、資源景気に沸くロシアの他、東欧・ギリシャ等の新興市場での販売も増加。欧州でのシェアが60%程度に上昇した模様です。
欧州市場は08/9期も業績拡大のけん引役として期待されています。既に当初の3か月分について、1ユーロ=163円で予約を済ませています。
 
北米市場
数年来増加傾向にあった二輪車販売の頭打ちに加え、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)問題の影響が懸念されたものの、プレミアムヘルメット市場は順調に拡大、特に高級モデルの販売が伸びました。
08/9期は販売数量の増加が予想されるものの、円高水準へのシフトを織り込んだため、減収予想となりました。
 
 
<設備投資・減価償却>
設備投資は前期比207百万円増の700百万円(前07/9期は492百万円)、減価償却費は同90百万円増の541百万円(同451百万円)を予定いています。尚、平成19年度税制改正に伴う減価償却費の増加額は99百万円です。
現在、茨城工場、岩手工場共にフル稼働の状態です。このため、茨城工場の能力増強を計画しています。5月までに増床し、詳細は未定ですが、その後設備の搬入を行う予定です。旺盛な需要に対応するため、設備投資は更なる上積みの可能性があります。
 
株主還元
 
 
同社は連結配当性向30%を目処に配当を実施しており(銭単位は切捨て)、07/9期は1株当たり年67円の配当を予定しています。ただ、40億円以上の現預金(長期性定期預金を含む)の蓄積ができ、且つ通常以上の大きな資金需要が生じない場合は、連結配当性向を50%に引き上げる考えである事をかねてから公表していました。 08/9期は設備投資額が減価償却費を大幅に超過する見込みですが、期末現預金(含む長期性定期預金)は40億円を上回る見通しです(07/9期末の現預金35億円)。このため、08/9期は配当性向を50%に引き上げ、1株当たり配当を年58円とする考えです。08年1月に1:2の株式分割を実施するため、実質的には116円配当です。
 
取材を終えて
知名度の向上により欧州では販売エリアが東へ広がっていますが、今後は大西洋を渡り、BRICsの一角をなすブラジルを含め中南米での販売拡大にも取り組む考えです。また最近では、初めてクェートの企業と販売代理店契約を結んだそうです。市場としての中東については、山田社長自身、あまり考えた事がなかったそうですが、欧州カルチャーの影響を受けた中東の産油国では欧州同様にバイク人気が高いとの事。ロシア、南米、中東と潜在市場の大きさがうかがえますが、足元、海外の納品は半月遅れで、国内は在庫ゼロの状態。このため、これまで慎重に進めてきた設備投資を積極化していく考えです。